2022年8月27日土曜日

ゼブコ44クラシックなどというリールに手が出てしまった

  ゼブコという釣り具メーカーは米国では4強の1角に数えられるそうで、我が家にも「クァンタム(量子)1430MG」なんていうベイトリールがあるけど、日本ではあんまり人気がないようで、むしろ米国で往時ABUのスピニングがゼブコ扱いで、あっちのモデルは「ゼブコカーディナル4」とかだったのが日本の釣り人、特に我らオッサンやジ様には印象深いかもで、今回手に入れたブツもタイトルだけみると、ゼブコ時代のインスプールのカーディナルでも入手したのかと思われるかもだけど、ワシそんな人気機種に興味ないからそんなモンに高い金ようださん。入手したブツは写真のクローズドフェイスリール(スピンキャストリール)でゼブコ社「44クラシック」。この手のスピニングロッドにぶら下げる形で使う、ラインリリースがお尻のプッシュボタンではなく脚から伸びた引き金「トリガー」を引くことで行うタイプは「トリガースピン」とか「アンダースピン」と呼ばれているようだ。ちなみに同社を代表するクローズドフェイスリール(アンダースピンじゃない竿の上に付ける方)が「33」で「44」はそのアンダースピン版の位置づけだったようだ(現行機種にはアンダースピンでも名前に「33」入ってたりする)。

 先週も書いたけど、米国の釣り人の選球眼はしっかりしてると思ってる。お子様用の「ディズニーコンボ」とかに付いてるスピンキャストはまあ初心者用なんだろうなと思うけど、どうもそういう初心者向けじゃないようにみえるスピンキャストにも米国では根強い人気があって、その選球眼しっかりしてる米国釣り人が選ぶぐらいだから良さがあるんだろうけど、いまいち使いどころが分からんな?ということをコメント欄で書いてたら「アンダースピンの手返しの早さは状況によってはハマります」って教えていただいて、ナルホドナと思いつつ、手を出すとややこしいことになりそうなので、あえて無視しようとしていたんだけど、一度でも興味を持ってしまったらもうダメなんである。病気って恐ろしい。病は潜伏し無症状のままながく忘れてたんだけど、ネットフリーマーケットにホイと送料込み2500円でこいつが出てたのを見た瞬間、症状がぶり返してしまい思わずマウスがスルリと滑ってしまった。まあ、新品買っても3000円台とかでこの手のリールはあんまり高くないけど、ちょいボロいけどメイドインUSAの時代ので、せっかくなら米国モノが気分なので悪くはない買い物かなと。なんでも最近日本でもバス釣りではこの手のアンダースピンはちょっと流行ってるようで、大森製作所、五十鈴工業の流れを汲むトライアングルブランドの「TU-01」なんていう高級機もあるけど、まあこの手のは本場米国のもっとも米国らしいブランドであるゼブコがアメリカで作ってた頃のを見ておけば、本筋というか大まかな感触は見て取れるんじゃなかろうか。あまり日本人的にコリコリに凝った仕様のとかは、なんか違う気がするわな。

 でもって、スプール前面を穴の開いたカバーが覆う形である、クローズドフェイスリール自体、ガキの頃友達のをちょっと投げさせてもらったことがある程度で、ほぼいじったことがなくどういう仕組みなのか、大まかなところは知識として知ってはいるけど、実際のところは良く分かってないので、そのへん楽しく学びつつまずは分解清掃。

 なんだけど、分解清掃するにもどうにもいつも触ってるスピニングとは勝手が違うので戸惑う。縦に蓋をパカッと開ける構造ではないようで、写真上のデッカいマイナスネジは共回り方式のハンドルを止めているネジで、グルッと一周見ても本体に縦に切れ目はなく縦には分解できない構造のようで、筒状の構造の上と下の蓋をパカッと開けて分解するようである。ということで上の蓋から開けてみる。上の蓋、上部がアルミで裾の方というかネジが切ってある方は樹脂製で1ヶ所ヒビが入っているのも値段が安かった理由。まあこの程度、上の蓋は単なる”覆い”で力は掛からない構造なので、あとでこれ以上割れが広がらないように補強しておけば問題ないだろう。

 上の蓋を外すと、スピニングリールだとベールアームやローターにあたる部分が露出する。写真上の上蓋取って露出した部分が回転してラインを巻き取る”ローター”部分、スプールはその下に隠れていて、ローターをハンドル押さえつつ回して取っ払うと真ん中写真のように見えてくる。ちなみにこの機種ではスプール上下がなくスプールは薄い形で亜鉛鋳造っぽい質感。上の写真と下の写真のそれそれ赤い矢印で示したところがスピニングリールでいうところのラインローラーで、ラインを巻き取るときにはこの棒状の出っ張りが上蓋との隙間をなくすようにローターから張り出してきてラインを引っかけて、ローターの下のスプールにラインを巻いていくという仕組み。トリガーを引くと、真ん中写真の中心の棒が押し出されて、ローターがちょっと上がって下写真の白い樹脂製の部品が上がったローターとスプールが刺さってる樹脂製の台座の隙間に入り込むことで、ローターから飛び出してた棒状の出っ張りがローター内に収まり、ラインが自由に放出可能となるというのが投げるときの仕組みのようだ。

 ついでにスプール周りで、ドラグの仕組みだけど、ドラグパッドはスプールの上下に薄い樹脂製のパッドを、スプールが刺さってる台座の溝に填まった金属のワッシャーで押さえつける方式で、とても単純なんだけど、スプールが薄くてドラグが機能してラインが出て行くときの角度が小さいからか何なのか、思ったより滑らかで調整幅も広く、こう言っちゃなんだけどショボい見た目に反してなかなかの実力。さすがはドラグの使い方を知っている米国の釣り人向けに売られていたリールである。上のドラグパッドはワッシャーと固着して外そうとしたらペキッとヒビが入ったのでそのままにしておいたぐらいで樹脂製のドラグパッドの弾性とか劣化して損なわれてそうだけど、問題なく良いドラグになってる。ドラグの調整の方法が変わってて、一番下の写真の様に下側のドラグとワッシャーは3つの脚のついた台の上に乗ってるんだけど、そのひとつの脚が真ん中写真の赤い矢印のところでドラグ調整のネジの上下する部分に刺さるようになってて、本体外側の黄色い部分にある調節つまみを回して、台座を上下させてスプールをドラグパッドで挟みつける強さを調整して、ドラグの効きを調整する仕組みになっている。細めのラインでドラグだよりのやりとりしても全く問題ないだけの性能がある。ドラグなんてのはちゃんと機能して当たり前で、今時になってドラグの性能がどうのこうの言ってるリールメーカーは恥ずかしいのでやめてくれって思うところ。ドラグパッド新しい適当なのに交換すればもっと性能上がりそうに思うけど、現状でも充分。

 でもって、上の蓋から外していってドラグ関連まで外したら、左側の写真のように、これ以上外すものがなくなってしまった。下の金属製の蓋を外したいんだけど、真ん中写真のように”か締め”てあって、強引に外していいのかどうか迷ったけど、ぐるっと見て回ると、1ヶ所”マイナスドライーバー入れるならここから”っていう感じの溝が切ってあったので、そこにマイナスドライバー突っ込んで力入れてみたら下の蓋がズレ始めて、ズレた隙間にマイナスドライバー入れてこじりつつ一周したら無事外れた。填めるときは、ある程度は止まってくれそうで、またか締めるのは難しそうなので剥がせる程度の接着剤で着けときゃ良さそう。

 パカッと開けるとこんな感じ、ギアは普通にハイポイドフェースギア、スプール上下がないっていうのはまた原始的だなと思ったけど、トリガーから来ている金具が主軸をグイッと押す構造をみると、これにスプール上下を入れるとなると確かに面倒臭いと理解した。縦割りじゃないので、ここまで割っても、いまいちこの先の進め方が分からんけど、とりあえず外せるところから外していく。

 まずは、ハンドル軸のギアはハマってる樹脂製スリーブを抜けば上に抜けそうなので試してみたら正解。

 ハンドル軸のギアがこれで抜けてくれたんだけど、そのときにハンドル軸ギアの右側にゴチャゴチャとくっついてた逆転防止関係の部品のうち、本体側面にハマってる、ギア裏のラチェットを止める”歯”がポロッと落ちてきて、方向どちらに填めるべきか組み直すときに苦労した。結局はラチェットのギザギザの向きをみてそれを止める歯の向きにすれば良かったんだけど、最初上手くいかなくて、散々悩んで、たまに上手くいくけど、空振りすることが多いので、「これバネの締め付けが弱くて回転の力でラチェットと歯を噛み合わせるのが上手くいってないな」と気がついて、バネをキュッと締めて強く挟むようにしたら正常に機能するようになった。外すときにバネが開いちゃったんだろう。

 という感じで、ハンドル軸のギア周りまでは外れたんだけど、主軸周りがトリガーから来てる金具が主軸のお尻を押さえているので引き抜くこともできず、トリガー自体はハメゴロしてあるのでどうにもならない。おそらくハンドル軸のギアの上あたりにボールベアリングが一個埋まってる感触なので外したかったけど、無理して壊しても仕方ないので、分解はここまでとする。

 スプール上下機構がない。スピニングリールにおけるベールアーム、ベールワイヤー、ラインローラーなどベール関係は、ローター付随の単純な機構に置き換わっている。特に特殊な仕事はさせていない。っていうことで、非常に単純で部品数も少ない。パーツクリーナーでシュッシュ、汚れは歯ブラシでゴシゴシで清掃作業は簡単に終わる。この単純さは好ましく思うし、トラブル生じる要素も少ないし米国人好みだろうなと納得する。

 適宜、青グリスとオイルで整備しつつ組み上げて、お尻の蓋は、信越シリコンで防水シーリングしつつ外れないようにユルく接着。

 上のカバーの裾のところの亀裂は、とりあえず瞬間接着剤流し込んで固定して、外周をフロロの3号でキッチリと巻いて補強、本来なら竿のガイドラッピングに使うような長時間固化のエポキシで仕上げたかったけど、面倒なので百均のエポキシで固めておいた。多少凸凹むらがあるけど補強的には用をなすだろう。

 整備前は巻き重めだったんだけど、グリスを入れ替えたら快調に回るようになったし、これまで、使ったことがない種類のリールなので、これは是非使ってみたいということで、雨の日に整備して、雨上がったら早速実戦投入してきた。大きさ的にはバス用なのか思ってたより大きく270gぐらいで、メッキ釣ってるグラスのグニャ竿にちょうど良い感じだったので組ませてメッキに狙いに。

 たしかに、スピニングリールのようにライン拾ったりベール起こしたりは必要なくトリガーだけで事が済むので手返しは早い。ただ、投げたときにライン放出にブレーキ掛けるのもトリガーを引くんだけど、指でやるような細かい調整はできず、ビタンと止まって水面にボチャって落ちる感じ。慣れてないからというのもあるだろうけど、指にラインが掛かっててある程度その張り具合で、どのぐらい力が乗ってるか把握できてるスピニングの場合と違って、トリガーだと竿にルア-の重さが乗ってる感じとかがつかみにくい、ちょっと細かい正確性の欲しいキャストには向かないかも。あとワシャ近距離特化型なのでそれほど気にならんけど、飛距離もスピニングにはやや劣るかも。手返し重視のバンバン追ってくる状況やらで役に立つかなとメッキ狙いに持ち出してみたところ、1回目は慣れてないし魚も渋くてイマイチだったけど、2回目には扱いも慣れてきて手返し良く攻めて良い感じに釣れた。手返しの他にしっかりラインを絞って巻き込むのでライントラブルが少ないというのも利点のようなので、暗い中、軽い錘で底をとるのでラインゆるく巻いてしまいトラブル誘発しそうな夜の鳥皮短冊の根魚釣りとか、ラインの処理を気にせずやれるし、深さ調整等、細かいラインの出し入れもトリガーで素早くできそうで、以外にいいかもと思って試してみたけど、ラインが出ていくときにスピニングだとパタパタと動きが大きくて分かりやすいけど、アンダースピンの穴から静かにラインが出ていくのは暗いと分かりにくくイマイチ使いにくかった。夜釣りで落とし込む釣りには向かないかも。

 あと、たいしたことではないけど、スプールが奥まったところに入っているので、海で釣った後に洗うときには、上のカバーとローターを外して水洗いしなくてはならず、ちょっとだけ面倒臭かった。

 なかなか仕組みも独特でいじるだけでも勉強になったし面白かったけど、メッキ釣りには好適な感じで塩梅良かったし、上手に使えば他にも使いどころありそうなので、売り物になるような綺麗な個体じゃないので、今後もたまに使ってみよう。

2022年8月20日土曜日

米国人に学ぶ多様性とかいうもの

  今回珍しくダイワです。雨降って作業できる涼しい時間にちょっとでも保留状態で貯まってるリール整備進めるかと、お楽しみリールは後回しで、ネットフリーマーケットで本命リールとまとめて千いくらのクソ安値で投げ売りされてたので、交渉して本命だけ買っても良かったけどモタクサしてる間に買われてしまうとしゃくなので、エイヤと買った時のオマケリールでございますが、いじってみるとこれがなかなかに面白かったです。

 モノとしてはダイワの「リーガルX2005-2B」という、樹脂製、ロングスプールで純テーパーの時代のわりと安いモデルなんだけど、なんといっても特徴はベールアームのところの、引き金をラインを拾った指でいっしょに引くとベールが起きる「オートキャストⅡ」とかいう機構。この機構、日本じゃそれほど流行らなかったけど、一時米国じゃ大流行で各社特許やら商標権の関係でいろんな仕組みや呼び名があったようだけど、必ずと言って良いぐらいにこの手のスピニングを作ってたぐらいで「左手でベール起こす時間ぐらいあるやろ?アメ人はせっかちやな~」と思ったモノである。

 さすがに、もうこの手のリールは売られてないだろうなと、米国釣り具通販大手の「バスプロショップス」を覗いてみたら、なんとまだ売ってやがる。シマノの「スピレックスFG」とかいう機種で、見た目も今時っぽくてシマノは米国用に今でも”素早く投げるための引き金”付きのスピニングを設計して売っているようだ。他にもあるかなと探してみたら、それ以上に衝撃のスピニングを発見。ダイワの「SSトーナメント」が売ってやがる!マジかよ!!国内では「ウィスカートーナメントSS」の名前で1980年代に登場、それまでサーフキャスティング用の大型スピニングに採用されていた純テーパーのロングスプールを樹脂本体の小型スピニングに初めて搭載、その後一大ロングスプールブームを巻き起こし、今のドデカコンパクトなスプール大きめのスピニングへの道筋を作った偉大なる革命機である。あるんだけど、流石に30年以上も昔のリールが新品で売ってるっていうのは、米国人の好みの多様性と良いものは買い支える選球眼の良さにやっぱり敬意を覚えるところである。SSトーナメントは2000年代ぐらいまでバスプロショップスでは現役で売っててその時点ですでに並外れたロングセラー機だったんだけど、よもや令和の時代にまた売られるとは思ってもいなかった。日本市場でABUのインスプールの「カーディナル3」が何度も復刻されるように、米国ではSSトーナメントはそれに匹敵する伝説的名機扱いなのかもしれない。外蹴りでまだ瞬間的逆転防止機構もラインローラーのベアリングも採用されておらず余分なモノは付いていない単純設計、本体樹脂製で大きめアルミスプールにデカドラグ、700以上にはグルグルコイル式のベールスプリング採用と軽くて壊れる要素が少なく使いやすく完成度は高く確かに名機だとワシも思う。おもわず700のほうにマウスが滑りそうになってすんでのところで踏みとどまった。円安じゃなければ摩擦抵抗少なくて滑ってただろう。くわばらくわばら。

 というぐらいに選球眼の良い米国の釣り人がお好きな、オートトキャスト(仮称)付きのスピニング、どんな塩梅なんだろうかというのは正直興味があって、出番はあんまり想定してないけど、せっかくなので分解整備しつつお勉強してみようってことにあいなりました。

 とりあえず、オートキャストの仕組みからまず紹介しておくと、そんなに複雑な仕組みではなく、上の写真で見ていただけるように、ベールアームの”外側”に出っ張りがあって、それをオートキャストの指をかけるところが伸びた根元のところでテコを使って押し上げて回してやってベールを起こすという仕組みになっている。

 適度な長さとか「Ⅱ」ってなってるぐらいだし色々工夫したんだろうけど右手人差し指で軽くベールが起こせるようになっている。ただ、回転にジャマな機構がローターに追加されているので、軽い回転とバランス的にはどうなのかな?という感じだけど、ワシゃあんまり気にしない人なので気にするほどじゃないかなとは思った。

 で、下の写真でちょっと分かりにくいけど、青で示したところが逆転防止の主軸にハマったブッシュの爪の部分なんだけど、ローター一回転につき一カ所しか掛かる場所がない。当たり前だけどハンドル逆転してオートキャストの引き金が手元に来て止まるためには止まる場所は手前側に一カ所しかありえず、何カ所も作ってしまったら用をなさないのは納得いただけるだろう。今時の”瞬間的逆転防止機構”に慣れた人から見たら、遊びが最大一周近くもあるってどうなのよ?って思うカモだけど、釣ってる間普段はストッパー外しておいて、タモ入れとかで片手を離す必要が生じたときだけストッパーを入れる”ミッチェル方式”を経験して普通に使えてしまうと、何の問題もないことがわかる。瞬間的逆転防止機構の利点って、ジギングやエギングでシャクりまくるときガチャガチャいわないっていうぐらいしかなくて、普通の釣りではハンドルを手で巻いている限りミッチェル方式で逆転する状態でも手で止めときゃ良いだけで全く問題ない。ローター一回転に一カ所だけのストッパーでもなんら問題ないことは使わなくても想像に難くない。何度も書いているように、シャクる釣りのときにガチャガチャいわない程度の利点のために、繊細で水が入らないように防水機能高めたりせにゃならんし、低温で油の粘度が上がって作動不良起こしたりもするという欠点だらけの機構を入れたリールばっかりの我が国の市場はアホやと思うんである。SSトーナメントも売ってる米国市場は賢い。

 分解自体は、本体蓋から開けていくのではなく、この時代のロングスプール機には良くある、まずスプールの台座を抜いてローターを外してから本体蓋を開けるという順番を知っていればどうということなく進めていける。

 スプール上下(オシュレーション)はハンドル軸からギアを介した減速式で今時みたいなS字じゃなくて単純な直線の溝。

 ボールベアリングはローター軸に一個、ハンドル軸に一個と最低限で、かつラインローラーには樹脂製のスリーブが入ってて、なかなか好ましい作り。

 全体的に、無駄なモノは入ってない感じだし、樹脂製本体は錆に強いしでなかなか実用性は高そうに思う。共回りのワンタッチつきウッドノブのハンドルもベールを起こす位置が理想的な位置に限定されるので投げたときの意図しないベール返りも生じにくそうだし、ドラグはカーボン繊維っぽいパッドの3階建てのが、大きなスプールを生かした大口径で入れられているし、このへんの安めのダイワは扱いやすく作ってあるんだろうなという印象。

 ひとつ困ったのが、ローター軸のギアにハマってるボールベアリング。

 ローターの下には海水入ります。っていうのを証明するかのように錆びまくり。まあ、海水入ってすぐ誤作動するような面倒くせぇ機構は入ってないので、錆びないように浸水させたら整備しておきましょうって話だけど、この手の安めのリールの常として、使いっぱなしで不具合生じるようになったら買い換え、整備は無し。っていう運用状況が目に見えるって感じで、本体からベアリングごとローター軸のギアは外れてくれたけど、ギアとベアリングが錆び付いて固着。ボールベアリングがシャーシャー鳴ってたので交換したかったけど諦めてパーツクリーナーで錆落とせるだけ落としてグリスモリモリでお茶を濁しておいた。ニッパーやら金鋸使ってベアリングむしり取るようにして外して新しいのに変えても良かったけど、そこまで手を掛ける気にもならず、全体グリス盛ってグリスシーリングで整備終了。

 シャーって音はしているけど回転は軽くなって、使う分には問題無さそうで快調。実際に握ってみて、ハンドル逆転で所定位置までローターを回してオートキャストとラインを指で引いてベール起こす、投げてからハンドル回してベールを返す。って想定しながらやってみると、たしかに左手でベール起こさなくて良い分、左手はずっとハンドルの世話だけしてれば良いし、右手でパチンとベール起こすのも素早くて手返しは良くなりそうで、次々投げる忙しい釣りなら便利な機能かもとはおもう。なかなか食ってこないボイルねらいで数打ちゃ当たるを狙うときとかが想定されるか?まあ、いつも欲しいってほどの機能ではない。

 ひとつ、感心したというか面白かったのがハンドル回してベール返した時の軽さで、国産のスピニングは、左手でベールを起こすワシのような釣り人が多く、重いウッドノブ付きのハンドルともあいまって、軽くベールが返ってしまうと意図しないベール返りが多くなるのでか、ベールの返りが重くしてあることが昔は多かった。このリールは写真真ん中を通っているL字の部品一本の単純な仕組みながら、ごく軽くベールが返るので気持ちが良い。せっかくオートキャストで素早くベールを起こして投げたのに、さあ巻き取ろうっていう段階でハンドル回してベール返すのに重くて一苦労してたら意味がない。意図しないベール返りはベールを起こす位置が理想的な一カ所に固まるので起こり得ないっていうのもあって、ちゃんとダイワさん軽く仕上げてきてて良く分かってる感じがする。これって要するに昔の国産スピニングにおいてハンドル回してベールが返るのが重かったのは、国内メーカーの技術力が劣っていた、リールの適切な使い方を把握していなかった、っていうことではなくて、作れるけど軽くしたらウチの国の下手くそな釣り人から「ベールの返りが軽すぎて勝手に返る」とかいう間抜けないちゃもんが来るので、できるけどあえてそうしてた。って話で、つくづく声のデカい馬鹿なヘッタクソに合わせて道具作って売ろうとすると、ろくなモノが出てこないなって話。下手クソ用に作った道具はワシ程度のたいして技術的に上手くはない釣り人でもすでに使いにくい。アメリカ市場のように当然流行の最新鋭の機種も売ってるけど、特殊な用途のやら、単純な機構の古い設計のリールも売ってるっていうのは、日本の市場規模では無理なのだろうか?カーディナル3の復刻が商売になるぐらいだから、やりゃできる気はするんだけど新しい金型を起こしてってなると採算取れないんだろうか?以前も書いたけどメーカーは何だって作れる高い技術を持っている。でも結局はそれを欲しがる釣り人が居るかどうかが鍵なので、くっだらないボールベアリング数とか、ワケの分からん昔からある技術の焼き直し程度の”新技術”に皆さん騙されてくれるなと、そんなもんに高いお布施を払うなとお願いしたい。

 ついでに、米国釣り市場の”多様性”って話になったので、かの多民族国家で多様性溢れる米国で”ポリコレ(政治的妥当性?)”という名の下の表現の自由に対する侮辱行為についてひとくさり”いかがなものか”と苦言を呈しておきたい。今日日、日本もグローバルスタンダード陣営に巻き込まれてしまってるので、昔から日本も単一民族国家ではなかったにせよ、近年特に都会じゃ店員さんが片言の外国人なのも珍しくないし、紀伊半島の港町でも水産加工場の工員として技術研修生?とかいう名の出稼ぎ外国人労働者が沢山来てて、直売場の特価品確保を巡って女工さんがワシとしのぎを削ってたりする。ってぐらいでいろんな文化のいろんな国から来た人達が暮らしていくには、お互いをよく知って尊重しあっていきましょう。多様性を認めることが大事、差別なんてもってのほか、っていうのはまあお題目として正しい。正しいんだけど、映画だのアニメだので”白人ばかりなのはオカシイ”とか言い出して、ついでに男と女しか出てこないのは性差別だとか言い出して、登場人物にいちいち白人、アフリカ系(黒人って書くと最近は怒られるそうな)、ヒスパニック、アジア系、先住民族、男、女、同性愛者、その他の特殊性癖など、を揃えないと批判されるそうで、新作映画のキャスティングがエラいことになってたりするとそれはそれで笑えるけど、そういう多様性に忖度した作品ばっかになってきて多様性を確保するためのはずが多様性を損なうという馬鹿臭い矛盾が生じてるのを見ると引きつった笑いしか出てこない。彼の国の表現の自由に対するいちゃもんのつけかたはなかなかにどうに入っていて、特にロリコンには厳しいようで、あっちのアニメでは日本の魔法少女モノみたいな作品は「少女が性的に搾取されている」とかいって非難されてるらしい。二次元の絵になに言ってんだ?って思うけど、最近でも「スパイファミリー」のアーニャちゃんがけしからんとあっちではネットで炎上してたと目にして、幼女のアーニャちゃんをみて”性的”っていうのがすぐに思い浮かぶ方がよっぽど変態的で頭おかしいと思ったんだけどどうなんだろう?米国ではそういうわけでジャパニメーションみたいな美少女モノはなかなか作れなくて、仕方ないのであっちのナード(≓日本でいうオタク)は子馬とか出てくる作品で性癖を歪ませているらしい。レインボーダッシュちゃんに欲情できるとかは多様性というもののある意味本質か?日本のマンガで、ロリコンに警告無しの発砲許可がでていて、みつかるとギターに偽装したマシンガン携えたアグネス・ザ・スタンビートが粛正にやってくるという”修正アグネス法”が成立したディストピア(≓パライソ)を描いた作品を読んで腹抱えて笑ったけど、日本でも一時どっかの都道府県が条令でマンガでもなんでも未成年の性的な表現を規制しようとしてて、とある知事が馬鹿でファシストなだけに成立して具現化しそうで怖かった。まあジャパニメーションみたいに画一的に美少女がでてくるのも”様式美”っちゃそうなんだけど、なんだかなと思わんでもないにしても、かといって規制されて女性の登場人物がみな大人でアメコミみたいな頬骨出た顔になったら観る気が失せるのも事実。

 ジャパニメーションで一番ポリコレ的優等生な作品はワシャ「タイガー&バニー」だと思ってたけど、ネットの識者が「ブラックラグーン」をあげていて、人種も様々な犯罪者達勢揃いで確かにそうかもと膝を打った。どちらも面白いので”ポリコレに忖度してアニメを作れ”っていうお題でやれといわれれば、制作者はそれに合わせて作るだけかもしれんっていう気はする。とはいえ表現の自由は、それが脅かされる状況の末路が”言論統制”という言葉から感じる気色の悪さからして想像にたやすいので、レジスタンスとして抵抗しておきたい。なんというか、多様性を尊重して少数者の意見を踏みにじることがないようにっていうのは正しいけど、そうはいってもくっだらねえこと言ってる輩には「馬鹿は黙ってろ!!」って発言権を与えないってわけにはいかんのか?と常々思う。などと、表現の自由の大事さを書いた直後にこんな矛盾したこと書いてまう馬鹿なワシも黙ったほうがええんやろか?

 ”多様性が大事”って昨今よく言われてるけど、わりと匙加減は難しいやね。多様性溢れる珊瑚礁の海よりも、オキアミとか単一種が優占する北の海の方が生産性高かったりする事実も頭の隅に入れておいてバチはあたらんだろう。”正しそうなこと”がいつも正しいとは限らんと天邪鬼としては警戒しておきたい。

2022年8月13日土曜日

売れなかった丸ミッチェルと競り勝った大森製太鼓リールほか

  売れンかったんじゃ~!見る目がないヤツばかりなんじゃ~!!

 ヒラフッコ釣って、参考写真として釣果をそえての”丸ミッチェル”ネットオークション出品だったんだけど、1周目、ガルシアシール付きの314は20以上のウオッチリスト入りが、CAPについても10人ぐらいはウオッチしてる人がいるようだったので、まあ大丈夫だろうと思ってたんだけど、入札無し。2週目に入ってもウォッチ数は同程度で、そこそこ感心は持ってもらえたようだけどやっぱり入札はなしで、これ以上出しても無駄かなということで、価値もわからん人間に安売りするぐらいなら墓場まで持ってったほうがマシということで、文字通りのお蔵入りと相成った。

 とはいえ、これで老後資金をなんぼかでも回収して、大幅な赤字事業(ちなみに現在マイナス18万1千173円)となっている中古リール売買の収支健全化をはかろうと思っていたのに、おもっクソ頓挫である。ここで反省して問題点を洗い出しておくのは今後のために必要だろうと思う。
 売れなかった原因として思いつくのは、とりあえず3点ぐらいで、
1.開始価格が高い
2.宣伝文がくどい
3.客層読み違えた
というのがある。

 「1.開始価格が高い」に関しては、買う側から見ればそうかもしれんというのは分かる、なにしろ相場だと7千円ぐらいのところを714は8980円、CAPは9980円開始と強気の値段設定である。同時期に3千円スタートの314とかも出品されていて、割高感は否めない。ただ、フルメンテ済みできちんと釣りできる状態に仕上げてある個体は、メンテ費用だけでも店で頼めば3000円からしてくるし、314はガルシアシ-ル付きの時代のもの、CAPはさらに年代物でそこそこ希少な個体で後者にはオマケで替えスプールもついてて、そのぐらいの値段は別におかしくないと思う。ヤ○オクでの落札相場が7千円程度とはいえ、専門のアンティークタックル店で整備済みのを買うとしたら2万円近くしていてもおかしくない。そのぐらいの価値はあると自信を持っての開始価格だったけど、見た目の綺麗さと値段の安さぐらいしか判断基準とされていなかったようで残念である。

「2.宣伝文がくどい」は、諸刃の剣でしっかり読んでもらって納得してもらえれば、購買意欲をかき立てることもあるかと思うので・・・っていうのは言いわけで、書きたかったから書いているという要素が大きい。だって、スピニングなんてこの時代のでも多少気をつけるところはあるにしても、ちゃんと釣りになって楽しめるし、こういう見た目も個性的なリールで釣るのは楽しいですよ、っての声を大にしてできるだけ詳細に具体的に細かく委細漏らさず包み隠さずお伝えしたいので、読んで欲しいのである。読んで欲しいのであるけど、年始めに読了したSFの古典的名作「華氏451度」でも既に指摘されていたように、時代が進めば進むほど”短く端的に”という感じでじっくり物事を読み込んで考察したり鑑賞したりという気運が薄れて、リールの宣伝文句でも、アホみたいな「何g軽い」「ボールベアリング何個」とかの分かりやすい宣伝文句が効いてやがるんである。そのコトに対する反抗として、おもいっくそ思い入れタップリにネッチョリと独断と偏見で書きまくったので試しに読んでみていただきたい。
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ミッチェル314 プラナマチック搭載機 仏製 バスやシーバスにいかがでしょうか?!

<商品説明>
【メーカー】カーパノ&ポンズもしくはミッチェル
【品名】 314
【糸巻き量】ナイロン4号200m(ワンタッチ式深溝金属スプールです)
【ギア比】3.2:1
【重さ】約240g(実測)
【シリアルナンバー】本体に「07982」
【推定年式】1961年型(裏面にCAP表示がある314であることから推定)

 ミッチェル社が世界的ベストセラー「300」を作る前に、依頼を受けてカーパノ&ポンズ社時代に初めて作った、ボディーが丸く可愛いくオシャレなスピニングリールである「CAP」。その丸いボディーの流れをくむスピニングはミッチェル社時代にも「304」「314」が作られており、314はワンタッチスプールやスプール上下にプラナマティック機構を採用した上級版です。
 ミッチェル社はカーパノ&ポンズ社から1965年に独立したそうです。アメリカへの同社製品の輸出は早くから行われていたようですが、この時代はまだガルシア社の販売網で売り始めたばかりの過渡期なのか、後年アメリカ販売版は本体蓋にミッチェルロゴに加え「ガルシア」と英字で刻印されるのですが、この時期は黄色いガルシアシールが貼られています。
 また、本体背面には「CAP」の浮き彫りがあり、これらの特徴から海外のマニア氏のサイトを参考に1961年型の米国販売版314と推定しました。誤りがあった場合はご容赦下さい。
 海外ネットオークションで米国より購入したものです。

 特徴としてはなんといっても丸くて可愛いボディーの造形で、これはベベルギア方式のメインギアの形をそのまま反映したものです。左巻き専用です。
 ギア比は3.2:1と低速ですが、240gの小型機のわりには大きなスプール径のおかげで古い丸ABUよりは早いかなというぐらいの速度では巻き取りできます。ルア-をアップストリームに投げる渓流の釣りには厳しいですがシーバスやバスの釣りで巻きモノを低速で巻いたり水面系でネチネチやるのには好適かと思います。
 同様の仕様の314の別個体で参考写真のように実際にシーバス釣ってます。

 プラナマティックは詳しくはマニアな人のサイトでも検索して調べていただきたいのですが、簡単に説明すると、スプール上下をちょっとずつ行ったり来たりしつつ行うことで全体としては”密巻き”にしてスプール上下に使う力を少なく済ませ、ラインの放出性を上げる機構だと思っています。ミッチェル社の人気機種408、308にも搭載されていました。

 インスプールのリールなのでベールはハンドル回して戻す方式です。手で無理矢理戻すと壊れます。
 ラインローラーは固定式で回りませんが、多少糸ヨレ入るのが回転式より早いかなという気がしますが、ナイロンラインだとラインの劣化を考慮して交換するぐらいまでは持つので実用充分な性能かと思います。

 ドラグ性能も青物狙うのならともかくシーバス程度であれば問題ない程度のまともなものです。
 
 ミッチェル社というスピニングリールの歴史上とても重要なメーカーの、その歴史を感じられるとても素敵なリールだと思います。コレクションはもちろん、実用機としても世界中で多くの釣り人がこのリールで釣りを楽しんだという実績からも分かるように、なかなかの実力だと感じています。設計時の技術的な限界のなかで上手く設計して実用に耐える性能を確保していることが使ってみると実感できるかと思います。
 何しろボールベアリングが一個も使われていない、そんな時代のリールですが巻きは軽いです。ただ今時のリールと比べると多少ギアノイズはうるさめではあります。でも、そのあたりも一所懸命ベベルギアが仕事しているのを感じられて良いものです。というような感覚の、古い道具を楽しめる人むきです。

 購入して、分解してパーツクリーナーで掃除して注油しています。グリスはABU純正、オイルはダイワオイルⅡを使用しました。地味ですが分解清掃注油のフルメンテはショップとかに頼めば3000円からするはずなのでお買い得ポイントです。

 手元に届きましたらラインを巻いてすぐに実釣可能ですが、使用時2つほどコツがありますので参考にしてください。
 一つは「ラインは少なめに巻く」ということで、私も初めて314を使う時に、見せてもらおうか噂のプラナマティックの実力とやらを、とわりと多めに巻いて遠投性を試そうとしましたが、ラインがドバッと絡まって出るトラブル頻発で使いものになりませんでした。識者にご意見をいただいて糸巻き量を不安なぐらいに少なくしたらトラブル激減、快適に使えるようになりました。密巻き気味になるのでライン多めに巻くとどうしてもラインがまとまって出ていく不具合は多くなりがちで、ラインは少なめに巻いてトラブルが出るようならさらに少なくして調節してみてください。ライン少なめでも飛距離は充分出ます。下巻きを逆テーパー状に手で調節して巻いておくのも効果あるかもです。
 もう一つは、逆転ストッパーを普段はオフにして使ういわゆる「ミッチェル式」で使うのが無難です。往年のインスプール時代のミッチェルスピニングに共通のようですがギア裏に設けられた逆転ストッパーの歯がそれほど耐久性がなく、強いアワセのときに”飛ぶ”という話を聞きます。慣れてくると逆転ストッパーをオフにしていてもハンドルから手を離して釣りしてるわけでなし逆転などしないわけで問題なく使えます。魚が掛かって取り込みの際にタモなりフィッシュグリップなりを使うために片手が必要になるので、その時にストッパーをONにして使うのが「ミッチェル式」ですが、右手人差し指でスプール止めても間に合います。お好みで。
  正直ちょい癖のあるジャジャ馬ですが、普通に釣りが楽しめる範疇なのでジャジャ馬乗りこなすのも楽しいモノですよ。

 それから、これは書かない方が良い欠点に数えられるかもですが「ミッチェル足の呪い」というのがありまして、古いミッチェルスピニングはフットがおフランス出身のためか長めで、手に入れたのはいいけど竿のリールシートにハマらん!という事態がありえます。単純なリングシート方式やfuji社の「DPS」とかのパイプシートには装着可能ですが、ハマらない竿に装着するには足を削る必要が生じます。足だけどあしからずご了承ください。ちなみに実測で約68mmでした。
 
 最近の落札例を見ていると7~8千円ぐらいになっておりますが、整備済みということも加味して強気の開始価格でいかせてもらいます。落札相場は安すぎる気がします。棚に飾っておくだけの骨董品ならそのぐらいかもですが、このリールは実用品としてもいまだ充分の能力を有しておりもっと評価されて然るべきだと思っています。

 ただ、写真でも分かるとおり、置き傷やシールの退色など見た目はそこそこ小さなダメージやらがあります。写真では全て写し切れてはいないかもしれません。綺麗な美品をお探しの場合入札を避けた方が良いと思います。
 今時のどれ買っても同じような見た目のリールに飽きたなら、個性的なルックスには自信ありなので良い選択になると思います。
 良い値段で売れると嬉しいというのもありますが、誰かに使ってもらえて気に入っていただければとても嬉しいというのもまた偽らざる気持ちです。 

 発送はゆうパックお手軽版でお願いします。サイズ60です。
 
<その他・注意事項>
ご落札後は2日以内のご連絡と2日以内の決済手続きをお願いします。
決済手続きしていただいてから2日以内の発送を予定しておりますが、個人出品ですので若干お時間いただくこともあり得ます。あと郵便局の開いてる日の都合も曜日によってはあり得ます。急ぎの場合その旨連絡欄からご相談願います。
商品についての記述は誠実を心がけておりますが私の主観に基づくものもあり、落札者様の感じ方と必ずしも一致するとは限りません。入札は写真等を確認のうえ、そのあたりを御納得された上でお願い致します。
御不明な点がありましたら質問欄からご質問ください。
当たり前ですが出品物に最後の参考写真に写っているロッドや魚等リール以外のモノは含まれません。他の写真の背景の畳も含まれません。魚や畳はさすがにネタですが、こういう注意書きを皆さんしておられるということは、その手の言いがかりを受けた事例があるのでしょうね。めんどくせぇことです。
当方、非喫煙者ですが猫飼ってます。毛の混入の際はご容赦下さい。
商品到着後はノークレーム、ノーリターンでお願いします。
海外発送はいたしません。
評価の悪い方、システム側で本人確認の取れていない方は入札を制限させてもらっています。
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 ちなみに参考写真はこんな感じ。
 当ブログの読者さんなら、全文読むかもしれん。でもまあ普通の人はこんなくどい文章読まんよね。わかっちゃいる、わかっちゃいるけど書きたいんだもんしょうがない。働いてたときに、常々文章短く端的にと言われて苦労させられた、言いたいことが書ききれなくてもどかしい思いをした、その鬱憤を晴らすべく、今ワシ書きたいことは全部書く。読んでもらえなくてもかまわない。ワシが満足するのが第一なんじゃ。仕方ないんじゃ。なんかフワフワとした美辞麗句で飾って売り飛ばして目くそ銭稼いで、それがどうした?って思うんじゃ。ちゃんと良いところ悪いところ特徴や癖なんかを知ってもらって手にしてもらって、楽しい釣りをしてもらう、あるいはコレクションに”これは良いものだ”と納得して加えてもらうことのほうがワシにとって気持ちも良いことだし、単純に売れる方向を目指せば良いというふうには思っていないんじゃ。思っていないけどクドすぎるとはちょっとだけ反省している。

「3.客層読み違えた」っていうのは、いろんな意味で今回間違えてたと思う。
 じつはこれまで、ネットオークションに出品したリールはほぼ1週目で落札されており、悪くても2週目で売れている。PENNにせよ大森にせよ自分が売り買いするような機種は、実用機なのである意味値段は堅くて、ほぼいくらで売れるか読める。だいたいウォッチリスト入りが10ぐらいあって、1人か2人入札で開始価格かちょい色つく程度で売れる。人気は無いけど底堅い需要はあるという感じか?
 今回、ミッチェルを売るということになって、PENNやら大森不人気機種とは次元の違う人気ブランドのリールということで、多くの人が目にするだろうし、濃いめのマニアも居るだろうから多少高めでも買う人居るだろうと思って強気の開始価格でいったけど、アテが外れた。
 ミッチェル買う層って例外的なドマニアを除くと、結局408、308ぐらいしかみてなくて、人気のあるそれら以外には金を出さんようだ。逆にドマニアには”整備済み”なんてのは何の価値も無い。自分で整備する楽しみが減るぐらいだ。ミッチェル買う層の多くはミーハーで、408が名機だって”みんな”が言ってるからそれが欲しいっていうだけの場合が多いって話か?
 これまで、PENNや大森で堅く売りさばけていたのは、そのリールが欲しいというマニアックな1人、2人に響く”釣り書き”と相場どおりの価格設定ができてたからで、今回もそういうマニア向けに完全にふった戦略でいけばまた違ったのかもしれないけど、へたに人気のあるブランドだけに”ミッチェル”に興味のある層を釣ろうとして欲かいて釣り損なったということである。たしかにミッチェルっていうだけで注目度は高かったと思う。ウォッチリスト入り20件以上なんて、リール売ってて初めてで、間違いなく入札者あるとウキウキしてたのにこの始末。注目度は高かったけど、丸ミッチェルみたいなマニアックで世間の評価が定まっていないマイナー機種に手を出すほどのマニアには今回の釣り書きでは響かんかったようだ。まあ、へんに安く出して、扱えもしない、かといってミッチェルの歴史に正当な敬意も払えないような人間の手に渡ってしまうよりは、我が家の蔵の肥やしになってた方がマシだと思っておこう。あの葡萄は酸っぱいに違いない(欲しいっていう方はご相談下さい、直取引なら手数料とられないのでなんぼか勉強させてもらいまっセ)。

 結局、欲しい人が最低1人居てくれれば売れて、どうしても欲しい人が2人居たら値段が競り上がるってぐらいで、マニアックな機種で多くの人の注目を集めて競らせて高く売ろうというのは、戦略的な大失敗であるっていうのは、つぎについでにご紹介する大森製太鼓リールの事例で明らかである。なんでも勉強やねぇ。

 
 ハイまたお前様なにリール買ってんねん。アタイ病気が憎いッ!
 流れるように速やかに恒例ではございますが説明させていただきます。
 大森製作所が、スピニングリール以外にもクローズドフェイスリールや太鼓リールを作っていたらしいというのはどっかで目にした記憶があるんだけど、それらを目にする機会は実物でもネット上でもこれまでなくて、例によって”OEM”という名の下請け仕事で、海外のブランドやらもしかしたらオリムピックとかの国産リールとして売られてたのかなと想像していた。
 なにしろネットオークションとかでも見た記憶が無い。
 ところが、ホイッとヤ○オクにこのリールが出てきて、これは写真見られただけでもありがたいけど、手に入れとかんと次の機会はないなと、クリックブレーキがなくなってしまってる状態ということで、あんまり状態良くはないけど、その分開始価格は安めで、さすがにこんなモン欲しがる人間は限られてるだろうと思うも、ワシ以外にももう一人ウォッチリストに登録している人間がいる。様子見で登録だけだとよいなと、牽制の意味もあって早めに入札しておいた。しかし、ワシがそう思ったように、その筋のマニアにとっては手に入れておきたい品でもう一人も買う気満々で競ってきて、結局送料込みで3960円でなんとか逃げ切った形。ちなみに最高額5200円で自動入札してた。こんなボロい太鼓リールに5千円とかアホかと。でも、だって、欲しかったんじゃー!仕方なかったんじゃー!!

 でもって、この太鼓リールはいわゆる「横転リール」でリールフットからグリンと90度捻ることでスピニングリールのようにラインを放出するコトができるようになるタイプで、同様のリールとしては「Fuji」の樹脂製のが昔は標準機だったのか今でも黄色い中古釣具屋のワゴンとかで二束三文で売られてるのをよく見かける。とても単純な作りでこれで投げて巻いてできるなら、倍速ギアとか入れたくはなるにせよスピニングリールいらないじゃん、って思うかもだけど使ったことある方はご存じかと思うんだけど、これ投げるとき横転してライン放出、巻くとき戻して真っ直ぐ?巻き取ると、ものすごい勢いでラインにヨレが入るのでほぼ横転させて投げることに使うことは無理。なので今でも単純で玄人好みのする片軸受けセンターピンの太鼓リール自体はチヌのヘチ釣り用とかで作られているけど、横転リールは少なくとも国内では作られていない。ワシが使ったのは船備え付けのを借りてカレイ釣りしたときだったけど、3,4回落とし込んで回収しただけで”どこでもビミニツイスト”状態だった。
 今回購入して糸ヨレ対策として、ヨレが入ったら左右逆につけ直してヨレの入ってるあたりまで投げてラインを出した状態で輪ゴムででも一端ラインを止めて、逆巻きにしてつかって糸ヨレを取るっていうのを試してみようかと思ったけど、逆転してからは6から8投ごとになるにしてもヨレるたびにリール外して左右付け替えとか面倒くせえうえに、この機種は逆転防止が右巻専用でかつ、クリックブレーキが壊れてなくなってるということもあって、写真のように単純な構造なのでクリックブレーキの自作ぐらいはできそうだけどすっかりやる気がなくなっってしまった。横転リールの左右交互使用はどなたか興味のある人は試してみて欲しいところ(追加註:Fujiの横転リールにはそれ用のラインクリップ付きのモデルがあったそうな。まあワシが思いつくようなことは先人が既におもいついてるわな)。

 というわけで、実釣にはあんまり使えそうにないこのリールだけど、なかなかに趣のあるリールで購入して損はなかったと思ってる。
 リールの名前は「ダイヤモンドリール80ミリ型」というのでよさそうで、トレードマークの感じからいっても”ダイヤモンド”の名前からもスピニングリール作る前かもしれないぐらいに古い時代の大森製作所のリールだろうというのは見て取れる。ただ、よく見るとトレードマークの星印が微妙に後年の見知ったモノと違う。後年のモノはご存じのように正方形を重ねた”八芒星”の中に大森製作所ご自慢の斜めに歯が切ってあるハイポイドフェース方式のハンドル軸ギアが意匠化されているけど、このリールのは正三角形を重ねた”六芒星”でギアのデザインも取り込まれていない。
 後年のトレードマークは以前所有していたフリッパーの箱にもすでに見て取れて、フリッパーはまだアメリカでシェイクスピアブランドで売る前の機種らしいので60年代とかの製品で、それ以前の時代に作られたのがこの横転リールだと推定できる。という感じで実に歴史を感じられる”お好きな人”にはたまらんリールでございました。これワシと競った人このブログ読んでくれてる人じゃないかって気がするんだけど、他にも知りたいことがあったらお気軽に質問してください。

 っていう感じで、ドマニア1人に届けば売れるし、2人に届けば競り始めるっていう事例がもういっちょありやした。米国では一般的だけど日本ではあんまり多くはない”部品売り”でマイコンSSのパーツが売りに出てるのをみつけた。マイコンSSは以前分解整備したときに主軸にハマっているCクリップを外すのに腰を痛めるぐらいの苦戦を強いられて「2度と我が家の敷居はまたがせない」と心に誓ってるんだけど、皆様ご存じのとおり大森スピニングは部品の互換性が結構あって、スプールとかはマイコンSS持ってないと生かしようがないけど、ハンドルとか同時代のどの機種でも前後の大きさぐらいなら使えるうえに左右共通だし、ローター周り一式も少なくともラインローラーとベールアームは共通でベールスプリングやらベールワイヤーやらも機種によっては使い回しできそう、ついでに本体蓋もハンドルキャップが無くて椅子の足用のゴムキャップで代用してるタックルオートSSが蔵に転がってるのでできれば欲しいなと、ハンドル、ローター、本体蓋に入札しておいたら、これも3,4人しかウォッチしてなかったにもかかわらず、ハンドルとローターは競り負けた。ハンドルは気合い入れてそれなりの金額突っ込んでたけどドマニアなら価値が分かるって話で”私負けましたわ”と回文で敗北宣言を出さざるを得ない状況だった。まあ本体蓋手に入ったのでキャップは役に立つし、ネジ3本も備蓄しておけば何かのおりに役立つだろう。蓋そのものは今のところ出番がなさそうなので、例によって銘板が剥がれてしまってるマイコンSSをお持ちの方で欲しいという方がおられたらご連絡を。送料負担してくれれば進呈します。

 という感じで地味に”大森熱”はぶり返してて、まあ今期のシーバス絶不調ならさもありなんという感じで”仕方ないんです”ってお見逃し願いたいんだけど、実はこれだけで済んでないのよね。って実態で何じゃらかんじゃら買ってしまっておりました。ただ分解整備するのは台所の空きスペースに常設の作業ブース(っていうほどの大仰なものではなく座椅子とダンボール箱の”机”が転がってる程度)を設けてあって、我が家で唯一のエアコンある部屋には猫様がくつろいでるっていう状態なんだけど、さすがにこの暑さだとエアコンの効いた部屋以外で集中して作業ができない。部屋で作業したらリールの部品が猫様のオモチャになってしまうのは自明であり避けられないということで、途中まで手を付けたリールとかも放置しております。今日は雨降ってて気温低めのまとまった作業時間ができそうなのでちょっと進めるか?いずれにせよ涼しくなってきたころにはご報告できるかなと思っちょります。

 クソ暑い日々が続いたと思ってたら、地域によっては大雨で被害が出たりと油断ならん天気も続いてますが、みなさま安全第一で。エアコン効いた部屋でネットブラブラしつつウダウダやってるとマウスも滑りがちなので各種熱病にもご注意を。

2022年8月6日土曜日

食物連鎖の制御は人間には荷が勝ちすぎている

 久米島で人為的に傷つけられたアオウミガメが多数見つかって、地元漁師が関与を認めているというニュースはなかなか衝撃的で、ヤフー様のニュースでもワシ用のお薦め話題のところではなくトップニュースの欄に出てくるぐらいで世間的にも関心が高いようだ。

 もちろん国際的な野生動物の取引についての約束であるワシントン条約(CITES)でも全種が対象となっていて、我が国でも保護の対象となっている海亀を許可なく傷つける行為はあからさまなルール違反である。そう、許可無くという但し書きをつけたことからも分かるように、小笠原や沖縄などでは捕獲頭数や体長制限を設けつつ漁獲して消費しているということは意外と知られていないかもしれない事実である。

 ただ、今回の件を事件関連の記事を追うと共に、アオウミガメの保護の状況とか背景を調べていくと、意外な事実もあって、いかに生き物と環境が複雑に絡み合ったなかで、人間がその管理を適切に行うことが難しいか、まざまざと思い知らされた感がある。

 とりあえず、植物食のアオウミガメの個体数が増えすぎてモズクの漁場をハゲさせたり網に掛かって漁がままならんという実態があることは事件を伝える記事でも紹介されており、漁師を一概に責めるのもかわいそうだという論調が目につくのにはホッとする。社会正義の戦士様やら動物保護団体に問答無用につるし上げ食らって、それに世論が誘導されて必要以上に虐められたら漁師さん正直かわいそうである。もちろん傷つけられた亀さんもかわいそうではあるけど、双方メシ食わなきゃ生きていけんのでどちらかを一方的に加害者扱いするのはよろしくないと感じる。久米島村としても海亀と漁業の共存を模索していきたい、と真っ当な声明を出していて、どうかみんなで良い知恵を絞って良い塩梅に落としてもらいたいところである。個人的には極論して漁師さんが首くくるはめになるのと海亀が当該海域で絶滅するのとどちらかを選べと言われたら、海亀にはかわいそうだけど泣いてもらうだろう。ワシャ竜宮城には招待されやんな。乙姫ゴメン。

 最初反射的に、増えすぎたんなら間引けば良いんじゃないの?とワシ単純に考えた。幸いアオウミガメは美味しい方の海亀として認識されていて、「ゴールデンカムイ」で食いしん坊のアシリパさんも、アオウミガメで幸運だったアカウミガメは臭くて食えないぞというようなことを言及していたし、古くは欧州でも”海亀のスープ”の材料として珍重され、「エバ」で貴族お抱えの腕自慢の料理人が出したその料理に登場人物が目を見張る場面があったし、古くからあるクイズにも”海亀のスープ”ってのがあるぐらいで食材として優秀なようだ。ちなみにあのクイズ高校生ぐらいのときだったか初めて聞いたとき、考えるまでもなく答が分かったんだけど、意外に周りの人間分かってなくて、この人達はお気楽に生きていけそうで良いなぁと思ったモノである。分かる人間は海亀のスープ飲んで自殺してしまう側の人間だということである。

 海亀の保護活動として、素晴らしいと思ったのが、コスタリカだったと記憶しているけど、ヒメウミガメの仲間が大挙して産卵に押しかける”アリバダ”とよばれる行動が知られる地域で、地域住民が参加しての海亀が産卵しやすい砂浜環境の保全やら密漁の監視などで産卵個体数が大幅に増えているという事例があって、その事例のキモは保護にも地元民参加してもらうけど、一定数枠を設けて卵をとって食べて良いとしている点で、もともと卵食べたり売ったりして乱獲して減っていたところを、単に保護せよと押しつけるのではなく「保護を進めて産卵個体数が増えれば、取って良い卵も増えますよ」と積極的に保護したくなる理由をくっつけて、自然と上手く回るような仕組みを工夫したのが上手だなと感心した。

 アオウミガメも食べる文化は元々あることだし、食べる利用を増やして数調整すれば良いじゃんと当然ワシ思った。じつは西表島とかでも同様の問題はおきているようで、なら沖縄全体のアオウミガメの漁獲枠をふやしゃいいじゃんと思うんだけど、ところがことはそう簡単ではなくて、保護を進める研究者によると、一部の海域で増えてるのは間違いないけど、それは限定的で、現在でもアオウミガメは絶滅の危惧を逃れてはいないとのこと、要するに埋め立てやら開発やら環境悪化やらもろもろで、海藻やら海草やらが生える浅い海の好条件の場所は限られていて、そこに当然アオウミガメも漁師も集中せざるを得ないようなのである。加えて、沖縄方面で行われている漁業被害を防ぐためのサメ類の駆除によって、成長した海亀の自然での唯一と言っていいぐらいの天敵”イタチザメ”の個体数が減ったのも、風が吹いて桶屋が儲かる的に効いてきているとか、さらには近年では海亀の食用需要は減っているとか、もろもろ複雑に要素が絡んでて、単純に漁獲枠増やして間引いたら”絶滅しました”とかに最悪なりかねないうえ、枠増やしても消化できるのかも怪しく、単純にいかないややこしさがあるようなのである。ただ、アオウミガメの食害で藻場が消えるのは保護を進める当局である環境省でも問題視しているようで将来的な個体数調整の検討を2022年2月策定の生態系回復計画原案に盛り込んだそうである。専門家交えて良い知恵しぼって欲しいと切に願う。その際に野生生物を保護しなければならない理由は何か?というのをしっかり念頭に置いて欲しい。要するにそうしないと我々人間にも桶屋の儲けみたいに巡り巡って禍が降りかかるから自分たちのためにそうするのである。動物保護団体みたいに動物の権利とかワケの分からんことを言い出すと収拾がつかんくなるのでそこは間違えて欲しくない。

 保護したら一部の場所で数が増えすぎて困るとか、ことほどさように予想もできない事が起きうるのが天然自然の生き物の常で、正直ある程度は事象が起こってその後から、実態に合わせて対応していくしかない部分があるっていうのは、魚釣ってても強く感じる。いつも口癖のように言ってるのだけど「単純な物理現象の明日の天気予報が外れるぐらいなのに、複雑怪奇に絡まった要素を読み切って魚の動向予想するなんて無理」って話である。まあそれでも必死で読もうとするし、ある程度はハメることはあるけど、基本出たとこ勝負で来た魚を釣っておけである。

 にもかかわらず、漁業の世界でも”資源管理”ってのは錦の御旗のように振りかざされ、お気楽な評論家みたいな学者先生が、ノルウェーサバを例に、大きく育った単価の高い魚を漁獲するべきだとかのたまう。

 ア・ホ・ト・チ・ガ・ウ・カ・?

 資源管理は獲りすぎて種親まで減らしたら資源が減るっていうのは間違いなくて、基本は間違ってはいないんだけど、単純に単価の高い大型魚にしてサバ(マサバ+ゴマサバ)を売れっていうのは、水産業の現場を知らない机上の理論だとワシャ思う。まずはそこまで資源の未来を正確には予想できないってのが大前提。獲らずに大きくなるの待ってたら居なくなったなんてのはありがちである。ワシも近所のゴンズイ資源大切に温存してたけどなんか釣れなくなってしまった。ノルウェーでもせっかく育てた資源がお隣の国の海域に行ってしまってなんていう失敗もあったと記憶している。逆に今年のはしりのカツオみたいにいきなり脈絡もなく獲れる時もある。マイワシがだいぶ上向いてるけどマイワシの豊漁期なんていうのにアタったらどうにもならんぐらい獲れるけど、それを自然の摂理である”魚種交代”に反してまで維持管理することはできない。

 あと、大型のサバを大量に獲れるようになったら、値崩れ起こして結局儲かんないってツッコミもあるけど。実際にはその逆で、大型に育つまでには必ず数的に減耗してしまうので利用できる資源の総量としては大幅に減る。小さいサバには小さいサバなりに加工原料としての需要等があって、今サバ獲れなくなってきてサバ缶高いけど、安いサバ缶にありつけたのは総量多い段階の小さいのもドカッと水揚げしてたからである。獲りすぎはマズいけど適度に小型のウチに利用できる量は利用して、小型も大型もそれぞれ適度に利用するのが理想と言えば理想のハズである。

 ましてやノルウェー方式で各漁業者の割当量を決めて、良い値段で売れるように努力するよう仕向けろとか、耳ざわりはいいけど、じゃあ日本みたいな津々浦々いろんな規模の漁業者がいて、流通経路も様々ななかで、どうやって割り当て配分するのかってのから難しいけど、それ守ってるの誰がどうやって確認するのか?って話で、確認できないからズルして割当量ごまかしたヤツが旨い汁吸うのが目にみえてるけど先生はたしてどうするつもりで仰ってるのだろうか?サバの大規模な水揚げ現場に調査仕事で行ったことあるけど、件の学者先生に獲り放題で乱獲だと批判されてたけど、実態は加工業者と冷凍業者の処理量が上限になってて、漁師さん一回出るとしばらくお休みとかで全然獲り放題になってなくて、言われてるのと違うやんけと思ったモノである。そういや、水産の世界も構造改革とかで制度新しくなったはずだけどどうなってるんだろって?覗いてみたら個別割当量制度の対象は国が管理してるような大規模な漁業だけに絞ってて、評論家じゃなくて実際制度回す人達は当たり前だろうけど現実的で妥当な落としどころ考えてやってるんだなと安心した。

 てな具合で、保護にしろ資源管理にしろ、守れば増える、獲りすぎたら減る、ぐらいは間違ってないけど、細かく予想して計画的にっていうのは頑張るにしても限度があって、そもそも完璧にってのはどだい無理な話で、ある程度基本的な方向性を決めておいて、問題起こったらその都度軌道修正なり対応策追加なりができるよう柔軟性を持たせておくぐらいが最善手(実際昔から全体での漁獲可能量を管理する”TAC制度”では”期中改訂”とかやってたはず)で、その際に当事者が納得できないような変な机上の空論じゃなくて、地に足ついた当事者も参加しやすいような”自然とコトが上手く回るような仕組み”が大事だなと思うのである。

 我々も生態系の一員で食ったり食われたり利用したり利用されたりの中に組み込まれているので、難しいけどそれを無視して生きてはいけない。いやでも自分のこととして考えて、より良いと思える手が打てるなら重畳、何とかして最低限の妥協点すら見いだせないなら、ろくな結果にはならないということは肝に銘じておきたい。つい最近もヤフー様のお薦めしてきてくれた記事で、ネパールでトラの保護政策が上手くいって個体数が増えてきている、けどトラによる人や家畜の被害も増えてるってなのがあって、ことの難しさに唸ってしまった。

 一方先日、ネットでとあるヴィーガンの発言として「もし人間を食べる上位の存在がいたらあなたたちは食べられることを良しとするのか?」という趣旨のお言葉が紹介されていて、ほとほとあきれ果てた。コイツら結局、人間様が他の生物より一段上の上等の生き物だから他の生物の幸せとかも守らなければいけないとか本気で思ってそうでウンザリする。神様の視点でありおこがましいこと甚だしいったらありゃしない。それをこともあろうに、このウイルスっていう定義上は生き物ですらないかもしれん”天敵”に痛めつけられまくって、人間なんぞたいしたことがなくて生物としては頂点でも何でもないってのを思い知らされてるコロナ禍の真っ最中に言うかね?人間を直接パクッといく生物はなかなかお目にかかれないけど(トラに食われるならワシちょっと嬉しいかも)、それでも人を殺しうる病原性の生物とかの天敵はいくらでもいる。自分より上位の存在が居て食べられることを良しとするわきゃないし実際必死で対策取ってるのはご存じのとおり。それは人間が食べているのも含め全ての生き物、もちろんヴィーガン様が食べている植物もふくめてみんな「食われたくない生き延びたい」って、たとえ思考はせずとも確固たる”生存戦略”として持っているはずだ。じゃなきゃ生き残れん。小さい頃、兄がと畜場の手前まで連れてこられて逃げ出して走り回ってる農耕牛の話をしてくれたのを憶えている「農作業まだできるから殺さないでくれってアピールしてるんだろう」って兄は見立ててた。牛だって必死で生きたいと思ってるだろう、でもワシ牛肉も食べる機会があれば食べる必死で食べるワシが幸せに生きるために食べる。人間もしょせん食って食われて生き残りをかけてしのぎを削る生物種の一つに過ぎず、生き残るために人間のため自分のためにまず必死で生きろと神様気取りの輩どもにはコンコンと説教してやりたい気分である。牛ができることをまずやってからほざけと。大丈夫かホモサピ?