2017年4月1日土曜日

ヘラ釣りの秘技を会得した!!


 部屋の中に何かいるような気配を感じて朝目が覚める。
 枕元に、ふくよかな羽織袴の爺様が立ってこちらを見下ろしている。
 片手には釣り竿を、もう一方の手で大きなヘラブナを抱えている。
 物盗りの類いではなさそうではあるが、格好から想像される人物だとするとあまりにも現実離れしていてバカバカしい。
 しかし「あんた誰?」という問いに対するその爺様の答えは、その現実離れした想像を裏打ちするようなものであった。
 「ワシはヘラブナ釣り師のための恵比寿神じゃ」
 頭の中にタッタランタラララン~とヱビスビールのCMが流れる。
 春になって頭の具合が悪い気はしていたが、とうとう幻覚を見るところまできてしまったかという落胆にうちひしがれる私をよそに、恵比寿神様(自称)は突然の来訪をわびるわけでもなく、単刀直入に用件を話し始めた。
 年寄りの話はくどくて長くて、すべてを書いていると日が暮れそうなのだが、要約すると「お前は熱心にヘラブナ釣りの勉強をしていて感心である。皆がなじみやすいようなヘラブナ釣りを追求しようという志も立派。ついては褒美にヘラブナ釣りの秘技を伝授してやる。」とのこと。
 秘伝を使って良い釣果を得てヘラブナ釣りを皆にひろめよ。それがこの神の思し召しらしい。
 人様に正解だけ教えてもらっても面白くもなんともないので、丁重にお断りしようとしているのだが、恵比寿様(自称)は、「そのような慎み深い態度もますますもって褒美に値する」とこちらのいうことを聞かない老人状態。
 そうこうするうちに、「では早速」とかいいながら恵比寿様(自称)は後頭部あたりからなにか触手のようなものを引っ張り出してきた。なんでもこれがUSBコードのようなモノで、脳から脳に直接情報を伝達することができる都合の良いSFのような有機的情報伝達機器らしい。
 どうみてもファンタジーもののマンガとかでヒロインを絡め取りそうな不気味な触手でしかないので、それをこちらの耳から脳に突っ込むとかを神を自称するジジイに迫られて、心の底から逃げ出したいと思い、その旨伝えたのだが、「大丈夫、先っちょだけ入れるだけだから、痛いのは最初だけ」とか、「絶対だまされる!」としか思えない台詞とともに不思議な力で抵抗する力を奪われ、不気味なジジイにそっと身をまかせるしかないのであった。
 ヌルヌルとした触手が耳の穴を押し広げるように入ってきたかと思うと、チクッと痛みが走った。
 はじめての経験にわななく暇も無く、次の瞬間膨大な量の情報が、論理立てた言語として、同時にイメージを伴う映像的に、重ねて経験したかのよう五感に響くように雪崩れ込んできて、一瞬にしてそれらありとあらゆるヘラブナ釣りに関する技術的、戦略的な情報を自分が理解したことに気付かされた。
 浮子はどうあるべきか、餌の状況毎の調整の方法、ヘラブナ釣りの歴史と展望、人はどこから来てどこでヘラブナを釣るのか、戦争とヘラブナ、愛することと知ることとヘラブナ釣り、技術論にとどまらず哲学や信仰に近い部分までを網羅した情報は「ヘラ釣りの秘技」と表現してまず間違いのないものであろう。
 来週、月曜か火曜にはヘラ釣りデビューだが、今の私ならヘラブナの5匹や10匹釣ることは造作もないことである。
 例会や大会に出ても、タイトル総なめにできるだろう。そうやって、正しいヘラブナ釣りを普及させていくのが「ヘラブナ釣りの恵比寿様」が私に望むことだと理解した。
 私は、神と共に行く。私の歩みを止めるものはいない。


 まあ、嘘です。4月1日ですからね、ちょっと楽しいネタをと書いてみました。

 餌は、どうすりゃいいんだろ?と悩むばかりで、一応作戦を練って事前の実験などもしてみたけど、グチャグチャ考えとらんといっぺん釣ってこいっちゅう話で、まあ釣りながら考えるのかなというところ。一応苦戦具合はサイトの「工夫」に「餌色々の研究」として上げてますので、これまたお暇なときにでも。

 仕掛けも作ったんだけど、ハリ結ぶのも外掛け結びでよければ楽勝だろうと思っていたところ、年食って手先が思うように動かない感じで、刺し餌用の2号のハリとか結んでると上手く結べなくてイィーっとなるので、商品名「スピードハリ結び」というハリをつまんで固定して、磁石の間をグルグルくぐらせてホイな感じの道具を買いました。便利。





 オモリが鉛を使わないという縛りでいこうとすると、一番小さいスズのガン玉でも微妙な浮子のトップの目盛りの上下調整には大きすぎて、かといって削るにしてもスズのガン玉結構堅くて上手くいかない。なんとかならんかと考えて、スズ製の板オモリはなくても、スズの針金ぐらいホームセンターとかで売ってないだろうか?と調べたところ鉛不使用のスズ主体のハンダというモノがあることが分かり、これとスズのガン玉の組み合わせで調整しようと今のところ考えている。スズハンダはパイプに巻き付けてみたが、これで絡まったりしないか実戦で様子を見てみたい。

 もいっちょ、たも網であるが、むかし外国の研究者がネットの素材毎にリリース後の生存率を調べたデータを見た記憶があり、その時一番良かったのがラバーネット、次に良かったのが意外なことに目あいの大きなネットで、その他は細かい目のネット含めあんまり成績良くなかったように記憶している。
 リリースが徹底されているヘラブナでも友アユのダメージが釣果に関わってくるアユ釣りでも、もっというなら観賞魚の世界でも目の小さな網が「ダメージ少ない」という理由で使われていると思うし、特に観賞魚の世界とか商品傷つけないことには神経つかってるはずだけど、このデータとの乖離はなんぞや?と疑問は晴れない。
 まあ、でもラバーネットはよさげに思うので使ってみて、ヘラ釣りには目の細かいネットが良いという人がいたら、その根拠を教えてもらうこととしよう。

 準備はちゃくちゃくと進んでます。秘技はおろか基本的な技術の習得から始めなければならない初心者だけど、そのあたりもおおいに楽しんで進んでいきたい。
 桜も咲けば、魚も釣れるだろう。

2 件のコメント:

  1. お疲れ様でした。
    8枚目最後の写真スマヌが笑えるヤバい。
    顛末記、これから当分の間笑わせてくれそうで楽しみにしてます。

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  2. 別にウケ狙ってるわけじゃないけど、まあ笑ってやってちょうだい。
    しかし、普段使わない部分を使ったのか体のあちこちが痛い。
    次戦は金曜午後予定。

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