©竹中由浩、©光永康則 |
あいかわらず釣りの日々は忙しくて、ストレス少ないので寝付きも良く、データで買ってそのうち読もうと思ってるマンガの新刊とかも積もりがちで、かつ今年は”スピニング熱”の発作が酷くて整備待ちのリールも積もってしまっていて、なおさら部屋での”読書”の時間は減った。
というなかで、「ミスター・ハラの記憶」シリーズがクソ面白かったのと、ブッコミ泳がせでドラグ鳴るまで放置して早アワセを防止しつつ殺気をごまかすのに、釣り場に小説ぶち込んだkindleファイヤータブレットをジップロックに入れて持ち込んでいて、ラノベ中心だけど活字本近年では一番読んだ気がする。ということで、久しぶりに活字部門も復活しての年間ベスト3エンタメ編いってみましょう。
○活字:1位竹中由浩「ミスター・ハラの記憶3部作」、上田早百合「妖怪探偵百目」、日向夏「薬屋のひとりごと」
1位はぶっちゃけ、重めのスピニング熱患者以外には読めン!ワシにもチョイ難しい技術的な話とか多かった。でも丁寧に注釈・解説入れてくれてあるので充分以上にっていうか、これでもかってぐらいに楽しめた。日本のリールメーカーの黎明期から世界の中心に成り上がる歴史的な流れやら、もちろん技術的な解説やらも資料として一級品の価値があるのは言うまでもないけど、それ以上に世界のあちこちに優秀な技術者として派遣されていた原氏の見た、世界のリール製造現場のその取り巻く環境や文化風土に向けられたまなざし、そして”リールガイ”としての”リール哲学”。読み物としてもこれまた一級品と絶賛せざるを得ないだろう。我がブログ含め、世にリールネタを扱う”読み物”は掃いて捨てるほどある、でも短小軽薄な昨今の風潮、というか傑作古典SF「華氏451度」の鋭い警句を待つまでもなく大昔から凡夫どもの求めるモノは”簡潔に手早く”であって、「こんな高いリール買いました。ベアリングが10個以上入ってて巻きがとても滑らかです。」とか程度のゴミ情報は溢れているけど、じっくりネッチョリ読み込んで楽しめるような沼の底からの濃い情報は限られていて、だからこそワシそういう読み物に渇望しててむさぼるように読んでしまったのである。この感覚ウチの読者さんなら共感してもらえるのではないだろうか?クソマイナーで値段もつかんような機種の詳細な分解整備の報告、誰が読むねンって自分で書いてても思うぐらいで、まあワシが楽しいから書くってのが基本にあるから書くけど、多くの人に読まれるとは思っていなかったんだけど、これが存外読まれてる。っていってもせいぜい1日数百人規模だけど、スピ熱こじらせてマニアックなネタ書き散らすようになる以前は日に50人、3桁行けば「オッちょっとうけたな」って感じるぐらいだったのが思わぬ躍進である。釣行記の方は今でも1日百人越えたら多い方なぐらいで、あからさまに一定数、沼の底からの濃い情報に飢えておられる方がいて、楽しんでくれているらしいというのはとても嬉しく励みになる話である。ちょっと脱線したけどいつも読んでくれてる皆様に”ありがとう”って感謝を伝えたいと思いましたとさ。で、いろいろと興味深かったこの3冊、特に3冊目のの「リール哲学」の「クローズドフェイスリール」論と「ウォームギア」論がナルホドナと唸らされた。クローズドフェイスリールは糸も細糸も太糸も苦手で限定されるし、飛距離もそれほど出せない。でもその”枠”の中であれば誰でも正しく機能させることができるという”枠説”で説明されていて「何でアメ人はあんなにクローズドフェイスリール好きなんだろう?」って疑問に思ってたので、そういう整理もありかと蒙を啓かれた。ウォームギア論ではハイポイドフェースギアの滑らかさが一定以上に上がったので、ウォームギアの機能面での優位性は無くなりつつあるけど、その特別感はそれでも”有り”なんじゃないだろうかという論旨で、ウォームギアフェチを自認するワシとしても大いに納得した。TAKE先生がハイポイドフェースギアでもスプール上下を減速しないクランク方式なら巻き抵抗増やせて巻き感度上げられるのでウォーム機をいまさら作るのは難しそうだと書いているけど、やっぱりそれでもウォームギア機の特別感はあるっちゃあるとワシャ思う。あと好き者的にはギアが重ならず平面に並ぶことから来る本体の薄い感じも好き!ついでに原氏はシェイクスピアの「2062」”E系”を絶賛されていて、やっぱり分かる人が見れば分かるんだなと我が目もあながち節穴じゃないと胸をなで下ろしたところである。スプールエッジの立った形状と、大森も参考しただろうと書かれているベール反転機構をベールアームの逆に持って来て重量分散して回転バランスを取っている方式を賞賛されていた。原氏既に鬼籍に入っており、私的な手紙の内容を公表してしまうのはどうかとTAKE先生悩んだそうだけど、自分だけで楽しんでおくのはもったいなさ過ぎると書籍にまとめたそうだ。ナイス判断!おかげで超楽しめました。TAKE先生の活字本は勝手に生徒を名乗ってるからには全て買うつもりだけど、買ってハズレた試しがない。読む人選ぶかもだけど短小軽薄な情報や釣具屋の太鼓持ちの書く記事に飽いた貴兄にはお薦めしておきます。
2位の「妖怪探偵百目」は体中に目を持つ妖怪百目が妖怪や時に人間から持ち込まれた謎を解く、的なものを期待して読んだら裏切られたけど、それはそれで面白かったというか超面白かった。早百合先生は「華竜の宮」でその圧倒的な物語世界構築能力を思い知らされた実力あるSF作家で、今作も妖怪モノというよりはSF要素の大きい作品になっている。これが、人の恐怖や餓え、恨みなどの負の感情を食い強大に育ち全てを食い尽くそうとする妖怪”濁”を巡って、妖怪陣営、警察陣営、拝み屋陣営それぞれの思惑入り乱れる中、それぞれの寄って立つ場所と覚悟が試される群像劇となっていて、特に拝み屋播磨の、少年の頃に台風避難時の疫病蔓延に乗じて、家族や仲間を初恋の人を濁に食われた憎しみの行方は、その憎しみをも好物として食う敵を相手にどう決着するのか、ハラハラと読ませてもらった。上中下巻3冊リールのドラグが鳴るのを待つあいだいに夢中になって読み切った。早百合先生実になんちゅうか体力のある作家さんで、難しい設定を独特の世界観に描きあげていて感服する。新しく陰陽師のシリーズも書き始めたようなので、いま夢枕獏先生版「陰陽師」がアニメ化していて楽しんでるけど、早百合先生版陰陽師も期待して読ませてもらわねばならんなと思う。
3位「薬屋の独り言」は”小説家になろう”っていう投稿サイト出身のライトノベル。舞台は中国っぽい架空の中世アジアの大国、ひょんなことから皇帝の後宮に下働きとして奉公することになった、薬屋の娘”猫猫”が、持ち前の好奇心探究心と薬と毒の深い知識でもって、後宮内で起こる事件の謎を解く、って感じで始まったけど、やんごとなき身分の美青年に便利使いされているうちに、いつしかその関係が変化していき的なロマンスも含みつつ、西の国からの厄介ごとやら、飛蝗の害やらにも、政治的な駆け引きにも巻き込まれていき、なんだかんだで大活躍というお話なんだけど、脇役達も魅力的で楽しい読み物となっている。14巻出てていちおう飛蝗の件が片付いて、功労者の苦労人”羅半兄”も都に戻ってきてて、今度は皇族の末裔の謎に巻き込まれていくような展開。続刊読まねばな引き終わりで今後も楽しみである。今年アニメ化してこれがまた良いデキで評判取ったようで、原作既読組としてなんか誇らしげな気持ちになるのは何なんだろうね。
○マンガ:1位「時間停止勇者」、2位「もっこり半兵衛」、3位、「ベアゲルター」
なんというか、鬼才岡本倫先生がエロマンガみたいな設定で本格的なファンタジー冒険物語「パラレルパラダイス」をブチかまして以降、エロ要素は含みつつもちゃんと読ませる物語っていうのがマンガの一つの方向性として確立しつつある?のかどうか分からんけど、エロもあるけどそれだけじゃなく滅法面白いっていう作品が今年は印象的だったのでそういう作品で3本揃えてみました。でも中身は3者3様でそれぞれ違っててそれぞれ面白い。
1位、「怪物王女」が出世作な光永康則先生の「時間停止勇者」は題名そのまんまで、ゲームの世界っぽい異世界に転移した主人公が、チートアイテムとして時間を止めることができるゲームコントローラーを手に、闇の勢力から世界を救うために活躍するって筋書きなんだけど、まあ時間停止モノってアダルトビデオでは1ジャンルなぐらいで、そんな便利なモン持ってたら時間を止めて女の子にエッチなコトしまくるだろうっていう当然の行動を主人公で救世の勇者であるセカイ君はやりまくる。冒頭写真でチラッと見切れているのはそういった一場面でライバルチームと情報交換して一時協力しようってなって、ちょっと緊張する場面でとりあえず落ち着くために仲間のオッパイを揉んで、勘の鋭いダークエルフのお姉さんに気付かれて「こんな時にオッパイ揉むなんて信じられない」って顔でにらまれている。困った勇者様である。でもセカイ君案外良いヤツで相棒のゴーレムの岩吉くんとのコンビも冴えて胸のすくような活躍で楽しませてくれるのである。文句なしに面白い。
2位「もっこり半兵衛」は、「ジャングルの王者ターちゃん」「狂四郎2030」が代表作の徳弘正也先生の江戸の貧乏長屋に住むスケベな凄腕剣士が活躍する人情モノ?先生の作品はデビュー作の「シェイプアップ乱」から愛読させてもらってるけど、昔っからエロとグロとギャグは容赦なく突っ込んで、でもそれだけじゃなくなんか筋の通ったものを感じさせる作風なんだけど、後書きで「若い頃のような人気作品はもう書いていないけど、私のマンガは今でも一流だと思ってます」って書いてて、そういう矜持が下ネタ描きまくってても、その底になにか心を熱くしてくれるようなものが流れている、そういう面白さの屋台骨になってるんだろうなと得心した。そういう矜持を胸に、長くマンガを書き続けてきた先生だからこそ描ける、まごうことなき一流のマンガです。
3位「ベアゲルター」の沙村広明先生の代表作はアニメ化実写化している「無限の住人」と「波よ聞いてくれ」なんだろうな、個人的には「ハルシオンランチ」が好きだけど、今作も大好き。サブタイトル?に「叛逆ずべ公アクション」とあるとおり、チャイナ服やら眼帯やら、各種性癖をこじらせにきてるようなお姉ちゃん達中心に渋いおっさんも交えて、なにやら陰謀渦めく”売春島”で奇妙きてれつな武器やらMMA(総合格闘技)ではあんまり見られない技を繰り出すカポエイラやらカラパリヤットやらで大暴れ!ってな外連味ない作品です。情け容赦なく下品で痛快。沙村先生のこのマニアックで広範な知識はどこから来るのか?6巻まで来たけどそろそろクライマックスが近づいてきて盛り上がってます。
○アニメ:1位「アンデッドガール・マーダーファルス」、2位「ドクターストーン」、3位「江戸前エルフ」
1位の「アンデッドガール・マーダーファルス」はこれぞエンタメなトッピング全部のせみたいな作品で、妖怪魑魅魍魎化け物が跋扈する文明開化の日本から欧州へと、探偵役である首から下を盗まれた”不死”の美女とその一行3人が旅をしながら正体不明な感じの悪の組織の親玉であるモリアーティ教授を追っていく、っていうことは当然シャーロックホームズとワトソン君も出てくるし、ついでにルパン(一世)も出てくるし、これまた当然のようにフランケン、ドラキュラ、狼男の化け物定番三種盛りも出てくる。まあ役者揃えりゃ面白いんなら苦労しないわけで、それぞれの役者がまた魅力的、探偵役は首から上だけなので普段は鳥かごに入れられてお付きのクールな戦闘系メイドかもう一人に運ばれてるんだけど、これが妙に色っぽくて何百年と生きてきた知識と聡明な頭脳をもって謎を解いていく様に魅了される。たまに垣間見えるメイドとのユリユリした関係もサービスポイント高し。一行の荒事担当”妖怪殺し”の鬼のシンウチ君の噺家志望のわりに噺はつまらなくてとぼけてるけど、欧州の化け物どもにひけを取らない戦闘能力の高さの落差もまたイイ。ドラキュラのようにコウモリに変化したりとかの特殊攻撃じゃなくてパワーとスピードの身体能力の高さのみで闘うっていうのもどうにも格好いい。てなかんじでなんとも良くできた楽しいアニメで、首から下取り戻せてないので原作ラノベも続いてるようだし続きが気になる。っていうかワシ「化物語」シリーズも好きだし妖怪探偵モノって好物なのか?と他にも妖怪探偵モノないかと検索して活字2位の「妖怪探偵百目」にたどり着いたのであった。妖怪探偵モノとかSF探偵モノとか現実では不可能なトリックが大胆に使えて、とはいえその物語の設定からハズれてはいけないので、そのあたりの自由度高いけど考えるの手間かかってそうな”謎”が楽しめている要因かな?分からんけど。
2位「ドクターストーン」は3期で、謎の石化光線で石にされた人類を、人工衛星に乗ってて難を逃れた宇宙飛行士の子孫と、永い年月の後、偶然生じた化学反応で石化から復活した主人公の科学力で文明を再構築して、謎の敵と対決するっていう筋なんだけど、3期では通信機と船を作って宇宙飛行士が残した”遺産”をゲットし石化した全人類を復活させる算段が付き、謎の敵本体が月にいることも判明して宇宙船を作ろうってところまできた。来たんだけど、その道筋には様々な困難が待ち受けていて、まさにそれは人類がたどってきた試行錯誤と苦闘の歴史をなぞるような形で、あらためてホモサピは人の頭の上に爆弾落としたり水を空気を土を何百年も残る形で汚したりとクソオブクソな行いもしているけど、それでもより良い明日を目指して今ここに便利で安全な存外良い感じの文明を築いている、その偉業に感動を覚えずにいられない。今作も科学馬鹿の鬼畜な主人公を始め登場人物が魅力的で、個性豊かと言えば聞こえが良いけどマンガ的に癖強い面々が苦楽を共にして信頼で結ばれていくその姿にホモサピのこれまた良い面を見せられるようで胸が熱くなる。ヒロインがワシ好みの身体能力特化系の脳筋ヒロインなんだけど敵地潜入して重要情報を入手して主人公達になんとか伝えてから敵に石化されてしまうんだけど、その時に主人公が石化を解いて助けてくれることをみじんも疑わず自分の務めを全うする場面とかグッとくるモノがあった。アニメのエンディングってなにげに趣深くて、ネトフリで唯一気にくわないのがエンディング楽しんでると右下に小さくエンディングを見るかどうかの確認が出てきて、せっかく余韻に浸りながら楽しんでるのに急いでクリックしないとエンディング尻切れトンボになってお薦め作品に飛んでしまい設定イジってどうにかなる気配もないという点で、エンディングって始まりの主題歌ほど、さあカメラが下からグイッっとパンしてタイトルロゴがドーン!な金掛けた作画ではなく業界の符丁でいうところの”カロリーの少ない作画”で止め絵を横移動させたり、単純な動きの連続だったりが多いんだけど、だからこそのセンスが問われる重要な要素だと思っている。今作のエンディングはそういう意味でセンスが抜群、砂絵を描いてる様子を撮影(ひょっとして透明板に描いてるのを裏からか?)しているんだけど、表情の変化とかを砂絵だから指でチョイチョイと変化させてるのが小粋な感じの演出になってて、エンディングの余韻にピッタリの哀切に溢れるようでいて、ヒロインズの日常生活の描写から最後ヒロインが村に帰ってきて、そっぽ向いてる主人公が振り向く姿を目にしてニコッとこぼす笑みにちょっと射貫かれる感じもあって、なんか抜群なんである。ワシが本作のエンディングを飛ばすことはない、絶対にだ。
3位の「江戸前エルフ」は、江戸時代に徳川家康に召喚されて異世界からやってきて、精霊さんとお話しができるぐらいで特に何ができるわけでもないけど神様として神社にまつられてはや数百年、すっかり引きこもってオタク趣味に没頭するエルフ様と巫女の女子高生のユルい日常ものアニメなんだけど、これがなかなかに江戸時代蘊蓄とかも楽しく、オタクあるあるネタもクソ面白くて実に良い塩梅の作品なのである。今作もエンディングは素敵で、作中の重要な小物であるオタマジャイロとかを実際に作って引き篭もりエルフの巣であるコタツ周りを再現、カメラワークで横スクロールとかしつつ止め絵と合成してて「そのオタマジャイロ欲しい!」と唸らされるデキになっている。あと、舞台が月島なんだけど隅田川も出てきて、良く釣りに行ってたあたりなので懐かしかったりもする。
アニメは朝の日課のヤ○オク、メル○リ、○カイモンと一時間以上掛かる巡回の際にダラッと見てるので、ものすごく見てると思う。アニメの筋追いつつ楽しみつつも出物は見逃さない鵜の目鷹の目ぶりで、ワシの頭には2つ以上のこと同時にできるデュアルコア以上のCPUが搭載されているらしいことに50年から使ってきて改めて気がついた。ベスト3に入らなかった作品でも面白いのはいっぱいあって、しげの先生原作の「MFゴースト」とか良いところで後半来年という引き終わりで悶絶しているし、同じくモータースポーツモノの「オーバーテイク」もよかった、馬鹿っぽい中二系の「デッドマウントデスプレイ」が意外に楽しめているし、馬鹿っぽさでは「シャングリラフロンティア」も良い、「無職転生Ⅱ」「七つの魔剣が支配する」「虚構推理2」のヒロイン力の高さも捨てがたいし、「できる猫は今日も憂鬱」「カワイスギクライシス」の猫アニメも堪能、エンディングの良さでは「薬屋の独り言」「AIの遺伝子」「ワンターンキル姉さん」も好みだった。今年のクソアニメオブザイヤーは「マジカルデストロイヤーズ」で作画下請けの中韓台湾のアニメーターの質も本家ジャパンをしのぐほどになってきている昨今、珍しいぐらいに作画がプルっていて笑えた。アニメは来年も沢山楽しむことになるだろう。
○ドキュメンタリー他:1位NHK「老漁師最後の闘い」、2位NHKワイルドライフ「北海道オジロワシ舞う大地 密着!絶滅危惧種レスキュー」、3位アベマTV「WWE中継」
1位の「老漁師最後の闘い」は、大分から対馬沖にカジキの突きん棒漁に出漁することはや50年の70越えた老漁師兄弟船の、今年を最後に引退と決めたその漁に密着したドキュメンタリー。もうなんちゅうかNHKカメラマン、ドローン操縦者良い仕事っぷりで眼福眼福、電撃三つ叉槍を喰らってなおも水面を疾走していくカジキをドローンで上からとらえたり、波間に見え隠れするカジキのヒレを旋回性能極振りでグワングワンに揺れまくってる突きん棒船の上からしっかり撮っていたりする。間違いなく船酔い地獄だっただろうと思う。最後狙ってたクロカジキの大物を5年ぶりに仕留めて、糖尿で引退余儀なくされたお兄さんもなんかやりきった感が出てて、そりゃ兄弟2人で大海原でオノレの技量でもって大魚を仕留めて生き抜いてきた漁師人生、男なら憧れざるをえないような羨ましいまでの全力フルライフに悔いなどないだろう。天晴れと拍手をおくるしかない。
2位「北海道オジロワシ舞う大地 密着!絶滅危惧種レスキュー」は、人里に降りてきた熊を殺すなとか、都会からお気楽にクソみたいなクレームを現場の役場にかけるようなアホの動物愛護主義者が湧いた今年、そういう自分と遠く離れた安全地帯から無責任なヤジを飛ばすマヌケどもと対極に、北海道の猛禽を始めとする野生動物を救うべく現場で悲惨な現状をなんとかするべく、使命感を持って”実際に保護活動を行っている”覚悟も技量も責任も全く違う、獣医さんたちのお話。その苦労、熱意、難しさ、新たな取り組み、心に来るモノがあった。尊敬の一言。
3位の「WWE」はアメリカ最大のプロレス団体なんだけど、やってくれるぜ、我らがアベマTVっていう感じで、WWE内の定期興行ブランドである火曜の「RAW」と土曜の「スマックダウン」を無料中継、日本語解説付き。プロレスは親日に猪木がいて全日に馬場がいた少年時代に夢中になってみていたけど、最近は見てなかった。プロレスって選手の来歴や選手同士、団体同士の遺恨や友好関係とかの”アングル”が見えていないとイマイチ面白くないので、新規でノアとか見るのはちょっとハードル高いなと思ってたけど、アベマでWWEの中継が始まるということは、当然アベマさんのことだから初心者向けの解説とか入れてくれるだろうと見始めたら、まさに痒いところに手が届く感じで、選手入場時には解説者の説明はもとよりテロップで簡単な紹介が表示され分かりやすいったらアリャしない。で、いま日本からも何人も参戦していて、中邑真輔選手がグレート・ムタからの伝統を引き継ぐような毒霧吹く系の大ヒール(悪役)で活躍している他、女子はイヨ・スカイ選手がチャンピオンに輝いている。そしてオッサン的に嬉しいのはダスティー・ローデスの息子さんとかリック・フレアーの娘さんとかが看板選手として活躍してることで、ちょっとコミカルな印象のあったダスティー・ローデス氏の次男坊らしいコーディー・ローデス君がなかなかのイケメンで人気も頷けるというもの。また演出やら技やらが派手で、相手選手が被弾といいつつ受け止めてくれるから成立するとはいえ、コーナーポストのてっぺんから場外にムーンサルトで落下して攻撃とか頭おかしいけど見てて格好いいわな。首捻って頭や顔面から落とす系の技もランニングネックブリーカーからだいぶ進化していて、上から飛んできた相手を空中でとらえて決めるとか、台本あって相手の協力があったとしてもエラい高度な技で感心する。今時のプロレスの重要な視点として”説得力”っていうのがあるらしく、スリーカウント決まるに値する、観客が納得するだけの技かどうか?って概念のようだけど、確かに巨漢の女子選手がデカい尻で決める「セントーン・ボム」とか説得力あるなぁと納得する。特別な大会はペイパービューで金払って見てねということで、今のところその後の中継でちょろっと良いところだけ流れるのを見てお茶濁しているけど、そのうち金払って観るぐらいにハマりそうな気もしている。
という感じで、今年もアベマTV、Netflix、NHKオンデマンド、アマゾンプライムは金払う価値のある番組が提供されていて、来年も契約更新決定である。
エンタメ関係は今時の楽しみを存分に享受している実感がある。活字もチョロチョロ読めるようになって、来年も泳がせのアタリ待つ間にボチボチ読んでいこうと思う。
今年も楽しんだ作品に関わるすべての表現者のみなさんに感謝。
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