また台風が来ていて関東でも竜巻注意情報とかでたり風がゴーゴーと唸ってたりしている。
台風に限らず、今年は風が強い日が多い。
ぶっちゃけ船が出なくなることがない陸っぱりの釣りなら、雷以外、風でも雨でも釣りになるとは思っている。
若かりし日の和幸さんが台風でも魚釣れるか試してみたと言ってたけど、普通に釣れたそうだ。危ないからよい子は真似しないでねって感じだけど、自ら実際に納得するまでやってみるってことの大事さは見習っていきたいモノである。
昔から雨の中の釣りは好きだった。でも正直風は強いと釣りにくくてしんどいなと苦手意識があった。
それなりの風なら風が流れを作ってプランクトンを吹き寄せ、濁りを呼びってな要素を読んでいけば、釣りを組み立てる一助になるので悪くないとは思っている。
バス釣りでユルい風の中ゴムボート浮かべて釣っていて、とある馬の背の風表側ばかり釣れる日で、いきなりパタッとアタリが止んで何でだろうなと同船者と話してて、風向き変わったみたいだから馬の背の向こう側に移動したんとちゃうか?とかいって、まさかなと思いつつも試しに船の位置変えて狙ってみたら本当に釣れやがんの。
ってのが印象深いけど、どうにもならずに風裏に逃げざるを得ない場合を除いて「風が吹いたら風表」ってのが基本かなと思ってる。
玄界灘の初冬のサーフじゃ逃げるところもクソもありゃしないので、錘しこたま詰め込んだミノーを体斜めになるような向かい風の中、波に向かってぶち込むと、風に吹き寄せられてるシラスとか食いに来てたシーバスだのサゴシだのが食ってきたなんてのも思い出す。
けど、そうやって釣れると分かってればそれ用の道具立てで頑張って投げるけど、釣れるかどうか分からんシーバス釣りとかで強風は正直やる気がそがれて、狙いがそれてラインがふける。
春の南風とか最悪で、釣りにくいし一方方向から花粉入りの風を浴び続けて片目がアレルギーで充血して酷いことになるしろくな目に遭ったことがない気がする。
でも上手い人は「風なんていつでも吹いてるから風で釣りにならんとか言ってたら釣る日がないゾ」とかのたまう。しかもそう言って風には弱そうなフライを強風の中振ってたりする。
クリスマス島って珊瑚礁の島で標高が低いので風も吹き抜けてく感じで、だいたいいつも風が吹いていた。ガイドも心得たモノで私のような下手くそがフライロッド振るときには風に逆らわないで済む位置どりを考えてくれていた。
でも上手い人に言わせれば、フライキャスティングにおいてバックキャストが伸びる向かい風は飛距離出しやすいらしく、同宿になったフライマンは風の中でっかいポッパー投げてロウニンアジ仕留めてきてた。
そういう手練れを見ていると、多少の風ぐらいどうにかせにゃ示しがつかんナと反省して、今年は風の日が多かったこともあり、風速10mを越えるような強風の中でも釣りに出かけるように心がけている。少なくとも行ってダメなら帰ってくれば良いんだから、とりあえず行ってみようの精神である。
道具出すのに地面に置いたリュックが風で転がされる日もあったし、強風の時に風の方向に水面にゴミの筋ができるラングミュア-循環なんて現象も1度ならず見ている。
釣ってみれば意外に何とかなるもので、ナイロンラインは比較的糸がフケにくいし、釣り人少ない中、あんまり飛距離でなくても釣れたりしたし、逆にいつもの対岸に渡って風に乗せて大遠投なんてのを試せたりもした。
あと、当然と言えば当然なんだろうけど、延べ竿を使う釣りは風には強い。ハゼ釣りもアユ釣りも強風下でもそれなりに釣りになったし、新しい発見もあって面白かった。
風が吹けば桶屋が儲かる方式で、強風の日のアユの毛鉤釣りは、虫の羽化が少ないのでアユがライズせず釣果がパッとしない。
ハゼ釣りでも風表は適度な濁りが効いているのか釣れる気がした。
自然現象って、嫌でも逃げられないことが多いし、災害のような負の側面もあれば、雨水とか恵みをもたらす側面も含んでたりする。
写真は今日の午前中嵐の前の静けさの中、近所の神社の階段に椎の実を拾いに行った時のものだけど、この台風の風も被害をもたらすかも知れないけれど、椎の実をまた拾わせてくれるかも知れない。
泣く子と天気には勝てないってのが相場なので、被害がないことを願いつつ、うまく恵みは享受できるといいなと思う。
2018年9月30日日曜日
2018年9月21日金曜日
ドングリスト宣言!ついでにキノコも始めました
しかしながらホモサピエンスは幼少期においては程度の差こそあれど、意味もなくとにかくドングリを集めたがるものであり生来ドングリスト的資質を有している。その生態により「大事箱」に仕舞ったまま忘れかけていた大量のドングリから、成長したゾウムシの幼虫が穴を開けてウゾウゾと這い出してきてギャッとなったり、戯れに鼻に詰めて取れなくなりエラいことになったりするモノである。
大人になるということは、理由もなくドングリ一つ拾うことができなくなるということかと思うとなんだか寂しくなる私は今日で47歳。
ゆうても四十路後半のオッサンが急に童心に返った裏には損得ずくの欲望が渦巻いていた。一言で言うなら独特のやや黒くてとんがったドングリを見ての「うまそうなモンが落ちてるやんケ」という食欲直結のトキメキである。
多分このトキメキは、西日本の出身者じゃないとわからないだろう。ドングリって広義には栃の実なんかも含めるけど、基本ブナ科の木の実で、クリを除くと渋いのが当たり前で、水さらしや煮こぼしで灰汁を抜いて粉にして食べる文化は戦後あたりには既に途絶えていて、とち餅とか一部郷土料理に痕跡を残すのみになっている。
ところが、クリ以外にも渋くないドングリっていうのがあって、故郷じゃ椎の実(シイノミ)って呼んでて歴史資料館の公園裏の崖でよく採ってきて煎って食べたモノである。
売ってるクリほど甘くはないけど、素朴な甘さとネットリとした歯ごたえで、なかなかおやつとしては上等なものだったと記憶しているけど、想い出補正もかかってるんだろうなと、最初はちょっとだけ拾って持ち帰って、ギンナン食べる時みたいに封筒に入れてレンジでチンして食べてみたところ、想い出補正なしで今食べても充分おいしい。
椎の実初めて食べた同居人もおいしいと言ってたので万人向けの味だろうと思う。
おいしかったので、次回ガッチリ拾ってやろうと思うと同時に、ちょっとネットとかで椎の実についてお勉強してみた。
故郷で食べていた椎の実も今回拾った椎の実も「スダジイ」の実で、ほかにあく抜きしなくても渋くないドングリは数種類あって中でも「マテバシイ」は空気の汚染とかにも強くて街路樹にも使われているとかで、全国的にどこにでも植わってるらしい。
とりあえずドングリストとしてはこの2種をおさえておけば当面関東では困らないようなので、街に出かけたついでに大きな公園とかで拾ってみた。
スダジイも珍しくない程度には植えられているようだったけど、マテバシイは公園なら定番といって良いぐらいに植わっているし、駅までの道路沿いにも植わっていた。
ただ、ドングリが拾えるほど実を付けている木ばかりではなく、同じ公園内でも拾いやすい通路上にボロボロとこぼれているぐらいの豊作な木もあれば、全く実ってない木もあって、その辺は天候やら樹勢やらで年によっても違うようだ。
渋もなくておいしいので食べられないように皮に包まれてるんじゃなかろうかと思ったりもする。クリなんてあのイガだからね。
木自体は、上の写真のようなゴツゴツした幹で、葉っぱがギザギザしていないうえに裏がくすんだ黄色っぽいので、他の木々より葉の茂ってる下のあたりが黄色っぽく見えるので割と遠くからでもそれっぽいなと見当がつく。
マテバシイのほうは、食べると若干渋みを感じるのが関係しているのか、ドングリは普通の帽子をかぶったスタイルでやや長細く、表面が若干白っぽく粉を吹いていて帽子が鱗状になっているのが特徴だけど、代表的な渋いドングリであるコナラのドングリと似ている。
ただ、木自体はコナラと違って幹がゴツゴツしていなくて、葉っぱもギザギザしていない。ドングリじゃなくて木本体の方で確認すると間違えにくいと思う。
ドングリとしてはマテバシイの方が大きくて、右の写真みたいに道ばたでもどこでも拾えることもあって量も集めやすいんだけど、スダジイより甘みが弱くてボソボソとした食感でちょっと栗の渋のような味もあって、単体で煎って食う場合はスダジイより落ちる気がする。ただ、栗の渋のような味は逆に野趣溢れる風味でもあるので、調理して味付けして食べるならこちらの方が個性があって良いのかも知れない。「マテバシイ 食べ方」とかで検索かけても、クッキーとかにして食べる方法が出てくる。甘さをガツンと加えてマロングラッセ風とかにしても良さそう。
でも粉に挽いたり砂糖だんだん濃くしながら煮詰めたりとか面倒くせえ。何か良い調理方法ないかなと考えていて、とりあえずピーナツ味噌のピーナツの代打とかどうだろうと考えている。殻剥くのはどうしても面倒だけど、あとは油で炒めて味噌と砂糖ドバドバにチョイと酒かみりんぐらいで調理自体はフライパンいっちょで簡単である。暇なときにでも試してみよう。
拾いに行くのに、蚊が多いので長袖と虫除けは必須だけど、特に買いそろえるような装備もなく、ビニール袋に拾うはしから詰めていって、現場で水に浮かぶ虫食いのものを選別して捨てて、帰ってきたら新聞紙の上にでも広げて干しておけば、腐るわけでもなし長期保存も可能。
食べたい分だけレンジでチンしてペンチで割ってチマチマ食べるのは、ミカンの皮むきながら食べるのと同様の口寂しさと手持ちぶさたを同時に解消する良いおやつになる。
ということで、リスのようにこの冬を越すためのドングリを暇を見つけて備蓄していっているところである。
ということで、ドングリストとして歩んでいく心づもりを決めたところなんだけど、ドングリ拾いながら公園の木々の間を歩いていると、なんだかドングリ以外にも惹かれるモノが目に入ってくる。
ドングリストのほうは方針も単純で迷う要素も少なく、間違って渋いの食べたところでベェッと吐き出してしまえば事足りるのでお気楽に始められるのだけど、キノコはなんぼ魅力的に目に映っても、写真撮るだけなら良いけど、食うとなるとちょっと簡単には踏み込めない難しさがあるようには思う。
昔から、案内してくれる詳しい人がいなければ素人はキノコ狩りに行くべきじゃないといわれている。私も東北在住時に連れていってもらって、その時にクリタケと二ガクリタケの見分け方を教えてもらおうとしたけど「成長段階や生える場所で形も色も違うので見た目じゃ分からない。基本これまで採ったことある場所でしか採らない。いちいち囓って苦いかどうかなんて調べていられない」という回答で、こりゃ素人には無理だと納得したものである。
食用のキノコと見た目で区別ができない毒菌があって、しかもそれが死に至るほどの猛毒とか初見殺しもいいところである。というか玄人でも結構死んでる。今年も既に秋のキノコシーズンで75歳の経験も知識もあっただろうジ様がニセクロハツとみられるキノコにあたって亡くなっている。
ニセクロハツってどんなキノコなんだろうと検索して勉強してみると、そもそもおいしいキノコとして親しまれてきたクロハツ自体、海外では死亡例もあるとか、日本のは別種だとか、詳しく調べればニセクロハツといわれているのもクロハツと呼ばれているのも一種じゃなさそうとか、分類自体再整理が必要な世界で、素人が手を出せるような明確な基準など全くない。生き物って自然ってそういうモンだと、確かな答えなどありはしないと思っておくほうが身のためであるとここでも思い知らされるのである。
素人は写真だけ撮るにとどめおいて食べない方がイイ、というのは安全を考えれば全くもって正しいのだろう。確かにキノコは美しかったり奇妙だったり、生態系での役割や植物との共生関係など生態的にも面白い生き物で観察して写真に収めるだけでも楽しいといえば楽しい。
右の写真の切り株を分解しつつある可憐な白いキノコはヒメシロウテナタケというらしい。極楽往生した者が乗るという蓮の台(ウテナ)になぞらえて幽玄な和名がつけられているのだろう。こういうのを見てるとしばし心はナウシカである。
だがしかしだ、そういって素人に手を出させないようにして自分のシロ(キノコの出る場所)を荒らされないように牽制しながら、キノコ玄人達が野生のキノコの美味をそれを狩る快楽を独占しているのだとゲスの勘ぐりが心にもたげると、フンギーッ!アタイ悔しいッ!!って思ってしまうのである。
なにもややこしいキノコを狩りたいなんて分不相応なことを思っちゃいない。例えば写真だけ撮ってきたこのキノコなんて、こんな感じのキノコなんていくらでも画像は出てきて、広葉樹の林床に生えていたという状況を加味して絞ったとしても、美味しいというハタケシメジやウスムラサキシメジにも見えるし、アタリ連発のカキシメジとかにも見える。これが分かるようになるのかどうかさえ現時点ではわからないので、現時点では食っちゃ駄目ということだけは明確に分かる。
写真のなんとかテングタケっぽいのを同定しようとして白いキノコの多さと毒キノコ率の高さに半ば呆れた。ぜんぜんコイツの素性は分からんかったけど、白いキノコであり毒っぽいというのは分かる。白い毒キノコ代表のドクツルタケとか英語圏じゃ通り名が「破壊の天使」でっせ、中二臭いけど中毒症状とか読むと絶対食いたくないと実感する。毒が吸収されてから肝臓とかを破壊し始める時間差攻撃で、解毒剤とかない苦痛の中で死ぬとかどんな拷問かと。
でも、そんなややこしいキノコばかりじゃないだろと、初心者向けのキノコもあるんだろどうせ?と思っていて、割と以前から目にしてたのが「タマゴタケ」が赤い傘に黄色い柄という毒々しい見た目にもかかわらず、無毒でかつ美味しく食べられるというもの。
個性的な見た目が幸いして見間違えそうなのは、スーパーマリオブラザーズでお馴染みのベニテングタケぐらいでそれも柄の色が違うので普通間違えないし、間違えたとしても毒々しい見た目ほどは毒性強くないらしく、せいぜい「狂戦士」化して暴れるぐらいで、昔どっかの王様が面白い夢がみられるのでハマってしまい食い過ぎて死んだらしいけど普通死にゃしないらしい。狂戦士の本場北欧では野生のトナカイもベニテングダケ食ってラリるという映像を見たことがある。
タマゴタケは素人が食っちゃっても平気だろうと思う。
コイツ自体は傘もずいぶん開ききって食べ時を逃してるように見えたし、勉強する前だったので写真撮るだけにしたんだけど、結構大きい拳ぐらいは傘があるキノコで、コレって「なんとかヤマドリタケ」とかいう美味しいキノコのひとつじゃないの?という気がして知識の無い自分がちょっと悔しくて、部屋に戻ってから手元にある小学館の「フィールドガイド10きのこ」というポケット図鑑とネットでお勉強してみると、やっぱりそれっぽくて「ヤマドリタケモドキ」が、大きくて太い柄、傘の裏がヒダじゃなくて細かい穴空き状態なところ、柄に網目模様が入っているところ、茶褐色の色、人里の広葉樹林の林床に生えるという特徴から合致するんじゃないかと判断した。本家ヤマドリタケはイタリアじゃポルチーニと呼ばれる高級キノコでヤマドリタケモドキも本家ほどじゃないけど充分美味しいキノコのようで、本家がやや高い山地に出るのに対して公園やら里山にも出るので「近所のポルチーニ」と呼んでる人もいた。
浅く調べた範囲ではヤマドリタケモドキは「イグチ科」のキノコで「イグチに毒茸無し」と昔は言われていたようで、苦くて食えないというのはあるけど、死ぬような毒持ちは山の針葉樹林に生える「ドクヤマドリ」ぐらいで、イグチ類は入門向けとのことであり、早速雨が降る前にと昨日午前中にとある公園に初茸狩りに単騎出陣した。その公園にはタマゴタケの発生情報もありタマゴタケとヤマドリタケモドキ以外は写真だけにして、採れなきゃ採れないでドングリストという作戦である。
最初っから採れるわきゃないなと、入り口近くでギンナンを確保。果肉剥くのに水につけて腐らせる必要があるのと手が荒れるらしいので、落ちてる時点で皮のむけ落ちてるようなギンナンを確保しつつ、遊歩道を歩いて行くと、いろんなキノコも出てたけど、予想に反して首尾良く「ヤマドリタケモドキ」とみられるキノコも見つけた。傘が開ききっているのが多かったけど、ある程度まとまって生えていて、複数箇所そういう場所を見つけて、ダンゴムシとかにあまり囓られてないのを2つほど確保して3時間ほどで撤収。
上から見た傘の大きさ見てもらえば分かるけどデカくて、とりあえず2個もあれば保存食作らない限り充分な収穫量。
念のためドクヤマドリなら切り口が青く変色するようなので傘の端とダンゴムシが囓ってた根元をちぎって移動中紙袋に入れてあるのを観察してみたけど、最終的にちょっと茶色っぽく変色したけど青くはならない。
太く表面に網目の走る柄、大きな茶褐色の傘で裏は小さい穴の管孔、でたのは広葉樹の林床。ヤマドリタケモドキの特徴には合致している。切り口は青く変色しない。でもそれが決め手になるのか、素人の知識不足で思わぬ落とし穴にハマっていないか、表面のゴミを洗い落として、濃いめの食塩水に浸して「虫出し」という段階になって、不安に駆られてネットで少し深い所まで潜って調べてみた。
ウーン難しい。とりあえずイグチに毒茸無しは昔の迷信でっていうことに最近ではなってきていて、死亡事故起こりそうな毒性の強い種が、ドクヤマドリの他にもミカワクロアシクロイグチとバライロウラベニイロガワリが少なくとも追加で、幸い前者は色が黒くて柄の網目が2重になっていることから、後者は亜高山の針葉樹林に生えてその名の通り薔薇色なのでヤマドリタケモドキとは明確に分けられそう。
ただ、人によっては中毒したり食用に適さないほど苦かったりというのもあって、ウラグロニガイグチとニセアシベニイグチ、ニガイグチモドキあたりが油断していると色がちょっと違っていたら間違えそう。これらは色意外にも柄に網目がないのでしっかりそこを見ていれば大丈夫そうだけど、ニガイグチが色の出方によってはかなり難しい。柄の上の方には網目もあって切り口も変色しないし、全体的な色の特徴もヤマドリタケモドキとかぶる場合がありそう。食用には適さないほど苦いらしいので食べて死ぬ危険性は低くて、現場でちょっとちぎって「ペロッ これはニガイグチ」とかすれば良いちゃ良いけど、油断してると鍋一杯分の食材を無駄にしてしまいそうで怖い。
あとは、いまだに分類されてない「不明種」扱いのヤマドリタケ属の茸も結構あるようで、今の図鑑やネットで知り得る知識総動員しても、同定しきれないのもあってそういう茸は毒か可食かも分かりゃしないので、何かちょっと違うと引っかかるようなのは「あやしきは採らない」で、狙ってる茸の典型的な特徴が出てるものだけを採るというのが鉄則のようである。
2種とも個性的な見た目で、アカヤマドリは赤くて傘に独特のひび割れ模様が出ている成長段階なら間違えなさそう。
ムラサキヤマドリタケは写真のがそうだと思うんだけど、独特の斑模様の傘の色に柄が紫で網目ありで、唯一似てて間違えそうなオオキノボリイグチも美味しい茸のようなので大丈夫と判断。
あんまり欲かいて何でも採りたがると罠にはまると思うので、独学でキノコをやっつけるということの難しさも加味して、しばらくはこのぐらいで経験積むんだろうなと思う。
昨夜、だし取りがてら塩茹でにしたヤマドリタケモドキを醤油仕立ての鍋にして今夜の晩餐に供する予定である。一切れ食べて苦くないのも確認してから寝てすでに起きているので大丈夫だと思うけど、それが最後の晩餐でも、いままで結構楽しく生きてきたしまあ良いかという感じである。
なぜ美味しいキノコもスーパーで手に入るのに、わざわざ危険性のある野生のキノコを採って食わなければならないのかと言われれば、おっしゃるとおりなのかも知れない。
でも、何の危険も犯さない、健康に良い安全な食品を食べて健康な生活習慣を身につけ、ストレスもなく長生きするのが一番の幸せだというような価値観に正直言って、いちいち腹が立つので、なるだけ反逆してやりたいのである。
そんな家畜の安寧のような幸せを誰もが求めていると思うなよと言いたい。
狩ろうが採ろうが食いモン得るという行為は、人間に限らず従属栄養の生き物の根源的な欲求であり、我らがホモサピエンスにおいては、その行為は常に危険をはらみ、それ故に冒険的で快楽を伴ってきたはずである。
雑食で何でも食って、時に死にながらもフグやらキノコやらも食うことで地に増えてきたのが我らのはずである。
曰く、食卓に供される食品は安全性が確保されているべきである。そりゃそうかもしれんけど、それを他人に確保させてると手痛い間違いを犯すぞと説教したいのである。
カツオの刺身はアニサキスが危険なので販売をひかえるとかアホかと思ったね。そんなもんアニサキスの危険性言い始めたらサンマもスルメイカも刺身じゃ食えないし、ほとんどの海産魚が駄目だろヨ。
アニサキスぐらいで滅多に死にゃしないっていう危険性の程度を頭に入れつつ旬で安くて旨い刺身を食うなら食えばいいだけジャンよ。それが嫌なら船上凍結モノとか寄生虫の危険性がない分経費かけた流通量の少ない魚だけ食ってろって話。
自分で捌けば肝臓回りとかに入ってるアニサキスの数とか状態見て「今回は刺身は回避で焼いて食おう」とかある程度危機管理できる。それを他人に責任なすりつけようとすると食うモンなくなってつまんねえことになるって分からんのかネ。
より危険度の高い、致死性の毒を持つフグとか毒キノコが混じる可能性のあるキノコとかを食べるなら、玄人に任せるか、自力で何とかするか、そもそも食わないという判断をするか、いずれにせよ自分で考えてやってくれよと思うので、私は狩ったキノコも自分の責任で食ってみます。
アホなことばかり言ってると、人工合成した肉とかも出てきたこの時代、ものを食べることの根源的な楽しみから乖離した、わけのわからんモノばっかりを食わされることになると本気で心配している。そういうジャンクな食いモノもあって良いしぶっちゃけ好きだけど、それも食いつつ雑食でいろんなモノを食いたいと強く思うのである。
2018年9月15日土曜日
失われた時を買い求めて
”TRUE TEMPER”という文字が目に入ったときに、いきなり頭の中に大学時代の釣り仲間であるアユ君の想い出が溢れかえった。
アスファルトに降る夕立の匂いに夏の日を思い出したり、不惑をすぎて朝起きて枕から立ちのぼる臭いにオトーチャンを思い出したりというのは、紅茶にマドレーヌ浸して食べたら来し方を思い出したという小説家にちなんでプルースト効果というらしく、臭覚と味覚は脳の記憶野と結びつきが強いとか何とからしいけど、特定の釣り具の名前で想い出がよみがえるのはナニ効果と呼べば良いのだろうか。
アユ君はおフランスのスピナー「セルタ」でアマゴを釣る渓流ルアーマンで愛機は大森製作所のダイヤモンド「コメット」。当時すでにインスプールのリールは時代遅れになりつつあると私など感じていた中で、彼はその大森製のリールが安いのに使いやすくて素晴らしいことを「めちゃくちゃいいんだっケ」と静岡弁で力説していて、その影響もあって大学時代に私が買ったスピニングは、コメットのアウトスプール版であるダイヤモンド「キャリアー」と同社最大のヒットシリーズとなったリアドラグのダイヤモンド「マイコン」で、使えば分かるデキの良さで私もすっかり大森ファンになったものである。
そのアユ君曰く「最初に買った「トゥルーテンパー」っていうインスプールのリールが使いやすくて、パーツなくしたっケ同じのないか釣具屋で聞いたけどもう作ってないっていうから、同じようなインスプールのを買ったっケ」ということで、後に彼の実家に遊びに行ったときにドラグノブの無いそのリールを見せてもらったことも、その時お父上にシマヘビの干物食べさせてもらったこととかと一緒に想い出された。
でもって、写真があるってことは反射食いして手に入れてる訳なんだけど、ここしばらくスプールの整理から始まって706Zをいじくってみたりしながら、スピニングリールのことを考えていて、「TAKE'S REEL ROOM」の竹中由浩先生のリール本「TACKLE STUDY」「TACKLE RESEARCH スピニングリール編」「マイナーリールの紳士録1~3」「Let's Inner Spool!」とか國吉昌秀著「ベールアームは世界を回る」あたりを読み返していた。
読むとやっぱり古い歴史のある名作リールとかに興味が湧くし、TAKE先生にLet's Inner Spool!って誘われちゃうとワシもインスプールしてみたいなという気がしてくるのである。
でも、以前にも何度か書いているように私はスピニングリールで投げるとき左手でラインの放出を調整しつつベールも左手で起こす人なので、ベールワイヤー無しのマニュアルピックアップ方式の706Zはともかく、ハンドル回してベールを返さないとベールを止める金具が歪んでしまう普通のインスプールのリールは使えない。TAKE先生がそういう人の手をして「熊の手」とおちょくっていて悔しいけど、ケン一のミッチェルのベールを手で起こして壊した前科が軽くトラウマになってるので、じゃあミッチェル408とか中古で買おうかとはならないのである。もう生産されてない名機を、ぶっ壊してこの世から1台減らすのが分かってて買うなんてのは釣り人として間違ってる。ああいう名機は資料的価値とかが分かって収集するのでもなければ、使える人間の手元にあるべき道具だと思う。金が払えるから買って良いなんてさもしい考え方はしたくない。己の身の丈に見合った道具を使わなければ格好悪い。若造がイキがって分不相応な道具手に入れて、その道具に相応しい腕に成長していくなんてのは許してやってもいいけど、ワシャ既にオッサンでベテランじゃけんのぅ。みのほどっちゅうもンも知らんといけんのぅ。
というわけでインスプールしてみたいけど、706Zの出番はしばらくなさそうだし、シーバス釣るサイズのインスプールで、マニュアルピックアップ方式とかの熊の手でベールを起こしちゃう人でも大丈夫なのがないのかとか、まあスピンフィッシャーで困ってるわけじゃないので、インスプールのリールなんて使えなくても、アタイ別に悔しくなんてないんだからッ!とは強がってもみたんだけど、久しぶりに物欲がムクムクしてきて楽しいので、とりあえず安物でも手に入れていじくって、熊の手でベールぶっ壊したらいっそのことベールワイヤー取っ払ってベールアーム固定にしてマニュアルピックアップ方式に魔改造でもしてみるか?などと考えて中古釣具屋に行ったら、ゴミ一歩手前のガラクタのようなリールが積んであるワゴンにくだんのリールを見つけたわけである。
見つけたんだけどこれが悩ましいリールで状態が悪い。巻き取りは普通にできそうで、回転もそれ程重くない。でもそれだけで、ドラグは固まってるのかそもそもそういう仕様なのかピクリとも動かない、逆転防止のオンオフスイッチも効かなくなってて逆転はしないのはグリスが固まってるのか部品が破損しているのか。ドラグかオンオフスイッチか最悪どちらかが生きていれば釣りはできる。オンオフスイッチは今使ってる430ssgでは省略されてるぐらいでドラグがしっかりしていれば無くてもいける。ドラグなしで逆転だけの場合も逆転させてラインをくれてやるというダイレクトリール的なやりとりの方法がとれるので、シーバス相手なら何とかなるような気がする。
悩みつつも買おうかと値札を見たら迷うほどの値段でもなかった。399円なり。
変な勢いがついてしまい、隣にあったオリムピックの歴史的ヒット作で、その後の日本のアウトスプールのスピニングの大攻勢の先陣を切ったらしい「モデル93」という右巻の重いサーフ用スピニングも同じ値段だったので買ってしまった。使わんがナ。使える御仁がおられれば送料だけ負担してくれれば進呈しますのでご連絡を。
ということで我が家にやってきた「トゥルーテンパー727」だけど、足の裏には「TRUE TEMPER JAPAN」の刻印があるけど、そんなメーカー聞いたことないので、ネットでお勉強してみた。
とりあえず「ヤフオク」に現物出てないかなと覗いてみると、イタリアのザンギ社製の「トゥルーテンパー333」というインスプールのスピニングが出てたけど、だいぶ感じが違う。「ベールアームは世界を回る」によるとザンギ社はOEM(相手先ブランド名生産)が多かったようなので、コイツもそれっぽい。ベイトリールの「904オーシャンシティ/トゥルーテンパー」というのも出てたので、その辺り調べていく。
どうも本家トゥルーテンパー社はアメリカの竿会社というかゴルフシャフトも作ってた会社のようで、釣り具としては竿とリールが合体した「ユニスピン」というシリーズが有名らしい。塩味効いた感じのダイレクトリールとかも作ってたオーシャンシティーはトゥルーテンパー社に合併だかしたので両ブランド名のリールとかも存在したようだ。オリムピックが輸入代理店していたので「TRUE TEMPER JAPAN」の刻印があるリールはオリムピックが米国にあったトゥルーテンパー社のブランド名で作ったOEM生産モデルじゃなかろうかというのがネットの識者のご意見だった。
トゥルーテンパーで検索掛けると「本間ゴルフ」というところのゴルフクラブが出てくるんだけど、どうも米国トゥルーテンパーブランドは最終的に本間ゴルフに買収されたようだ。どこの業界でも栄枯盛衰は世のならいか。
ちなみに海外のオークションサイト「ebay」には「トゥルーテンパー727」いくつか出品されててやっぱり米国市場向けに生産されたリールというのは間違いなさそう。ebayにはスペアのベールスプリングも出品されてて欲しくなるけど、品物千円ちょいに3千円がとこの送料はらうのも馬鹿臭いのでグッと我慢して見送った。
今回、あんまりリールの歴史に出てこないような無名機だったので情報少なかったけど、それでもそういうマイナーリールがお好きな方ってやっぱりいるようで、「播磨屋漁具研究所」「リールズのリールズ」「・・・ごみ竿ですが 何か?」あたりのブログやらにお世話になりました。っていうか読んでて時間を忘れるほど面白かった。特に「・・・ごみ竿ですが 何か?」のバカバカしくてお下品なことを本気でやってて無駄に程度が高い感じが、エロ漫画誌に掲載されてたバカ面白いギャグマンガ、例えば「パラ☆イゾ」とかを思い出させる感じで、パソコンの前で声出してワロタ。
と、おおよその正体は分かったんだけど、このままじゃ使えねぇゼなので、分解清掃する。
まずは固まってるんだと信じたいドラグから行くと、ドラグノブ外してドラグパット留めているCリングが固くて苦労したけど、細いステンレス棒穴に突っ込んで無理矢理閉じさせて何とか取りはずすと案の定ガッチリ固着中。
引っぺがすと、凄くまともな感じの、スプールと一緒に動く耳付きワッシャーを真ん中にして上下薄いコルクのようなちょっと表面凸凹した材質のドラグパッドが金属ワッシャーで挟まれている5枚構造で、今時のドラグとたいして変わらない感じ。積年の汚れをクレ666吹き付けて歯ブラシで落とせるだけ落として、モリブデングリスをモリモリ塗って、またCリングを苦労しつつはめる。
実用可能なレベルに復活してくれれば良いんだが、どうだろうか。
でもって、本体の中は乾いて固まったグリスがグッチャリなんだろうなと覚悟して開けたけど、予想以上にグリス大量に入っていて笑えてくる。オイルシーリングのヴァンスタールじゃないんだから。
でもおかげで部品はどれも腐食してはいない。
カヤックで釣りする人間なら内部浸水を想定してとりあえず全面的にグリスは塗っておく、重くなるなんて関係ねえだろPENNだしよというのがPENN使いの常のような気がするが、その方針が結構効果あるらしいことが確認できたとともに、今までの私のグリスの盛り方はまだ足らなかったなと反省する次第である。
内部の機構とか見ていくと、ギアは日本のスピニングの得意技ハイポイドフェースギア。
スプール往復機構は単純なクランク方式。この辺「Let's Inner Spool!」で比較すると、オリムピックよりむしろ大森製作所のコメットと似ている気がするけど、オリムピックの
「シャルマン」は高級機種っぽいので単にその差が出たということか。
逆転防止のラチェットは主軸のギアの上に付いてて、グリスの下に埋もれた金属板を長く細いバネで押しつけるタイプ。
金属板の欠損もなくグリス取っ払ったら問題なく稼働しそう。
ベアリングは主軸とハンドル軸のハンドル側の2個。ベアリングなんて主軸に1個ありゃ何とかなるだろと思ってたけど、ハンドル軸の特にハンドルが付く側には強い力が掛かって摩擦が生じるのでベアリング入れないと削れる恐れがあるとのこと。まさにその2カ所にベアリングを入れているコメットにTAKE先生は賛辞を送っていたけど、このリールも同じように2カ所にだけベアリングを入れている。なかなかに分かった設計のようだ。
ちなみにベアリングもドロドロでクレ666吹き付けて吹きながら回して、吹いて回してというのを何度か繰り返してから、ダイワのリールオイルを注して、上下はボートのエンジンとかに使う耐塩性で定評のブルーグリスを盛って防水。
本体にもギアにもこれでもかってグリスが乗ってないところがないように盛って、蓋をして蓋からはみ出たグリスを拭き取りつつ、リール外側にもなすりつけるようにして拭いてやる。
ハンドルしばらく回して、オンオフスイッチ確認して、ドラグもスプール握って回してみて、まともに作動するようになったことを確認。
グリス山盛りだったこともあるんだろうけど、そもそもベアリングとか錆びそうなめんど臭い部品が少なくて意外に機関はしっかりした状態で残っている。
とはいえ、オリムピック製だとすると、TAKE先生のたまわく、オリムピックのインスプールは良い線行ってるけどベール返し関連が欠点で、耐久性のための開閉テスト基準が2500回と低かったこともあり、ベールスプリングがすぐに折れる。んだそうである。
ベールスプリング折れたらそこまでよ、な使い切って惜しくないリールだとはいえ、実は大森製だったりして、とスプール往復機構とか、しっかりしたドラグとかみて期待したけど、細かいところを見ていくとどうもオリムピックだなという気がしてくる。
時代ごとに変わるとかはあるだろうけど、会社毎の癖ってあると今回勉強して改めて思って、そういうのって細かいところで出てくるモンだと思っている。
「氷菓」っていう「古典部シリーズ」っていう学園ミステリ小説を原作にしたアニメがあるんだけど、その中でマンガ研究会所属の登場人物が文化祭エピソードで、昨年の文化祭で買った同人誌を描いた人間と、今年のポスターを描いた人間が同じであることを「耳の処理の仕方が同じ、多分間違いない」と鑑定するというのがあったけど、今回私がオリムピックだろうなと思ったのは、外すのに苦労させられたドラグパッドを留めるCリング。先端近くを一旦絞った独特の形状なのを見て、同じ形のCリングをたまたま一緒に買ったオリンピックの「モデル93」も使ってたら正解かなとまた苦労して外してみたら、まあ苦労する時点でおわかりだと思うけど同じ形。写真の下の方がそのCリング。モデル93出番あったナ。
もう一つ、オリムピック製を裏付けるのが、ベール返しの引っかける部分の構造。
御丁寧にもベール返し機構の金具が無理矢理熊の手でベール起こそうとして折れてしまわないように、下に支える棚のような張り出しを作ってある。
ベール返しをベールアーム側ではなく反対側に持ってきて重量を分散させているのとあわせ、良いアイデアだとTAKE先生も褒めているんだけど、ただこの低い位置に真っ直ぐの金具が来ていることは、サイトの方で詳しく解説されてるのを理解しきれはしなかったけど、要するにそれだけベールスプリングやらベール反転機構に負荷をかけているとダメだしを食らっている。
ミッチェル308やらカージナル33やらは金具2回曲げて上のほうで引っかけるようにしているし、大森コメットは金具を縦にして高さを確保していてリールというものが良く分かっている設計だと賞賛されている。
ただ、この金具を下支えする工夫は、私のように熊の手を持つ男にとってはとってもありがたいものだということを実感している。このリールの大きさは前の持ち主がスプール裏にストレーン8ポンドというシールを貼ってたことからも8ポンドナイロンラインで釣るシーバス用にちょうど良い感じで、スピンフッシャーだと写真のように4400SS級なので、早速今夜にでも早けりゃ使おうかとライン巻いてみたんだけど、ライン巻く段階からベール手で返そうとして「あっこれインスプールのリールやった、ミッチェルならもう壊してたな」と何度も思ってしまう状況だった。
なんとかラインも巻き終えて、名前のプレートが剥がれてた所に何かないかなと思ってカレンダーだったかについてたカモメのシール貼って、出撃準備完了である。
このリールに稽古つけてもらって、右手の人差し指でフェザリング、左手でハンドル巻いてベールを返す。という一連の基本動作が身につくと良いんだけど、ベイトリールで引き手でサミングする方式を練習したときは、慣れない体の使い方で背中から肩からガッチガチに凝り固まって酷い目に遭ったのを憶えているのでやや不安。でもまあ挑戦してみるか。
調子よくて、インスプールのリールでも楽しく釣れるようになったら、その頃には多分ベールスプリングの寿命が来てトゥルーテンパー727はお役御免だろう。
次同じのを手に入れることも可能だとは思うけど、パーツが手に入らないのをまた買うのもちょっと不毛かなと感じる。
そうすると、別にインスプールはそれでおしまいでも良いんだけど、まだ未練があるなら、今でも愛用者多くてパーツも修理用に純正じゃないのを作って売ってる人とかいると思うので、ミッチェルかカージナルかに定石なら行くんだろうけど、まあ私の場合はPENNよねという感じで、714Zか712Zを中古で探して買うんだろう。
パーツが「MYSTIC REEL PARTS」で入手しやすいというのに加えて、実にPENNって真面目なリール屋さんで、ちゃんと金具をコメットみたいに縦にして高さを確保したうえで米国人が豪快にベールを手で返そうとしても返せないように、裏支えする張り出しもちゃんと作ってあるのである。
TAKE先生は設計はよく考えられてるし個性もあって良いけど、丈夫にするため金属の部品が多くて重いのがちょっとナ的な評価だったけど、ワシ米国人と一緒でそういう重くて丈夫な造りに安心するンです。
というわけでピュアフィッシングさん、スピンフィッシャーのデカいインスプールに引き続き小型のインスプールもよろしくお願いします。
インスプールのリールについて勉強して実際に手にとってバラして組み立て直して、その歴史やら思想的なものや味わいの一端に触れることができて、知れば知るほどもっと興味が湧いてきた感じで、既に持ってる706Zの予備機と違って小さいのは迷わず出たら買うぐらいの勢いが今の私にはありまっセ。なので確実に1台は売れるのでどうぞよしなに。
2018年9月8日土曜日
ゼ ゼットォ~ 解き放たれたゼットォ~
「オレ、病気が良くなったら706Z持って釣りに行くんだ。」
などと、死亡フラグ臭い台詞を吐いている今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
お待たせしました全国の女子高生のみなさ~ん。もといっスピンフィッシャーファンの皆様~、張り切って今週のビックリどっきりメカ発進!
ということで、写真のPENNスピンフィッシャー706Zなわけだけど、なぜこの時期にいきなり706Zなのか順を追って語っていきたい。
先週書いたようにここしばらくスピンフィッシャーのスペアスプールなどいじくっていたわけなんだけど、7500SSのスペアスプールを重ねて段ボールの筒に突っ込んだ状態のを見て、スプールが安いの自体も魅力だけど、重ねることができて場所いらずな感じに小さく荷物がまとまるのもスピンフィッシャーの良いとこだよね。と改めて好ましく思ってネットリとした視線でなめ回すように見つめてしまった。
5500SS用以上の大きいサイズのは替えスプールの下の方のローターに被せる「スカート」の部分に別の替えスプールの上部糸巻き部分までぐらいを突っ込んでしまえるのである。スカートの中とかあんまりネットリ覗き込むのはセクシャルハラスメントにあたるかもしれないと反省。
何度か書いてきたけど、スペアスプールの充実は実釣において、ラインがトラブったときの復旧作業やラインの種類変更などを素早く行えるようになるので、非常に釣果に直結してくる大事な要素だと思っている。
そのあたりスピンフィッシャー第3世代、第4世代のスプールは重ねることができる形状であり持ち運びやすく沢山持っていくことができる、なんていうのがカタログなんぞに書いちゃねえけど細かいところで効いてくる良いデザインなんである。
と、「PENN使い」として悦に入っていたんだけど、まてよインスプールのリールならそもそもスプールにスカート部分なくて多くは糸巻く部分も薄く作られているから替えスプールの携行性の良さではインスプールの方が良いんじゃなかろうか?と思って、我が家の蔵からゴソゴソとくだんの706Zを出してみた。
スプールこんな感じで薄っぺらいです。
706Zについては、「スピニングリールとはどこからきてどこへ行くのか?」などということを考えたときに(サイトの方の「ベールアームはどこまで回る?」参照)、インスプールでベールワイヤー無しという個性的な設計にとっても興味がわいて中古で確保。スペアスプールにもラインを巻いてリーダーシステムも組んでいつでも使用できる状態で出番を待って蔵の中で眠ってもらっていた。
出してみると相変わらず個性的な見た目と単純な機構とかが魅力的である。大きさ的には7500SSぐらいある大型のスピニングなので、船からロウニンアジとかマグロとか、岸からならブリとかヒラマサかとかいう感じのなかなかどうして男らしいリールである。どのぐらい単純な機構かというと、試しに部品数を展開図から数えてみたら40個ぐらいで、今時の日本製リールと比べたらかなり単純な、ベアリングも3つしか入ってない7500SSでも部品数は85個ぐらいにはなるので、706Zがいかに単純かおわかりいただけるだろうか。
あらためてこういう個性的な道具で魚釣ったら格好いいし気持ち良いだろうな~とは思うモノの、リハビリ中の身であんまり体力いる釣りはできないだろうというのの他に、そういう釣りなら使い慣れて絶大な信頼をおいている7500SSと750SSで間に合ってるのでわざわざ706Zを出す必要ってあるのかなという感じである。
でも単純な機構で壊れるところとか少なそうで、醸し出す雰囲気とかの味わいもあってその実力を試してみたくはなるのも正直なところ。
とりあえず、実際に使った人の感想とか調べてみるかと検索。
なかなか実釣で使った情報は少なくて、沖縄のとある「PENN使い」の人のブログぐらいしかでてこない。その人の感想では巻き取りがカリカリうるさいのと、ドラグノブが樹脂製なのはいただけないとのことだったが、カリカリ音は慣れればどうってこたないだろうし、ドラグノブは作られた年代で違うのかもだけど我が家のは始めから7500SSと共通のドラグノブがついていてドラグパッド抑えつける面は金属になっているので問題なさそうには思う。
もうちょっと何か情報ないかなとみていると、割と上の方にアマゾンの売ってます情報っぽいのがあって、中古品でも売ってる業者がいるのかなとなにげに開いてみたら、なんと新品である。小口の輸入代行業者のようでポチッとしたら米国から発送しますとのこと。
商品写真みたら、どうもドラグノブが第4世代の750ssmの流用のような感じだし箱が赤い影絵の今時のピュアフィッシング版っぽい箱なので「こりゃ今復刻生産されてるな!」と本家のサイトを確認してみたら正解。
インスプールの大きいサイズ2機種、ベールワイヤー無しの706Zとベールワイヤー有りの704Zが"Now on sale!"ッスよ全国のスピンフィッシャーファンの皆さん。
日本だとインスプールのリールってカージナルやミッチェルみたいな小型のトラウト用の印象が強いけど、米国では大型のインスプールのリール(PENNさもなくばミッチェル)がストライパーやらスヌークやら海でキャスティングで釣るのに根強い人気があるというのは、あっちの釣りの本とか読んでて薄々知ってたけど、PENN社を吸収したやり手の印象のあるピュアフィッシング社が、商機有りとして復刻するほどだったとは正直驚いた。
実際に、廃盤だった706Z、704Zを使い続けてたような釣り人からの評判は絶賛の嵐といっていいぐらいで、アマゾンのレビュー欄は多分米国アマゾンから引っ張ってきてるんだと思うけど星5つばっかりで熱烈なファンの思いがほとばしっている。
「44年馬車馬のごとく一番の働きをしてくれたオレの704と同じく使えるゼ!」
「メイドインUSA!!信頼できるし時代を超えて価値がある。」
などなど、熱いぜ本拠地米国のPENN使い。
米国の、人の頭の上に爆弾落とすような部分には軽蔑を覚えずにいられないけど、こういう道具を長く愛着をもって使っていく姿勢には尊敬を覚えずにいられない。最新式のも売ってるけど古くから愛されてきたものも売っている米国市場の多様性を持った健全さをちょっと羨ましく思う。
700番台の第1世代、第2世代のシリーズはPENN社最初のスピニングリールである「700」が1961年生まれであり、もう半世紀以上も前の古い設計のようだけど、今回復刻した706Zも含め基本的な設計は700のものを受け継いでいる。でも復刻版ではドラグノブが微調整しやすい第4世代に付いていたタイプにされているし、私の所有している時代のには第3世代SSと共通のドラグノブが付いてた。なんてことからも分かるように、半世紀以上にも及ぶ歴史の中でそういった細かいマイナーチェンジを繰り返しながら今も愛され使われているンだろうと思うと、そういう歴史を背負って多くの釣り人に愛されたたき上げられてきた「名機」を自分でも使ってみたい、コイツで魚釣りあげてみたいという思いが沸々と湧いてくる。
っていうわけでまずは試し投げに行ってみた。実戦導入を想定すると、カリカリうるさいのがどの程度気になるのかかとか、3.8:1のギア比が7500SSの4.6:1とくらべると巻き取り速度遅く感じないか、マニュアルピックアップは何とかなりそうか、ドラグ性能がどのぐらいかとかとかみておきたいところ。
今回、竿はいつも遠征予備竿に甘んじてもらっているゼナQのルーフエクスペディション83を選択。ラインはPE80lb137m+下巻きに4号180m、リーダーがナイロン200lbでスペーサーが磯ハンター25号という感じでGT用の仕立て。
ルアーはオッサンポッピング用ポッパーからダイブジャーク用のダイビングペンシル、早引きペンシル、大型ミノーまで各種100グラムクラスを準備。
実際にルアー付けて投げてみると、最初はベールワイヤーがないので左手でベールにラインを引っかけるのにアタフタするけど、左手側にベールが来るようにしてから投げればスムーズに引っかけて巻き取りに入れるので、ようは慣れっぽい。バンスタールが流行ったときも使ってる人はそうやって使ってたんだろう。コレはたいした問題じゃなさそう。
肝心の投げて巻くということの性能に関して、投げるのは予想外に良い感じで竿との相性もあるんだろうけど、ラインを巻く幅が狭くてある種の密巻きになっているのがいいのか、ライン放出は引っかかりもなく素直で飛距離が出るように感じた。懸念の巻き取りスピード不足も、スプールの直径自体が大きいのもあってかそれほど気にならず、比べれば若干遅いかなという程度。その分重いルアーを巻くのに力が入れやすいので結局どっこいどっこいで特別高速引きが必要とかじゃなければ、今時のバコンとポッピングしてユルユルライン回収してまたバコンな感じのオッサンポッピングや、ペンシルをダイブさせて水中で平打たせてアピールするなんていうルアーをゆっくり魅せる動きを与える最近の私の釣りにおいては何の問題もなさそう。
カリカリ音はうるさいっちゃそうなんだろうけど、逆転防止機構が薄い金属板でラチェットで挟む方式じゃなく、ラチェットにバネで丈夫なドックを押しつけて、逆転しないようにラチェットのギザに掛ける方式なので、構造は単純だし部品は丈夫だしで、信頼性の高い逆転防止機構になっていることを鑑みて音ぐらい大目に見るべきだと思う。
一方通行のベアリングを使用した現在の主流の逆転防止機構は低温による機械油の固化による作動不良がおこるなんてこともあり確実性に難がある。ラチェットを薄い板で挟む方式は薄い板が金属疲労や衝撃で壊れたりする部分があってやっぱり確実性という点では劣る。その点ラチェットに同じ厚みを持った金属のドックをバネで押し当てる方式は、カチカチうるさいかも知れないけれど、壊れにくく動作の確実性が確保される原始的だけど信頼できる方式だと思っている。ちなみに逆転防止機構は今時のリールなら主軸に付けられているけど、706Zではハンドル軸に付いている。
ドラグ性能については、河原の木の幹にリーダーを結んで綱引きしてみた。これも普段私がかけるドラグ値5~7キロぐらいだと、竿曲げて引き上げてみても、竿真っ直ぐにして走ってみても問題なく滑らかにドラグが滑ってくれる。もっとドラグ値上げてと多分20キロ弱ぐらいまで上げてみたら、リールがたわんだりはしなかったけど、密巻き気味に巻かれているラインが食い込む感じがあってあんまり良くなさそうだった。5~7キロドラグでドラグ値上げずに行くときゃ行かせてとるのが適切か。まあそれで30キロぐらいまでなら問題なく獲れるだろうという感触はある。
つまり、実釣において特に問題が生じそうではないというのが今のところの試し投げなどした感触である。
コレはそのうち実戦投入せざるを得ないなという気がますますしてきた。
してきたんだけど、そうなると「大事なモノには予備が必要だ」と思う人なので、もう一台欲しくなってくる。くだんの輸入代行業者から買うと2万6千円がとこだけど、2台体制ならスペアスプールもあと2個ぐらいは買っておきたい。そうなると度々お世話になってる米国のPENNリール関係の専門店「Scott's Bait and Tackle」だとおいくらぐらいになるかなと調べようとしたら、お店のホームページが見つからない。一瞬潰れたかと焦ったけど、調べてみたら新しい名前で新装開店していた。「MYSTIC REEL PARTS」です。PENN使いの皆様お知りおきを(「お尻置き」って変換候補筆頭に出てきて、あんまりお尻好きって訳じゃないのに困惑)。PENNの部品を専門に扱う店舗が商売成り立つぐらいには道具を修理して使う文化が根ざしている彼の国に、やっぱり敬意を覚えるところ。
で気になるお値段は本体が199.95ドル、スペアスプールは44ドルで2個買うとすると計300ドル弱で送料関税考えると全部で今1ドル110円がとこで4万円ぐらい。ちょっと収入が今後どうなるかあやしい状態でホイホイとポチるのがためらわれる金額になってしまう。
ウダウダと悩んで、そもそも予備が欲しいのは壊れた時にすぐに代打が出せるようにってことだけど、706Zって自分の使い方で壊れるのか?という疑問が湧いてくる。
7500SSで今まで起こった不具合って、ベールスプリングの経年劣化、投げた直後のベール返りの衝撃とかで壊れたサイレントドックの挟む薄い板、ネジが緩んで外れたベールワイヤーぐらいのもので、そもそもベールワイヤーがない706Zではこれらの不都合は起こりようがない。前述したけどドックは薄い板でラチェット挟み込む方式じゃない丈夫な方式だし、ギアも耐久性が高いらしい古式ゆかしいウォームギア方式である。
そう、以前PENNネタで第4世代の430ssgが世界で一番最後まで生産されたウォームギア方式のリールじゃないかと書いたところ「ドイツのダムクイックレトロがまだ現役でウォームギア方式ですよ」と教えていただいたのだけど、まだ現役張ってるダムクイックレトロと復刻Zシリーズは並んだところなのである。
ドイツ人もなかなかにやりおるかんじで、なんというか「古い方式だけどウォームギアが信頼できて良いんです」的なリール哲学があってそうしているのが想像に難くない。ダムクイックレトロはメインギア以外は今時っぽい造りで決して懐古趣味で作られているわけではなさそう。そういうリールが受け入れられる、みんな違ってみんな良い的な市場の健全さが羨ましい。日本製の高機能なリールとその後追いの似たようなリールばかりの日本市場には私の物欲をチパカシさせてくれるリールがとんと見当たらない。ピクリともこない。
実はウォームギアは力の伝達効率的にはあまり優れてないらしい。ようするに巻き上げは重いはずである。でも別に706Zの巻き上げ重いともなんとも感じなかった。だってラインの先に100gだかのルアー引っ張ってるのに巻き上げの多少の重さの違いがどうこうとか関係あるかよ。巻き上げの軽さとかに異様にこだわる人達って、常にラインが張ってない状態で巻き取りするような上流に投げる系の釣りばっかりしてるんだろうか?それとも腕に乳酸溜まってパンパンになるような過酷なジギングに明け暮れてて切実に軽さを求めてるとかだろうか?そんな釣り人は稀で、多くは釣り場でリール巻かずにお部屋でクリクリしてるだけとちゃうんか?と常々思っている。
今の日本の釣り具市場で10年以上使う前提の「耐久性」を重視して設計されている道具はリールでも竿でも希有だと思っている。だって買う方の釣り人が3年とか5年のモデルチェンジの頃には飽きて中古屋に売っぱらうんだし、買うときもカタログ数値の軽さ重視だし、魚ろくに釣ってなくても評価できる感度だとか飛距離だとかしか要望しないから、3年とか5年は壊れずなんとか持つ範囲で、なるべく軽く仕上げて買い手のご希望に添うような製品に仕上げてくるのは当然っちゃ当然だろう。
逆にいうと、長持ちする道具なんてのは、壊れなきゃ買った人間が次の道具買うまでの期間が空くので商売としてはおいしくないので「丈夫な道具を売ってくれ」なんていう要望は今の大量消費文化の下においては無視されがちなのである。
にもかかわらず、スピンフィッシャーZシリーズやダムクイックレトロはそういう少数派の声を聞き取ってくれて売ってくれたのである。
そう考えると、一票入れて買い支えるために4万円がとこの支出は必要経費ではないか?評価するなら買うべきじゃないのか?と思うのである。正直706Zは1台あれば壊れることがあまり想定できないし、壊れても7500SSを代打で出してもいいんだから、今更2台目を買う必要性は低いと思う自分もいるけれど、それでもなおというやつである。
というわけで、すぐには出番のあるリールじゃなし、じっくりと悩んでみたいと思っている今日この頃。
皆様におかれましても、このなかなかに格好いい個性的なリールに興味があって、今時の優等生なリールにちょっと飽きたところなら是非清き一票を。
706Z使いこなして良い釣りできるような釣り人とか、メチャクチャ渋くて格好いいと思うんですけどどうでっしゃろ?と、ピュアフィッシング社に頼まれてもいないのにもみ手して宣伝してみる。
※追加情報:スピンフィッシャー第6世代「Ⅵ」がもうすぐ登場!ワシャ買わんけどお好きな人はどうぞ。
2018年9月1日土曜日
さもなくば海はラインでいっぱいに
9月に入って、まだ暑いけどそろそろシーバス秋の陣開幕にむけて、偵察に行ったりルアーを選定したり。ハゼも今年は魚の動き次第かつ渋い闘いになりそうだけど「落ちハゼ戦線」参戦かなと思ってるので、それ用の道具をどうするべきかとか考えている。
しばらく延べ竿の釣りばかりでリール使ってなかったし、ライン巻き替えたり落ちハゼ用のスプール用意しなきゃなと、釣り部屋のよく使うリールと替えスプールを収めた棚をゴソゴソとほじくり返してみた。
上の棚にリール。タオルが掛かってるのは埃よけ。下の棚に各サイズの替えスプールでいつでも出撃OK準備万端にしているつもりだった。
アチャーやってもうた!
久しく使ってないシイラとか用の5500SS、カヤック用の4500SSのPE巻いた替えスプールで塩の結晶が浮いて析出してて、一部スプールの金属を腐食している(念のため書いておくけどPENNスピンフィッシャーの替えスプールです)。
「ちゃんと塩抜きしとけよ!」というお叱りはごもっとも。
でもまあ塩水で使うリールは大なり小なり塩にやられるわけで、あんまり神経質になってもしょうがないな、といい加減な性格なので正直思ってる。もちろん釣りから帰ってきたら真水で洗って乾燥させてるけど、水道水でジャーッと洗ってタオルで拭いて終了って感じでそれ程丁寧には「塩抜き」していない。
スプールの腐食もラインが当たるエッジ部分以外ならかまわないとさえ思っている。だって釣りするうえで腐食してようが性能的には特に関係ないんだもん。スプールエッジじゃなくても右のスプールのように、見えるところが腐食してるのはさすがに手入れ怠った証拠みたいでみっともないけど、よくあるスプールの中の方が腐食してるのなんて見た目みっともなくさえならない。
でも、さすがにラインが当たるエッジ部分は腐食してるとラインがこすれて、飛距離落ちるぐらいは気にしないけど強度が落ちるのはゆゆしき問題である。
強い張力がかかった状態で擦れるガイドにおいては傷が致命傷になるのと違って、スピニングリールのスプールエッジの傷に関してはライン放出するときの緩んだ状態で擦れるだけなのでそれ程極端な滑らかさとかが要求されるわけじゃない。なので腐食されても穴空いているような大っきなものでなければコンパウンドかなんかで磨いてツルッとさせておけば問題は生じない。左のスプールのエッジにかかるかかからないかぐらいの位置がザラついている程度なら放置でも良いかもしれない。
とはいえ腐食させないにこしたことはなく、「塩抜き」なり海水使用後のスプールの保管方法についてはちょっと反省して考えねばとあれこれ調べたりしてみた。
今回もそうだけど経験からいっても塩吹くのは4本編み8本編みのPEラインが酷い気がする。樹脂で固めたファイアヤーライン、単繊維のナイロンラインはたいしたことなくほぼ無視できる程度。まあ編み糸って海水吸ってジクジクと乾きが悪く長時間湿ってそうだもんね。
ちゃんと釣行後は真水で洗うといっても、ドボンとスプールごと水につけたりして洗った程度では中の方ほとんど洗えてないのは明白でその程度では到底塩は抜けきらない。
本格的に塩を抜きたいならフライラインのストッカー方式で、昔ばあちゃんが毛糸のセーター編み直すときに毛糸グルグル巻いてたような隙間の空くタイプの「糸車」みたいなのにまき直して水洗いしないと、堅く巻いたスプールのままでは塩はなかなか抜けてくれないように思う。
「糸車」ってフライマン以外にはイメージ湧きにくいかと思い「幅の広い「台湾リール」みたいなやつですよ」って書こうと思ったけど、台湾リールも今時沖縄のオジィでもなきゃ知らんかなと検索かけてみたら、今でもちゃんと台湾で作られてるみたいで日本の釣具屋でも通販しているところが見つかった。「風車リール」とも呼ばれるベアリング入ってて横転する糸車を竿に取り付けるだけという思いっきり原始的で単純なリールなんだけど、巻き取りは糸車に指突っ込んで回すか軸の部分を竿持った手の親指で弾いて回すかで、後者ができるので艪を練りながら片手で道糸が出し入れとかができて、餌木でクヮイカ釣りするオジィに長く愛用されてきたらしい。いうなればハンドルさえないダイレクトリールであり軸をサミングしつつチョイと投げることもできるらしく値段も安っすくて物欲を刺激されまくったけど、残念ながら使う釣りモノも思いつかないので購入は見送った。何か自作できそうな単純さでリール自作って難しいだろうなと思うけど、いつか挑戦するなら「台湾リール」でいくべきかもしれないな。
というわけでPEの編み糸を塩抜きしたいなら「糸車」系のラインストッカーとかが必要そうだけど、別にワシャ塩抜けなくてもPEライン自体はナイロンほど吸湿劣化とかはしないので、ぶっちゃけリールのスプールエッジが腐食されなきゃそれで良しだと考えた。
ならば、塩抜き及び乾燥がやりやすいストッカーを使わずとも、とりあえずスプールからライン自体を抜いて別に保管しておけば用は足りる。ということで電動ドリル使ってライン巻いてあった樹脂製の空スプールに巻き巻きしてマジックでどのリール用の何号の何メートルかとか書いて、ライン保管用の段ボール箱に保存。樹脂製スプールは塩で腐食されないし塩漬けで傷むようなラインなら海で使えるかよだと思うので、ライン乾かす手間も面倒くせえだけなので塩抜きは特にせずそのまま塩漬け保管ですよ。
ナイロンラインはさすがに経年劣化とかあって、次回そのまま使おうかとはなりにくいので、もったいないけど使った痕跡があるのはモーターでラインを引き出す「ラインクリッパー」使って捨てた。替えスプールとして用意しただけで使ってないッぽいのは、まだ使えそうなのでケチ臭く次回も使う。使う前に引っ張って切れるまで強度試験して必要な強度があるのを確認したら問題ないだろう。
しかし、レジ袋に詰めた何百mっていうラインゴミを目にすると、釣りという遊びがいかに環境とかに悪い遊びか視覚化されるようで心にチクチクとした痛みを感じる。けど、いまさら釣りやめられないので自分が悪いことをしてるということだけ頭に置きながら生きて、死後の世界とかがあるのなら閻魔様のお裁きには罪を認めて従うことにしよう。カエシの付いた針の山とか登らされそうでいやだなぁ、バーブレスの針山ならいいってわけでもないけど。
これは、しばらく使ってない他のリールとかも確認した方が良さそうだなと、隣の棚の塩水用のフライリールを布袋から出しておそるおそる見てみると、
ラ・ラ・ラムソンがぁーッ!!
シャブの白い粉かと思うような綺麗な結晶状に塩吹いている。ダメ絶対!な感じである。なんでこんなに盛り上がって水抜き穴から溢れるぐらいに一部分からだけ塩吹くのか不思議で仕方がない。ないけど実際吹いてるもんはシャーないねン。
PEの編み糸巻いてあってしばらく使ってないスプールといえば、遠征用の7500SS用とかのスペアスプールがこれでもかとある。ラムソン以上の惨状を半ば覚悟して、あれだったら見なかったことにしてソッ閉じだなとリールと一緒に保管している段ボール箱を開けて、遠征時持っていきやすいように段ボールで作った筒に入った替えスプールも含め確認してみると、ありがたいことにまったく塩析出していない。
何でだろう?
薄ぼんやりとそうだろうなと思うのは、多分塩吹くのって空気中の湿度を吸って溶けたラインに着いてる塩が再度結晶化して析出してるんだろうから、湿度変化が紙の箱の中では室内より少ないことが良いんだろうとは想像できる。
「紙は神」なのかもしれない。新品スプールも紙箱に入ってるし、昔のラインが紙箱に入ってたのも経済的な理由以上に意味があったのかもっていうのは、サイトの方のライン管理のネタの所でも書いたけど、昔ロッドアンドリール誌上で古い紙パッケージに入ってたナイロンラインの強度を測ったら、実用充分な強度が保たれてたなんて事実からもうかがえる。
何しろ紙ってようするに薄っぺらく加工した木なので、段ボール箱でも桐のタンスのように湿度吸ったり吐いたりして中の湿度を一定に保ってくれているのかもしれない。
ということで、7500SS替えスプールはこのまま段ボール箱で放置で今後も定期的に様子を見て塩吹かないか観察してみたい。正直数が多いし距離が長いしでスプールから抜いて別保管は面倒くさいというのもある。
いずれにせよ、ラインの管理は紙の箱、もしくは衣装ケースみたいな樹脂製の箱なら底に新聞とかの紙を敷いておくか乾燥剤ぶち込んでおくというのが方法としては良さそうだと改めて感じたところ。
ただ、もっと的確に塩吹いてリールが腐食されるのを防ぎたい、なんで塩吹くのかあたりの理屈を知りたいとググっても正解っぽいのに行き当たらない。原因の根本が分かってないのに対策が立てられるか?と思うのでその辺基本だと思うのだけど、何なのこの情報砂漠。
湿度高い時に空気中の湿度を吸って溶けて「潮解」、その後乾燥してだかなんだかで再結晶化して「析出」してるんだろうなというぐらいはわかった。純粋な塩化ナトリウムは20°Cでは湿度75%まで潮解性を示さないけど、混じり物とか他の固体と接触してるとかの条件でも変わるよ、とかの基礎情報は検索してちょっと調べればわかる。でも、それが具体的に海で使ったリールのスプールではどうなっているのか、湿度変化はどう関係してくるのかあたりになるとさっぱり情報出てこない。
釣りから帰った後の道具の手入れ方法や塩抜きするためのラインストッカーとかの商品情報はいくらでも出てくるけど、そんなもんワシら年季の入った玄人(って自分で書いちゃうのはどうにもやっぱり恥ずかしい、でも書く)にとってはいまさらクソ拭く紙ほどの役にもたたん情報である。
詳しい方いらっしゃればどうか迷える子羊にご教授願います。
まあ、とりあえずのところをまとめるなら、
・ 使用間隔が空くときはPEの編み糸は紙の箱で保管(樹脂製の箱使うなら紙を底に敷くか乾燥剤を使いましょう)。抜いて樹脂製の空スプールとかに巻いておくのがモアベターよ。
・ 通常の使用間隔なら普通に水洗いして乾燥後やっぱり紙の箱で保管しておくべし。
・ 湿度変化の大きい室内の空気にさらしっぱなしではダメ絶対!白い粉!!
というところだろうか。皆さんもスプール腐食させてしまわないようにお気をつけください。
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