2015年5月17日日曜日

中身の詰まったヤツら


 ルアー図鑑うすしお味第5弾もGTルアー関連。樹脂充填系の中身のギッチリ詰まったルアー達です。こいつらもワイヤー貫通構造で丈夫にできてます。


 まずはGTルアーの源流の一つと考えられる、ハワイのピリーです。下のが発泡素材を中心に入れているヤツで、上の反射板入りはカガミピリーと呼ばれてたと記憶しています。
 GT「ルアー」の源流自体はギブスの所でも書いたように米国東海岸にもあったと思いますが、GTのルアーフィッシングという「釣り」の源流は、たぶんハワイとオーストラリアに遡れるんだと思います。
 オーストラリアの方の、たぶん今の木製GTルアーの原型の一つであるオーストラリアのローカルルアー、バリー・クロス氏製作のダウンアンダースポーツフィッシングGTポッパーは残念ながら所持していませんが、ハワイの方のピリーはいくつか使ったのが残っています。
 見て、気付く人は気付くと思いますし、ハワイと聞いて分かると思いますが、こいつの発想の原点と製法の基礎はカジキ釣りのトローリングヘッドにあるとみて間違いないと思います。
 トローリングヘッドも角削った天然素材のモノもありますが、ピリーと同じように反射板を埋め込んだ樹脂製のモノも一般的です。トローリングヘッドは後ろにタコベイトとかのスカートを追加して、船で引っ張って泡を引かせてカジキなどをさそうルアーです。カジキのトローリングが盛んなハワイで、キャスティングで現地でウルアと呼ぶロウニンアジを狙うためのルアーをと考えたときに、トローリングヘッドと同様に泡引きして魚を誘うルアーをということで、キャスティングしやすいようにスカートのない一般的なポッパーの形状にして、フックも通常のプラグタイプのルアー同様にトリプルフックを2個付ける方式にして丈夫さを確保するためにワイヤー貫通構造にした、というところでしょうか。ちなみにシンキングですが早引きして水面から水面直下で使います。
 この樹脂はたぶんレジンとかの透明で比重の高いプラスチックで、こういう素材で作られているGTルアーは現在廃れて、メッキ用ルアーとかにその伝統を引き継いだものがみられます。


  でもって、樹脂充填系のもう一つの雄が世界に羽ばたく佐賀の漁具系釣り具メーカー「ヨーズリ(現デュエル)」の発泡樹脂製ポッパーのサーフェスブルです。
 発泡樹脂を型に充填して固めて成型したルアーって、その昔、米国のブーンという変態ルアーメーカーがジグザッガーとかニードルフィッシュとか作ってて、ルアーとしての源流はそのへんにあると思いますが、GTルアーとしては主流となった木製ワイヤー貫通式に押されて、ほぼヨーズリしか作ってません。でも、GTルアーとして無くてななら無い存在感を放っています。
                                                            
 チョット待て「節子、それサーフェスブルやない」と思われる方がいるでしょう。
 普通サーフェスブルといえば左の集合写真のような形状のルアーだと思うのではないでしょうか。確かにこれがサーフェスブルGT200ではあります。ちなみに集合写真撮ろうと思ったら、かなりのストック数があったので出すのめんどくさくなって現役ボックスに入っているのだけ撮影しました。GTルアーとしては一番沢山持ってるのがたぶんこいつというぐらいお気に入りです。

  でも右の写真のコレ、間違いなくサーフェスブルです。腹に書いてあるのを見てもらっても分かると思います。
  実はサーフェスブルの初期型です。たぶん。
 JOSさんにもらった古いGTルアー軍団の中にあったと記憶していますが、我々が良く知っているサーフェスブルGTの20センチと比べるとサイズが少し小さく17センチほど。カップの切り方とかヘッド周りのデザインがイマイチたどたどしくて、初期型な感じがしています。
 この辺、ヨーズリ大好きなナマジとしては歴史的ルアーとして殿堂入りさせたいぐらい愛しているのですが、誰もこの気持ち分かってくれないだろうなとは理解しています。


 初期型の次は最新型で社名もヨーズリからデュエルに変わって、ビックブルーというシリーズの「ブルポッパー(F)200」で出ています。素材が「破壊不能」な高強度のものになっているようですが、デザインとサイズは踏襲。使用感もほぼ変わらず相変わらずイイ塩梅のGTルアーです。曲線が美しい。特にお尻のあたりの微妙に縦扁しているあたりと、カップ周りの角のとれた感じが良いんですよこれが。  



  そして、一番なじみ深く思い出深いサーフェスブルGT、右の写真の上が200で下が150のサイズ。150はシイラとかに良いサイズ。
 特に上のクロームに青の背中の「青銀」と呼んでいたカラーが、オーストラリアのガイドに薦められてから大のお気に入りで、ロウニンアジはもちろんキハダやバラクーダ、デカいヨコシマサワラなんかも釣ってて、もう何個もロストして最後に残った1個体となっている。
 こいつは記念に取っておいて、使うのは新型のブルポッパーのクロームサンマカラーあたりだろうな、とか次ロウニンアジ釣りに行くのいつか分からないのに思っていたりする。


 海の世界では漁具系と表現したように手堅い実釣向けのルアーを作ってきたヨーズリだけど、淡水の世界では、金魚ルアーとか回転するオケラとか、B級変態系ルアーを作りまくっていて、その実力を、海向け海外向けにぶち込んでキタのが、左のサシミブル150である。
 海外でのヨーズリブランドの強さは日本では想像できないと思うけど、釣り具通販の世界のメジャーリーグだと思うバスプロショップスでもヨーズリは長く定番商品としてそのルアーがラインナップされている。他にもラッキークラフト、メガバスあたりも海外で強い印象だが、ヨーズリが海外では一番の老舗日本ブランドだといって過言ではないと思う(追加注:ダイワ、シマノの大手は除いての話)。
 なので、海外で売るときはブランド名もヨーズリのままだし、ルアーのシリーズ名も「SASHIMI」ともろ日本風オリエンタリズムあふれるモノとなっている。ポッパーの他にペンシルやミノーがあるらしい。
 ベースになっているのはあきらかにサーフェスブルGT150でサイズも形状も似通っているが、2つほどナンジャそれなギミックをぶち込んできている。

 一つは「ヨーズリサウンドシステム」というヤツで、お腹の所に透けて見えるラトルルームが設けられている。まあ、ルアー作る時に、ラトルルームって教科書どおりにバルサで左右位置を合わせて作るのめんどくさいので、あらかじめストローとかでラトルルームを作ってそれをはめ込むっていうのを良くやっていたけど、それと一緒である。
 発泡樹脂を型に充填して作るときに、ラトルルームのおさまるスペースを作っておいて後で装着するという、発泡樹脂製のルアーの製法上そうなるのが自然なんだろうなという感じで、ついでに外から見えるようにして釣り人の目を引こうという意図かなと思う。 

  もういっちょが、やや変態度が高いその名も「カメレオンフィニッシュ」で、パテント取った技術のようだ。
 表面に線が入っているのが分かると思うけど、コレが山型になっていて、山の両斜面で色を変えてあって、前から見たときと後ろから見たときに色が違って見えるということである。
 それが、どう釣果につながっていくのか全く不明な点がもう、変態ルアーメーカーとしてのヨーズリの実力を遺憾なく発揮している感じがして最高である。
 むかしこういう見る角度で絵が変わる表紙の本とかあったよね。



 確かに、後ろから見るとやや黄緑がかった色なのが、前から見るとブルーである。
 それがどないしたっちゅうネン。という気もするが、手にとって一瞬でも釣り人が「オオッ!」っとなって、レジまで持っていかせることができればメーカーさんの勝利である。
 実際、私がそうやってメーカーさんの策略にはまっている。

 海外向けの商品でマイナーなルアーではあるけど、売って無いルアーではないので、このルアーは今でもたぶん手に入ると思います。
 私も普通にSスイの棚で見つけました。
 チョットネットでググったら、海外通販でなくても国内の通販でも手に入るようです。
 ネタ的になかなか美味しいうえに、釣る能力は実力派のサーフェスブルGT150と同等だと思うので、シイラ釣りなんかに1個いかがでしょうか?割とお勧めのルアーです。
 サシミブル200もあるようですが、ロウニンアジに投げるルアーとしては堅実な漁具系を引き継ぐブルポッパーがイイかなと思ったりしてます。


 ヨーズリネタもうチョットだけ続くんじゃ。
 ということで、サーフェスクルーザー。
 左の方が200で20センチ、右の方に200よりちいさいのが2サイズ。
 このルアーも海外で人気を博した逸品。まあ、ギブス社ペンシルポッパーと似たようなサイズと形状なので、当然アメリカの釣り師はストライパーやブルーフィッシュに向かって投げていたようで、バスプロショップスのレビュー欄には「素晴らしく丈夫。コレで自己記録のストライパーをゲットしたよ」とか「デカいブルース(ブルーフィッシュのことらしい)にはこいつが最高だぜ!」とか絶賛の嵐だったのが印象深い。
 ビデオで当時ヨーズリにいた津留崎氏がサーフェスクルーザーで30キロぐらいのGTを釣った時にポッキリ折れて、それでもワイヤ-貫通構造なので無事ゲットしてたのも印象深い。丈夫な作りなんだけどそれでも折れるというのが、海の釣りの恐ろしさ。ナイロンラインの時代でそうなので、より負荷が掛けられるPEラインの時代になって、デュエルになったヨーズリが発泡素材の強度をさらに上げてきたのは理由あってのことなのだと納得する。基本海のルアーでは実力主義なメーカーさんなのであった。
 とはいえ私がGT戦線に参戦したころにはGT用ペンシルはフィッシャーマンのロングペンが一世を風靡しており、あんまり出番の無かったルアーだったというのが正直なところです。でも、今後こいつらで勝負を決めるシーンがどこかに出てきそうな気がしているルアーです。シンプルで基本性能が高いルアーは時代を超えて活躍するという予感がしています。

 はっきり言ってヨーズリブランドはメチャクチャ好きです。ミノーとかジグとかも実力派揃いで最高です。ヨーズリらしいルアーじゃなくて今の社名になった「デュエルブランドっぽい」というと、分かる人には分かると思いますが、妙にジャパニーズハイテクルアーっぽいリアル路線のルアーは正直好きではないのですが、ヨーズリっぽいルアーが健在な限り、私は買い続けて使い続けるでしょう。


で最後におまけ、この一見サーフェスクルーザーっぽい10センチほどのルアーは、ヨーズリでもギブスでもコーデルでもなくダイワです。
 塗装の感じとかから、こいつも発泡樹脂製かなと思ってたら、どうも木製のようです。
 名前はトップジャンパーらしいです。シーバスに良さそうなサイズだと中古屋で買った代物ですが、まだ使ってません。

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