2014年11月16日日曜日

PCチェア探偵「ツチノコ」編

 NHKの「幻解!超常ファイル」という番組で先週今週とツチノコの謎に迫っていた。
 
 先週は、「横幅の広い爬虫類」という目撃証言について、良くいわれている「ヤマカガシ説」と「アオジタトカゲ説」を有力な説としてピックアップして解説していた。

 ヤマカガシ説は私もたぶん目撃情報のいくつかはこれだと昔から思っている。ヤマカガシと聞いてどういう生きものかイメージできる人なら「あんな細長いヘビのどこがツチノコなの?」と思うかもしれないが、ヤマカガシのある行動を目にしたことがあればきっと同意してくれるだろう。
 ヤマカガシは水辺でカエルや魚を食べている割とカラフルな毒蛇なんだけど、毒牙が膨れたカエルを割るためとかいう説もあって口の奥にあるので人間はかまれても毒牙が届きにくく、私の子供の頃など無毒のヘビと考えられていたので、結構つかまえて遊んでいた。その頃には「ある行動」を見たことがないので、個体差や地域差があるんだと思うけど、大学生の時に静岡出身のアユ君に「ヤマカガシには真っ黒なのがいるだよ。そいつはクチバミっていってコブラみたいに体の前半を平たくして威嚇して毒を飛ばしてくるっけ。」といわれても民間伝承の類だと思っていたのだが、東北で岩の上でひなたぼっこしているヤマカガシを接近して写真撮ろうとしたら上半身を平べったくして左右に振って威嚇してきたので、アユ君の言ってたことは本当だったんだと理解したしだいである。アユ君信じてなくてゴメンね。ついでに真っ黒なヤマカガシも実在するし、クビの後ろあたりから毒を分泌するのも今では常識となっている知識である。あんまり信じてませんでした。重ねてアユ君ゴメン。
 そのかなり幅広になった上半身?が本体、後半がシッポとか考えるとかなりツチノコっぽい。少なくとも良く知っているヘビじゃなくて別の生きものだと思うのは無理がないぐらいの異形な感じを醸し出していた。

 ただもう一方の「アオジタトカゲ」などの足が短く胴体が太い外国産のトカゲを見間違えた説は、単に見た目が似ているだけで、日本の冬を越えられないしペットじゃなく自然にそんなモンがいるとは考えられず自分の中では却下していた説であった。でも今回番組では、外国木材の輸出の増加ピークの時期とツチノコブームの盛り上がった時期が一致しているというデータを出してきていて、一部目撃証言は木材に紛れてきた外国産トカゲの見間違えではないかと解説しており、なるほどなと思わされた。そういうことがあったとしても不思議ではないぐらいには納得している。

 今週は、ツチノコのルーツと思われる江戸時代ぐらいの文献に出てくる「ノヅチ」を取り上げて、ヘビやトカゲなどの見間違いでは説明できない、2mもジャンプするとか山の斜面をコロコロと丸くなって転がる、毛がはえているという目撃情報や言い伝えについて解析していた。
 ノヅチはもともと縄をなうために稻藁を打ち据えるための、木槌が妖怪変化した怪異で、コロコロと転がるという説と一致することを軸に、ノヅチという草木の精の神様が神話には出てくることなどから、日本人が心の中に持つ自然に対する信仰や恐れ、そこから派生した怪異伝説が、ツチノコの正体の一つであろうとしていた。
 なかなかに面白い説でそれもあるのだろうと納得したが、「毛が生えている」の答がどこにも出ていない、とパソコンの画面前で、もう一つのツチノコの正体に関する説を持っている私は突っこんでいた。

 ツチノコの、毛が生えて飛んで斜面をコロコロと転がるという目撃情報や伝承を体現する生きものを私は知っている。ツチノコ界のビックネーム山本素石さんと各地のツチノコの話を集めて廻った方に番組ではインタビューをしていたが、そのなかで各地のツチノコのイメージが千差万別であることを語る中で「ある人はツチノコはそんなに怖いモノではない。畑仕事をしているとそのあたりをコロコロと遊んでいてかわいいものだと言っていた。」と例があげられていて、自説に確信を持った。
 ツチノコの目撃情報のうち、毛が生えていて、ジャンプしてコロコロ転がるものはイタチかイイズナかそのあたりのイタチ科の小動物であるというのが今回の私の推理。

 毛が生えていて超絶身体能力が高くジャンプできるし、ピョンピョン転がるように走り回るし、ネズミをつかまえたりすると一緒になってゴロゴロ転がりまわったりもする。そして見た目は、小型だけど凶暴な肉食獣のくせして、とてもラブリー。
 今巷間に流布しているツチノコの想像図からイタチは想像できないが、毛が生えて高くジャンプして跳ねるように移動しコロコロ転がるツチノコに近い体型の生きものという目で冷静に見るとイタチの仲間が素直に思い浮かぶはずである。
 「足はどうした、足は!」と思うかも知れないが、ちょっと遠目で見るとイタチの足はあるんだか無いんだかわからないくらいに短い。ウサギのアナに潜るためにダックスフントの足が短いようにネズミの穴に潜るためにイタチの足は短い。実家で兄の友人が窓の外の柿畑を見て「なんかソーセージみたいなのがピョンピョン跳んでるけどあれなんなの?」とちょっとおびえた声で聞いてくるので見てみるとイタチがピョンピョン跳ねるように走っていた。私が「あれはイタチだよ」と教えてあげたから「イタチなんだ!」と思って済んだと思うが、教えてくれる人がいなかったら彼は「ソーセージみたいな形したヘビより短いピョンピョン飛ぶ謎の生きものがいた、毛も生えてた!」と吹聴してツチノコ伝説に拍車をかけていたかもしれない。
 イタチは田舎だと割と身近な動物で、側溝の中で激しくドブネズミを追い回して、川に飛び込んで泳いで逃げるネズミを追ってイタチも追撃して華麗に飛び込んで器用に泳ぐのをみたこともあるし、朝早く下宿のゴミ箱をあさってる猫がいるなと思っていたら、ひょっこり顔を出したのがラブリーなイタチだったというような経験もしている。かわいい方のツチノコはたぶんイタチ系だ。

 じゃあ「ツチノコ」が全く未知の新種の爬虫類という可能性はないのかと聞かれれば、まずは無いと思う。「悪魔の証明」で、いないことを証明することは難しいし、大型の爬虫類の新種発見が全く例がないかというと、21世紀に入っても東南アジアの密林で樹上で果物主食にしているオオトカゲが見つかったりしているので無いわけじゃないと思う。でもこれだけ人が沢山住んでいる日本で未確認生物が発見されるというのは無いんじゃなかろうか?
 未確認生物(UMA)なんていうロマンは陸上にはもうなくて、ヒマラヤのイエティも熊説で決着が付きそうな雰囲気になっているし、いるとしたら深い海の底だろうと思う。
 海の底には伝説のUMAシーサーペントの正体として、首長竜が現存していても私は驚かないだろう。あんな大型の生物がいたら、既に死体が発見されていてしかるべきだという賢しらな意見は、1970年代まで全く知られていなかった大型のサメであるメガマウスの存在が完全に打ち消す。
 それでも、爬虫類なら卵を産みにウミガメのように上陸するはずだという賢しらな少年だった日の私の認識は、「遠い海から来たCOO」を読んだ時に「その可能性があったか!」といたく納得して打ち消された。

 ナニが棲んでいるかわからない水の底に恐れを抱きながら糸を垂らす面白さ。
 UMA、一度で良いからお目にかかってみたいモノだ。

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