2023年1月7日土曜日

アメ車っぽいけどアメ車じゃないキャデラック

 昨年の後半の大森熱から来る急性”デカ大森”欠乏症は今もちょっと続いているぐらいでたちが悪い。 とりあえず、昨年からの続きでコンパック「スーパー7」がスプール上下関係の亜鉛部品がボロボロだったので、ボロい同型機を買って”ニコイチ”化して1台稼動品に持っていきたいというのが作戦としてあって、セカイモンでお買いもんしてコンパック「キャデラックⅣ」というのの足折れ個体を確保して、無事クリスマス前ぐらいに我が家にやってきて、分解・清掃、そして合体できたのかどうなのか?っていう展開になっております。

 ということで、今年の”スピニング熱”関連一発目は「キャデラックⅣ」からいってみたいと思います。今年もご用とお急ぎでない沼の底の皆様にお楽しみいただければ幸い。とりあえず結果からいっときましょうか。

 この個体の部品を使って「スーパー7」を稼動品に持っていくことはできませんでした。

 はい、終了解散。

 ってわけにもいかないので、負け戦の解説なんていう言い訳がましいことを読んでいただきましょう。

 まずコイツら微妙に大きさが違います。右のキャデラックⅣのほうがちょい小さい。こんな似たような見た目で新しい金型作って新型ってことはないだろうと思ってて、まず本体は同じ金型で、スプール上下のためのオシュレーション機構も胴体の形が同じだから同じようなモノを入れるためにそうなってるんだろうと、今思えば自分の都合の良いように思ってた。人は真実や論理的、客観的なことがらを信じるわけではなく、自分が信じたいことを信じるとは良く言われることだけど、全くその通りと認めざるを得ない。

 でもってパカッと開けると、スパイラルベベルギアなのは同じとして、オシュレーション機構は、ハンドル軸のギアの上で主軸に固定されたオシュレーションカムが上下するという極めて単純な方式で、「スーパー7」のあのローター軸の回転を拾って力強く歯車回して、90度曲折して”タイヤ”はかせたカムが主軸を上下させるという凝った方式は全く捨てている。オシュレーションカムの裏側に玉が入ってて滑らかな上下動を助ける設計なのはちょっと凝ってるけど、方式自体はごく一般的なハンドル一回転で一往復の左右入れ替えできないギアに採用される方式で、肩すかし食らうと共に、ひょっとして大きさは微妙に違うけど、オシュレーション関係の部品は共通だったりして(そうあってくれ!)、という願いも空しく、この時点でスプール上下関係がボロボロの「スーパー7」、フットが折れてて全体的にボロい「キャデラックⅣ」という、個別の2台の使えない大型リールが我が家に勢揃いしてしまっている。沼の底のドロに足がハマったイヤな感触。

 仕方ない、キャデラックⅣの内部は特に問題ないようなので、外回りは何か考えてみるとして、とりあえず分解清掃してキャデラックⅣをどうにか使用可能なところまで持って行く方針とする。こうなるんなら足折れてない個体が数ドル上乗せで手に入ったものをと、死んだ子の歳を数えてしまうようなワシ。

 まあ、特に変わったところはなく、気をつけるところとしては、ローターがナットの他にギア上部に切ったネジで締められて止まっているので、本体側のローター軸のギアの底に切り欠きがあるのでそこにリール付属品のドライバーなど突っ込んで固定してローターを回して外してやる。外してやると玉が転がり出てきて、スラストベアリング機であることが判明。玉をなくさないように気をつけましょう。というぐらいか?特にビックリするような機構はなくてわりと単純にまとまってて、それはそれで良い。良いんだけどちょっと気になるのはローター軸のギアが真鍮の芯に亜鉛のギアをあわせているように見えるけど、強度的に大丈夫なのか?ハンドル軸のギアも同様でギア自体は亜鉛かアルミかっていう見た目。最終的に組み上げてグリス盛り盛りにして回してやると、わりとギアゴロ感強めで、スラストベアリングの締め付けがキツすぎたのか、ギアが摩耗してしまってるのか、それともベベルギア系ならスパイラルベベルギアでもこんなもんなのか?正直良く分からんところ。まあ気にすんなか?ワシが気にせんかったら日本ではほぼ気にする人間はいないはずだ。

 というかんじでギアゴロ感はあるものの、釣りできないほどの不快さはなくて内部はグリスマシマシで仕上げたのでとりあえすこんなもんかという感じなんだけど、外回りは折れてる足の他にも塩かぶってか結構ボロい。

 とりあえずラインローラーが腐蝕して固着してるのは取れそうにない。早々に諦めた。そして、ラインローラーに落ちるラインの輪っかをしごくワイヤーのガードを止めているネジがこれまた固着していてねじ切れて頭が取れた。こちらはワイヤーガードを固定することができれば足りるので、ベールアーム側に残ったネジをほじくるようにドリルで穴を開けて、ちょうど穴に入る200LBのナイロンショックリーダーを炙って頭を作って固定、反対側で切ってちょっと炙ってウレタン系接着剤でシーリング。ローターに固定式のベールアームでベールワイヤーだけが反転する方式とともに、ラインローラーに落ちる前にラインを一回しごくのはこの時代のデカ大森の”売り”だと思うので頑張って補修してみた。ベールアーム反対側の巻き数多いバネを使ったベール反転機構も、これで3度目なので外してグリス塗って難なく填めることができる程度には慣れてきた。

 ドラグ周りはとりあえず無事で一階建て方式。スプール裏のドラグの音出しのバネが紛失していたので、適当にステンレスワイヤーででっち上げておいた。

 折れてる足だけど、竿のシートにそのまま填めようとすると、竿のシートに刺さってた部分が残る形でポキッと折れたんだろうなというのが良く分かる。試したのはFujiのパイプシートだけどほぼ折れた側は刺さらないので”ダメだこりゃ”感が漂うけど、どうにかせんとゴミが増えただけという結果になってしまうので、まだ残ってる部分をシートにねじ込めるように加工する。まあ角を金ノコで落としてから、サンドペーパーで削って尖らせてという力技の工作。ゴリゴリ切ってガリガリ削る。

 おかげさまで、Fujiのパイプシートは足を樹脂でしっかり保持する感じなので、浅めに入るようになっただけでかなりしっかり固定はできる。無理矢理削っていけばもっと深く差し込めるようにはなるけどまあ今日はこのぐらいにしといたるワ。


 ということで、折れた足はなんとかシートにハメられるようになって、内部機関はギアゴロ感程度で使用可能、あとは固着したラインローラーなんだけど、これはスーパー7と共通部品なので、実際使うとなったらスーパー7から持ってくるという解決策はある。ということで苦しいながらも”ニコイチ”でなんとか1台稼動状態には持って行ける目処は立った。たったけど、この大きさのリールを実際使う場面はなかなか想定が難しい。糸巻き量的には大型青物とか狙う大きさだけど、丈夫なベール周りやどちらかというと滑らせるよりガッチリ止めて使うのに適したドラグを見ると、ドラグあまり出さずに魚とケンカして獲るような釣りのためのスピニングなのかなと想像してるんだけど、そういう少ないチャンスを逃したら後がない一発勝負的な釣りに、使ったこともないリールの性能を知るために使えるかってうと、正直よう使わんだろうな、ということで冷静に考えると3台もデカ大森買ってしまったけど、出番作れんよなこれ?と我に返るのである。

 まあ、ここらで手を引くのがこれ以上傷口を広げないためには得策で、だいぶお金も時間も情熱も突っ込んでしまって引っ込み付かなくなってきてたけど、投資でいうところの”損切り”でここら辺で一旦終了としたい。したいんだけど多分このベールアームがローターに固定されたインスプール大型機の最終形であろう「シェイクスピア2250」あたりがポロッとネットオークションとかに出てたら、自動的に手が滑ってマウスをクリックしてしまうんだろうなという予感はしてたり、してなかったりする。

 ”スピニング熱”はもう持病であり完治しない気配がアリアリとする。今現在整備待ちのリールが、ブログネタにするつもりがないPENN714Z、マイクロセブンC2×2の他に、大森関連が3台、その他ボロリールが5台と溜まってしまっているので今年もスピニング熱ネタはボチボチと書き続けてみたいと思います。沼の底の皆さま、ご期待ください。

 関係ないけど、キャデラックもスーパー7も車に同名のがあるけど、この時代は商標権とかそのへん大丈夫だったんだろうか?スーパー7はともかくキャデラックとかもろ米国製だしどうなんだろ?

0 件のコメント:

コメントを投稿