2021年9月4日土曜日

新型コロナウィルスの影に隠れて


 デンデデンデデンデドンドン♪デンデデンデデンデドンドン♪パーパーパパパーパパパッパー♪パーパーパパパーパパパッパー♪(エヴァの「使徒です!」の後とかにかかる曲のつもりだけど、これで楽曲使用料取れるってんなら、来てみやがれカスラック!)

 

 ってなおちゃらけた枕で始まっておりますが、割と深刻な内容だったりします。

 夜半の来訪者にいぶかりながらドアを開けたら、憎からず思ってた女性が立っていて「来ちゃった」なんて言われたなら、脳内でみんなに「おめでとう」って祝福されるTV版最終回状態で喜ばしい限りだが、「エキノコックス来ちゃった」はちょっとまずい。だいぶよろしくない。

 ニュースで見た人も多いだろうけど、北海道では「キタキツネは可愛いけど触っちゃダメ!絶対!!エキノコックス」でお馴染みの寄生虫、エキノコックス(多包性のほう)が本州上陸。ただ、本州上陸自体は、ある程度予想されていて目黒寄生虫館の館長さんだったか「笑う回虫」の藤田先生だったかが著書で青函トンネルができたときに寄生虫学者の間では「これでエキノコックスは本州に来るな」と話題になったと書いていたように思う。

 なんで青函トンネル開通でエキノコックスがやってくるかというと、キタキツネがトンネル通ってブラキストン線越えてやってくるってわけじゃなくて、中間宿主であるネズミが料金も払わず通ってくるだろうって話で、まあネズミが中間宿主って時点で、フェリーでもトラックでも乗ってどこにでも行けるだろうって話で、世界的に物流させまくって人も動きまくる今の世の中が、いかに病原生物(ウイルスは定義によっては生物じゃないかもだけど)にとって都合良く分布を広げられる状態かというのは、今回のコロナ禍でまざまざと思い知らされているところだけど、実際に起こってみるまでは、そういうパンデミックをネタにしたSF物語やら科学者の警鐘やらを目にしてても正直ピンときてなかった。けど、外来種問題でも何度も書いたように、良いモノ、有益なモノを迎え入れるならば、一緒に悪いモノ、有害なモノもやってくるのは防ぎようがない。っていうのは改めて覚悟しなければならないところだろう。あんまり欲をかかずに地産地消で持続可能な活動をっていうのは防疫、侵略的外来種対策でも有益なんだろうけど、ワシ食いモノぐらいなるべく地産地消をと考えてるけど、まあ小麦製品と大豆製品がなかなか国産100%っていかないところからして難しく、ましてや衣料品や生活雑貨は輸入原料がなければ、裸で途方に暮れてしまうだろう。あと田舎だと実店舗が限られるのでア○ゾン様がなくても結構詰む。

 っていうことを考えると、今後も国際物流がなくなるわきゃないし、コロナ禍収まってもまたぞろ新しい禍はやってくるだろうし、「新しい生活様式」とかは実践しつつも、その都度場当たり的に対応していくしかないんだろうなとは想像にかたくない。起こった事象について後からとやかく評論家的に批評するのは簡単だしよく見かけるけど実に見苦しいものであり、実際にことが起こるまでは物事は何が起こるか分からないもので、特に生物の挙動はまったく予想できないと思ってた方がいいぐらいで、予想できるってンなら魚釣るのにこんなに苦労してないって話。なにしろ今回のエキノコックス本州上陸も、予想されていた青森ではなくて愛知県知多半島の野犬から相次いで発見されているという「なんでやねん?」という突っ込みどころ満載の不思議な状況が生じている。

 あえて見苦しく後出しジャンケンで批評家的に書かせてもらえれば、これだけ物流が盛んな時代に、ネズミなんていう荷物の隙間に隠れてどこでも移動できるような生物を媒体とするならば、どこに現れてもおかしくなかったっていうことだといえるし、犬も狐と同じように終宿主になり得るようなので知らずに宿主になってた犬を連れて北海道から知多半島に引っ越してきたなんてのも可能性としては否定できない。人は本来の宿主ではないので人の体内でエキノコックスが成体になって卵を産んで増えることはできないようなので、人が媒介した可能性は無いと考えられる。っていうあたりの事実確認をしようとしてネット検索したら「国立感染症研究所」のサイトが詳しくて、なんと既に青森上陸済みの疑いは濃かったようで、ネットニュースの「エキノコックス本州上陸」っていう禍々しい見出しは、害は無く注意喚起・啓発的には有益だと思うけど不正確な情報だったと判明。青森上陸を予見してた寄生虫学者たちはさすが専門家エラい!

 で、こういう病原生物のヤバさって、「発症した場合の病状の重さ」と「罹患しやすさ」の二つの指標で評価すべきで、ナンボ致死率高くても例えばエボラ出血熱が感染するとすぐに発症して死ぬので感染が広がって行きにくいっていうように、罹患しにくいので流行地の他ではどこか遠いところの対岸の火事で済んでいるって感じで流行地以外ではヤバくはない。逆に感染力そこそこ強くても症状軽くて済む水虫(白癬菌)とか、まあかかると痒いけどたいしてヤバくない。薬局に効く薬も売ってるしな。飛沫感染して最悪死ぬこともあるけど、インフルエンザウイルスは人類と付き合い長いこともあって特別恐ろしいという印象は既にない。同じように飛沫感染型で死ぬこともある新型コロナウイルスは、まだ人類と付き合いが短いのでワクチンとかの用意も最初はなかったし免疫も持ってないしとかの要因もあったんだろうけど、インフルエンザが激減するぐらいの感染症対策を取っても感染拡大を食い止めることができないで、ホモサピ慌てまくるぐらいのヤバいやつだっていうのは既に皆さんご存じのとおりだと思う。まあ、それでも家から出るなとか、しゃべりもせずに道歩いてるときにもマスクしろとかアホかと思うけど、いずれインフルエンザと同じようになるにしても、インフルエンザである「スペイン風邪」がホモサピがある程度抗体を得て、ウイルス自体が弱毒化するまでにどれだけ死者が出たかってのを考えれば、抗体を得るのに今はワクチンがあるのでその分被害は少なくなるとしても、人と物の流れが100年前とは段違いに多くなってるのでやっぱり手こずるそれなりにヤバいやつだとは考えておいた方が良いように思う。

 っていう2つの評価基準をふまえてエキノコックスを評価すると「発症したときの病状の重さ」は結構重い。だいたい寄生虫の病状が重くなるのって本来の宿主じゃない生き物に寄生した場合で、犬科の動物を終宿主とするエキノコックスは人間に寄生しても成体になれない、なれないんだけど本来宿主殺してしまっては元も子もないはずなのに、本来の宿主じゃないから勝手が違うのか肝臓に居座って悪さして外科的に取り除かないと死亡する場合もあるとかいう。でもって「罹患しやすさ」がエキノコックスのヤバさをグイッと引き上げてて、キツネや犬が排泄した糞に含まれる虫卵で汚染された水や野草なんかを口にすることで感染するし、猫飼ってると良く分かるけどケモノって舌でペロペロ全身くまなく毛繕いしててきれい好きなんだけど、当然肛門周りの卵が付いてるような毛をペロペロした舌で全身くまなくペロペロするわけで、宿主となってるキツネや犬の体毛には虫卵が付いていてもおかしくないので、キタキツネはナンボ可愛くても触っちゃダメなんである。特に前者は知識が無いと沢の水飲んだり、水辺の(水辺のには限らないか?)セリとかクレソンとか生で食べるなんて普通にありそうで恐ろしい感染経路である。衛生状態が良くなって、回虫とかギョウ虫とかの寄生虫はもはやあんまり聞かなくなって、最近寄生虫症っていえばマダニの媒介する「重症熱性血小板減少症候群」ってヤバいのが出てきたってのはありつつも、良く聞くっていうぐらい身近なものとしては刺身食ってアニサキスに当たるぐらいのもので、こう言っちゃ何だけどアニサキスが怖くてカツオやサンマの刺身が食えるかって話で、死にゃしないんだし当たったらそれまでよでワシャ食う。でもアニサキスが怖くて大平洋のサバは刺身じゃくわん。アニサキス症の「罹患しやすさ」でみると太平洋のサバは桁違いで、一度でも捌いてて肝臓に何匹もアニサキスがとぐろ巻いてるのを見たことあれば、生食は無理だろう。スルメイカもヤバいときあるけどイカは捌いてて虫が居れば冷凍してアニサキス殺してからでも冷凍で味が落ちにくいのでイケる。最近電撃?でアニサキス処理する機械を開発したとか何とかも目にしたのでそういうのもそのうち実用化されるのを期待したい。

 っていう感じで、エキノコックスはヤバめの寄生虫なんだけど、北海道民ならもう「キタキツネには触らない」「沢水や野草は生で口にしない」っていう対策が常識として備わってるので「罹患しやすさ」がグッと下がってて、それ程恐ろしい寄生虫ではなくなっているのは罹患者数が多くはないことからも言えると思う。というわけで、青森の人と知多半島の人は既にエキノコックスが来ちゃってるコトを想定の上で、沢水やら生の野草を口にしないように気をつけてくださいっていう注意喚起を拡散した方が良いのかなと思って書いてみました。他の地域の人もそういう情報は気をつけておいた方が良いよって話で、物流で禍がやってくるのも多い時代だけど、気候がこれだけ変動して変なことになってくると、生物の生息地やらも変わってきて、昔は見たことなかったなんていう生き物がやってきて、そいつが宿主になって禍を運んでくるなんてのも、もはや想定される時代ではあるので、アホみたいなデマ流言飛語も多いけど、ちゃんとした根拠のある情報はネットで検索しても出てくる時代なので注意しておいても損はないのかなと思っちょります。

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