2019年3月3日日曜日

おかわりっ!大森で



 大森製作所が世に送り出したダイヤモンドリール達のうち、どの機種が同社史上最高の傑作だったのか?”究極の一台”はどれか?なーんて書くとエラそうだし重くなるけど、そういうのをワイワイ「オレならコレだ」「いやいやアレだ」とやるのって結論あるようでなくって、言いっぱなしでも根拠もオチもなくたって楽しいジャンとおもってサクッと書き始めてみる。

 nori shioさんも書き込みしてくれていたけど、沼の底に沈んでいる濃いめの大森ファンのブログとかを読んでいると、TAKE先生も絶賛、大森最後のインスプール「コメット」が最高とされていたり、大森にしては珍しいウォームギアが滑らかに回る高級機種「プロラインNo.101」こそ大森の最高傑作と推す声もある。ワシの持ってるマイクロ二世301もそれらに並べてよい機種だとはnori shioさんの見解。
 いやいやインスプールならそうかもしれないけど、大森史上最大のヒット作っていったらマイコンシリーズなわけで、マイコン以外はあり得ないでしょと思う人もいるだろうし、アウトスプールなら小型軽量コンパクト、某”カリスマ”ルアーマンも愛用で人気の高いキャリアーSSが一番良いから一番オクで値が張るんでしょ?と思う人もいるだろう。
 以前私は、「生産性に優れて性能もよいハイポイドフェースギア方式、確実な内蹴り式のベール返し、錆びないし小型軽量な樹脂製スリーブの入ったラインローラー、3階建てのドラグ、単純で確実性の高いローター軸のギア直上のラチェットに歯をかける方式の逆転防止機構、ローター軸(と機種によってはハンドル軸)に一個のベアリング。手入れもなしに放置しても塗装が多少やられる程度の耐久性のある素材。小型リールには充分実用的な単純クランク方式の平行巻機構」を備えた、オートベールとタックルオートあたりが小型スピニングの一つの完成形じゃないかとかも書いた。じっさいこれらを大森のアウトスプールの最高到達点だと推す声も目にする。
 このあたりはまあ妥当な線だとはおもうけど、思うんだけど常々私が主張しているように、良いリールなんてのは釣り人との関係性の中からしか生じ得ないモノで、どんなに世間一般に不評だろうが、その釣り人が愛用してきて一番好きならその人の中での一番はそのリールになるんだろう。「俺が好きなんだからコイツが最高!」って意見は客観性を持った説得力はないにしても、大いに頷けるし気持ちは良く分かる。
 私がコレから安ダイヤの「アクションM」と「タックルA」を使い込んでいって、「オレのダイヤモンドはアクションM」とか言い始めても「ハイハイおジイさんそうですね」とウロ入り始めた年寄りをいたわるような目で見てあげて欲しい。


 とはいえ、一般的に大森ダイヤモンドが高く評価される点は、単純な機構に丁寧な設計と適切な素材選定で”必要充分”な、無駄なく実用的で値段も良心的なスピニングリールを世に送り出してきた点だとは言って良いかと思う。
 マイコンあたりはリアドラグにした分やや複雑な機構だけけど、それでも、その後の行き過ぎたゴテゴテしたリール達と比べれば充分単純明快なリールである。最近のリールは原点回帰で軽さとか回転性能とかが重視される傾向にあって、あんまりめんどくせぇ機構は付いてなくて逆転防止の切り替えも省略とかになってたりするけど、そのくせ部品点数としても多くて重く、繊細で扱いにくく防水性とか過剰に求められるようになる「瞬間的逆転防止機構」だけが現代のリールに存在する大きな矛盾点だと私は思っている。逆転防止なんて大森方式のローター軸の部品に歯を掛ける方式でも、それ以前のハンドル軸に設ける方式でも特殊な用途以外には困らないし、カリカリ鳴ろうがガチャガチャしようが慣れればどってことない程度の話である。
 そういう”必要充分”という視点で自分の釣りに照らし合わせて、さっきあげた小型アウトスプールの大森ダイヤモンドの美点をもう一度点検してみる。最初の前提としてアウトスプールを選んだのは、最近インスプールの扱いにも習熟しつつあるけどやっぱりアウトスプールの”ベールを手で返して良い”スピニングの方が馴染みがあるし、そういう釣り人の方が現代では多いんじゃないかと思って、インスプールはまあ語る人も多いのでそういうのは沼の深みに棲む人達にお任せして、私としては”左手でライン放出を調整してそのまま左手でベールを手で返す釣り人”代表として大森アウトスプールについて考えてみたいと思ったからである。
 点検してみると、ベアリングが1個が良いか2個が良いのかっていうのがなかなか難しい問題で、回転性能的にはそんなに差が出ないのはPENNで回らなくなったローター軸のベアリングをハンドル軸に回したら何の問題もなくて、ハンドル軸には回転性能だけ見たらベアリングなんて、少なくとも自分の釣りには必要ないと思っている。ただ、ベアリングの”摩擦が小さくできる”という特性は耐久性にも関わってくるのでベアリングなしだと軸が削れていくのでは困ってしまう。そのあたりは具体的にはベアリング1個のタックルオートと2個のオートベールのどちらを選ぶかなんてのに関わってくる。
 他はほぼ自分の釣りにも有利な美点なんだけどベアリングの他にもう一点、自分の釣りにあきらかにいらないな、というのがあって「確実な内蹴り式のベール返し」がじつはワシにはいらんのじゃないか?と思っている。
 不要なら取っ払える機能なので取っ払っても良いんだけど、重量変わると回転バランスに影響するはずなので”無し”でいくなら最初からない方が良く、部品点数減るのでその分故障箇所や経費の削減という利点が出てくる。
 右手の人差し指でラインの放出を調整して左手でハンドル回してベールを返す釣り人ならベール返しが確実で軽いことは重要でTAKE先生のリールの評価基準でも思いっきり重視している点だけど、そこは人差し指でライン放出調整できないような重いルアーとかも投げる塩分濃いめの釣り人である私には正直関係ないっちゃ関係ない。
 事実、昨年秋にインスプールのリールに慣れた手で430ssgを使って右手人差し指でライン放出止めてハンドル巻いてベールを返そうとしたら、なぜか空振りしてしまい投げ方を元に戻して左手でベール返して釣りは続行できたんだけど、部屋に帰ってから原因調べてみたら内蹴りのベール返しの組み方を間違えてて機能しなくなっていた。おそらく数年前に油ぎれ起こした一方通行のベアリングに注油がてら全分解してグリスアップしたときに組み間違えたんだと思うけど”ベール反転機構なし”の状態で気がつくまで何の問題もなく使用できていたのである。ついでに言うなら4400ssはワシの右手の人差し指じゃスプールまで届きにくいというTAKE先生的評価基準ならダメリールなんである。でも私の中での信頼感と評価は極めて高い。ってぐらい釣り人毎に最適な答って違ってくるよって話。
 実は仕様で”ベール反転機構なし”というスピニングリールなんてのもあったりする。起こすのも返すのも手でやるマニュアル方式。なぜこんな一見”欠陥品”のリールが売られているのか?重量級のルアーを投げるリールで、投げた際にハンドルが回るなどしてベールが反転してルアーが初速のエネルギーを持った状態で急ブレーキがかかりラインが切れたり逆転機構の破損やらが起こるというトラブルはありがちで、私も7500ssの逆転防止機構は2度壊している(それを想定してだと思うけどPENNには音出し式の逆転防止機構が予備に付いているので釣りは続行できた)。ベールを起こす位置を一定にして滑らかな無理ないキャストが実行できていれば起きない”過ち”なんだけどたまに過ちを犯すのが人間というモノである。くだんのリールはエイテックのテイルウォーク”クロシオ”シリーズにあるんだけど、そのあたりの人間の過ちを織り込んで割り切った、実際の釣りの現場が分かってる人が考えた賢い設計だなと感心したモノである。

 ということで、タックル”オート”、”オート”ベールの名に誇らしくその機構を謳っている大森式の”内蹴りのベール返し”なんだけど、大森さんスイマセンそれワシいらんかもしれませんわ。ということで、より単純な外蹴り式のリールが案外良いかもって考えたらどうにもたまらなくなってしまうという”急性大森熱”症状悪化で、実釣でも使用感とか試してみたいならシーバスかなということで、ネットオークションで写真上の「タックル5NO.2」と「タックルNO.2」をサクサクッと落札してしまった。他にも似たようなタイプに「マイクロ7」のアウトスプール版があるけど、これはワンタッチ着脱スプールでベアリング2個とタックルオートに対するオートベールと似たような機種のようで、ベアリング1個の「タックル5」は「マイクロ7(アウトスプール)」の普及版のような関係らしい。
 アホみたいにポンポンとリール買いやがってと自分でも思うんだけど、これがまた外蹴りアウトスプールのダイヤモンドリールって人気薄で1500円と1980円とゴミスピ価格一歩手前のお安さなんである。こりゃあ落札するしかないよね?

 まあ買っちまったモンは仕方あんめぇ。どちらもグリス固まってるのか回転も重いので早速分解清掃実施。特に黒銀の「タックル」の方は普及機だからぞんざいに扱われてたんだろうけど、スプールエッジにも結構傷が入っていたのでハンドドリルで大きな傷はえぐって引っかかりがないようにならしてサンドペーパーかけて、ラインローラーも注油なんかしてもらってなかったようで固着して糸溝できてたのでアロンアルファで溝を埋めておいた。
 パカッと蓋を開けると、オートベール、タックルオートでそろそろ見慣れたいつもの大森式の機構の数々で細かい説明省略。
 ベアリング1個なので、ハンドル軸は真鍮で受けてるけど特に鋼製の軸にも真鍮のはめ殺しのブッシュにも摩耗はないように見える。
 グリスも塗布し直して、さて、左にハンドル付けて終了。と思ったらクリクリ回しても「あれ、入らんがナ?」という感じで填まってくれない。
 愛用していたマイコンTBシリーズやら先頃購入したタックルオートもハンドルは左右兼用だったので、当然そうだと思っていたんだけど「タックル」に関しては左巻き用のネジに交換する必要があるらしい。そのために2枚目写真のようにはめ殺しじゃなくてネジが外せるようになっている。
 「あっちゃー!やってもうた~」という感じである。左用のネジなんて使わなければなくしてしまうだろう。実は紛失防止に「マイクロ7(アウトスプール)」ではハンドルの後ろを延長してハンドルネジの収納スペースを設けている。キャスト時にハンドルが回るのを防ぐ重さ調整のための設計かなと思ってたけど、それも兼ねてるかもだけど収納スペースらしい。ちょっと見た目はイマイチな気がするけどそういう機能があると知ると大森らしい実直な良さのある造形にみえてくる。
 今回落札した2台とも、困ったことに右巻き仕様になってて左巻き用のネジなど付いていなかった。どうすんのよこれ2台も?と途方にくれてしまうのだったけど、でも見たところネジの太さが右にも左にも付けられるマイコン301TBと一緒と違うか?と思ったので試してみた。あっさり装着可能で、私の場合リールを一度に2台使うことはあまりないので使おうと思えばハンドル借りてきて使えるようで一安心。
 と、思わぬ形でハンドルの互換性が判明してしまったけど、実は今回の購入で確かめたかったことに一つに、ダイヤモンドリールのパーツ共有性というのがあって、写真を見る限りスプールなんかは金型代節約のためだと思うけど形一緒で、いろんな機種で使い回せるんじゃないかという気がしていたのでその辺も確認したかった。
 一番下の写真が「タックルNo.2」に「タックル5No.2」のスプールと「マイコン301TB」のハンドルを装着した状態。何ら問題なく部品共有可能。

 ただ、「タックル」と次に分解した「タックル5」は同型機のようで、スプールどころかギアからナニからほとんど一緒。本体の表記が凸ってるのからシールに変わって色が骨董的な雰囲気の青から70年代日本リール風の黒銀に変わった他、スプールのライン止めが省略されてるとかの細かい違いだけ。ネットでカタログ登場年とか調べたところ「タックル5」は1975年からの登場らしく、「タックル」シリーズは1979年カタログには掲載されていて「タックル5」が消えているので色違いのを後継機的な扱いで「初めてのスピニングリールに」と売っていたようだ。部品共有もナニもあったモンじゃない。設計基本一緒。ただお化粧直ししてでも、一番ややこしくないことから値段も低く設定できるこの型のリールを残していたのは、入門者にも優しかっただろうし「タックル5」の愛用者にも部品供給が続けられて良心的だったんじゃないかと評価できる。
 ちなみに「タックル」のベールアームを樹脂製にした「ニュータックル」というのもあったようだ。 

 「タックル5」の方を分解していくと、思った以上に一緒で笑える。さっき見た「タックル」のギアでも平行巻機構のクランクの輪っかの端が右上の方削ってあって、多分蓋を止めるネジの場所に当たるので削ってあんのかなと思ったけど、こっちの部品も同じようになっててフフってなった。ちょっと削らんと入らんかったんだろうけど、新しく金型かなんかを作り直すのが経費かかるのでそのまんまにしてある感じが、人間の手仕事を感じさせてくれてほほ笑ましい。
 両機ともベールアームは金属製で、ラインローラーを縒りが入りにくいように水平に、とかの調整はしやすい。意外に使っていると金属の板で出来た部品は曲がるようでだいぶ曲がってしまっていた。ダイヤモンドリールのベールアームがたためる意義が小さくたたんで持ち運びしやすいという以上に持ち運びの際等にベールアームの変形を防ぐところにもあったんだなと実感できる。
 部品点数は45をちょっと越えるぐらいでとっても少ない。壊れるカ所やらお金の掛かる部品やらが少なくできている感じでとても好印象。
 このあたりから、分解清掃にパーツクリーナーを使い始めたんだけどスプレーするとグリスとか吹っ飛んでいくし、瓶に貯めて漬け置き洗いも頑固な汚れが落とせて作業が捗る。
 そうやって分解清掃してグリス、オイルを入れ直してやると「タックル」もそうだったけどコイツも問題なくクルクルと快調に回ってくれる。「タックル」のほうは全く手入れされてなかったけど、こちらはラインローラーとスプール外して主軸には注油してあって前の持ち主がだいぶ愛用していたと見えるけど、特にギアとか真鍮のブッシュとかに摩耗は見られず、やっぱりベアリングは1個で良さそうに感じる。
 
 出撃準備も整ったんだけど、ダイヤモンドリールのパーツ共有について確認してみたいという目論見は同型機だったのであんまり達成できなかった。おそらくスプールの形式から見て、アウトスプールの場合、同じサイズのワンタッチスプールの機種「プロライン(アウトスプール版)」「マイクロセブン(アウトスプール版)」「オートベール」はスプール交換可能。ワンタッチじゃない「タックル5」「タックルオート」「タックル」「ニュータックル」はこれまたスプール交換可能なんじゃなかろうか?ギアとかについてはひょっとしたら両者で共通の部分はおろか、インスプールともある程度共通しているようにも思う。
 そこまで調べる気はないにしても、スプールの互換性があるってのは蒐集していくとスペアスプールも手に入ることになって実戦投入するには極めて使える情報だと思うので調べて書いておきたい。自分の選ぶべきは普及版の方だと思うので、ワンタッチスプールじゃないほうのスプール互換性があるか調べてみたくなった。っていっても先にあげた4機種のうち「タックルオート」以外は形が一緒なので互換性あることは明らかで、「タックルオート」と他の3機種のどれかが互換性あることだけ確認すれば良い。



 No.2サイズの「タックルオート」を入手しても、逆にNo.1サイズの「タックル5」とかがあっても確認できる。
 サクッと「タックル5No.1」を某ネットフリーマーケットで3000円で購入。だんだん突っ込む金額が上がってきてヤバい感じに感覚が麻痺しつつあるけど、躊躇なく買ってしまった。
 前回の失敗の轍を踏まないようにちゃんとハンドル左に付いているのを確認して購入。上の写真の右がその個体。コレで左巻き用のネジが1本手に入ってネジだけの使い回しも可能。
 でもって、「タックルオートNo.1」とスプールとハンドル交換してみた。真ん中はタックルートの左右兼用のハンドルネジ。同一軸状に右用と左用のネジ山が交互になる感じで切ってあって、初めて見たときに機械にうとい私の場合「へーこんな方式があるんだ」くらいにしか思えなかったけど、これ機械に詳しい人が見るとびっくりするらしい。いくつかのブログで興奮気味に書いている記事があった。
 ナニが凄いのか分からん。ベイトリールの平行巻機構の細かい版みたいなもんじゃないのかと思って、むしろ平行巻機構の方がなんで端まで行ったら戻ってくるのか?同じ方向に回ってるのに途中で止めても行ったり来たりせずきちんと往復する仕組みが理解できん。
 だとしても既に設計してあって使ってるギアの軸の穴に合わせて、後付けでキッチリ左右のネジ山を切るのがそんなに簡単じゃないんだろうなというのはおぼろげに想像できる気はする。普通はPENNみたいに右と左で軸の穴の大きさを変えて、ネジの先の方半分を細くして右用、残りを太くして左用とかに切るンだと思う。いまのシマノの高級機種もそうなってたはず。そもそも高級機種じゃなければ軸の穴を四角や六角形にしてというのがもっと一般的。それを普及品の「タックル5」でも丈夫で緩まないネジ込み方式にこだわって、次には左右両用のネジまで切ってしまうあたりの大森製作所の真面目な機械屋ぶりなのである。
 ちなみに一番下の写真のようにハンドルとスプールは何の問題もなく交換可能。
 「タックルオート」がいけるんなら、ひょっとして樹脂版の「キャリアー」も行けるんじゃなかろうかと試してみたらキャリアーはダメだった。スカートの直径やら主軸の径は一緒で入ることは入るのだけど高さが合わなくて、低い方はワッシャーか何かを噛ませれば使えなくもないかも?という程度。キャリアーは逆に樹脂製どうしで「マイクロセブンC」とかとスプール互換性有るんじゃないかと思うので興味ある人は調べてみてはいかがかな?キャリアーSS2台買うのはちょっとキツい値段だけど「マイクロセブンCS」を予備機に使ってスプール共有とかできれば実戦的かもしれない。CSも充分お高いけどね。

 「タックル5No.1」も分解清掃してやろうとパカッと開けてみると、なんとグッチャリと”グリスシーリング”されていて、前の持ち主の愛用度合いが見てとれて笑みがこぼれる。正直スプール傷だらけとかのリール見ると「もうちょっと丁寧につこたれよ!」とムカつくモノである。
 2枚目は参考までにベールアームの反対側のベールワイヤー支持部の金属パーツ。重量を金属のベールアームと釣り合わせるために結構大きな金属の部品になっている。樹脂製ベールアームのニュータックルとかどうなってるんだろうか?
 笑ったのが、グリス塗り直してハンドル軸のギアを填めようとしたときになかなか填まらずに押しこんでも浮いてくることで、グリスで機密性上がると空気が抜けずに、左巻きなので後ろのキャップが填まった状態では空気圧で押し返してくるんである。精度高いうえに全然削れてないやンけ。
 くわえてこの個体は分解清掃後もハンドル回すとシャーとコーッの間のような音がしているので、最初ギアとか長い愛用の間にさすがに摩耗したのかなと思ったけど、どこが鳴ってるのか部品外しながら確認したらギア関係なしでローターで、それならベアリングかとベアリング買って交換してみたら、クルックルの滑らかな回転になってしまった。
 大森小型アウトスプールにおいてベアリングは1個あれば上等だと得心した。
 ミニチュアベアリングの世界ではトップブランドらしいミネベア社製とまでいかないけどそこそこ良い日本製の200円弱のステンレス製ベアリングで大復活である。
 大森ダイヤモンドぐらいの精度・耐久性高く作ってあるリールなら、故障するカ所も特には思い当たらないし、手元に来た使い込まれていたであろう個体達がべつにギアもブッシュも摩耗してないのとかみると、消耗品的部品であるベールスプリングとベアリング交換だけしていけば普通に100年使えそうに思う。どっかのメーカーが宣伝で言ってたことなんて大森やらPENNやらの耐久性重視した設計の実用機なら、別に今さら言うほどのことでもなくて、「モデルチェンジまで持てば良い」ってな新品で店頭にある時の性能に振りすぎた”その後”のリールの多くが、そういう代物だったってだけだろう。

 ということで、ナマジ的大森ダイヤモンドリール最高傑作は、どうも「タックル5」が”必要充分”に近い気がして、そうなんじゃないかと今のところ考えている。余計なモノはなるべく付けない方がイイ。「タックル」でも同じだけど色が懐かしい感じの「タックル5」の方が好み。
 あとは実際に使ってみて、金属のベールアームが糸がらみとかのトラブルを頻発させないかとか、ちょっとみてみたいところ。まあそんなに細糸つかわんしワシの場合大丈夫だろとは思う。
 そのあたりを確認するためには樹脂のベールアームの「ニュータックル」との比較が必要だ!とまた1台買いそうになって、なんとか寸前で踏みとどまった。樹脂のベールアームで同じスプールが付いている「タックルオート」がその辺の比較には使えるわけで、もっというなら同じような形の樹脂製ベールアームの「キャリアーNo.1」使ってたので既に使用感は”普通に使える”って知ってるだろう。全く油断も隙もありゃしない。くわばらくわばら。

 ということで、私と同じようにベールを手で起こす釣り人の皆さんには、大森の「タックル5」「タックル」といったアウトスプールで外蹴り方式の機種をお薦めしちゃいます。こいつら人気薄で安く手に入るうえに、部品数少なくて手入れも楽だしで、今時のリールに飽きたら、こういう良くできたリールを自分で分解清掃したりしながら理解して愛着持って使うなんてのはとっても楽しいですよと提案してみたい。

 さあさあ、皆さんふかーい沼に一緒に沈みましょう。ヌルヌルしてて気持ち良いですよ。
 現時点で我が家のリール数は制限である90台を3台オーバー。手放す速度より手に入れる速度が速くて困ります。全然へらんがナ。
 次回も大森ネタ「ナマジ痛恨の過ちに天を仰ぐ!」にご期待ください。

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