2024年12月14日土曜日

ダイソーでこのルアーを買え!(命令)

  ネット上で「ダイソーのルアーが安いのに釣れる」とかいう記事のタイトルを目にするだけで、アホかとしらけていた。そんなもん今時どこの国で安く作っても魚が釣れないようなルアーを作るのが難しいぐらいで、それをことさらに意外なことのように騒いで、あまつさえ安いので”根掛かり覚悟の釣りにもうってつけ”とか、水中にゴミを残すのを推奨するようなことを書くバカどもはタヒねば良いのにぐらいに思ってた。

 ワシ基本的に、ルアーの開発、発展に貢献するような姿勢のメーカーの品に一票入れるつもりで買うってのがあって、まあ中古で買って一票もクソもねえかもだけど、気に入ると新品でも買うし、頼まれてもいないのに宣伝したりもするので見逃して欲しい。

 中華製始め、あからさまなモノからクソな大手製までパチモンルアーってあるけど、ダイソーのはまだ、法務部しっかりしていて訴訟沙汰にならんよう、元ネタなんとなくわかるけど、ごまかしてそれなりに独自性あるデザインになってるので、ワシ的にはワシらの時代にコーモランがあったように、少ない小遣いでやりくりする釣り少年の味方的には悪くない存在だと思っている。いい大人は金あるんだから、ちゃんとした独自性のある開発元のルアーをなるべく買って欲しいとは思うけど、まあ個人の自由で好みの問題だろうから大きなお世話だろう。好きなの買ってくれ。

 ただ、かっこ悪いと思うのは、大手が中小メーカーが釣り方含めて流行らせたような種類のルアーの市場に後出しジャンケンで妙にデキの良いのを突っ込んでくるパターンで、典型例が、以前に流行ったワカサギ型I字系ルアーで、どこが元祖なのか分からんけど、後発のどのメーカーも、申し合わせたように尻に毛が生えていて、その手のルアーのキモは不自然な音や動きを極端に排除したおとなしさ嫌われにくさであり、毛はなくてもあっても別の何かでも良かったはずである。元祖は訴訟起こして良いんじゃないかと思うぐらいあからさまのパクリで見てて醜悪すぎて気持ち悪かった。なんぼなんでもそれはないんじゃないかと思う。あと個別のメーカー名を出すと今のご時世、それこそ訴訟沙汰になりかねんので伏せるけど、とある日本のメーカーかブランドか知らんけど、いまだに完全コピー商品を堂々と売ってるところがあって、かつ当然今の技術でそれをやったら、昔のコーモランみたいにオモリ入ってなくて動かんとかいう笑えるオチがつくはずもなく、普通に安くて釣れるので結構売れてやがる。一応我が国は知的財産権ガン無視が基本の途上国じゃねえんだろ?ほんと恥を知れって感じ。廃盤になった昔の名品をってパターンじゃないヤツね。今でも普通に売ってるやつのマルパクリで下手すりゃ釣具屋で同じ棚に並んでる。頭おかしいよね。

 で、今回のルアー図鑑うすしお味第77弾でとりあげるのは、今まであんまり興味なかったダイソールアーで、あんまり好きじゃないイワシカラーのを二個も買ってしまってまで二票投じているので、コイツがなんなのか説明させてもらいたい。まあ二票投じても440円(税込み)のお安いルアーだけどな。

 このルアーが何かというと、植物由来の分解性の素材でできているルアーで、その名も「リップレスミノー90F」という、そのまんまやんけ!ひねりなさい!!という突っ込みを入れたくなる、やる気のない命名のフローティングリップレスミノーなんだけど、でもその意気や良し。実際の製造は中国に外注してるようだけど、たぶんケミホタル作ってるルミカ社が製造元らしく、酢酸セルロース樹脂という(株)ダイセル社とかいうところが「CAFBLO(キャフブロ)」で商標権押さえてる素材のようで、引用させてもらうと「木材や綿花などの非可食バイオマス由来のセルロースと酢酸から得られる酢酸セルロースに、非フタル酸系可塑剤を配合し熱可塑性を付与した環境にやさしいバイオマスプラスチックです。その特性は、(中略)④海洋生分解性で(後略)」となっていて、海洋へのプラゴミ流出・蓄積の問題を解決するための手法として売り出し中の素材のようだ。

 海洋生分解性があるから海に捨てて良いってワケじゃないにしても、今実際に海洋にプラゴミがあふれかえってる現状を鑑みて、それらが何百年も残るような素材ではなく分解されて短期間で生態系に再度取り込まれるのであれば、ずいぶんとマシになるのは明白だろう。ポリエチレンのレジ袋がいつまでも海洋を漂い続け、音響探査ではイカそっくりの反射音がかえってくるので、深海でイカ食うようなクジラがゴミ袋食いまくってるとか、とっととレジ袋が腐ってくれればずいぶん被害は減るだろう。ポリ袋に限ったことではない。”プラゴミ”全般に似たような話があるのだろう。にもかかわらず、根がかって海底で切れてくれればまた売れて儲かる、と二個とかセットで色を組みあわせて使いましょうとか売る方もだまされて買う方も頭の悪さ丸出しで売られているタコエギなんていう、瀬戸内海で何万個も回収されてニュース沙汰になってるような愚行を我ら釣り人はしてしまっている。以前にも何度も書いたけど、クドクドとまたジジイの繰り言でまた書く、書くべきだと思うからしつこく書くけど、日本でせっかく商品化までこぎ着けたのに生分解性のショックリーダーは売れなくて定着しなかった。何度も書くけど、ショックリーダーは物理的な太さが重要な仕事をする部分であり、同じ引っ張り強度のナイロンやフロロのリーダーより多少太いぐらい、魚を釣るうえでたいした不具合を生じ得ない。その程度のことが分からん、釣り場に根掛かりで残してしまったラインが速やかに分解されることの利点がわからんバカばっかだったので、東レ初代「フィールドメイト」も、バリバスのモーリス「RTE」なんて2世代まで開発して頑張ったし、ラインの国内工場持ってるデュエルも作ってたし、ダイワの石鯛の捨て糸用で作ってたのも、フィールドメイトは2010年代にバージョンアップ版も出していたのもあったようだけど、結局屍累々ですべて廃盤になったようだ。フィールドメイトのバージョンアップ版とか性能もだいぶ上がったのだろうから試してみたく中古市場で見つけて買ってみた。東レさんのしつこさに使命感のようなモノを感じる。もう一回懲りずにバージョンアップして売り出してくれないだろうか?東レさんくじけないでくれ。

 という状況下で、タコエギ2つ付けて根がかり覚悟でバンバン使ってください!っていうクソバカよりだいぶ頑張ってるんじゃないだろうかとおもうのが、今回のダイソールアー。ルアーの世界では元々、分解性の素材でってのはこれまでも作られていて、極論すればバルサとか木製のルアーはリップとか塗装は除くと土に還る。水面系のバスマンがぶっといPEラインでウッドのルアーを使うっていうのは、高価なウッドルアーがどっかに引っかかったときに釣り場のゴミにならないで手元に戻ってくる確率が高いというのも良いけど、ヒートンが飛んでラインアイだけ戻ってきても、ウッドプラグはそのうち腐る。プラのエギ一回で2個も海のゴミにしてるのに比べて、やってる人たちはルアーを大事に失わないようにって思ってるだけかもだけど、上品で賢いように思う。同様にラインを強くしておいてハリ曲げて回収はわりと賢い手だと思う。ソフトルアーの世界ではバークレイ「ガルプ」シリーズとかマルキュー「エコギアアクア」シリーズとか蒟蒻系素材とかのものもそこそこ売っている。ワーム使うならそっちを使ってくれれば、根掛かりさせてもなんぼか実害が減るのではないだろうか。河口湖とかでワームを禁止にしたのは何でだったんだろうねって思えば、酢酸ビニルとかのワームはあんまりよろしくないってのは分かるよね。まあ根がからせたらリーダーとか残るだろうし50歩100歩だろうか?

 っていう状況だけど、金型に樹脂流し込んで大量生産、安価販売するプラグで海洋生分解性を謳うルアーは、初めてかどうかは自信ないけど、とにかくまだ珍しい事例だと思う。さすがに皆さん自然に帰る素材である木で作ったルアーだけを使いましょうと言ったって、通常自然素材の木材使ったルアーなんて3千円からはするはずで、ワシも無理。ラパラが異様に安いけど、アレは世界のラパラだからできることであって、中小メーカーに真似はデキない。ラパラ大好きだけどラパラだけで釣れっていうのもどうかと思う。そういうことをつらつら考えると、樹脂製で安く作れるのに生分解性があっていつまでも環境中に残存しないルアーというのは、挑戦的な試みであり、その挑戦に賛辞を贈り一票入れてもバチはあたらないのではないかと思う。

 生分解性なので、放置してると腐りそうだけど、ウッドルアーと同じで結局表面をコーティングしてあれば水が染みこんだアイ周りとかから徐々に分解が進んでいくんだろうと思うので、パッケージには水で洗ってからぬるま湯で漬け洗いして陰干しとか面倒くさいこと書いてあるけど、そこまで神経質にならずとも良いのではないかという気がする。このへんは実際に使った人に聞いてみたいところではある。

 いずれにせよ、個人の趣味に命令とか野暮なので、そもそもそんな権限も持ってるわきゃないし、件名はまあ勢いで書いたまでだけど、「それって良いことジャン」と共感していただけたなら、ダイソー行ったときに買ってやってください。動きとか使ってないので知らんけど、まあ魚釣れるぐらいには仕上げてあるでしょう。そんなもん、生分解性の素材でルアーを作るのがあたりまえになれば、いくらでも爆釣ルアーは生まれてくるでしょうからたいした問題じゃない。そういう方向に釣り具業界が向くように、釣り人は賢くあらねばと思うのです。

2 件のコメント:

  1. コーモランとか懐しい名前出てきましたね
    使えるのを見つけ出す楽しみありましたし
    コーモランが輸入していたサオはセンス妙に良かったのを覚えています

    水中に残る糸、11月半ばに拾ったルアーに付いていた糸が酷いもんがありまして明らか足りない太さのリーダーに根魚釣りに使うようなPE、
    ちょい引っ張りゃ簡単に切れるのに手元切りやってて、
    世も末って感じでした。

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    1.  フックかリングを一番弱く設定しておけば、そこから外れるようにはできるはずですし、ルアーに結ぶノットを一番弱い部分に設定することも可能で、高いPEラインを手元で切る必要性が全く分からないです。何がしたいんでしょうね?
       
       コーモランが竿輸入してたのは知りませんでした。フックがなにげにイーグルクローとか、謎のこだわりも不思議なメーカーでしたね。最近のコーモランはパチモンといえばコーモソナーぐらいしか残っておらずちょっとさみしいほどです。

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