「やられてみたい」ってお前は真性のマゾッホなのかと聞かれれば、自分のことはよく分からんので否定しきれるものじゃないにしても、今回のはそういうのとは違う。
あれっスよ「ジョーズ」1だか2だか忘れたけど、関係者が武勇伝として過去に鮫にやられた話とか語り出して傷跡自慢する場面があって、オチはそういう修羅場をくぐってないサメの研究者が傷跡の無い胸を指さして、怪訝な顔をしている他の二人に「イイ女だったゼ」とかいうアメリカンジョークな台詞を吐いてワッハッハーッってなるいかにもハリウッド映画っぽい場面があるんだけど、そういう”修羅場くぐってきた話”で自慢になるような漢の勲章的な体験をしてみたいってことっスよ。
まあ死んだらしゃれにならんけどね。ジャカジャン。
出典:ウィキメディア・コモンズ、撮影:Daiju Azuma |
1位「エラブウミヘビ」2位「オンデンザメ」3位「アカエイ」
エラブウミヘビってヤられたら死ぬやんケって話だけど、意外に咬まれてもふつうの毒蛇と違って口も小さくて毒牙が刺さりにくい、ってよりもおとなしい性格であんまり人に咬みついたりしないからこそ、沖縄の方じゃ産卵のために海岸の洞窟とかにやってきたのをオバアたちがヒョイヒョイ拾って漁してるんだろうけど、ぜひその毒を味わってみたい、死ぬのは流石にいやだけど死なない程度でヤられてみたいと思うのである。何故か?ちょっと長く脱線するけど戻ってくる予定なので気にせず読み進めて欲しい。
オーストラリアというとカンガルーやコアラにウォンバット、最近じゃクァッカワラビーなんてのも人気で可愛らしい有袋類の天国的な印象があるだろうけど、ホモサピ(アボリジニの人たち)とその相棒として一緒にやってきたらしいディンゴ以前には大型の肉食ほ乳類は有袋類のタスマニアタイガーとタスマニアデビルぐらいで、他の大陸と比べると捕食者が役不足的に感じる。ところがどっこい、生物は空いた席を空けておくほどヌルくない。オーストラリアは実は毒蛇とワニ、猛禽類が独自進化した哺乳類以外の上位捕食者が君臨する恐怖の異世界なんである。かもしれない。
まあワニはクロコダイルダンディーなんて映画があったぐらいでオーストラリアのイリエワニがクソデカいのとかは有名だけど、猛禽類も実はすごい、むかし「野生の王国」で豪州猛禽特集がヤってたんだけど、次々と雄々しく美しい猛禽類が紹介されるのをうっとりと観た記憶がある。最近では、どうもトビの仲間が火を使うんじゃないか?という事例が報告されていて、それが本当なら火を使う猿とも定義されるホモサピ意外で自然状態では初の事例かもって話で度肝を抜かれたものである。
火を使うといっても自然に発生する野火を刺激に焼け野原でいち早く発芽する植物とかそういう利用方法は珍しくないんだろうけど、どうもくだんのトビ類は野火で燃えている植物を運んで延焼させ逃げ出した小動物を狩ってるような行動が観察されたらしい。アボリジニの人達は昔から知ってたらしく、れいによって「だから昔からそう言ってるジャン」って話らしいけどね。トビといえば仇敵はカラスで、こと頭脳に関しては、ホモサピ3歳児よりは賢いといわれているカラス達に引けを取っていた感が否めないが、火を使うとなったらライバルに一気に差をつけるかもしれない。カラストンビの頭脳的進化合戦には今後も目を離せないところだ。
でもって、毒蛇についてなんであるが、オーストラリアは実は毒蛇大国で、とにかく種類が豊富で毒性も神経毒、溶血毒、凝血毒、蛋白質分解系種々取りそろえている。
Netflixオリジナルのドキュメンタリーシリーズで「危険生物72種」っていう各大陸ごとの危ない生物をランキング方式でオドロオドロシくも娯楽性たっぷりに馬鹿っぽく紹介してくれるのがあるんだけど、これの豪州編が毒蛇だらけで、タイガースネークとかブラウンスネークとかだけでも何種もヤバい種がいてある程度は一括りにしても、それでも毒蛇ぞろぞろ強者ぞろいで笑えてくるほどである。
オーストラリアの毒蛇といえばかの有名な世界3大毒蛇が一角ナイリクタイパンが有名で、フットボールチームだかの名前にもタイパンズってのがあるぐらいだけど、”ナイリク”タイパンっていうぐらいなら当然エンガンタイパンもいて(タイパンにはもう一種新種が発見された様子)、ナイリクタイパンは毒の強さについては毒蛇界最強の誉れ高い種なんだけど、性格的にはおとなしく人里にも出てこないので、実際にはエンガンタイパンの方が人の住む沿岸部に棲み人と遭遇する機会が多く、咬み方も高速でガジガジと連発式に長い毒牙をブスブスと突き立ててくるというエグい攻撃性でオシッコちびりそうになる。っていうエンガンタイパンよりも死亡事故は数が多いタイガースネークその他の方が多いっていうぐらい役者がそろっているんである。
このぐらい毒蛇の種類が多くかつ分化が進んでたりもすると、毒に対する血清がすべての種を網羅しきれず、かつ同じ種と思われる蛇に咬まれても地域によって毒が違うとかもあるようで、どの血清が効くか分からないような場合は、毒の科学的分析を進めると同時進行で、とにかくいろんな種類の蛇用の血清を打ってみて、結果として効果があったのを追加で打ちまくるとかいうデタラメな出たとこ勝負の修羅場が生じるらしい。
そういう強者ぞろいの豪州産毒蛇達を紹介するのに、他の生物と同様に研究者やらの専門家と実際に被害にあった人間双方に取材してるんだけど、豪州の生物毒研究の専門家シドニー大学ブライアン・フライ博士が、専門家としても被害者としても何度も登場して「またお前かいな?」とあきれるやら感心するやら。各種有毒生物の専門家として登場するのは良いとして咬まれすぎの刺されすぎだろアンタ、わざとやられてない?と疑ったんだけど、デスアダーに咬まれたときについての談話を効いて疑いは確信に変わった。ぜったいこの人咬ませてます(風評)。
デスアダーは名前からもそのツチノコっぽい太短い形からもアフリカのパフアダーの縁者だと思ってたんだけど、実はオーストラリアにはマムシなんかもその仲間らしいけどパフアダーの属するクサリヘビ科のヘビっていないようで、その替わりの生態的地位をコブラ科のヘビが占めるようになっててデスアダーもコブラ科のヘビなんである。ご存じのように似たような生態的地位にある生物が分類的には遠くても同じような形態、生態に進化するのを”収斂”現象っていうんだけど、落ち葉とかに潜り込んで待ち伏せ型の狩りをするデスアダーがパフアダーと同じようにツチノコ体型で、細いシッポを振ってルアーにして獲物をおびき寄せるところまで一緒っていうのを知ると進化の神秘を感じずにいられない。
そんなデスアダーはそのおどろおどろしい名前からも分かるように人を殺すに十分な神経毒の持ち主なんだけど、フライ博士はこの蛇に咬まれて毒で呼吸困難にあえぎながら、同時にとんでもなく気持ち良く「単純にいえば人生最高の経験をしました」とその経験を振り返っておっしゃるのである。
クレオパトラは神経毒持ちのコブラの一種に胸を咬ませて死んだとされているけど、彼女は政治犯の処刑などをつうじてパフアダーに咬ませた罪人が苦しんで絶叫して死んでいくのに、コブラに噛ませた者が微笑みを浮かべて死んでいくことからコブラの毒が恍惚とするような快楽と死をもたらすことをあらかじめ知ってたに違いない、とかなんとか。
以前海外のパンクな兄ちゃんが毒蛇に自分を咬ませるんだか薄めた毒を注射するんだかが趣味で、各種蛇毒を取り込んできた彼の免疫系統とかに興味を抱いた科学者が調べたら血液が各種蛇毒の抗血清の宝庫みたいになってて狂喜乱舞したとかいうネット情報を目にして「えらいマゾもおるもんやな~」と人間の性癖の多様性に感心を新たにしたものだが、そんな面倒な話じゃなくてもっと愚直に彼は神経毒による直接的に強烈な快楽を求め溺れてたんだろうなと得心した。
日本じゃ世界では解禁の方向にある大麻とか程度で官憲に小突き回されて使用がばれたら社会的に抹殺されかねないけど、さすがに各種抜け穴になってた”ハーブ”も取り締まりの対象になってきている昨今でも蛇毒はまだ想定の外だろう。いっちょワシもコブラの神経毒キメて浮き世の憂さも忘れて桃源郷に心を遊ばせてみるか、って思ってもそもそもコブラおらんやんけ。
我が国にもコブラ科の毒蛇はじつはいる。奄美沖縄方面にヒャンとかハイとかいうのの仲間達が何亜種かいる。でもこいつらハ虫類マニアにしたら見られたら眼福レベルのレアキャラらしくおいそれとは出会えない。海外にいって、インドコブラとかキメるとすると毒量間違って病院行ったときに毒をどのくらい注入したとか医者に英語で説明できる自信がない。まあ日本でも医者にそんなアホなこと正直に話せるかっていえばいいにくそうな気もするけど、そこはまだ日本語なら火事場の糞力的に婉曲な表現を駆使してアレをナニしてニュルニュルっと説明しきるような気はする。
まあ、現実的じゃないなとあきらめかけた瞬間、ハイ皆さん分かりましたね、そうですコブラ科の神経毒持ちで日本でも比較的個体数がいて出会う機会もあり得る毒蛇として、私はエラブウミヘビにヤられてみたいと思っちゃったのでした。エラブウミヘビの毒エラブトキシンは蛇毒の中でも指折りの強烈さで”死ぬほどの快楽”へと私を誘ってくれるに違いないと思うのである。死ぬほどの快楽と引き替えに戻ってこれなくなっても、我が人生なかなかに楽しかったし別に扶養家族がいるじゃなしかまわねえかなと思ったりもする。もし、世をはかなんで自殺するなら断然コブラ科の神経毒で死にたい。
よい子はまねしちゃダメ絶対だよ。エラブウミヘビ産地の沖縄とかだと漁業権設定されてるからね。自殺ぐらいしたいやつはすればいいと思うけど密漁はオバアたちの現地では神聖視もされているお仕事を汚す禁忌だし資源保護の観点からもやっちゃダメだからね。よい子の皆さんにナマジからのお願いね。
悪い子も新たなドッラグ市場の開拓とか商売っ気出してはりきったりしないように。ふつう死ぬからネ。ナマジの書くこと真に受けちゃダメだよ。
2位はやっぱりサメ好きなら、サメにやられた傷の一つも”勲章”として欲しいよねって思っちゃうのよね。でもそういうふざけたことを書くのは、ホホジロザメに手足持ってかれた方とか、イタチザメに愛する人を殺された方とかに不愉快な思いをさせるかなという気もするので、そういう不謹慎なことをワザと書いていきたいとは思うけどあんまり直接的に嫌な思いをするだろう人が想定できちゃうのは品がなさ過ぎるかなということで、深海に棲んでて人を襲った報告のないオンデンザメに一噛みしてもらいたいなということになりました。深海に棲んでるヤツにどうやって噛まれるか?って、そらぁいつか自分で釣り上げて”間違って”ちょっと噛まれちゃうって話ッスよ。
3位も下手すると死にますって話で、ナマジも大好き三白眼で睨んでくる身近な海の怪物アカエイ。東京湾に立ち込んで釣るシーバスマンとかには”生きている地雷”として恐れられまくり。とくに稚魚を産むため浅瀬にやってくる春から初夏にかけて、ちょうど今頃の干潟がヤバい。冬場は温排水のあるところが地雷原になる。
まあ踏んづけちまったらウェーダーはおろかシューズすら貫通するその毒針の強烈さは恐れておくべきだろう。
死亡事故有りとして”毒魚”としての認識が広まっていて、刺されたときの対処法とかも毒に対しての対応が主体で語られることが多い。
ただ、その印象が大きいことが逆に死亡事故にもつながりかねないので、ここではあえて「アカエイの毒はキツいけどアナフィキラシーが出なければ死ぬほどじゃない」と言っておく。
じゃあなぜ人死にが出るのかっていうと、その棘の物理的攻撃力で刺され、切り裂かれたことによる外傷が原因で死に至る、と認識しておいた方が良い。
干潟で実際に刺された釣り人に取材した記事を読んだことあるけど、同行者の肩を借りて上陸後ざっくり切られたウェーダーをひっくり返したら、真っ赤に染まった海水がドバドバ出てきて、痛みよりも何よりも刺されて切り裂かれた傷の深さと出血量の多さに、単独行なら浜にたどり着く前に出血量多くて倒れてそのまま溺死とかもあり得たかもとゾッとしたとのこと。豪州のクロコダイルダンディーのモデルになった方がアカエイ類に刺されて亡くなってるけど、この時も心臓に達するような刺し傷が原因だったとのこと。
写真見てもらえば分かると思うけど、尖った先端に扁平な胴部の両側には鋸状の歯がびっしりと並んでいる凶悪な代物である。進化が何万年あるいは何億年の単位で研ぎ上げた究極の業物といってよいかと。
強いパンチは強靱な足腰の土台があってこそ打てるんだそうだけど、アカエイはその巨体が水底での安定を確保し土台となり、ムチのようにしなる尾っぽを振って蠍のように刺し、切り裂きにくる。
逆に、陸上で尾っぽの先の方を抑えてしまえば体が重石になって全く武器をふるえなくなってしまうので、釣り上げたらシッポを押さえてしまい動きを封じてロングノーズのペンチとかでメリメリと棘を剥がして武装解除する、なんてのはそれほど危険ではない。
ということで、エイに刺されたら毒の処理云々を考えるより先に、鋭い刃物で切りつけられたという認識で止血なり病院に急ぐなりを考えなければならないと注意喚起しておきたい。
昨今ではエイよけグッズも釣り具店とかでは売られているので対策きちんとしていれば過剰に恐れることはないけれど、それでも人を殺すだけの攻撃力を秘めた身近な怪物に敬意を表して、3位に入れてみたところである。
お次は、”世界3大死ぬまでに見てみたい水棲生物の伝説”いってみましょう。
まあ、最近の撮影技術とかって凄くって、マッコウイカ対ダイオウイカとかシロナガスクジラを狩るシャチとか一昔前ならいくら漁師が「オレ実際に見たんだから」って言ったとしてもなかなか海の中で起こってることは確認しにくくて目にする機会も少なく、そんな怪獣”南海の大決闘”じゃないんだから、とヨタ話として信じてもらえず眉唾物の”海の伝説”として扱われてきたのが、マッコウクジラはダイオウイカの下に一旦潜り込んでから突き上げるように襲ったとかマッコウクジラの体に取り付けたデータロガーの解析からその手に汗握るような深海の大決闘の様子が分かるようになったりして、伝説は事実だったとあきらかにされることが結構増えてきて驚きを禁じ得ない今日この頃である。ほら吹き扱いされていた漁師のジ様達は「だーからオレの言ったとおりだったろ」と誇りを取り戻したことだろう。
そういった漁師のジ様達しかまだ見たことのない場面が今後あきらかにされ映像として目にすることができることを期待していってみます。ジャカジャン。
出典:ウィキペディア 撮影:あおもりくま CC 3.0 |
1位「マンボウ産卵」2位「泳ぐアワビ」3位「アユカケの妙技」
1位は、昔ニシンの資源量が豊富だった時代はその産卵期太平洋岸のカルフォルニア沖からぐるっと北回りで北海道沖まで沿岸一面白く濁ったというぐらいの”群来(クキ)”が見られたそうだけど、マンボウは1つがいで辺りの海水が白く染まる”二人だけのクキ”状態になるほどの大量の卵と精子を放出すると漁師のジ様はのたまうのである。
マンボウは3億個の卵を産むってのは眉唾で卵巣内の未成熟の卵を計数したら約3億個というだけで、それを一気に生むとは限らないので実際には一度の産卵数はもっと少ないだろうというのが識者の見解だけど、ワシャそんなことないと思っちょる。だって海が白くなるほどの産卵っていうのを信じるなら一回に産卵放精する量は半端じゃないはずで、卵巣内の卵が全部一度にとはいかなくても、ある程度同期して一斉に成熟する可能性は結構あると思う。
かてて加えて、卵巣内の卵が3億個と推計されたのは体長1mちょっとにしかならない多分小っちゃい方のマンボウ(現時点の標準和名のマンボウ)で1トン超える最大の現生硬骨魚類であるウシマンボウではなかったはず。漁師のジ様が見たのが、2000年代まで”マンボウ”でひとくくりにされていたマンボウ、ウシマンボウ、カクレマンボウ、のうちウシマンボウなら多回産卵でも1度に何億という卵をぶちまけて海を白く染めていてもワシャ驚かないね。ということで、近年海洋生物の生態解明では活躍しまくりのドローン撮影とかでマンボウ夫婦の愛の営みが撮影されたら、ワシャ久しぶりに大興奮じゃわい。
2位は、街の人にしたら「何言ってんだコイツ?」だと思うけど、アワビ類を産するような海辺の出身者にしてみれば「当たり前だろナニが伝説なんだ?」と思われるかもしれない。
我が故郷の方ではアワビ類は稚貝のうちは泳ぐことができて潮に乗って泳いで磯にやってくると信じられていてアワビの小さいのを「流れ子」と呼んだりしていた。我が故郷だけかなと思っていたら、荒木先生も「岸部露伴は動かない」で泳ぐアワビを密漁する話を描いていて、やっぱり全国的にアワビ類の産地じゃ泳いで当たり前のように思われているけど、泳ぐ映像が公開されたこともないし、種苗生産施設を見学させてもらったときも、緑の殻の稚貝たちは塩ビパイプの上とかを普通に這い回っていて泳いではいなかった。
現時点で常識的な判断であればアワビ類は泳がない。泳ぐのは稚貝になる前の幼生で磯にやってきて稚貝に変態して着底すれば這い回る生活になる。というのが一応の解答になるはずだ。
でも、私はアワビ泳ぐ説を捨てきれない。泳がないのならなぜ泳ぐのを見たというジ様とかがいて各地で泳ぐと信じられているのか?そこには何か理由があるはずである。アワビが実際に泳ぐことがあるのか、そう見えてしまうあるいはそう信じてしまうなにかが、人の目に触れにくい海の底に隠されていると思うのである。
ホタテが泳ぐのは有名だけど、バカガイもマテガイもどうも泳ぐといって良いかどうか微妙なラインだけど砂にもぐって水管だけ出してじっとしているという印象ほどおとなしくなく、良い住処を求めて場所移動のため潮に流されつつ足や水流噴出も使うんだろうけどヒョイヒョイと移動するのは確からしく。内房のスズキは結構バカガイ、マテガイ食っているようだ。ホタテのように泳ぎの上手じゃない二枚貝の移動方法は波打ち際の良い位置を常に確保し続けるナミノコガイの移動がYoutubeでもみられるので参考にされたい。
”アワビが泳ぐ”の真相として一番ありそうな常識的な線は夜になると活発に動き回るアワビ類が、餌のコンブだのカジメだのによじ登っているのを見つけた漁師が獲ろうとしたら、剥がれ落ちて逃走したのを流れに乗って”泳いだ”ととらえたってのがありそうな話である。通常アワビはつかまりそうになると岩に貼り付いてしまい、そうなるとテコでも動かなくなる。アワビの漁の映像を見ているとタガネで一発でヒョイッと剥がしているけどあれは警戒してガッチリ貼り付く前に剥がしてしまうからこそできる技で貼り付かれるとタガネ使っても苦戦するはず。
その戦略が使えない海藻にのっているときはアワビ類はとらえられそうになったら重い貝殻を利用して”落ちる”という陸上の甲虫たちと似たような逃走方法を取るのではなかろうか、っていうのが現時点での推理。今回パソコン椅子探偵じゃないけど。
そうであれば、”アワビは泳ぐ”の真相がなんだか良く分からないこととも符合してくる。アワビ類は基本的に密漁や事故を防止するために昔から夜間は禁漁のことが多い。そうすると”アワビが泳ぐ”のを見たとしても、ハッキリとその見た状況を説明することや実際に”泳ぐアワビ”を他人に見せて証拠を突きつけるわけにもいかず、眉唾扱いされても口をつぐむしかなかったということだったりするのではなかろうか。
アワビが泳がなくてもかまわないんだけど、なぜ”アワビ泳ぐ伝説”は信じられてきたのか、その理由は私気になります。
3位も、漁師のジ様のオラ見たダ系伝説。アユカケがえらぶたの棘でアユを引っかけてとらえるという今の標準和名のもとになった伝説。
NHKのダーウィンが来たでも普通にバックリ口でアユ襲って食ってたし、昔アユのガラ掛けで獲れたのをもらって飼ってたこともあるんだけど、餌のエビやらカニは普通に口で食ってて、やっぱりアユとか小魚じゃないと伝説の妙技は披露してくれないのかなと、そのうち小魚与えてみようと思ってたんだけど、春になって水温上昇したらあっさり死なせてしまい真相究明には至らなかった。
これも常識的にはえらぶたの棘はスズキでもコチでもそうだけど捕食者対策のための防御の棘で狩りには使わないっていうのが答えなんだろうけど、じゃあなぜ漁師のジ様は見たと主張するのか?そう見える行動なり現象なりが実際に起こっているから名前になるほど巷間に流布した伝説となったのではないのか、その真相がやっぱり私気になります。
ということで、受信料は文句言わずに払うのでNHKダーウィンチームに続報を期待したい。
識者の見解や常識なんてものがあっさりと覆る頼りないものであり、昔からの言い伝えやジ様の体験談には意外に”真実”やら驚くべき裏があったりもして軽くあつかったりして油断してはならないと思うのである。
こうやって書いてるといくらでも書けそうだけど疲れてきたのでとりあえずの最後のネタ投下で”世界3大水棲生物共生関係”いってみましょう。ジャカジャン。
1位「ワモンダコとスジアラ共闘」2位「テッポウエビ類とハゼ類同居」3位「偕老同穴」
1位は、NHKスペシャル「ブループラネット」再編集版今やってるけどやっぱりクッソ面白い。その中で紹介されてたんだけど、グレートバリアリーフでワモンダコ(沖縄で「島ダコ」って呼んでるのだと思う)とスジアラが共同で狩りをするっていうのが紹介されてて、2種の魚が片方が追いかけてもう片方が逃げた獲物を狩るってのは古くは欧州のパイクとザンダーだったかパーチだったかの報告例からアカエイ類に驚いて逃げる小魚を狙うスギやらシマアジ類やらいくつも知られているッちゃ知られてるんだけど、ここまで息ぴったり効果的な共闘の事例は初めて知って感動した。
スジアラは沖縄では「アカジン」の名でめでたい魚とされる、まあハタ系の魚食魚なんだけど、当然それに追われた小魚はサンゴの隙間に逃げ込む。そうするとスジアラの興奮した体色変化を見て取るのだと思うけど、番組ではスジアラが餌のありかを教えてる的な説明してて、ワモンダコがその逃げ込んだサンゴを覆うように腕を広げて襲いかかり隙間に触手をニュルニュルッと突っ込んでいく。そうすることでワモンダコが隠れた小魚を得ることもあれば、タコの魔の手から逃れようとサンゴの隙間から飛び出した小魚をスジアラが得ることもあるという両者持ちつ持たれつの良い相棒。
連れ立って狩りに出かけるため並んで泳ぐ様を見ると、タコが頭良くて海底にタコランティスを築いているという話もあるぐらいでもあり、案外両者の間に意思疎通が図れる合図があって「一狩り行っとく?」と誘い合って出かけているようにも見えてくる。
2位は、写真のイトヒキハゼなんかが代表例なんだけどテッポウエビ類の穴に居候するハゼがいて、先日行った水族館でも種名分からんかったけどハゼの仲間がしっかり巣の入り口で警戒態勢を取って、その体に触角を這わせながら視力はあんまり良くないらしいので周辺警護はハゼ任せで巣の修繕にいそしんでいるテッポウエビが観察できてなかなかにほほ笑ましい共生関係だった。テッポウエビ類、英語圏じゃピストルシュリンプとか呼ばれてて、ザ・テッポウエビとか潮干狩りとかでつかまえると威嚇でパッチンパッチンとデカい方のハサミで音を鳴らしてくるんだけど、瞬間的にアワが発生して消えるぐらいの高速の指ばっちんらしく、その衝撃派で獲物を気絶させる種がいるとか、ある種では繁殖期にはその音でコミュニケーションをしていて生息数が多い海域では潜水艦のソナー手はうるさくて閉口するとかなにかと面白い生き物である。先日はサンゴに集団で棲む種が報告されてて、そいつらの中には外敵と闘う兵隊階級のとかが居るとか甲殻類で単なる群れじゃない役割分担のある社会性生物ってなかなか珍しいなと興味深かった。水の中のことを我々はまだあんまり知らないってことなんだろう。
写真のイトヒキハゼは無事もとのテッポウエビの巣穴に帰れたのだろうか。えらい怒ってて噛みつかれたけど悪かったよゴメンナサイ。
出典:ウィキメディアコモンズ、撮影:アメリカ海洋大気庁(NOAA) |
3位はカイロウドウケツ類とドウケツエビの共生関係だけど、偕老同穴って共に老いて同じ穴に葬られるっていうぐらいの夫婦の固い絆を表す言葉なんだけど、実際にそういう名前の網篭みたいな形態の海綿生物がいて、その中に閉じ込められる形で雌雄1組のドウケツエビが棲んでいるっていうのを知ったときには、なんとも不思議なことが海の底にはあるものだと驚いた記憶がある。
いまサクッとウィキって二度目の驚きを感じている。カイロウドウケツの骨格的な部分はガラス繊維性なんだけど、これが生物体内という低温環境で形成されたガラス繊維でありナノテク的な工業への応用が期待されているとかなんとか。
深い海の底に美しいガラズ細工の謎がひっそりと夫婦の絆を内包しながら息づいている。なんとも不思議なロマン溢れる生き物たちである。
皆様に、水の中の世界の不思議と驚きを少しでもお届けできたなら幸い。
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