音の少ないルアーの強さってあるように思う。少なくともラトルじゃらじゃらのルアーとは魚の反応が違うことは間違いない。どちらか一方が常に良ければ迷う必要も無いけど、状況によって違うようにも思うので、派手なのと地味なのはとりあえず両方試してみるべきだと思っている。まあ派手なのと地味なのの両極端の間には無限のグラデーションが美しく存在するわけで、そんへん細かく細かく突っ込んでいくと収拾つかなくなるので、あまり釣りの現場では細分化はしないつもりだけど、釣り場でワシが使う、派手なの1つと地味なの1つは究極の選択としてコレとコレってのを選ぶことになる(実際には2つには絞りきれずもうちょっとユルいけど)。そのために釣り場で余裕のある状況をみて、いろんなのを試して、これがオレの「派手」、これがワシの「地味」っていうのを決めていく作業をして、そいつらに託すって話だと考えている。
というわけでルアー図鑑うすしお味第82弾は、先週に引き続き根魚クランクの話でグダグダといっておきます。
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ビースイッチャー4.0ほか |
実際の魚が釣れるか釣れないかにおいて、クランクベイトが地味か派手かなんてのは、そもそも地味なクランクベイトでもワームとかと比べたら派手に決まってるので「そんなもんクランク食ってくるような活性のある魚ならどっちでも食ってくる」っていう切り捨ても一つの戦略かもしれない。ただ、やっぱりたいして濁りも出てなくて、日が傾いたとはいえまだ沈んでない明るさのある中とかだと、ちょっとアメリカンにど派手なクランクでガコガコ鳴らしながら攻めるのは、それがハマれば勝負早いしその可能性は当然あるんだろうけど、なんか気持ち的には、まだ夜の帳が降りてないなら、も少し地味におとなしく静かに小さく行ってみたくなるのも、また釣り人心理というものだろう。あといつも40cm越えるような良型が接岸してるとは限らないので、20センチぐらいのなら個体数も多いだろうし小型のクランクなら充分食ってくるので、そういうのも釣っておきたいといういじましい想いもあったりして、1軍ボックスにもおとなしめのクランクは常備している。ただ、前回同様50LBナイロンのリーダー背負って海水中3mの深さに潜行してもらうとなると、おとなしく、静かにはともかく、小さくっていうのはなかなか難しく、該当するクランクが限られまくる。最初に使ってたのは上の写真の下から2列目、スミスの同じボディーデザインで潜行深度を変えた”システムクランク”の長兄「ディプシードゥーMAX」で、これはサイズもピーナッツⅡ(上写真下列がピーナッツⅡサイレント)とかの小型シャロークランクに毛が生えた程度で動きの質的にもおとなしめ、ラトルは入ってるけどうるさいってほどではなく、実際に魚もよく連れてきてくれたし能力的には問題なかった。ただ、深く潜る小型クランクベイトって需要が少ないのと、泳ぎの安定性確保が難しくちゃんと泳がないのがあったりしたらしく廃盤で、兄弟の1,2,3は現行カタログモデルだけどお兄ちゃんは中古も弾数少なく入手に難がある。でお次にコレはどうだろうと試したのが上の写真の真ん中列メガバスの「X200ディープ」で、これは潜行能力も充分で、やや細身で小さめのボディー、おとなしめの動きと音で優秀。弾数も人気あったので中古がいくらでも入手できる。実績もあって文句はない。無いけどどうせならノンラトルのがないか?といらん欲が出てしまう。今年根魚あんまり釣れてない中、上写真2列目右のノンラトルの樹脂製クランクであるサンシャインフィッシング「
ベクトロン60」が良い魚を引っ張ってきてくれていて、強度面で問題抱えているバグリー「DB3」(写真だとベクトロンの横)の後継として投入したけど、動き自体はブリブリと大きく、DB3とはまた違う個性ではあるけど期待以上の働きをしてくれている。っていうのがあるのでノンラトルはやっぱり効く場面があるよなって話で、小型でおとなしい、淡水でなら3.5m~4mぐらい潜るクランクベイトという、技術的にも深く潜るにゃデカいリップがいるからそれを支えるデカいボディーが必要なのに、ボディーは小さくとかやり始めると安定させにくいだろうし、そこまで潜らせて地味にいきたいならワームでも使ってろって話だろうから需要も多そうに思えない。まあでもいろんなルアー作られているし探せばなくもないんじゃないか?とネットの海にドブンと浸かって探してみたら、ございましたその名をジップベイツ「ビースイッチャー4.0」でその名の通り4mダイバー。小さいので50LBのリーダー背負ってちゃんと潜ってくれるか心配しつつ試し投げしてみたけど、小さいのに飛ぶし、潜りも安定してピッチの細かい振動みたいな動きでグイグイ急速潜行して3.5mぐらいは潜ってくれる。これぞワシが求めていたモノだと久しぶりにヨーヅリとか以外の国産ルアー新品箱入り買いました。ジップベイツって中小メーカーだけど、チヌポッパーの釣りを牽引した「ザブラポッパー」とかのブランドで、オリジナリティーのある先駆的なルアーを作ってる印象で好感持てる。音がしないのは重心移動の磁性タングステンのオモリが棒に刺さって前後して、着水後は磁力で前の位置に固定されてカタカタ暴れないようになっているそうで、同じような仕組みダイワやデュエルでも見た気がするけど特許技術だそうである。細かいところで方式違うんだろう。なんにせよ凝った機構を搭載した高性能なジャパニーズルアーって感じがしてワシっぽくないなという気もするけど、性能的に優れているので1票入れざるを得ない。ルアーが良く釣れるか魚にそっぽ向かれるかは、なかなか使い込まないと分からないものだけど、ディープダイバーについては、まず欲しい潜行能力があるかないかが大前提でありキモなので、この高性能さは買いである。おそらく状況にハマってくれさえすれば期待した仕事をキッチリこなしてくれるだろう。コレで釣れんかったら釣り人の責任というもの。
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上からフューズ3つに下ハスティー3 |
もう一つ、おとなしいディープクランクで試したくなって投げてみているのがデュエル「
フューズクランク」。3.5mぐらい潜る5XDよりチョイ潜らず、潮位が低いときや根がある上を通したいときには、スミス「
ハスティー3」を使っていて、こいつはカタログ数値で3.8m、太いリーダーで海水使用だと3m弱ぐらい潜る感触。ハスティー3は性能的にもバランス良く仕上がってるし、カラーも豊富で不満はないけど、たまには違うのも使いたいなと、カタログ数値で3.5mの潜行深度のディープダイバーであるフューズクランクが買って使わずに放置してあるなと、実釣に連れだしてみたけど、これが、ヨーヅリ伝統の長くて根元が絞ってあるディープダイバー用のリップのおかげか、効能宣伝文句のとおり軽い引き抵抗でシュルシュルと潜っていくのは良いんだけど、軽い引き抵抗の分ラインが張ってなくて、水中での挙動も着底も分かりにくいスカスカした巻き心地でこりゃダメだと一回駄目出しした。でも、後になってつらつら考えていると、ラインテンションが抜け気味で手元感度が悪いっていうのは、逆に考えれば”魚の方にも違和感与えにくい”ってことじゃなかろうかということに思いが至って、ハタと膝を打って、これはひょっとして面白い手札になるかもしれないと検証作業のため実戦投入してみることにして投げている。ちなみにコイツもハスティーもサイレントじゃない。
「ラインが張ってない”感度が悪い”状態で食わせると食い込みが良い」は自分の長い釣り歴の中で確信を持っている真理の一つだと思っている。分かりやすい明確なアタリを出そうとすればするほど、魚にも明確に違和感を抱かれて吐かれて弾かれる。これを強く意識し始めたのはヘラ釣りがきっかけで、ヘラ釣りでアタリが大きく出るときには既にヘラが違和感覚えて逃避行動とり始めてるって話で、そうならないように軽い仕掛けやわざと底に這わせた状態でラインを緩めてやる。そうすると当然アタリが明確に出にくくなるところを、微妙な小さなアタリ、時にアタリとも言えない変化でアワセると、向こうも違和感感じにくい状態なので口にハリが入ってる時間が長く、急いでアワせなくても余裕で間に合うというのに気がついて、先人達が小さくチクッと入るようなアタリを出すようにと言っていることの意味が身に染みて理解できた。コレはもちろんヘラ釣りの応用発展でやっている”延べアジ”ではまったく同じことが言えるし、フライで食い込み悪いときはハリス細く長くしたり、ルアーでは竿を柔らかくダルい調子のモノにしてラインを伸びのあるナイロンにしてってやると、アタリ弾かれにくくなっていく。今年シーバス狙いで20センチ無いような当歳魚の湧きがいいので、いつものアグリースティックよりさらにダルい調子のマイクロライトグラスにしているけど、柔い方がアタリ弾きにくいということは明確に感じる。加えてそういう”感度の悪い”竿でもきちんと食わせていれば手元にすらアタリは感じるモノで、竿先とかライン変化とかも見ればかなり微妙なアタリもとれる。マイクロライトグラスは黄色いので星明かりでも竿先の動き見やすい。世の中の釣り人は感度感度とうるさいけど、どんな道具使ってれば感度の良さが不足していると感じるのか不思議で仕方ない。ヘッタクソなだけだろって正直思ってる。
ということで、ラインが張らない巻き抵抗の軽いフューズクランクで食わせると、食い込みが良くてしっかりハリ掛かりするのではないかという気がして、手札にできるように使いこなしてみたいと思っている。実績データが少ないので偶然という気もするけど、どうもヤイトハタは口の外側とかに掛かりがちでバレがちな気がするのでヤイトハタの多い状況で切る札にできたら釣りが面白くなると妄想している。チャイロマルハタとヤイトハタはそっくりさんで、同定に悩むようなことも多い似た魚種なんだけど、混ざって接岸することもあるけど、どちらかというとヤイトが釣れるときはしばらくヤイトが続いて、チャイマルが続くときはやっぱりチャイマルということが多いように感じる。似たような魚種だけど微妙にやっぱり性格も違うのだろうか?感度の悪いクランクを使う上で、水中での挙動はまあディープクランクがきちんと動いてないってことはないだろうから気にせず、となると問題は着底が分かりにくいということだけど、ポイントごとの水深の把握は既に終わっているので、根掛かりさせないように着底はさせないということを、普段から意識しているけど、それをより徹底して対応するのだろう。底から1mぐらい切っててもやる気ある魚なら余裕で食ってくる。底から30~50センチとかなら理想的かなと考えている。
「ビースイッチャー4.0」「フューズクランク」の2つは、たまに切る札どまりで終わっても良いけど、ひょっとすると1軍打線入り、もしくは代打の切り札的なルアーになってくれるかもしれないと期待している。ラトル無しのディープダイバーってDB3がまさにそうだけどバルサ製なら珍しくないし、古いメタルリップのディープダイバー、たとえばホットNやヘルベンダーとかもあるけど、バルサ製は強度問題があるし、メタルリップ系はトローリングなら必要な深度に達するかもだけど投げて巻くと意外にそこまで潜ってくれない。ましてや太いリーダー背負わせて浮力が強くなってしまう海水ではって話である。そういう中でビースイッチャーは貴重なレアキャラだと思うので新品も買って1票入れておいた。もう一方のフューズクランクは中古がクソ安いし、おそらく巻きの軽さは現行のデュエルのディープダイバーにも引き継がれているようにリップ形状を見るとみうけられるので、現行モデルでもよさげで確保が楽。
ルアーの釣りって、やってるとだんだん釣り場に持ち込むルアーの構成は単純化していくものだけど、百花騒乱、ありとあらゆる工夫やペテンや個性を盛り込んだ市場にあふれるルアー達を選ぶ楽しさってのは間違いなくあるので、今日もネットの海で良さげなルアーにマウスが滑るのをヤメられない止まらないのである。アタイ病気が憎いッ!!
クランクの音に関して5年前のニゴイには参りました
返信削除木製しか効かないと思ってたら
犯人はラトルや重心移動の玉っころでしたから
根魚もシーバスも状況次第で変わってくると思います。
バングオーでラトル入りと無し両方準備してますが、
まだ結果はどーなるかわかりません。
キビレは間違いなくある方が良い感じですがシーバスはラトルトラップでも釣れた事あるからどーなるかわかりません
おはようございます
削除ラパラやニールズ、バグリーの木製軍の強さを知ってると、ラトル無しは欲しくなりますよね。
シーバスも、さんざん木製ノンラトルのフラットラップを無視してハク追い回してた個体が、ラトル有りのロングAに換えたら一発で食ってきたのが強烈に印象に残ってて、状況によりけりなんだろうなと思って、迷いが楽しみにつながってます。