2019年5月11日土曜日

世界三大ホニャララ水棲生物


 超深海でプクッと泡を発射する。圧縮されていた気体は上昇するにつれ体積を増していき海面近くまで達すると、巨大な泡まみれの水域を発生させ敵の潜水艦を海中で”墜落”させる。
 なんていう架空の兵器をマンガで読んだ記憶がある。ンナあほな、という感じで色々とツッ込みたくなるけど、その兵器にかなり近い”攻撃”を繰り出す海洋生物がいると知ったときは心の底からの驚きと感動を覚えた。
 前回チラッと触れたザトウクジラの”バブルネットフィーディング(泡の網捕食)”である。捕食方法の呼び名からして、もうバトルマンガの主人公が叫ぶ技名みたいで中二臭い格好良さに溢れている。
 イルカの泥の壁を使ってボラを捕食する方法にも”技名”付いたのだろうか?前例にならうなら”マッドウォールフィーディング(泥の壁捕食)”だろうか、研究者の皆さんにはぜひ新機軸の格好いい技名も考えて欲しいもんだ。
 他にも格好いい”技名”のついた捕食方法ってあるよねって考えると、水に棲む生き物に限定しても、サメの仲間やピラニアの仲間が血とか仲間のたてる捕食音に狂って手当たり次第に噛みつき喰らいまくる”狂乱索餌”、ワニ達のそれが有名だけどウナギやらの細長い捕食者全般の常套手段で大きな獲物から肉をむしり取るための回転技”デスロール”あたりがバブルネットフィーディングもあわせて”世界三大叫んでからくり出したい技名の付いた捕食方法”だろう。
 などとくだらないことを考えていたら、他にもいろんな”世界三大”ってあるなと次々に連想されてきて、なかなか良い暇つぶしになったので、せっかくなので読者の皆様にもご紹介してみたい。
 独断と偏見で、かつあんまり範囲広げると三大に絞れなくなるので水棲生物限定でナマジ的にという感じで、それではハリきっていってみよう。

 名前付いてないけど格好いい捕食方法もいろいろ思いつくんだけど、それこそカジキの角やらマオナガの尾ビレなんていう打撃系から、組み技系のタガメやらアナコンダやら、罠系のタヌキモやツノダルマオコゼとか多すぎて収拾つかないので、細かく絞りつついくつかいってみたい。
 まずは、技名の次はマンガにでてくる武器名というか道具名っぽい”世界三大中二な名前のついた捕食器官”あたりから始めてみたい。ジャカジャン。
 1位「バッカルコーン」2位「矢舌」3位「アリストテレスの提灯」
 1位は有名どころで皆さんお馴染みの流氷の天使クリオネことハダカカメガイが餌のミジンウキマイマイとかにバッカルコーンと射出する結構見た目アレな触手系のエグい捕食器官。知らない方が幸せなこともあるよねって思っちゃう肉食の貝であるクリオネの獰猛さを示すがごとく勢いのある語感。昔釣り場に行くとき聞いてたラジオでオタクで有名なアイドルが「スカシカシパン」とか「バッカルコーン」とかよく口にしてて、やっぱりそのあたりは音読したくなる日本語だよネと共感を覚えたものである。
 2位はこれまた肉食の貝であるイモガイ類が獲物に文字通り矢のように射る、特化した歯舌である毒の矢。アンボイナが一番有名だけど個人的にはイモガイも狩るらしい貝喰らいの貝である”イモガイの王”タガヤサンミナシを推したい。綺麗な花には毒の典型で前衛芸術みたいな幾何学模様の渋い美しさのある貝殻も素敵。
 3位は、古代の賢者の名を冠する魔法道具感満載だけど、実際にはウニの口器というありふれた代物。なんだけど実際ガラスに貼り付いて昆布とか囓ってる映像見ると5本歯が結構獰猛な感じでバリバリ食っててこいつら増えすぎると藻場が”磯焼け”起こして回復しなくなるとかいうのも納得である。ちなみに対岸の北の海ではウニの天敵ラッコを乱獲したらジャイアントケルプの森が消えたとかなんとか。ウニとラッコの食欲侮り難しなのである。ちなみに英語の「アリストテレスズランタン」でも中二感たっぷり。
出典:ウィキメディア・コモンズ、撮影:jon hanson

 もいっちょ捕食器官というか捕食補助器官とでもいうべき疑似餌について。ワシもルアーマンだしひとくさり書いとかんとナ。でもアンコウ系入れると3種類アンコウ選ぶだけなので”世界3大アンコウ以外の持ってる疑似餌”でいってみましょう。ジャカジャン。
 1位「Villosa iris(北米産イシガイ類の一種)」2位「アラフラオオセ」3位「ハナミノカサゴ?」
 1位はリンク張ったので元記事で映像見てもらいたいんだけど、日本じゃタナゴ類に卵育てさせられてる貝という位置づけに収まってるイシガイ類だけど、北米のはなかなかにやりよる。バス釣りしてます。バス釣り用のザリガニワームはギドバグが最強だと思ってたけどそれ以上の完成度。ここまで手の込んだリアル志向の疑似餌って他の生き物では思いつかない。普通はまさにワームって感じのミミズ型が多い中、コイツはナニを考えてザリガニ型を選んだのか?考えちゃいねえんだろうけど進化って不思議だね。
 2位は、友釣りは日本独自の釣法でとか言っちゃう鮎師に、そんなもん南の海の底のサメでもやってまっセ、と教えてやりたくなる技巧派。
 以前にも紹介したけどアラフラオオセは衝撃的だったので再度登場。アンコウみたいな潰れた系の典型的待ち伏せ捕食型のサメなんだけど、シッポで小魚の泳ぐ安心空間を演出して寄ってきた魚をバクッといきます。疑似餌を使うサメがいてしかも友釣り系とは恐れいりやの鬼子母豚。
 3位は不確定ながら、ハナミノカサゴかインド洋版のインディアンライオンフィッシュの眼上の皮弁は小魚を模している説を目にして驚いた記憶があったので、元ネタ探したけど見つからず。ただ、画像検索とかで見ていくと、個体によってはそういう形の皮弁を持ってないのもいたりするけど、いくつかの個体では真正面から見たときに目玉模様のある透明な軍配のような皮弁が認められ、それが目の上に飛び出していて折りたたみも可能な感じになっているのを見ると、何らかの意味があってそうなっているのは間違いなく、疑似餌説もあながち嘘じゃないのかなと思う。特にインド洋版の方には胸ビレに目玉模様が散らばってる個体もいて”小魚の群れ感”出してるのかもとかも思う。思うんだけどあの派手な見た目で、疑似餌使って意味あるんかい?という疑問もコレあり。なんだけど毒々しい派手な美しさに妙に似合った可愛い小魚っぽい皮弁が造形として素晴らしいので3位に入れてみた。なんで左右対称に目玉の位置が来ないんだろう?とか考えると、同じ群れの魚は同じ方向向いてるので目の位置は右なら右、左向け左ってことなんだろうか?あの派手な鰭は外敵に対する威嚇用と共に餌の小魚を追い詰めるのにも使うとか聞くとさらに目玉模様の使い方は謎だらけで続報が欲しいところだ。
 ハナミノカサゴ、観賞魚が逃げ出してだかのお決まりの展開で生息地以外の米国東海岸の大西洋に移入していて現地困って在来種のサメにハナミノカサゴで餌付けして天敵にしようとしてるとか、キリンミノとか一部のミノカサゴは集団で狩りを行い、別の個体を誘って一狩り行くんだとか最近なにかと注目の魚でもある。インディアンライオンフィッシュの別名デビルファイヤーフィッシュは名付親に反省してもらいたいぐらいの鼻につく中二臭さ。

 ワシ無宗教なので死んだら別に葬式なんかあげてもらわなくても良いと思ってるし、なんなら切り分けて燃えるゴミの日に出してもらってもかまわないぐらいに思ってる。贅沢いうなら切り分けて海に撒いてサメの餌にでもしてもらえれば、大好きなサメの血肉となり役立てて嬉しいかもしれない。でも実際にはそんなことしたら死体遺棄で罪に問われるだろうし、葬式なんてのは死者のためじゃなくて、生きて送る側が区切りをつけて種々整理するための儀式として機能しているってのぐらいは分かってるので後始末する生きてる人達の好きなようにやってくれと思う。宗派もナニも気にしないから手短にチャッチャとやっておしまいにしてくれれば良いと思っている。
 とは言いながらも、釣り人という普通の人より水死体になる可能性の高い人種として、水の底でこいつらの世話にはなりたくないなという”おぞまし系”の生物もいたりして、ということで選んでみました”世界三大死体をほじられたくない生物”。ジャカジャン。
 1位「バイ」2位「メクラウナギ類」3位「シナモクズガニ」
 基本的にワシ肉食性の貝類って信用してないのがコレまでのネタでも明白だけど、そんなヤツらに死んだ後のこととはいえおいそれと体をお任せするわけにはいかんって話ではなく、ヤツらの食い方が不気味すぎて触手モンスターに襲われる美少女のようにラメーッ!って叫んで逃げ出したい気がする。まあ死んでたら逃げられんけど。
 皆さんバイはお好きでしょ?ホンモノのザ・バイ貝なんて今時おいそれとは食べる機会がないにしても何とかバイとかツブとかの小味の効いた巻き貝を煮付けたのを肴に日本酒チビチビなんてのは悪くねぇ、なんでバイが信用ならねぇんだ?と思われるのも当然だけど、やつら腐肉食性の掃除屋で漁獲するにも臭いのきついイワシだのサバだのを餌にカゴで獲るぐらいで死体あさり大好きな真性のネクロフォリアで、まあそりゃ生態系でそういう役目の生き物が居なきゃ困るって話ではあるんだけど、食い方がえげつない。ヤツら吻と呼ばれるモロ触手な見た目の器官を伸ばしてその先の口を死体に突っ込んで死体あさりするんだけど、その長さが尋常じゃなくて殻の長さの5倍とかに達するとか。幼い日にバイ篭の外から吻を伸ばして篭の中の吊した餌を囓るの図を図鑑で見てしまい心理的外傷もののダメージを負ったのであった。ラメーッ!って叫んだところでさっきも書いたけど死んでるので抵抗もできず、ハラワタに触手突っ込まれて食い荒らされるのである。これを陵辱といわずしてなんという。
 2位のメクラウナギ類は最近ではヌタウナギ類なのかもしれないけど言葉狩り嫌いなので昔の名前で書いてます。まあ、メクラウナギ類とアナゴ類は死体あさりの定番魚(メクラウナギは魚じゃないか?)だけど、どちらかにお願いしなきゃならないならアナゴさんにお願いしてデスロールでキッチリ決めて欲しい気がする。メクラウナギ類のナニが不気味って魚類が顎を獲得する前段階の原始的な脊椎動物なので口が横に開いたりして実に不気味で怖いんである。でもってその横に開く口を死体に突っ込んで口の中の歯を肉に引っかけたら、体を結んで(始めて聞く人には意味不明かもしれないけど言葉どおりです)開けた穴にもぐらないように踏ん張って肉を引きちぎるという特殊技能持ち。技名つけるなら”自縄自縛捕食”かな。以外にも美味しいらしくて韓国では大人気で韓国出張の時、残念ながら出張した所は食べる地域じゃないらしくて食べられなかったけど皮で作った小物入れがお土産屋に売ってたので買った。日本だと秋田とか深海漁業のあるところとかで密かに人気らしい。不気味なのに加えてここでは書けない個人的な恨みもあってワシの死体を漁らせたくはない。
出典:ウィキメディア・コモンズ、撮影:J. Patrick Fischer

 3位のシナモクズガニも最近ではチュウゴクモクズガニなのかもしれないけど以下略。
 っていうより上海ガニってほうが最近はとおりが良いかも。こちらは中国出張の折に食べる機会を得ている。まあ美味しかったけどエビカニって産地で食う鮮度の良いやつが美味しいってのが基本で、ふん縛って活けモノで流通させるのも特定外来生物だからダメだし日本でわざわざありがたがって食うほどのもんかね?日本で食うなら在来種のモクズガニのガン汁のほうが美味しそう、とかいう気はするけどそれで儲けてる商売の人が居るのであんまり大きな声ではいわないでおく。
 でもってなんでそのシナモクズガニに死体食わせたくないのか。浜辺に打ち上げられた死体がカニにたかられているなんていうのは、サメ映画でも定番の場面で正しい水辺の死体のあり方だと思うしシナモクズガニ自体はぜんぜん不気味でも不快でもなく恨みもなにもないんだけど、シナモクズガニには色々と伝説があって、その一つに中国では戦乱の後はシナモクズガニが美味くなるってのがあって、さすが食の追求に関してはフランス人と双璧の美食の民。人の死体食って肥えようが美味いモノは美味いと言い切ってしまう強烈な食い道楽ッぷりに感心するやら呆れるやら。っていうのが頭にあると、シナモクズガニに死体食われるってことは戦乱に巻き込まれて戦地で”水漬く屍”となったことが暗示されて悲しくなっちゃうんである。
 高校の現国の授業で現代詩として「伝説」ってのが取り上げられて感想文を書かされたんだけど、湖のカニを獲る漁師夫婦が船の上で愛し合ったりしつつ子供が一人前になったら口減らしのために二人で湖に身を投げてカニを肥やすっていう上海ガニ版楢山節考的な詩だったんだけど、今思うとワシ10代の頃から「パソコン椅子探偵」っていうか「君の名は」みたいなことやってて、詩を読んだ感想なんて一っことも書かずに、ひたすら「蟹」としか書かれていない蟹の種類を推理して、当時上海ガニなんて日本じゃほとんど知られてなかったけど、さっき書いた戦乱の後に蟹が美味い伝説とかを紹介しつつ、日本のモクズガニに近縁のシナモクズガニだと考えられる。とかいう報告書みたいな感想文もどきを書いて出したら、まあそういうの楽しんでくれそうなセンセだという読みもあったんだけど、お褒めにあずかりましたとさ。もちろん推理は正解してまっセ。
 子供達の幸せのためになら世の親はその身を蟹に食わせても惜しくないのかもしれんけど、戦争なんてわけのわからんモノに巻き込まれて、知らない土地で死んで屍を蟹に食わせるなんてのは空しいだけなので勘弁ねがいたいもんである。

 死んだあとはまあいいやと割り切っても、生きている間に遭遇してあいまみえるのはご勘弁な生き物たちもいるな、ということで”世界三大やられたくない水棲生物”いってみよう。ジャカジャン。
 1位「ダルマザメ」2位「カンディル類」3位「住血吸虫類」
 1位は、海洋生物でナニが最強の捕食者かって議論になるときに穴馬的に出てくるサメだけどワシャこいつが最強で良いんじゃなかろうかと思う。本命は当然シャチというのが大方の見解で、シロナガスクジラを含む大型のクジラを狩るタイプも知られていて、哺乳類食というクジラでも弱ったり死んだりしたら餌にするホホジロザメが姿見ただけでおびえてその海域から逃げてしばらく寄りつかないという逸話とか知ってると、それはそれで一つの正解なんだろうと感じるけど、でもそのシャチも多分寄生虫とかには囓られてるだろうし、病原菌とかには勝てないこともあるだろうから、その辺まで考慮すると最強ってなんだろうっていうのはよく分からなくなる。ただ、ダルマザメはシャチを直接襲った報告例ネットの海じゃ見つけきれなかったけど、襲って餌とした生物はイルカやマッコウクジラのような歯クジラも含まれ、その他ヒゲクジラ、ホホジロザメ含むサメ類やマグロなどの大型の魚類、果ては潜水艦のネオプレン樹脂製の部品まで囓る無差別ぶりで、シャチも報告例がないだけで襲ってるに違いなく、そういう直接的な襲撃による外的損傷をシャチに与えうる強者であればコレは”海洋最強の捕食者”の称号を与えてはどうか?と検討しても罰はあたらんだろう。
 そう聞くと正体知らない人は「どんな怪物ザメなんだろう」と思うかもしれないけど、実物は50センチぐらいの見た目ショボいサメである。
 水中の捕食者は基本餌生物より格段に大きく一口で餌生物を補食する。陸上では捕食者であるライオンより餌になるアミメキリンやオグロヌーの方が大きかったりするし、インパラがライオンより小さいと言ってもそれ程の体格差はなく一口で食えるような餌ではない、という例に見られるように陸上の捕食者では珍しくない大型の餌生物を狩って噛みちぎって食べる、という水棲生物は実は少ない。例外がさっきから書いているけどクジラも食べるシャチ、ホホジロザメ、ダルマザメあたりと淡水ならピラニアと2位に上げてるカンディルやらなにやらなんである。
 なぜ、水中では大型の餌生物を狩らないのか?コレという解答を目にした憶えがないので私見になるけど、おそらく水中では餌も自分も浮いているので同じ座標に狩って殺した餌を止めておくのが難しいからというのが一つの要因としてあるのではないか。
 陸上なら地に足が付いているので、ライオンなら仕留めた獲物はゆっくり味わえば良いし、ライオンに餌を奪われる立場のヒョウなら木の上に引っ張り上げるとかの工夫は必要かも知れないけど、死んだ獲物がどっかに勝手に行ってしまうことはない。これが、水中の場合たとえば自分より大きなマグロ類を仕留めました。となったときにマグロ類は泳ぐことによって浮力っていうか揚力発生させて浮いていたので沈み始める。囓ってて食べきれるまでに自分が耐えられない水深へと沈下してしまえば、せっかく危険を犯して労力かけて得た獲物を捨てざるを得ない。クジラのように死んでもしばらくは脂肪分とか肺の空気で浮いていてくれればホホジロザメがそうするように流れていくのにつきまといながら食べ続けることはできる。それにしても限界はあって流されて陸地に打ち上げられたりしたら追い切れない。シャチはシロナガスクジラとか大型のヒゲクジラを狩ると、柔らかい舌とかから食い散らかしたうえで大半の肉を満腹したら捨てて移動してしまうらしい。残りはサメとかが囓るか沈んでしまう。沈んで着底してしまえば陸上と一緒でおいそれとは逃げない餌になるので、海底ではさっき書いたように死体ほじくる系生物が普通にご馳走を囓りとっていく。
 っていうナマジ説が正しいのかどうかは別にして、水中を泳ぐ捕食者は一口で餌を食うのが基本であり、水域において動物プランクトンの果たす役割で大きなモノとして植物プランクトンが生産した有機物を次の大きさの捕食者に渡すというのがあるぐらいで、そうやって順番に高次の捕食者ほど大きくなっていく。
 その例外中の例外が50センチかそこらのダルマザメなんである。大型の餌生物を襲う場合実際にはホホジロザメがクジラを食うのは掃除屋的に死体を食ってるって話で、アシカとかは一口とは言わないまでもエアジョーズ的に狩って殺してから流れ去っていくまでには食い切れる程度にホホジロザメは大きい。シャチの食い方は正直どうなの?って思うぐらい無駄が多くて、大型のオスのコククジラが子連れのザトウクジラを狙ってるシャチを追っ払うって映像を見たことあるけど、襲われてるのが赤の他人(他クジラか?)でも追っ払わずにいられないぐらいヒゲクジラにとっては迷惑きわまりなく看過できない級の不倶戴天の敵なんだろう。
 その点、ダルマザメの戦略は特殊というかなんというかなんだけどデッカい獲物の体表面を一口だけ囓り取るというもので、英名クッキーカッターシャークって呼ばれているけどむしろ実態はアイスクリームを半球状にすくい取る器具みたいな歯をもってて5センチかそこらの半球状に皮付き肉を囓り取るんである。
 相手が大型のクジラやサメ、マグロ等なので死にはしないので餌生物の資源量とかに与える悪影響は囓り取った肉の分だけでシャチの食い散らかしに比べるとずいぶんと上品に感じられる。なんというか魚と思うから特殊だけど寄生虫とか陸上なら蚊のような吸血生物に近いと考えれば腑に落ちる気がする。
 実はこれに近い餌の食いかたする魚はほかにもいて、ホンソメワケベラのふりをして近づいて大型魚の体表を囓り取るニセクロスジギンポなんていう個性派がいて悪いやっちゃなぁと思ってたら、最近の研究では本家のホンソメワケベラ自身もたまに”お客”を囓ってて囓りすぎると客来なくなるし、その囓り具合を他のライバル店との関係もあって戦略的に変えたりしているとかなんとか。クソ面白いんでやンの。
 淡水では他の魚の鱗専門食のスケールイーターと呼ばれる魚もいたりするけど、観賞魚の世界では餌がないと他の魚の鰭やら鱗やら囓り始めるのは割と居たような気がする。淡水の閉鎖された水域で餌少なくなったり個体数増えすぎたりしたら手っ取り早く効率よく得られる餌は隣の魚の鰭鱗ってことなんだろう。自然界ってほんと多様性に富んでてありとあらゆる戦略で競われるルールのない修羅場なんだなとワクワクするネ。
 というわけで話戻すけど迷惑っちゃ迷惑だけど洗練された技巧派のダルマザメ、クジラとかにしてみれば蚊に刺されたようなモノだとしても、人間が囓られると鋭利なアイスクリームしゃもじ(器具名知らんので今造語しました)で直径5センチがとこの半球状に肉をえぐられたようになるので、これは縫合するのも難しそうだしメチャクチャ痛そうで、ヘタすりゃ失血死ものである。
 実際に遠泳中の泳者が襲われた事例はあるそうで死亡事故には至らなかったようだけど想像するだに金玉がヒュンと縮み上がる玉ヒュン案件である。 
 2位の「カンディル類」はアマゾンの尻穴野郎として皆様ご存じのお魚。ピラニア(ナッテリーとか)とかコイツとか、大きな獲物が流されていくいとまも与えず大群で食い尽くすって戦略がいかにもアマゾンの強者の力押しって感じでゾクゾクしますね。
 ただ、カンディル類にはピラニア的な軍団派と寄生虫的な尻穴派が入り混じっているようで圧倒的にイヤなのは尻穴派なのは言うまでもなく、尻穴、尿道、穴があったら入りたい輩で入り込んだら内側から柔い肉を囓りつつ引き抜けないように背ビレ胸ビレの棘を立てるとか、これまた玉ヒュン案件なのである。アァーッ!!
 3位の「住血吸虫類」は寄生虫なんだけど、水棲生物なのか?という疑問は生活史のなかに泳ぐ段階があるので水棲生物だとして、そんなもん生で淡水魚やらサワガニやら食う程バカじゃないからオレには関係ないやと思う釣り人の皆様。反省して気をつけてください。住血吸虫類は中間宿主を生で食べることで感染する寄生虫じゃなくて、中間宿主の淡水産巻貝から泳ぎ出たメタセルカリア幼生が直接最終宿主であるホモサピを含む哺乳類の皮膚に穴を開けて潜り込んできて寄生します。
 日本じゃ日本住血吸虫が中間宿主のミヤイリガイ駆除とかで終息宣言がだされていて過去のものとなって忘れ去られつつあるから危機感が全くないんだとおもうけど、いまだ日本住血吸虫の感染地域であるアジアやビルハルツ住血吸虫類やマンソン住血吸虫類の感染地域のアフリカで怪魚ハンター的な釣り人が平気で魚と一緒に水に入って記念写真撮ってたりするのを目にすると、特効薬に耐性のあるヤツらまで出始めてるなか、よくあんなことやるなと老婆心ながら心配になるのである。
 自己責任で寄生されるのは好きにしろだけど、日本でもミヤイリガイ自体は絶滅していない地域もあったりして内房の某河川流域とかが生息地らしいんだけど、アジアから日本住血吸虫持ち帰って卵バラ撒くなよとは釘刺しておきたい。
 こいつらの気色悪さを知ったのはらも先生の小説「ガダラの豚」で、アフリカと日本を舞台にした呪術と超能力、嘘と本当が入り交じる物語なんだけど、その中でアフリカの呪術師が使う”呪い”の現実的な解釈の一つとして「オマエの集落に呪いをかけた、オマエらはやがて腹に水がたまって死に至るだろう」って宣言しつつ、裏で井戸や貯水タンクに住血吸虫の中間宿主である淡水巻貝をぶち込むっていうのが出てきて、タネや仕掛けもあって実際に”効く”呪いってのはあり得て、かつ仕掛けられた側はタネを見破るのは難しいってあたりから、呪術の全てがインチキではなく実効ある手段とハッタリを織り交ぜた駆け引きが存在するという舞台設定が真実味を帯びて虚々実々の騙し合いの物語世界に引き込まれていくのである。
 水に浸かったら皮膚から浸入してくるっていう魚釣りしていたら完全には防ぎきれないようなアブねえ寄生経路なうえに、雄雌つがいで静脈内に陣取って卵バンバン生み始めると卵に激しい免疫反応を起こしてしまい、マンソン住血吸虫やら日本住血吸虫では肝硬変やら起こして腹水溜まってとかエラいことになるのである。
 実に陰湿でイヤーなやられかたでこれまた勘弁願いたいモノである。

 ってな具合で、最初はネタも今暖めてるのはもう少し熟成期間がいるし、つなぎの小ネタでお気楽にしょうもないネタ書き散らしてお茶濁そうと書き始めたら妙に興が乗って筆が走ってというかキーボードが叩けてしまい、予定していたネタ半分ぐらいまできた所なんだけど長いし疲れたしで残りは来週ということで、どちら様もよろしく。
 内容的には当初から人生において知ってて役立つとかそういう要素の一切ないしょうもないネタを書き散らす予定ではあったので、せめて見た目的には良い写真でも使っておこうかなと、今回ウィキペディア様とウィキコモンズ様から画像を拝借しております。ワシ少額とはいえちゃんとウィキメディア財団から催促メール来たら寄付してるからこのぐらい使わしてもらっても罰あたらんだろうて。
 出典とか書いてない写真は完全に著作権とか放棄した「パブリックドメイン」とかいう整理の自由に使っていい写真で、出典書いてるのは「勝手に使っても良いけど、出典書いて著作権がどうなってるか分かるようにリンク張っといてね」という整理の写真で著作権の等級とか書いてある「ウィキコモンズ」の該当ページと画像共有サイトの撮影者のページにリンク張りました。多分これで権利関係は問題ないという理解なんだけど、どなたか詳しい方で「コレが足りん」とかあったら手取りあげ足取りで教えてくれると助かります。

 ではまた来週ごきげんよう。 

0 件のコメント:

コメントを投稿