向精神性の薬物ではないにしても、精神的な依存症というものは各種存在して、我々釣り人が罹りやすいのは、道具に関するもので、ワシもここ数年”スピニング熱”には苦しんでいる。特に”大森症候群”は急性から慢性に推移しやすく、罹患すると「ハンドル軸に綱を鋳込んだハイポイドフェースギアが滑らかに回るのが気持ち良い」「樹脂性スリーブを入れたラインローラーが尊い」「ドラグの効きが実用性充分でドラグの逆転音をいつまでも聞いていたい」「余計なモノの付いてない設計が整備していて快感」等々の症状から「もっと大森が欲しい~!」と重症化を招きがちである。
2019年夏に重症化し、一応の寛解状態にあるものの、疲れてくると時々再発しては老後の資金をジリジリと削りとられている。今回は2000円(税、送料別)即決でマイクロセブンC1がネットオークションにかってたのでためらいもなく即落札。あんたマイクロセブンCならもう持ってるでしょ?ハイ持ってます。しかもC2は米輸出版のSIGUMA含め3台、CS、c1は1台だけど、C1はスプール互換性があるキャリアーNo.1が2台あるので換えスプールは既に確保できている。だとしても2千円だと買っちゃうんです病気だから。
今年、春夏とCSとC2を使ってみて、なかなか塩梅が良い優秀なリールだということは良く分かった。まずは軽くて使ってて楽。普段からPENNというあんまり軽くはないリールを愛用していてシーバスに使うぐらいまでのリールなんて重くても300gとかだから気にしてないといえば気にしてないんだけど、たまに軽いリールを使ってみるとこれはこれで悪くない使い心地。それで薄っぺらくて壊れそうな華奢なリールだと使う気が失せるけど、マイクロセブンCシリーズは、樹脂性本体ながらも要所要所に金属の支え的な部品が補強で入れてあって作りはしっかりしている。巻きもハイポイドフェースギアは軽くて滑らか。ドラグももちろん合格。テフロン3階建てのドラグは本来テフロンのスベスベの表面特性を生かして乾式仕様なんだと思うけど、気にせずドラググリス塗って使ってた。実質テフロンの素材特性が死んで、百均の耐熱容器の蓋を加工して作った樹脂性ドラグパッドと同じような性能になってしまってるだろうけど、ドラグなんてそんな難しい機構じゃないので、湿式にしてもちゃんと設定した値を超える道糸の張りで逆転し始める。グリス塗ったのはテフロン乾式はテフロンが摩擦で削れてくるっていう報告をたまに読むのでそれじゃ湿式でという判断。ドラグパッドがテフロン1枚のリールではどうにも上手くいかなくてズルズルドラグになってしまったりしたけど、3階建ての場合はなんら問題なく機能してくれる。
ハンドルノブが木製で大きめだけど、投げたときにコレが勢いでハンドル回してベールが返ってしまうとかのトラブルは、銅板のローターブレーキが効いているのか、まともに投げてればベール返りってそもそもあんまり起きないので特に現場で問題生じなかった。ノブの形状は人によって好みがあると思うけど、軸が金属製で細いこの形はワシャ指の腹が痛くならなくて好みの形状。大森独特の3角パドル型でもべつに良いんだろうけどね。4桁スピンフィッシャーだと4500より上ぐらいからT型のノブの軸が樹脂性で太くて痛くなるので、古い3桁やら、4桁でも初期のドングリノブとかトーピード型ノブって呼ばれてるのが好き。
マイクロセブンCシリーズは綺麗な箱入り個体とかでなければ、3千円台ぐらいで買えてしまうけど、性能的には大森製作所の作ったアウトスプールスピニングの最終形と言って良いのではないかというぐらいに良くできていると、実際に魚を釣ってみて思ったところである。まあ、シーバスなんぞぶっ壊れなきゃどんなリールでも釣れるんだけど、さすがに5ポンドナイロンラインで50超えるようなボラの突進を耐えまくって水揚げにこぎつけるとかはドラグが良くて丈夫なリールじゃないとちょっと無理である。道糸どこでもビミニツイストができるぐらいチリッチリに縒りが入るほど何度も何度も突っ込むけど、その度に滑らかに作動してドラグが道糸を送り出してくれる。ドラグとして当たり前の機能だけどこのリールには”ちゃんとしたドラグ”が付いているって話。
唯一の不満は、以前にも書いたと思うけど、大森だのPENNだのの実用性に重きを置いたリールは、シールやらプレートやらが剥げる仕様になってるのがちょっと惜しい。まあ剥げても釣りするうえでなんら支障を生じないから良いんだけど、中古で売るとき値段が付かない。逆に言えば剥がれてるヤツは安く手に入る。別にギアとか性能的には悪くなってるわけがない。2台目のC2などサイドプレートが落っこちてるせいもあってか1700円でっせ。CSも使ってるうちにスプール周りのハカマ状のプレートが剥げたのでそのうちエポキシか何かで接着してやらねばなるまい。まあスペアスプールの方には剥げずに残ってるけど。でもって、CSとC2を主に使って使えるリールだということは理解して、とりあえず予備機とか部品供給とか考えると、主軸はPENNに戻すんだろうなということで本来の”PENN使い”に戻ってたんだけど、小物用の主軸機の430ssgが冬に湿式の逆転防止が上手く効かなくなることがあるので、昨年は”チープ大森”であるタックルAを使ってたけど、今年は2台目も手に入ったしということでC1でいってみようかと思っている。想定しているのはタチウオやらカマスやらでタックルAでも問題なく昨年釣ってるんだけど、冬のご近所にはちょっと良い型の青物も回ってくるということが判明しているので、安っぽい樹脂性のタックルAではやや不安がある。その点、同じ樹脂性でも丈夫に作ってあるC1なら不意の青物も何とかしてくれそうに思う。430ssgの寒いときの不具合は一方通行のベアリングにグリスが入ってしまって低温で粘度が増して両方通行になってしまうんだと思う。寒くても粘度の上がらない高級リール用グリスとかに換えれば問題解決するのかもしれないけど、リールいっぱい持ってるんだし冬場はお休みさせようと思う。いずれにせよカマスとかタチウオとか盛期にはフライロッド振るだろうから出番少なめかも。
ということで、買ったC1の整備。回転が重くてグリス固まってる感じなので全バラし、金属部品をパーツクリーナーで洗浄の後、防水グリスをモリモリでグリスシーリングして整備してやる。最初ハンドルが錆びて固着気味で焦ったけど、CRC吹いて回したら外れてくれた、っていう以外は特に問題となる箇所もなくベアリングも錆びておらず交換も必要なく、快調に復活。この冬の活躍に期待である。
気がつくと我が家には冒頭写真の様にマイクロセブンCシリーズは、CSが1台、C1が2台、C2が2台と米国シェイクスピア版のシグマプレジデント2440-040が1台の計6台を有し大所帯となってきた。やっすい値段でネットオークションに出ていたらまた入札してしまうだろうことは目に見えており、なかなか病気は治ってくれそうにない。
アタイ病気が憎いッ!!
スピニング熱は人に感染する感染症です。
返信削除厄介なのがシマノ換算4000クラスでナイロンの釣りもやって2000クラスの釣りも普通にやる人が感染すると症状が重篤化しやすい事。
しかも人によってその症状がバラバラでゆうこうな治療法はほぼない点。
此方はミッチェルで酷い発作に苦しんでますww
ベアリングレスのモデルやら8枚ギアの完全平行巻きがどうとかそれに合わせるロッドがとか不治の病の様相を呈してます。
ぬこさんおはようございます
削除闘病仲間が居て励まされます。
ミッチェルは症状激しそうですね。お見舞い申し上げます。
お互い闘病生活を楽しみ?ましょう。
初めまして yusaku と申します。2018年11月10日の投稿を拝見してコメントに記入させていただきました。。pennの430ss を長年使用していますが 8-420ギア が潰れてしまい 再生したく 探しています。714zや716zの メインギアラチェットおよびシャフトは 使用出来るでしょうか
返信削除?分かれば 教えて頂きたいのですが宜しくお願い致します。
yusakuさん おはようございます
削除ウォームギアが壊れるまで使い込んだ機体はなんとか復活させたいですよね。
ただ残念ながら、714z、716Zのメインギア自体は420ss、430ssと同じなのですが、430ssに使われる8-420ではラチェットをサイレント化しており爪で挟むためにラチェットをギアから浮かせてあるため、ギアとラチェットが密着しているカリカリ鳴るタイプだった714zの8-716とは直接の互換性はありません。
裏技的に714Zに430ssのギアとサイレント化されたドックを組み込んでカリカリ鳴らなくする方法があるようにどっかで読んだ記憶があるのですが、詳しい方法は紹介されていなくて、逆もできるのか先ほど716Zと420ssで簡単に載せ替えできるか試してみたところ、一応ドック(4-716)とドックスプリング(5-716)、メインギア(+ラチェット+シャフトで8-716)を420ssに乗せることはできました。カリカリ鳴るけどとりあえず使えそうには思います。ご存じのように430ssも420ssと同じギアです。
ただ、載せ替えのさい、ちょっと心配なのがカリカリ鳴る716Zのドック4-716はバネでラチェットに押さえつける方式で本体にネジ止めであるのに対し、420ssのサイレントドック4-420は爪でラチェット挟むだけなのでバネは使ってなくて本体から突き出た突起に填めてあるだけでした。なので、716Zのカリカリ鳴るドックを乗せたときにドッグが上にズレないように押さえるネジがなく、ギアである程度押さえている形ですが使用中不具合生じないのか不安ではあります。
ということで、714Z等のメインギア8-716はドックとドックスプリングごとなら移植可能っぽいけど、ドックの固定にやや不安ありという私の所見になります。
釣行顛末記にも書いてますがPENNのパーツ供給の「ミスティックパーツ」さんはいま海外発送対応止まってます。かつ4-716と5-716は欠品です。4-716は4-420の爪を剥いで作れそう(高さ調整にスリーブ噛ます必要有りか?)で5-716はピアノ線で自作できそうではありますが、いずれにせよ道は険しいですね。
見た目ボロい430ssか420ssの中古を気長に待って確保して部品取りとして活用するのが現実的なのかもしれません。
あまりお役に立てず申しわけないです。
ご連絡ありがとうございます yusaku です。
返信削除ミスティックで 716zのメインギアの販売を確認して 今回の相談に至ったのですが 今 海外発送対応が止まっているんですね。 ギアとドックの画像の確認でカリカリ鳴る仕様でも良いなと思っていたのですが ドッグを押さえるネジがあったんですね。私の疑問を完璧に解いて頂いて 載せ替えまで試して頂いて お手数をお掛けしました。ありがとうございます。今回は相談して本当に良かったです。あきらめがつきましたので もう1台 430ssか420ssを購入しようと思います。ナマジさんのブログはとても勉強にもなりました。過去の記事も読み込んで勉強させて頂きます。今回はとても詳しく丁寧に教えて頂き 本当に ありがとうございました。
yusakuさん おはようございます
削除お役に立てたならなによりです。
載せ替えは以前から気になってたので良い機会で、私の疑問も解消しました。ついでに1台はグリス入れ替えもしてやって仕事が捗りました。
714z活躍中ですがカリカリ音は最初気になりましたが、慣れるとないと寂しいぐらいで巻くスピード意識できるのでなかなか良いです。
米国は結構混乱してるんだなとあらためて思います。ミスティックさん早く海外発送再開して欲しいですね。
ナマジさん、こんばんは。
返信削除先日、大森の301TBを格安で手に入れる機会がありまして、購入しました。程度も良く、左側のサイドプレートのステッカーが無いだけでした。
分解、整備しましたが、昔のグリスのままで変にいじられた形跡も無く、快適に回るようになりました。
金属ボディでベアリングもピニオンに1個だけですが、それがまたシンプルで「このリール、大事に使えば一生モノだな~」なんて思ってました。
ツイストバックは要らんですが・・(笑)リールの形状も直線的で格好いいリールですよね!
はしどいさん こんばんは
削除ステッカーが剥がれるのはそういう仕様だと思って諦めましょう。
マイコンTBシリーズは私ともう一人大森熱の人がこぞってお薦めする隠れた?名機です。良いリールですよ!末永く使ってやってください。