インビンシブルネタで、インビン15センチの3色カラーがタスマニアンデビルっぽいとか、バラムンディ用ミノーにニールズマスターとかの北欧ミノーのカラーリングがポップになって受け継がれているんじゃないか?とか書いた、そのあたりを書いてみたい。
ルアー図鑑うすしお味第10弾はオーストラリア編行ってみましょう。
オーストラリアというのはスポーツフィッシング大国である。何しろIGFAのルールに基づき人間が釣った最大の魚が、この国の庭師のオッチャンに釣られている。実に1トンを越える巨大なホホジロザメである。ホホジロザメが時に2トンを越える正真正銘の化け物である事実をおいても、既に多くの国で保護の対象となってしまったホホジロザメは釣りの対象となりにくく、記録はたぶん、私が駿河湾の底から7mとかのオンデンザメでも釣らないかぎり更新されないだろうと思う。
オージーの釣りにかける情熱には敬意を払ってしかるべきだと思う。彼らとはクジラネタとかでは絶対わかり合うことは無いかもしれないけど、釣りの話でなら熱く抱擁できるのではないだろうか。
というぐらいの釣り好き国家なので、トローリングスタンドアップファイトでやっつける1000ポンドオーバーのジャイアントブラックマーリンから、人気の河口域でのバラムンディ、マニアックに内水面ならオーストラリアアロワナ「サラトガ」やらマーレイコッドやら、タスマニア島にはマスの類も移入されているのでトラウトフィッシングもできる。
当然、自国でもルアーやらの釣り具は作られていて、トラウト用のルアーとしてタスマニアンデビルは日本を始め世界中に輸出されて我が家の蔵にも何個かある。
3色カラーに縞の入った、前回紹介したインビンシブル15センチのようなカラーを「こういうカラーがオーストラリアっぽいんです」と紹介しようとしたのだけれど、我ながらピンクとシルバーって色目の少ない渋いチョイスである。
左上の緑に縞がまだマシではあるが、それでも地味。
でも、パッケージ入り新品が残っていたので、色々と情報は読み取れて面白い。一番下には「彼らは悪魔のように噛み付くぜ!」とか書いてあって、たぶん肉食の有袋類であるタスマニアンデビルの名前の由来と、それをルアーの名前にもらったのを表しているのだと思う。彼を魚と読ませる暗喩もあるかなと。
メーカー名は「ウィンストンルアーズ」でもろにタスマニア島にあるそうな。
ルアーとしては、プラスチックの羽根付きのメタルジグというか何というかなルアーで、タスマニア島に旅行して観光で湖のマス釣りツアーとかの船をチャーターすると100%タスマニアンデビルをボートでトローリングすると聞いたことがある。
日本ではスプーンみたいにキャストして使われていると思っているが、正直管理釣り場でナンボか釣ったことある程度で本格的には使ったこと無いので性能についてはどうこう書く資格は無い。
割と一時期流行って、似たような棒鉛の周りにプラスチックでボディーを成形したルアーというのもいくつか出ていて、写真下のルアーなどてっきり同じメーカーの物かと思って買っていたが、今見ると中通しのリグの素材がタスマニアンデビルの方はステンレスっぽいけど、謎のルアーは真鍮ポクて別の会社の製品かもしれない。誰か知ってたら教えてください。
でもって、北欧の流れをくむんじゃないかというバラマンディーミノー達、いくつか蔵にある物を紹介する。
1個目は、まさにコレがバラマンディーミノーのカラー見本という感じで、どっかの釣具屋か中古屋で目を引いたので思わずバイトしたんだと思うが、1個だけ持っている。
こういう派手目の3色とかが、ボディー側面にグラデーションしながらというのが、バラマンディーミノーっぽいカラーだと思っている。
メーカーはリップの裏に貼ってあるシールから「リーズルアー」とかいうメーカーらしい。ハンドクラフテッドとか読めるので、小規模な工房で作ってるのかな。
オーストラリアのバラマンディー釣りにはボーマーのロングAが昔から定評あると聞いているんだけど、ボーマーというかプラドコで豪州向けにバラボーマーというロングAのバラマンディーカラーバージョンを出しているようで、まさにこんな感じの3色の派手派手なカラーになっている。
でもってもういっちょ、こいつは鮎迷人が大学の同級生と卒業旅行にオーストラリアに行った時の土産なので20年ぐらい前のモノである。我ながら物持ちが良いのに感心する。
キラルアーと読むのか?3色カラーではないものの、銀で鱗を吹いていて、これがバラマンディーミノーのカラーのもう一つの特徴であり、北欧のミノーのカラーリングを受け継いでいるんじゃないかと指摘する部分でもある。
アメリカンルアーでも同様の色の吹き方はしているので、正確にどっちが起源と言い難いところだが、雰囲気も含めて北欧起源と私は思うのだがどうだろうか。
ちなみに対象魚として列記されているのが、バラマンディー、フラットヘッド、マングローブジャック、フィンガーマーク、サーモン、コッド、イエローベリー、テイラー、マーレイコッドとなっている。
バラマンディーは太字で書かれており一番のターゲットのようだ。
フラットヘッドはコチですね。マングローブジャックはゴマフエダイというより、まんまマングローブジャックのほうが釣り人には通りが良いか。
フィンガーマークは知らん魚なので検索してみて画像見て納得。たぶんイッテンフエダイかそれに近いフエダイの仲間なんだろうけど、体側面にある黒点を、つまんだときの「指の跡」に見立てての呼称のようだ。
サーモンと来て鮭だと思うのは、オーストラリアに興味がない釣り人ならそう思うだろうけど、オーストラリアでサーモンというと、釣りの世界ではツバメコノシロの仲間の大型種スレッドフィンサーモンというのが有名。観賞魚の世界だとクィーンズランドサーモンと呼ばれたという伝承のある豪州肺魚ネオセラトダスなんかもサーモンっていえばサーモン。ようするに英国の流刑地だったりした豪州でお國のタイセイヨウサケを懐かしんで、デカい魚を「サーモン」と呼んだんだろなというところ。
コッドはここでも叱っておきましょう。ミノーでタラの仲間が釣れる水深を狙うとは思えないので、たぶん河口やリーフにいるハタの類、その名もエスチュアリーコッド(河口ハタ)なんて呼ばれるチャイロマルハタあたりのことでしょう。
イエローベリーが聞いたこと無いので検索かけたら、淡水のパーチの類でセッパリの独特の体型の魚で釣りの対象としては人気があるようです。
テイラーは和名がアミキリでブルーフィッシュに近い仲間のはず。そう考えるとブルーフィッシュの仲間って大西洋にしかいないから似たような魚が日本語で例示できないと思っていたんだけど、太平洋にもいるんだよなと再認識。歯が鋭く漁網とか切りまくるので、英語では仕立屋、日本語ではそのハサミになぞらえての命名でしょう。
最後は日本でも釣り人になら知名度あるマーレイコッド。世界3大有鱗淡水魚の一つでナイルパーチ、ピラルクと共に100キロを越える巨体を誇るとのことだが、100キロほんとにいくんかいな?というような上流部で釣っている写真しか見たこと無い。どこがタラやねん!というツッコミも一応しておくが、オーストラリアについてはサーモンの方が色々と酷いので目をつぶろう。
ミノーに関しては、ようするに派手な3色ぐらいの独特の色使いで、銀色の鱗模様が吹いてあるのがオーストラリアのバラ用ミノーっぽいというのがまとめである。試験には出ないけど憶えていてもとくに損はないと思います。
ときて、そろそろ豪州だし汽水域も良いけど派手に大海原に打って出るような、ガツンとくるようなルアーないの?とお嘆きの貴兄に、お待たせしましたオーストラリアの誇る海のルアーメーカー「ハルコ」のご紹介です。
ハルコと言えば、日本でもお馴染みのこの「ハルコツイスティ」って、写真をバーンと貼り付けようと目論んでいたのですが、これが、蔵から出てこない。あんまり使った記憶がないのでロストしてないだろうしあるはずなのに蔵から発掘できず。無念。
まああれだ、ぶっちゃけ今時検索かければ画像ぐらいすぐヒットしてくるだろうから気になる人はググっていただきたいが、まあバス釣りに使う円柱状の金属を斜め切りしたのにハリ付けただけのカストマスターってジグご存じかと思いますが、あれをチョット細長くして端っこをピョロッとめくれた感じにしただけです。カストマスター知らんかったらそっちもググってみてください。
ということで、日本ではほぼハルコツイスティぐらいしか知られていないメーカーですが、実は結構オーストラリアではメジャーどころで、ひょっとしてマニアな釣り人なら知ってるかものマーレコッド釣るのかナイトウォーカーとかいうノイジーやら、もちろんバラ用のミノーも作ってるらしいが、そっちは正直良く知らん。
しかしハルコと言えば、私の中では海用のデカいバイブレーションなのである。私の中で勝手にそう決まっている。
で、私のお気に入りMAX120。
ターポン様釣りに行くっていう話になって、最初はコスタリカの濁った河口でやっつけようぜ、という話だったので、それ用に世界の英三先生のお店のオリジナルのターポンバイブレーションとか買いこんだわけだが、他にも100グラム弱2~3オンスぐらいのバイブレーションって無いのかなと探したら、ジャストサイズだったのが、米国通販大手バスプロショップスで見つけたこのMAX120。たぶん長さが120ミリなんだと思うが味気ないネーミング。
でも、初めてキャスティング練習も兼ねて近所の川でぶん投げてみて、良くできているのに感心した。
2-3/4オンスと重いバイブレーションなので遠投がかけやすいっていうかブッ飛ぶ。
でも、動きが実にイイ塩梅に細かいバイブレーションでラトル音もあってアピール度高くてよさそう。
さらに特筆モノなのが、引いてるときの姿勢。普通のバイブレーションなら頭を下にしそうなところだが、ほぼ水平に近い姿勢。
姿勢って、場合によっちゃすくなくとも色以上には重要な要素で、アユの縄張り行動は、水平姿勢でやってくる魚にのみ引き起こされて色はそれほど関係無いってぐらいで、そのへん頭にあったので「やばい当たりルアー」を引いちまったんじゃないかと衝撃が走った。これは、ちょっとミノーの替わりが務まるんじゃないかというぐらいの良作なんだけど、3オンス近いルアーを扱えるタックルってそれこそターポン様やらGTやら釣る道具で、シイラタックルでは既に重くて投げにくいぐらいの重量。
使えばメチャクチャ釣れそうな気配がプンプンと匂ってきているのにいまだに魚に向かって投げていない。実釣で釣れるようなら大量購入しようかと思っていたが、釣り場に連れて行く前にバスプロショップスのカタログからも落ちてしまった。
まだ本国では売っているのかもしれないが、世界的ブームには残念ながらならなかったルアーである。意外にこのサイズのルアーを投げる対象魚って無いモノである。マグロ狙いのキャスティングとかに良いかもしれんと思っているのだが、あんまりマグロ釣りには行かないのよね、ということで蔵で眠っているルアーである。
ついでに、もう一つさらにデッカイのを紹介しておく。ジャイアントトレンブラー4-1/2オンスである。
試しに買ってみたが、どう見てもキャスティングは無理っぽい大きさで、当たり前だがこのサイズはトローリング用である。
「さっきのMAX120もトローリング用なんじゃねえの?」と思われるかもだが、裏の取説読むとMAX120はキャスティング又はトローリング用となっていて、ジャイアントトレンブラーはいきなりトローリングスピードとかの解説から入っているので、MAX120はキャスティング用だと思う。たぶん。
ちなみに左上にはどこのご家庭にもあるだろうTDバイブレーションを比較対象として置いてみた。ジャイアントトレンブラーがいかにデカイかおわかりいただけるだろうか。
こういうデッカいバイブレーションでオージーは何釣ってンだ?と思うかもしれませんが、日本じゃそもそも海でのトローリング自体敷居が高くてあんまり馴染みのないなかで、さらにマイナーな釣りモノだけどワフー(カマスサワラ)のトローリングというのは、割と玄人好みのする渋い釣りモノでそれなりに海外の雑誌とか見ていると紹介されていたりする。たぶんワフー釣ってます。
サワラの仲間って、とにかく攻撃的でルアーは派手な方が良かったり、トローリング速度は速いほうが良かったりと、他の魚とは違うジャンルとして成立するぐらいの味わい深い対象魚のようである。サーフから狙うサゴシぐらいしか釣ったこと無いが、確かにメチャクチャ攻撃的な性格の魚のようです。どのくらい攻撃的かというとサーフトローリングで弓角投げているとガンガンとジェット天秤の方にアタックしてくるぐらいであるといえばおわかりいただけるだろうか。
ワニマガジン社から出ている「スポーツフィッシング日本語訳版」から引用すると「ワフーは、はっきりとしたカラーでちかちかしたり光ったりするような特定のプラグを好む傾向があるようです。ポピュラーなところでは、ラパラのCD18、22、26マグナム、ヨーズリのボニータ、ハルコのジャイアントトレンブラー、ブレイドのフラッシュダンサーやマルーダーあたりでしょうか。」となっていて、ラパラCDマグナム、ヨーズリのボニータ、ハルコのジャイアントトレンブラーと上位3位まで蔵に転がっていて笑えてくる。
ええ、ボニータ持ってますよ。小さい目のヤツをキャスティングで使おうと買ってます。というか、トローリングで使うデッカいバイブレーションって世界中でヨーズリ使ってるんだと思ってたぐらいで、ワフー釣りの光景には普通にボニータ見切れてます。似たような別メーカーのかもしれませんが、ヨーズリなら世界標準になっててもおかしくないぐらいに思ってました。
写真のは2オンスぐらいと小さいですが、2オンスが小さいと錯覚するぐらいにクソデカイのが、デカい釣具屋のトローリングコーナーには延々と売れずにぶら下がっていたりします。標準装備がケンケンバリのダブルフックってところが漁具系釣り具メーカーの面目躍如って感じでしょ。
バイブレーションって平べったいですが、B5のノートぐらいありそうなサイズの売ってます。
今検索かけたら、ボニータはそろそろ廃盤で、後継のサシミボニータに伝統は受け継がれていくようです。サシミボニータつぼにハマって超うけまくりで腹痛いッス。サシミとボニータ(美女)の絶妙な語感の掛け合わせの妙。
てな感じで、脱線しつつマニアックにルアー図鑑うすしお味もここまで第10弾と、とうとう「つ抜け」しました。もうしばらくネタはありそうで20弾ぐらいまでは行けそうです。
このチョット塩味効いた変な芸風についてこられる方は引き続きお楽しみに。