2014年7月5日土曜日

ハイシープミクロ、カーボネックス、アカエム

「すまない、軟式庭球経験者以外は帰ってくれないか!」
 という感じですが、まあバドミントン経験者も前2つは分かるのかな。
 軟式庭球なんて呼称もすでに「ソフトテニス」になって久しく今は昔の話だけど、中学、高校、大学と10年くらいやっていたスポーツなのでたまに懐かしく思い出したりする。

 写真はサメ釣り用にPENNセネター9/0に巻こうと思っている80LBナイロン1000mのボビンだが、このド太い蛍光黄色のラインのたたずまいを見て、ゴーセン「ハイシープミクロ」を思い出してしまって、懐かしくなってしまったのである。

 ハイシープミクロはテニスのラケットに張るガットの銘柄で、私が軟式庭球部員だったころの一番ポピュラーなガットだったと思う。
 ガットという呼び方は、英語だったかで腸の意味で、その昔はテニスラケットのガットは羊の腸から作られていたらしい。それでガットと呼ばれて、1商品名に「シープ」が入ってくるのである。
 ナイロンなど化学繊維が出てくる前には、鯨ヒゲでもガットは作られていて「鯨キン」ガットと呼ばれていたと記憶していたが、鯨キンの漢字を調べようとして、実は鯨ヒゲではなく鯨の頭かスジの繊維で作っていたらしいと初めて知った。漢字は「鯨筋」。
 私の中学生時代には商品はもう無くなっていたけど、兄にもらったラケットには鯨筋ガットが張ってあって、玉を打つとポンポンと独特の響く良い音がしたのを憶えている。

 テニスのガットはバラ売りだと、ラケット一本分をフライのリーダーのようにクルクルと巻いて、プラスチックのパッケージに入って売られていた。ただ、大きなスポーツ店にいくと、ハイシープミクロあたりはデカいボビンで用意されていて、量り売りでやや安かったように記憶している。
 そのデカいボビンにガットが巻かれている様を、今回買った80LBの太いナイロンラインを見て思いだしたのである。それぐらい80LBは太い。テニスのガットはやや大げさかもしれないが、バドのガットくらいの太さは本当にある。

 ハイシープミクロあたりのガットはモノフィラ(単繊維)じゃなくて、ナイロンモノフィラのコアをブレイデッドのナイロンで包んだ構造をしており、今思うとモノフィラのナイロンだと伸びが大きくてイマイチなのを、ブレイデッドと複合させることで低伸度のガットに仕上げていたのだと思う。

 同じような、単繊維をブレイデッドで包んだ構造のハリスが一時期デュエルから出ていて、ブランドはデュエルだけど製造はゴーセンではないかと、軟庭モノの私は思ったものである。

 カーボネックスは同世代の軟庭モノとバドモノなら懐かしい名前ではないだろうか。新潟の優良スポーツ用具メーカー「ヨネックス」のラケットで、たぶん今でもあるんだろうなと思ってググったら、残念ながらソフテニ用のラケットには既に「カーボネックス」の名前は無くなっているけど、バド用ラケットでは健在。最近は自転車のフレームも「カーボネックス」で出してるようある。

 私はロッドの素材がグラスからカーボンに移行する時代にも立ち会ったが、軟庭のラケットが木製からカーボンに移行する時代にも立ち会った。
 グラスの竿を知っている人間が、キンキンのカーボン素材にイマイチなじめなくて、グラスを混ぜてマイルドにしたフェンウィックのHMGブランクスを気に入ったように、木製のラケットを知っている人間としては、出始めた当時の100%カーボンのラケットにはなじめず、カーボンの芯材を木で挟んだカーボネックスはしっくりきた。
 テニスのラケットは軽すぎてもボールをはじき返すパワーが不足すると私は感じていたので、それなりに重さが欲しかったのである。
 カーボネックスはその点、芯のカーボンの反発力は生かしつつ、木製同様の重量感があって木製から買い換えた人間にも使いやすかった。出始めた当初はカーボンラケットというと軽さを重視して作りがちでイマイチだったが、大学生のころには仲間が使っているカーボン製のラケットを借りてみると、重量も適度に与えつつ、カーボンならではのフレームの形状の工夫で振り抜きも良くなっていたりとかなり進化していて、これなら木製にこだわる必要は無いと感じるぐらいであった。

 結局、カーボンというと、軽いのと高反発ということが素材的には売りなので、それを前面に出すと軽くてキンキンのロッドやラケットになるけど、ロッドが必ずしも高弾性が万能ではなくて、わざわざ低弾性のカーボンを採用する竿もあるように、ラケットも軽いだけじゃ使いにくいので、使いやすいように適度な重量バランスを持たせて設計するのが当たり前の結果ということである。

 ロッドもラケットも単純にスペックでは計れない、「使いやすさ」というのが重要だと、ロッドについてはいつも書いてるが、しつこくまた書いてしまうのである。

 ちなみに「アカエム」というのはボールのブランド名で、今も昔もこれはあんまり変わらず単なる「ゴムマリ」のようで安心する。それでもカラーボールとかがあるのを見ると、柔道の道着や卓球の球と同じように、時代が巡ったのだなと感慨深い。

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