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2019年6月15日土曜日

薬石効なく

 病気っていうのはこの21世紀の進歩した医学をもってしても根本的にどうにも制御できない時もあって、そういった制御不能な病とは上手いこと付き合っていくのが得策で、ゆめゆめ完治させてしまおうとか思わんぐらいの方が良く、ましてや精神力でどうにかしようなんて思ったところで、どうにかなるなら医者もクスリもいらんわけで、例えば糖尿病患者は気合いでインシュリン分泌量を増やすとかできやんから注射打つんである。
 そういった現代でも治療の難しい病にいわゆる「スピニング熱」というものがあり、これに罹患すると「大森が欲しい!」「この年代のギア方式は」「回転の滑らかさが」「スプールエッジの形状の違いが」などと意味不明なことを口走るようになり、ネットオークションサイトや中古釣具屋での散財が家計を圧迫し、山のように積み上がるスピニングリールを前に途方に暮れるという症例が報告されている。
 現代医学を持ってしても治療法が確立されていない不治の病である(「不治の病」って打とうとしたら「Fujiの病」と予想変換される我がATOK)。まったくもって痛ましいことである。

 かくいう私も昨年秋ぐらいから潜在的保菌者だったのが発症し、インスプール熱や急性大森症、慢性的PENN症候群などに日和見感染するという苦しい闘病生活が続いたモノの、リール管理台帳作成による「リールは一家に90台まで!」という治療方針が効をそうしたのか、四月以降はその症状は顕在化しておらず、当ブログにおいても”スピネタ”は4月20日以降ご無沙汰であった。
 ただこの間も症状が表に出ていなかっただけで、確実に病は深く静かに進行していたということを告白せざるを得ない。最後の記事から4台買ってしまっている。

 オレは悪くないんや!!大森にいつも変な値段付けてるTベリー○×店が悪いンや!!
 と、とりあえず人のせいにしておこう。中古釣具屋に街に出かけるたびに足を運んで掘り出し物がないか確認するという行動は釣り人なら多かれ少なかれやると思うけど、この店だけ異様にマニアックなリールがワゴンに転がってる率が高い。手が出たのだけでも「マイコンNo.6」、「キャリアーNo.1」、そして今回の「ポスカ1」と3台もあって、他にも逆回転している時代のカーディナルやら松尾工業の赤いボタンをポチッと押すとベールが戻るヤツやら、台数制限なければ手が出てただろう良い出汁のきいたスピニングが転がってたりした。
 写真のポスカ1なんて216円ですよ、おつり4円もらって小銭入れふくれるのいやなので1円出しておつり5円にしてますよコイツ、ワシ意外に細かい性格。
 大森熱もややおさまっていて、もうスプールやらギアやらのパーツの予備にもなるような機種以外買わないでおこうと思ってても、216円には思わず手が出たですよ。
 ポスカは大森晩年の生産拠点韓国に移した時代の製品で、フットにもKOREAの刻印があり、多分アクションMとかタックルAとかみたいな樹脂ボディーの安リールなんだろうなと思ってたけど、手にしてみると意外に作りもしっかりしていて悪くない。アクションMのような”チープ大森”的なリールではない。
 どうも、大森製作所の伝統あるリール名「マイクロセブン」の名が付く最後の機種であるマイクロセブン「V」シリーズと「C」シリーズのうちカーボン樹脂ボディーの「C」シリーズの方の後継機的なリールだったようで、多分本体の金型は一緒。
 これが、大森ファンには不評で「大森が大森らしさを捨てた時代のリール」と一刀両断されているけど、分解清掃しながら見ていくと、なぜそうしたのか、せざるを得なかったのか、大森製作所の苦渋の判断が浮き彫りになってきて、なかなかに味わい深いモノがあった。
 ワンタッチ折りたたみのウッドノブが付いたハンドルなんていう当時の流行も真似してる。だってそうすればハンドルネジ込みやめて亜鉛一体成形のギアに多角形の心棒入れる方式で良いから経費削減できるし、日本の釣り人はそっちの方が買うんだもん。
 スプールをワンタッチボタンで着脱可能にしたのも、スプールのハマる軸を太くしてドラグの効きを安定させるためというのもあったかも知れないけど、なんか見た目に分かる機能を付けて差別化しないと日本の釣り人買わないんだもん。
 一番驚いたのはドラグ。まあ大森なので基本の三階建てドラグなんだけど、これがエラい締まる。ギュッとドラグノブ締めると完全にラインが出なくなる。ドラグパッド見てみたら写真じゃ灰色っぽく写ってるけど実際には白と薄緑の斑模様の硬めのザラついたパッドで、どっかでこの素材見たことあるなと思いだしてみると、これライギョ用のアンバサダーの改造パーツとして売ってる”ドラグをフルロックするためのドラグパッド”と同じ素材だと思う。たぶんこれは石綿代替品系の素材かと。
 たかだかナイロンの2号とかで釣りするリールでこんなにドラグ締まるようにしてどうするんだと思う。正直アホのような設計だと思うけど、そうしないとドラグをしらない日本の釣り人には売れなかったんだろう。「ダイヤモンドリールはツマミ締めてもラインがズルズル出ていく」とか言われてたんだろうことは想像に難くない。
 「流行や釣り人の好みに迎合せずに良いモノを創り続けるべきだった」っていうのは評論家が後から言える台詞であって、当時自社製品が思うように売れなくなっていくなかで、生産拠点を人件費安かった海外に移したりもしながら生き残りを暗中模索していた当事者の苦悩をポスカに見てしまうと、そこまで言うたらんでもエエやんか、と思うのである。
 良いもの出しときゃ売れるんならマイクロセブンCシリーズが売れてなきゃおかしい。ポスカなんて作らんでも良かった。

 などということが書けるのは「マイクロセブンC1」買っちまったからである。
 ポスカ買ったジャン。悪くないリールだったジャン、じゃあその前身のマイクロセブンCも欲しくなるジャン。我慢できないジャン。仕方ないジャン。←急性大森症再発!!
 スプールが同じ樹脂製のキャリアーと互換性あるだろうから欲しいなと某ネットフリーマーケットで眺めてた個体、キャリアーそのものがもう一台手に入ったしいらんなと一旦心から追い出せてたんだけど、一回でも欲しいと思ってしまうと何かのきっかけで再発するネ。ジリジリと値を下げてきていたのもあって3900円でワシが購入させていただきました。箱入り取説付きでこんな値段でいいんかい?
 大森ダイヤモンドで樹脂製のリールといえばキャリアーが人気でワシも大好きだけど、マイクロセブンCもなかなかどうして悪くない、っていうかすんごく良い。
 キャリアーがボールベアリング1個で単純軽量設計のタックルオートの樹脂版で、マイクロセブンCはボールベアリング2個のアウトスプールの系統であるマイクロ7(アウトスプール)→オートベールの樹脂版的なリールかなと思ったけど、分解してみるとどうも、割と新機軸の気合いの入った機種だったようだ。
 ハンドルノブこそ日本風のウッドノブ付きだけどねじ込み式のハンドルで、当然ギアには堅い素材を芯に鋳込んだ大森得意のハイポイドフェースギア。
 ラインローラーも大森らしい樹脂製スリーブの入ったもので長く使える仕様。同じ樹脂製リールでもキャリアーとポスカは樹脂製スリーブなしのセラミックラインローラーを直受け方式だけどセラミックは滑らかで摩擦が小さいのかハードに愛用していたキャリアーNo.1でも摩耗した感じはまだない。とはいえスリーブ入りの方が安心ではある。
 音出しとサイレント、逆転の3段階切り替えはまああって困るもんじゃない程度だけど、蓋を開けてギアを見るとちょっと驚く。
 多分、ギアがマイクロセブンC用に新しく金型起こしたモノっぽい(マイコンとかと共通の可能性はある←追加註:マイコンと共通はないことに後から気付いた。理由はまた書く予定)。

 大森製作所はギアとかは変更が必要なければだいたい同じのを使ってるので、部品の共有使い回しが効くのが蒐集して使うにはもってこいの特徴だと思ってるけど、キャリアーとパーツ交換どこまで可能か調べようとしたら直径からして違ってた。左がC1でちょっと小さい。
 ちなみに予想どおりにキャリアーとスプールが交換可能、ついでにハンドルも交換可能ってことはギアに鋳込んでいる心棒は共通っぽい。
 細かい点だけど、蓋のネジが樹脂に直接ねじ込むタップネジじゃなくて、金属の雌ネジを埋め込む方式なのは他にはPENNの4桁スピンフィッシャーぐらいでしか見たことない丁寧な作り。ポスカではタップネジになってて経費削減したんだなと思う箇所。
 という感じで、大森製作所の最高傑作は何か?という問いにはいろんな回答があり得るんだろうけど、”大森アウトスプールの最終進化形”としては樹脂製でありつつねじ込み式ハンドル、堅い材を芯に鋳込んだハイポイドフェースギア、テフロンパッドの三階建てドラグ、樹脂スリーブ入りのラインローラー、ベール折りたたみ機構といった大森らしさを備えた「マイクロセブンCシリーズ」であると言っても良いんじゃないだろうか。
 その後のタックルシルバーとかはちょっと路線が違うので、対抗馬としては個人的にはマイコンTBシリーズかなと。大森アウトスプールの大きな流れであるマイコンシリーズの中でも終盤の機種で良い塩梅にマイナーチェンジが効いてて使いやすく良いリールだと思っている。でも他にもアウトスプールならキャリアーとタックルオートの単純軽量も一つの方向性だし、ってまあそのへんまた迷うヤね。でも現時点ではマイクロセブンCをワシゃ推す。
 マイクロセブンC1は実釣がまだなので、本当の意味での道具としての評価は現時点ではできないんだけど、まあ間違いないリールだと確信している。

 とかやってたら、ネットオークションで安いアグリースティックが手に入るようなら欲しいと「釣り具」「シェイクスピア」を検索条件として登録して定期的に見てるんだけど、ガツンと写真のリールが目に飛び込んできた。ハイ買っちゃってます。
 シェイクスピア「アルファ2260-030」である。
 ご存じのようにシェイクスピアは大森製作所にスピニング作らせてた時代が長くて、タックルオートとかはシグマシリーズの名前で売られていてたまにネットオークションにもかかってたりする。
 でも、このアルファのシリーズは金属製のがフルーガーメダリストと同じ機種だったりというのは目にしてたけど、樹脂製のは初めて見たうえに「030」は大森なら人気の「SS」サイズである。ちなみに「035」が「No.1」、「040」が「No.2」サイズと対応。
 ▲型の可愛いハンドルノブといい、マイクロセブンC系の造形といい、これは大森製作所の製造で間違いなさそう。あとは中身がマイクロセブンCかポスカかというところで入札に使える金額が違ってくる。コイツの正体がマイクロセブンCSなら即決価格の3980でも安いぐらい。大森人気最近落ち着いてきてるけどこのぐらいなら買いだろう。ポスカSなら開始価格の2980円の価値も正直ないかも。216円は安すぎるにしても、そこそこのデキの割に不人気だし中古本体のみなら千円台が妥当なところかと。
 写真見るとアメリカ仕様であちらでは需要のないウッドノブやベール折りたたみ機構は省略されているようだけど、ドラグノブはワンタッチボタンじゃなくて、ハンドルもワンタッチじゃなさそうということで、外れてポスカSでもまあ悪くないかと3200円で入札するも開始価格2980円でそのまま落札。

 手元に届いて”とにかくハンドル”と外してみると、ねじ込み式で「当たり引いた!」と喜んだんだけど、外してハンドルのねじの部分をみるとなんか違和感が。大森式で交差してネジ山が切ってあるんじゃなくて、PENN方式の根元と先とで太さを変えてあるネジ。
 ねじ込み方式ならマイクロセブンCS確定だと思って、入札中も質問したくて仕方なかったけどバレると即決で持ってかれそうなので我慢したけど、ねじ込み式でマイクロセブンCSじゃないっていうのは予想外だった。っていうかどこ製なんだこれ?
 でも、ねじ込み式なら丈夫な軸を鋳込んだハンドル軸のギアが入ってる実用的なリールなはずで、それならどこ製でもまあいいやと分解清掃に入ったんだけど、蓋を開けたらどう見てもハンドル軸のギアが亜鉛一体成形の鋳造もので、真鍮のブッシュで軸を受けてるのも亜鉛の軸が削れそうで怖いけど、それよりなにより、亜鉛の軸にハンドルのネジねじ込んだらダメでしょ?亜鉛そんなに堅くないんだからねじ込んで力かかり続けると軸太っちゃうでしょ?ねじ込みで太る軸を真鍮のブッシュで削るので一定の太さに、ってわきゃないよね?
 他にもローター軸のギアが強度が欲しいストッパーの歯車まで含めて亜鉛一体成形だったり、逆転のスイッチを切っても行き過ぎてちょうど良いところで止まらず逆転上手くできないとか、ラインローラーのメッキが甘くてライン巻いてたらハゲちょろげてきたとか、全体的に安っぽい作り。
 マイクロセブンCでもなきゃポスカでもなく、大森っぽい見た目にしてくれとシェイクスピア側が発注したのか、それとも大森が潰れた後に金型引き継いだ工場が作ったとかか、とにかく大森製作所じゃないところが作った安リールのようである。
 ドラグの安定性がイマイチなのを調整したり、メッキ剥げ剥げのラインローラーの表面がざらついているのをサンドペーパーでならして瞬着で表面コーティングして、逆転スイッチちょうど良いところで止まるようにカーボンの芯で止めを作って、と使えるようにするのに手間暇かけたけど、使ったら数年でどっか壊れるかも。ポスカの方がカチッとしていて数段モノが良いように感じた。
 シェイクスピアのブランドは好きだし、見た目も可愛くて良いんだけど、中身だけなら正直500円のワゴン行きだな。ハズレ引きました。でもまあこういうのも楽しいとは思うので2980円(と送料)は授業料込みということで文句はあまり言わないでおこう。

 とまあ、3台も買ってしまったわけだけど、マイクロセブンC1はキャリアーNo.1とスプール共用体制組めるしシビれる良いリールだしで手元に置くんだけど、ポスカ1とアルファ2260-303は正直単品で持ってても出番がない。かといって売るにしても値段が付くようなリールじゃないと思ってたら、ケン一が「余らしてて子供らハゼ釣るのとかに使えそうならもらうよ」とのことだったのでケン一へ業務連絡です、そのうち送るので待っててね。ラインもナイロン2号巻きました。

 リール文字通り売るほどあって、必要性が薄いのは売れるモノは売って、もらってくれそうな人には押しつけて、なんとか90台以下を保っております。
 スピニングネタもうちょっと仕入れてあるので、連投か休み休みか分からんけどあと2、3回書きます。お好きな人達はお楽しみに。


○オマケ「ギア交換」
 以前から、たぶん我が家の蔵にある、キャリアーNo.1、タックルオートNo.1、タックル5No.1はギア一緒じゃね?と思ってたんだけど、マイクロセブンC1とキャリアーNO.1のギア比較したついでに入れ替えできるか試してみた。
 キャリアーNo.1とタックルオートNo.1は交換可能。まあタックルオートの樹脂版がキャリアーなので当たり前かな。
 で、あたりまえにタックルオートNo.1のギアもタックル5No.1に入りそうに思ったんだけど、入りそうで入らない。逆は入った。
 昔のアンバサダーとか、組み立て段階で職人さんがピッタリ合う部品同士で組むので隙間とかがなかったと聞いたことあるけど、たぶん同じようにしてたり削って微調整したりもしてるんだと思う。
 大森製作所のサイズ同じリールはギア共通の場合が多いけど微妙にハマらないこともあるよ!ってことだと思う。
 ご参考まで。

2023年12月2日土曜日

あらためてキャリアー

 大森アナリストを勝手に自称してるワシではあるが、中古リールの値動きって正直読めそうで読めない。一時値段が落ちていたコメットがややまた値を上げて、逆にキャリアーは一時期4万とか5万とかしてた人気のSSサイズでも2万円台とかのが入札無しでさらされてたりする。そんなわけでここは”買い”だろうなと3500円スタートの「キャリアーNo.1」にダメ元でと入札しておいたら、入札ワシだけで落としてしまった。わが家には若い頃の愛機が1台、黄色い中古屋のワゴンでエグったのが1台と既に2台あり、もっと言うならスプール互換性のある「マイクロセブンC1」が4台もあり、なんなら大森スピニングのNo.1サイズは売るほど在庫しているので必要性は全くなかったのだけど、マウスが滑ったものは仕方ない。せっかくわが家に来たので分解整備しつつ、あらためてどんなリールか、マイクロセブンC1との比較なんかも交えてご紹介してみたい。

 ちなみに自称大森アナリストが今が買い時だと思ったのは、また値段が上がって高く売れると思ったからではない、単純に欲しかったから。それがたった一つの理由。

 でもって、C1と比較しつつ分解清掃なんだけど、C1の今使ってる個体は銘板片ハゲ個体で、そいつを出すとスカがほとんどないぐらい滅茶苦茶働く個体なんだけど、ハゲててもかまわんとは思ってたけど、なぜか買った記憶がない銘板が部品棚の大森用のジップロックに入ってて、耄碌ジジイどこでいつ買ったのか、まとめ買いとかしたときに入ってたのかわからんけど、とにかく働きに対して褒美をあげるのにちょうど良いなと、銘板を貼り付ける作業も同時進行で行った。どうせもう剥がれそうになってるだろうと、ついでにまだ剥がれてない側も針先で突いて隙間に突っ込んでペリペリ剥がして、残った接着剤のカスを爪でこそげ落としてアルコールで汚れを拭き取って、さらについでに整備するキャリアーの銘板も両側剥がして改めてコニシのSUで接着。C1はハンドルの塗装ハゲもタッチペンでごまかして綺麗に、とまではいかないにしても良い感じのお化粧直しになった。

 そしてキャリアーNo.1の分解整備に着手、いつものようにスプール周辺から。スプールはC1のとも互換性のある樹脂製スプール。裏面に音出しと、ライン留めがネジ留めしてあるごく普通のものだけど、ドラグはテフロン3階建てで、金属製ワッシャーのスプールと同期して回る1枚は、良くある耳付きじゃなく6角形で、2箇所だけで支える耳付きより樹脂のスプールに”噛み”にくくしてるんだと思う。テフロン3階建てのドラグの優秀さは「マイクロセブンCS」でボラ釣って身に染みて理解できた。ドラグが良いのは大森の伝統だなと改めて思う。必要充分で無駄なくデキが良い。今時安リールでもまともなドラグぐらいついてると思うけど、1980年代終わり頃にワシが買ったときは新品投げ売りで3千円台だったと思うけど、86年の発売で定価5300円と決して高級品ではなく、当時同価格帯のスピニングでこれほど実用性の高い使えるドラグがついてた国産品はなかったと思う。85年登場ダイワ「ウィスカートーナメントSS」はさすがにドラグも良いけど2万近い値段の高級品だしな。ちなみに86年の大森カタログには”CAREER”「カーボンボディを装い、伝説の名機復活。」とあり「軽快なフォルムと信頼性の高いメカニズムで、国内はもちろん海外でも圧倒的に支持された名機タックルオートが復活しました。」という感じで、樹脂版の「タックルオート」というのは公式見解でもあるようだ。

 本体は黒い無塗装系のカーボン樹脂ボディ、パカッと本体蓋を外すと、タックルオートNo.1同様に単純なクランク方式のスプール上下機構、ギアはローター軸真鍮そしてギア直上に綱系逆転ストッパー、ハンドル軸は鋼を鋳込んだ亜鉛鋳造の、これぞ”大森式”なハイポイドフェースギアと本体内逆転防止方式で、本体蓋止めているのは樹脂に直に穴開けて長めのタップネジで、ここはC1のほうが金属製雌ネジ使ってて丁寧。あと、ハンドル軸が本体樹脂を分厚くして受けてて、特にスリーブの類いは入れていない樹脂直受けなのはちょっと心配になるけど、実際に数年酷使した愛機はとくに削れてガタついたりはしてなかった。この樹脂丈夫な気がする。TAKE先生の「リール哲学」でミスター・ハラが「ポリブチレンテレフタレート。堅く成形時の流れも悪い。しかし「日本リール」が使ったポリアミド=ナイロンのように吸水性はありません。最初期大森が使い、私はローターのみに使いました。」と書いているのも、そのことを裏付けるかと。ちなみにC1はハンドル軸に1個ボールベアリングが奢られている。ギアの歯に力が掛かった状態ではハンドル軸のギアはローター軸のギアから逃げて”浮く”方向に力がかかることになるのでギア側に1個、というのは外蹴りアウトスプール版「マイクロセブン」、「オートベール」から引き継いだ大森の伝統か。

 ワシ的にはボールベアリングの数はともかくとして、C1みたいに補強入れるところは金属で補強してる方が、やっぱり丈夫で長く使えるように感じられるので好みではある。キャリアーの単純で軽く安価にという方向もありだとは思うし、実際に使ってて消耗品のベールスプリングぐらいしか壊れたことなくて充分丈夫だし愛着もある機種だけど、あえて好みを言えばという程度。

 左の写真は3枚ともC1で、蓋固定用ネジに金属製の雌ネジが使われているのと共に、ストッパーに掛ける爪が押さえつけられる部分に金属製のつっかえ棒的な”棚”が補強で入ってて、2枚目の写真の矢印の部分が爪をズラして棚を見えるようにしたところで、3枚目写真矢印は銘板の下に確認できる、棚に繫がる金具を本体に穴開けて固定してある、そのお尻が見えているところ。キャリアーでは樹脂本体から張り出した樹脂製の棚でつっかえ棒をしている。本体内で”補強を入れるならココ”っていうのが分かってるのが大森製作所のエラいところで、アワセの時など竿しゃくったときやら魚が突っ走ってストッパーがガチンと働いたときに、ココに爪が押しあてられて負担が来るはずなので納得である。以前にも書いたけど「エギングはしゃくりまくる釣りなのでヤワなギアだとすぐにダメになる」とか言っちゃうような、しゃくって負荷が来るのはストッパーだろ?フケた糸回収してるだけでギアに負担が来るかよ、なアホとは違うということである。

 ローター周りは、大森沼住民にはお馴染みの方式、というか後述するラインローラー関係以外はC1と共通だろという感じ。ローターナットは大森は逆ネジなのに注意して外すと、ローターナットが乗る部分は四角い金属ワッシャー?が樹脂製ローターにハマってて、間に樹脂製ワッシャーが入ってる。ローター外すとベアリングの蓋と銅製の”簡易ローターブレーキ”が入っていて蹴飛ばしになっているのもいつもどおり。内蹴り方式もいつものグルグル眼鏡型ネジとL字の金具を使ったもの。いつも”簡易ローターブレーキ”と書いてる部品は”トリセツ(学生時代買ったときのが残ってた)”の「部品見・部品表」で確認すると「ベール返しブレーキ」となっていて、「(2)オートベールシステム」の説明の中で「さらに投餌の際,回転してベールが返らないようブレーキ装置が内蔵されています。」となっていて、実際効果あるのか、ワシあんまり遠投しようと竿ぶん回したりしないからもあるかもだけど、大森スピニング使用時は意図しないベール返りは少ないように思う。ローターブレーキの付いてないPENNの4400ssとかだとたまにベール返りあったので適切に機能してる気がする。キャリアーの場合は樹脂製ローターの”蹴飛ばし”の保護にもなっている。

 樹脂ローターの”樹脂で直受け”については”蹴飛ばし”以外にも、ベールアームとベールワイヤーの支持部を直受けにしてタップネジで留めているリールについて大森「ダイヤモンド2001SS」とかPENN「パワーグラフ2000」とかで「大丈夫か?」と疑問を呈したところだけど、キャリアーはその点ローター部分は上位機種のマイクロセブンCシリーズの流用ぽいので、樹脂で受けてなくて、ネジの腹の部分で受けている。写真上の段がベールアーム、下の段が反対側のベールワイヤー受け、そしてそのネジ自体もタップネジじゃなくて雌ネジも金属製のを使ってしっかりしたものになっている。写真じゃちょっと分かりにくいかも。本体蓋は3箇所長いタップネジで間に合うだろうけど、起こして返してを繰り返す場所であり負荷のかかるベール周りはタップネジじゃダメというのがこの時代の大森製作所の整理なんだろうと思う。あと、ついでに写真右上でベールアーム取っ払った後に見えてるアルミの棒はなんだろ?と思うかもだけど、大森の場合ベール反転機構はベールアームと逆側に入れているのでこの時点ではなにコレ?だけど、蓋を外すとベールをたたむスライドスイッチにつながってて、普段はこの位置にあってベールアームを止めてるんだけど、スイッチで棒を左に倒すとベールアームの凸部が右側を通れるようになってベールアームがたためるという、電車利用やリュックに詰めて自転車乗ってっていう釣り人には収納性良くベールワイヤーが曲がったりするのも防止できてありがたい機構。マイコンシリーズからこの方式で、それ以前のタックルオートとかはバネ入りのボタンがポチッとローターの”腕”から飛び出ててベールアームを止めていた。そっちの方が単純な仕組みで組むときも簡単だったけど、新方式のメカメカしい感じも悪くはない。

 ここまで見てきたように、キャリアーはローターより上はマイクロセブンCシリーズの流用、本体はタックルオートの雰囲気とギア関係を残しつつ樹脂化して簡素に仕上げてるって感じなので、ラインローラーの素材がマイクロセブンCシリーズはルーロン樹脂スリーブ入りのクロムメッキ真鍮製だったのを、キャリアーでは当時流行だったセラミック製(おそらく酸化アルミ系)のモノをスリーブ無しで入れている。でもラインローラーが刺さる棒の径は同じだろうから、ラインローラーは樹脂スリーブごと交換したら互換性あるだろうと思ったけど、意外なことにセラミック製の方が若干長さが長く、径も微妙に違ってて互換性無かった。セラミック製ローラーが他社用とかの半既製品があってそれに合わせたとかだろうか?変える必要性が良く分からんけどとにかく互換性はなし。セラミックラインローラー直受けについては、キャリアーでもダイワ「カーボスピンGS700ーRD」でも削れてきた経験がないので、滑りが良いので金属で受けてる面を削らず問題無いのかも?ついでに互換性の確認でキャリアー関係ないけどマイクロセブンC1出したので、C1とマイコン301TBのハンドル軸のギアは互換性あるだろうと思ってたので、301TBボロ個体(2000円落札+送料780円)がちょうど整備待ちだったので整備しつつ確認してみたけど、写真下のようにクランクとギアのサイズ自体はあってて入るんだけど、軸の長さかなにかが違うのか、填めて蓋締めてハンドル回そうとすると回らない。調整可能かもしれないけど今回そこまで詰め切れなかった。

 って感じでキャリアー分解は余計な部品がない単純設計なのでサクサク終わって整備性はとても良い。

 スプール座面の赤い繊維性ワッシャーだけテフロンワッシャーに変えて、ドラグにPENN純正グリス、その他は今回樹脂製なので本体とかには盛らなかったけど、ギアとか金属はすべからくマキシマ青グリスでグッチャリ、あとは適宜ダイワリールオイルⅡで仕上げておいた。

 キャリアーNo.1には想い出も、思い入れもいっぱいあるけど、それを差し引いても、軽快で、単純明快で面倒臭いところがなく、樹脂製で錆に強く、整備性も良く、ドラグも良い、使ってて不具合を感じることなく使える非凡なリールだと思っている。ベールスプリングが折れるのはこの時代のトーション式スプリングでは仕方ないとして、他に不具合が生じた経験がない。でも、とりたてて特殊な機能や機構が付いてるかといえば、そういうものはない。カタログスペック的に誇れるのはこのサイズで220gという軽さぐらいだろうか?ゴッチャゴッチャ新機能を付加していってカタログスペックで釣り人を釣るようなリールの真逆で、自社のマイクロセブンCシリーズから引き算できるところは引いて、無駄をそぎ落としたようなリールだと言えるかもしれない。削りすぎて”ハンドル軸を樹脂製本体直受けで大丈夫か?”とか危うそうな部分もあるけど、樹脂素材の選定が丈夫なモノを選んであるので何とかなってるように見える。とか、これ以上削ったら破綻する際まで攻めているんじゃないだろうか。その結果、SSサイズだと200gを軽く切って170gという今時の小型軽量機と勝負になるレベルの軽さを得て、えらい中古市場で人気が出たんだろう。

 ただ、中古市場で値段がつこうとつくまいと、不人気実力派といつも書くマイクロセブンCシリーズも、最後の金属本体大森スピニングかもしれないマイコンTBシリーズも、使えば分かる良さがある。コレクターズアイテムとして値段がついたり逆に値が下げたりとかはあるんだろうけど、それとリールの使いやすさや”良さ”とはあんまり関係がない気がする。今時のスピニングに慣れていて瞬間的逆転防止機構がなければ手に馴染まないとか、釣具屋に洗脳されてラインローラーにもドラグにもボールベアリングが入ってないと不安になる、っていうかわいそうな人とかでなければ、大森スピニングは高かろうが安かろうが買って不満の出るようなリールじゃないと、自称大森アナリストとして断言してお薦めしておこう。

2019年7月6日土曜日

大森がいっぱい

 走りだしたら止まらない。ブレーキの壊れたバカがスピニング熱を発症するとどうなるか、克明に記録しておきたい。
 猛毒のヘビに噛まれて死ぬまでの様子を自ら克明に記録したカール・P・シュミット博士の前例に倣って、この病気の治療法の確立のための献体となる所存である。このような治療不能な理不尽な病で苦しむのは私を最後にして欲しいと切に願うナマジであった。

 一旦小康状態となり寛解するかに見えたスピニング熱が、大森製作所「ポスカ1」216円(税込み)をきっかけにまた急性大森症という形で再発してしまい、慢性的PENN症候群も悪化したことは既に皆様にご報告したとおりである。
 ここまで再発から「ポスカ1」「マイクロセブンC1」、シェイクスピア「アルファ2260-030」、PENN「720」を購入したことを報告しているところだが、その後報告中にも症状は悪化するばかりで現在までにシェイクスピア「シグマプレジデント2440-040」、大森製作所(以下同)「マイクロセブンNo.1」「タックルオートSS」「マイコンSS」「プロフィットSS」と5台も買ってしまっている。
 賢明な読者諸氏におかれては既におわかりだと思うが、シグマプレジデントも大森製であり、これは急性大森症が劇症化しているとみて良いだろう。
 苦しい、辛い、病気が憎い!なんでアタイがこんな苦しい目にあわなきゃならないの?

<症例1>シェイクスピア「シグマプレジデント2440-040」

 「ポスカ1」を買ったら、その前身である「マイクロセブンC1」が欲しくなり買ってしまったことは既にご報告のとおりだけど、「マイクロセブンC1」が大森ダイヤモンドの一つの到達点と思えるぐらいに良くできた設計で実際に使いたくなった。けど、大森の「No.1」の大きさは普段使ってる7フィートの竿にはやや小さい気がする。No.2サイズの出物があれば安けりゃ買うのにな。と思ってた矢先に検索条件保存で見張ってた「シェイクスピア」に「シグマプレジデント2440-040」がポンッと出品された。
 どう見ても「マイクロセブンC2」の輸出仕様である。開始価格も2800円と安い。
 実は大森製作所のNo.2の大きさって人気がない。SSサイズが人気で、何にでも使えるNo.1サイズぐらいまでは弾数多くて、逆にNo.4以上になるとぶっ込み系の釣りにはリアドラグのマイコンとか需要があるのかまた弾数増える。っていうか、古いスピニングに共通だけどマス釣りに使うような小型機種は人気で値段も付くのでネットオークションにかかることも多く弾数多く、金さえ出せば手に入ることが多いけど、2号200m巻くぐらいのシーバスとかに使う大きさは値段付かないので出品多くなく出たら買いで損はない。


 今回も開始価格のまま入札ワシだけで無事確保。届いたら大森製じゃなかったという過ちはさすがに2度も繰り返すことなく、間違いなく大森製作所謹製なのは、交互に左右のネジ山を切ったねじ込み式ハンドルと、ラインローラーの樹脂製スリーブだけで充分証明できるだろう。面白いのはハンドルノブで国内版が木製のT字型なのに対してシグマプレジデントは大森小型機種ではお馴染みの3角形のパドル型になっている。米国ブランドのスピニングでもPENNとか握り込みやすさ重視なのかT字型(トーピード型含む)が多いけどシェイクスピア社としては、樹脂製ならともかく重い木製は邪魔でしかないと判断して軽さを重視したということか。
 ダイワの超長寿スピニング米国ダイワ版「トーナメントSS」も兄弟機の「ウィスカーSSトーナメント」が木製ハンドルノブなのに対して単純な樹脂製I字型だった。彼の国の釣り人の好みと我が国の釣り人の好みの違いの差でもあるんだろう。
 ワシャ違いがわからン男なので、性能的にはどっちでもかまわんけど米国仕様の方が余計な贅沢さが省かれてる気がして好みかな。シーバス釣るぐらいの大きさのリールだとあんまりハンドルノブ握り込まないしな。つまんどきゃ充分。
 というわけで、いっちょ使ってみるかと思うんだけど、使うならワシ替えスプールが欲しい。でも大森ダイヤモンドのNo.2サイズはさっき書いたとおり弾数少なく、とくにスプールが共用できる樹脂製でワンタッチスプールじゃないのとなると、国内名でいうところのマイクロセブンC2とキャリアーNo.2(キャリアーⅡもひょっとしていけるか?)しかなく、おいそれとは手に入らない。
 でもワシ解決方法知ってるもんね。金属製の例えばタックルオートのスプールを樹脂製のキャリアーに填めると高さが低くてドラグ締めてもスカスカになる、っていうことはスプールの乗っかってる座面にワッシャーでも噛まして高さを加えてやれば使えるんである。多分。
 しかもなぜか大森No.2の大きさの金属製のとスプールの互換性があるフルーガー「メダリスト1626Z」が我が家の蔵には部品破損やら抱えて使えない状態で転がっている。これのスプールを有効活用する方向でいってみよう。
 ついでにいい加減な処理で済ませていた穴が浅くて3階建てにならないドラグを、CDのポリカーボネイト樹脂板で、1枚軸に固定して回らないワッシャーを作ったうえで、ドラグパッドを1枚は純正のもののまま、他をテフロン仕上げガラス繊維製の薄いシートで作成1枚は純正のと交替、一枚追加で3階建てに仕立てあげて無事浅い穴に収納。ドラグの効きも問題なさそう。

 座面に金属とテフロンのワッシャーで2ミリ弱ほど嵩上げしたところちょうど良い具合になってドラグも問題なく作動している。スプール裏の音出しが座面のギザギザから遠ざかってしまったのでドラグ作動中のクリック音が出なくなってるけど、これはまた暇ができたらCDのポリカーボネイト樹脂板を加工して作ることにしよう。
 よっしゃできた。とラインを巻き始めて問題が発覚。メダリストのスプールのスカート部分が短くてスプールが一番上に来たときにロータとの隙間が空いてしまうというミニスカパンチラ状態。”スピーチとスカートは短い方が良い”って今のご時世”社会正義の戦士”様にセクハラだの女性蔑視だの怒られそうなことが昔はよく言われてたものだけど、女性のスカートが短い方が良いということについては言論の自由を尊重する立場からあえてここに賛同の意を表しておきたい。が、スピニングリールのスカートが短いのは砂浜遠投用のリールじゃ珍しくないっちゃそのとおりなんだけど、投げる回数多いルアー用のスピニングだとライン巻き込みそうだし水とか砂とか入ってきそうであんまり塩梅良くない。
 ではとタックル5No.2のスプールを見てみるとスカートわりと長めの真面目な女学生という感じなのでこれで試してみると、こっちはドラグノブがキッチリ填まらずスプール上面を押さえてしまいドラグが効き始めるとドラグがどんどん締まっていく。ドラグノブごと交換すると上手くいくが正直イマイチ。メダリストのスプールはどうせ余ってるからワッシャーとかスプールに接着していちいちスプール交換時に現場でチマチマ填めなくて良くしようと思ってたけど、タックル5はまだ直す気があるので、接着しちゃうのはどうもな、となるとドラグノブとワッシャー類持ち歩かなければならず面倒くせぇということで、まあ予備のスプールがなければ釣りにならんわけじゃなし、しばらくは予備スプールなしで妙案が浮かぶかマイクロセブンC2かキャリアーNo.2の出物があるかを気長に待つとしよう。なに、急ぐ旅じゃないサ。
 こういうときに中古リールを蒐集目的じゃなくて実釣機として購入するなら、やっぱりPENNのような今でもスペアスプール含め部品が売ってる機種か、弾数多くて中古で予備が手に入りやすい人気機種を選ぶべきで”隠れた名品”は実用的じゃないなと思わされるところである。マイクロセブンCシリーズは人気はそんなにないけど実力は間違いないと思う、思うんだけど実釣で使うとなると、弾数比較的多い一番小さいCSを狙うのがまだ実用的なのかなと思ったところである。

 なんでマス釣りでは古いリールはそれなりに人気あるのに、シーバス釣りでは古リール愛用者は少ないのか?遠投とか巻き感度とかまったく重視してない人間からすれば不思議な気がする。マス釣るンでもシーバス釣るんでも魚釣りなんて基本一緒で最新鋭の道具の利点もあれば古い道具の勝る点もあって、好みとかも言い始めたらどっちゃ使おうがお好きなようにっていう世界のハズである。
 今時の釣り人からすれば、私のような型遅れの道具を愛用している人間は「最新式の道具を使えばもっと釣れるのに」と思われているのかも知れない。でも賭けても良いけど、明確な意図があってなら別だろうけど”新製品が出たから”程度の理由で道具変えたぐらいでは釣果は伸びない。使っていれば慣れて使いこなせるようになるとしても短期的には道具を替えると感覚が違ってしまうので釣果はむしろ落ちる。嘘だと思ったら私の釣行の過去記録を見て欲しい。近所のシーバス釣りで6.5フィートのフェンウィック社ランカーギアXからもうチョイ長め7フィートで無茶がきくアグリースティックライトに竿を換えたときも、長さでためる分魚に突っ込まれて根に持ってかれて何匹かリーダー切られている。そういう竿だと慣れて対処できるようになるのにしばらくかかった。
 40年前の道具からたいして進化していない程度の”最新”の道具に換えるぐらいなら、今の道具のままで良い。釣り場にゃ一番手に馴染んだものを持ってきたいんでね。
 って思いながらも最近はいろんなリール試してたりして、そういう道具を楽しむ喜びが最新の機種を使いこなす行為にも当然あるんだろうなとは理解できるけど”シーバス釣りでは最新鋭の道具を使いこなすモノ”っていう釣具屋サイドが仕掛けてくる洗脳的宣伝にあんまり簡単に騙されてんなよ、と思うので天邪鬼の務めとして、そうじゃなくても好きにやって良いんだよということをしつこく書くのである。 

<症例2>大森製作所ダイヤモンド「マイクロセブンNo.1」

 劇症型の大森症を発症すると禁断症状が激しく出る。既に手元に売るほどの大森スピニングがあったとしても「もっと、もっと~大森なら何だっていいからもっと欲しい~!」と全く止められなくなる。痛ましいかぎりである。
 さらに症状が進むと「コメットとかキャリアーSSとか大森の人気機種が欲しぃ~、最低でもインスプールのプロラインかマイクロセブンの程度の良いのが欲しい~」などとうなされるようになり高額な治療費が必要になるのだが、私の場合まだそこまで病状が進行しているわけではないので対処療法的に安ダイヤでも動作不良のジャンク機でもかまわないのでとにかく買うことを治療方針とした。
 おあつらえむきにネットオークションに即決3台3千円のジャンク大森が出ていたのでためらわず流れる水のごとく即決。その3台が「マイクロセブンNo.1」「タックルオートSS」「マイコンSS」の3台で、いずれもジャンクというに相応しい未整備の状態だったけど、まずはその中では一番マシな「マイクロセブンNo.1」から分解清掃、整備に取りかかった。リールの分解清掃、整備は大森症に限らずスピニングリール熱には実釣に次いで効果的な治療法である。
 マイクロセブンと名の付くリールは大森製作所からいくつも出ているけど、コイツはアウトスプールで金属製の初期の頃のモノ。
 ワシがアウトスプールのリールに慣れていて手でベールを起こす釣り人に超お薦めする「タックル5」はコイツの普及版という位置づけなんだと思う。
 とはいえマイクロセブン(金属アウトスプール版)が豪奢なリールかというと、そんなことはなくてあくまでも大森のリールは実用機である。タックル5との違いといえばワンタッチスプールの採用と、ハンドル軸にも1個ボールベアリング追加で2ボールベアリング。ハンドルの後ろにハンドルノブの重みと釣り合いを取る錘としても機能してそうなハンドルネジ収納部ぐらいで、他はタックル5と部品共有できるはずってぐらいでたぶん一緒。

 このハンドルネジ収納部はまだ大森製作所方式の同じ軸上に左右にネジ山を交互に切った左右両用ハンドル開発以前のもので、左右用が別々のハンドルネジを、使ってない余っている方をなくさず収納できるようになっているんだけど、底にはちゃんと劣化しにくい素材のスポンジが敷いてあって中で遊んでしまいラトルのように音がしないようになっている。神は細部に宿るそうだけどこういう細かい気遣いが実に大森らしい丁寧な仕事っぷりである。
 分解清掃自体は、今回もCRC666ぶっかけ浸透一晩の後に始めたけど、ベールアーム基部の固着、ハンドル軸のギアに填まったボールベアリングの軸への固着が外せなかった。けど注油グリスアップには問題ないところまでバラせたので固着部分は放置のままガッチリオイルシーリングと、適宜注油で回転が悪かったベアリングも問題なく復活したので、次の10年はやや錆がキツかったベールスプリングが折れたら須山スプリングさんに作ってもらって交換するってだけで分解清掃はせずにとも済むはず。固着は無理に外そうとしない。これ大事な学び。

 スプールの裏のドラグの音だしのバネは欠損していたので、タチウオ用に使ってた単線ワイヤーの細めのでバネ作って再建しておいた。良い音でちゃんと鳴ってる。力のかかるベールスプリングとかじゃなくて単に爪を押さえておけば良い程度のバネならステンレスワイヤーで自作できるというのもこれまでの経験から学んだところ。
 もちろん、ラインローラーの水平出しとスプールの高さの調整でラインは緩めの逆テーパーに巻き上がるように仕上げて、実釣に耐えうる状態に復活させた自信がある。
 使える個体をぶっ壊した時の嫌な気分と真逆の”ジャンク”を上手く復活させられたときのえもいわれぬ満足感よ!

 てな感じで、ジャンク3台のうち最初の一台は軽い挨拶、準備運動ていどのジャンク具合だった。次の2台がちょっと手間掛かりそうなボロさで本格的な困難を伴う荒治療に突入していくのである。
 ということで、続きはまたのお楽しみ、って感じに今しばらく”症例報告”を続けさせていただくことになる。
 劇症型大森症の恐ろしさと、その治療の現実について次回も克明に報告していきたい。
 症状が軽いからと適切な処置を怠っていると、思わぬ症状の悪化に見舞われることもあり、こんな感染源にもなり得るブログを読んでいるあなたにとっても決して他人事じゃありませんよ。ご自愛くださいね。

2020年5月23日土曜日

大森熱もたまに再発する


 小人閑居して不善をなす、っていうらしいけど、おうちで暇してると悪い病気が出たりするのよねこれがまた。
 だいたい、魚が釣れていないと道具をイジリ始めるってのはお約束で、今回もしばらくの療養期間中に、買って放置していた1台と、勢いがついて思わずポチッと落札してしまったのの2台を暇に飽かせて分解清掃してしまった。
 どちらも見た目はボロい個体なんだけど、いつも書いているように大森のリールが内部まで逝ってることはほとんどなくて、固着している箇所でもなければせいぜいベアリングを交換する程度で何の問題なく復活する。今回も2台ともサクッと復活。

 左の青いのは「タックル5No.2」なんだけど、以前書いたように同型機のベールアームのナット固着を上手く外せず、無理矢理捻ってネジを折ってしまっているので、ベール周りの部品が取れればいいやとジャンク扱いのを安く入手したんだけど、分解清掃したら普通に復活してしまった。折れている方の個体は折れた部分にドリルで穴を掘ってネジ穴に加工できないか、自動車整備関係の仕事している友人にチョット見てもらっているところ。あかんかったらベールワイヤーレス機に改造予定。
 タックル5はNo.1の大きさを小遠征の根魚釣りに使ってるけど、外蹴りで単純な構造で壊れるような要素も少なく、左手でベールを返す釣り人ならベールの返しが重いとかも関係ないし今のところ快調に使えている。ドラグはこの時代から既にフェルトのドラグパッド3階建て方式だし、ねじ込みハンドル、鋼製の芯を鋳込んだハンドル軸のギア、樹脂製スリーブの入ったラインローラー、折りたたみ可能なベールとまさしく大森仕様という感じで全然人気がないのが可哀想になってくる。兄弟機の「タックル」や「マイクロセブン(アウトスプール版)」も含め凄く良いのにみんな見る目がない。

 もいっちょ、右の黒い小さめのリールは「マイクロセブンCS」でこれまたボロ個体を、どうせ分解清掃したら復活するから、と落札して予想通りあっさり復活。コイツを入手したのは我が家にある「タックルオートSS」には何故かマイクロセブンCSのスプールが付いていて、スペアスプール有りの体制がすぐに組めるからというだけの理由で、特に使うアテがあるわけでもないのに思わず反射的に入札してしまった。「大森熱」という悪い病気は、なおったと思っても魚釣りに行けずに心が弱っていたりすると再発するのです。
 またこれが「マイクロセブンC」シリーズも不当に人気がなくて、同じ樹脂製のキャリアーが小さいSSの大きさだと一時期ほど高騰してはいないにしても万札ぐらいは飛んでいくのに、若干重くなるとはいえ、ラインローラーに樹脂製スリーブ入りでネジがタップネジじゃなくて金属の雌ネジとか、重い分はしっかり作られていて耐久性はあるハズでどちらかが優れてるってよりは性格の違うそれぞれ魅力的なリールのハズなのに、購入見送ったけど箱入りのC1が2千円とかにしかなってないのを見て「なんでやねん?」と突っ込まざるを得なかった。
 以前スピンフィッシャーの「4200SS」について、PENNが作ったダイヤモンドリールみたいな単純軽量なスピニングと書いたけど、逆にマイクロセブンCシリーズは大森製作所が作った樹脂製4桁スピンフィッシャーみたいな、樹脂製だけど必要なところに金属で補強入れて丈夫に耐久性も持たせたスピニングなんじゃないだろうかと感じている。
 
 いずれにせよ、今回の2台は送料は別途掛かるけど落札金額自体は500円と1100円と格安だったのである。キャリアーSSが1万円は越えてくるのに、同じ大きさのマイクロセブンCSはなんぼボロいと言っても10分の1の価値しかないとか思えないんだけど、みんなちゃんと見てる?って不思議に思う。
 大森人気も一時の加熱状態は過ぎて落ち着いてきたようで、ハッキリ言ってダイヤモンドリールが安い。今でもキャリアーSSとコメットとかの小型インスプールぐらいは値段付くけど、他はそんなに値段付いてなくて、インスプールでも「マイクロ2世301」が開始価格4000円で1週目買い手が付いてなかったってぐらいで全体的に安くなってる。
 ダイヤモンドリールのデキの良さとか全く変わってないはずだけど、単なる流行廃りの関係でみんな飽きたか、良さが理解できるほどスピニングリールを「分かってない」かだと思う。バカくせぇことである。

 ただ、あんまり値段が安いとネットオークションに出されもせずにゴミの日に出されてしまいかねず、ダイヤモンドリールなんてベールスプリングとベアリング交換してやれば100年快適に使えるはずでありゴミにするには惜しすぎるので、そろそろ初心者マークが取れそうな「大森アナリスト」として、人気それ程なくて安いけど使えるお薦めのダイヤモンドリールを推しまくってチョットでも相応しい人の手元に相応の値段で届くように応援していきたい。
 まずは、普通に使えるスピニングが欲しいという向きには「タックルオート」をお薦めする。上でも書いたけどフェルトのドラグパッド3階建て方式、ねじ込みハンドル、鋼製の芯を鋳込んだハンドル軸のギア、樹脂製スリーブの入ったラインローラー、折りたたみ可能なベールと、ザ大森方式というスピニングで、大森ご自慢のベールの返りが軽い内蹴り式なのでハンドル回してベールを返す釣り人にも快適に使える。ボールベアリングが2個に増えてワンタッチスプールになる高級版の「オートベール」も、さっき書いた外蹴り版「タックル5」他でももちろんそれぞれの使い方を考えて選べばまずこの辺は間違いないし、値段も汎用性の高いNo.1サイズなら弾数も多くて安いはず。
 それから、せっかくダイヤモンドリール買うならリアドラグのマイコン系が使ってみたいという釣り人には「TB」シリーズをお薦めする。なぜなら、マイコンシリーズの終わりの方にでてきたせいもあって、スプールエッジの形状が大森独特の”なで肩”じゃなくて真っ直ぐ系に修正されていたりして、使ってて全く不満を感じなかったので自信を持ってお薦めしたい。マイコンシリーズで値段が多少付くのはオリジナルのSSかNo.1ぐらいで、その他のマイコン系は3千円も出せば買えることが多い。鱒用に人気のSSサイズのマイコン30STBでもそのぐらいで買えると思う。
 そして、不当なぐらいに評価が低いマイクロセブンCシリーズだけど、これこそ買いだと思う。これまで気付けば4台も買ってしまっているけど、箱入りのC1の3900円、シェイクスピア版の「シグマプレジデント2440-040」2800円でもデキの良さ大森製作所の気合いのは入りようを考えると安いぐらいだと思うけど、C2の980円とCSの1100円とか、もうゴミスピ価格である。


 キャリアーのほうが軽いっていっても、マイクロセブンCシリーズだって樹脂製で軽いはずでどれぐらい違うのか、実際測ってみた。
 結果は、
①NO.1の大きさ
 キャリアーNo.1:220g、マイクロ7C1:236g、タックル5No.1:250g、タックルオートNo.1:252g、マイコン301TB:274g
②SSの大きさ
 タックルオートSS(スプールはマイクロセブンCSの樹脂製):187g、マイクロセブンCS:195g、タックルASS:204g
 ちなみにラインも巻いたうえでの湿重量。
 という感じで、確かにキャリアーの方が軽い、でも言うほど違うか?って正直思う。マイクロセブンCSの195gとか明らかに軽いリールの範疇だと思うがどうなのよ。
 っていうか、大森のNo.1と同じぐらいの大きさのスピンフィッシャー430ssgとかライン巻いたら291gもあって300g級の重さだけど、竿とのバランスもあるんだろうけど特に重いと感じたことはないんだよね、ってぐらいで220gと236gの差が我慢できんほどなのかね?ってPENN使いからしたら思ってしまう。その分丈夫に作ってあるって考えたらまったく問題ない”重さ”だと思うけどナ。タックルオート自体単純でよけいな機構も付いてないんでずいぶん軽快なスピニングだと思うけど、ソレより樹脂製のCシリーズは軽いんでっセ。カリカリ音しないようにする消音化の部品も組み込んであるし、お買い得だと思うンだけどどうでっしゃろ。

 って、部屋でクリクリリール回して書いてるだけでは説得力がないので、ちょっとこの夏はダイヤモンドに浮気してマイクロセブンCシリーズの実力を推し量ってみようかなとおもっちょりマス。

2022年5月14日土曜日

やっぱりワシは、このあたりが好きっ!

  マイクロセブンCSはこれで4台目である。マイクロセブンCシリーズ全体ではシェイクスピア版も含めてわが家にゃ都合”11台いる!”。最近写真中央のC1のボロ個体が活躍してくれているけど、ハッキリ言ってデキが良い!なんだかんだいっても釣り具は釣果でその良さが証明されるはず。若いときに使ってたキャリアーも先週書いたように大好きだけど、好みで言えば正直マイクロセブンCが自分好みだと思う。ちょいとだけ目方的に重くなるけど、その分補強入れたりネジが樹脂本体に直接タップネジじゃなくて金属の雌ネジ填め込んであったりで作りが丁寧で丈夫。銘板剥がれて、ベールワイヤーのベールアームと反対側の支持部が錆び付いて、ベアリングもシャーシャー鳴ってたようなボロボロ固体でも、ギアがおかしな事になってるような固体にはお目にかかったことがなく整備してやれば快調に復活する。ハンドルのウッドノブは多少重量増につながってるかもだけど、軸が細いのは指の腹が痛くならなくてワシ的には握りやすい形状でわりと好き。簡易ローターブレーキのおかげもあってか投げるときハンドル回ってベールが返ってしまうとかの問題もなく、使ってて全体通しての不具合としては”フカセ”でユルいラインを巻き取るときにドラグノブのツマミの段差に巻いてしまったぐらいで、それもエポキシ盛って対応済みで、ドラグはテフロンパッド3階建ての優秀なのが付いててCSでラインがチリチリになるまで走るボラで試験したけど、全く問題ない優秀さで(ちなみにスプールはキャリアーと共通規格でドラグも同じ)、巻き心地も大森ハイポイドフェースギア機らしい素直な滑らかさで、とにかく使ってて快適で気持ちいい。

 「大森製作所は大衆に迎合した大手みたいなリールを作るようになって潰れた」という論調は多く目にするけど、ワシそれにはいつも疑義を呈してきた。その証拠としてマイクロセブンCシリーズを出したのにたいして売れなかったし、今でも中古市場では多少ボロいとはいえ値段がつくはずの小型のCSが落札価格千円台と”不人気実力派”に甘んじている。っていうのがあげられると思う。ワシ、このマイクロセブンCシリーズはほぼアウトスプールスピニングの完成形で、良いもの作ってれば売れるのなら、大森製作所は今でもこのシリーズをマイナーチェンジ加え続けながら売っていて然るべきだと思うぐらいで、具体的に今時版に改良するなら、スプールエッジの形状を真っ直ぐにしてスプール上下幅キッチリに糸巻きの幅を合わせる。ベール支持部の耐腐食性を上げる。ベールスプリングの耐久性をコイルスプリング方式にするなどして上げる、ラインローラーを大きさ重さは同程度のまま素材を硬質なものに変更(そのままでも良いかも)し形状をラインが転がりにくい形状に調整。ドラグノブにライン巻かないように段差無くす。ハンドルノブを今時の軽くて摘まみやすいのも選べるようにする。銘板剥がれないように良い接着剤使う。ぐらいで丈夫でそこそこ軽くて巻きが滑らかドラグ優秀整備性良好価格適正の”究極の1台”になってておかしくないはずである。でも、現実には大森製作所はとっくの昔になくなったメーカーだし、市場にはアホみたいな瞬間的逆転防止機構が搭載されてバカみたいな高額な値札が貼られた高級リール様が幅をきかせている。大森製作所の末期の様を嘆くときに鋭い論者だと「何やっても潰れたかもだけど、どうせ潰れるなら最後まで大森らしさを貫き通して欲しかった」という論調になってて、そこはある程度同意できるけど、無邪気に”良いものを作ってれば潰れなかった”とか書かれてしまうと、そうじゃねぇだろ?って、現実も全体像も見えてないお気楽な論者だなって、正直思ってしまう。ゴメンナサイ。

 ワシがしつこくしつこくマイクロセブンCシリーズ(とかPENNスピンフィッシャーやら)をネタに褒めちぎるのは、こういう単純明快なリールが多くの普通の釣り人にとっては良いリールなんですっていうのを世に知らしめて啓蒙し、いつの日か愚にもつかない瞬間逆転防止機構なんていう害悪が載っかってない、適正価格で新品手に入れることができ自分で手入れして長く使える素晴らしいリールが新たに作られる日が来て欲しいからである。何をエラそうにと自分でも思うけど、エラそうに書かないと自分で物事判断できない人種は影響されてくれないようなので、なんかさも権威ある人間の意見であるかのごとくエラそうに書きます。そして、数値化した指標はアホでも理解しやすいので、アホのように数を買っているのである(嘘です後付けの屁理屈です)。

 とはいえ、さすがにマイクロセブンCネタも新たに書くようなことは少なくて、今回新たにベールスプリング自作という”名工への道”的な試みについてと、意外なところで関連が出てきたかもなマイコン301TBネタ、ついでにこの春に買った大森5台の最後の1台余らせても仕方ないのでマイクロセブンNo.2ネタもチョイと突っ込んでおこうと思いますので、お暇なかたはどうぞお楽しみください。

 今回入手した、マイクロセブンCSはボロかった。ベールスプリングは折れていて、須山スプリングさんで作ってもらおうかと思ったけど、これまでベールスプリングとかの力の掛かるところ以外のバネは自作可能とステンレスワイヤーとかで自作してたんだけど、今回そのベールスプリングも作ってみようと思い立った。きっかけは、PENNのパーツ屋さんである「「MYSTIC REEL PARTS」」さんが海外発送やめてしまったちょっと後ぐらいに、ヤフ○クにPENNのベールスプリングを手曲げで自作して出品している人が現れて、隙間見付けて上手に小遣い稼ぎしてるなと感心しつつ、バネ屋さんに発注するより安めの絶妙な値段設定もあって、これで確保できるなら便利なので1票入れる意味で買ってみた。耐久性とかは使わないと分からないけど、填めてベールの返りとか試した段階の感触では、わりと大丈夫そう。そうなると、材料さえ手に入れば手で曲げて作っても少なくとも当座をしのげるような代物は素人でも作れるのでは?ということを考えてしまい試してみることとした。

 ステンレスの硬線があると錆にも強くて良いのかもだけど、太さ見ながら買いたかったので近所のホームセンターで探したら硬鋼線(ピアノ線)しかなかったので、とりあえずコレで行くことにした。太さは0.55ミリのと0.7ミリのを買って、とりあえず細い方が加工しやすいだろうということで、まずは0.55ミリの方で作ってみた。

 道具は、ルア-自作とかフックハンガー作成とかの際のワイヤー加工のために買った針金加工用のペンチがあるので、それと普通のペンチでグリグリと加工する。針金加工用のペンチは片方が円錐形になってるので、そこにピアノ線を巻き付けるようにしながら適宜挟んで型をつけて、欲しい3回巻きのバネを作成。あとは元のバネの長さに合わせて先を曲げて切ってハイ完成、って感じでこの太さのピアノ線なら特に難しくない。細いのでややベールの返りがおとなしい感じになるけど、ちゃんと閉じるのでとりあえずは使えるようだ。そのうちよく使うであろうC1用にも作成して0.7ミリと0.55ミリで比較して耐久性とか見てみたいところ。綱線なので錆には弱いかもだけど強度的にはそれなりにありそうに思う。多少錆びたり耐久性に乏しかったりしても、自分で作れるのならどのぐらいでダメになるか把握して、定期的に交換してしまうという手も使える。錆が問題になるようなら太さの感じも掴めたしステンレス硬線買い直しても数百円である。強度的には意外と何とかなりそうな気配で、自作で良いなら金もそんなにかからんし、いいかもしれん。とりあえず今回のCS、ベアリングがシャーシャー言ってるのは回していると錆が削れてベアリング復活するという話を読んで(ぬこさんマジっすか?)今度試してみようと放置してあるけど、他はグリス大盛りで整備して快調、いつでも出撃できるよう準備万端にしておいた。

 お次は「マイコン301TB」なんだけど、TBシリーズはマイコンシリーズで屈指の完成度だと思うんだけど、全く人気はなく、もう一回書くけど落札価格1000円のゴミスピ価格はどうなのよ?って思う。みんな見る目がなさ過ぎる。何が良いって大森後期の作でスプールエッジが比較的真っ直ぐで、かつ丈夫な金属製、そして今回全バラフルメンテしてて気がついたんだけど、初代マイコンがスプール上下はギアを介して減速なりしているのに対してTBシリーズ単純なハンドル1回転一往復のクランク方式になってて、それゆえ綾巻き系でかつスプール幅狭めの直径大きめでライントラブルが少ない。ラインのヨレをライン出し入れ無しでハンドル逆回転させてとる、という”TB”の名前のもとになってる”ツイストバックシステム”のワケのわからなさが目立つかもしれないけれど、ツイストバックシステムたいした機構ではなくてジャマにはならずで、使ってみるとトラブル少なく投げて巻いての基本性能がしっかりしててなかなかに良くできてるのが分かる。これワシだけの偏見じゃないみたいで大森仲間のSUZUKIさんも1台入手して使ってみて”使えます”と太鼓判押されてたのでやっぱりデキが良いんだと思う。

 今回の個体はわが家に来たときには、まともにハンドル回せないぐらいに重くなってたんだけど、毎度のことながら大森スピニングがギアとか逝ってるわきゃなくて、グリスが固まってるだけだろうってことで、全バラフルメンテグリスシーリングを敢行。案の定、スプール外した時点でローター軸のギアの出口のところに茶色くグリスがこびり付いていて、ギアでグリスが固まってるよりローター軸のギアの中で主軸に古いグリスがこびり付いているのが巻きが重い原因のようだった。ここにはいつもグリスじゃなくてオイルを使ってるぐらいで、軸とギアが筒の中の広い面積で接するので粘性の高いグリスよりオイルが良いと思ってる。

 でもってついでにツイストバックシステムの解説。さっき書いたように機構は単純で、ローターの下部にあるレバーを入れると、ローター上部のスプール内側に突起が飛び出して、ローターの内側壁面にある出っ張りに引っかかるようになる。使い方としてはラインの端をどこかに固定してヨレの入ってる長さの分引っ張り出す。そしてドラグユルユルにして(註:ドラグそのままで良かった)、ツイストバックシステムをONにして、ラインを張りながらハンドルを逆転させると、ローターが逆回転するけどローターとスプールが固定された状態なのでラインは出て行かず、ローターとスプールがその場でグルグル回る。回るっていうことは糸が縒れるハズなんだけど、その方向が通常の糸が縒れる方向であるドラグ出ながらハンドル正回転で回してできる糸縒れと反対に糸が縒れる。なので縒れていた糸が元に戻るぐらいに逆の縒れを加えてやれば”糸縒がとれる”という機構。ただこれどこまでやればちょうど良く糸縒れが取れるのか加減が分からんというのと、TBシリーズ自体は糸縒れあんまりできない良くできたリールなので、最初面白がって何回か使ったけど、結局ラインが縒れ始めたらライン交換って感じになって使わなくなった。糸縒れとるのには単純な金属棒を投げて適度にラインに張りを持たせて巻いてきて縒を取る”縒り取りスティック”とかいう商品の方がよく使った気がする。投げて巻いてではたいして縒れないリールでもドラグ効かせて走らせまくるとラインはチリチリに縒れる。川だとラインになにもつけずにしばらく流してから指で摘まんでしごきながら巻き取ると縒がとれる、ってのもシーバス釣っててコイにラインチリチリにされたりするとやったことあるけど、時合いならさっさとスプール交換した方がイイよねって話。写真でも分かるようにバネが1個にレバーとスプール引っかける突起の部品が1個と実質3個の部品数でたいして重くも複雑にもなってないのでこの機構は無視して、むしろその他の部分が改良されて良くなったマイコンシリーズだと思って使うと良いとおもっちょります。

 分解するときチョイと面倒なので、リアドラグの部分は最初にやっつける。ドラグパッドの枚数について、以前、フロントドラグだと一番底の面はスプール底面かスプールに固定されたワッシャーで始まるので、一番上のドラグパッドを押さえるワッシャーは、軸と同期して回らないものでないと、ドラグノブを回してしまってドラグ値変わってしまいかねないので、必然的に一番下がスプール固定、一番上が軸固定にならなければいけないので、ドラグパッドは1枚、3枚というように奇数になり、逆に軸が回転するリアドラグ方式だと一番上と下のワッシャー等が本体と固定になるので、最低限間に軸と固定のワッシャーが1枚入るドラグパッド2枚等の偶数枚になると書いた。301TBでもまさにそうなっていて、上左から4枚の灰色っぽいのが繊維質の素材にツルツルの樹脂で表面処理したような感じのドラグパッド。一番左のドラグパッドは本体底(=ドラグの天井?)とその下の軸と一緒に回るギザギザ付きの部品に挟まれている。ギザギザは本体内部に隙間を作ってはみ出させてあって、ドラグが効いてるときにこのギザギザで金属部品を弾いてジジジッと鳴る”音だし”になっている。2枚目はその軸と回る音だし部品と本体固定のワッシャーの間、次の3枚目は本体固定と軸固定ワッシャーの間、次の4枚目は軸固定ワッシャーと本体固定ワッシャーの間に挟まれていて、最後のワッシャーはドラグスプリングに適度に押さえつけられているという構成になっている。ドラグパッド4階建てで、実用充分な性能を確保しているけど、ちょっと部品が増えて複雑化しているところは欠点にも数えられるか。

 その他の分解作業では、巻くときカリカリ音がしないようにするサイレントカムの位置と入り方を写真に収めるなどして把握しておくのも地味だけど大事で、忘れてると、これどこに組めば良いんだろ?って悩むハメになりかねない。ストッパーの切り替えスイッチから伸びている軸から張り出している白い部品が、ハンドル軸のギアに填められたサイレントカムの伸びた足の部分を押して反対側でストッパーの金具を押したりするので、填める位置は右のようにハンドル軸ギアの直下、サイレントカムから伸びる足の部分は左写真のようにリアドラグ側の隙間に入れてやる。

 でもって、初代マイコンの全バラでは、リアドラグで軸が回転するということを妨げないために、いろいろとややこしいことになっていて、スプール上下のオシュレーションはギアをハンドル軸のギアに別に設けていて、そのせいで主軸を抜かないとハンドル軸のギアが抜けないんだけど、主軸にオシュレーションカムを止めているCクリップが非常に外しにくく「マイコンSS」を分解したときに二度とごめんこうむると思ったしろものである。

 ただ、立派なことに、TBシリーズでは軸が回るリアドラグではあるけど、初代マイコンのように分解しにくくはなっておらず、多少複雑化してはいるけど、分解するのに根性やら技術やらが必要とされるようなことはない程度に整備性が良くなっている。手順をまもってサクサクと分解していけば問題なくバラせる。

 まずスプール上下のオシュレーションがクランク方式で本体蓋開けたときにギアの上にあるのでスポッと抜けて、ついでにハンドル軸のギアも抜けるのでオシュレーションカムが剥き出しになって作業がし易い、剥き出しになったオシュレーションカムを軸の上でクルッと裏返してやると、左端の方で”コの字”の部品がカムと、カムを軸に削った溝に填めて固定するハンガー的な部品をまとめているのがわかるので、これをズラして外す。外すと真ん中写真の様にハンガー的な部品をオシュレーションカムから外せるので外して、オシュレーションカム自体も軸から抜けるようになって取り外し完了。って感じになる。リアドラグだと、軸が回転するので軸に穴を開けての”単純クランク方式”はできないというのは理解していて、クランク方式にするならオシュレーションカムにクランクを刺すか填めるかだろうなと思ってたけど、まさにそうなっている。っていうのに実は今回初めて気がついたというお粗末。オシュレーションクランク外さなくてもハンドル軸ギアまで外れればグリス追加とかの整備は十分可能なので、これまで使ってきた2台は全バラしはしてこなかった。今回全バラしして色々分かって面白かった。

 気付いたことの一つに、このギアひょっとしてマイクロセブンCシリーズと共通じゃないか?ということがあって、マイクロセブンCシリーズのギアとオシュレーションクランクの形状は他の同時期の機種、キャリアーや初代マイコンとは異なっていて、専用設計の気合いの入ったモノじゃないか?と書いた。初代マイコンより時代的にはマイコンTBシリーズと同じ時期だったっけ?よくわからんけど、初代マイコンはスプール上下は別途歯車設けた方式なのでそもそもクランク方式じゃないし、単純なクランク方式だと軸の穴にピンを刺すのが普通だけど、ピン刺したらリアドラグ方式では軸が回らなくなってドラグとして機能しなくなるので、マイコンと共通はあり得なかったけど、マイコンTBシリーズはオシュレーションは単純クランク方式だけど軸に穴開けてピンを刺す方式ではなく軸の回転は確保しつつ、軸の一定の位置に固定したオシュレーションスライダーから出ている棒にオシュレーションクランクを刺す方式なので、写真の様にどうも共通臭いハンドル軸のギアとクランクになっている。左が今回バラした301TB、右がマイクロセブンC1。実際交換して試してはいないけど、穴の開き方とか同じでわざわざ違う規格ならここまで共通な形にしないだろうから、間違いなさそうだなと思ってます。

 でもって、値段つかない機種だから自分で使うこと想定して、青グリスグッチャリ大盛りで仕上げて、外見も拭き上げたら、回転もベールの返りもドラグも快調そのもので、見た目もそれ程キズ腐蝕等なく、とても良い状態に整備できた。放っておけばグリス固まって巻きも重い”ゴミスピ”だったけど、今回の整備でバリバリに使える現役リールに復帰して、しっかりグリス詰め込んだので、今後何十年と実釣可能な状態に復活させることができたと思うので、久しぶりに良い気分である。実際には、使ってた別個体があるので、このリールそのものが使えるというより替えスプールが手に入ったということが大きいかも。今回の個体はキレイめなのでお留守番してもらう方向だろうけど、元々わが家にあった個体の方は、これで実戦投入させやすくなったし、近いうちに使ってみよう。

 最後のマイクロセブンNo.2は、需要が少ないせいか珍しい大きさなので落とせたらもうけもので入札しておいたらちょっと競ったけど落札。使う予定も必要性もなく、あえて言うなら蔵に転がってる箱入り新品娘のオートベルNo.2とで替えスプール有り体制が組めるな、ってぐらいで買う必要あったのかは疑問である。でも欲しかったんだもん。しかたなかったんだもん。外蹴りのアウトスプール版マイクロセブン、何度も書いてきたけどかっこいいんだもん。

 とにかく、作りはしっかりしてるけど設計は単純。オートベールとかではご自慢である”内蹴り式”の部品が当然無いので、部品数少ない。特に樹脂パーツが、外蹴りの蹴飛ばし部分、ハンドルノブ、ドラグノブ、ストッパースイッチの防水パッキン、ラインローラーのスリーブ、スプールのライン止め、ぐらいで、あとはドラグパッドの硬質フェルトを除くと全て金属でできちょります。硬派な感じです。

 前の持ち主が丁寧に使ってたのが偲ばれる感じで、キズも少なく、グリスやらオイルは定期的に注していたようで、そのまま使っても良いぐらいに機関快調で、40年から生き残ってきたこのリールを、今後もまた数10年は生き残らせてやらねばと、ガッチリグリス盛って仕上げておきました。

 同時代の庶民派「タックル5」も基本的なところは同じでこれも良いリールなんだけど、やっぱり大森製作所の由緒あるリール名”マイクロセブン”を冠するリールは、特別な格好良さがあるようにも思ったりして。

 てなかんじで、今回とりあげた3機種(シリーズ)はどれもナマジ推薦のお買い得な大森スピニングなので、興味のある人は是非手に入れて楽しんでみてください。


 大森アウトスプールの最終形態、樹脂製で軽いけど適切な補強で丈夫さも確保、ドラグも優秀な”不人気実力派”マイクロセブンCシリーズ

 マイコン買うならTBシリーズにしとけ!ギミックよりも基本性能の成熟度の高さ、トラブルの少なさ、使えるリアドラグ機マイコンTBシリーズ。

 昭和の時代の硬派なリールをお求めなら、そしてあなたが左手でベールを返して使う釣り人なら、自ずとこのリールがしっくりくるというものでしょう。マイクロセブン(アウトスプール版)。

 良いリールは、使って魚釣るのももちろん楽しいけど、いじってるだけで楽しくなっちゃうのよね。だからスピニング熱は治らない。スピニングの沼からは這い上がれない。

 それがどうしたっ!楽しいことは多分正しい!!

2020年11月8日日曜日

止めることができない

  よく薬物中毒の恐ろしさを説明するのに、一度やったら二度と止められないってな脅しがあるけど、そんなもんは脅しでしかなく、そういう根拠の無い不正確な情報が必要以上の憧れを喚起している側面まで含め、そういう情報自体が害悪だと思っている。向精神性の薬物が十把一絡げで扱われていることのいい加減さ。酒もニコチンもカフェインも向精神性の薬物であり、文化的、制度的に許容される範囲であれば嗜んで問題ないものとされているし、それらの薬物も大麻だの覚醒剤だの違法薬物も本質的には変わりがなくて、カフェインの中毒になる人間もいればアルコールやニコチンの中毒患者など掃いて捨てるほどいる現実を見れば、そういった身近なモノでさえ向精神性の薬物は依存性が高いってぐらいである面正しくもあるんだろうけど、ぶっちゃけ程度問題やら、みんなが扱い方を知っているか否かとか個人の適正の問題とかでもあり、古くから各地でケシの若い実の汁に含まれる成分を炙って嗜まれてきたアヘンの薬効成分を生成して強力な鎮痛剤としたモルヒネをさらにいじくって効き目の強いモノにした強烈な”ドラッグ”であるヘロインでさえ、止められる人間は止めている。ヤク中で有名なローリングストーンズのキース・リチャーズ先生は76歳で御在命ときた。一度やったら止められないのならとっくに死んでるはずである。

 向精神性の薬物ではないにしても、精神的な依存症というものは各種存在して、我々釣り人が罹りやすいのは、道具に関するもので、ワシもここ数年”スピニング熱”には苦しんでいる。特に”大森症候群”は急性から慢性に推移しやすく、罹患すると「ハンドル軸に綱を鋳込んだハイポイドフェースギアが滑らかに回るのが気持ち良い」「樹脂性スリーブを入れたラインローラーが尊い」「ドラグの効きが実用性充分でドラグの逆転音をいつまでも聞いていたい」「余計なモノの付いてない設計が整備していて快感」等々の症状から「もっと大森が欲しい~!」と重症化を招きがちである。

 2019年夏に重症化し、一応の寛解状態にあるものの、疲れてくると時々再発しては老後の資金をジリジリと削りとられている。今回は2000円(税、送料別)即決でマイクロセブンC1がネットオークションにかってたのでためらいもなく即落札。

 あんたマイクロセブンCならもう持ってるでしょ?ハイ持ってます。しかもC2は米輸出版のSIGUMA含め3台、CS、c1は1台だけど、C1はスプール互換性があるキャリアーNo.1が2台あるので換えスプールは既に確保できている。だとしても2千円だと買っちゃうんです病気だから。

 今年、春夏とCSとC2を使ってみて、なかなか塩梅が良い優秀なリールだということは良く分かった。まずは軽くて使ってて楽。普段からPENNというあんまり軽くはないリールを愛用していてシーバスに使うぐらいまでのリールなんて重くても300gとかだから気にしてないといえば気にしてないんだけど、たまに軽いリールを使ってみるとこれはこれで悪くない使い心地。それで薄っぺらくて壊れそうな華奢なリールだと使う気が失せるけど、マイクロセブンCシリーズは、樹脂性本体ながらも要所要所に金属の支え的な部品が補強で入れてあって作りはしっかりしている。巻きもハイポイドフェースギアは軽くて滑らか。

 ドラグももちろん合格。テフロン3階建てのドラグは本来テフロンのスベスベの表面特性を生かして乾式仕様なんだと思うけど、気にせずドラググリス塗って使ってた。実質テフロンの素材特性が死んで、百均の耐熱容器の蓋を加工して作った樹脂性ドラグパッドと同じような性能になってしまってるだろうけど、ドラグなんてそんな難しい機構じゃないので、湿式にしてもちゃんと設定した値を超える道糸の張りで逆転し始める。グリス塗ったのはテフロン乾式はテフロンが摩擦で削れてくるっていう報告をたまに読むのでそれじゃ湿式でという判断。ドラグパッドがテフロン1枚のリールではどうにも上手くいかなくてズルズルドラグになってしまったりしたけど、3階建ての場合はなんら問題なく機能してくれる。

 ハンドルノブが木製で大きめだけど、投げたときにコレが勢いでハンドル回してベールが返ってしまうとかのトラブルは、銅板のローターブレーキが効いているのか、まともに投げてればベール返りってそもそもあんまり起きないので特に現場で問題生じなかった。ノブの形状は人によって好みがあると思うけど、軸が金属製で細いこの形はワシャ指の腹が痛くならなくて好みの形状。大森独特の3角パドル型でもべつに良いんだろうけどね。4桁スピンフィッシャーだと4500より上ぐらいからT型のノブの軸が樹脂性で太くて痛くなるので、古い3桁やら、4桁でも初期のドングリノブとかトーピード型ノブって呼ばれてるのが好き。

 マイクロセブンCシリーズは綺麗な箱入り個体とかでなければ、3千円台ぐらいで買えてしまうけど、性能的には大森製作所の作ったアウトスプールスピニングの最終形と言って良いのではないかというぐらいに良くできていると、実際に魚を釣ってみて思ったところである。まあ、シーバスなんぞぶっ壊れなきゃどんなリールでも釣れるんだけど、さすがに5ポンドナイロンラインで50超えるようなボラの突進を耐えまくって水揚げにこぎつけるとかはドラグが良くて丈夫なリールじゃないとちょっと無理である。道糸どこでもビミニツイストができるぐらいチリッチリに縒りが入るほど何度も何度も突っ込むけど、その度に滑らかに作動してドラグが道糸を送り出してくれる。ドラグとして当たり前の機能だけどこのリールには”ちゃんとしたドラグ”が付いているって話。

 唯一の不満は、以前にも書いたと思うけど、大森だのPENNだのの実用性に重きを置いたリールは、シールやらプレートやらが剥げる仕様になってるのがちょっと惜しい。まあ剥げても釣りするうえでなんら支障を生じないから良いんだけど、中古で売るとき値段が付かない。逆に言えば剥がれてるヤツは安く手に入る。別にギアとか性能的には悪くなってるわけがない。2台目のC2などサイドプレートが落っこちてるせいもあってか1700円でっせ。CSも使ってるうちにスプール周りのハカマ状のプレートが剥げたのでそのうちエポキシか何かで接着してやらねばなるまい。まあスペアスプールの方には剥げずに残ってるけど。

 でもって、CSとC2を主に使って使えるリールだということは理解して、とりあえず予備機とか部品供給とか考えると、主軸はPENNに戻すんだろうなということで本来の”PENN使い”に戻ってたんだけど、小物用の主軸機の430ssgが冬に湿式の逆転防止が上手く効かなくなることがあるので、昨年は”チープ大森”であるタックルAを使ってたけど、今年は2台目も手に入ったしということでC1でいってみようかと思っている。想定しているのはタチウオやらカマスやらでタックルAでも問題なく昨年釣ってるんだけど、冬のご近所にはちょっと良い型の青物も回ってくるということが判明しているので、安っぽい樹脂性のタックルAではやや不安がある。その点、同じ樹脂性でも丈夫に作ってあるC1なら不意の青物も何とかしてくれそうに思う。430ssgの寒いときの不具合は一方通行のベアリングにグリスが入ってしまって低温で粘度が増して両方通行になってしまうんだと思う。寒くても粘度の上がらない高級リール用グリスとかに換えれば問題解決するのかもしれないけど、リールいっぱい持ってるんだし冬場はお休みさせようと思う。いずれにせよカマスとかタチウオとか盛期にはフライロッド振るだろうから出番少なめかも。


 ということで、買ったC1の整備。回転が重くてグリス固まってる感じなので全バラし、金属部品をパーツクリーナーで洗浄の後、防水グリスをモリモリでグリスシーリングして整備してやる。最初ハンドルが錆びて固着気味で焦ったけど、CRC吹いて回したら外れてくれた、っていう以外は特に問題となる箇所もなくベアリングも錆びておらず交換も必要なく、快調に復活。この冬の活躍に期待である。

 気がつくと我が家には冒頭写真の様にマイクロセブンCシリーズは、CSが1台、C1が2台、C2が2台と米国シェイクスピア版のシグマプレジデント2440-040が1台の計6台を有し大所帯となってきた。やっすい値段でネットオークションに出ていたらまた入札してしまうだろうことは目に見えており、なかなか病気は治ってくれそうにない。


 アタイ病気が憎いッ!!

2022年5月7日土曜日

ガマ磯じゃないけどマークⅡ

 ついでにトヨタ車でもない。
 
 キャリアーには思い入れがある。学生時代に買ったNo.1サイズでバスにイワナにヤマメにシーバスに、どれだけの釣りを共にしたか。

 ということで、その後継機である「キャリアーマークⅡ」ってどんなリールなのか?っていうのには興味はあったけど、これがなぜか全くの不人気機種であんまり出てこない。まだ国内で製造していた頃の機種のハズで、スプールエッジがウィスカーチタンとかなんとかいう白っぽい素材になってるのが特徴。形状はタックルオートから受け継いでいる三角形のボディーはそのままで、前述のスプールエッジの他はワンタッチスプールになってるのとハンドルもワンタッチ折り畳みウッドノブになってる。ぐらいであんまり変更ないような見た目なんだけど、届いて手にすると「なんか妙に重いな?」という気がする。ちなみに冒頭写真右が愛用してたのとは別個体だけど「キャリアーNo.1」で左がこの春購入した「キャリアーマークⅡNo.1」。

 じゃあまあ、重さ量るところから始めてみるかと計量。多少重くてもワシ気にせん人だけど、世間一般ではキャリアーはその”軽さ”が高く評価されているので、皆様に提供する情報としては大事なところだろう。

 左から、キャリアーNo.1約213g、キャリアーマークⅡNo.1が240g、ついでにマイクロセブンC1は233g。ってマークⅡは30g近く重くなってやがりました。軽さが持ち味のキャリアーの後継機種を、樹脂製でも補強入れたりしてある程度丈夫に作ってあるマイクロセブンCより重くしてどうする?このあたりの迷走ぶりは、安易に批判したくはないけどやっぱり、どうしたんだ大森製作所?って思ってしまう。

 じゃあまあ何が原因で重くなってるのか調べてみるかと、怪しげなところからキャリアーと比較してみる。

 まずはエッジがウィスカーチタンとかいうセラミックみたいな質感の素材になってるスプールを比較すると約7g重い。ただ素材が重いっていうよりはワンタッチスプール化によって、スリーブとか金属部品が増えてるのでその分の重量増という気がするし、7gはそれ程重いって数字じゃない。
 じゃあ何が重かったかというとハンドル。約18グラムも重くなってる。ダメだコリャ。当時の大手はみんなこんな感じのワンタッチのウッドノブ付きでハンドル軸貫通ネジ止め方式か共回り方式で”ハンドル軽いは七難隠す”が持論のTAKE先生にボロカスにこき下ろされているけど、ハンドルの違いが明確になる似たような2機種を実際に持って感じてみて、さらに計量して数値で比較して、いかに重くなって軽快感が削がれてしまうか実感できた。同じような木製ノブでもマイクロセブンCはそんなに重くないのでワンタッチ付きのウッドノブが害悪認定されてるのもなんとなく納得できる計量結果。

 大森らしいと言って良いハンドル軸のギアに鉄系の芯を鋳込んだ”ねじ込み式”と比較して、ギアは亜鉛鋳造一体成形で中心に長い軸を貫通させてネジ止めする方式は、重いし亜鉛はギアとしては充分な強度は稼げても軸としては弱いようで、ベアリング噛まさないとダメらしく、結局長い月日が経って、現在の高級スピニングもギア亜鉛じゃなくてアルミ系だったりするけど”ねじ込み式”になってるぐらいで”ねじ込み式”の方が設計として優れているようだ。それでも当時は大手が作るリールは非ねじ込み式のワンタッチ付きのウッドノブ付きがほとんどで、他人と一緒じゃないと不安になる我が民族の常として、ワンタッチが付いたウッドノブでないと売れないので大森製作所もそうせざるを得なかったんだろう、ついでに経費の掛かるねじ込み式の利点なんか分かる客いないのなら、一体成形で安く上げたのも妥当な経営判断だったんだろうと思う。
 
 でもって分解していくと、キャリアーとの違いは他にはベアリングがハンドル軸のギア側に1個入ったのと、オシュレーションのクランクの素材がアルミっぽかったのがステンレスっぽくなってるぐらいで、そのへんで残りの5gがとこ重くなってるんだろうけど、他に特に変わったところはなく、キャリアーと一緒の作りなんだけど、キャリアーは元々ボールベアリングはローター軸のギア直上の1個しか使ってなかったのを、亜鉛一体成形のギアにしたので本体蓋の金型修正してボールベアリング1個追加しているのは、なんというか結局大森製作所は真面目だなという気がする。どうせ分かりもしないアホ客に売るのなら亜鉛の軸とグラファイトボディの直受けでどちらかが削れようがどうってことないだろうとワシなら思うけど、そこは許容できなかったらしい。あるいはボールベアリング2個使用とカタログに書けるのが要因か?

 っていうことでマイナーチェンジの域を出ておらずで多くの部位が共通なので、これハンドル軸のギアごと入れ替えたらキャリアーのねじ込み式ハンドル装着できるな、と思いついて試してみたらビンゴ。重量は当然軽くなって約223g。だからどうしたって話だけど、ジャンク個体かき集めて”ニコイチ”でっちあげたりする場合にこういう部品互換性情報は必要かなと書きとめてみる。同じサイズの両機種持ってると、キャリアーのワンタッチスプール化とかも主軸ごと取っ替えれば可能で、遊べるって言えば遊べるかな。キャリアー1台と同サイズのキャリアーⅡ2台手に入れれば、マークⅡにもドラグはテフロン3階建てのちゃんとしたのが入ってるので、ワンタッチ化してドラグ値あらかじめセットしたスペアスプールを現場で素早く交換可能です。って誰がそんな面倒なことやるねん。

 ちなみにペンスピンフィッシャー4300ssは248gで、それでもこのクラスの第4世代までのスピンフィッシャーの中では最軽量である。そう考えるとキャリアーマークⅡは別に重くも何ともない、けど軽くはないな。特に本体軽いのにハンドルが重いのは変に重さを感じるしいただけん。でもこれで釣りできないかっていえば、別に問題なくできるだろうし落札価格1500円っていうのはいくら何でも安すぎてかわいそうに思う。

 確かに先代のキャリアーは、色々なリールと比較してみると、削れるところは削りきった、でも使ってて不具合生じるのはある程度消耗品のベールスプリングぐらいっていう無駄のない奇跡的とさえ言える仕上がり具合だと分かる。キャリアーが中古市場で人気が出て再評価されたのは村上某氏が軽いスピニングをと求めた結果、キャリアーSSにたどり着いて使用する姿が各種メディアに露出した結果だろうけど、村上氏の慧眼にはあらためて恐れ入るところで、ワシャ以前にも書いたけどコメットを愛用する友人から大森製作所の名を聞いてキャリアー買ったんだけど、確かに使っててなんの問題もないリールだったけど、当時は正直安いわりに良くできた普通のリールだと思って使ってたぐらいで、後年”スピニング熱”発症してしまい大森方面にも症状が出て色んなリールを実際に手にして分解して釣ってみて、改めてなかなかに普通じゃなくて非凡なスゴいリールだなと再認識したところ。だけど、多少、ごちゃついて方向性とっちらかった感じになってるけどマークⅡもそこまでデキは悪くないと思うし、もうちょっと評価してやっても良いんじゃないかと思う。前回とりあげたキングミニは千円台でも妥当な値段だなと思うけど、マークⅡは3~5千円ぐらいはだしたっても良いかなと。

 弾数そんなに多くなくてあんまりネットオークションとかにも出てこないけど、安いし興味があるなら買っても損はないと思うよと、ユルくお薦めしておきたい。