2020年12月27日日曜日

敗者にはなにもやるな?

  今回格闘技ネタです。年末のベストスリーネタの格闘技版をちょいはやいけど書いてみよう。

 格闘技は年内”年末興行”ってのが残ってるけど、まああれだああいうのはお祭り騒ぎで見世物でどうせ無料ネット配信は年開けてからとかなのでとりあえず無視しておこう。

 我が家にゃアンテナ立ててないので地上波放送が見られないけど、「RIZIN」はGYO!で後日配信があるし、アベマTVはそこそこ充実していて、国内老舗団体の「Kー1」「RISE」が立ち技系、「パンクラス」、「修斗」が総合格闘技、そして「大相撲」が視聴可能に加え、アジア中心に興行をうつ世界的な団体である「ONEチャンピオンシップ」が配信されていて実に良い感じに楽しめている。米国の総合格闘技の2大団体「UFC」「ベラトール」の放送権手放したのと「ミャンマーラウェイ」の配信が無くなったのは残念だけどアベマTVは良くやってくれている。引き続きプレミアム契約を更新することにしたい。

 でもって、本年のワシが見た格闘技の試合ベスト3の発表いってみよう。ジャカジャン。

 1位「那須川天心挑戦者決定トーナメント決勝:志朗vs鈴木真彦(RISE)」、2位「夏場所照ノ富士関優勝(大相撲)」、3位「K-1スーパーライト級タイトルマッチ:安保瑠輝也vs山崎秀晃(K-1)」

 となりました。1位は来年キックボクシングからボクシングに転向する那須川天心選手に最後にキックボクシングで挑戦する権利を得るために、那須川選手に負けた強豪でトーナメントを組んだ(一人欠場で代打は未対戦)という、なんというかすざまじいトーナメントの決勝戦で、いかに那須川選手が非凡な天才かというのを改めて思い知らされる興行だった。ワシのような素人目に見ても那須川選手はちょっと尋常じゃないようにおもう。なんぼ極真空手出身だといっても、試合で胴回し回転蹴り(浴びせ蹴り)を決めるかね?それも相手本場タイのムエタイチャンプだぜ?大山先生も草葉の陰でお喜びだろうて、とか片手をマットについてのハイキックとか”カポエラ”かよ?!って話でもう極真がどうこうではないわけが分からん強さがある。それでもその華麗な足技を捨てて、コレまで唯一土を付けられた経験がある”ボクシング”に挑戦するっていうところがまたマンガの主人公じみている。安パイで勝てる相手に泡銭稼いでるメイウェザーには爪の垢でも煎じて飲めと説教したい。あんなゲスを客寄せパンダで日本に呼ばんといて欲しいと強く思っている。でもってその挑戦権を賭けた決勝戦、どちらも那須川選手には負けているけど実力者で、特に鈴木真彦選手はアベマTVでRISEが配信されるようになってからは負けてないはずっていうか、那須川選手に負けて次からは無敗で準決勝で30連勝だったそうである。何度も勝利後のマイクパフォーマンスで那須川選手とやらせてくれと訴えていて、さすがにこれは最後にやらせてやれよと感情移入しながら、志朗選手に恨みはないけど応援しながら視聴した。結果素晴らしいカウンターもらってダウン一回、反撃実らず敗戦。なんというかいたたまれないというか、30勝しても努力して積み上げて全てを賭けても、それでも敗北は容赦なくやってくるという事実にあらためて、心の底から怖くなった。負けて得られるモノが無いとは思わない。そういう美しい物語が今回選んだ2位、3位に繋がっている。でも勝って得られる経験、賞賛、金銭、地位、名誉、悲しいことに比較にならない。那須川選手に負けてもONEチャンピオンシップで欧州の強豪サバスマイケルからダウンとって勝利した内藤大輝選手のように強くなって活躍している選手もいる、リベンジできなくても鈴木選手も強くなれるかもしれない、でもそうであったとしてもあまりにも厳しい現実だと、これが自分が生きている世界だと身を引き締めさせられる気がした。鈴木選手再度立ち上がって奮起できるのか?できなくても不思議じゃない打ちのめされかただとおもう。でも私は今年一番この試合にその敗者に心動かされた。「この世では不平等が平等に与えられる」とネットの賢者が書いてたけど全くもってその通りだと思う。だからこそ勝利には価値があり、賞賛するに値して、全てを賭けてもぎ取りに行かなければならない、そういう得ることが難しい勝利にこそ求めてやむにやまれぬほどの価値があると肝に銘じておきたい。

 2位は話題になったと思うのでご存じの方も多いだろう。大関経験者の照ノ富士関が膝の手術や糖尿病で”序2段”まで落ちて、一時は本人も辞めさせてくれと親方に泣きついたけど、親方の説得もあって奮起して再入幕。幕尻からの優勝という素晴らしい物語。序二段って物事のとっかかりを意味する”序の口”の次の駆け出しの地位でっせ。勝手に”膝痛仲間”として応援しながら見ていたけど、優勝決定したときには本当に良かったと胸をなで下ろした。アベマTVの中継見てたら、新大関朝乃山関戦前に解説の元力士とすれ違って「やってやりますよ!」と自信を覗かせていたとか。自分の力が発揮できるところに戻ってきて存分に相撲を取っている喜びに満ちあふれているようで見ていて元気づけられた。千秋楽前日、部屋の後輩力士である小兵の照強関が切れ味鋭い”足取り”の奇襲で朝乃山を破って援護射撃していたのも印象深い。その後の場所も好調で優勝争いに加わっていて、3場所33勝の大関当確の基準を満たすのも現実味を帯びてきた。欠場多くてそろそろ限界であろう横綱2人が引退した後に、強い悪役外国出身力士として場所を盛り上げて欲しいものだ。格闘技には良い”ヒール(悪役)”が必要だっていうのは何度も書いてるけど我が持論。日本人は判官贔屓なところがあって照ノ富士関は悪役になるには条件が悪いけど、なーにムカつくぐらい勝ちまくれば右効きの爺さんどもは手のひら返して罵声を浴びせ始めるだろうて。勝って勝って勝ちまくって欲しい。来年も応援する。

 3位は、格闘技好きには、これも照ノ富士関に劣らぬ”復活劇”だったよなと納得いただけるだろう。寝技無しのキックボクシング系の立ち技格闘技としては一世を風靡した「K-1」が経営状態悪化して、欧州のキックボクシング団体「イッツショータイム」に身売りして欧州で興行がうたれるようになり地上波放送もなくなって、それも消滅しただかなんだかで再度日本で軽中量級中心に興行をうつ「新生K-1」が立ち上がった。そのときに、山崎選手は最初の方から参戦していて、当時目玉選手としてタイから連れてきていた絶対王者と呼ばれるようになるゲーオ・ウィラサクレック(タイ人選手はリングネームの後ろは所属ジム名のことが多い、当初はフェアテックスジム所属)選手にハイキックで頭蓋骨陥没骨折させられ敗北、リベンジを期してのぞんだ試合ではゲーオ選手負傷欠場で代打でやってきたゴンナパ-選手に膝を壊されこれも敗北(というわけで”膝痛仲間”認定)、怪我もあって長く不調に沈んでいて、怪我から復帰しても、K-1の若手育成的な場所でもある「クラッシュ」という興行で実績的には格下と闘わされたりしていて、この人は怪我に泣いて栄光を見ることなく去って行く選手なんだろうなと失礼ながら思っていた。ところが膝の状態も良くなって本領を発揮し始めると若手とかとはさすがにモノが違って、怪我の多さからも分かるように”打ち合い上等”な感じで”黄金の拳”をぶん回したり空手仕込みのカケ蹴りとかの変則的な蹴り技も派手に繰り出して実に見ていて面白い試合でKOを量産し始め、すぐにK-1の舞台に呼び戻される。そして迎えたタイトルマッチ。宿敵ゲーオからベルトを奪った安保選手は乗りに乗ってる勢いのある王者で複数階級制覇も視野に老兵なんか眼中に無いというような舐めた態度。しかし試合は始まってみると3分かからなかった。山崎選手怒濤の猛攻で”黄金の拳”炸裂。ド派手にKOして戴冠。怪我で消えてく選手だなんて思っててスイマセン。良いもん見させてもらいました。脱帽。やっぱり膝が痛いぐらいは言い訳にはならんね。

 とまあ、なんちゅうか勝負の世界は厳しくてコロナ禍の中での興行で青木真也選手が「負けたくないヤツは闘うな、家に居ろ」ってなことを言ってたのがわりと的を射ているなと、闘わなければ負けることはないけど何も得られんぞと、思ったり思わなかったりした今年であります。そういう厳しい世界で膝痛仲間が活躍していると励まされたり、やっぱり厳しい現実を見せつけられたりすると覚悟を飲まされるような気がしたりもしております。来年はどんな闘いが見られるのか、金払って配信見ているパトロンの一人として期待してたのしく視聴していきたい。きっと名勝負がこれからも産まれ続けるだろう。今年闘った全ての格闘家に惜しみない拍手を送りたい。パチパチパチ

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