”生け簀”こと近所漁港での食材仕入れが良い調子だと、釣ってきた魚を上手に計画的に料理していく手間と段取りは必要になるけど、それも含めて最近は自分の”釣りの一部”として楽しんでいるし、季節毎のとれとれの魚はなんちゅうても旨くて困る(全く困らない)。
最近のお気に入りは、冒頭写真の豆アジの頭とワタだけ取ったのを酢締めにしたもので、調理が楽にもかかわらず、実に良い味で、ちょっと冬に健康診断受けたらコレステロール値があやしくなってて、かかりつけのお医者さんに”揚げ物禁止令”を出されてしまったところだったけど、より健康的な豆アジ酢締めが豆アジ天ぷらからの南蛮漬けの必勝パターンに代替する、我が家の定番料理となった。
さすがに、豆アジも育ってきてスーパーで売ってる「アジ小」サイズのも混じり初めて、酢締めで骨ごとバリバリと食ってるんだけど、夏の初めの骨が気にならないザ・豆アジと違って若干尻尾の方の骨が口にあたるというか、バリバリという噛みごたえが大きくなりすぎてきた気がするので、そろそろ大きめのは3枚下ろしとかにした方が良さそうだけど、なんにしろ豆アジの酢締めは、暑いおりサッパリした酸味が食欲をそそってくれるし、揚げモンじゃないので、酢の効果もあって健康面でも安心だし、2日3日は冷蔵庫で日持ちしてくれるので、釣ってきた次の日にまとめて作っておくと、手間いらずで超素敵な常備菜になる。
ということで、ナマジ風の豆アジ酢締めの作り方をご紹介しつつ、先日ぐらいの釣果があった場合、ナマジはどういう献立で”水揚げ”を楽しんでいるのかという実例を紹介してみたい。腹減った夜中とかに読むと”飯テロ”になりかねないので、各自自己責任で読んでみてね。
まあ、料理なんて色んなやり方があるわけで、こうでなきゃダメだというものはあんまりないと思うけど、夏場の気温が高い時期の魚料理において、気をつけた方が良い事項が一点あって、それは調理中に素材の温度を上げてしまわないように気をつけるということで、水産加工の現場においては基本の事項だと思うけど、それは家庭の料理でも一緒で、工程中で1カ所でも材料の温度が上がってしまうと、温度が上がるのとその後下げるのに掛かった時間の分、往復で素材の温度が高い状態に晒されることになり、温度が上がってしまった分、自己消化とかが進んでしまうので、料理が食卓に上がる際の鮮度やその後の日持ちに悪い影響を生じかねない。ということで、我が家の酢締めでは、塩水に漬け込んでから酢液につけ込むという工程が生じるけど、魚釣ってきて明日午前中に酢締め仕込むぞ!となったら、塩水作るための水500mlと漬け込む酢液を作るための酢とめんつゆを冷蔵庫にぶち込んでおく。ついでに、流しに素材である豆アジたちをぶちまけての作業になるけど、その際にもなるべく冷やしたまま作業を進められるように、あらかじめペットボトルに水を入れて凍らしておいて、流しの上の魚に乗っけておいて冷えた状態をなるべく確保するように気をつけている。ついでの豆知識。これまでクーラーバックに魚を入れて持ち帰るのに米袋とネコ砂袋が丈夫なので、それに小分けにしたジップロックに分け入れた魚を入れていたけど、ジップロックが穴開くのは当然として、米袋とかでもマアジの鋭い棘で結構穴が開く。これがカリカリタイプの”ネコ餌”の袋が丈夫で、多分ネコ様が囓っても破れないように丈夫なんだろうと思うけど、豆アジの棘程度では穴が開かず、クーラーバック内に粘液まみれの魚汁が漏れることもなくとても重宝している。
さてそれでは、実際の調理に入って行くと、とりあえず500mlの冷水に50gの食塩を溶かす。カマス干物の時は食塩水はジップロックで作って漬け込んだけど、頭の先の歯のある部分さえ切り落としておけば入れ物に穴が開くことはないカマスと違って、マアジにはヒレだのに棘があるので、タッパーで漬け込んでいる。この際のタッパーはゴムパッキン付きでしっかり蓋ができるものだと、冷水に塩を溶かすのにガシャガシャと振って混ぜやすいので好適。そうやって冷たい塩水ができたらば、包丁で豆アジの頭の後ろあたりで背骨までバツッと切り込みを入れて、頭をもぎつつ指で内臓を掻き出す感じで引っ張ってやると内臓も綺麗に取れる。取ったら、ポンポンと冷塩水に頭とワタをとった豆アジを投入していく。5匹ずつぐらいまな板に載せて、まずバツバツバツと切れ込みを入れて、その後頭をもいでいく感じでまとめ作業で効率が上がる。500mlだと一番上の魚が水面から出てたりするけどギュギュッと押してやっってなるべく沈めてやって、写真みたいな感じであれば問題なく塩は効いてくれる。豆アジが小さいときは60匹余裕で浸けることができたけど、大きくなってきて60はタッパに収まりきらなくなってきて、12匹掛ける4食分で48匹酢締めにしている。で、この状態で冷蔵庫に2時間でちょっと薄めぐらいの塩加減になる、チョイ薄めの塩加減で酢で締めてから醤油垂らして調整して食べるのがワシの好み。
2時間待ってる間に、酢締めで余った頭と、いくらかネコ餌兼出汁取り用の仔サバと豆アジを魚焼きグリルで10分ぐらい焼く。そしてそのままラップも掛けずにキッチンペーパーを敷いた容器に入れ、熱を取ってから冷蔵庫で焼き干しのように乾燥させつつ保存、必要量を取り出して愛猫の餌、味噌汁の出汁兼具として使う。焼き干し用の仔サバ、豆アジが多い場合はフライパンに油敷いてから魚入れて蓋して蒸し焼きにする感じで焼くと数が処理できる。 さて、塩水に浸けて2時間経ったものがこちらでございます。薬味は生姜を効かせていたけど、面倒臭いので最近は粉からしをぶち込んでお茶にごすというか、酢液を濁している。
ザルに空けて、食塩水を切って、タッパを洗ってから酢300ml、めんつゆ50ml、水も少なめの50mlぐらい、粉からし少々ぐらいの漬け汁を作っておいて、食塩水切ったアジたちを詰めていく。途中で隙間ができないようにギュウギュウと押しを加えながら、汁から全部出てしまってるようなアジが無いように沈めていく。
あとは、お好みの浸かり具合で食べれば良し。夏の初めの小型の時はその日の夜から食べても平気だったけど、魚が育ってきて、このぐらいの大きさだと、翌日からぐらいじゃないと背骨と尻尾のアタリが堅くて食べにくい。1日浸けておくとお酢の効果で骨もヒレも柔らかくなってきて、バリバリ食べられる。っていっても限度はあるだろうけど、徐々に魚が育ってくるのを食べているので、だんだん慣れてきて小アジ級ぐらいまでは骨ごと行けそうに思う。さらに魚が大きくなる時期には数が釣れなくなってくるだろうから、3枚に下ろしてから酢締めで問題ないと思う。豆アジは数が釣れるし、数食べないと食った気にならないので、頭とワタだけ外して鱗も取らないというのは、手間いらずで数を処理するのに非常に向いている。豆アジが沢山釣れて釣れて、という向きには是非お試し下さい。
という感じで、仕込んだ豆アジ酢漬けは翌日以降が食べ頃なので、仕込んだ日は別の魚を食べることになる。今回は、割と育った仔サバと小アジぐらいのマアジも釣れていたので、まずは足の速い仔サバを消費すべく、昼食で仔サバと小アジの塩焼きと、小アジ出汁のキャベツと大根の味噌汁。アジは何やっても旨い魚だけど、仔サバは意外にアジ釣りしてる人は喜ばない、仔サバもブランドサバみたいに脂が乗ってるわけじゃないけど、カスカスではないし鮮度も良いので、塩焼き上等のオカズである。ワタ取ってグリルで焼くだけでこの美味しさ。仔サバ中心に釣れたら、今期のお気に入り”サバとタマネギの甘めの味噌汁”も捨てがたい。
夕飯は、ヒラセイゴの塩焼き。30センチ位あったので刺身にもできたけど、塩焼きの方が歩留まりがいいし、調理も簡単なうえに、今期生け簀が”禁漁”のおりにセイゴ釣って食べてたら、だんだん舌が馴染んできたのか、セイゴの塩焼き美味しく感じるようになってきた。パッとしない味だと思ってたけど、もはやご馳走と言って過言じゃないかも。
そして、翌日から2日間は酢締めと、味噌汁か納豆か、キャベツ千切りかという感じで副菜付けて美味しくいただく。まとめて料理してあるので手間も省けるし、味ももちろん良いしで、塩焼きやらも含めて、なんとも贅沢に旨い魚を食べており、ワシだけこんな旨いモン食ってていいんやろか?と思うけど、自分で釣ってきて自分で料理して、誰に気兼ねする必要があるものかというところだろう。
まあ、ワシ以上に堪能しているのが愛猫のコバンで、美味しいモノは部屋の端とかに持ってって確保してから、こっそり邪魔されずに食べたいようで、各種猫のオモチャ(ゴミに見えるかもですがペットボトルやら空き瓶、テープの芯とかお気に入りのオモチャなんです)が入っているダンボールのところに持って来て、アグアグと食っている。他のネコに取られないようにというノラ時代の習性なんだろうけど、ワシきみの餌取ったりせんから安心して食って良いよ。最近また太ってきて、7キロ越えたんじゃないかと思っている。
という感じで、1人と1匹の食生活は、近所漁港が安定して釣れてくれると、非常に充実したモノとなるので、”禁漁”になどならずに楽しませてもらいたいものだと切に願うところである。