その昔、
韓国大森製の”チープ大森”的なやっすいスピニングをいじったときに「もし、韓国大森製スピニングの実力を知りたいなら、その時代の実用機であるタックルシルバーあたりを見てみないとなんとも言えないのかもしれない。」と書いたけど「アクションM」だの「タックルA」だののチープ大森をさんざんいじって、加えてダイワ「スプリンターマックスST600」のお粗末なできにうんざりして「タックルシルバー買おうとかいうやる気ももう正直なくなった。」と書いたな、アレは嘘だ。
ハイ先週に引き続き夏の長雨不釣のおりに、冒頭写真のとおり、濡れて滑りの良くなったマウスでヌルッと購入してございます。何で買うことになったのか説明させてください。まあ、なんというか人のせいにするのはどうかと思いますが、TAKE先生のせいなんです。TAKE先生のサイトとか読んでると昨年は渓流にベイトタックルを持ち出すのがマイブームだったようで、結局グリス抜きとかしても使いにくくなるだけで出荷状態が適正であり普通に使える。というまあそうなんだろうなという結果に落ち着いてた。あんまり回りすぎてもサミングが難しくなるだけでどうにもならんっていうのはワシも感じてたところでどっかで書いたと思う。で、その前にちょっとゼブコのクローズドフェイスリールが来てて、ワシもちょっと遅れたようなタイミングでクローズドフェイスリールが今年来てるのは先生の「リールの歴史」シリーズとかの”ミスター原”の影響だろうからそのへんで必然的にシンクロしたんだろうなと思う。でもって今TAKE先生がご執心なのが、「タックルシルバー」や「タックル7」あたりの韓国大森製のスピニングと、そのミッチェル版「ロングショット」やその卵形デザインを踏襲した2代目ロングショット(日本名「プリビレッジ」)らへんであり、「リールの本3」を読むとタックルシルバーについて「「まがい物」にあらず」として「先入観を捨ててみれば、スプールは長いのだから、旧タイプのリールよりは飛距離が出るはずだ、ボディーが長く大きくても、部品が少ないから重くはなく、スプール往復機構がボディ後端にあるぶん後方重心で、むしろ投げやすい。ここに低コストや故障のなさを加えれば、けっしてまがい物とはいえないだろう。」と書かれている。同じ本でワシが最上級に評価する「マイクロセブンC」シリーズが本体が四角くて、重いウッドノブ付きハンドルなのもダサいってな感じでケチョンケチョンでワシ「そんなに言わんでも」とショックだったのと好対照である。まあ、TAKE先生にとって軽快に投げて巻いてを邪魔する重いウッドノブ付きハンドルは、ワシがスピニングリールでドラグもろくに使わずゴリ巻きするのが、そういうゴリ巻き仕様の奇形的なスピニングが許せないのと同じぐらい生理的に嫌なんだろうなと想像するところである。釣り人ごとに評価軸が違うのはある意味当たり前。でも、タックルシルバーもウッドノブ付きハンドルでっせ!?と考えていくと、なぜTAKE先生はマイクロセブンCがダメでタックルシルバーを良しとしたのか、ご本人もどっかで書いてたけど、本体が卵形のリールはミッチェルっぽくてお好みなんだろうって思う。それならしかたない。先生ミッチェル好きすぎるぐらいだからな。何度も書くけどリールなんて好みで選んで上等ってなもんである。
ということで、まあ後方重心の振りバランスとかワシあんまり気にしたことがないというか分からんレベルでしかないのでアレだけど、そこまで先生が評価されるなら”自称生徒”としては、買って自分の目で手で確かめねばならんなと思ったわけで、こんなもんと言えば失礼だけど人気のある機種でもなしでネットフリマで1500円送料込みならマウスが滑ってクリックするのになんの摩擦抵抗もなかった。
我が家に来たからには分解整備ということで、サクサクとバラしつつ中身を見ていく。スプールは長くなってアルミ化しているのを軽量化するためか、側がアルミだけど中の方が謎素材の白い樹脂製ではめ殺しというか流し込んで固めたような感じになってる。音出しとライン留めもはめ殺しで外せないのはちょっと減点だけど、ドラグがちゃんとしているのは大森スピニングに関しては原初の大型インスプール機から最後の方のチープ大森まで貫かれている美点であり、立派なモノだと思う。ドラグパッドはテフロン製。
ハンドルはまあ普通にネジ止め式のウッドノブ付きワンタッチ折りたたみハンドル。本体蓋はローターの下に一部突っ込まれているけど、4本のタップネジを外せば斜めにしたら外せる。先にローターを外す必要はなく素直な工程で外せるのと、タップネジが樹脂本体に直接ではあるけど、これでもかと長いのが使ってあるのはしっかりしてて悪くない。ただちょっと気になったのは、分解してる段階で緩んでるネジが何本かあったことで、前の持ち主が締めたりなかっただけなのか、使ってくると緩んでくるものなのか、タップネジ使ってるリールは他にも触ったことあるけど緩んできた経験はないので前者と思いたいところ。
蓋パカッと開けると、下の方に減速式のスプール上下機構(オシュレーション)の歯車とカムが入ってて、オシュレーションカムにネジで留まってる主軸を抜くと、亜鉛鋳造っぽいハンドル軸のギアがヌポっと抜ける。ボールベアリングはローター軸に一個、ハンドル軸に2個なんだけど、ハンドル軸のギアの軸が太っててオシュレーション用の歯の下に入ってるボールベアリングは抜けなくなってる。ハンドル軸のギアを填めるときには先にボールベアリングだけ填めてからであれば、オシュレーション用の歯車とカムを所定の位置に収めてから填めれば良いけど、ボールベアリングが付いたままだとハメられないので、ボールベアリング付きのハンドル軸のギアとオシュレーション用の歯車を同時に噛み合わせてハメて、後にカムを滑り込ませる順番で上手くいった。このリールはサイレント仕様なんだけど、わりと単純な針金一本でできてる部品が、ハンドル軸のギアの根元の溝にハマってて、そこから出た”枝”の部分(黄色い→)が、逆転防止の爪の下の方の溝(赤い→)にハマって、正転時に爪をバネで押しつけようとしているのを相殺してカリカリ鳴らないようにしている。チープ大森でもサイレント仕様の機種は同じような方式だった。バネの締まり方とグリスの滑り具合で動作がやや不安定だけど、シンプルなのは良いことだ。
ローターを外すと、裏には大森おなじみのベール反転機構のメガネバネが見えてるのは安心だけど、蹴飛ばすのがロータの内側本体の樹脂むき出し、銅板の簡易ローターブレーキもなし、ローター軸のギアを固定するのもタップネジ三本でベアリングを押さえてるだけ、ロングスプール化で先週のダイワ「ウィスカートーナメントSS」は本体の上のローター内部に逆転防止機構とかを持ってきてたけど、本機種では、ローターの内部にまで本体を筒状に引き延ばす感じで大森式の本体内の逆転防止機構という方式を踏襲している。ただ、この時代の他の機種でもみたけど、往時、逆転防止の部品は鉄系素材で一体成形だったのが、ステンレス板を打ち抜いた手裏剣みたいなの2枚と高さ調整のスリーブに分かれて、経済的な設計になってる。まあ丈夫だろうしちゃんと機能するとは思うので悪くないと思う。
ローター周り、ベールアームを樹脂製のローターから芯を出して受けているのとか、ラインローラーがセラミック系直づけなのは、まあこの時代の標準的な仕様でこんなもんかという感じだけど、ベールスプリングが特許切れて使えたはずのグルグルコイルバネ式じゃないのは残念減点って感じか。にしても高級機種ではなかったので、経済的な設計でそれなりに使えるようにはなっていて、あんまり困りそうな感じはしない。部品数が少なくて整備性が良いのと樹脂本体で軽いのは実用上は評価できる点だと思う。まあ使ってみないとどうともいえないけど、値段とか考えたら充分と評価できそうに思う。
で、一応注油して組み上げて、前回みたいに固着ネジ切ったり、あるいは部品紛失したりもなかったので、一件落着でもいいんだけど、こいつは一度釣り場に持ち出して魚釣ってみたいなと思っているので、そうなるとちょっと気になる点かいくつか出てくるので手を入れる。
まずは、写真見ても分かると思うけど、れいによってスプールエッジがぬるいというか、中心の方から傾斜が入ってて見るからにスプールエッジ近くではスプール上下幅より糸巻きの幅が広くなってそうで、これは
アレしてやる必要があるだろう。
それから、ベールワイヤーのベールアームと反対の端は亜鉛の部品になってて、その部分を受けているのは樹脂製ローターから突き出た芯で、留めてるのはその芯にタップネジを突っ込んで留めている。このへん
キャリアーとかマイクロセブンCは金属製雌ねじで受けた金属製のネジで軸を作ってるのと比べ安っぽい。けどまあ耐久性の問題はあるかもだけど削れるまで問題ないだろうとも思うんだけど、削れてないけど問題生じてて、タップネジをギュッと締めるとベール反転がスムーズにいかなくなる。緩めると問題なく大森方式の内蹴り”オートベール”は軽やかに返ってくれるんだけど、どうも亜鉛部分が太ってタップネジと接触が強くなってしまってるようだ。コレも何らかの対応が必要。
とりあえずアレのほうから。もう慣れたもんで適当なあまり糸でスプール適当に埋めてから色変えたラインでスプール上下幅がどのくらいか確認する。だいたいスプールの底の幅が上下幅と同じぐらいで、だいぶ水増しされたロングスプールだなこりゃ。作業としてはスプールエッジがスプールの底から水平に持ってきたところに来るぐらいに、板の厚さも踏まえつつFRP板を切って輪っかを作ってハメて、隙間をティッシュをねじった紙縒りで埋めつつ瞬間接着剤で固めて、大まかな形ができたら電動ドリルで回して形状を整えて、半日ぐらい固化にかかるエポキシ厚めに塗って串に刺してロッド回しで回してやる。固化したら電動ドリルで回してサンドペーパーかけて表面とエッジを滑らかに整えて、銀のラッカー塗料で塗装していっちょ上がり。せっかくのロングスプールをちょっと詰めてしまったけど、直径は大きくなってるので、ラインが上下でやや盛り上がるにしてもグチャッと崩れなくなったのとあわせて、ラインの放出性は良くなって飛距離も出るだろう。
もいっちょの、タップネジがベールワイヤー端の亜鉛部分をしっかり押さえすぎるのは、ローターから出てる芯の直径ぴったりのワッシャーというかシムを噛ませてかさ上げするんだろうなと方針は立つんだけど、小さすぎて合うサイズがないし近いサイズのを削って調整するのも手間なので、まあ細いステンレスワイヤー2巻きぐらいしておけばちょうど良いんじゃなかろうか?と試してみたら、問題なく軽くベールが返るようになった。もういっちょいじるなら、ロータ内で蹴飛ばしが直接樹脂にあたってるのを保護しつつ、意図しないベール反転等を防ぐためにマジックテープ式のローターブレーキを追加してみたいと思ったけど、ベール起こしたときの止まって欲しい位置にマジックテープ張る場所がないので、ベールが返る前に軽くブレーキかけるだけならできるけど、軽いハンドルリターンが損なわれるだけなのでやめておいた。瞬間的逆転防止機能が付いてないのでローターの”遊び”で投げる前のベール位置調整することで足りるかと。
とりあえず整備完了。いつでも実戦導入可能なようにラインも巻いておいた。
で、ナマジ的にはこのリールをどう評価するかというと、可もなく不可もなくまあこんなもんかなだけど、それで充分だろという感じ。
個人的にはもうちょっと耐久性のある設計にして欲しいところだけど、大森製作所が韓国に工場移して、長年の良き相棒だったシェイクスピアとも縁が切れてしまい、ミッチェルと組んでアメリカ市場で、手頃な値段でそこそこの使えるリールをというニーズに応えて作ったんだろうってのを考えると、経済的な設計ではあるけど、ドラグはちゃんとしたのが付いてて、スプールも樹脂と組み合わせて厚めのアルミ製で丈夫、ベール反転も軽い。本体とローターは樹脂製で軽くてって感じで、投げて巻いて魚とやりとりしてってのが普通にできそうで、30ドル弱とかで売られてたらしい値段考えたら上出来の部類だろう。”チープ大森”な「アクションM」とかは、逆転防止の部品が一体成形なのは良いとして、あんまり素材・製法的に固くない亜鉛鋳造でしかも、
ス入りの不良部品とかも確認できてて、さすがにあんまりなポンコツ具合だと思うけど、タックルシルバーは逆転防止の部品を安くあげるにしても、ステンの打ち抜き2枚重ねとか丈夫さ確保してて、限られた費用で上手くまとめてあると思う。実際に投げてもいない段階ではあるけど、使ったらそんなに悪くないんじゃないだろうか?
年間200日以上も釣りに行くハードユーザー向けの仕様ではないかもだけど、たまの休日は釣りを楽しんだりもするっていう一般的な釣り人がこの仕様で困ることはあんまりないだろうと思う。今中古で買って使っても整備が楽だし壊れそうな部分はベールスプリングぐらいだしで、水で濡れたら困るような今時のクソリールより良いんじゃないかと思う。
”チープ大森”はある程度、品質が低いのも折り込み済みで、その安っぽさを味わい、クソ高い高級リール様に対するアンチテーゼとして使うという通好み?なリールで、ワシの使ってたアクションMは2シーズン持たずに樹脂製スプールが上と下とに泣き別れという致命的なぶっ壊れ方して実用面ではわりと役立たずな面もあったけど、タックルシルバーはちゃんと実用機として足りるだけの性能があるように思う。
韓国大森は亜鉛部品のス入りは減点ポイントだけど、けっこう頑張ってたとワシャ評価する。昔入手したことがある「
ポスカ1」も意外にしっかりした作りで悪くないと思った。
まあそのへんをきちんと自分なりに評価するには、なんぼか魚釣らなきゃダメだなとおもっちょります。まあ普通に釣れると思う。魚釣るのに重要なのは場所と時間が9割がた決める用素で、道具なんて手堅く破綻しない程度のモノで充分で、その中でもリールは遊んで良い余地のある部分だと思っている。だからこそ、いじって遊ぶ余地があって楽しいってことだろう。
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