2024年7月27日土曜日

虎だ、虎になるのだ!

 ヘドンのタイガー高すぎ問題というのがある。ワシの中で。

 ”海水温上昇対策”で、キビキビとしたあるいはブリブリとした強めの動きのミノーが欲しいとなった場合は、それこそラパラやロングAをはじめとして選ぶのには困らないぐらい豊富な種類が市場に存在する。ところが、タイガーのような側面見せるぐらいのロールも伴いながらグワングワンに暴れる系のミノーというのは意外に選択肢が少なく、なかなか代替品を探すのに苦労する。そもそもタイガーが入手容易ならタイガー買っとけばイイんだけど、これが人気のわりに中古も弾数少なく、しばらく再販もかかってなくて良いお値段している。

 プラドコ版が安かった時代のタイガー(1020)と鉄板リグのビックタイガーは中古で値段安かったときになんぼか備蓄してて、ビックタイガーは後に値段高騰して千円かそこらで買ったのがヤフ○クに出したら5千円ぐらいにはなって、ちょっと小遣い稼がせてもらった。残弾2個。買った記憶もあんまりないけど小さいタイガーカブもなぜか2個出てきた。タイガーはプラドコ版なら今でもそこまで値段は高くなってなくてタイミング良ければ2千円以下で買える、とはいえ中古に2千円弱も出せるかよって気もする。弾数もクソもないのがマグナムタイガー(1030)で、意外に日本だけで人気なのかスミスが国内向けに再販かけたんだけど、これがもうバス釣り人口も減ってて、昔のプラドコ版みたいな薄利多売が通用するほど数が出ないようで、そうなるとマニアに高く売りつける方式になって、最近国内向けのヘドンブランドの再販物はえらく高いけど、その中でも特にお高い値段設定だった。3千円くらいだったと思う。まあ今までのパターンから言って、そのうち中古が安くなる時期があるだろうからその時に買おうと思って、待ち続けたけど予想に反して中古が安くなるどころか、最初っからプレミア付きの”転売屋価格”でそっから値が落ちずにジリジリと値を上げて、今では箱入り新品は1万円超えとかアホみたいな価格になってて、中古のショボい品でも5千円は下らない。実弾として買えるかよって値段になってる。日本のバスルアー市場もいよいよ終わりが見えている気がする。っていうかコロナ禍のおりの釣りブームもすっかり冷えて、釣り具業界死にかかってるだろう。せっかくのブーム時に”アジング”に代表される、ろくに釣れもせんのに道具ばっか買わされる系の釣りをゴリ押ししてたような業界の自業自得である。

 ってな具合でマグナムタイガーは表層引けるので水草の藻面を通してライギョ釣ってた冒頭写真の個体、いわゆる”当時モノ”が一個という有り様で実質実弾が尽きている。米本国でプラドコ版がドカッと再販されるとかがないかぎり、マグナムタイガーの補充は無理っぽい。なんかタイガーじゃなくても良い塩梅の暴れん坊ミノーぐらいあるだろうって探し求めた結果について、今回ルアー図鑑うすしお味第65弾では行ってみましょう。

 探し始めると、さすが情報化時代という感じで、ルアーの動きまで動画で紹介しているような情報がパソコンの前に座ったままサクサクと手に入り、多重露光写真でなんか逆に凄い動きしそうな妄想を掻き立てられてた昭和の時代とはだいぶ違う。候補もわりとすぐに3つほど見つかって、中古でたいした金額じゃないルアーばかりだったので早速手に入れて一件落着になるかというと、そうでもなくてネットで得られる情報にはやっぱり限界があるなと思い知らされることになる。

 暴れる系のミノーは、最近のシーバスミノーにもいくつかあるようだけど、いまいち”釣り人釣る系”の見た目が好みじゃないので無視して、中古だと安いし弾数もそこそこ豊富なコットンコーデル「レッドフィン」、ラッキークラフト「CLミノー」、デュエル「マッディーミノー」に絞った。

 レッドフィンは昔はシーバスマンなら誰でも持ってたってぐらいのルアーで、ワシも一番下のジョイントの13センチと11センチを持ってた。持ってたけどほとんど使ってないし魚も釣ってない。若かりしころシーバス用に買ったんだけど、シーバスにはCDラパラみたいなニョロニョロとしたおとなしめの動きのが良いと思っていてグワングワンでラトルカランカランのジョイントレッドフィンを釣り場で投げてすぐに「コリャ釣れそうにないな」と感じて、以来蔵で眠らせていた。じゃあなんで当時買ったんや?っていうと、レッドフィンを最初に知ったのは”経典”「ブラックバス釣りの楽しみ方」で、そこではレッドフィンは「テイルを振る。というよりはむしろ、バイブレーションといった感じなのだ。」と紹介されていた。バイブレーション的な小刻みな動きならイケるだろうと思ったのであるが、実際には暴れん坊で、また則サンに騙された、と思ったものである。

 ところが今回レッドフィンをなんぼか買い集めてみて、則サン(山田さんかも)の表現もあながち嘘じゃなかったのかもと認識を改めさせられた。レッドフィン、コットンコーデルがプラドコ傘下ブランドになった今でもっていうか、まさに今現在再販かかってるようなご長寿モデルであり、金型も何度も作り直したような売れっ子である。その金型作り直してるってのがどうもくせ者のようで、時代ごとやらでえらく動きが違うのである。具体的には昔の背中がちょっと反ったぐらいの時代の(写真では下)はタイガーに比べたらおとなしくてバイブレーションっていう表現もまあ許せるかなという感じで、逆に今のモデルにつながる太目でノペッとしたタイプ(写真上)のはだいたいグワングワンに暴れてくれて、真ん中フック外して後ろフックをシングルに替えるとその傾向は強まって13センチに関してはマグナムタイガーの代打を務められそうである。ただ、レッドフィンにはラトル有り版と無し版があって、その違いが見た目では分からんというのがある。最近ラトルの有り無しは釣果的にはハリ音とかもあるしあんま関係ないかなって気がしつつあるけど、やっぱり気にはなる。買った数がそれほど多くないので違いが分かってないだけかもだけど、11センチは2本ともラトル有りで、動きもおとなしめなので11センチは無しの方向で、14センチは購入してから手元に来るまでラトルの有無はまるで分からん感じで、それはジョイントも同じでかつラトルの音も違ったりして多少買ったぐらいでは何も分からんに等しい。派手にいくならラトル音有りのほうが良さげかなと思うけど、派手に行くならその前にまずジョイントの13センチいっとけ、というのが今のところの結論である。

 13センチのジョイント、すんごく暴れます。ジョイントなので後半のお尻のほうを振り回さなくて良い分、前半の本体がロールを伴ってグワングワンに暴れて、それにシッポの方が逆振りされる感じで感動的に派手。11センチの方は手元の個体2個はいずれもそこまで派手ではなくロール少なめニョロンニョロン系で今回の目的的には13センチジョイントが”合格”で13センチ太目が及第点ぐらい。なんでジョイントばかり買ったんだろうって思ったけど投げてみて分かった、3フックがじゃまくさいので2フックのジョイントを選んだんだろう。フック3つあると確かに掛かりやすくはなるんだろうけど、ハリ同士の干渉やハリ一つあたりのアワセの力の伝わり方の減少で抜けやすくなってトントンで、あげてからのハリ外しのめんどくささがあるから2本バリの方がワシ的には勝る。3本バリだと太いハリが背負わせにくいし前のフックがライン拾いがちなのも欠点か。ボーマーのロングAの15A、16Aで唯一気に入らないのは3本フックなところで、その点を改良したAソルトってのが一時出てたけど3本フック信仰は米国でも根強いのか定着せず廃盤になった。なんにせよ繰り返すけどレッドフィンの13センチは暴れる個体ならマグナムタイガー代打要員となるし、13センチジョイントはまた違って強力に派手なミノーなので買いである。で、レッドフィンといえば胸ビレが3本線で書いてあるのがお約束でレッドヘッドが代表カラーで中古の弾数も多いけど、レッドヘッド、東京湾でシーバス始めた頃の釣れない修業時代にCD7のレッドヘッドを使ってたせいでトラウマ級に”釣れない”印象があって正直苦手。とはいえフラットラップのレッドヘッドではけっこう釣ってだいぶ苦手意識薄れたのでレッドフィンではレッドヘッドも使う。ただワシ的に好みなのはいわゆる”練りパール”の青背で、その色の13センチジョイントがあったらもうちょっと買い足してレッドフィンはまあこんなもんでしょう。

 次がCLミノー、名工加藤誠司氏の作で、昔のシマノのエルモとかいうルアーが下野プロのお気に入りで、「あんなの作って」という要望に応えての焼き直しらしいけど、ラッキーのCL(クラシカルリーダー)シリーズは古典的なルアーの焼き直しらしく、ルアーなんて見た目とか古くさかろうがリアルじゃなかろうが、ちゃんと動く機能があれば釣れるんですっとかいうことを示したくて出したシリーズらしく、クランクはノーマンのリトルNだかの焼き直しのようだ。パクリといえばパクリだけど、そういう意図もネタ元もバラしたうえでパクってるのは”オマージュ”っていってよいんじゃなからろうか。オリジナルなルアーデザインも当然できるっていうか日本でも屈指のルアーデザイナーによる、あえての温故知新なオマージュルアーということか。とはいえ我が国の釣り人はバカが多いのでそこまで人気は出なかったようで、既に廃盤で中古も送料込み600円もあれば買えるので実弾として弾込めしやすい。ただ色が選べるほど豊富には中古弾数がない、というかこれだけ反リアルな造形でも、人気なのはゴーストアユとかメタリックワカサギとか地味な魚っぽい色でそのへんも我が国釣り人はバカが多いと再度書かざるを得ない状況。

 まあ、ワシャ色は好きに塗り替えれば良いので気にせずボロくて安いの買わせてもらいました。そういえばタイガーも塗装がワームで溶けてるようなのを中古屋で安く買って、スプレーで銀に塗ってウレタンコートかけるときに銀色のフリカケ振ってという、塗るのが簡単で地味系の内房運河実績カラーにして使ってた。内房シーバスにもタイガーそこそこ効いた。ということで、いつもの黄色白の”紀伊色”に塗り直したんだけど、色以外にもちょっといじった。CLミノーは固定重心で動きはまさにタイガーを彷彿とさせるような頭の方を起点にロールも伴ったグワングワンした泳ぎなんだけど、タイガーはノンラトルなんだけど、CLミノーは固定重心で、オモリが前後には動かないけど、横にはコトコトと動く金属球なのでラトル音はある。有るのと無いのとで、このルア-で釣れるような派手な動きが効くときに違いがあるか?っていうと、無いか、有るとしてもラトルあった方が良いんじゃないか?と思うんだけど、実際には状況にもよるだろうし実釣してみて試さなけりゃ分からんだろう。ということで写真のオレンジで囲ったところに入ってる、2個あるオモリの下から、玉が填まって落ち着くぐらいの大きめに穴開けて瞬着流し込んでオモリ固定。穴はティッシュ詰めて瞬着で固めた”ノンラトル”改造版と改造無しコトコトラトル音有りの2種類用意した。用意したんだけど、同じ色だとどっちがどっちか振らないと見分けがつかん。ということでタイガー化した個体には、タイガーっぽく縞模様を描いてみた。本家タイガーの縞模様、単純なヨコシマ(脊椎動物は背骨に垂直な縞が横縞)ではなくて縦縞の要素もわざと入れてあって、ロールした場合には縦縞の部分の動きが視覚的に目立つ的な解説をヒロ内藤氏がしてたけどホンマかいな?まあデザイナーが良い仕事した格好いい縞模様ではある。さて違いがでるほどかどうか?結果はいつ出るかわからんけど楽しみである。

 3つめが、今回の一番の大当たりとも言えると同時に問題児でもあり、大暴れしてくれたマッディミノー。96年のデュエルカタログでは「日本初の濁水型爆釣ミノー」とされており、そのアクションは「ハイサイドウォブルアクション」と書かれていたりする。ハイサイドってバイクがドリフトっていうかタイヤ滑ってるときに、タイヤが地面を噛んだ瞬間、車体が起き上がって滑ってた方向に体が持ってかれるような挙動のことで、事故ってるやんけ!って感じでなんのこっちゃである。要するにセッパリ形状というか、もはやバナナ状になってるボディーの背中をハイサイドよろしく右に左にロールさせながらウォブリングもするってことかなと解釈したけど、そんなに暴れるんならいっちょ試してみるか、と購入した最初の個体は肩すかし食らうぐらいで、あんまり暴れず口ほどにもねぇな、って感じだったんだけど、試し投げ中になんか良さげな魚が食ってしまい、かつしょうもないミスで切られてルアー口に付けたまま魚に逃げられるという失態を犯してしまった。魚が食うってのは魚釣りでは正義であり、もう一個買っておくかと購入した個体を投げて戦慄が走る。「何じゃこの暴れっぷりは?」。確かにセッパった背中をグワングワンと右に左に倒しながらの強いローリングを伴いつつ、やや前方起点に大きくウォブリング(横振り)もしていて、タイガーに匹敵するぐらいの暴れっぷりである。濁水型ミノーの名に恥じない暴れっぷりだと認めざるを得ない。かつ重心移動有りで太くて重量あることもあってぶっ飛ぶし、重心移動のオモリはラトルにもなってて派手さに拍車をかけている。動きの立ち上がりも悪くなく巻き始めてすぐにグワングワンと暴れ始める。欠点としては最初の個体みたいな”ハズレ”が出てくることにも繫がるんだと思うけど、動きの安定性がやや低いということか。

 タイガー、レッドフィン、CLミノー、マッディミノーに共通するのはミノーにしては太いボディーで浮力が強いことで、逆にマッディーミノーだけが異なる点は飛距離を気にしている点で、まずは重心移動が入っているのが目立つけど、実はもっと”動き”に関係してくるのはリップの小ささで、マッディミノー以外の3つのルアーの場合は、空気抵抗大きそうな、ボディーから角度大きくて突き出した大きなリップを持っているのに対して、マッディミノーは角度も浅く小さいリップが付いている。このリップでなんでタイガー並みに暴れられるかっていうと、ボディー形状全体でフラットフィッシュとかの本家?バナナ型ルアーみたいに泳いでいるのでリップが小さくできたんだと思う。ただそれで限界近くまで暴れさせると、安定した動きをさせるのが難しい。タイガーとかその点立派でけっこうな早引きにも対応するけど、マッディーミノーはそこまで早引き得意ではなくあんまり早引きすると重心移動のオモリの挙動も関係するのか、ひっくり返って跳び出したりしがちで、かつラインアイの調整がシビアでかなりキッチリ左右調整してやらないとすぐに片方に飛びだしてしまい動きが破綻する。90ミリと65ミリのJrの2種類大きさはあるんだけど、小さい方がその傾向は顕著で、ラインアイの微調整めんどくさいんだけど、決まるとサイズからは想像もつかんぐらいに水をかき混ぜるようにして暴れてくれる。90年代のイケイケのバスブームのころだからあり得た”攻めた設計”だったんだと思う。マッディーミノーが含まれるフューズシリーズはあんまり評判聞かなかったけど、地味にペンシルのバナナボートは現在でも形状はL-ブルー クイックドッグペンシルに引き継がれていってるように見受けられ、意外にやるシリーズだったのかもしれない。とにかくマッディーミノーは暴れる系ミノーとしてはタイガーとはまた違った一つの極致であるとまで書くと大げさかもだけど、なかなかお目にかかれない個性的なミノーなので超気に入った。この強烈なアピール力、どっかでハマるときがあるに違いない。とりあえずこれまた色が選べるほど中古の弾数がないので、とりあえず安いのもあって片っ端から確保した。現在一時的にヤ○オク、メル○リから安い中古品が消えてるけどワシが買い占めたせいですゴメンナサイ。でも、黄色いお店とかの中古釣り具屋に行けばワンコインもせんぐらいでそこそこ珍しくない程度にはぶら下がってるはずなので、是非手にしてその暴れっぷりを楽しんでみて欲しい。これ使いこなせる人にとっては他で代替不能の切り札になるかもしれん。代替しようとすれば、いっそクランクベイトから探した方が正解がある気がする。それぐらい強烈なアピール力ある強い動きのミノーだと思う。こういうのを温故知新で見つけることができたりするから、ルアー買うのはやめられんのよね。

 と言うことで、グワングワンに暴れるミノー四天王はワシ的にはタイガー、レッドフィン、CLミノー、マッディーミノーで、ほかにコイツらほどではないけど暴れん坊だったのが、すでに紹介しているヨーヅリ「クリスタルミノー」クリークチャブ「パイキー」で、クリスタルミノーはややおとなしめ、パイキーはロールがあんまり入らない系、どちらもこれはこれで魅力的なのは言うまでもない。ちなみに四天王ってなんぞ?って思ったのでググったら、仏教由来で持国天、増長天、広目天、多聞天の四神のことだそうな。

 って感じでこのへんについても一応の終息状態になってきたんだけど、途中マッディーミノーにたどりつく前に、暴れるミノーは全部太くて固定重心ということで、なんかKテンみたいな太目のシーバスミノーの重心移動のオモリを固定したら良い動きになるんじゃないか?という今考えたら泳がせているときは基本オモリの位置は固定されているわけで動きが変わるわけないんだろうけど、とりあえず試してみた。”ガン玉ぶち込み”みたいな後で抜いたら元に戻せる改造ではなく、瞬着流し込んで固めてしまうので、Kテンやらザ・ファーストを贄にするのはしのびなく、どうでもいいようなパチ臭い重心移動の太目のミノーで試すか?ということでマミヤOPのマリンファイターというのが安かったので、穴開けて固定重心化してみたけど、固定重心のオモリが音をたてなくなったっていうのは変化としてはあったのかもだけど、動きは変わらず。飛距離は重心移動を想定して設計されてるヤツを固定にすると飛行姿勢が崩れて飛距離出しにくいねってのが分かった。試す前にわかれよって話か。
 

 という感じで、暴れん坊ミノーについては良い感じに自分の中で整理がついて、実弾もそこそこ確保できてめでたしめでたし。なんだけど、アメルア方面暴走状態が、今セ○イモン倉庫への入荷待ちになってるのが無事海を越えて我が家に到着したら、一応の一区切りになるとは思う。けど、到着までいましばらくかかるので、またその後ネタにすることにして、”海水温上昇対策”ネタは一旦中断という感じになります。記事をお届けできるのは秋頃かな?まあそのへん船便次第でということで、塩味やや濃い目でお届けしたいとおもっちょりますのでこうご期待。

2024年7月20日土曜日

(株)日本国

 ”選挙で世の中良くなるわけがない”という論より証拠な都知事選でございましたね。

 ネットの賢者が”便利な生活と豊富な娯楽を享受する東京都民が4年に一度受けなければならない罰ゲーム”と称してて腹抱えて笑うと共に心底感心した。

 まあ、日本の都の最高責任者を決める選挙に、なんでこんなしょうもない候補者しかでてこんかねっていう、もうちょっとマシな人ぐらいおるやろ?選びたくもないような候補者ズラズラ数だけ並べられても困るよね、って思うけど、海の向こうのバイデンVSトランプとかみても、もう選挙っていう制度の構造的欠陥というか永らく政党政治やっきた澱がとごって腐ってるというか、どこでも一緒のようでございます。欧州も欧州で極右極左いりまじりの混迷状態のようで、これが本場の多様性ってやつかと鼻で笑うよね。

 選挙なんてやってたら、ようするに自分たちの利益代表者を議員としておくりこまにゃならんわけで、そうなると組織票がモノを言う世界で、組織として力を持ってる経済力を持ってる団体の利益を優先する選挙結果にしかならない。で、その組織に所属する人間が幸せになればそれはそれで少数派切り捨ての問題はあるにしても、多数の幸せは確保されて最低限の選挙の役目は果たされる。しかし力ある組織っていうのはワシも大きな組織で働いてたから分かるけど、組織防衛、組織としての力の確保に相応以上に力をいれないと、他の組織に競り負ける。だから組織というシステムの勝利がその構成員の勝利や幸せを必ずしも意味しない。組織の構成員が一所懸命になって組織システムに奉仕しているという本末転倒が生じるのが必然。だから米国は世界最高の経済力、軍事力を誇るけど国民は酷い格差にあえぎ貧困層はちょっと想像を絶する不幸せな状況にあるように見受けられる。でも冷静に俯瞰すれば米国という組織システムとしては理(利か?)にかなっていて、貧困層の安い労働力を使ってモノ造ったり各種サービス提供させたりすれば、国としては富むし対外的な強さにはなる。今の選挙制度を喜んでるのはそういう仕組みで旨い汁吸える特権階級でっせ。そんなクソみたいな制度などに参加せずに、機能してないことが明白になるまで投票率下げて選挙制度やめさせようってのがワシの主張。選挙はクソ!

 で、そういう組織システムが利する選挙制度を民主主義の基本だと信じてるマヌケな思考のもう一方で、グローバルスタンダードな我々自称民主主義国家においては、昨今”多様性”と言っておけば他人を攻撃しても赦される風潮に代表されるように、個人の権利だの自由だのが異様に尊重されて、それに反すると袋だたきにあいかねない。選挙みたいなアホな組織優先の制度を金科玉条のように崇めておきながら、個人の尊重とか片腹痛い。そんなチグハグなことやってたら空中分解するに決まってるだろ?端的な例を出すなら、そりゃ個人としては女性も社会進出してやりたいようにやった方が良いに決まってる。でも、それをやれば間違いなく少子化は免れなくて、人口減少して国とか社会としては衰退していく。ワシャそれでも個人の幸せは求めても良いと思ってるし、ワシ自身の幸せを追い求めている。でもそれは一方で社会への貢献を多少なりともサボる行為でツケは自分にも返ってくるってのは覚悟しておかなければならないように思う。日本の少子化はいまさら避けようがないどころか、過去に遡っても、個人の自由を守る限り避けようがなかったんだと思っている。

 グローバルスタンダード型の民主主義国家は皆が幸せになれるシステムではない。っていうと北欧かぶれが、北欧の幸福度の高さを崇め奉ってシュバって来そうだけど、北欧といわれるような国々が個人の幸福を大事にしていて国民の満足度が高いっていうのは確かにあるんだろう。今のところはな。でも、結局そうすると少子化からは逃れられなくて、ご多分に漏れず労働力確保のため移民政策に舵を切らざるを得なくなり「国民って何だろう?」って状況に遅かれ早かれ陥る。もうその傾向はアリアリと見えている。北欧諸国に限らず移民を積極的に受け入れた国がイスラム化していくのは当然のような気がする。

 イスラム系の国家も今時は春が来たのかなんなのか、民主化進みつつあるのかもしれないけど、それでも部族の長が治める中央集権的な組織の色合いはまだ強く、文化的にも女性の社会進出は「人前にでるな!顔を覆え!!」ってぐらい妨げられていると見える。そうなると、女性は役割として子育てに専念せざるを得ず”少子化対策”って要因では圧倒的に有利。さらに言うなら一夫多妻制もあるからな。結局、国とか社会とかが勝つための力を得るには、個人の幸せを削ってそっちのために使った方が強いのである。国や社会の発展・勝利と個人の幸福・利益とは究極的には両立しない。でも、良い塩梅のバランスのとれた落としどころや、もっと効率的でマシな方法ならあるハズである。

 ってなことを書くと、ならその方法を言ってみろって話になる。批判だけならアホでもできる。対案も無しに現状を批判するなというのはごもっともである。なら書いてみようか。

 ヒントはだいぶ大昔(テレビ見てたってことから実家に居た高校生時代ぐらいか?)にビートたけし氏が言ってた案で、たけし氏も選挙は大っ嫌いみたいで、「税金の使い道決める奴らを選ぶのに、オイラみたいな超高額納税者とそこらの年金ジジイの一票が同じってバカなこと言ってるんじゃないヨ!納税額に比例した投票権があるのが筋だろ!バカヤロウ」とか言ってて、周りの人はヤレヤレまたたけしさんは過激なことを的な感じでまともに相手してなかったけど、確かに自分の年金の取り分と医療費控除額ぐらいしか興味の無い未来もへったくれもないジジイに選挙権なんぞいらんってジジイなワシ自身思うぐらいで、金出したパトロンのいうこと聞けよってのもしごくまともな意見だと感心した。

 ただ、そういうことをいうと老人を始め低額納税者の意見をないがしろにするのかっていう人権人権小うるせぇ声の大きい奴らが湧いて出るだろうし、出る杭を打って足を引っ張るしか能のない輩が「特権階級を優遇するなんてけしからん」とか言い出して議題にものらんだろうことは明白。前者はともかく後者はじゃあオマエも文句言ってないで一所懸命働いて高額納税者になりゃ良いじゃん?士農工商な江戸時代じゃないんだから職業選択の自由~アハハーンってなもんで起業でも出世でも何でもすりゃ良いじゃん。高額納税者の全てが資産家のご子息ってわけじゃないだろって話だけど、努力とかしたことないヤツに限って他人は努力もせずにいい目を見てると信じたがる。そう思うのは自由だけどバカは黙っとけ。

 っていうことで、もうちょっと議題くらいにはなる程度の方法をと考えた。まあ前例の無いことを言い出すと聞いてもらえないのが世の常なので、組織運営の形としてはバリバリに前例があって、世界的にも標準的な方法ですらある。なぜその方式が国家という組織では選択されないのか?ワシが知らんだけで似たような方式とってる国があったりするのか?まあ、とりあえず知らんけど発表します。ジャカジャン。

 まあタイトルでネタバレしてるけど株式会社方式、っていうか会社じゃないので”株式国家方式”とでも名付けりゃいいのか。こんなもん過去に思いついた人間が居ないはずがないのにそうなってないってのはなんか重大な見落としがあるのかもだけど、世界中の会社組織で、社長を取締役員を社員平等な選挙権をもってして選挙で決めましょうなんてバカな会社はない。そんなもんあったら給料無駄に上げて労働条件過剰に良くして、結果生産性が下がり提供サービスの値段が上がり競合他社に負けて会社潰れるってのが目に見えている。探せばどっかにあるかもしれんけどワシャ聞いたことがない。一方で、歴史的には、大きな組織に必要な資金を出資者募って集めて株主になってもらいましょう、株主は出資金に応じて株主総会で役員人事とか含め口出しできます、儲けたら配当金もらえます、っていう株式会社という方法が生み出され(株式会社と保険制度が大航海時代に生まれた双子の仕組みらしい)、小っこいところで株式会社じゃない個人経営とか大っきい株式会社でも大株主が居て一族経営とかはあるにしても、株式会社という金は出して口も出す、でも運営はその筋の専門家に任せるっていうシステムが生み出されて生き残ってきた。

 ならなんで、同じ大きな組織運営である国家運営にその方法をとらないの?って単純な話。金を集めてサービスを提供する、基本その道の専門家に資金運用はじめやり方は任せるけど、出した金に応じて口は出せる。国債が出資者をあつめてなんかするって点では似てるけど株主総会的なモノが抜けている。細かい制度の組み方は色々あるだろうけど、独占的に利益誘導できないように上限儲けるとか、低額出資(納税?)者にある程度ゲタ履かせるとか、ナンボでも微調整は効く。そもそも小口の出資者は数が多いのでまとまればそれなりに自分たちの意見を通せる。変な利益誘導してるヤツが居たら株主総会で暴れまくればいい。金も出さんやつは文句を言うなはしごく真っ当。株主総会的なモノにもうちょっと決定権とか権限持たせるのが良いのかも。どうでっしゃろ?少なくとも会社という組織で永い運用の歴史と実績があるので、誰でも一人一票の選挙を前提とした議会制民主主義の国に国家として競り負ける気がしないんだけど。なんか反対する意見のある人は対案を示してアラ探ししてくれると、さらに細かく詰められて個人的には面白いので歓迎します。でも、気に入らないってだけで誹謗中傷はやめてね。じゃまくさいだけで何の生産性もないからね。

 ただ、株式国家方式で利を得るのは根本的には国家という組織であって、じゃあ国家として経済的に成功したら、国民が幸せになれるか?っていうと株式会社でも基本は経済的に利を得て儲かってる会社はお賃金も良くって福利厚生もバッチリってのが多いから期待値は上がる気がするけど、株式会社で儲かってても中には真っ黒なところもあるので、そこは必ずしも一致しないとは想定される。組織の成功と個人の幸せはまたちょっと別の問題ってのは前述もしたとおり。

 結局のところ、個人の幸せは個人で掴めってのが、紛争とかで住むところを追い出されて難民キャンプで明日をも知れぬ暮らしをしてるとかの特殊な例外を除いて基本じゃないだろうか。国やら社会やらをはじめ、他人の施しをアテにして幸せにしてもらうのを口開けて待ってるぐらいなら、自力で根性出して今ある制度なり社会状況なりを使って幸せになった方が早いし正しいと思うよ。と、紀伊半島の港町でお金はたいしてかけてないけど魚釣ってネコと幸せに暮らしてるワシャ思うのじゃ。

2024年7月13日土曜日

脱線して遠投用ミノー

 海水温上昇対策事前準備の長い旅の途中ではあるけど、試し投げ中にスロープ沖の砂底でデュエルのマッディミノー(あんまり暴れないハズレ個体)に、なんかちょっと良さげな魚が食ってしまうという予定外の出来事が起こってしまい、今まで狙ってなかったし誰も狙ってない竿抜け的な釣り場かなと今後は意識して狙うつもりだけど、さすがに砂底の変化に乏しい釣り場で近距離戦でピンポイント狙いってわけにはいかず、ある程度ブン投げて広く探らざるを得ず、珍しく飛距離重視のミノーも必要だなと、またいらんことを考えてしまいそちらの方に症状が出てしまった。

 ただ、ワシ自称”近距離特化型”のルアーマンであり、重心移動搭載のミノーとかってあんまり興味がわかんのは事実で、それほど症状は酷くなく、かつ「なんかあるだろ?蔵に」と考える程度には理性も残っていた。実際蔵に転がってるミノーで概ね事が済み、多少?買い増しした程度で治まってくれて、アメルア方面では酷い症状にトラブルも重なってエラい目にあってるのでホッと胸をなで下ろしている。

 まああれだ、ヨーヅリネタでも出したけどハードコアなミノーとかボチボチあるし、コモモシリーズは重心移動関係無しに昔から愛用しているし、なんならデュオのタイドミノースリムもボートシーバスで使ってたのがまるまる残ってるし、シュガーミノーやらもあれば、元祖のKテンもあると言えばある。

 というわけで、シーバス釣りにいったときとかに潮待ちマズメ待ちの暇つぶしに投げたりして使えそうなのを選別してみた。この作業が楽しいのよねってのは実際のところ大いにある。巷に星の数ほどの種類のルアーがあるのも”いろんなルアー投げると楽しい”っていう病の元凶となるような根本的な要因があるような、ないような。

 まあ、重心移動っていえばまずはKテンなんだろうけど、これがワシKテンは相性の悪いルアーで、なぜか釣った記憶がないぐらいに魚釣ってない。シーバス野郎ども的には実績も評判も申し分なく、コレで釣ったことないとか腕のほどが知れるッテぐらいでお恥ずかしい限りだけど、誰でもあると思うけど苦手としかいいようがないので仕方ない。どう記憶をほじくっても175だかの大型ので50無いぐらいのをバラしたぐらいしか思い出せない。こうなると時既にお寿司で、苦手意識が強くて魂込めて投げられないので釣れるわけがない。ということで選から外す。しかし、この時代のセッパリ形状のミノーの持つブリブリとしっかりした泳ぎは、海水温上昇想定時の”強い”動きのミノーとしても有用だと思うので一種類ぐらいは欲しいところ。って考えるとKテン苦手なのになぜかマリア(ヤマシタ)が技術協力うけてKテンと同時期に発売したザ・ファーストは好きで、11センチ、14センチはKテンと同型なんだけど、Kテンとは形状の違う9センチ、7センチの特に7センチが昼間っから濁った内房の運河で今で言うウェイキングな感じの水面引きで活躍してくれたのでお気に入り。遠投性能まったく活用してなかったけど、ちょっとクランクベイトみたいに太くて高浮力でブリブリとよく泳いでアピール度高いのは昼間だと投げて泳がせてるだけでも楽しい。あとこのルア-で面白いことを怪魚ハンターの小塚氏が書いていて、ザ・ファーストはKテンのように重心移動のオモリを磁石で固定する方式ではなく、坂道を金属の円柱が滑り落ちる方式なので、ジャークやらツイッチやらするとボディーの中でオモリが暴れてイレギュラーにダートとかするとのこと。11センチで試してみたら確かにツイッチでクルッとか変なタイミングでターンすることがあって仰るとおりでナルホドと得心。その手の機能を売りにしたのはメガバスのグレートハンティングミノーが最初だったと思うけど、偶然にも同じような機能がそれ以前に備わっていたというのは面白い。ってのもあって中古の弾数多いし安いしゴソゴソと買いあさってみた。ここぞと言うときにジャーク入れてカコーンってワンノッカーみたいな音を出して、っていうのも小技としてはあるかもしれん。

 昔、九州で玄界灘の季節風対策で大型ミノーに片っ端からガン玉詰め込んだ話は何度も紹介してきたけど、その時の”落ち”としてネタにしてた14センチのザ・ファーストにガン玉突っ込んだら重心移動のスペースに空気が残るのでひっくり返った、っていうまさにその個体が、ガン玉詰め込んだままの状態で蔵から発掘された。せっかくなのでこの機会にガン玉抜いて、いつでも出撃できるように元の状態に戻しておいた。ドリルで開けた穴を再度ほじくって、ガシャガシャ振って玉を排出。綿棒の軸を芯にしてティッシュを巻き付けたものを穴にギュッと詰め込んでから出ている部分を切り取り、瞬着を染みこませて固めてからアート-ナイフで凸ッてる部分を削って、目印がてら蛍光オレンジの塗料でコーティング。って感じの簡単なお仕事。

 ま、マッディミノーのあんまり暴れなかった”ハズレ個体”の代替としては、このザ・ファーストの90Fぐらいで充分だろう。他には蔵を探ったら、それこそ重心移動を多目的に使うように設計してあるメガバスのX80もいくつか転がってた。ワシ的にはあんまりツイッチとか想定してなくてブン投げてやや早引き、ぐらいのつもりだけどカヤックで一緒に釣ったときにY君が80UPのスズキ様あげたぐらいで”デキる”ミノーだという認識なのでタダ引きでも働かんことはなかろうて。あとサイズ小さくならシュガーミノー80系、大きくならハードコアミノーF120パワーあたりかタイドミノースリム120ぐらいか。

 で、とりあえずはよしなんだけど、満潮になると砂浜とかと違って浅い方にやってきてスロープ上に魚が来るってあんまり想像できなくて、おそらくスロープ沖の水深深くなったところに魚留まってるんじゃなかろうかと思う。そうするとシャローダイバーより潜るのが欲しくなってくる。のでこれもまあ蔵に転がってるのをいくつか試してみた。

 結果、抜群なのがマジェンダFで何が良いかっていうと、リップ除いて8センチ位のミノー体型のディープダイバーなんだけど、この大きさのディープダイバーにしては引き抵抗が小さくて2号ナイロン使用のそこまでパワーのないシーバスに使ってる竿でも問題なく巻ける。マジェンダには固定重心の初期型と重心移動の後期型があって、見た目では分からんので中古は気にせず買って普段は足場高い護岸からの超近距離戦用に重心移動タイプも前後に動く方のオモリを固定して”ナンチャッテ固定重心”にして使ってたんだけど、そういう改造をしていない重心移動版を使ったら、飛ぶし巻き抵抗は少なく楽だし、潜り方も1.5から2mぐらいとちょうど良い感じで超優秀。デカいリップのわりに細かいバイブレーションみたいな動きで動きすぎないところが引き抵抗の軽さにつながってるんだろうと思うけど、そこそこサイズもあってラトルもあるのでアピール力不足って感じはしない。中古だと安く買えるので、弾数も写真に撮った程度じゃ済まされないぐらい豊富に備蓄してあるけど、なんでこんな良いルアーが廃盤で人気もなく安売りされてるかね?今日日の人気のダイビングミノーとかどんなんがあるか知らんけど、こいつに勝てるのってそうはないだろ。っていうかいわゆるスプーンビルミノーってもう流行らんのか?ラリー・ニクソンが琵琶湖でレーベルのスプーンビルをポンプリトリーブした時代とは年号2つ変わってるからな。

 でも、サクラマスとか大型サケマス狙いならまだその手のもあるよなと思うけど、今時のはどんなのがあるのか知らんので、そんなもん元祖のシュガーディープでも出しときゃ足りるだろうということで、これも蔵にはあるので問題なし。

 で、飛距離出てそこそこ潜って、砂底なので根掛かりはあんま気にしなくてイイとなるとシンキングミノーも使えるなと思うわけで、単純な飛距離重視ならジャクソンのピンテールに始まるヘビーシンキングミノーで良いんだけど、あれってそこそこ早引きしないと動かないとか、総じて動きは良くない。7fの短竿じゃなくて本格的に4.5mの磯投げ竿でブン投げなきゃならん釣りモノなら出番あるけど、港のスロープの沖程度ではそこまで飛距離は必要ない。とはいえCD7では飛距離足らんかなという感じの微妙な遠距離。

 これまた蔵に良いのがございます。またもヤマリアでフライングダイバー、固定重心だけどオフセットリップが効いてるのか飛距離充分。同様のタイプにバスディのドリフトツィッチャーもある。コイツらも案外良い仕事してくれるかもしれん。フライングダイバーは廃盤になった時に後継者選びをしてラパラのFマグ改にカヤックシーバスでのお仕事を引き継がせたんだけど、その後中古釣具屋でお気に入りの赤とか見つける度にお買い求めになってしまい、けっこう弾数あったりする。ドリフトツィッチャーは小さいのはメッキ釣りで活躍中だけど、10センチ前後の大きめのは色がいまいち夜向きの派手なのがないのであんまり使ってなかったけど、スロープ沖は明るい時間の釣りになりそうなのでここが使いどころかも。フライングダイバーの赤もどちらかというと昼向きだな。

 で、チョイ潜らせて深めを狙うなら、なにもミノーにだけ頼る必要もないだろうって話だけど、まずはバイブレーションと鉄板、クルクル系は外す。コイツら意外と底近くの棚を引っ張ってくるの難しくて早く引いてると浮いてくる、それが嫌で底転がすと多分まともに動いてない。引くべき速度の幅が狭くて意外に難しい。引っ張り上げて落としてというのの繰り返しが現実的だけど、なんかイマイチ上手にできる気がしない。引っ張り上げて落としての繰り返しをするなら、スプーンなら適当にやっても着底の感触も分かりやすく引いてくる速度もゆっくり目で底近くを意識すればやりやすいように思うので10g以上ぐらいの重めのスプーンはありかも。早引きが効くならメタルジグもありになってくる。ッテのに比べると、ミノーだのはリップがあって棚を維持して引っ張ってくるのに向いているので技術的に巻きっぱ中心で良くて楽。

 って考えると、リップがあって棚コントロールがしやすいルアーならミノーにこだわる必要はなくて、クランクとかシャッドとかでもいける、というかマジェンダはほぼミノーっぽいクランクなので、クランクはおあつらえ向きだろうと感覚的にわかる。リップが底叩く着底の感触とか分かりやすいし、ルアーごとの潜る深さを把握していけば、ルアーを深さに合わせて選んだら、投げて巻くだけで、自動的に底棚を引いてこれるようになるはず。

 ということで、クランクは重心移動搭載じゃなくても太いボディーの自重で良く飛んでくれるので、あとはシーバス想定のスピニングタックルで巻くのがしんどくないのを選ぶと良いはず。出番あんまないのでポーのセダー1100はどうかと思ったんだけど、飛距離も潜行深度も問題無いんだけど、個体差激しくて泳がんようなのもあったりしてワシいまいち好きになれんかった。ということで、ワシの好きなクランクはピーナッツⅡなので、ピーナッツⅡとそのDRのラトル有る無しを用意して、ついでに潜行深度ごとに数字があがっていく”システムクランク”なスミスのハスティーの1、2あたりを試してみたらそこそこ良い感じなのでこれも合格かな。ディープダイバーの良いところは砂底だとあまり関係ないけど障害物にアタったら止めて浮かせるとか、そもそもリップがハリを障害物から遠ざけ根がかり対策にもなるので、軽く巻ける小型のディープクランクとかは何かと使えるようには思う。

 まあ、このぐらい選択肢あれば色々試して遊べるだろう。ザ・ファーストをガサッと買い増しした以外には、ほぼ蔵の在庫であり、こっち方面での散財は最小限に抑えられたと思う。よかったよかった。

 ちなみに、ジグヘッドのワームという選択肢は全くない。ワームを使わない主義とかではなく、ワシ分解性のワームやワームっぽく使う鳥皮短冊(通称チキンリンド)とかは有効なら使うけど、近所漁港内でワームを使うと、3投もすればフグ軍団に囓られて消えてしまうので使えない。逆に言うとフグがキツくてワームが使いにくいようなポイントなので竿抜けになってて魚が残りがちってこともあるかもしれない。”フグと和解せよ”。フグを味方につけたらこれほどたのもしいヤツもそうはいない。

 などと、横道にそれて妄想しておりました、ルアー図鑑うすしお味第64弾は、珍しく遠投性能の高いミノーなんかを中心にあれこれ書いてみましたとさ。

2024年7月6日土曜日

ノコギリエイの証明

 common sawfish 
撮影:Diliff 氏、出典:ウィキペディア
 ノコギリエイという魚はマイナーだけど正真正銘の怪魚と言って良いだろう。昨今、”怪魚”も流行なのかお安くなったモノで、レンギョとかが巨大魚だの怪魚だの書き立てられているようなしょうもない記事がお薦めされてくると辟易とする。読むかよアホくさい。あんなもん利根川水系とかなら集団で飛び跳ねるのが風物詩になってるぐらいで関東の人間にはけっこうお馴染みの、見た目もちょっと垂れ目ぐらいしかこれといった特徴のないコイの仲間であり、型も2m近くなるコクレンならともかく、しょうもない記事で取りあげられているのはハクレンであり、1mかそこらで巨大魚はねぇだろ、まったくアホかと思う。

 その点ノコギリエイの仲間は、滅多にお目にかかれる代物ではないし、冒頭写真の種は最大7mとかいわれてて、沿岸から汽水域、淡水域にも現れて釣り人にも遭遇の機会がありうる巨大魚なうえ、その名のとおり吻部にノコギリ状の角が突き出ているという奇っ怪な面相の、まごう事なき怪魚である。いくつかの種、亜種に分かれるようだけど、オーストラリアではまだ多少個体数が多いらしいけど、ほとんどの海域で絶滅危惧種かいなくなった種であり、古いビデオでフライのディアヘアを刈り込んで成形してあって潜っていく”ダールバーグダイバー”パターンの考案で有名なラリー・ダールバーグ氏がフロリダだかで2m弱ぐらいの個体を釣っている(フライじゃなくて餌使ってました)映像を見たことがあるけど、寄せてくると当然ながらノコギリ振り回して暴れるので、獲物と自分の間にポールを突き立てて一撃を食らわないようにしてからハリ外していた。おっかねぇ魚である。ちなみにノコギリザメってのもいるけどこちらは深海魚であまり大きくなく釣り人には馴染みが少ない。むしろ練り物原料として知らないうちに食べているかも。サメとエイとは分類上分けることがデキるパターンで、耳?の無いミミズクであるアオバズク(最近近所で鳴いてます)、立派な耳のシマフクロウとか矛盾だらけのフクロウとミミズクの違いとか、大きさで雑に分けてるだけのクジラとイルカ、ワシとタカ、英国→米国→日本の伝言ゲームで概念がグッチャグチャになってるサケとマスとか分類上明確に分けられないパターンが多い中、サメとエイ、チョウとガは分類上の線引きでカタがつくので珍しくスッキリしている。まあ生物なので多少の議論の余地(蝶と蛾は実はややこしいのか?ウィキの論者は日本語の整理にこだわりすぎていてまるで駄目な気がする)はあるし、サカタザメのようにサメという名のついたエイがいるにしてもだ。ちなみにノコギリエイ科はサカタザメ目に属していて語感的にはややこしい。

 日本語でもノコギリが名前につくけど、英語でもsawfish(ソウフィッシュ=ノコギリ魚)とまあ、誰が見ても武器のノコギリが目につく。こういう武器の名前がついている系の魚って、名前からして厨二っぽくて格好いい。代表格がメカジキのソードフィッシュであの長い吻を剣に見立てるのは何の文句もはさみようがなくピッタリくる。日本語のメカジキもカジキにしては深い所も泳ぐ種であり深海魚っぽい目のでかさをとらえてて悪くはないけどソードフィッシュのほうが文句なしに格好いい。ソードがあればサーベルもあってタチウオは日本では立って泳ぐから説が一般的だけど太刀魚説もあながち無くもなさげに思うぐらいで、太刀魚の類いは英語ではサーベルフィッシュとかカトラスフィッシュとも呼ばれたりしている。見た目に加えあの歯の切れ味も踏まえてここは刃物系で呼んでもらいたいところだ。カジキの仲間には、和名は由来がよく分からんフウライカジキ、スピアーフィッシュ(槍魚)なんてのもいる。細身のカジキでたしかに槍のよう。 

ツルギメダカ?のメス
 東南アジアとかにいる、ナイフフィッシュの仲間(ロイヤルナイフフィッシュとか)は和名だとナギナタナマズと呼ばれたりもして、ナギナタってあんな幅広で湾曲してたっけ?って疑問に思うけどギラリと濁った水中で体側が光る様はやはり刃物を連想させる。南米の水面上に飛んで逃げるカラシンの仲間にハチェットフィッシュと呼ばれているのがいて、ハチェットは手斧の類いのことらしい。滑空じゃなくて空中で羽ばたいている説があるこの魚の、筋肉がつく胸の張り出した独特の体型は、シッポの方を柄にして持って使えば刃の部分が大きい手斧っぽい。その他にもダーツ(投げ矢)っぽいシュッとした体型のダーターテトラ、尾鰭の上下がハサミのようにリズミカルにチョキチョキ開閉するさまが特徴的なシザーステールカラシンが南米にいれば、収斂進化なのか同じように東南アジアにはシザーズテールラスボラがいる。レイザー(カミソリ)フィッシュとも呼ばれるのはヘコアユ。細長い体に薄っぺらいヒレがカミソリっぽいと言われればそうか?和名のヘコアユの意味は全く分からん。逆立ちでヘコヘコ歩むからとかホントか?南米産の口のでっかいナマズ、バトラクスキャットはバトルアックス(戦斧)が語源だろう、そういや観賞魚ではソードはソードテールっていう卵胎生メダカがいたな、和名もツルギメダカで香港で狙ったのも懐かしい。あと刃物と言えるかどうか、ニードルガーって呼ばれる淡水産小型ダツがいるし、大型の生物から皮と肉を丸く囓り取るクッキーカッターシャーク(ダルマザメ)なんてのもいる。あと思いつくのは、刃物そのものじゃなくてそれを使うモノっていう感じの名前がついているパターンで、アーチャーフィッシュは”弓使い”で日本語だとテッポウウオでどちらもスナイパー的な意味合いは一緒。パラオの川で爆釣したのがこれまた懐かしい。アーチャーがいればランサーもいて東南アジアのナマズに黒に白いラインが一本入るお洒落なブラックランサーってナマズがいるんだけど、白線を槍に見立てたのか、ナマズのヒレの棘も暗喩しているのか、なかなか呼び名も洒落ている。あと、尾鰭尾丙部の鋭い棘をメスに見立ててサージェントフィッシュ(外科医魚)とニザダイ系のナンヨウハギあたりは呼ばれたりしてる。ハンマーとスレッシャーがサメにいるけど刃物じゃないので惜しい感じ。


 と、盛大に脱線しまくったけど、本題に戻ってノコギリエイ。実は最近になって琉球大学を中心とする研究者グループからノコギリエイが日本近海で絶滅したとの報告がなされている。ワシびっくり。なぜなら海産魚類の絶滅の確認って典型的な”悪魔の証明”で直接目視することもできない、かつ世界中つながってる海の中を泳ぐ能力のある魚が、ある特定の海域で居ないことを証明するという難しいことだからである。居ることの証明は手法自体は簡単である。1匹つかまえてくれば事足りる。居ないことは証明することは難しい、ッテのいうのがあって、不在証明が難しいってのは陸上でも少なからず同様で、慣例的に生物種の絶滅には生存の確実な証拠が50年報告されていないというのが基準とされてきていて、環境省のいわゆる”レッドリスト”なんかの絶滅の基準もそれにならったものとなっている。

 なので、陸上生物や内水面の魚類に比較してもさらに難易度の高い、海産魚類の国内絶滅の報告はそれ自体これが初の事例だそうで、ワシ「海産魚類の国内絶滅って概念としてあり得るのか?」といぶかると共に驚いた。もちろん本邦海域200海里を含め隅々まで探したところでノコギリエイは1匹も居ないって言われればそりゃそうだろうなって思うし、そこに疑義があるわけではない。それでもそう判断するに足る根拠「おまえ隅々まで探したんか?海は広くて深いし見つけ損なってるだけとちゃうか?」という突っ込みにどう答えているのか、興味深く琉球大学の報道資料を読んだ。基本的な判断基準は先ほど書いた50年捕獲されたり目撃されたりの報告が無かったというものだけど、それだけなら例えば深海に棲む混獲も含め漁獲の対象にならないような魚で50年報告がない魚などざらにいるだろう。何しろ2mを越えるという頂点捕食者であるヨコヅナイワシなんてのが、2016年に発見されるまで知られてなかったぐらいで、居てもわからんなんてのは海産魚類では珍しくない。ただ、今回のノコギリエイについては淡水域にも出現するぐらいの沿岸種であり、かつ見たらその異様な姿に驚かざるを得ない、写真でも撮れればバズり間違いなしの目立つルックスなので、報告が無いことが不在の証明に近似するということや、隣国の海域での報告事例、16世紀の古文書まで遡っての文献調査による報告状況の多寡等も勘案して総合的に「これなら絶滅って言って良いんじゃないか」という判断をしたのと、もう一つ重要な判断として、見えない海の中で知らないうちに数を減らし絶滅していっている生物がいる、そのことを見えないからといって放置することへの警鐘が必要である、というのがあったのだそうだ。ナルホドナとワシもガッテン。あえて報告すべき価値があったということか。

 で、まあ絶滅報告そのものも興味深いんだけど、どうも日本には一種しか分布していなかったと思われていたノコギリエイの仲間、過去の報告やら標本やらを調べていくと2種いたらしいッテのも面白い。一種は今回絶滅の報告がされた和名ノコギリエイのAnoxypristis cuspidataと、もう一種は新たにオオノコギリエイの和名が提唱されたPristis pristisで、冒頭写真借りてきた7mになるとかいうまさにその巨大種で、報道資料には5mの標本の測定風景が紹介されていてデカさにビビると共に釣ってみたいものだと欲情を禁じ得ない。どちらかというと熱帯とかの魚なので今後海水温上昇とともに、現在の分布域での保護活動が効をそうして個体数回復して黒潮に乗って紀伊半島まで来てくれんものか?などと妄想も捗るのであった。海水温上昇は勘弁してくれなところではあるけど、個体数回復はクロマグロも保護の成果が出てきたようだし、7mとかの怪魚が遠くの川には普通に泳いでるってなったら、それだけで素晴らしいことだろうと思う。

 ッテな感じで、興味深い”絶滅の報告”だったんだけど、いつも絶滅危惧種とかの話で保護活動やらなにやらの話題を見る度に、単純じゃない複雑な話だなと思考を放棄したくなる。最近だと特定外来生物に新たに指定された大陸原産のオオサンショウウオとそれと在来種の交雑個体がまさに面倒くせぇ話で、タダでさえ少ない野生のオオサンショウウオのうち純粋な在来種はもう数%しか残ってないそうで、半分に裂いても生きているというその生命力を持ってしても、そりゃ絶滅目前だと思わされるモノがあった。ただ、種の違いこそあれ似たような生態的地位を占める生物種が居てくれるだけで、それなりに意味があるっていう側面と、”混ぜるな危険”で遺伝的に混ざってしまうのは取り返しがつかないっていうのは、大陸産の種の方が大型化してメスを独占するとかいうのもあっていかにもマズいってのも両面当然あるんだろうと思う。オオサンショウウオはまだICチップ埋め込んで個体管理ができるぐらいに、個体数が少ない大型種ってのが逆にナントカできる希望が持てる要素だけど、遺伝的に混ざってしまってどうしようもないってのは、むしろ小型の淡水魚なんかで致命的で、最近九州方面でコウライオヤニラミが増えてるらしいけど、マズいってそれは、と直感的に思う。既にニッポンバラタナゴはタイリクバラタナゴと混じって他水系と隔離されたようなため池除けば手遅れかもしれない。写真の個体は胸ビレの端が白くないニッポンバラタナゴの表現形が出ているけど、遺伝的に純血かどうかまでは分からん。

 っていうときに、じゃあオヤニラミがコウライオヤニラミに、ニッポンバラタナゴがタイリクバラタナゴに置き換わったときに、何か困るのか?っていうと分からんのよね正直なところ。分からんけど分からんから予防的に元のママの方がイイよねってのが基本にはあると思うけど、次善の策的には置き換わっても良いじゃないかってのは間違いなくあると思っている。だって、トキにしろコウノトリにしろ放っておいて大陸から飛んできてくれることは期待できないぐらいには交流のなかった、大陸の個体群から種親持ってきて野生復帰を一生懸命やっている。そのことはトキやコウノトリが象徴するような豊かな里山的二次的自然環境を構成する鍵種としてそれらの種が、多少遺伝的な差違があっても重要な役割を担うと判断して営々と金も労力も議論も費やしてきて今の状況がある。

 って言うなかで、一回絶滅させてしまうとちょっと別のモノを持ってくるとかしかないよっていうのを避けるべく、今とれる対策は取っておくべきなんだろうと思う。思うけど、カワウソが絶滅していま川には外来種のミンクがいたりする。カワウソいなくなったけどミンクが棲めるぐらいの環境があるよってのは、果たして悪いことなのか?ミンク駆除せにゃならんのか?カワウソどっかから泳いできたのか対馬には大陸系のカワウソがどうも近年居るらしいとか聞くと、じゃあそのカワウソの扱いは外来種なのか?自然分布の延長じゃないのか?とかワシには正直答えが出ない。出ないけどその時その時その場所その場所で妥当な落としどころってのがあって、それを探っていかなければならない問題なんだろうと思う。いつも書くことの繰り返しだけど”外来種は悪”って勝手な趣味趣向の線引きで考えることを放棄することは、単なる宗教的な思い込みでしかなく、根拠も整合性もセンスもクソもねぇとワシャ思ってる。面倒臭くて思考を放棄したくなるけど、それをやっちゃあおしめぇよ。

 特定外来生物に指定されるにあたって、隔離飼育されつつ看板オオサンショウウオとなってた交雑個体を、引き続き飼育許可を取って飼育すると明言する施設の担当者、アカミミガメが特定外来生物に指定される前から、飼いきれなくなったらウチで引き取りますという姿勢の動物園「イズー」の心意気。テメーの趣味でしかない気色の悪い純血主義で生き物の命を選別するような輩に爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。心の底からそう思う。簡単に割り切れるような問題じゃねぇってことぐらい分かれやボケ!と罵っておこう。