2018年5月20日日曜日
電灯はナショナルです
「伝統とは、革新の連続である」とは老舗羊羹屋「虎屋」の社長のお言葉だそうだけど、「ラパラ解体新書」の冒頭で紹介されていて初めて知ったときなるほどナと思った。
虎屋の羊羹は結構お高い、にもかかわらず小さい、でもそれ故に持ってける荷物が限られてるときの手土産とかには重宝する。小さいサイズの詰め合わせでもそこそこのお値段であることが、双方ともに分かるという安心の知名度と高級感。お味は値段が値段なので当たり前に良いんだけど、当たり前に美味しくて高い知名度を誇るためには革新に革新を重ねてきたということが社長のお言葉からうかがえる。
単に伝統の名の下にあぐらをかいて同じことを繰り返しているだけでは時代に取り残されてしまいかねない。大事なことを変えないということが重要な場合もあるだろうし、なかなかその辺は一概には言い切れないのかもしれないだろうけど、思い切った革新が生き残り伝統を紡いで行くために必要となることは多いと思う。時代とともに取り巻く環境が変わっていくのに変わらず残り続けるのは難易度が高い。
私の大好きなルアー製造会社であるラパラ社もラウリおじさんが松の皮削ってた時代から、工場もアイルランド、エストニアと安価で売り続けるために戦略的に移してきたことだけみても革新の歴史を見て取れる。場所変えて工場で働く人を新たに育てて、均質な商品を送り出せるように管理体制や製造工程を更新しつついまだにバルサという天然素材を使いながら実売で千円台前半という価格を維持している。
フィンランド時代の古物の人気は高いけど、もしラパラがずっとフィンランド工場で作られていたら果たして今の値段と品質を維持できていただろうか?としたり顔で書こうとして「いやでも、ニールズマスターって今でもフィンランドでインビンシブル作ってるから、できやんこともないんとちゃうか?」と思っちゃったりもするけど、それはそれとしてラパラ社がでっかい国際企業になって、新しい商品も開発して世界の釣り人に届けてくれるのはまったくもって悪くないじゃんと思う。そういう革新的な体制の中からフラットラップのような傑作も生まれたんだから。
ゆうてもフラットラップ世界的には売れなかったようだし、昔っから変わってないインビンシブルが今でも優秀だったりするけれどもだ。
革新無き伝統は「因習」に堕ちる。と、魚釣りしててよく思う。
特に昨年から「日本の伝統的な釣り」といわれているヘラ釣りを始めて、いろんなところで様々な因習を感じる。
最大の因習は何度も書いてきたが、とにかく道具が何でも高いこと。安い道具がないわけじゃないのに、そういう道具がバカにされるような雰囲気がまさに因習と断定するに相応しい。この因習に縛られる限り、ヘラ釣りに明るい未来はない。今やってる主力の爺さん連中が退場した時点で、放流に頼ってた釣り場は消えてなくなり、競技の世界も消えて、細々と自然繁殖している魚を狙うような限られた釣り人の釣りになるだろう。それはそれで地域色豊かな釣りになって自然なことかもしれないけど、凝り性の日本人が100年だか掛けてネチネチと築き上げてきた技術体系や文化が霧散してしまうのはもったいなく思う。ヘラ釣りの技術自体はまさに革新の連続といっていい研鑽工夫の中で培われてきたややこしくも面白いものだと思うからなおさらだ。
だから私の役目としては、なるべく金を掛けずに楽しむ方法を提案していきたいと常々思ってるところ。私のような「ひよっこ」になにができるか?と玄人衆からは思われるだろうけど、その世界にどっぷり浸かった玄人じゃない人間だからこそ因習を因習だと感じられると思っており、「余所者」だからこそできる革新的なヘラ釣りをお見せしたい。革新的に釣れる釣りなんてのは他の誰かにお任せして、革新的に安上がりで楽しくてゆるふわなヘラ釣りを期待して欲しい。
でもって、内水面の釣りでこれまで手を出したことがない釣りで一見さんお断り系で手の出せてなかった釣りに鮎釣りがある。これまた、ヘラ釣り以上に道具が高いという「因習」の臭いのする釣りで、友釣りなんて竿がそもそも何十万とかアホかと思いつつも、いつかはやらねばと思っていたところであった。
それが、ここにきて正治さんから、鮎の毛鉤釣り楽しいから是非一緒に釣ろうというお誘いを受けて「でもお高いんでしょう?」と、前回小遠征の際に、おそるおそる本場の釣具屋で道具を見せてもらったら、仕掛け作ってある7本鉤の流し釣りセットで千円ぐらい。竿は特別なものいらなくて3.6mとか4.5mの清流竿で十分で、あとは日釣り券が千円台とまったくお高くない。オランダ仕掛けみたいな全部の毛鉤を浮かせる流し釣りセットと片側を沈めて使うチンチ釣りセットと予備の毛鉤を購入。6月解禁したらさっそく初陣という流れとなった。
なんだ鮎釣りたいして金掛かんねえじゃんという感じである。
確かに友釣りはおとりを使うという独特の釣りで面白そうだけど、毛鉤釣りだって、釣具店で見本見せてもらったけど伝統的な毛鉤の数々見てるだけでなかなかに眼福で面白そうじゃん。とすっかりやる気になっている。
釣り具業界とかが儲かるから躍起になって友釣りばっかり取り上げられがちだけど、それだけが鮎釣りじゃねえだろと思うし、実はそんなにお金掛けない友釣りの方法ってのもあるらしいことは知っているというか思いつくんだけど、そうなるとまた例によって釣り方から開発することになるので、近くに釣り場があるでもなし、高い鮎釣り券買ってまで挑戦する気力はなかった。
でも鮎毛鉤釣りに挑戦するということが決まったら、なぜか私の目に鮎が見え始めた。近所の三面護岸の川に稚鮎がたくさんあがってきていてユスリカの蛹でも食ってるのか稚鮎のいる場所だけ雨降ってるように波紋が広がっている。頭の中に鮎が泳ぎ始めたから見えるようになったのかとも思っていたけど、どうも例年のことを思い出しても、2カ所ぐらいライズする場所は知ってたけど、今年はあちこちでライズが見られて明らかに多い。実は今年は鮎当たり年のようで相模川とか例年の4倍の遡上量だとか報道されてる。
これはちょっと遠征先で本場の鮎毛鉤釣りを学んだら、持ち帰って近所の川の鮎もやっつけねばという気持ちが俄然盛り上がってきた。
鮎のいる瀬とか自転車で行けるオイカワポイントにもあったので、若い鮎が水面で川虫を盛んに食べる早期以外にも、淵を狙えるドブ釣りやら餌釣り、場合によっては友釣りもやれるんじゃないかという気がしている。鮎の餌釣りが狙い目なのは「川釣りの極意」でも紹介されている。
近所の川は漁業権も設定されていないので「神奈川県内水面漁業調整規則」に従って6月1日から10月14日までと12月でであれば自由な釣り方で釣って良いし、入漁料も必要ない。
最近は都市河川にも鮎が戻ってきて、鮎釣りもできるようになってきているらしいけど、近所の川は全く注目されてない手つかずの鮎釣り場のはずである。遡上量の多い今期に攻略法見つけてしまえば、しばらく独占的においしい釣りを楽しめるに違いない。まあ、いつものとおりそんな簡単にはいかなくて泣かされるんだろうけど、この挑戦の機会を逃す理由はない。ダメもとで行かんでどうするよ。
というわけで、毛鉤釣りの準備などしているんだけど、遠征で一回使うだけなら市販の職人さんが作った鮎毛鉤で良いんだけど、近所でもしばらく使うとなると、ぼろぼろになったり切れたりで補充せねばならず、都内の大型釣具店でも扱ってるのを確認できたので、播州の職人さんが作ってる綺麗な高級品でも2本で千円しないぐらいで買ってきてもそれほど高くはないしいいんだけど、毛鉤釣りするなら毛鉤巻きたくなるというのが、私のようなインチキフライマンでも人情というもので、すごい数の微妙に違った毛鉤があるのを見るにつけ、いろんな試行錯誤や革新の繰り返しの中で培われたまさに「伝統」を感じずにはおられず、それに勝つ毛鉤を巻こうなどというのはおこがましいというのは知りつつも、やはり自分で巻いた毛鉤で勝負したい、伝統を打ち破り革新していきたいと思うので、巻いてみることにした。
「鮎毛鉤」というのは、西洋式のフライに慣れていると不思議なぐらい型が決まっている。大きさに多少違いはあるけれど、ほぼ形状は同じで、フライフィッシングでいうところのソフトハックルウェットな感じに鳥の毛とかの軸で胴を作って、ぱらりと虫の脚とか羽風に鶏の首の毛とかが簑毛(ハックル)として巻いてある。そして昆虫の頭部を模しているといわれているけど、漆とかで作った玉に金箔が張ってある頭がある。
形はほぼこの形で、素材や色に様々な違いがあって、同じパターンは作成者が違っても同じ名前で呼ばれ「青ライオン」とか「八つ橋」とかが定番とか。状況によって毛鉤の違いが釣果に明確な差として現れるそうで、その辺の毛鉤選びの妙が難しさと面白さになっているようだ。播州毛鉤で500種類ぐらいあるとのこと。
鉤のサイズはフライフックで言うと18番、20番というところで、ハリス付きの状態で、職人さんは万年筆みたいなバイス(万力)に鉤のチモトをはさんで持ち替えたりしながら巻いていて、とてもじゃないけどそんな精巧で複雑な毛鉤は巻けそうにない。
ということで、手抜きであんまりいろんな材料使わず簡単に巻けるのをと考えて、我が国の鮎毛鉤が伝統の中で同じ形で複雑に種類を増やしてきたのに対して、西洋式フライの世界でも同じように複雑に美しく発達してきたサーモンフライなんてのもあって、著名なフライ制作者が大英自然史博物館に忍び込んで貴重な鳥の羽を盗んだなんて事件もあったぐらいだけど、一方で歴史の中で無駄を省いて単純化して洗練されていったスタンダードフライと呼ばれるようなフライパターンもあって、例えばクジャクの羽と赤い糸で胴を巻き、簑毛が茶色の雄鳥の首の毛、羽は白というのが超ド定番のロイヤルコーチマン(王室の御者)というパターン。簑毛を厚く巻いて写真のロイヤルコーチマンウルフ、立てた羽に蓑毛を巻いてロイヤルコーチマンパラシュート、水中用に仕立ててロイヤルコーチマンウエットとか、同じ色素材を使って用途に合わせていろんな仕立てで使われている。
そういうスタンダードフライの名作から配色素材をパクってきて、鮎毛鉤仕立てに落とし込もうというのが、とりあえずは簡単かつ釣れそうに思うので、そういう観点で7本鉤の流し毛鉤仕掛けを想定して巻いてみた。
最初、「改良鮎エサ釣り」という鉤にハリス結んでから、チモトをバイスで挟んで巻いてみたけど、どうにもフライ巻くときと逆向きでは巻きにくくて、途中で材料がばらけたり、できたと思って最後巻き止めるための糸を切ったらハリスも切ってしまったりしてイーッとなってどうにもこうにも効率が上がらない。
仕方ないので、普通にフライフックに巻いてハリス結んでからビーズをかぶせるように瞬間接着剤で止めて頭にして作成したらそれなりに作業効率あがったので、こういう作り方でいいのか分からないけどとりあえずこれでいく。
形も自由に作っても良いんだけど、そこはなにを持って鮎毛鉤とするかというと、やっぱり金色の頭が付いているソフトハックル風の基本の形は踏襲しておきたい。自由に形を作るならフライタックルでフライとして投げておけという感じだ。
川によってはフライフィッシング禁止となっていて、たぶんフライフィッシングか日本伝統の毛鉤釣りかを分けるのはリールを使うかどうかあたりにあるんだと思うけど、ちょっと調べても定義されていないので、自分の中の定義としては、伝統的な形の毛鉤を使って延べ竿で釣るのが「鮎毛鉤釣り」としておきたい。
この辺どこかで定義して自分なりに決めておかないと混乱する。例えばフライフィッシングでも、短くて重いシューティングヘッドというラインを使って、一気にラインを飛ばす方法があるんだけど、そのときにラインをあらかじめ引き出しておくのは面倒なのでということで、スピニングリール方式のフライリールを作ったメーカーがあったけど、まったくフライマンには受け入れられなかったようである。多くのフライマンにおけるフライフィッシングの定義では、スピニングリールを使うような釣りはフライフィッシングじゃないんだろう。そんなことするぐらいなら遠投浮子に毛鉤つけて投げ竿で投げるワ、というところかと。まあ線引きの問題でどこに線を引くかは、規則とかならはっきりさせといて欲しいけど、基本的には個人でどっかに引かなきゃならんという話である。
ということで七人の侍的に7種類選んで巻いてみた。
7本単純に釣れそうなパターンで巻くというだけでは多分不正解で、野球で9人ホームランバッター並べてもダメなように、目立たせて寄せる毛鉤と食わせる地味な毛鉤とか、うまく打順を考える必要があるように思う。そのへん初手から分かるわきゃないので、とりあえず派手3本、地味4本で行く。
トップバッターは、やっぱりロイヤルコーチマンに任せたい、長打も単打もお手のもの、爆発力を秘めつつも信頼の置ける好打者という感じか。緑に煌めく輝きの魅力は特定の虫を模しているわけじゃないけど多分ルアー的に効いて、世界中の魚を誘惑している。そのクジャクの羽の力を借りたい。ということだけど、例に出したロイヤルコーチマンの胴の段巻きが面倒なので尻尾の方を赤で巻いて尾もその糸でという感じで簡略化、蓑毛は雄鳥の首毛茶色をパラリで簡素にまとめた。名前は和風にキメたいので「赤尻の御者」としたい。
2番は、ジョン・ギーラック氏も「特定の水生昆虫を模したものより、なんとなく虫っぽいぐらいのフライが効くんだよね。例えばアダムスとか」と書いてたアダムスを本来浮かせて使うドライフライだけど水中で使う鮎毛鉤風に巻く。地味なグレーの胴に尾と蓑毛は茶色と白黒鹿の子の雄鳥首毛の混合がなんか虫っぽさを醸し出している。名前はアダム氏考案のフライというのがもとの名の由来のハズで「アダム氏」の当て字で「仇虫」。
3番は、水生昆虫の幼虫とかを食ってるんならニンフパターンでしょ。でしょでしょで代表的ニンフパターン、ヘアーズイヤーニンフをベースに鮎毛鉤化。胴はパターン名の元になっているヘアー(野ウサギ、ちなみにラビットは穴ウサギで英語圏ではネズミとリスみたいに別物あつかい)の耳毛に縒りを入れたときにまとめやすくするために毛足の長い猫の毛と、きらめきを追加するためにキラキラの繊維を混ぜたナマジ特性ヘヤーズイヤーニンフ用ボディー材で巻く。野ウサギの耳毛は適度に短く、縒り混ぜて胴にするとそこかしこから細かい毛がピンピンとはみ出して、良い感じに水生昆虫の触角だの外鰓だのが揺れてる感じに仕上がるンだと思っている。蓑毛と尾はソフトハックルの定番のウズラ(パートリッジ)の毛で柔らかく漂わせてみたい。名前は萌えっぽく「うさ耳」で。見た目は地味でモシャッとしてるけど、ニンフフライとしての大正義ッぷりから主軸を打たせるに足りる実力はあるとみた。
そして4番打者は、コツコツ当てなくて良いから全部本塁打狙ってけな感じで、一番派手なのを持ってきた。オレンジの胴に、マガモので代用したけど元々はオシドリの縞々胸毛を羽と尾につかうらしい名前も美しいクイーンオブウォータース。本来は胴全体に蓑毛を巻くウエットフライだけど、蓑毛は羽に使う方のマガモの胸毛を採用。「水の女王」はその目を引く艶な容姿で鮎たちを虜にすることができるのか?こういう派手な色のはバカ当たりか三振かバクチ的な鉤なので1本は入れておきたい。
5番は裏本命、伝統的鮎毛鉤を見ると鳥の毛の軸を使った胴でシュッと細身に作ってあるのが多い。フライでも同じように鳥の毛の軸で胴を巻く「クイルボディー」というタイプのフライがあり、水生昆虫の幼虫を模したニンフではキジの剣羽を使ったフェザントテールニンフが定番でやっぱりシュッと細く巻く。ということで胴と尾をキジ剣羽、蓑毛をウズラでシュッと巻いてみた。名前は単刀直入に「雉」で。
6番は一応マッチザハッチも意識するなら、ライズしている若鮎たちが水面直下とかで食べてるのはユスリカのサナギとかが多いだろうから、いわゆるミッジピューパパターンをということで、茶色のスレッドの上に透明なゴムを巻いた胴に蓑毛はウズラの白っぽいところを使った。ライズしているオイカワ狙いではコレを羽を浮く素材にして水面に貼り付かせたのが最終手段だったので、多分効くんじゃなかろうか。名前はそのまんま「蛹」といこう。透明なゴムは脱皮時の粘液を模してるとか諸説あるけど何か知らんけど釣れる。実はゴムの食感が良かったりしてるのかも。
7番は、最後の一本であるとともに、他の6本が先頭の棒状の浮子と7番の前のシモリ浮子の間の道糸から枝スを出して結ばれているのに対し、道糸の後ろに直接繋がっている形で後ろにあることから、流したときに一番動きが大きいハズ。ということで素早く動いたときに反射的に口を使わせるのを意識して、胴を銀色で巻いたシルバーセッジを持ってきた。胴に巻くハックルは省略で羽と尾は七面鳥の羽。シルバーセッジは銀色のトビケラ的な意味なので「銀飛螻蛄」といきたい。銀色は反射食いを狙うルアー的な効果の他に、脱皮のために浮き上がるトビケラの蛹が体表にまとう空気の幕を模しているとかも聞いたことある。
こんな感じでどうでっしゃろ?多分コレ読んで鮎毛鉤師ならそんな簡単な毛鉤で釣れたら苦労しないよと鼻で笑うかも知れないけど、フライマンなら「なかなかの線行くんじゃないの、でもオレなら打線はこう組むね」とかちょっと楽しくなってくるんじゃないかと思っている。
職人さんが作った鮎毛鉤セットで良く釣れてる時に、この打線でも半分ぐらいの感じで釣れてくれれば大成功で、あとは釣れた結果を基に改良を繰り返して良く釣れる方向性を探っていけば良いんである。
全く箸にも棒にもかからなければ、例えば頭をガラス製のビーズで作ったことによる沈降具合の差が致命傷になってないかとか、既製品との違いを洗い出して再挑戦か、あきらめて職人さんの作った鮎毛鉤で楽しむかである。職人さんの作った鮎毛鉤は手間暇考えたら全く安くて、自分で作った毛鉤で楽しみたいというのがなければ正しい選択だと思う。凄く収集欲をそそられるような細かい細工の施されたブツで「毛鉤箱」に並べてニヤニヤ眺めるのも楽しそうだ。でもワシは自分で作って釣ってみたい。
毛鉤以外にも、タモをどうしようかというのと、棒状の浮子が売ってないというのがあったので、浮子は作った。振り込むためにある程度の重さが必要で、多分魚が引っ張って沈むとき片方が浮く形で立ち上がるんだろうなというのを考えて、例によってバルサでチャチャッとでっち上げた。棒のドテッ腹側の真ん中から気持ちずらして穴を開けてパイプを突っ込んで道糸を通す。水上では適度に流れの抵抗を受けて揺れて毛鉤を踊らせるのかも知れない。重さの具合とか今一勘所が分からないので重さ2種類用意して、上から追加で巻いて重さ調整できるようにスズハンダも用意しておく。
タモは目の細かい網じゃないと毛鉤多いし絡んで大変だと思うけど、鮎用のタモはお高い。とりあえずこれでそれなりに行けるんじゃないかと観賞魚用の目の細かい網を用意した。ハリ外しやすいように引っかけるラインを張ってみたけど絡むだけかも。そんときゃ外す。
てな具合で、6月鮎解禁に向け大いに盛り上がりつつあって、こういう準備してる時ってなんて楽しいんだろうと思っているところ。
鮎の毛鉤釣りっていうと、どうしても私は夢枕漠先生の「鮎師」を思い出さずにはいられない。
作中で40オーバーの鮎を釣るために、気の狂ったような釣り師が嫁さんのあそこのオケケで巻いた、「黒水仙」という架空の毛鉤が記憶に強くこびりついていて、今回鮎毛鉤を巻くにあたって、何かそれっぽいのを巻きたいなと思ってしまい。思わず股間に手を伸ばしてしまった。
名前は「黒韮」とした。オッサンの体毛は水仙というほど艶っぽくもなんともない。むしろ匂いそうである。ということでニラと間違えて水仙食って食中毒というのを散見するぐらい似て非なるものということでこの命名である。
ちなみに胴と尾が人毛、蓑毛は黒に染めた雄鳥首毛。色調が黒に金色の仏壇色でPENNみたいで格好いい。
最初は打線に組み込んでたんだけど、なんぼ何でも人様の口に入る魚を釣るのにテメエの縮れた毛で巻いた毛鉤はネエだろ!と打線から泣く泣く外した。
釣った鮎を自分だけで食う時に是非使ってみたい。
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ご無沙汰してます。
返信削除たまにこの名前で書き込んでいますが、昔、駿河湾オフショアや琵琶湖で
何度かご一緒したSです。
鮎釣りは、私は日本海側の河川でサビキで楽しんでいます。
チリメンジャコを潰したコマセで寄せて、サビキ鉤で食わせる手法ですが、
活性が高いときはコマセ無しの空サビキで普通に釣れるので、食わせる原理は
鮎毛針に近いと思います。
サビキというと小アユしか釣れないイメージがありますが、良型のいるポイント
なら20cmオーバーがガンガン食ってきます。
サビキは色々試しましたが、一番安定して釣れるのは毛も何も付いていなくて、
ちもとに白いビーズだけ付いているタイプでした。このタイプは琵琶湖の小鮎
釣りでもスタンダードで、友人と並んで釣っても、コマセがなくてもフラッシャー
付きのサビキより明らかに反応が良かったです。
サビキは日ムラが非常に激しく、1時間で100匹くらい釣れたかと思うと、全く
アタリすら無かったりと全然ダメなことも良くあります。
私もシーバスやアオリイカ釣りのついでにおかずを増やすためにやっている釣り
なので、釣れないとさっさと諦めてしまうため進歩がありませんが(^^;
和幸さん こんばんは
削除Sさんだとちゃんと分かっておりますのでご心配なく。
いま白いビーズだけついてるサビキというのがどういうのか分からなかったので「こあゆ仕掛け」関連の商品を調べてみたら、ホントにパールホワイトの玉がついてるだけのハリなんですね。
解禁直後に行く川はサビキや餌での鮎釣りは禁止されていますが、近所の川は自由なので、試してみようとポチりました。
情報ありがとうございます。
以前「磯の作法」を読んでみたいけどキンドル持ってないんだよな、と書かれてたと思いますが、キンドル読むためのアプリをスマホかPCに入れるとキンドルで出ている本も読めるようです。ご参考まで。
黒毛鉤…。爆笑しました。久しぶりに「文章」読んで笑ったw。
返信削除実物あるし!その毛鉤に釣られてしまった一匹目はぼくだなw。
鮎ですか。しかも金かけない鮎釣りなんてナマジさんらしい。
ぼくは鮎カラーのミノーのフックはずしてけつに鮎イカリつけ
たものでまっ黄色の鮎立て続けにかけたのが忘れられない。
やっすい渓流のべ竿にナイロン1号直結。シュガーdeepが鮎に
も効くとは夢にも思わんかった。
KAZUさん こんばんは
削除魚釣るためのハリと人間釣るためのハリは別の物だったりしますが、まずは人が釣れないと使われないので結果釣れないということもこれあり、とりあえす「黒韮」は人の目を引く良い仕事をしてくれたようで嬉しいです。
鮎の縄張り行動を起こさせるのに必要なのは、実は色とかあんまり関係なくて体を水平にして縄張りに入ってくるのが重要だという報告読んだことあって意外に思った記憶があります。
そう考えるとシュガーディープって頭下げて泳いでたような気がするので何でだろ?と思いましたが、今時ルアーの水中映像なんてのも探せば珍しくなく確認してみると、シュガーディープ潜り出しこそ前傾姿勢ですが、潜ってしまえば水平姿勢に移行していました。
さすがのド定番ご長寿ミノー、釣れるには理由がある。鮎も釣れるはずの動きです。