キャリアーには思い入れがある。学生時代に買ったNo.1サイズでバスにイワナにヤマメにシーバスに、どれだけの釣りを共にしたか。
ということで、その後継機である「キャリアーマークⅡ」ってどんなリールなのか?っていうのには興味はあったけど、これがなぜか全くの不人気機種であんまり出てこない。まだ国内で製造していた頃の機種のハズで、スプールエッジがウィスカーチタンとかなんとかいう白っぽい素材になってるのが特徴。形状はタックルオートから受け継いでいる三角形のボディーはそのままで、前述のスプールエッジの他はワンタッチスプールになってるのとハンドルもワンタッチ折り畳みウッドノブになってる。ぐらいであんまり変更ないような見た目なんだけど、届いて手にすると「なんか妙に重いな?」という気がする。ちなみに冒頭写真右が愛用してたのとは別個体だけど「キャリアーNo.1」で左がこの春購入した「キャリアーマークⅡNo.1」。
じゃあまあ、重さ量るところから始めてみるかと計量。多少重くてもワシ気にせん人だけど、世間一般ではキャリアーはその”軽さ”が高く評価されているので、皆様に提供する情報としては大事なところだろう。
左から、キャリアーNo.1約213g、キャリアーマークⅡNo.1が240g、ついでにマイクロセブンC1は233g。ってマークⅡは30g近く重くなってやがりました。軽さが持ち味のキャリアーの後継機種を、
樹脂製でも補強入れたりしてある程度丈夫に作ってあるマイクロセブンCより重くしてどうする?このあたりの迷走ぶりは、安易に批判したくはないけどやっぱり、どうしたんだ大森製作所?って思ってしまう。
じゃあまあ何が原因で重くなってるのか調べてみるかと、怪しげなところからキャリアーと比較してみる。
まずはエッジがウィスカーチタンとかいうセラミックみたいな質感の素材になってるスプールを比較すると約7g重い。ただ素材が重いっていうよりはワンタッチスプール化によって、スリーブとか金属部品が増えてるのでその分の重量増という気がするし、7gはそれ程重いって数字じゃない。
じゃあ何が重かったかというとハンドル。約18グラムも重くなってる。ダメだコリャ。当時の大手はみんなこんな感じのワンタッチのウッドノブ付きでハンドル軸貫通ネジ止め方式か共回り方式で”ハンドル軽いは七難隠す”が持論のTAKE先生にボロカスにこき下ろされているけど、ハンドルの違いが明確になる似たような2機種を実際に持って感じてみて、さらに計量して数値で比較して、いかに重くなって軽快感が削がれてしまうか実感できた。同じような木製ノブでもマイクロセブンCはそんなに重くないのでワンタッチ付きのウッドノブが害悪認定されてるのもなんとなく納得できる計量結果。
大森らしいと言って良いハンドル軸のギアに鉄系の芯を鋳込んだ”ねじ込み式”と比較して、ギアは亜鉛鋳造一体成形で中心に長い軸を貫通させてネジ止めする方式は、重いし亜鉛はギアとしては充分な強度は稼げても軸としては弱いようで、ベアリング噛まさないとダメらしく、結局長い月日が経って、現在の高級スピニングもギア亜鉛じゃなくてアルミ系だったりするけど”ねじ込み式”になってるぐらいで”ねじ込み式”の方が設計として優れているようだ。それでも当時は大手が作るリールは非ねじ込み式のワンタッチ付きのウッドノブ付きがほとんどで、他人と一緒じゃないと不安になる我が民族の常として、ワンタッチが付いたウッドノブでないと売れないので大森製作所もそうせざるを得なかったんだろう、ついでに経費の掛かるねじ込み式の利点なんか分かる客いないのなら、一体成形で安く上げたのも妥当な経営判断だったんだろうと思う。
でもって分解していくと、キャリアーとの違いは他にはベアリングがハンドル軸のギア側に1個入ったのと、オシュレーションのクランクの素材がアルミっぽかったのがステンレスっぽくなってるぐらいで、そのへんで残りの5gがとこ重くなってるんだろうけど、他に特に変わったところはなく、キャリアーと一緒の作りなんだけど、キャリアーは元々ボールベアリングはローター軸のギア直上の1個しか使ってなかったのを、亜鉛一体成形のギアにしたので本体蓋の金型修正してボールベアリング1個追加しているのは、なんというか結局大森製作所は真面目だなという気がする。どうせ分かりもしないアホ客に売るのなら亜鉛の軸とグラファイトボディの直受けでどちらかが削れようがどうってことないだろうとワシなら思うけど、そこは許容できなかったらしい。あるいはボールベアリング2個使用とカタログに書けるのが要因か?
っていうことでマイナーチェンジの域を出ておらずで多くの部位が共通なので、これハンドル軸のギアごと入れ替えたらキャリアーのねじ込み式ハンドル装着できるな、と思いついて試してみたらビンゴ。重量は当然軽くなって約223g。だからどうしたって話だけど、ジャンク個体かき集めて”ニコイチ”でっちあげたりする場合にこういう部品互換性情報は必要かなと書きとめてみる。同じサイズの両機種持ってると、キャリアーのワンタッチスプール化とかも主軸ごと取っ替えれば可能で、遊べるって言えば遊べるかな。キャリアー1台と同サイズのキャリアーⅡ2台手に入れれば、マークⅡにもドラグはテフロン3階建てのちゃんとしたのが入ってるので、ワンタッチ化してドラグ値あらかじめセットしたスペアスプールを現場で素早く交換可能です。って誰がそんな面倒なことやるねん。
ちなみにペンスピンフィッシャー4300ssは248gで、それでもこのクラスの第4世代までのスピンフィッシャーの中では最軽量である。そう考えるとキャリアーマークⅡは別に重くも何ともない、けど軽くはないな。特に本体軽いのにハンドルが重いのは変に重さを感じるしいただけん。でもこれで釣りできないかっていえば、別に問題なくできるだろうし落札価格1500円っていうのはいくら何でも安すぎてかわいそうに思う。
確かに先代のキャリアーは、色々なリールと比較してみると、削れるところは削りきった、でも使ってて不具合生じるのはある程度消耗品のベールスプリングぐらいっていう無駄のない奇跡的とさえ言える仕上がり具合だと分かる。キャリアーが中古市場で人気が出て再評価されたのは村上某氏が軽いスピニングをと求めた結果、キャリアーSSにたどり着いて使用する姿が各種メディアに露出した結果だろうけど、村上氏の慧眼にはあらためて恐れ入るところで、ワシャ以前にも書いたけどコメットを愛用する友人から大森製作所の名を聞いてキャリアー買ったんだけど、確かに使っててなんの問題もないリールだったけど、当時は正直安いわりに良くできた普通のリールだと思って使ってたぐらいで、後年”スピニング熱”発症してしまい大森方面にも症状が出て色んなリールを実際に手にして分解して釣ってみて、改めてなかなかに普通じゃなくて非凡なスゴいリールだなと再認識したところ。だけど、多少、ごちゃついて方向性とっちらかった感じになってるけどマークⅡもそこまでデキは悪くないと思うし、もうちょっと評価してやっても良いんじゃないかと思う。前回とりあげたキングミニは千円台でも妥当な値段だなと思うけど、マークⅡは3~5千円ぐらいはだしたっても良いかなと。
弾数そんなに多くなくてあんまりネットオークションとかにも出てこないけど、安いし興味があるなら買っても損はないと思うよと、ユルくお薦めしておきたい。
ナマジさん、大森末期丼2杯目ごちそうさまです。
返信削除1杯目のシルスターなど韓国製事情をからめた解説も、乳酸菌の酸味とナムルの苦さと後から来る辛味も、ゴマ油の香りと合わせておいしく頂きました。
私もぽつぽつですが大森増えてます。インスプール厨なので包〇のやつです。
しかし、ほかのメーカーは精度や設計が荒かったりしても何か良いところ次第では気に入って同じの増やしたりやらかすのですが、大森は全体出来がいい分少しのことが目立ってしまうと感じてしまいます。手持ちが増えていく中で大森が得意な機構や心地いい設計の黄金比で組まれたものが意外に少ないと思うようになりました。
私はまだ触ったことが無いのですがコメットが崇められる理由として「黄金比の大森」という事があるのでしょうか。
カセットスプールって感覚に来ますが実重量は大差ないんですね。ワンタッチ折り&鉄芯ウッドノブがまさかここまでとは。
ハンドルの質量ってどんなリールでも基本的に過剰気味と感じます。去年秋に「大森の左右両用等速オシレーション機種はフェースギアとオシレーションクランクの分、左にボディーが張り出していて、左巻きではその分突き出しが大きくなりノブが中心から遠のくので左用に詰めたハンドルを自作したい」という謎の発作が来た際に、十分以上にぜい肉を残した程度の軽量ハンドルを作ってみたのですがマイクロセブン201用が14グラムでできました。
一方ペン716は重量があっても気にならないのがすごいですね。重量が分散せずコンパクトに感じます。
レクエル堂さん おはようございます
削除需要少なめの末期大森ネタ、楽しんでくれた人が居るというのが分かって嬉しいです。
鉄心入りワンタッチウッドノブの重さには私も驚きました。誰が最初にこんなモンやり始めたんや?と戦犯探したくなります。
ハンドル自作はスゴいですね。仰るようにPENN716のように全体的にまんべんなく重めだとハンドル多少重くても気にならず、軽いボディーにクソ重いハンドルだと重量あまり気にしない私でさえ違和感感じるぐらいで「黄金比の大森」の難しさ的なものもそういったことも要因かもしれません。全体的にできの良くないものの良いところも、逆の全体的に良いもののちょっとしたアラも目立つってのはおおいに頷けます。