2017年12月16日土曜日
ヴィヴァ!コーモラン
何でコーモランネタのはずなのに、いきなり写真がメタルジグなんだろう?と疑問に思っていただければ書き手冥利に尽きるというもの。
このジグは名前をプライアルジグといって、一時期出回って消えていったんだけど、ちょうど出回っていた時期がNZにミナミヒラマサをジギングでやっつけにいった時にあたっていて、どうも彼の地にはバラクー「タ」(ミナミクロタチ、一時期オキサワラで出回ってたけどカマスサワラの別名と紛らわしいので不適切とされた模様)というバラクーダ(オニカマスの類)に見た目がちょっと似ていてやっぱり歯の鋭い魚がいてリーダーが良く切られるらしいと聞き、今のように中古屋で安く弾を補充できるほど重いジグの出モノはなかった時代だったので、釣り具屋さんで安くて重いジグがないかと聞いたところ、お薦めされていくつか買ったモノである。たしか新品で500円前後だったと思う。
さすがに安い。ヨーヅリ「ブランカ」も200グラムとかになるとそれなりの値段がしていたので、深場で使うメタルジグなんてスコンと沈んでくれて、しゃくったらあまり重くない程度にヒラヒラしてくれさえすればエエねん。となげやりなジギンガーだったので、まったく不満もあるはずもなくスイムテストもなしに、いきなりNZで実践投入。これがなかなかに良く釣れるジグで予想通りリーダー噛みきられたりしても懐のダメージも軽く小難しい理屈こいてたかが金属片にご大層な値段付けてる高級ジグよりよっぽどたよりになると満足した。
で、その後10数年蔵に眠るわけなのだが、最近シーバスルアーを探して蔵をゴソゴソやったりネットオークションでポチッたりしている最中に、ネットオークションでこのプライアルジグが出品されているのが目に付いた。今更買うつもりも必要もないけど懐かしさにちょっと説明とか読んでみて驚愕。「オマエ、コーモランやったんか!」
80年代をバス釣り少年として過ごした釣り人なら、コーモランという会社には愛憎渦巻くってほどご大層なもんじゃなくとも微苦笑を誘われずにはいられないだろう。
まあ、どこの日本メーカーも最初は猿真似から入ったわけではあるんだけど、ダイワとかバスハンターとか自前で優秀なルアー作り始めてる時代に、ほぼ一筋にパクリルアーを作ってて、そのダイワバスハンターまでパクってくる差別のない芸風にはいっそすがすがしさを感じるほどであった。当時の田舎のルアー少年はヘドンの「カズンⅡ」などみたことなくてもコーモランの「どじょっこ」ならみたことあったはずである。どうすればカズンⅡなんてマイナールアーをパクってこようという判断になるのか今考えても不思議でしかたない。
まあ、少年にとってはパクリルアーでも釣れればいいやというようなものだが、当時のコーモランルアーはある意味博打でパクリ元のルアーの釣る能力までパクってくれてればいいのだが、そうじゃないのが結構混ざってて、買ったはいいけどどう考えてもオモリの入れ忘れで引いても水面くるくる回るだけのクランクとか釣り場で途方に暮れながら「安物買いの銭失い」という言葉の意味を実感するのであった。でもまあ、安い値段でデキの良すぎるコピールアーとかが出回る昨今のように、安物買いが高くつくことに気づくことがなく、最終的に大事なモノを失いがちな状況に比べればましだったのかもしれない。と、ルアーに限らずまともなモノも安く買いたたかれがちで、逆にクソみたいな宣伝だけの代物が高価でもありがたがられるのを見ていると思う。
なにがメタルバイブじゃ、それを使った釣り方の工夫とかも普及させたメーカーには価値を認めざるを得ないけど、今時の2番煎じ3番煎じの高級メタルバイブ様とコーモソナーの間にパクリ度においてどれほどの差があるというのか。目くそと鼻くそである。
というわけで、今となっては懐かしいコーモランルアーだけど、そう思うのは私だけじゃないようで、珍しくコーモランの独自性が光る野球ヘルメットかぶったクランク「まるちゃんルアー」は各球団そろったセットとかネットオークションでは結構な値段ついてたりする。
たしかまだルアー作ってたよな、とネットで調べてみると、ちゃんと生き残っててヴィヴァというブランドとかでルアーを展開している。今時っぽいルアーに混じって、なんとコーモソナーも現役のようだ。
オリンピックやリョービでさえ釣り具業界から撤退した厳しい生き残り競争をしたたかに生き残った同社に敬意を表してなんか買ってみようとホームページで製品あれこれみていて、「I am a kaeru(愛アマカエル)」というのをポチッてみた。
こういう凝ったネーミングセンスとかは社風だなと思う。クレイジークロウラーのパクリルアーに酒飲みの神様から「バッカス」とか名付けてたりして、溺れとるやんケ!とかつっこみどころ満載である。
まあ、ものは見てのとおりのガルシアフロッグから連綿と勝手に引き継いだ伝統の後方上向きシングルフックの小ぶりなフロッグで「かへるくん」の現代版のような感じである。以前書いたけど「かへるくん」にはお世話になったのでその後継版となれば1票入れても罰はあたるまいて。
今時の丈夫な素材でできているとかいうことなので、試しにビヨーンと足引っ張ってみたら水掻きの部分があっさりちぎれてしまい焦ってライターで接着した。足がすぐちぎれる伝統も正しく引き継がれているようである。
まあ、いつ出番がくるか分からないけど、中空フロッグ使うほどではない状況で、カエル偏食しいてる魚とか見つけたときに日の目を見ることになるだろう。何じゃその状況、モリアオガエルの産卵場所近くの渓流のイワナとかか?まあいいや、とりあえず蔵にぶち込んでおこう。
というわけでルアー図鑑うす塩味第37弾は、少年の日の郷愁を誘う憎めないルアーメーカーであるコーモランのルアーでいってみました。
性能やら革新性やらルアーを評価する指標はいろいろあるだろうけど「思い出」っていう指標で測るならコーモランのルアーに勝てるものを作ってきたメーカーなんて極わずかしかないと思うのは私がオッサンだからだろうか。
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