2021年10月2日土曜日

シングルウィングプロップベイトというは浮いて止められるバズベイトと見付けたり

 プラグのジョイントボディーの後半に1枚羽が生えていて、後半のボディー自体が回転するトップウォータープラグというのは、結構昔から北米のマスキー用のルア-では定番的に売られていて、大きさが20センチ近くあるような大型ルア-なので、小型のバスプラグのように単純に金属ペラをお尻に付けるっていうわけにはいかない理由があるんだろうなと思ってたら、どうも数年前ぐらいに”シングルウィングプロップベイト”とか言うらしいけど、その、ボディー後半が1枚羽根で回るタイプのルア-、を小型化してバスルア-にしたのが、米国トーナメントシーンを賑わしたようで、後発のメーカーも含めていくつか同タイプのルア-が出ているようで、ネットでなんか面白いルア-がないかと探してたら引っかかってきた。

 普通のスイッシャーと何が違うんだろう?一部とはいえボディー自体が回るっていう要素を考えると、ミルスピンやヨーズリのオケラのような胴体回転系に近いのだろうか?と疑問に思って使用動画を見てみると、音の質とか水の動かし方とかがむしろバズベイトで、コレまでもあることはあったけど、バズベイト系のプラグなんだなと自分の中で理解した。

 バズベイト系のプラグとして一番有名なのは、本体前部にバズペラを持って来たフレッドアーボガスト社のスパターバズ(右写真、スカート腐ってしまってます)もしくはペラの形はやや違うけど似たようなスパターバグだろうと思う。なぜ、バズベイトのペラを持ったプラグが欲しいのかといえば、バズベイトは止めると沈むので、一瞬沈ませて食わせるという技がないわけじゃないけど、基本着水したら急いでただ巻きの忙しいルア-で、それを浮くボディーと組み合わせると、着水後波紋が収まるまで待って動かすとか、途中で止めて間を作るとかができるっていうのが利点なんだと思う。とはいえ以前にも書いたけど前方に重いペラを持つこの手のプラグは、一旦止めるとペラ部分が沈んでしまい、再度動かすときに立ち上がりがモタクサしてあんまり塩梅よろしくなく、基本タダ引きで使ってしまうので”バズベイトでいいやんけ”ってなってしまう。

 という問題を解決して、バズペラをプラグに搭載しつつ立ち上がりの反応を素早く、って考えたルア-も過去いくつも作られてきていて、一つの解決策としては本体の浮力を大きくしてバズペラの重さを支えてしまうという方法で、今だとアーボガストのその名も「バズプラグ」っていうのがそうだし、古くはバズペラではないけど大型のペラを前方に持ったヘリン「フィッシュケーキ」なんてのもあった。コイツらの欠点としては多分太さゆえのフッキングの悪さがあるはずで、フィッシュケーキについてはヘリンお得意の、虫の足のように張り出した天秤型のフックハンガーでフッキングの問題を解決しようとしているように見受ける。フィッシュケーキはそう考えると、あれはあれで理にかなった設計なんだなと思わされる。

 もいっちょ解決方法としては、前だけに付けるからバランスを欠いて前が沈むので、後ろにも付けてバランスを取るという方式。ただコレは、後ろにバズペラをつけるとその後ろにフックを付けてもバズペラが邪魔してフッキングしにくいのか、バズペラそのものが前後に付いているルアーというのは米国では作られたようだが本でしか見たことないぐらいに稀(バズペラ後ろにだけ付くのはちょくちょくある、レーベル「バズンフロッグ」(写真上段)とか)。あと前後にバズペラはルア-全体の長さが長くなって邪魔くさくなるというのもあるのかもしれない。というわけで、バズペラほど大きくないけど、バズペラと同様に回転するペラの側面が水面を叩く形の、大きめのペラを前後につけたスイッシャーというのは割と存在する。オザークマウンテン「ウッドチョッパー」とかその流れをくむルーハージェンセンのデカいスイッシャー(写真中段)とかがそう。そして前後もあれば左右もあるよ、って話で左右にバズペラを羽の様に備えたヨーズリ「ギャビー(蜂)」とかティムコ「カラバシュ」(写真下段)なんてのもある。左右方式はちょっとキワモノが過ぎる感じがアリアリとするけど、前後方式で使われるような、バズペラほど大きくはないけど水面を叩くペラを付けたスイッシャーっていうのは、とくに大型スイッシャーではその大きさに見合った音や飛沫が期待できるので割と評価が高いように思う。前後ダブルの他に、後方シングル、後方タンデムもあった。

 あと全くのキワモノとして、バズペラ自体が、浮力のある水中浮きにヒレを付けたような形のバズベイト?もあったように思うけど、これはバズベイトの”ペラの側面が水面を叩く”っていう大事な要素が抜け落ちて、むしろミルスピンやらの本体が回る系に実質近いモノだろうと考える。ルアーで釣ってて不思議に思うことの一つに、スピナーベイトでもバズベイトでもワイヤーベイトと呼ばれるルア-では、なぜかブレードやバズペラに食ってくることは少なくて、ちゃんとハリの付いているヘッドの方を食ってくるってのがあって、誰かそうなる理由を上手く説明できる人がいたら教えて欲しいんだけど、ペラを太らせて回転させたらさすがにペラを食ってくると思う。じゃないと「ガウディー」なんていう回転する本体にフックの付いたワイヤーの骨組みをぶら下げたようなルア-は成り立ちにくいだろう。

 話がちょっとそれたが、元に戻して”シングルウィングプロップベイト”だけど、バズペラの重要な要素である”ペラの側面が水面を叩く”というのはまったくその通りの動きになっているのは動画で確認できて、そういう動きの機能の質から、コイツはスイッシャーというよりはバズベイトなんだなとワシャ理解した。でもって、ペラが沈むのは浮力のある本体後部にペラを付けているのである程度防げる。かつ1枚中心から飛びだした羽という形状は、バズペラほどかさばらず、後ろにペラを持って来てもバズペラほどはフッキングの邪魔をしないように思う。メーカーによってはこの羽を弾力のある曲がる素材にしてフッキング向上を謳ってたりもするようだが、多分堅めの素材でも咥える時には羽は向こう側に回ってそれほど邪魔にならないように思う。

 というように考えて、やっとスイッシャーじゃなくてこういう形態の”シングルウィングプロップベイト”がなぜできたのか、なんとなく理解できた。”浮力のあるボディー後半自体を回転させて、ペラが沈まず立ち上がりの早い、浮いた状態で止めてストップアンドゴーとかが上手にできる、ペラの側面が水面を叩いて音と泡、飛沫を出すバズベイト”なんだろうなというワシ的整理。

 ってなことを考えてたら欲しくなってしまうのは、不治の病に冒された患者の症状としては処置無しの末期であり買うしかなくなった。調べてみるとフライフィッシングの世界ではディアヘアの成形で引っ張ると潜ってく形状を持つバスバグの一種?「ダールバーグダイバー」に名を残すラリー・ダールバーグ氏が設計した、リバー2シーというブランドの「ワッパープロッパー」というのが、バスルア-サイズのシングルウィングプロップベイトの先駆らしいので買ってみるかと思ったら、2千円ぐらいしてお高いんでやがる。いくつか他社からも出てて、手に入りやすくお値段も千円前後と手頃だったのでバークレーの「デックス・チョッポ90」というのを買ってみた。

 パッケージ裏に宣伝文句としてデカデカと「浮くバズベイト!!!」と明記してあり、ワシの考察もあながち的外れじゃなかったな。と得心のいく思いだったが、実際に投げてみて「ありゃ?」っと首をかしげることになった。なんか回転するボディー後半部分が細身だなとは思ってたけど、期待していた水平浮き系ではなく結構縦気味に浮く。動かしてみるとスパターバグみたいな前にバズペラのルア-のモタクサ感はなく、むしろ縦浮き系のシングルスイッシャーのような感じで機敏にバズサウンドを奏でながら走り始めるので、これはこれでいいんだろうなと思ったし、本家「ワッパープロッパー」の映像も止めたときの浮き角度に注目してみると斜め浮きで水平浮きじゃない。こういうルア-らしいなどうも。

 でも、せっかく回転部分に浮力持たせることができるなら、水平浮きにすればユックリ止めて進めてってのもできるし、どうせ首なんか振らないんだから、動かしはじめの反応の早さを求めても良いんじゃなかろうかと、回転部分が浮きそうなのを探してみた。本家の米国通販のマスキー用ルア-を見るとあるんだけど、結構お高くて使うアテもないのに突っ込める額じゃない。と思って誰か国内で持てあまして売りに出してる人いないかなと探ったら、ありましたマスキーベイト「スラマーサンダーヘッド」。18センチと男らしい大きさ。800円とお買い得。するりとマウスを滑らせて即確保。いやはやなかなかに格好いい。チョッポ90はそのうちシーバスに使ってみるかなぐらいに思ってたけど、コイツは使い道があんまりなさそう。しかたない、青物にでも投げてみるか?アマゾン(ガイアナ)行くつもりになったとき(結局行けなかった)に買い集めた、側面で水を叩く系のペラが付いてるデッカいスイッシャーとともに、青物にバズ系はどうか試してみるか?投げてて楽しいたぐいのルア-だと思うので、本気で狙いに行く1軍ルア-の合間にお楽しみルア-として投げて、魚が回ってくるまで投げ続ける集中力を持たせるのに役立てるというのが使いどころかな。

 というわけで、ちょいと前に流行ってすでに廃れたような雰囲気ではあるけど、流行ったってコトは効果があったんだろうし、廃ったってことは今使う人間が少ないだろうしで、今が使い時かなという、腐る前の熟れた果実がごとし、な”シングルウィングプロップベイト”で行ってみました”ルア-図鑑うすしお味”第49弾でございました。

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