2018年12月1日土曜日

黄昏よりも移ろうモノ、潮の流れよりも紅きモノ、スプールに埋もれし偉大なる部品の名において、 我ここに闇に誓わん、我らと道糸で繋がりし全ての獲物どもに、我と汝が力もて、等しく重さを与えんことを!

 ドラグについてちょっと書いておこうと思ったら、前回予想外に筆が走って長くなってしまい、1回で書こうと思ってたネタが書ききれず。
 前回のが「理論編」としたら、今回はそれを踏まえた「実践編」という感じになるかと。ホントは釣りにおいて実践っていったら釣り場で魚相手にする話かもだけど、お部屋でリールのドラグをいじりまくって調整しまくるという感じになっております。
 ”赤子泣いてもドラクいじるな派宣言”しているところだけど、それは魚とのやりとりの最中の話で、魚釣る前にはドラグの試験やら手入れやら調整やら改良やらあれこれ頭と手を使っていじって遊んで、それもまた楽しという感じ。

 ぶっちゃけ、薄いワッシャーを作るために買ったテフロン仕上げのガラス繊維シートが滑るし丈夫そうだし、量は多くて余ってるしで、ドラグに組み込んで遊べるんじゃないだろうか?というのが直接の動機。
 上手くいかなくても別にそれほど困ってるわけじゃなしで気楽に行く。
 まずは、ドラグに使われる素材の違いとか見るのにドラグパッド1枚の単純なドラグの方が比較しやすいので、ちょうどドラグがイマイチで、もうちょっとなんとかならんのかというスポーツラインST-600Xにまたおでまし願う。
 とりあえずワンカップの蓋でドラグパッド作ったときに、元々ドラグパッドとして?入れられていた曲がった金属ワッシャーと、軸と同期して回らないワッシャーとの間にワンカップ製のを挟んでやっつけ仕事としてあったけど、ちゃんとしたドラグパッドを入れる場合、スプールの底と回らないワッシャーとでドラグパッドを挟んで、曲がったワッシャーは、ドラグノブと回らないワッシャーの間の回らない位置でワッシャーを押さえつけておくためのバネとして働いてもらうのが合理的なように思う。
 ひとまずドラグパッドはあり合わせで3種類用意。下から一応の基準となるワンカップ蓋製、テフロン仕上げガラス繊維製、コルクシート製って感じで、テフロン仕上げガラス繊維製が本命か。これらをグリス塗ってスプールとワッシャーで挟んで、ドラグノブ締めてライン手で引っ張り出したり、竿にリール付けてペットボトルぶら下げてみたりしてドラグの効き具合、滑らかさ、調整幅などをみてみる。

 ちょっと脱線するけど、ドラグに塗るグリスはこれまでモリブデングリスを使ってきた。これは昔の釣り人には”モリブデングリス信仰”とでもいうものがあって、リールにゃ高価なモリブデングリスが良いと信じられていたのである。でも最近じゃ、リールにはリール用のグリスが良いって話になってきてて、でもワシのようなPENN使いにはどっちかっていうとギアの摩耗防止やら滑らかな潤滑性能やらより、海水浸水した時の防水性が重要だと思うので、某PENN使い氏推奨のマキシマのウォータープルーフグリスを値段も安いのでここ何年か使ってる。だけど、ドラグのグリスだけはドラグの効き方が変わってしまうのが不安で昔からのモリブデングリスを使ってたんだけど、調べてみるとモリブデングリスってそもそも圧が掛かる場所の金属用でドラグに向いてるとも思えないので、ドラグ用のグリスで、モリブデングリスに近いどっちかっていうとユルめのがないかと探して、PENNのパーツ屋さんであるMYSTIC REEL PARTS」さんところで売ってる「Cal's Universal Grease」の小型リール用という紫のを買ってみた。順次ドラグ用グリスはこっちに移行しつつある段階。今のとこ実戦投入済みはトゥルーテンパー先生だけだけど問題なさそうで良い塩梅な気がしている。

 話本線に戻して、第1回ドラグパット素材別試験の結果は、期待のテフロン仕上げガラス繊維製は思ったほど優秀って感じでもなく、悪くないけどワンカップ蓋製とあまり変わらない印象。まあ使えるけど改善って程でもない。
 コルクはしゃくりまくって全くダメ。柔らかく弾力あるので調整幅は稼げるかなと思ったけど、引っかかりよすぎて安定しない感じ。そもそも写真貼り付けるコルクボードみたいな安物コルクではダメなのかも。もっと目の詰まった高級ワインの栓ぐらいの上等級のコルクで比較しないといかんのかもだけど、やっぱりコルクは天然素材だし品質差とかあって当然で扱い難しい感じだ。コルクはやめておこう。
 ドラグの効き自体はコルク以外は似たような感じなので、調整幅がマシな感じのワンカップに戻すかなと思いつつ、ダメ元でワンカップの上にガラス繊維製を乗せて試してみたら、なんとなく一番良さげに感じたので、悪くはなってないのは確かなので暫定的にこの組み合わせにして、次はカーボンシートとフェルトという今時のスピニングリールのドラグパッドの素材として最も一般的な2種類も試してみなきゃなと、とりあえず第1回のドラグパット素材試験は終了。
 カーボンとフェルト入手するのに日数結構空いて、その間釣りに行って実際に使ってみて、セイゴ釣ってボラをスレで掛けてバラして、セイゴはアワセた時にチリッチリッと鳴ったぐらいでドラグ使ってる感じにはならなかったけど、ボラスレで走られたとき、意外なぐらいにドラグちゃんと効いてくれて、ハリ途中で外れなかったら上げられてた気がする。それなりに使えるドラグになったようでよろしいンじゃなかろうか。 


 でもって、第2回のドラグパッド素材試験のまえに、トゥルーテンパー727のドラグが、緩めのドラグ値では実用上問題ないけど、きつめに締めて止めたい状況で”滑り始めたら止まらない”という状況が釣り場で生じて、とっさにスプールに手をやって止めて事なきを得たんだけど、ちょっと改善が必要だなという案件になっていた。
 構造から考えて、新品当時のドラグ能力は悪くなかったんだろうと想像できるけど、何しろ永い年月が経っているので、ドラグパッドがペッタンコのツンツルテンになってるのはある程度いたしかたない。
 ここで、適度に滑りが良くて凸凹もあり、かつ布状なのでひたすらツルツルというわけでもなく、締めればそれなりに摩擦も生じるであろうテフロン仕上げガラス繊維製のドラグパットを試してみた。ついでにドラグいじる度に四苦八苦して外すのが面倒になって、穴に先端を突っ込んでCリングを外すペンチも使ってない安物ペンチをハンドドリルでヤスリ回して先端尖らせて作ったった。

 最初、純粋にテフロン仕上げガラス繊維製単体の実力を見てみたいと全交換してみたら、薄くて厚みが足らずドラグノブ一杯に締めてもスカスカでドラグ効かなかった。仕方ないので、元の純正ドラグパッド上乗せにして2枚づつのパッドが入ってる状態にしてみると、多少締めたときのドラグ値が安定したような、それ程でもないようなという感じだった。まあ、これも悪くはなってないかなと実戦投入。ダメならカーボンパッド購入かと思っていた。
 しかし、お部屋での試験はパッとしなかったこの調整が、釣り場では劇的な改善を生じさせた。きつめに締めたときの滑りすぎも改善した感じだけど、ふつうにドラグ効かせて魚が走っているときのドラグの安定性が素晴らしく良くなった。ほぼ竿お辞儀とかなし、竿一定の角度で曲がったままで走ればライン出るし、止まればラインの出も止まって竿が立てられるようになる。ぶっちゃけ”使える”程度じゃなくて”良いドラグ”になってしまったと思う。
 スレ掛かりのスズキとの長時間のやりとりを、身切れもさせず一定の張りを道糸に与え続けてしのぎきってくれた。釣果的には「釣ったけどイマイチ納得してねぇ」感じになっちゃったけど、トゥルーテンパー先生は実に良い仕事っぷりだった。
 話また横道にそれるけど、TAKE先生のレバーブレーキリール本を読んでたら、グレ釣り黎明期には足を短く改造したインスプールスピニングでハンドル逆転させながらローターに指をあててブレーキ調整して魚とやりとりしていて、それをヒントにダイワがリールのローターの底に外側から自転車のブレーキのようにブレーキパッドを押しつける初の「レバーブレーキスピニング」を開発して今に繋がっていくとのこと、その時に使われてたリールが大森製とかオリンピック「ツルテンパー」だったと書いてあって、ツルテン?何か聞いたことある名前だなと思ってたら、次のページで足ぶった切って短くした「トゥルーテンパー(TRUE TEMPER)」の写真がドンと載っていて思わず電車内でオウッフとか変な声でそうになった。トゥルーテンパー、われグレ釣ってたんけ~!

 ということで、トゥルーテンパー先生はこれで良いだろうというところまで調整できたので、予定どおりスポーツラインST-600Xで、まあこれ以上あんまり変化しないかも知れないけど、百均の手芸コーナーでフェルトも入手したし、怪しげなカーボン製中華ドラグパッドも通販で安く手に入れたので、第2回のドラグパッド素材試験。
 ポンチで穴開けて外周はハサミでチョキチョキだけどカーボンシートはさすがに堅くて切るの苦労した。

 上から、ワンカップ蓋製、フェルト製、カーボン製の順で比較は単体で実施。
 密かにカーボン製ドラグパッドが結局良かったというつまらない結果になるんだろうと予想していたけど、カーボンのドラグパッドを入れたところで、この小さい直径のドラグではそれほど安定した作動は見込めないのか、正直ワンカップ蓋製と大差ないように感じた。
 逆にフェルト製は、こいつだけグリスじゃなくて油を染みこませて使ったけど、コルク以上にフワフワと柔らかいのでシャクって使えないのならまだマシで、グチャッと折れて潰れてしまうのではないかと思ったけど、意外に大丈夫で、でもやや不安定でワンカップとカーボン単体に比べると竿先が小刻みにお辞儀する感じ。引っかかって不安定というほどではないのでドラグパット複数枚使う形式とかなら意外と手芸用のフェルトでもいけるかも知れない。
 後はカーボンの上にテフロン仕上げガラス繊維製のパッドを重ねたらどうだろうと、まあワンカップ製とあんまり違わないだろうことは分かりつつ重ねてみた。
 これが、お部屋段階でちょっと良い感じに安定してくれた。カーボン製パッドがスプールの穴にギリギリ填まって回転してないようだけどそれが良いのか何なのか、理屈は分からないけど明らかに良い気がする。ということで次回いつ出番があるか分からんけど、スポーツラインST-600Xのドラグは下からスプール本体、カーボン製パッド、テフロン仕上げガラス繊維製バッド、軸固定金属ワッシャー、曲がった金属ワッシャー、ドラグノブという構成で行ってみたい。部屋でドラグ滑らした感触的には、普通に良いドラグになってて、70年代の古くさい外観のリールに今時基準の実践的ドラグってのはなかなか羊の皮を被った狼っぽくて良いかも。

 なんやドラグの改良って簡単やン。ドラグ値最大10キロ必要とかのキッツイのは素人じゃ無理なんだろうけど、小型スピニングのドラグ程度ならなんも難しくないジャン。っちゅうわけでもっと他にイジリがいのあるリール転がってないかなと蔵を探したら、あったあったダイワの「ウィスカーSSトーナメント600」。
 ダイヤモンドキャリアーNo.1の後継選びでスピンフィッシャー4300ssに敗れ去って蔵で眠ることになったものの、小型スピニングリールに初めて投げ釣り用の遠投リールに使われていたテーパーのついたロングスプールを導入した”革命機”である。
 このシリーズまでリアドラグブームが吹き荒れていた日本のスピニングリールに新風を吹き込み、これ以降はお尻が四角いスプールの長いリールが大流行して、リアドラグブームを起こした革命機マイコンの大森製作所も、晩年にはなんかそれっぽいモデルを作ってたってぐらいに、リールの世界に変革をもたらしたリールのようだ。と最近お勉強した。
 80年代半ばの発売なので、私が使っていた90年代には既に型遅れのリールだったはずで、たぶん代々木にあったカディスあたりの中古釣具屋で買ったかJOSさんに譲ってもらったかあたりだと思うんだけど、入手経路が思い出せない。けど、なんでこのリールだったのかは分かるような気がする。
 スピニングリールが本格的に高級化しだすのは、さらに後のトーナメントEXあたりからで、それにくらべれば、SSは革命的だったんだとしても、ボディーは樹脂製だしラインローラーやドラグにベアリングなんて入ってないし値段も新品でも2万円もしてなかったしでナマジ好みの”実用機”だったんだと思う。
 でも、今に繋がっていくスプールの大きなスピニングの基礎的な機構は揃っていて、例えば長いスプールに平行に巻くためベイトリールのと同じ仕組みの平行巻機構でスプールを等速で上下させていたり、大きな口径のドラグをスプールにぶち込んであったりと基本は良くできているスピニングだと思う。
 使っててバネが壊れてすでに部品が手に入らなかった以外は特に問題なく使いやすく感じてたと思うけど、当時使ってた釣り人のブログ記事とか読むとライントラブルが多くて苦労したとか不評がけっこう目について違和感を覚えた。渓流でも近距離戦が好きであんまり遠投とかしないので、テーパーついてるがゆえのドバッとラインが出る不具合とかにたまたま縁遠かったのかも知れないけど、正直このぐらい良くできたリールに文句言わなきゃならん釣り人ってヘタクソなんと違うか?と疑っている。
 みんな飛距離、遠投ってうるさくいってた癖に、ライントラブルが嫌だからトラブル起こらないリールを作ってくれってなって、ダイワなんてSSトーナメントと反対に逆テーパーつけたスプールをつけるにいたってて、金持ったヘタクソの要望に応えて道具開発するのが正しいのかワシにはよう分からんわい。遠投派の上手い人とか「昔のテーパーのついてたスプールの方が良く飛んで良かったのに」とか思ってないかしら?遠投性能なんてどうでも良いと思ってるから人ごとだけど心配になっちゃうワ。
 コイツの色違いなのか後継機なのか、米国じゃ瞬間逆転防止機構もついてないような”古い設計”の黒金仏壇カラーの「トーナメントSS」が少なくとも2012年までバスプロショップスのサイトで売ってたってぐらいで、テーパーついてて良いんだと思ってた玄人衆もいたんだと思う。けど日本じゃ「助けてダイワえもん!スピニングで投げられないんだよ~」と素人衆に泣きつかれてダイワえもん仕方なく「イーグージースト~」って出してきたんじゃないの?
 とまあ、自分の”昔の女”を悪し様に言われたように感じて感情的になってしまったけど、久しぶりに会ってみたら、最後ベールスプリングが破損してオレたちの関係は終わったんだと思ってたけど記憶違いで、逆転防止機構のバネが壊れてた。ちゃんと部品なくさないようにテープで本体に貼り付けてあるのが我ながらマメだな。
 この頃のダイワの音のしない逆転防止機構は独特で、良く目にする爪についた薄い金属板でラチェットを挟む方式じゃなくて、ローター(軸のギア)と一緒に回る小さな円盤に輪っか状のバネをぐるっと巻き付けて、そのバネの端でラチェットに立てる爪の部分を正回転では引っ張ってフリーにして、逆回転の時には逆方向に引っ張って爪がかかる方式。
 壊れた当時は、リールの構造とかぜんぜんうとかったので直しようがないと思ったけど、今見ると適当なステンレスのピアノ線とかでバネモドキ作ったら直せそうなので、ドラグいじって遊ぶついでに直してしまおう。ベールスプリングみたいに反発力と耐久性が必要な動きをしないので大丈夫そうな気がする。
 バラしててだんだん思い出してきたけど、使ってたときもなんでこんなややこしい組み立てかたしてあるンやと思ってたぐらい、パーツ数自体は大したことないはずなのに面倒くせえ構造で写真上のようにお尻のカバーを外してフォークみたいなピンを外して平行巻の棒を下げると、隙間からマイナスネジの頭が見えるので、コレを外すと主軸が上から抜けて、ローターが外せるようになって、今回はこの時点で目当てのローター軸ピニオンギア上部についてるラチェット等の逆転防止機構部分が出てくるのでここまでしかバラさなかったけど、本体のギアとかにグリス塗ろうとするとPENNとかだと最初に外せる本体カバーが、ローターが外れたこの状態までこないとバラせないという「おまえは箱根寄木細工の秘密箱か!」という状態。今回も組み方分からなくなるといけないので写真撮りながらバラした。
 スプールを長く大きくしたので、ローターも大きくなってその中に逆転防止とかぶち込んだ都合上こうなったと読んだけど、逆転防止って普通ここについてるやろと思うのでイマイチ納得いかないが、事実そうなってるので仕方ない。
 修理自体は、ラチェットの上の円盤外周の溝に合わせてクルッと自然に巻くようにピアノ線曲げて、引っかけるために端に出す長さとかチョイチョイと調整してつつがなく終了。動作確認すると、ごくたまにラチェットに爪掛けきらなくてガガッと1ッコ飛ばしになったりしてるけど、バネじゃないからこんなもんかという感じ。小型リールでは逆転してもハンドル持ってれば実際には困らないのでラチェットの歯を1つたまに飛ばすぐらいは問題ない。油ぎれで一方通行ベアリング方式の逆転防止機構が不調の時困ったのは、タモ入れの時に左手が離せなかったことで、ちょっと焦ったけど右手の人差し指でベールアーム引っかけて回転止めて何とかした。ということがあったりしたので、小さいのは何とでもなるけど、下手すると怪我する大きいリールの逆転防止機構は一方通行ベアリング方式よりラチェットに爪掛ける方式の方が確実性があって良いと思っている。今時は両方付けて瞬間的に止めつつ不調時の保険かけてるリールもあるそうな。多少遊びがあってガチャガチャいうぐらいがそんなにイヤかね?

 さてあっさりと修理完了で逆転も止まるようにできたし、本題のドラグについてだけどその前に、テーパーの付いた巻き上がりはこのリールの本来の個性なので直さない方が良いのかもだけど、夜セイゴ釣ったりするのに遠投性よりライントラブル防止だよねと日和ってとりあえずスプールの座面にワッシャー2枚入ってたので1枚抜いたら、ほぼ真っ直ぐに巻き上がった。たいした平行巻機構ついてないリールしか使ったことないので山もできず綺麗に巻けてて感動する。ライター見せられた現代文明非接触の部族民的な感慨。
 あらためてしげしげと眺めると小さいこともあってなかなか可愛らしい。機械の入った四角い箱に糸巻いた円筒をチョコンと乗っけたような単純な造形が、今の流麗な凝ったデザインのリールを見慣れた目に逆に新鮮である。
 ラインも巻いたら準備完了ということでドラグに着手。ドラグが固着してるのはお約束。でも同じ600番台でも70年代のST600Xからは思えば遠くへきたもんだという感じがする。
 ちゃんと3階建てのドラグで、薄いカーボンシートのドラグパットが入ってて、しかも直径が確かに大きくなってて、固着を剥がしてグリス塗った段階で、ドラグちゃんと効いてまっせ!と強烈に主張してくる、王冠のような上部ワッシャーの突起に押しつけるドラグノブ横腹の「音出し(クリッカー)」も、ゴトゴトチンチンと一定のリズムを刻む感じで十分に上出来な感じのドラグである。
 一応、ドラグパッドの大きさに合わせてテフロン仕上げガラス繊維シートを加工して、単品でカーボンの代わりに、カーボンと重ね合わせて、と試してみたけど、お部屋試験の段階では正直違いが分からんぐらいでどれでも問題なさそうではあった。とりあえず重ねておくか。
 革命機ウィスカーSSトーナメントは日本の「ドラグ暗黒期」をも革命した、のかもしれない。

 スピニングリールの歴史も学んで、改めて昔の愛機を眺めたりいじくったりしてみると、PENNじゃなくても大森もダイワもみんな違ってみんな良い的に、それぞれ欠点はあるかもだけど、なにかしら良いところはあって個性的で、楽しい釣りの思い出と切り離せずそこに存在する様に、改めて好きにならずにいられないと感じるところである。
 とりあえずこれで蔵にとっておいてあった古いスピニングも全部使えるように修理できたので、そのうち使ってやらねばならぬ。それってきっと楽しいだろう。

<おまけ:言葉の整理>私基本的に生物の人なので、機械に詳しいわけじゃなくてワッシャー、スリーブ、ブッシュの区別が付いてなくて、過去スリーブとブッシュを一緒くたにしてスリーブと書いてるけど、本当は薄い筒状のがスリーブ、軸を受けるベアリングの代わりになるようなのがブッシュのようだ。今後はそのように整理して書くことにしたい。過去のは賢明な読者のみなさまにおかれましては文脈で適切に読んでいてくれてたと思いますのでそのままとしておきます。訂正とかめんどくせぇし。ちなみにワッシャーは円盤状の薄い奴という認識。あとメーカーによっても違うのかもだけど、スピニングリールのギアでローターと一緒に回るのがピニオンギア、ハンドルと一緒に回るのがドライブギアらしい。でも、普通の釣り人には分かりにくいと思うので、前者をローター軸のギアとか主軸のギア、後者をハンドル軸のギアとか書いているのはわざとです。スピニングリールのローターとハンドルは釣り人なら分かるだろうし、分からなければこんな文読まないだろうな、ということであしからずよろしくです。

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