2024年6月22日土曜日

ヨーヅリミノーのワシ的2強

  酷い症状が出ていたヨーヅリ方面、とりあえず自分が何を押さえておくべきか固まってきて、実際に弾数も確保して、何とか症状が治まってきました(ヨーヅリに関しては)。

 結果から書くと、ワシが今後の海水温上昇にともなう紀伊半島”南の海化”に備えて確保しておくべきヨーヅリミノーは、「スイングミノー」「クリスタルミノー」の2つを中心に、トビマルとかもなんぼかぐらいで、あとハードコア勢の現役モデルは今使ってる「3Dインショアサーフエスミノー」とかリップレスミノーとかもそこそこ在庫しているので間に合うかなという今のところの結論にいたり、じっさい最初の2種類はガッチリ買い込んで弾数確保できてめでたしめでたしなんだけど、そこにいたる紆余曲折、手に入れたルアーから分かったこと、グダグダと考えたことなどヨーヅリミノーに関して2回ぐらいに渡ってアレコレと書いてみます”ルアー図鑑うすしお味”第62弾、ご用とお急ぎでないヨーヅリ好きの皆様どうぞごゆっくりと楽しんでいってください。

 では、今回備蓄決定した「スイングミノー」と「クリスタルミノー」についてひとくさり書かせてもらいます。どちらも中古を探していると写真のような80年代ぐらいの”アタックル”版とみられる金バリ仕様のが散見されるので少なくともその頃から販売されており、クリスタルミノーとトビマルは90年代の重心移動ミノーが全盛の時代になっても生き残り、なんとクリスタルミノーは現在でもカタログに乗ってるというすざまじいロングセラー、国内で現在そんなにクリスタルミノーが使われているように思わないので、ヨーヅリを高く評価しているお客さんはむしろ欧米やら海外なので、海外の根強い愛好家が買い支えているのだろうとは思う。思うけど凄い。Kテンやアスリートを抑えて国内最長寿ミノーではないだろうか?シーバスハンターも古いけどあれはシリーズであって初代とⅡ,Ⅲは別物だしな。

 というクリスタルミノーと同時期の80年代ぐらいに発売になったんだろうと思うけど、スイングミノーは90年代にはカタログ落ちして、よく似た形状のアークミノーというのが代わりに登場している。写真だと一番上がスイングミノーで2番目がアークミノー、3番目がツルミノー。アークミノーはケミホタルをお腹にぶち込めるという”これぞヨーヅリ”なけったいな機構が売りなんだけど、そんな機能使わんっていうよりも、形は似ているけどスイングミノーとは全く別物になっているのでワシにはちょっと響かなかった。アークミノーは今時の樹脂製ミノーとほぼ同じ作り方で、それだとスイングミノーの独特の良さが消えてしまう。スイングミノーは知ってる人はご存じのとおり発泡樹脂素材で作られていて、ワイヤー貫通構造の硬派なミノーなのである。スイングミノー自体はヨーヅリのカタログからは落ちてしまったけど、ヨーヅリから独立した津留崎氏が自分の立ち上げたメーカーで飛距離を出しやすいように太らせて重量増したような「ツルミノー」にその設計思想的な部分は引き継がれ、ついでにスイングミノーも復刻してたみたいで、津留崎氏のGL工房製のどうみてもスイングミノーな「ツルミノークラッシック」がちょくちょく中古でも出てくる。中古屋とかで知らずに買ってた写真の下2本の目が大きいのが多分それ。

 で、発泡樹脂製のスイングミノー、軽い樹脂素材で作ってるので動きが滅茶苦茶良い。ロール強めペラペラッという感じの軽快な動きで超釣れそう。特に11センチフローティングが個体差なのかもだけどややジャジャ馬でミノーのくせにたまにバランス崩してヒラっと千鳥りやがる。実際九州男児御用達の人気シーバスルアーだったようで、磯ヒラとかもこのルアーの15センチとかで実績ガンガンあがってたそうな。で滅茶苦茶動きが良いルアーにはありがちなんだけど、軽くて飛距離がイマイチっていうのと細いボディーを発泡樹脂素材で作ってるので強度もイマイチって書かれていることが多い。確かに投げてみると飛距離はイマイチかもだけど、ラパラフローティングほどではなく、ワシみたいな近距離特化型の釣り人には動きの良さの魅力の方が断然大きい。強度はさすがに物理の話なのでどうしようもないけど、ワイヤー貫通式なので本体が折れても魚はあがる。そのへんはラパラと一緒。ツルミノーを太らせたのは強度確保もあるんだろうと思う。そういえば昔、フィッシャーマンの鈴木氏とヨーヅリ時代の津留崎氏がロウニンアジ釣りに行くビデオで、当時ナイロンラインだったんだけど、津留崎氏サーフェスクルーザーでナイロン時代には限界近い大きさだった30キロオーバー釣ってて、サーフェスクルーザー、ロウニンアジにポッキリ噛み折られてた。でもこれまた貫通ワイヤー構造なので魚はあがってた。ちなみにサーフェスクルーザーも発泡樹脂製で現行モデルは樹脂が”破壊不可能”を謳う丈夫なのに変更されている。

 で、スイングミノーだけど、こいつはなんなら今使うか?っていう9センチから来たるべき未来に向けて11センチ、13センチ、15センチとフローティング中心に買ってみた。ついでにツルミノーもいくつか。

 動きがよくて、貫通ワイヤー方式でデカいのがいきなり来たりしても何が何でも魚はあげる方式なのがいたく気に入ったんだけど、なにげにカラーリングの面白いのが多いのも気に入っている。ヨーヅリ伝統の技だと思うけど、カラーリングを変えて売るっていうのが80年代から炸裂していたんだろう。初期の頃のシンプルな青鯖模様とかも味わい深く、出品者の方は内水面中心のルアーマンなのか「ブルータイガー系」と表現してたけど、まさにそんな感じで、青に横縞が入るというありがちな魚の模様を象徴化記号化したようなデザインでなかなかよろしい。それ系ではゼイゴを点々と黒で書いただけやんけなアジカラー、と青っぽい色に黒点のマイワシカラーのあたりのわびさび感というか、今時の鱗まで立体で表現しちゃうような”人が釣れるリアルカラー”の対極の、デザイナーさんが仕事した感がよろしいのではないでしょうか。逆になんかリアルミノーって流行ってるんだって?って自社でも影響されてその手のカラーも導入するにあたって、他ではあんまり見たことない手法をぶち込んでくるのがヨーヅリ品質。写真の下から2番目、マイワシのリアルカラー、ホイルフィニッシュとリアル系プリントの合体技で、アルミ箔になんか図鑑から引っ張ってきたような魚の絵をカラー印刷してルアーの表面に貼り付けてある。ハッキリ言っていわゆる”不気味の谷”に落ちてしまっていて、本来立体の目が入る窪みに充血したような赤い目の絵がハマっているのとかキモくて最高。まあでも普通のホイルフィニッシュとか定番の赤金とかがやっぱり釣れそうには見えるね。

 固定重心で動きは最高、ラトル無し、本体空洞じゃなくて発泡樹脂製と嫌われる要素は少なめ。欠点の飛距離はワシにはあんまり関係ない。実際試投した際にも問題無い飛距離が出てた。いままで使ってこなかったことが悔やまれるぐらいワシ向きのミノーのような気がする。一般的にはツルミノーの方が完成度高く良くできてる傑作ミノーな気がするけど動きの良さに全振りしたかのようなスイングミノーの潔さがワシ好み。

 で、お次が「クリスタルミノー」。カタログにはアクションは”タイトウィグリング”となってて、ワシいつから言いだしたのかウィグリングってなんね?ってきっしょく悪い言葉だなと思ってるんだけど、要するにローリングのことらしく何でわざわざ分かりにくくかつウォブリングとも混同しそうな言葉を使いたがるのか理解に苦しむんだけど、まあ言葉の問題はさておき、タイトはネーだろこの動きは?って実際に投げてみると思う。小さいサイズほど顕著だけどおもいっくそグワングワンにロール気味に暴れる感じで、頭の方起点のグワングワン系の動きはちょっとタイガーを想起させる感じで、そりゃ海外で人気なのも頷ける。

 ちょっと面白いのがフローティングはラトル無しなんだけど、シンキングはラトル有りで、シンキングは昔カヤックシーバスで使えるかなと日本の釣具屋では売ってないのでバスプロショップスでまとめ買いしたんだけど、今一パッとしない動きで立ち上がりもモタクサしてて気に入らなかった。シンキングタイプは、フローティングに金属のボールぶち込んだだけじゃないのか?と疑ったけどカラカラ鳴らしてみた感じさすがにそれはなかった。でも重くした分動きが確実に悪くなって、ワシの求める”強い動き”のミノーはフローティングが必須条件なんだろうなと再認識。フローティングにはオモリなんか入ってねえんだろうなって感じで軽いんだけど、スイングミノーに比べると太目のミノーなのと、名前の由来にもなっている両側面に張ったなんとなくクリスタルなプレートの重量もあるのか飛距離はそこそこ出る。かつ浮力強くてトップウォーターミノーイング的にチョンチョンやって頭突っ込ませても良い動きしそう。まあワシただ巻きでグワングワンさせるんだろうけどな。ということでスイングミノーは細いので沈めるにもオモリそんなに使わなくていいのかシンキングも良い動きしてたけど、クリスタルミノーはフローティングが傑作でシンキングは凡作かなと思いましたとさ。

 で、スイングミノーとクリスタルミノーに共通した美点、それは中古価格が安いことで、もともとが安いヨーヅリのルアーで我が国じゃ人気もそれほどない一昔前のミノー、送料込みで安いと500前後の投げ売り価格。かつスイングミノーは数売れてたみたいだし、クリスタルミノーは長期政権だしで中古の弾数が多くて実弾補充が容易。安くて手に入りやすく性能よくてちゃんと個性的で使ってて楽しそう。文句なかですばい。

 ついでに、今回買い増しの対象としなかったけどワシ的にはヨーヅリミノー御三家が一角と認識しているトビマルについてもひとくさり書いておきたい。

 以前もどっかで書いたけど、九州時代にトビマルにはお世話になったけど、ノーマル状態ではなく、初冬の荒れた玄界灘の浜で体斜めにしないと後ずさりさせられるぐらいの向かい風に向かって、トビマルのボディーにガン玉しこたまぶち込んで”超重量トビマル”にして、たまに動く程度のヘビーシンキングミノー(当時そういう代物は無かった)化して使ってたので、ノーマル状態で泳がせたのは、”フラットラップ廃盤ショック”のおりに後継ルアーを探すときが初めてであった。その時の感想は「今時のミノーみたいな振り幅狭い動きで、太さで重さを稼いで飛距離も出るしいかにも釣れそう。ちなみにこれだけラトル入り。」と書いている。そう、見た目太目のミノーなのでブリブリと激しく泳ぐかと思ったらそうでもないのが意外だった。なぜそういうアクションになったのか、ちょっと面白いブツを手に入れてなんとなく想像がついた。そのミノーは「スイングマレット」という。ほぼ形状はトビマルで多分名前とラトルの位置か個数が違うだけのトビマルの旧版と考えて良さげ。で、コイツが半透明で、オモリの位置を見ると動きがおとなしい理由が分かる。拡大写真で見てとれるように後方にオモリがハマっていて、それが仕切りも兼ねててお尻にラトルルームがある。後方重心なので飛距離は出る。何せ改名したらトビマルって名乗るぐらいだから。でも名前に”スイング”って入ってるってことはスイングミノーは既にあって、その派生として軽くて飛距離がイマイチなスイングミノーの欠点を補うために、全体的に太らせて浮力を稼ぎオモリを入れても動くぐらいにしたうえで、後方重心にして飛距離を出す設計。なので泳ぎの派手さは損なわれてしまっている。そこでアピール力不足を補うためにラトル入れたのかなと。ちなみにトビマルの130のほうはラトルは本体の前方にも回るようになっててカラカラ鳴ってる。Kテンで重心移動が生まれるまでは、飛びのよいミノーは後方重心で動きの良さを犠牲にせざるを得なかったという事例の一つで、もいっちょ代表的な飛距離出るけど泳ぎ下手のミノーと言えばダイワのロビンがあったりする。重心移動は偉大な発明なんである。ワシャあんま使わんけどな。で、トビマルは当時の”よく動くミノー”が求められていた市場では動きの弱さは弱点だったかもだけど、今時のおとなしい動きのシーバスミノー全盛の視点で見ると、その動き釣れそうなんである。っていうか当時も良く飛ぶので釣れると思われてたんだろうけど、むしろおとなしめの動きが効いてたってこともあったのかも。ならば今現在ラトル抜いておとなしい太目ミノーっていうありそうでなさげな隙間をついたら化けるかもしれない。ラトル抜くのは簡単である。なにせ昔逆にガン玉しこたま詰め込んでたぐらいで、ドリルで穴開けて抜くなり入れるなり好きにして、テッシュネジって詰め込んで瞬着で固めて適宜削って防水にエポキシでもかけておけば完璧。

 ガサゴソ蔵探ってたら当時の超重量トビマルがでてきて、ついでに浜に漂着して砂に塗装削られてしまってるのを、だれかが鱗シールで復活させたけど根掛かりロストして、さらにそれをワシが拾ったというブツも出てきてので、重量比較してみた。右が重量変えてない砂浜が削ったトビマル26g、対してワシがガン玉詰めまくった超重量トビマルが52gで倍増。このぐらい重量上げてやらないと、向かい風でミノーが吹き戻されるような、そんな季節風の吹きすさぶ玄界灘の釣りだったのだ。当然波も荒く砂浜の砂が舞あげられてサラシのように白濁りしているので、ジグでも飛距離は足りるけどアピール力が足りない。これだけ重量上げるとトビマルもジャークしても動いてるんだか動いてないんだかだったけど、動かなくても釣れました。これは使えると、手持ちの大型ミノーを片っ端から超重量化していったところ、重心移動のスペースに空気が残るのでザファースト130Fはひっくり返って用を為さず、固定重心のアスリートシンキングはトビマルよりもジャーク時ちゃんと泳いでくれて使用可能となり、ラパラFマグの腹に穴開けまくって茄子オモリを填めまくった”乳牛チューン”はジャークとかで速度上げてやればキッチリアクションして、さすがラパラと感心したものである。

 ということで、トビマルも今回の課題の”強い動き”のミノーからはずれるけど良いミノーでまあ安いしどっか使いどころはあるかなとチョロチョロポチりました。

  とまあ、実弾補充強化ミノー+αについて書いてみました、ルアー図鑑うすしお味、次回第63弾は引き続きヨーヅリミノーネタで、今回紹介した他にも色々買ったので、ヨーヅリミノーの歴史的な流れと、昔から変わらぬ伝統とをちょろっと書き記しておきたい。お楽しみに。

4 件のコメント:

  1. 私も日本のプラ製はヨーズリ依存強めです。
    ミノーだけじゃなくバイブも充分テストされた感じですし品質も安定してますから。
    塗装傷みにくいのはヨーズリの特徴ですかね。

    アイルマグネット日本再販はかなり助かってます。

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    1.  海外市場で数がはけるからってのもあるのか割安だし頼りになりますよね。
       塗装は特に感じたのはメタルジグで、塗装もシールもまず剥げないですね。鉛に塗装しただけだと大手メーカー製のでもサゴシの一噛みで片面ペラッと剥げたりしますから。
       再販けっこうかかるのも確かに助かりますね。

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  2. クリスタルミノー釣れますね。熊野川で爆釣したことあります。

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    1. さすが、お目が高い。
      べつに今から使っても問題なさげですね。

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