2020年11月25日水曜日

全国の”正治くん”を代表して「矢口先生ありがとう」と伝えたい

  ”25日矢口高雄先生が死去”との訃報がネットのニュースで流れている。81歳膵臓ガンで闘病の末、家族が見守るなかお亡くなりになったそうである。心からお悔やみ申し上げます。

 とともに、先生の代表作である「釣りキチ三平」に多大な影響を受けて、今ここに仕事も辞めちまって紀伊半島で釣りばっかりしているという楽しい人生を送らせてもらっていることについて、母親に感じるのと同等に近い感謝を覚えています。矢口先生、ありがとう。本当に心からありがとう。書いていて鼻の奥がわさび食ったときのようにツーンとしてきて、涙をこらえるのが難しいです。

 ボクら昭和の釣り人は「釣りキチ三平」直撃世代であり、その影響を受けた釣り人はとても沢山居ます。釣りキチ三平のお話の中では、三ちゃんが自由な発想で奇想天外な作戦を練って目的の魚を釣り上げるというのが基本的な筋ではありますが、その骨格を肉づける様々な挿話に”釣り人”の姿勢を学んだモノです。私の釣りの弟子にネット上のハンドルネームをまさに”正治”と名乗っている釣り人がいますが、我ら三ちゃん直撃世代はみな多かれ少なかれ三ちゃんの弟子で”正治くん”なんだとおもいます。

 金に飽かして分不相応な道具を手にすることに対して、一平爺さんにドヤされたり(カルデラの青鮒の兄ちゃん)、釣り具の危険さを軽んじて魚信さんにこっぴどく怒られたり(無名島の三ちゃんとジン)と道具に対する向き合い方を教えられ、アヒル大作戦(デカバルト)やらスイカをティーザーにしてビワコオオナマズを釣るような、これぞ奇策っていうような自由な発想から、鳴鶴先生の家の実験水槽に見るような魚を知ることの大切さ、ビッグゲームフィッシャーの両手にびっちりタナゴを並べさせて”たなごころ賞”をとらせた”小さなビックゲーム”的発想・視点の転換。書き連ねていけば話の数だけ学ぶべき点がある。

 そして何より、先生の美しい描写でもって、釣りは魚が、自然環境が豊かでなければならないと教わったんだと思っています。学生時代、倒木が池の上に張り出して沈み、水生植物が適度に茂った野池にたどり着いて、友達に「三平三平が倒木の上から魚釣ってそうな良い池やな~」とか言ってたモノです。 

 先生が育てて下さった多くの”正治くん”の一人として、これからも正しい釣り人として、正しい釣り人とは何ぞやってあたりから自分で考えつつ、面白くかつ真面目に魚釣りを楽しみたいと思います。

 どうぞ安らかにお眠り下さい。

 (あっ先生。もし、あの世に良い釣り場があったなら是非「あの世版釣りキチ三平」を執筆願います。新作楽しみにしてますよ。)

2020年11月22日日曜日

お鍋の季節になって来ました。”しらたき”の季節です。

 まあいくらワシが安竿フェチでもタカミヤの竿を鍋にぶち込んで食ったりはせんけどな。

 九州の釣り具チェーン店のプライベートブランド?「タカミヤ」のグラスののべ竿「白滝」シリーズは現在第5世代「V」が売られているという、地味にご長寿シリーズとなっている”のべ竿”で、「Ⅳ」「V」あたりは、180とかの超短尺はさすがに柔くて小物竿っぽくなるけど、240とか普通に短い竿でももう既になぜかゴツくて丈夫にできており、のべ竿近距離戦でそれなりに力のある竿が必要な特殊な釣りに妙なぐらい適応してくれる希有な存在となっている。渓流竿という位置づけなのかもしれないが2.4mの渓流竿って渓流でどうやって使うのか想像できない。でも、足下を釣る短尺のでのヘラ釣りから始まって、この紀伊半島の地では足下に出現する手のひらサイズのコッパグレ(大)を釣るのに好適だったりする。浅場の足下に魚が突っ込んでくる”ノッコミ”のコイ・フナ系に使ったら威力を発揮するかもしれない。

 「Ⅳ」以前の「NEW」と「Ⅲ」は多分名前変わっただけで同じ竿で、それ程ゴツい竿ではなく普通のグラスの小物竿の印象で、なにげに九州時代に安く買った「NEW」の240が柔くてしなるし粘りがあって丈夫だしで、彼の地ではタナゴとかコブナとかオイカワとか九州男児はそんな小物あんまり興味がないのか手つかずの場所が多く実に良く釣れたので、そのころの楽しい印象もあって”白滝”はワシの中では最高の小物釣り竿として刷り込まれている。

 前回安竿について書いたときに白滝について、我が家の蔵にはないけれど「白滝Ⅲ」という名前のがあるハズだと予想していたけど、やっぱりありました。買いました。あと、初代「白滝」の次が「NEW白滝」だと思ってたけど「白滝渓流Ⅱ」というのもあったり「渓流」じゃなくて「ハヤ」となってるのもあったり割と長い歴史?の中で同時期に複数の名前のが売られていたのかも?”白滝マニア”ってあんんまりおらんことは想像に難くなく、そのへんネットで検索したぐらいでは情報出てこない。まあどうでもいいけどな。

 この地では膝だの体力だのの問題があって座ってできる釣りが重要課題となっていて、白滝軍団も出番が多い。主対象のマアジが季節によって魚体も釣れる棚も変わってくるうえに、戦略的に竿の長さを変えて対応する場面も多くなっているので、グラスの長竿はさすがに軽く扱えないのでカーボンの竿に任せているけど、3.3mまでは問題なく片手であしらえていて、同じ長さのカーボンの竿も選択肢としてはあるんだろうけど、グラスののべ竿の柔らかい釣り味の良さが好ましく、かつ突然の大物にも粘り腰で耐える強靱さがどうにも頼りになる感じで、多少の重さは許容範囲と愛用中。

 なんだろう、同じように短尺の柔いカーボンののべ竿も使ったけど、カーボンで柔い竿って折れるのよね。ミスでも折ったしちょっと大きい魚引っこ抜いても折った。折れる竿って信頼ならんっていうのがわしの心には根深くある。とはいえ前述のようにカーボンの軽さじゃないと長竿はあしらいが大変になるので、4.5m以上はカーボンの竿を使っている。カーボンのちょっと古めでやや重いぐらいのは割と丈夫だと思う。長尺モノはさすがに長さでためてくれるので折るときは自分のミスで折っている。結局折るんかよ!

 っていうぐらい竿って不注意で折ったりするので、折れた箇所によっては綺麗な曲線とか無視すれば使えるように治せることも多いので、直して使ってるけど限界もあり、よく使う長さについてはやっぱり”大事なモノには予備が欲しい”といつもの悪癖を発揮して予備竿を買ってしまうのである。

 最近買ったのは、「白滝300」と「白滝Ⅲ330」で前者は出てこないだろうと思ってた初代でレアものゲットだぜだし、後者は新品袋入りに近くて届いたとき包装を開けてウキウキだった。まさにこの安っぽい袋入り状態で釣り具量販店の入り口近くの壁とかにぶら下がってる風情が忍ばれてなかなかに良い。コレまで買った白滝シリーズはこれで13本となっている。盤石とは言えないまでもなかなかに充実した在庫状況である。ネットでお買い物は止められず、老後の資金はやせ細っていくけど釣り具は充実していく。

 白滝シリーズは、現行版では120とかのタナゴ釣るような竿はカーボン90%のブランクスになっており、そういう超短尺は別の適当なグラスのタナゴ竿を使っており、長いのは330までで、180から330までは各長さ揃ってる。4m前後まではぎり片手で扱えそうなので、安い中古がネットにあったらもうちょっと増強するかも。

 グラスののべ竿であれば白滝シリーズでなくてもだいたい小物釣るには良い塩梅の柔さ丈夫さなので、他の会社のでも釣りは楽しくできるんだろうと思う。でも、なんというか愛着があるから別に特別な名竿でもなんでもないシリーズだけどコレからも”白滝”を使い続けるんだろう。安い竿だっていうのも気安くてよいやね。

2020年11月14日土曜日

アジングとハゼクランクを初心者に勧めるような釣り業界は深く反省し悔い改めなさい

 ルア-でチヌみたいな釣れやン魚をねらってる人間がいうのもなんだけど、マアジとかマハゼとか、ルア-で狙うのにはあんまり向いてないと思う。

 マハゼは活性が高いときには”オモリアタック”があるぐらいで、ハゼクランクでよく釣れることがあるっていうのは嘘じゃないだろう。ただ、そのぐらいの高活性のマハゼの状況って、たまにしか来ないし時合いも短くて、それを的確に場所と時間をハメてまぐれではなく釣るっていうのは、おそらく初心者には無理だと感じている。それが簡単に誰にでもできるというなら、渋い状況で目の前に餌持って行っても食わないマハゼに口を使わせるために、虫餌のシッポのウネウネに頼るので虫餌の鮮度にこだわったりしている我ら江戸前のハゼ釣り師の苦労はなんなんだっちゅう話。バカにするんじゃねェ!ってこちとら思っちまうぜい。

 マアジに関しても、基本動物プランクトン食で、シラス系やアミ系を活発に食ってる状況や、餌関係なしに動きに反応してなんでも食いつくような活性の上がった状況の魚も中にはいるだろう。とはいえ、そういう魚に当たるのは全体としては珍しい場面であり、餌の動きに連動して活性のあがる状況とかはそれなりにやりこんで場所と時間や潮を絞り込めていないと読めるわけもなく、基本港内じゃアミコマセに学習している個体が多く、そんな個体にワーム単純に投げたところでお話にならない世界だと思う。膨大な数が入ってくればシーズン最初とかは食ってくる変な個体が釣れてくるかもしれないが、そんなもん狭い港の中の魚なんぞすぐにスレてしまう。

 マアジに関しては、深川メッキさんが”アジング”なんていう言葉がない時代に、シラスワームとかで型の良いアジを狙って釣るのを得意技にしていたけど、業界が”アジング”とか言い出して、狙った釣り座に人が増えて入れなくなって釣りが成立しなくなってしまい、苦々しく「釣り具メーカーが”ナントカing”とか言い始めて専用の道具売るようになったら、その釣りはもう終わってますよね。」と名台詞を吐いたのを印象深く憶えている。そのとおりなんだろう。

 ルアーの釣りは特にアピール力が強くて勝負が早い反面、スレるスピードも速くて流行ってるっていう状態で参入したところで、すでに主な釣り場にはルア-にはスレきって反応の悪くなった魚しか残ってないような状況で釣りが難しいって以上に、釣れる釣り座がなかなか空いてないってことになりがちである。この田舎の紀伊半島の漁港でもアジングの人は年中湧いている。東京湾のシーバス釣りでは1割の釣り人が9割の釣果をたたき出すって言われているけど、アジングの人達見ているともっと極端で、結構着実にマアジ釣ってて”アジングでも魚つれるんだ”と感心させられた釣り人は3人ぐらいしか記憶にない。数パーセントの釣り人が9割9分まで釣ってるンじゃなかろうか?っていうぐらいにアジングの人達が魚を釣っている場面を見る機会が少ない。いまやアジ釣りに来ている釣り人は半分以上がカゴサビキだとして残りがアジング勢という勢力図だけど、カゴサビキの人は活性高い日には大爆釣やらかしているし、少なくとも夕マズメとかにはバタバタッと釣れる時間は来ていることが多い。アジングは釣れてる場面を見た経験が少なすぎてどういう状況で釣れるのかすら良く分からん。とはいえ、いつも釣れてないポイントでコンスタントに釣ってたアジングの人がいたぐらいで、どんな釣りでもやりきってるヤツは”釣り方”知ってるんだろうけど、その”釣り方”は雑誌やら映像やらで紹介されている「こういうルア-でラインの太さや竿はこうで」とか「その日の魚の泳層を把握する」「さお先でチョイチョイさそってやって反射食いを誘う」とかの当たり前で小手先の”そんな程度で釣れたら苦労せん”っていう”釣り方”では全くなくて、もっと細かく経験積んで培った”腕”があるのだろう。

 ハゼやらアジをルア-で狙うという試みが間違ってるとは思わない。腕に覚えのあるルアーマンが”絶対釣れない”ッテほどじゃないなら、釣れる条件解き明かして釣ってやろうって闘志を燃やすのは方向性としてはアリだと思うし、それで釣れるようになれば面白い釣りになるのだろう。ただ、初心者に「身近に沢山居る魚です」「道具は単純で釣り方も特殊な技術はあまり必要ありません」とか、嘘じゃないんだろうけどそういういかにも簡単そうな印象を与えて、実際には身近に沢山いて、釣れる時はまあルア-なんで投げて巻きゃ釣れるんだろうけど、そういう釣れる魚がいつどの釣り場のどういう状況で出現するのかっていう、肝中のキモが条件狭めで難しいっていう事実を隠したまま、”アジングタックル”だの”ハゼクランク”だのを売らんがために景気の良い情報を流して煽るっていうのは”詐欺”にしか見えないんだけどどうなんだろう。

 釣具屋の「アジング始めるなら秋」とかの宣伝文句に踊らされて、いっちょやってみるかって始める人間のうちまともに釣れるようになる人間がどれだけ居るというのか?今現在やってる人達がすでに多くは全然釣れてなさそうな状況で、新規参入者に残ってる魚なんかいるのか?ッテ話で。このへん道具売らんがための目先の利益優先で、上客である”釣りを永く続ける釣り人”の育成とかないがしろにしている気がするし、釣り人側も安易に釣具屋の宣伝に乗せられすぎだと感じる。

 アジングの人をみると、決まったようになんか竿立てが付いたようなクーラー兼タックルボックスに竿2本ぐらい刺して、同じところでズーーーーッとルア-チェンジ程度で延々粘ってる。アジなんて沢山居るから今食ってこないってことは近くに居ないか攻め方が間違ってるはずで、簡単な解決方法は次々場所を変えていって活性高く食ってくる魚を探すって方法で、その際にはクーラーボックスに竿何本も刺した大げさな装備は邪魔でしかないだろう。ルア-の釣りが餌釣りに勝る点である単純な道具立てで足を使って機動的に釣りを展開できるという利点を損なってるとしか思えない。まずはあの無個性なクーラーボックス兼竿立てを燃えないゴミの日にでも出すことを釣れないアジングの人にはお薦めする。

 ルア-チェンジも、メバル釣りとかでワームがオナガウジ型かシャッドテール型かで食いが違ってくるってのを経験しているので、色変えるのも含めてワーム換えるのが無駄とは思わないけど、それでもダメならメタルジグで素早い動きで反射食いとか、ハリス長ーく取ったキャロライナリグとかでノーシンカーに近い漂わせ方にしてやるとか、アジングやったことない人間でも「他にもやることあるだろ」って思う。小手先でクチャクチャやってるだけで工夫が足りてねえんじゃないの。港湾のアジがアミコマセに学習してるのは間違いないだろうから、そういうの釣るにはコマセ撒いたって良いんじゃないの?そんで極小ジグヘッドかノーシンカーでアミ意識したワームでも漂うように沈めてみたらどう?っていうのをやろうとするなら、ルア-の道具だてではいかなアジングタックルでもルア-の大きさ軽さを削るのには限度があるので、ワシャ、アジじゃないけどコマセに学習した仔サバ釣るのにフライロッド引っ張り出してきて釣ったわけなんだよね。フライなら毛鉤は小さく巻けるし自然な沈降を演出するのも難しくない。ちゃんと仔サバ釣れたよ。正直マアジ一般はルアーで釣るには向いていないと感じている。シラスとか食ってる大型を狙い撃ちする手段として手練れが切る札にはなるかもだけど、普通のオカズ釣る感覚のアジ釣りには向かない。まだフライロッドの方が向いてると思う。

 ということで、釣り初心者の皆さんで”アジング”、”ハゼクランク”始めてみようという方には、よっぽど近場にアホのように魚が湧いてて簡単に釣れてしまう釣り場があるとかの恵まれた状況でない限り「悪いこと言わないから止めておきなさい」と助言しておきたい。

 アジ釣るなら”延べ竿アジ”の方が簡単で手堅いし釣り味も良い。なにもナマジ方式で面倒くせえ螺旋仕掛けでなくても、秋の棚は1m~2mぐらいと浅いのでひしゃくでコマセ撒きつつ普通の各種浮子仕掛けで釣っても釣れると思う。ハリスの調整とか小技で釣り続けるのはそれなりに経験値が必要だけど、夕マズメとか活性上がったときに5匹や10匹なら苦労せず釣れると思う。釣れればそれを足がかりに次もっと釣るにはどうすれば良いかアレコレ工夫ができる。一見単純で簡単そうに見えてもそういう工夫していく難しさ面白さは間違いなくあるっていうのは、ワシの昨年同期の釣果と今期を比較してもらえば分かると思う。ワシ格段に上手くなった自覚があるもんね。

 マハゼ釣るならこれまた素直にのべ竿で餌つけて釣っておけ、って言いたい。虫餌苦手ならボイルホタテやオキアミ餌でもハゼクランクに比べたら格段に釣れる状況は多いはず。

 とにかく、釣れない釣りは初心者のうちはやるべきじゃないと思う。釣れないと何すれば良いのかわかんない。そうすると上達して釣れるようになっていかなくて、結局”釣りって運だけでつまんない”ってことになって長く続かない。”釣れねーとツマンネェ”ってのはどうしようもない事実で、常々書いてるけど「釣れなくても自然の中で一日過ごせれば満足」とか分かった風なことをいう釣る気の無い輩は邪魔なので釣り座を空けてトンビでも眺めてろって思う(空を行く鳶の観察は爽快な気分になれるゾ)。そのへん釣り業界ももうちょっと”まともに釣れる釣り”を真面目に考えていかないと”釣り”はなくなることはないと思うけど”釣り業界”なんてなくなっちゃうよ。そういう”まともに釣れる釣り”の手札が近年では、やや取っつきにくい船釣りを除くと、管理釣り場のマスと海釣り公園ぐらいしかないって状況には危機感あるでしょ?

 簡単に釣れない魚をどうにかするのが面白いって言う面も確かにあるんだけど、それはアジハゼっていうような本来”沢山釣れて楽しい!”っていう魚でやる釣りじゃないと個人的見解としては正直思っちまう。チヌだのシーバスだのやってるとイヤでもそういう釣りになるんだから、そういう釣りがしたかったらそっちに行くのが真っ当だと思う。

 腕に覚えがあって、そういう小難しい釣りでこそ周りに差を付けて釣り勝ちたいという腕自慢は好きにやってくれだけど、それで釣れるのがアジとハゼって、ぶっちゃけ「餌で釣っときゃエエやンけ」ってワシャ思うんじゃ。ワシャ釣り方にそれ程こだわりなくて、ルアーで釣ってるときもルアーの方が釣りやすいからって理由の時が多くて、餌で簡単に釣れるなら餌で釣る人だからルア-にこだわる心情が理解できてないだけかもだけど。まあ、本人が満足なら文句言う筋合いじゃないのかもな。ああっ余計なことを書いてしもたわい。

 ということで、みなさん釣具屋に騙されてアジング、ハゼクランクとかに安易に手を出さないように気をつけてね。って空気読まずに書いちゃうのが天邪鬼の務めということで、不快に感じられた人がおられたらひらにご容赦を。

2020年11月8日日曜日

止めることができない

  よく薬物中毒の恐ろしさを説明するのに、一度やったら二度と止められないってな脅しがあるけど、そんなもんは脅しでしかなく、そういう根拠の無い不正確な情報が必要以上の憧れを喚起している側面まで含め、そういう情報自体が害悪だと思っている。向精神性の薬物が十把一絡げで扱われていることのいい加減さ。酒もニコチンもカフェインも向精神性の薬物であり、文化的、制度的に許容される範囲であれば嗜んで問題ないものとされているし、それらの薬物も大麻だの覚醒剤だの違法薬物も本質的には変わりがなくて、カフェインの中毒になる人間もいればアルコールやニコチンの中毒患者など掃いて捨てるほどいる現実を見れば、そういった身近なモノでさえ向精神性の薬物は依存性が高いってぐらいである面正しくもあるんだろうけど、ぶっちゃけ程度問題やら、みんなが扱い方を知っているか否かとか個人の適正の問題とかでもあり、古くから各地でケシの若い実の汁に含まれる成分を炙って嗜まれてきたアヘンの薬効成分を生成して強力な鎮痛剤としたモルヒネをさらにいじくって効き目の強いモノにした強烈な”ドラッグ”であるヘロインでさえ、止められる人間は止めている。ヤク中で有名なローリングストーンズのキース・リチャーズ先生は76歳で御在命ときた。一度やったら止められないのならとっくに死んでるはずである。

 向精神性の薬物ではないにしても、精神的な依存症というものは各種存在して、我々釣り人が罹りやすいのは、道具に関するもので、ワシもここ数年”スピニング熱”には苦しんでいる。特に”大森症候群”は急性から慢性に推移しやすく、罹患すると「ハンドル軸に綱を鋳込んだハイポイドフェースギアが滑らかに回るのが気持ち良い」「樹脂性スリーブを入れたラインローラーが尊い」「ドラグの効きが実用性充分でドラグの逆転音をいつまでも聞いていたい」「余計なモノの付いてない設計が整備していて快感」等々の症状から「もっと大森が欲しい~!」と重症化を招きがちである。

 2019年夏に重症化し、一応の寛解状態にあるものの、疲れてくると時々再発しては老後の資金をジリジリと削りとられている。今回は2000円(税、送料別)即決でマイクロセブンC1がネットオークションにかってたのでためらいもなく即落札。

 あんたマイクロセブンCならもう持ってるでしょ?ハイ持ってます。しかもC2は米輸出版のSIGUMA含め3台、CS、c1は1台だけど、C1はスプール互換性があるキャリアーNo.1が2台あるので換えスプールは既に確保できている。だとしても2千円だと買っちゃうんです病気だから。

 今年、春夏とCSとC2を使ってみて、なかなか塩梅が良い優秀なリールだということは良く分かった。まずは軽くて使ってて楽。普段からPENNというあんまり軽くはないリールを愛用していてシーバスに使うぐらいまでのリールなんて重くても300gとかだから気にしてないといえば気にしてないんだけど、たまに軽いリールを使ってみるとこれはこれで悪くない使い心地。それで薄っぺらくて壊れそうな華奢なリールだと使う気が失せるけど、マイクロセブンCシリーズは、樹脂性本体ながらも要所要所に金属の支え的な部品が補強で入れてあって作りはしっかりしている。巻きもハイポイドフェースギアは軽くて滑らか。

 ドラグももちろん合格。テフロン3階建てのドラグは本来テフロンのスベスベの表面特性を生かして乾式仕様なんだと思うけど、気にせずドラググリス塗って使ってた。実質テフロンの素材特性が死んで、百均の耐熱容器の蓋を加工して作った樹脂性ドラグパッドと同じような性能になってしまってるだろうけど、ドラグなんてそんな難しい機構じゃないので、湿式にしてもちゃんと設定した値を超える道糸の張りで逆転し始める。グリス塗ったのはテフロン乾式はテフロンが摩擦で削れてくるっていう報告をたまに読むのでそれじゃ湿式でという判断。ドラグパッドがテフロン1枚のリールではどうにも上手くいかなくてズルズルドラグになってしまったりしたけど、3階建ての場合はなんら問題なく機能してくれる。

 ハンドルノブが木製で大きめだけど、投げたときにコレが勢いでハンドル回してベールが返ってしまうとかのトラブルは、銅板のローターブレーキが効いているのか、まともに投げてればベール返りってそもそもあんまり起きないので特に現場で問題生じなかった。ノブの形状は人によって好みがあると思うけど、軸が金属製で細いこの形はワシャ指の腹が痛くならなくて好みの形状。大森独特の3角パドル型でもべつに良いんだろうけどね。4桁スピンフィッシャーだと4500より上ぐらいからT型のノブの軸が樹脂性で太くて痛くなるので、古い3桁やら、4桁でも初期のドングリノブとかトーピード型ノブって呼ばれてるのが好き。

 マイクロセブンCシリーズは綺麗な箱入り個体とかでなければ、3千円台ぐらいで買えてしまうけど、性能的には大森製作所の作ったアウトスプールスピニングの最終形と言って良いのではないかというぐらいに良くできていると、実際に魚を釣ってみて思ったところである。まあ、シーバスなんぞぶっ壊れなきゃどんなリールでも釣れるんだけど、さすがに5ポンドナイロンラインで50超えるようなボラの突進を耐えまくって水揚げにこぎつけるとかはドラグが良くて丈夫なリールじゃないとちょっと無理である。道糸どこでもビミニツイストができるぐらいチリッチリに縒りが入るほど何度も何度も突っ込むけど、その度に滑らかに作動してドラグが道糸を送り出してくれる。ドラグとして当たり前の機能だけどこのリールには”ちゃんとしたドラグ”が付いているって話。

 唯一の不満は、以前にも書いたと思うけど、大森だのPENNだのの実用性に重きを置いたリールは、シールやらプレートやらが剥げる仕様になってるのがちょっと惜しい。まあ剥げても釣りするうえでなんら支障を生じないから良いんだけど、中古で売るとき値段が付かない。逆に言えば剥がれてるヤツは安く手に入る。別にギアとか性能的には悪くなってるわけがない。2台目のC2などサイドプレートが落っこちてるせいもあってか1700円でっせ。CSも使ってるうちにスプール周りのハカマ状のプレートが剥げたのでそのうちエポキシか何かで接着してやらねばなるまい。まあスペアスプールの方には剥げずに残ってるけど。

 でもって、CSとC2を主に使って使えるリールだということは理解して、とりあえず予備機とか部品供給とか考えると、主軸はPENNに戻すんだろうなということで本来の”PENN使い”に戻ってたんだけど、小物用の主軸機の430ssgが冬に湿式の逆転防止が上手く効かなくなることがあるので、昨年は”チープ大森”であるタックルAを使ってたけど、今年は2台目も手に入ったしということでC1でいってみようかと思っている。想定しているのはタチウオやらカマスやらでタックルAでも問題なく昨年釣ってるんだけど、冬のご近所にはちょっと良い型の青物も回ってくるということが判明しているので、安っぽい樹脂性のタックルAではやや不安がある。その点、同じ樹脂性でも丈夫に作ってあるC1なら不意の青物も何とかしてくれそうに思う。430ssgの寒いときの不具合は一方通行のベアリングにグリスが入ってしまって低温で粘度が増して両方通行になってしまうんだと思う。寒くても粘度の上がらない高級リール用グリスとかに換えれば問題解決するのかもしれないけど、リールいっぱい持ってるんだし冬場はお休みさせようと思う。いずれにせよカマスとかタチウオとか盛期にはフライロッド振るだろうから出番少なめかも。


 ということで、買ったC1の整備。回転が重くてグリス固まってる感じなので全バラし、金属部品をパーツクリーナーで洗浄の後、防水グリスをモリモリでグリスシーリングして整備してやる。最初ハンドルが錆びて固着気味で焦ったけど、CRC吹いて回したら外れてくれた、っていう以外は特に問題となる箇所もなくベアリングも錆びておらず交換も必要なく、快調に復活。この冬の活躍に期待である。

 気がつくと我が家には冒頭写真の様にマイクロセブンCシリーズは、CSが1台、C1が2台、C2が2台と米国シェイクスピア版のシグマプレジデント2440-040が1台の計6台を有し大所帯となってきた。やっすい値段でネットオークションに出ていたらまた入札してしまうだろうことは目に見えており、なかなか病気は治ってくれそうにない。


 アタイ病気が憎いッ!!