なので、基本的に無神論者なワシは火山帯の上に住んでるような日本人の心得として、神頼みではなく”備えよつねに”のボーイスカウト精神で、リュックに非常用食料とか詰め込んだモノを神棚に乗せていた。コレに水と猫餌を突っ込んで猫用キャリーバックに愛猫を詰め込んで、有事には自転車で避難所まで爆走する予定であった。
そしてクソ夏い7月30日の朝にそれはやってきた。アリューシャン列島でマグニチュード8を越えるような巨大な地震が生じて、日本でも太平洋側広い範囲で津波注意報が発令され、それはすぐに最大3mの津波警報に格上げされた。注意報の時点で一回避難経路とか確認するためにも練習で行っておこうかと思っていたけど、いきなり本番初舞台である。ただ、遠い震源地なので情報収集なんぼかしてから避難しても間に合いそうではあったので、とりあえずアリューシャン列島の現地情報が来てから行くかと準備しつつネットに張り付いていた。現地映像でデカい津波が来て4m以上とか言ってるので、それが最大時とは限らないので少なくともそれ以上の津波が現地で起こっていて、間違いなくその津波はこちらに向かってきているので、距離があるので減衰するにしてもちょっとシャレにならんなとそそくさと猫をキャリーバックに詰め込んで、ニャーニャー抗議の声をあげるのを無視して、近所のおばちゃんとか呑気に散歩してるので「逃げた方が良さそうですよ」と声を掛けながら小高い丘の上の避難場所に移動する。
避難場所すぐ到達できるはずなのに、意外に焦っていたのか一回曲がり角を行き過ぎてしまった。時間的余裕があったのでよかったけど、直下型で一刻をあらそうような場面だったら死んでたかも。まあなんとか避難所にたどり着いて駐輪してから海抜40mまでてくてく歩いて登っていくと汗だくになって、6.5キロの愛猫の重みが肩に食い込んだ。
ありがたいことに避難施設には空調が効いていて、ペット同伴組はまとめて小会議室に案内されてホッと一息。飼い主さん達と話していて、餌はワシ持ってきてるので猫用のドライフードなら融通できますよって話だけど、猫砂どうしようって猫飼い達は心配するのであった。みな自分たちぐらいはどうとでもできるけど、愛猫がこの異常事態にどうなるか不安なようで、その気持ちよく分かるって共感できるだけでもありがたい。外には土もあるのでトイレはそこでしてくれることを祈るのみである。
で、会議室に落ち着いてしまうと不安な声で鳴き続ける猫をなだめるほかにすることはなく暇。情報は別の部屋とかにはTVがあるし、ワシもタブレットとポケットワイファイは持ってきていたので、逐次ネットニュースとかは確認できる体制。慌てて持ってきたので充電量が怪しく、自治体の施設からの盗電だけど、緊急時ということで目をつぶってもらうことにして充電させてもらう。ついでに、持ってきたモノの確認などして次回以降に活かすとともに「オレ生きて帰れたら避難所のことをブログネタにするんだ」と死亡フラグ臭いことを思う。まずは、非常食と水だと思ったけど、これ意外と大きな避難場所では要らないかも?水もすぐに配ってもらえたし、昼ご飯もお湯を注ぐだけでOKのアルファ米の備蓄食料がお昼頃には配布されて、自治体の備えがその辺しっかりしているならなくても良くて、とにかく体の安全だけ確保するのを優先して急いで避難しても良いのかもしれない。暖かい飯があるのに乾パンは食わんよな。逆に役に立ったのは歯ブラシとタオルの洗面セットで、飯のあと歯磨きして顔洗ってスッキリしてというのは特に夏場の汗かきがちな避難においては有用だった。その視点で足らなかったのは衣類のたぐいで、一応寒かったらかぶれるようにアルミブランケットも用意してたけど、エアコンがちょっと効きすぎるぐらいでガサガサ出してきてかぶるのははばかられて、着替え兼寒暖調整用に下着類はなんぼかあると良さげ。その他に持ってきていたのは片付け作業になったら使いそうな、マスクや軍手。電気が来なくなったときの夜間の行動のためのヘッドランプ、火が焚けるようにマッチ、怪しい水が飲めるように口で吸う簡易浄水器あたりと、あとは今回時間があったので暇つぶし用のタブレットとワイファイルーター、当然携帯を持ち込み充電アダプターも持ってきていた。後半ダレてきてからはタブレットでネットやらマンガやらは役に立った。ただこれらは電源が確保できなければ遅かれ早かれただの箱に成り下がるので、電気が復旧しないという状況では、過去事例で被災地からの映像とか見ていると順番待ちして発動発電機で充電していたけど、手巻き式とかで良いのがあったら用意しておくと良いかもしれない。以前持っていたのは試してみたら発電力が小さくて役に立たなかった。
ちなみに配布された昼ご飯はこんな感じで、炊き込みご飯やらドライカレーやらがあって、ドライカレー食べたけど普通に美味しかった。水でも戻せるアルファー米だそうだけど、暖かい食べ物が胃に収まると人はかなり落ち着くので、可能なら暖かい食べ物は確保したいところ。この辺は個人ではどうにもならないので、自治体なりの対応を期待したい。インフラが死んできつい状況になると、自衛隊が派遣されてきて、暖かい飯とお風呂が提供されるようで、復旧作業と併せてありがたいことである。ただ東南海地震とかデカいのが来ると被災地域が大きすぎて、必ずしも津々浦々手がさしのべられるかというと難しいだろうから、避難所に持ち込むかどうかは判断だけど、乾パンやら水の備蓄はやっぱりあった方が良いだろう。まあいずれにせよ体が一番大事なので、直下型の場合、早ければ20分かからず津波が押し寄せるとかあるらしいので、とにかく着の身着のままでも良いので素早く避難しろってことだろうと思う。 そしてやはり、手間なのが愛猫関係で、キャリーケースに餌のカリカリのほかに、キャリーケースの中だけでは狭くてしんどいだろうし、外の土でトイレさせるためには逃げられないように繋いで外に出さねばならず、ってのを想定してハーネスを購入済みで、試しに付けたことはあったけど、今回初の本格運用。意外にハーネス自体はいやがらず大人しく着用してくれたけど、不安げな雰囲気やら知らない体臭やらをまき散らす人間どもが沢山いる、知らない場所にいきなり連れてこられて、最初ほぼ固まってケースの中で不安げな鳴き声を上げ続けていた。人間は避難する理由も状況も分かってるけど、猫にしてみればなぜこんな騒々しく不穏な場所に来なければならないのか、納得いかないところであろう。とにかく頭をなでたりして落ち着かせようとするけど、人見知りもするビビりな性格でもありお水も飲んでくれないし前半心配した。10:30くらいに避難所に入って、12時過ぎに昼ご飯食べて、ってやってると多少は慣れてきたのか、単に疲れてきたのか鳴き止んで大人しくなってきて、湿らせた指も舐めてくれるようになった。そしてケージから出たがり始めたので、ハーネスにヒモを取り付けて”猫の散歩”状態で愛猫の現場確認作業に付き合ったんだけど、そこは猫なので身を低くして机の下とか通りたがるので難儀して適当なところで切り上げさせて、抱き上げてなで回したけど「オマエ、オレ騙した」って感じの不審の目をむけて腕から逃げるので、会議椅子のフカフカしたのが気に入ったようで、その上で座って大人しくなったので、ミャーミャー抗議の声をあげ続けているけどまあ良しとしておいた。状況は、15時半を過ぎると、東北の久慈で1.3mとやや高い津波が観測されていたけど、この地は数10センチで、それ以降は治まっていくように見え、皆さん帰り始めたので、愛猫のストレス的にも限界だろうから、ワシも撤収した。今回の被害的には震源地近くのアリューシャン列島やらのロシアでは陸上施設に被害もあったようだけど、国内は比較的人的被害は少なく、避難を急いで崖から落ちた事故で亡くなった方がいたぐらいのようだった。まあ、防災無線もメディアも「急いで命を守る行動を!」と緊迫感のある尻のタタキ方をしていたので、焦る気持ちも良く分かる。けど、急ぎつつも冷静確実にということを肝に銘じたい。結局、警報出たけど人的被害が出るような大きな津波は来なかったじゃないか、避難指示必要だったのか?って話はいつでも湧く。でも基本は厳しめの予報に基づいて行動しておいて「思ったよりたいしたことなくて良かったね」って言えるのは何ら問題はないけど、予想を逆に外して、油断してたら津波に持ってかれたって場合、死人に口なしで文句も言えないので、この手の避難の呼びかけは外れてオオカミ少年になっても良いぐらいでちょうど良いんだと思っている。急ぎつつも焦って事故が起きないような呼びかけの方法とかは報道機関も工夫して欲しいけど、結構今回の津波でも大丈夫だろうと避難していない人も多かったように感じるので、尻を精一杯叩くのは気象庁やら自治体、報道機関の正しい役目なんだろうと思う。
ロシアの被災した方々、国内で亡くなられた方にはもちろん心よりお悔やみ申し上げるところだけど、それとは別に、陸上に被害が少なくても洋上で海水が大きく動くと当然、養殖施設等への被害が生じていて、自然相手だとある程度仕方がないとはいえ、お気の毒で胸が痛む。お見舞い申し上げるとともに、なんか良い感じの復旧支援なりを行政にはお願いしたいところである。
我が家に戻ってくると、愛猫のワシへの信頼は脆くも崩れ去ったようで、部屋で可愛がってあげようとしても、チュールだけ食べたら下の階に行きたがるので、コバンの城である下の階に放流して「ワシのこの愛が分からんのか?」と悲しくなるけど、多分コバンも分かってくれていると思う。翌日のお昼寝の時にはいつものように股ぐらで丸くなって寝てくれた。可愛いやつめ。東南海地震とかクソデカいのが来たときに生き残れるか、それは時の運だろうと思うけど、愛猫と共に生き残れるよう今回の経験も生かして、油断なく備えておくこととしよう。生きるか死ぬかは運もあるというのはコレまでの津波災害とかで得た教訓である。やるだけのことをやって、後は運が良いことを願おう。皆様”備えよつねに”で一つよろしく。
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