2020年8月2日日曜日

水車とスイッシャーは水飛沫をあげる


 ”ピンとこない”の対義語は”しっくりくる”だと思う。”ピンとくる”でも良いんだけど”ヒントでピント感”が昭和のオッサンには感じられ困ってしまうので”しっくりくる”でお願いしやす。

 ルアーの釣りにおいて、どのルアーが自分にしっくりくるか?というのは、なかなかの難問で、いくら名手や先達が太鼓判を押そうとも、自分で使ってみて自分の釣り場や使い方、考え方感じ方にあわないと”ピンとこない”ってことがあり得る。
 シーバス釣りにおいて、昨年秋の釣りでコレまでしっくりきてというか絶大な信頼をおいて使ってたザラパピーが、釣れる魚の大きさからいってややピンとこなくなってきたので、代わりにしっくりくるもう少し大きめのペンシルベイトはないモノかとアレコレ試してみて、「そうかカクーンだったのか!水平浮き系のハトリーズだったのか!!」とやっとしっくりきて合点がいった。バス釣りではお世話になったレッドペッパーも香港ではしっくりきていたシュガペンも今一ピンときてくれなかった。縦浮き系はシーバス出るけどフッキングしにくい。以前にはオリザラ(オリジナルザラスプーク)とかも試したけどコレはバス釣りでは誰もが大絶賛なんだけどワシにはシーバスはもとよりバス釣りでもピンとこなかった。釣れないルアーなわけがないほどの実績をもつヘドンを代表する名作なのにそれでもピンとこないときはピンとこない。
 ラージマウスバスが釣れるルアーとシーバスが釣れるルアーって若干傾向違うといえば違うけど、むしろそれは釣り場の状況とかが違うってだけで、スズキ科とサンフィッシュ科と分類的にはそれ程近くないにしても、臨機応変にいろんな水域環境に適応する魚食魚として”収斂”した似たような部分が多く、バスが釣れるルアーは基本的にシーバスも釣れると思っている。別に魚はシーバス用とバス用のルアーを区別したりしていない。

 でもって今年の当地の梅雨時期のシーバス釣り。普段は水深が10センチないような浅瀬でも、増水して太い流れの膝下水深ぐらいになると、そのザーザーと流れる早瀬には多分やる気のある個体が突っ込んできて、上がれなくなる落差の下に餌を待ってとどまる。と想定。
 さて何を投げるかと考えて、ミノーやシンペンをぶち込んでみるもミノーは水面直下系でも底を叩いたり流れを受けると動きすぎたり、流れに乗せると速攻で狙いたい位置から流れていってしまう。シンペンはまずまず引けるんだけどやる気のあるヤツを探すには激しい流れの中ちょっと地味すぎる気がしてピンとはこない。
 水深浅いんだし水面系で派手に誘ってやるのが正解かなと思って、ペンシルやポッパーをぶち込むと、これまたミノー同様流れに逆らうと動きが破綻し、流れに乗せると釣りにならない速度で流される。
 これは竿で動きを付けて首振らせたりポコポコ音出したりっていうルアーではラチあかんな、と思いスイッシャーなら波立つ水面でも派手に飛沫あげてくれるだろうし、流れに逆らってもペラは回り続けてくれて、流れに乗せぎみに引っ張ってもペラは回ってくれて魚誘ってくれるだろうと、一時期シーバス釣りに良いって話題になってたスミス扱いミロールアーのコーリングアップたらいうやつ(多分サーフェススピナーとかダブルスキャットって呼ばれてたの)を持ち出してみたら。これはしっくりきた。
 段差の横に立って早瀬にぶち込んで飛沫上げさせてたら足下でバシュッと食ったし、トロ場の静かな水面でもジョロローッ、ジョロローッと止めて巻いてでバシッと良い出方をしてくれた。残念ながらハリ掛かりしなかったけどコレはいけるという感触を持った。
 実はこのルアーは買った当初、「ペラが回るか回らないかでゆっくり巻くのがシーバスに効く」と紹介されていたのでそういう使い方していたけど、それだと自作の動かないシンペンと地味さで大差なく、かつ要所で首振らせたりの小技は使えず全然釣れる気がせずまったくピンとこなかったのでお蔵入りしていたんである。でもこのルアー早引きのほうが断然しっくりきた。ペラが軽くて良く回ってくれて飛沫飛ばして俄然働きそうな感じが醸し出されてて実に良い感じ。
 名手がなんと言おうとワシャこいつを早引きに止めを入れる使い方で釣らしてもらいまっさ。ということで、例によって”大事なモノには予備が必要だ”といくつか購入しようとしたら、なんとちょうど生産の端境期なのか新品はほとんど売ってなくて、ネットオークションとかではちょっとプレミアついたような値段で取引されている。それでは本国米国の通販で大人買いを、とバスプロショップスを確認しても、むしろこのルアー日本で局地的に人気なのでスミスが発注して作ってるだけだったのか売っていないという有様。何とか1500円ぐらいで中古を1個黄色いのを確保して、中古屋で見つけて買ってあった前のフックのヒートンが斜めに入れてある大物仕様のコーリングアップも含め3個は確保できたけど、主力にするには弾数不足は否めず、これは別の良い”しっくりくる”スイッシャーを探さねばならん。って思ってしまって、アホのように寝ても覚めてもスイッシャーのペラが頭の中で回っているという状態に陥り、先月2万円以上も釣り具で使ってしまうという”突発性スイッシャー欠乏症”を発症してしまったのであった。アタイ病気が憎いッ!
 ということで、今回久々の「ルアー図鑑うすしお味」第42弾はスイッシャーで行ってみます。デケデン。

 まあでも、我が家の蔵にはいろんなルアーが在庫してあるので、そっから適当に見繕って試してみて、良さげなのを選んで補充すりゃいいやぐらいに考えていた。
 まず第1候補は、同じ前後にペラのダブルスイッシャーの代表選手といっていいヘドンの「ダイイングフラッター」。選考の基準として単に”釣る能力”だけじゃなくて、値段が手頃で入手が容易というのも重要な考慮すべき点としている。その点、ヘドンのいくつもあるミリオンセラーの中でも、歴史も古く人気もあってヘドンがプラドコの1ブランドになった後も定期的に生産されていて、今でも新品も売ってるようだし、ネットオークションとかでもプラドコ時代のなら千円前後のこなれた価格で入手可能である。
 ダブルスイッシャーって基本直進で使うもんだと思ってた田舎のバス釣り少年だったので、後年ツーテンの虎ファンさんが同じヘドンの「ウンデットスプーク(ヘドン時代の)」を竿先で鋭角にクルリクルッといわゆるテーブルターンさせているのをみて、ダブルスイッシャーってこんな芸当もできるんだと驚いたぐらいなんだけど、さすがに細長いダイイングフラッターやらデビルズホース(スミスウィック・写真上)、ボーイハウディー(コットンコーデル・写真下)やらはターンは苦手で、そのかわりペラの回転は良くて、ついでにフッキングさせやすいのが長所だと思っている。
 ダイイングフラッターは九州時代ナマズ釣りでお世話になった。ナマズ狙いでは当時ジタバグとジッタースティックを主軸に据えてたんだけど、それで出るけど掛けきらなかったような魚を、ルアー変えて”変えると来る”で食わせるのに暗い中でも流れの中でもタダ巻いて止めてするだけで確実にペラが回って魚を誘ってくれるので頼りになる代打として1軍ボックスに忍ばせていた。
 写真一番上の黒にオレンジの水玉模様が当時愛用してた個体でプラドコものだけどこの時代は木製だった。
 今回中古で紀伊半島用の黄色いのをということでプラドコ製を2個確保。これが釣り場で投げてみると期待に反してピンとこない。ナマズを誘ってくれた激しい水飛沫が、速い流れのシーバス狙うにはどうにも”やかましすぎる”感じがして釣れる気がしない。バスやらナマズ釣るときには長所だったペラの回転性能と水飛沫が裏目に出た感じ。
 ダブルスイッシャーはどうにも良いのを見つけられなかった。デビルズホースとボーイハウディー、それと秘蔵のエバンス時代の発泡素材製の「ニップアイデディー」は3本フック仕様なのが気に入らないし、「ホッツィートッツィーJR」はさすがに70越える魚だとタモの中とかで暴れられたら壊されそうで怖い。なかなか”しっくりくる”のはないもんだなと、とりあえずダブルスイッシャーはコーリングアップの弾数をもう少し中古探して稼いでみるかなということにして、ダブルがダメならシングルをということで、ペラ1枚のシングルスイッシャーで”しっくりくる”のを探してみた。
 バズベイトっていうのも”あり”かもしれないけどバズは”止め”が入れにくいので釣れそうではあるけどとりあえずは保留。じゃあバズペラのフレッドアーボガスト社「スパターバズ」&「スパターバグ」は?と思うかもだけど、ヤツらも”止め”を入れるとペラが沈んで次の立ち上がりがモタクサするので実質ただ巻き系だと思ってる。よってバズ同様保留。バズペラはタックルボックスの中でかさばって邪魔くさいというのも地味に欠点。


 でもってシングルスイッシャーでも代表選手と言ったらこれまたヘドンなわけで”マグトー”こと「マグナムトーピード」が大正義なんだろうけど、これまたワシにはピンとこないルアーで、根本的にワシ、世の一般的なトップウォータープラッガー達が重視する”1箇所でネチネチ首振らせやすい”っていうのがあんまりピンとこないんだと思う。ペンシルやポッパーはそういう使い方しなくもないけど、スイッシャーって基本はジョロローッって水面走らせてナンボだと思ってるので、首振る性能が優秀っていうのは重視してなくて、マグトーも小型版のベビートービートも持ってはいるけど活躍させられず、ピンとこず蔵に眠らせている。
 じゃあワシ的には過去どんなスイッシャーがしっくり来てたのかって考えると、シーバス用にはそんなもんなかったので今さらながら探ししてるんだけど、バスマン時代に愛用していたスイッシャーと考えると、ホッパーストッパー社「ヘルレイザー」とバグリー社「ラットフィンク」の2つだった。
 どちらもやや太っちょの丸っこいスイッシャーで浮力があってポコッと浮いて水面を軽やかに走ってくれてペラ小さめで軽いこともあって実に軽快に良い音と飛沫を出してくれたモノである。
 ラットフィンクはとうの昔に廃盤で中古でも高くて手が出ない。オフトが復刻版で小さい「ラットフィンク2」って呼ばれるのを以前出してたようで、そちらはそこそこ買える値段の中古があるので買ってみたけど、写真下が当時モノで上がラットフィンク2なんだけど、ちょっと小さすぎてピンとこない。
 ヘルレイザーはプラドコからヘドンブランドで復刻されていて、これはそれなりの値段で中古が買える。でも実はワシの愛したヘルレイザーは小っちゃい方で、復刻版は当然トップウォータープラッガー達に人気のあった大きい方なので小さい方は復刻されていない。復刻版じゃないとなると80年代とかの当時モノは3,4千円ぐらいはしているようで、かつ小っちゃい方は不人気なのであんまり弾数もない。ワシの愛したヘルレイザーは印旛沼横の水路の杭に取られた時点で永遠に失われてしまったようである。
 小さい方のはペラも小さくて、これが軽く水面走らせるには抵抗小さくて好都合で平べったい体を横にする感じで実に軽やかに良い音でペラを回してジョーーッと走ってくれたモノであるが手にはいらんものはどうしようもない。
 ところが、復刻された大きい方のヘルレイザーは最初当時より小さいペラがついていて、大きい方でも復刻されたとき嬉しくて2つ3つ当然のように買ってるんだけど、わりとワシ好みの軽く水面走る系のシングルスイッシャーになってて結構しっくりきたので、当時内房の運河で実績あった銀色にラメフレーク散りばめた色に塗装し直して釣る気満々で導入したんだけど結果には結びつかなかった。
 とはいえ”しっくりきた”のなら復刻版ヘルレイザーで良いジャンってなりそうなんだけど、ところがどっこいで、トップウォータープラッガー達はさっきも書いたように1箇所でネチネチ首振らせることができる性能を重視するので、軽く走る小さいペラに変更されたのが大変お気に召さなかったようで、「大きくて移動にブレーキをかける効果のある当時のペラに戻せ」という強い要望を受けてだと思うけど、すぐに交換用の大きいペラとフック・カップ付きヒートンのセットが付随して売られるようになって、その後は中古で良い色のを見つけると安いので思わずいくつか買ってしまっているけど、写真下の個体のように大きいペラに換装済みのものばかりになっていて、いまネットオークションに出されているものとか見ても大きいペラのばかりである。ワシむしろ交換した後に余った小さいペラが欲しいぐらいで小さいペラ版を探して補充しようとは思うし、候補にはしておくけどできれば他のもっと手に入りやすくてしっくりくるシングルスイッシャーを探さねばと、泥沼に深くハマっていくナマジなのであった。

 でもってルアー作ってる古いメーカーなりブランドなりなら一種類ぐらいはシングルスイッシャーを作ってるもので、我が家の蔵にもいくつかあるんだけど、ボーマーの「リップシャッド」とかマンズの「フロッグマン」とかが転がってた。けど、ここら辺はマイナーすぎて中古の弾数が少なくて不合格。
 バグリーは同社の代表作である「バンゴーミノー」のお尻にペラかました「スピナーテールバンゴー」なんてのもあるくらいで、スイッシャー結構好きなのかラットフィンクの他にも「マイティーミノースピナー」に「ICU」とか「スピナー007」なんてのがあって、「スピナー007」は我が家の蔵にも2個あって、割と中古もこなれた値段でかつよく見かける。蔵の2個も中古屋で安かったので買ったモノだと思う。
 名前にわざわざ”スピナー”と付けているのは、昔のアメリカンルアーあるあるなんだけど、同じ形の”ペラ抜き”のペンシルベイトがあるからで、バグリーには「007」っていうペンシルがある。上の方で紹介したボーイハウディー(同名で出てる)やダイイングフラッターの「ダイイングクイバー」、デビルズホースの「ツースピック」なんかがそうで、集合写真に1個混ざってるけどオリザラにはペラ有り「ウンデットザラスプーク」なんてのがあったりする。同じ胴体を使い回すと設計とか金型とかの手間と経費が節約できるからだらろうなって感じで、ヘドンはウンデットスプークを「210(ツーテン)」の胴体で作ったり「ザラⅡ」の胴体で作ったりしていて時代によって形が微妙に違ったりするらしい。そのへんお好きな人にとっては蒐集欲をそそられてたまらん世界のようで、触らぬ神に祟り無しである。ヘドンとか超人気で沼の底も満員御礼で、いまさら参入しても良い場所には沈めんので、まあ沈もうとおもえば深い所に沈んでる”ツーテン”の虎ファンさんが良い場所空けてくれそうだけど二の足を踏んで足突っ込まないようにしている。
 スピナー007は縦浮き系かと思いきや結構横浮きでなかなか良い感じ。使っていってしっくりと来るかどうか、コイツも候補に入れておきたい。これバルサじゃない堅めの木だと思うんだけどひょっとして同社得意のバルサだとちょっと強度的には不安が残る。
 候補として蔵に転がっているルアーからプラドコ版ペラが小さいままの「ヘルレイザー」とバグリー社「スピナー007」を選んだけど、もうちょっと探せば、世の中にスイッシャーはまだまだいろんなのがあるだろうから、いくつか候補を買ってみようということになって、田舎に移住して、黄色い中古釣具屋の引力からはやっと逃れられたのに、現代にはネットオークションもあれば、ネット通販もあり紀伊半島の港町でも”お買い物”の誘惑からは逃れられず怒濤のお買い物中毒状態に突入していくのであった。

 まずは、とにかく安くなければ実弾として困るので、ネットオークションのスイッシャーを価格の安い順に並べて千円前後までで買えそうなスイッシャーのあたりを付けていく。
 見ていて目立ったのはバルサ50の「スマートアレック」が安いってこと。横浮き系シングルスイッシャーで釣る能力的にはしっくりきそうだけど、同じバルサ50ファミリーのホッツィーと同様になんぼ芯に堅い木材入れて補強してあるといってもバルサ製のルアーでヒートン使ってあるのは強度的に不安がある。使うのならワシのラパラ在庫みたいに目方で買うぐらいの大量在庫がないと安心できない。あとラパラはぶっ壊されてもワイヤー貫通なので魚がハリだけ持って逃げていくってことは想定しなくていいのでヒートンモノとは若干事情が違うというのもある。
 その他には意外に選択肢少なくて、シングルスイシャーって思ったより過疎地なのかも?古くからある名作除くと、水面系の小工房のお高いハンドメイド品とジャパニーズリアルミノーのリップ取ってペラ付けたような購買欲をそそらない最近の大手日本製ぐらいで、こりゃ名作系しか自分的には”無し”だなという感触。
 で、日本の名作であるハトリーズ系もそこそこ安いし良いかもと思って「ベイジングスパロ-」っていうのが見た目的には良いかなと思ったけど、ちょっと弾数少なめで二の足踏んでいたら、アメルアで妙に値段安めで弾数も多いのを発見。
 試しに買って釣り場で投げてみたら、これが一発でしっくりきた。シングルスイッシャーなんだけどタダ巻きでヨレヨレッと今時の日本製ミノーみたいにユルい横揺れしてくれて、かつペラの回転が軽くて良い飛沫を立てて回ってくれる。
 魚出してもいないのに「コレだ!!」ってことになって、怒濤の買い取り強化月間に入って手頃な値段のをポチりまくったんだけど、そのルアーとは一体何なのか?
 それは次回のお楽しみに。
 今宵はコレまでとしとうございます。って”引き”で終わるのであった。

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