2019年12月31日火曜日

2019年のベスト3(釣り編)

 釣りするのに良い場所をという観点で移住先を選んだつもりなので、釣れて当たり前と言えば当たり前なんだけど、それにしてもこの地は良く釣れる。
 良く釣れるっていっても、そんな簡単にチヌだのスズキだのが釣れるわけはなく、そのあたりは情報収集しながら季節が一回り二回りしてから釣れるようになるだろうと思ってた。
 それまでは漁港とかでアジだの根魚だの”オカズ”を釣りながら地道に情報蓄積していく作業を続けるんだろうなと思ってたら、あにはからんやチヌもスズキも既に釣れてしまっている。むしろアジや根魚には予想外に苦戦させられていて、それがまた楽しい。
 釣りにはけっこうな回数行ったので、ずいぶん昔に引っ越してきたような錯覚を覚えるけど、まだ8月末に越してきて4ヶ月かそこらしか経っていない。
 「あわよくば」と想定していたうち、最も良い方に結果が転がっているように感じる。超々上首尾で今年の釣りには満足している。
 そんな今年の釣りを振り返って、年末恒例のベスト3を選ぶんだけど、正直選びきれないぐらいの想い出が溢れてて、写真のホルダから良い写真選ぶのにも写真の枚数自体多くて苦労するぐらいだ。
 間違いなく、今自分が膝も痛いし物忘れも激しいジジイになりかかってるけど、それでも釣り人として人生最高に”釣れている”というのを実感する。
  ということで着外とか3つに収めきれてない項目もあるけどご容赦願いたい。

○釣り:一位「最初のカンパチの仔」二位「フライで釣ったアカカマス」三位「ワームで釣ったアカササノハベラ」着外「20センチ超えのマハゼ」「一匹目のクロダイ」
 一位の「最初のカンパチの仔」は分かる人には分かると思うけど、釣果としてはショボい。でも、下見で訪れたこの地で適当にルアー投げてたらサクッと釣れた手のひらに乗るようなこの1匹が「ああこのくらい魚が居てくれれば何とでもなるな」という感触をもたらしてくれて移住地を決定するに至った。移住して良い釣りしてきたし、これからもさらに釣るつもりでいる。何しろ強力な切り札の一つだと思っているカヤックとかまだ出していないからナ。
 狙った魚意外は”外道”として相手にせず、脇目も振らずに目的の魚に迫っていくという釣り人もいるけど、私はまったくそういう釣り方はできない釣り人で、魚種も大きさもなんでも良いから魚釣って魚の反応みながら目的とする獲物に近づいていくという手法をとる。そういう釣り人から見ると、この1匹こそが今後数年のうち最も重要な1匹だったというのは当然の結果なんだけどおわかりいただけるだろうか。
 二位のフライで釣ったアカカマスは、仲間内にフライマンが多くケン一からも要望のあった魚種だったというのもあって、探し求めてたどり着いたというのも嬉しい要素だけど、常々「なるべく他人が釣れなくて自分が釣れるギリギリの難しさの魚」をと思っていて、簡単に釣れる魚だといくら爆釣ポイントを見つけたところで、すぐにバレて真似されて釣られてしまう。その点、フライで釣る釣り方を見つけたっていうのは大きい。なにしろ真似しようにも未経験だとフライロッドはまず振れないから真似されにくい。
 もちろん、アカカマスは投げサビキでもワームでも釣れるし、もっと言うなら群れがまとまれば引っかけりゃ早いって話もある。でもそういう他の釣り人や釣り人じゃない魚を獲ってる人が掛けきれない、あるいは引っかけられるのを嫌がってちょっと群れから離れて難を逃れてきた魚がフライなら狙えるのである。理想としては引っかからないぐらい群が薄くなって、縦にしゃくる系の誘いや派手なワームでは食わなくなり、横移動の小さいフライが群れてる棚のチョイ上を通ったときに食ってくる活性は残ってる。とかいう渋めの状況が続いてくれれば一人勝ちできるのにと邪なことを考えている。
 三位がまた地味な釣果だけど、ナマジ的には値千金な釣果で、小型青物にしろシーバスにしろカマスにしろ、ヤツらは移動性が高いので居ないときはまるっきり釣り場に居ない。その点根魚系は居るところにはいつも居る。ただ、いつも居るところには居て移動性が低いので、その年の接岸後は釣りきられたら補充がないような場合が多く、根魚って釣りやすい釣り場の魚はシーズン最初にチョロッと釣れてその後居なくなってしまう。東北に住んでたときに経験したけど、一見釣れそうもない場所で魚が入ってるポイントで持ち帰らずにオールリリースで釣ってるとシーズン終わるまでずっと釣り続けられる。
 さてアカササノハベラに代表されるベラ系、磯場やゴロタに居着く”根魚系”だと思ってるけど、小さいこともあって多くの釣り人には”餌取り”ぐらいにしか認識されてなくて、お持ち帰りされる率が低く、ましてや専門に狙おうなんていうのは瀬戸内海でキュウセンが人気なのを除くとあまり目にしたことがない。
 つまり独り占め系の美味しい獲物なんである。煮付けにして文字通り美味しかったりするしナ。魚が小さいのなんて元江戸前小物釣り師から言わせてもらえれば、仕掛けを繊細にするなり何なりでいくらでも楽しく釣ることはできる。実際楽しい釣りだった。
 昔、メバルがワームで釣れるって話になったときに、多くのルアーマンはあんな小っちゃい魚釣って何が面白いんや?ぐらいの認識だったけど、その後”メバリング”が流行ってからどういう風に認識が変わっていったかはご存じの通り。魚が小さいとか今現在人気がないとかまったくどうでも良いことで、しばらくはこの地では専門に狙う人間出てこないだろうから冬眠中の冬以外は手堅く釣れるオカズ魚として楽しませてもらう。かつ、小磯やゴロタで釣ってればそのうちカサゴやらハタ系も釣るための情報が自ずと入ってくるんじゃないかと期待している。
 着外の「20センチ超えのマハゼ」「一匹目のクロダイ」はさすがに膝ふるえるぐらい興奮した。普通の年なら一位でもおかしくないけど、今年は最初の1匹や独自の釣りの展開に持ち込めそうな釣果があったので着外となっている。
 前半の首都圏での釣りも正直言って離れがたいぐらいの面白さを感じてた。考えてみればボートキビレ初挑戦も今年だったし、ヘラ釣り修行もとりあえず形にはなったとおもうけど一旦終了はもったいない気もした。最後のハゼ釣りは良く釣れて楽しく終われたけど、ダイキリさんと行った最後の湾奥シーバスが、釣れない時間も長かったので「これで東京湾のシーバスともお別れだな」と寂しいような別れの気分になったのを思い出す。それもとても良い想いで。
 まあどこに居ても魚釣りができれば私は幸せなんだと思う。

○残念だった釣り一位「近所漁港ナブラ」二位「今朝逃した魚」三位「ヘラ浮子で釣るボラ」
 一位はツバス(ブリの仔)かサバか毎日午後にナブラが湧いてバシャバシャやってたのに結局一匹も釣れず。特定の餌に狂ったナブラは難しいことも多くて意外に苦戦するけどまさに典型。来年も同じような状況になったら何とかしたいところ。たぶん”釣れないナブラ”になった時点では釣るのは難しすぎて、そこまでになる前の段階か餌食い尽くしてか餌居なくなって解散ってなる間際か、そういう食ってくるタイミングを探るのが正解かもしれないと思っている。
 二位は、カマス狙ってて良い型の魚掛けたときに、ルアーの5ポンド道糸なら獲れる大きさ限られるけど、フライタックルだとバッキングの量も多いし、一番細いところでハリスのフロロ2号だしでカナリの大型でもハリだけのばされないように時間かけてやればあげられるという意外に不意の大物は獲れる道具立てなんだけど、今日はハリスを歯でいかれてしまった。もうチョットかかりどころが良ければあがってたと思うとアタイ悔しいっ!!
 今日の魚正直竿でためきれないぐらいの突っ込みしてたけど、そういう場合は最終的には竿先魚に向けてしまって、腕を前に突き出しながら巻いて伸びた腕をまた引っぱり戻すっていうのを繰り返す”ダイレクトポンピング”が使えるし、竿先魚に向けてしまえばフライリールはギア比1:1で巻き取り力は強いので切れないように加減しつつゴリゴリ巻いても結構やれる。まあまた機会が巡ってくることもあるだろう。次は獲る。
 三位は糠まで買って仕掛けも作って準備はできてるんだけど、アカカマス釣れ始めてしまってそれどころじゃなくなったので放置している。糠にダ二とかわくまえに一回やってみんといかんナ。


○ルアー:一位「ワンダースリム」二位「フラッタースティック」三位「CD5」
 一位の「ワンダースリム」はお尻だけ白に残して蛍光黄色に塗った”紀伊色”で、70と90が絶好調でシーバス連れてきてくれた。この手の陸っぱりで使うシンキングペンシルの元祖ってワンダーシリーズだと思うけど、元祖が一番手に入りやすいし釣果も安定してるように感じる。
 二位「フラッタースティック」は廃盤の7センチは東京湾でもお世話になったけど、まだ生産されている4センチがメッキ釣るのに大活躍で、メッキ釣りにおいては絶大な信頼をおいて愛用してきたBHポッパーより後半投げる機会が多かった。良い型のチヌも2匹連れてきてくれて良い仕事しまくりである。
 三位はやっぱり偉大なラパラのCDという感じで、水底でフック着底させて立つぐらいの絶妙のユルい沈み具合と、大きめリップで着実な立ち上がりと安定した動きが見釣りで狙うチヌに効果ありで良い魚2匹連れてきてくれた。来年もたぶん10年後とかも投げてるだろう。


○釣り具:一位「マイクロライトグラス76UL2」二位「クレイジーチャーリーオレンジ」三位「白滝330」
 一位は、バスプロショップスの通販で米国から取り寄せてみたものの、ぱっと見の余りのショボさにややガックリきたんだけど、使ってみるとこれが働く働く。グラスのグニャ竿なので、アタリ弾かないのとバラしが少ないのは期待どおりだけど、7フィート半と長めなのでメッキで気持ちよく曲がる竿先の柔らかさと、年無しのチヌの突進もためる根元の力強さが同居している。長い分持ち重り感はあるけどそれを我慢して使うに値する万能ッぷりで、米国人はクラッピーやらギル釣っててデカバスやナマズ系が来ても獲れる竿として使ってるんだろうけど、この地じゃメッキやセイゴ釣っててチヌや小マシな型のフッコが来ても獲れる竿として予想外の大活躍。もう1本欲しいんだけど送料の方が高くなるような安竿なのでいっそ2本買っちまおうかとか真剣に悩んでいる。暇ができたら使ってない竿何本か売りに出して整理して買いたい。アメリカの釣り具は見た目どうかと思うのも多いけど実用性はかなり高くて信用できる。ただ、アグリースティックのガイドだけは何とかして欲しい。昨年買ったエリートのガイドはトップだけで済まなくて結局全部取っ替えた。
 二位のクレージーチャーリーのオレンジ色は、クリスマス島にボーンフィッシュ釣りに行くのに巻いたけど、毛足の長いのは現地ガイドのお気に召さなくて使わしてもらえなくて余ってたので使ってみたってだけにもかかわらず、なぜか近所のアカカマスには気に入られて好成績。フライ巻く材料は在庫沢山抱えてるのでフライで釣れるというのは経済的にもとっても助かる。単純なパターンなので巻くのも楽で良い。単純な造形にもかかわらずチェーンボールの目が付いてるからか見た目愛嬌があってフライボックスに並んでるのも楽しい感じがする。
 三位の延べ竿「白滝330」は「早霧4.5」とともに、当地での小物釣りで大活躍。ハゼにマアジにゴンズイにとなんでも釣れて楽しい小物釣り。特にヘラ浮子使ってコマセをチョットずつ効かせて釣るマアジ釣りは、後半キタマクラとの壮絶な戦いの要素も加わって俄然難しく面白くなった。キタマクラ邪魔だけど、邪魔をかわしてなんとか釣ろうとする苦労の中にこそ釣りの醍醐味があると思うところ。あんまり攻勢かけてくれるなと思うけど、キタマクラも居ないような海での釣りなんてつまんねぇゼと強がっておきたい。

○PENN:一位「430ssg」二位「420SS」三位「714Z」
 遠征のお供の「タックルオートSS」、「タックル5」と安っぽさを楽しむ「アクションM」「タックルA」といった大森勢も使ってるけど、やっぱりアタイはPENNが好きっ。
 ということで、一位はメッキやらチヌやら釣る主軸に、黄色のマイクロライトグラスにいつもの430ssg。とりたてて優れてるとも思わないんだけど、なんだかんだで長いつきあいになってて手に馴染んでるし信頼している。理屈じゃなくて好きなリール。
 二位の4200SSは師匠であるJOSさんからの餞別。コイツと300円で買ったパックロッドでメッキ釣ったりチヌ釣ったり、新天地でのスタートダッシュを決めたりました。
 三位の714Zはシーバス用のアグリースティックエリート7fのシートに430ssgの樹脂製で厚みのある足がイマイチしっくりこないので起用中。やりとり中にドラグの音出しの部品が外れて困った以外には問題なく、ドラグもカーボンシートにしてあるので今時のリールと変わらんというか、PENNなので優秀でシーバス釣るのはしばらくこいつに任せたい。ドラグの音出しパーツのネジには緩み防止剤「ロックタイト」を垂らして対策済み。インスプールのリールは慣れると使いやすいように感じる。この時代のリールで魚釣るのに何の問題もないっていうのが分かると、新しい釣り具売るのって難しいンだろうなと実感する。
 この3台はしばらく出番がない予定なので、昨夜分解清掃してグリスとオイルを入れ直した。シーズン中は基本、ラインローラー、ハンドルノブ基部、スプールハズして主軸の根元に注油のみで済ませているので、年に1回ぐらいはと、日頃の感謝を込めて手入れしておいた。

 という感じで、今年は新天地で良い釣りを満喫したという印象が強く満足度が高いんだけど、一方でこの好釣も想定内ではあって、もっと想定外の突き抜けた釣果を得て、特別な釣り人になりたいという欲深い思いがないわけではない。たぶん、ここから5年ぐらいが気力体力的に思いっきり釣りできる最後の期間だと思うし、仕事もしてないので何かあっても迷惑かけることも少ないはずで、ぶっ倒れても良いから行けるところまで行くつもりで全力で行ったれって思っている。アホやなぁ。
 皆様、今年の釣りは楽しかったですか?それでは良い年をお迎えください。

2019年12月29日日曜日

2019年のベスト3(エンタメ編)


 釣りに行く、帰ってきたら道具塩抜きして魚下処理して、シャワー浴びてメシ食って、余力があったら顛末記書いて、なければ明日回しにしてとりあえず明日の釣りの準備はする。
 釣りに行かない日には、溜まってた洗濯物かたづけたり、買い物行ったり主夫としてやらなきゃならんことはそれなりにある。
 仕事もせずにノンビリ釣りだけして暮らせば、本読む時間ぐらいいくらでもあるだろうと思ってたら大間違いで、ひたすら釣りの準備と釣りと釣りの後の整理とで、家のことをやってくれるメイドでも雇えりゃ話は別なんだろうけど、主夫業と365日体制の釣り師の2足のわらじは結構忙しい。やることやりたいこと沢山あって超絶楽しいからいいんだけど。
 ということで、エンタメには今年の後半は記憶にないぐらい時間が割けなかった。
 それでもアニメは放映中のを週10本ぐらいはネット配信で見ているし、マンガも続きモノの続刊は出れば読んでいる。活字本はさすがに「積ん読」が増えてる。
 でも、いつまでも体ぶっ壊しそうな勢いで釣りに行き続けることもできないだろうから、「積ん読」にしておく本は積んどきゃいいって気がする。紙の本じゃないので場所取るわけじゃなし、読める時期が来たら読めば良いぐらいに思ってる。
 そんなわけで、いつもより少ない本数から選んでるけど、かといってつまんなかったとか小粒だったとかいうことはなくて、たぶん自分にとって一番面白そうなヤツから順に手を出してるんだろうから上位の水準はたいして変わらないものなのかもしれない。

○活字本:一位角幡唯介「極夜行」二位吉村龍一「海を撃つ」三位西尾維新「余物語」
 一位の「極夜行」は文句なし”角幡文学”の最高到達点。この地球上に人が踏み入れていない場所なんて残されていない”冒険家受難”の時代に、自分はなぜ冒険を求めてやまないのか?冒険とは何ぞや?という答えのない禅問答に、日の昇らないなか極寒の北極圏を旅するという、なんともどれだけそれが冒険的なのか素人には分かりにくい手法で迫りまくる。凄く哲学的な自問自答に溢れてるんだけど、小難しくてややこしいこと考えてるくせにやってることやら漏れ出る感情とか妙に抜けてたりしておかしみが滲み出るのが”角幡文学”の隠し味。なんでも便利になって与えられた安全に安寧としていると、気付かないうちに魂が家畜化してそうな昨今、魂を柵から解き放つにはGPSももたずに暗黒をさまようしか手段がなくなっている、なんていう悪夢的な管理社会が現実化しているのかもしれない。
 二位の「海を撃つ」は”和製白鯨(東北地方版)”という感じで、漁師の執念というか獲物に掛ける情念を描いていて秀逸。釣り人なら楽しめること間違いなし。古い時代背景で書かれているけど、作中出てくるメカジキ突きん棒漁は銛が電気銛になったぐらいで同じように現存してます。
 三位はライトノベルです。活字本に数えて良いのかどうか迷ったけど、一般小説でも芸術作品と娯楽作品の違いってあるんだかないんだかオラしらねぇってぐらいで、いちいち分ける必要ないダロって話で、それより分けるなら面白いか面白くないかの視点で分けろってことで、ラノベでも面白ければ良いじゃんって”物語シリーズ”最新刊は面白かったので入れてみた。ラノベって何だ?って聞かれるとたぶん一番分かりやすい分け方は、各出版社の”ライトノベルレーベル”から出てる本がラノベってことになるんだろうってぐらい、実は内容とかそのあたりは一般の小説にもラノベの内容のはあるし、ラノベにもクソ文学的な作品もあったりする。その中で私が分かりやすくラノベ読んだことがない人にラノベとは何ぞやを説明するなら「少年マンガのノリの物語を活字で表現したモノ」となる。人気作が長期連載化するのとか全く少年漫画的で本作もシリーズ第26巻という長編シリーズになっていて途中アニメ化して盛り上がってた頃正直本編引き延ばし感があって中だるみしてたけど、大学生編に突入して俄然本来の面白さを取り戻した。今後も続刊すぐ出る系の速筆な西尾先生に期待。 

○マンガ:一位「ライドンキング」二位「ディザインズ」三位「1518!」
 「ライドンキング」はもう、どうしようもなくしょうもなくてオレ好み。プーチン大統領を元ネタとした、架空の旧ロシア小規模独立国家の大統領プルチノフ閣下が剣と魔法のファンタジー系異世界に飛ばされて、持ち前の近接格闘術やら軍事的知識に強気の交渉力やらで大活躍というバカバカしいにもほどがある作品なんだけど、妙に細かい所まで凝ってたりして痒いところに手が届く面白さ。魔法の軍事的利用方法とかなかなかに鋭い視点で馬場先生の慧眼に敬意を表するところである。ライドンッ!
 二位は、遺伝子組み換えとかの禁断の分子生物学的技術を使って動物の能力を取り入れて設計された人間(本作では実は・・・)が戦うっていうSFの世界では佃煮にされるほど描かれてきた題材だけど、五十嵐先生の観察眼と独特の世界観がなかなかどうしてすんばらしいSFマンガ。いつもクールで何があってもケロッとしているカエル娘が後発のイルカ人間チームに格闘訓練でコテンパンにやられて「強くなった、100回やれば99回負けるだろう」って負けを認めるんだけど、一回勝つ方法を聞かれて「今度教える」っていったのは、今度教えるときが実戦で最後の授業になる伏線だろうなと思ってたら、なるほどなって感じで伏線回収して完結した。そういうケロッとクールな戦闘マシーンのカエル娘が水掻きの付いた自分の足にあうようにサンダルを自作してたりする何気ない心理描写もなかなかに味わい深い。次作も期待せざるを得ない。
 三位はむせっかえるほどの青春モノ。肘やっちゃって野球できなくなった少年を中心に作者の好みが如実に表れた小柄なヒロインやら同級生やら先輩やらの恋あり笑いありの青春群像劇。オレらしくないマンガを選んだ気がするけど面白かったんだから仕方ない。白秋のオッサンにはこういうのが胸に来たりするんだよね。

○アニメ:一位「空位」二位「彼方のアストラ」三位「どろろ」
 一位は「空位」という題名の作品があったわけじゃなく、どっかのバカがガソリン撒いて、作るはずだった人達を焼き殺したので、この秋放送のはずだったけど放映されなかった「小林さんちのメイドラゴン」2期が座ってしかるべき場所を空けておく。
 人が人の過ちを許さなければ、復讐の連鎖に飲み込まれ争いがなくならないってのは今放映している名作決定済みアニメ「ヴィンランドサガ」でもイヤッちゅうほど描かれているけど、それでもオレはトルフィンのように仇を目の前にしてオノレの怒りを収める自信はない。何かの弾みで法務大臣にでもなって生殺与奪の権をオレが握ったなら、ためらいなく極刑にすることを了承して、なんの後ろめたさも感じずにその瞬間だけスッキリするだろう。そんなことしても死者は蘇らないし意味などないと分かっていてもケロッとやる自信がある。愚かだなぁオレ。
 二位は、原作マンガの評価も高かったようだけど未読で、アニメで初めて知った。宇宙で遭難した少年少女が生還するために奮闘するってSFモノなんだけど、謎解き要素が大きいミステリものでもあって、これがなかなかにトリックが色々と凝ってて面白く、少年漫画的な友情努力勝利もキッチリ織り込んであって実に良くできた物語で高評価も納得。お見事って感じ。
 三位はあの世でマンガの神様が、”6鬼太郎”絶好調の水木先生にドヤ顔で「僕の妖怪マンガもなかなかヤるでしょ」と自慢しているんじゃなかろうか。百鬼丸と多宝丸のそれぞれの正義とそれぞれのエゴがぶつかりあって、にわかにはどちらが悪とも正義とも断じられないめんどくささとか、さすがは神様の作品は味わい深いなと思う。思うンだけど”どろろ”の可愛らしい魅力の前にはそんなことは案外どうでも良くなるぐらいに手塚キャラの魅力はなんちゅうか沼のように深いモノがあるように感じる。剣劇場面の格好良さとか映像美も堪能した。

 という具合で、今年もいろんな作品が私を楽しませてくれた。作品を作りだしてくれる人々に感謝すると同時に、京都アニメーション放火殺人事件で亡くなった方々に改めて哀悼の意を表します。

2019年12月22日日曜日

妄想フライボックス カマス始めました

 前回の「妄想タックルボックス」が紹介したルアーがワーム以外、文字通りアタリもかすりもしなかったという、わたくし史上稀に見る大ハズレをやらかして、まさにワシの頭の中だけに存在した”ザ妄想”という感じで、ある意味実に良いネタだったと苦笑しているところである。
 魚釣りで作戦どおりに事が運ぶなんてのは、10試みて1あれば万々歳で、上手くいかなくて当たり前なんだけど、ここまで綺麗にお手上げっていうのもある意味めずらしく、こういう今までの認識が通用しない獲物が身近にいたっていうのが新鮮な驚きでもある。
 カマスってあのでっかい口でガンガン餌でもルアーでも見境なしに食ってくる印象を持ってたんだけど、間違いなく苛烈な魚食魚のはずなのにワームの色が違うだけで沈黙するとか、早い上下動に反応する活性の高い日は稀で、底近くにいるののチョイ上ぐらいをデロデロ~ンとユックリ引いてくるワームやらフライにしか食ってこないことが多いというやる気のなさが、これまで釣ったことある魚食魚たちとはチョット異質だなと感じている。
 逆に言えば、腹に餌入ってる個体をコレまで1匹しか見なかったっていうぐらいで餌食ってなくて、たぶん基本冬ごもり中で波穏やかな湾内で群れているくせに、近くに来れば餌襲うし、あまつさえ何かの拍子で活性高ければジグやらサビキやらしゃくる激しい動きでも食ってくるっていう食い気を抑えきれないという事実の方がカマスのやんちゃぶりを示していると見るべきなのかもしれない。

 てなかんじで、ルアーは黄色オレンジのパルスワームのデロデロ引き以外に展開が作れず、これフライで釣るってのも切る札として使えないだろうか?ぐらいのダメ元で狙ってみたら、開けてびくりで自分のつたない”インチキ”なフライフィッシングの技術でも何とかなってしまうぐらいに釣りやすいことが判明した。
 ということで、コレから紹介するフライは、これで釣りたいなとかコレで釣れるに違いないっていう”妄想”だったのは始める前で、すでに釣ってしまって現実化した妄想フライボックスになっているという展開の早さだけど、カマス用に妄想たくましく新たに巻いたフライやコレまで巻いたフライの再利用なんかについて紹介してみたい。
 
 とりあえず、カマス用フライっていうと海で使うフライとしては最も一般的なモノのひとつである長い軸のハリに胴を銀色とかで巻いて、ウイング部分を各色に染めたバックテール(鹿の尻毛)やキラキラ光るフラッシャブーなどの素材を束ねたものを、4,5センチの大きさでシュッと細めに作るというのがお作法のようである。
 まあいくつか作って用意した。基本特定の餌に狂ってるという状況でもなく、沢山いるうちのやる気のある個体が反射的にか出来心でか食ってくるっていう状況だろうから、あんまり特定の餌生物を模写したマッチザベイトなフライを作っても仕方なく、こういう場合はなんとなく魚っぽくて、そこそこ派手で嫌われない程度に目立つっていうのが正解なのかなと想定した。
 そうなってくると、頼りになるのは先人達の知恵や経験で磨かれて生き残ってきたスタンダードな古典的パターンから入って行くのが王道というモノだろう。
 ワームで黄色オレンジが効いていたので黄色とオレンジのバックテールを束ねた「ミッキーフィン」は真っ先に思いついて巻いた。左上の2本。
 左下は”紀伊半島は黄色が効く”を証明すべく、黄色のバックテールに目立たせるためにギラギラ反射する商品名でいうところのミラージュというフラッシャブーを混ぜた。こういうのは特別なことがなければ素材名で呼ぶので「黄色ミラージュ」なのかな。
 真ん中左上は透明感ある白系もシラスとかの稚魚っぽくて良いかもと、化学繊維素材のエンジェルヘアーパールブルーを下に上には、何度も野生動物の商取引に関する国際約束、いわゆるワシントン条約で商取引禁止の付属書Ⅰ入りが提案されているホッキョクグマの毛をあしらってみた。呼び名は「白熊」ってことでひとつよろしく。
 北極の気温が上昇して危機的状況にあるホッキョクグマを保護しなければならないという趣旨には反対するわけではないが、動物愛護ファシストどもが”毛皮を着るな”だの被服文化はワシャ知らんにしても狩猟民族やら狩りを生業にする人の文化伝統経済活動を真っ向否定する物言いにムカつきまくるので、希少な動物の毛もご禁制の品でもなければ大事に使わせてもらいます。
 ホッキョクグマの毛、今でこそ透明感のある化学繊維なんていくらでもあるけど、それ以前は、中空で保温性が良く透明で太陽の熱で肌を温めることができるというホッキョクグマの極北で生きるための適応が詰まった毛が、縛ると適度に開いてくれてかつワカサギのような透明感のある魚の質感を産むという、毛鉤作りの素材としては希有な存在だったんだと想像に難くない。
 今では代替するような素材はいくらでも売ってるけど、白熊の毛の方が”特別な力”が宿りそうで、そういう霊的なモノを理屈では信じてはいないけど、そういうふうに思いこむことによって生じる集中力とかがあることは信じている。
 その下は、白系も巻いたら黒系も欲しいな、ということで伝統的な川でのマス釣りに使われてきたストリーマーのパターンから「ブラックノーズデース(黒鼻のウグイッポイ魚)」を持ってきた。これでフライフィッシングを始めた頃(30年近い昔)ニゴイを釣ってたっていう懐かしいパターン。渋い色合いにお尻の赤がワンポイントで洒落てる。
 真ん中右の2種は、小さいのも巻いとくかと黄色のバックテールで胴と頭をオレンジのセキ糸で巻いたものと、茶色のバックテールを茶色のセキ糸で巻いたモノ。
 一番右が、黄色とオレンジの暖色系派手系が強いという、カマスに限らずこの地のルアーでの傾向もふまえてそういう色が多めなので、色目を変えて反応を引き出すのに逆も巻いておくかと寒色系。青のバックテールと青系フラシャブーで巻いてみた。呼称は「青フラッシャブー」だな。

 主軸は、このあたりにあと追加で毎回お試しフライを持ち込んで、反応良ければ主軸に入れていくつもりだけど、フライパターンがどうこうより、良い棚を引けるかとか飽きられたらマメに換えるとかが大事だと思うので、そんなにフライパターンの種類は増やさなくてもいけるかもと思っている。自信を持って投げられるのを作っていくのが大事かなと。

 で、あらたに巻いたのはこのぐらいなんだけど、これまでも海のフライにはそこそこ手を染めていて、巻いた在庫がある。
 その中から使えそうなのをと考えると、あんまり大きなシイラカツオ用やらはダメだろうから、シーバスやメバル用、遠征のボーンフィッシュや珊瑚礁の小物用あたりから選んだ。
 小さめのF'sクラウザーミノーが上の方の写真のボックスの上の棚。
 左下はウーリーバッガーやらウサギの皮系でウニョウニョした地味系。右下は青物ナブラとか発生した時用のコルサーポッパーなど。


 ボックスの写真では真ん中左が最初に紹介した主軸のデシーバー系(ストリーマー系か?)で真ん中右がクリスマス島用に巻いたのが大量在庫してあるクレイジーチャーリー各色で左の写真が並べたところ。コイツはチェーンボールの目玉が付いていて、ちょっと沈むのでカウントダウン数を増やして”ライン根掛かり”の危険性を上げずに棚を微妙に下げる効果も期待できる。
 細いボディーに薄くウイングが付いているのは主力のデシーバー系と共通、それにオモリでもある目玉を付けてフックをひっくり返してあるので根掛かりにも強い。海のフライマンには大人気のパターン。これは絶対釣れるハズの鉄板。

 っていう感じで妄想して、実際に釣り場に持ち出したら、ワームでの特定の色への反応の強さから色で明確にアタリの数とか変わってくるだろうと思ってたんだけど、そこまで極端に違いはなくて、むしろ”変えると来る”の効果が結構あるなという感触。
 青フラッシャブーとか、ダメなことを確認しようぐらいのつもりで投げたのに結構良い感じで釣れたので意外だった。
 投げてないフライもまだあるけど、現時点で暫定的に当たりフライを選ぶならオレンジのクレイジーチャーリーと黄色ミラージュかな。
 クレイジーチャーリーは棚が変わる効果もたぶんあったんだと思うけど”変えると来る”が何度もあった。なんでも釣れて超優秀毛鉤。



 カマスの歯はご存じのように鋭くて、ハッキリ言って掛かったときに口の中にティペット(ハリス)まで入ってたらフロロ5号だろうが切れるので、割り切って根がかったときの切りやすさ重視、フライの漂い感と食い込みの良さ重視で2号フロロを使っている。
 切られないようにするには、あんまり一生懸命追わせてガップリ食わせると口の奥に掛かるので、遅く引いてやる気なく後ろの方咥える程度に咥えさせるのが良いらしい。
 逆に食い込み浅くて掛からないなら早く引けだそうだ。ホントかどうか試していきたい。
 何匹か釣ると、ハリス切られなくても歯でウイングが刈り込まれてもともと薄毛に細く仕上げてるのにハゲ散らかしてくるし、胴の銀色のテープが切れて剥がれてくる。
 いちいちエポキシでコーティングするのも面倒だし、どうにかならんものかとグチってたら、ケン一から銀のテープ巻く前に瞬間接着剤を胴の下巻きに塗ってからサッと銀を巻いてしまうと切れてもバラバラとめくれにくくなると教えてもらったので、比較的手間が少ないのでそれで行きたい。
 釣りの情報でこういう細かいコツって大事で、今回引っ張り出してきたラインシステムもJOSさんに連れられてニゴイ狙いに行ったとき、教えを受けて組んだラインシステムで、今見ても取り込みの時リーダーの結び目が引っかかってガイドを通らないトラブル防止に熱収縮チューブが被せてあるのとか、沈みが早く癖が付きにくいシンキングのブレイデッドテーパーリーダが使ってあったりと細かいところの積み重ねでトラブル少なく釣りが続けられるようになってるなと改めて感心した。
 そういう情報って、いくらでも釣りの情報なんてネットに溢れてるなかでも、ホントに欲しい情報にたどり着くのって「我が社の製品を買いましょう」的なクソ情報が多すぎて難しくて、結局は長くやってる玄人衆に聞いちゃうのが早いのであった。
 
 ワシはインチキフライマンで、フライフィッシングはフライが有利な状況やらフライで釣ったら楽しそうな獲物がいたりしたら手札の一つで出してくるって程度だけど、周りに腕利きのフライマンは多いので、お知恵拝借しながらなら何とか魚釣れたりするんである。
 フライフィッシングでも何かというと飛距離だ感度だフライパターンだと道具にばかり目が行きがちだけど、魚釣るのに重要なのはそういうのに関するのも含めて”情報”だと思っている。アホみたいな垂れ流し情報じゃなく、ちゃんとした経験に基づいたりやりこんでる人が提供してくれたりする情報があれば、シューティングヘッドのシンキングラインを15m投げられるだけで海でお魚釣れたりするんです。
 海のフライフィッシングだからといってあんまり難しいモノだと考えなくていいけど、海のフライフィッシングで魚釣れない人間が、ルアーなら餌なら魚釣れるかっていったら、ろくに釣れるわきゃないって話で釣りそのものにつきまとう共通の難しささえやっつける気概があるなら、いまフライフィッシング全体がブームもしぼんで中古の道具も安いだろうし海のフライは初め時かもしれませんよ。と無責任に薦めてみる。

2019年12月14日土曜日

噂のカマスも黄色がお好き?


 カマス爆釣(ッテほどでもないのか?)して、次の作戦の妄想で頭の中が一杯になっている。
 圧倒的に釣れたのが、バークレイの生分解性ワームであるガルプシリーズ、パルスワーム8センチのチャートリュースグリーンブラックフレークオレンジという長ったらしい色名だけど要するに黄色とオレンジの派手な色で、白と明確にアタリの数が違った。
 紀伊半島は黄色が効くっていうのが自分の中でそろそろ信仰と化しつつあって、全てのルアーを黄色く塗れと、ローリングストーンズの”ペイント・イット・ブラック”の伴奏が頭の中で鳴り始める。ペイント・イット・イエローが最近の私的脳内流行。

 まあ実際には、隣で釣ってた投げサビキのジ様のサビキは黄色くも何ともなかったので、黄色くなくても良いのかも知れないけど、色目で迷うのってあんまり良いことなくて、安定した堅い釣果の色が自分の中にあって、それを信じて投げ続けられるというのは”その日の状況にマッチしたカラーをチョイス”とか釣り具売る側が仕掛けてくる洗脳にハメられてあれこれ迷ってルアー交換してるより結果は良いと信じている。迷ってる暇があったら投げておけってことだと思う。
 この色は違うんじゃないか?っていう迷いは焦りにつながり、巻く手を早めてしまいルアーをしっかり狙った棚で狙った速度で引き切れなくなる。
 以前にもどこかで紹介したかもだけど、何本もハリを付けて引っ張る”ひき縄”でタチウオを釣る漁業者が自作のテンヤに掛ける餌として切り身餌とエコギアのワームを使ってて、活性上がってくると餌もちの良いエコギアを全部のハリにかけるんだけど、この時に色がピンクだけで取材記者だったかが「状況によって色変えた方がイイのでは?」と聞いたところ「それをやり始めると当たった時は良いけどハズレが怖い。トータルで見ていくと実績の色でずっと通す方が水揚げが多くなる」ってなことを答えててナルホドナと思わされた。下手に換えると最悪いつも間違った色でハズシ続けることになりかねない。
 もいっちょ紹介。昔の「東北の釣り」の実験コーナーで色縛りかけた釣り人と色自由に選んで良い釣り人のシーバスの釣果比較の報告があって、思いっきり自由に色選べる人間が成績悪く、蛍光系だけとか、ナチュラルカラーだけとか条件付けられた釣り人の方が釣っていた。1回の実験で結論づけるのは早計かもだけど、狙いがハッキリするので作戦が立てやすいのや、迷わなくて良いのが良いンじゃないだろうかと考察していて、これまたナルホドナと思わされた。

 ってことで、迷わず釣れた派手な色のパルスワーム8センチをアマゾン様に発注かけたんだけど、なにげにお高いのよね。8本入りで600円チョイは1本百円近くしてて、結構シッポ噛み切られたりして、そうなると食わなくなったりで消耗する。シッポなしはストレートワームとして根魚釣りに回せば良いっちゃいいんだけど、固いルアーで釣れればワームほど消耗しなくて金かからんなと思うンだけど、ちょっと試したコーモソナーは反応なくて、色が黄色じゃなかったのが悪かったんじゃないか?とか妄想し始めたら止まらなくなった。
 ということで、蔵にある水深ある船だまりである程度ストンと沈めてから引っ張ってこれる固いルアーでなるべく黄色いのを選んでみた。
 まあ、そういう用途なら鉄板系含めバイブレーションだよねと思うので、蛍光黄色のシコバイブ、コーモソナーの仇を討つべく本家ヘドンのソナーフラッシュが鉄板系、その下拾った名前誌知らんバイブレーションを”紀伊色”に塗ったの、マールアミーゴにレンジバイブの名作コンビにバイブレーションなのか何なのかローリングベイト、クルクル系は後ろのペラばっかり囓ってきそうなので小ぶりなリトルジョージにしてみた。
 あとはメタルジグが黄色いのなかったのでオレンジのとピンクの、スプーンは在庫してたはずの蛍光黄色のチヌーク17gが残り1個しかなかったので、バイトとチヌークの10gぐらいのをペイントマーカーで片面ペイントイットイエロー。
 ちょっと迷ったのがハリで、シーバスみたいにドンと出てひったくって反転って感じじゃなくて追尾してきてハグハグ食ってくるっポイので掛かる確率上げるのにはトリプルフックの方が良いのかなとも思うんだけど、かなりしつこく追い食いして掛かるまでガンガン食ってきてたので掛かってからのバレにくさ重視のシングルフックでも良いかもしれん。けどやってみンと分からんのでどちらも用意した。
 アシストフック2本付けも試してみるけど、太いPEの部分が歯で切れそうでちょっと不安もある。これもやってみんと分からん。

 という感じで、次に群れに当たるのはいつか分からんけど、機会が来たらじっくり試してみたい。
 金を掛けずにというなら、ジ様方式で一番下にオモリつけた胴付き仕掛けで2本サビキ付ける代わりにフライを付けてっていうのも、あれこれ工夫できて楽しいかもしれない。
 フライロッド振れる場所ならそうしたい気もするけど、後ろに高い堤防があってちょっと自分の技術じゃなんとも奈良漬け。
 カマスが水深のある漁港とかに滞留するのは通常冬の間らしいので、冬の楽しみができて良い感じである。

2019年12月7日土曜日

カリッとはしていないけどサクッといけるルアー製作



 ルアーなんて、魚釣れればいいって程度なら作るの難しくないって昔も書いた
 いろんな小難しい屁理屈つけて新しいルアーが釣具屋に並ぶけど、昔からルアーに求められる要素もそんなに変わるわけじゃなし、売れるルアーを作るのは難しいんだろうけど、釣れるルアーなら今まであまた作られてきたルアーをお手本にすれば、”図工”レベルの技術で何とかなるものである。

 今私は無職であり、なるべくこの働かなくて良い自由を満喫するべく、食費を始め諸経費切り詰めていくというのを、ある種の”遊び”として楽しんでいるところなんだけど、極論すれば楽しく生きるために仕事辞めたのに、楽しみのための経費を削って楽しみ自体が目減りしてしまっては元も子もないと、電子書籍やネット動画配信サービス、それに釣り具に掛けるお金は極力安く上げる努力はするけど”買わない”という選択肢はとらないことにして、欲しくて必要だと思うモノはためらわずに購入する方針でコレまできたところ、書籍や動画はたいした金額にならなくてホッとしたモノの釣り具関連があからさまに家計を圧迫してくる状態。
 まあ、新天地で新しい釣り場や釣りモノを開拓していくにあたって、新しいルアーが必要になってくるなんていうのはある意味仕方なく、シンペンが効くってなったらワンダースリムやら海爆リップレス、フラッタースティックと新品中古買いあさって弾数揃え、やっぱりチヌにはCD5だってなると、蔵の在庫では心もとなくなって買いあさるって感じで、一年回して必要なモノを買いそろえた後なら、それ程買い足しする必要はなくなるので落ち着くとは思いたいんだけど、暇は魚釣るには忙しいちゃ忙しいんだけど、2日操業1日休みが体力的に良い感じなので、休漁日にはある程度時間ができるんだし、ルアーなんて作っちまえば良いじゃんということになった。

 とりあえず、ミノーは意図する動きを出して安定して同じように作っていくにはちょっと手間が掛かるけどシンキングペンシルはぶっちゃけ、重量のバランスと形ぐらいしかいじる要素なく簡単なはずである。
 それじゃあいっちょ作ってみるかとあいなった。

 シンペン自体は、川崎でも”自作シンペン”は良い仕事してくれていて作成経験ありである。
 とはいえ、川崎御近所ポイントで使ってた自作シンペンはスレきった都市河川のシーバス対策で”動かない”のが売りだったんだけど、当地では普通に動いた方が圧倒的にシーバスの反応が良いと感じている。
 そして、色なんてなんでも良いって思ってたけど(今でも割と思っている)紀伊色が良いって思い込んでおけば色で迷う要素がなくて集中できるので、黄色と白のツートンの”紀伊色”のが良いだろう、ってことで紀伊半島仕様の自作シンペンを作ってしまおうということになった。


 作り方も以前もちょっと紹介したけどもうちょっと丁寧に解説してみる。
 まずは、シンキングペンシルが尻を振って動くのには2つのタイプが有るんじゃないかと思っていて、中間的なのもあるけど、片方が尻を下げてボディーのお腹に受けた水流を受け流すことで尻を振るタイプで、海爆リップレスがこれ。もう一方がルアーの背中で水を切る感じで受け流して尻を振るタイプでフラッタースティックとかこっちかなという感じ。
 というわけで、後方重心にして水を受ける頭の部分を斜めに上向けてアイを上に付けたタイプと、中心に重心を集めて背中をやや盛り上がらせてアイは真ん中へんに付けた2タイプをまずは作ってみた。
 作り方は、0.55mmのステンレス線で骨組みを作ってスズハンダで重量付けて割り箸にくくりつけて腐蝕止めに塗装。というこの段階でも”お手元ルアー”として使える状態にして、ここからバチより太さのある魚食ってるヤツ想定でボリュームが欲しいのと、水を受ける表面積も欲しいので肉付けする。


 肉は手芸用のアクリルフェルトの白と、黄色は派手な黄色は何かないかと探したら、自分ちの蔵のフライマテリアルの棚に”オレゴンチーズ”色のエッグヤーンがあったのでそれを使う。
 基本的にフライタイイングに近いって書くと、全国のフライマンからそんなタイイングしてるのはオマエだけやッ!って突っ込まれそうだけど気にしない。
 盛り上げたいところとかにはあらかじめ肉もっておいて、グルグルと巻き付けてフライタイイング用の糸でグルグルとボンレスハムのように巻いていく。
 巻いたら、脱酢酸系のシリコン接着剤を酸っぱ臭いの我慢してネチョネチョと繊維の隙間に浸透するように練り込んでいく。ある程度この段階で好みの形状に整えられる。
 昔、プラスチックワームで家内制手工業で手作業で金型に流し込んで作ってる”ハンドポワード”なワームがあったけど、英語的に違ってる気がするけど1日ほど放置するとハンドポワードなシンキングペンシルの完成である。
 綿系の素材をシリコンで固めて成型するというのは、海のフライの世界でポポビクス先生が開発した手法で、知ってる人なら知ってると思うけどそのルアーへの応用。
 昔っからこの手の柔らかい樹脂製のプラグって存在して、古くは変態軟体ルアーメーカーのバーク社トップドックとか経典「ブラックバス釣りの楽しみ方」に載ってたぐらいで、いまでもマドネスのシリテンバイブとかあって私も使ってる。
 こいつら、経典ではミスキャストして対岸の岩にぶつけても音がしない、って紹介されてたように音を立てることが少ないので、ハリ音も少なくできるってのがあって異音に敏感になったスレたシーバス狙いの”自作シンペン”にはそういう意図もあってこの作り方を採用したんだけど、今回は単に作るの簡単だから採用している。
 柔らかい樹脂製のボディーのもたらす影響について、ケン一が先日面白い考察をしていてナルホドナと思わされた。水中では音っていうのは重要な要素でハリの音が小さい云々より、周りの環境の音が跳ね返ったり吸収されたりする時に、固いプラスチックや木製のプラグと柔らかい表面素材のプラグとでは違いが大きくて、魚食魚の”ソナー”に対するアピールの仕方が違ってくるんじゃないか?ってやつでありそうな気がする。
 とはいえ、使ってみた感想としては今のところ固いワンダースリムと明確な違いを感じるほどではなく、泳いじまえばそっちの水をかき回す要素のほうが大きいってことかもしれない。でもシリテンバイブは妙に強いときがあるのでそういうことはあってもおかしくないと思っている。

 2タイプ作ったうちの後方重心タイプは思惑通り浮き上がり早く水面に貼り付いてくれるんだけど尻振らなかった。海爆リップレスは小型だから成立する方法かも。
 背中盛り上がらせた真ん中重心のは最初シリコンが浸透してない部分に空気が入って浮いてて焦ったけど、すぐに浸水してシンペン化して思惑通りこちらはユラユラとCDリップレス系の尻振りをしてくれた。魚も問題なく釣れている。
 こっちのタイプをしばらく大きさや重さ微調整して主軸のシンペンに育て上げていきたい。”オレゴンチーズ”色がそう見せるのか、凸凹とボンレスハム状態のボディーがどうにも湖池屋スコーンにみえてしかたないので「スコーンペン1号」と命名する。
 シリコン接着剤で巻き付けた綿系素材を固める方法は初公開かもしれない。秘密にしておいても良かったけど、見た目がショボいルアーは真似する人がほとんど居ないということは経験上分かってるので、読者の皆様にだけに大サービスで教えちゃいます。自分で作ったルアーで釣ると楽しいので今までルアーメイキングというと、銀紙貼ったりエアブラシで塗装したりとやたら面倒くせぇ印象があったかもですが「このぐらいの工作ならオレでもできる」って感じだと思うので、色々作ってみてください。リップもやり方しだいで付けられると思います。

 もいっちょオマケで、有用な工作技術をご紹介。
 ルアーぶつけて欠けたとか割れたとか、折れて後半が水底に沈んだとかだと修復不能だけど、穴が開いたとか欠けた程度ならカナリの強度で修復する方法あります。
 橋の欄干にぶつけたときにお尻が欠けたカクーンは、幸いエイト管を留めている支柱部分は生き残ってたので、欠けた部分さえ補ってやれば復活できそう。
 ということで、瞬間接着剤を欠けた部分に付けて、そこに適度な大きさに丸めたティッシュを押しつけてやって乾燥させる。そして固まったら余分な部分をカッターで荒削り後、サンドペーパーでならすと使用可能なぐらいに復活。
 繊維質の素材を樹脂で固めるってFRP(ファイバーレインフォースドプラスチック)がもろにそうだけど、樹脂だけじゃ強度が足りない場合にそれを補って、かつ成型を容易にする技術で種々応用効きます。先日雨漏り修理するのにシリコンコーキング材でグチャグチャにしたティッシュを大穴に詰めて修理したりました。


 欠けたカクーン、あとは塗装なんだけど、今回はいっそ紀伊色に塗り直してしまおうと全体再塗装。 
 隈取りもペイントマーカーで入れて”紀伊色ハトリーズ風版”という感じに仕上がっちょります。

 ルアーいじるのは買ってきても楽しいんだけど、作ったり補修したりするとまた愛着も湧くし釣りも楽しくなるので、お金を節約しつつ楽しさは削らない方向でうまくやっていきたい。ルアー買いすぎは自重する方向で。
 金なんかちょっとでもメッチャ楽しく生きてやるゼ。

2019年12月1日日曜日

沈黙の水辺と自由の柵

 時事ネタにはあまり興味がない方だと自認している。
 既に地上波テレビ放送とは決別済みなのでニュース番組見てないし、ヤフーニュースの見出しだけみて、トップの半分ぐらいが有名人の薬物・不倫問題でしめられてるのをみるにつけ「そんなモン他人であるワシがなんで興味抱く必要があるねん」と思いつつ、その下のヤフー様がおワシ用に薦めしてきてくれる、「判明、謎の巨大エイが200キロも旅!ダイバーと研究者がタッグ組み追跡」とか「ヤマビルの体はどうなってるの? 吸った血はどこへ行くの? 解剖してお腹の中を見て見ると・・・」とかのワシ好みの記事を読みながらも、「コレってワシの趣味趣向ヤフー様にダダ漏れで監視されてて、思想誘導とかされてても気づきようがないよな」と空恐ろしくもあり、与えられた情報をのんきに消費するだけの情報収集は与えられた餌を疑いもなく食べつづけている家畜のような状態だなぁと感じて”家畜人ヤフー”というしょうもない言葉が頭に浮かんだりしております。

 というような時事ネタにうとい私めでもさすがにコレは世界的な関心事項だろうという時事ネタが最近2つほどあったので、自分の勉強がてらご紹介してみる。
 1つは世界的に使われているネオニコチノイド系の農薬がヤバいらしいっていう話で、つい先日も日本から興味深い報告があったところである、ネオニコチノイドと呼ばれている化学物質は、植物であるタバコが対昆虫用に進化の過程で作りだした毒物である「ニコチン」に似た構造やら作用機序をもつ物質で、ウィキって初めて知った不明を恥じたしだいなんだけど、最初に実用化して1990年代当初に農薬登録したのが日本の企業という「世界の皆さんスイマセン」な衝撃の事実が発覚。
 対昆虫用に特化しているので、散布作業する農家の皆さんとか作物に残留した場合の消費者とかのへの悪影響が少ない特徴などから1990年代以降は世界的に主流と言って良い農薬の一つとなっていったそうな。
 ただ”人体に直ちに被害がない”って言ったって昆虫殺しまくったら生態”系”に悪い影響あるんは当たり前やろなとは思うンだけど、かといって農薬無しで今の農業が成り立つわけもなく、まあ問題出てきたら何か考えるしかないんだろうなとも思うンだけど、実際にたぶんネオニコチノイドが犯人じゃないかと言われている”ミツバチ謎の大量死”とかが起こり始めて各国規制の対象となり始めていて、日本でも公的規制より先に農業団体で自主的に段階的な不使用を目指している、ってな状況になっている。
 そんな中で、そりゃ田畑で撒いた農薬が河川湖沼の水生昆虫殺してないわきゃないよなとは想像できるけど、それが生態系にまで影響を及ぼしているっていうのを証明するのは、何が原因か特定するには使用前使用後の昆虫の数の変化とそれを食ってる魚なり何なり高次捕食者やらの動植物の数の変化が比較できなくては無理なんだけど、ウナギやワカサギの漁業が行われていて、かつ昆虫の数も継続的に調べられていたという珍しい事例が日本にあって、「島根県の宍道湖でネオニコチノイド使用開始と同時にウナギ漁獲量が激減」という報告の論文が「ネイチャー」とともに世界で最も権威ある学術雑誌の「サイエンス」に掲載されて、世界中の関係各位が「やっぱりな」と思ったところなのである。たぶん。
 内容は読んだまんまで、ネオニコチノイド系の農薬使い始めたら、フライマンにはお馴染みの赤虫的幼虫時代に湖の底の有機物とか食べて魚の餌とかになってるオオユスリカが減少してウナギやワカサギが減少してっていうのに科学的に関係性が認められたっていうお話しで、ウナギが絶滅危惧種に指定されるぐらい減ってきた理由に護岸工事とかの河川環境とかの悪化で住処が減った的な理由があげられてるのを、ウナギのどこにでも潜り込んで、なんなら雨の日とかに陸地歩いてでも住めるところ探す、都会の川でも結構な数が居るしたたかさの印象とあまり合致しないので違和感抱いていたけど、餌が減って内水面では数が減ったというのの方が合点がいく。オオユスリカの幼虫とか稚魚期には直接的に重要な餌だろうし、成魚にとっては餌の小魚が減ったら当然風が吹いて桶屋が儲かる系。
 とはいえ、内水面ではそれで減ってるのかなと腑に落ちかかるんだけど、ウナギって結構な数が川を遡上せず海で暮らす”海ウナギ”で海では昆虫が生態系で占める役割は微少なはずで、ウナギの稚魚の来遊量が激減している理由までは腑に落ちない。
 大きな気候変動的な流れの中で、人為的影響なのか自然な増減の範疇なのか不明だけど減少の時期に入ってしまってるのかなというのが、今まで漠然と抱いていた印象だったんだけど、餌生物をやっつけたら高次捕食者まで居なくなった、っていうのが内水面で明確になってくると、海でもそういうことがあるんじゃなかろうかという疑いが湧いてきて、そういう視点で見ると、1つ思い当たる変化が私の生きてきた40数年で起こっている。
 皆さんは「フナクイムシ」という生き物をご存じだろうか?
 漢字で書くと「船食虫」で海の生き物で、木材に穴を空けて木を餌にしている細長いミミズ的なニョロニョロした生き物で、実は二枚貝の仲間で貝殻の部分がミミズ状の体の先の方に木に穴を空ける”歯”のようにチョコンと付いているというけったいな生き物である。二枚貝の仲間なので実は食べると美味しいらしく東南アジアのあたりで食べるところがあるとも聞く。
 こいつが結構な食欲で海に浸かってる木材を食いまくるので、昔は海岸の桟橋とか矢板とか木材が使われてたんだけど、結構穴だらけでトムとジェリーに出てくるチーズの極端なヤツみたいになっていた。
 ただその記憶は小学生ぐらいの頃の話で思い起こせばはや40ウン年前で、その後すっかりフナクイムシが食い荒らした木材を海で見なくなったことに気がついたのは、たぶん大学生の頃に海岸で流れ着いた流木で穴だらけのが落ちていて、そういえば昔は海岸にある木という木は穴開いてたよな、でも今はコンクリやら金属やらの構造物が増えたとはいえ、流木でさえ穴が空けられていないのがほとんどだな。と気がついて、その頃には船底塗料の有機スズ系化合物が海の無脊椎動物とかに大きな悪影響を与えているという知識はあったので、そういうのが影響しているんだろかと漠然と感じていた。
 有機スズ系の船底塗料とかは規制されていき、今現在はずいぶん海の汚染もマシになっているはずなのである。それは高度経済成長期の公害が発生していた頃に比べれば種々もろもろ確実なはずなんだけど、それでも日本の海にフナクイムシが流木に穴空けまくるほどの環境は戻ってきていない。何かが何かを静かに殺している。しかもそれがシラスウナギの極端な不漁の原因なら、ここ10年かそこらで登場した原因物質が犯人なはずで、いったいそういうモノがあるのかないのか、もっと複雑に絡み合ったピタゴラスイッチで激減したのか、今現在の情報では私の中には回答はなく疑問が膨らむばかりである。
 農薬などの人工の化合物が生態系に悪影響を与えることへの警鐘は、少なくとも有名なレイチェル・カーソンの「沈黙の春」の昔1960年代から鳴らされているけど、いうても人間こんなに増えたらそりゃ他の生物やらに迷惑かけてでも効率的に一所懸命食糧生産せねばオマンマの食い上げでしゃあないっちゃしゃあない部分はあると、水産業界で25年がとこ働いてきた人間は免罪符を求めたくなる。
 ただ、釣り人なら水の中からウナギがワカサギを砕く音やフナクイムシが木を囓る音が聞こえなくなった沈黙には耳をそばだて続けなれればいけないのではないかと思うのである。

 もういっちょは、香港のデモの問題。
 えらいナマジには似つかわしくない、政治的な話題だなと思われるかもしれないけど、ワシかて木の股から生まれてきたっちゅうわけやなし、香港にはアフリカンクララとかホンコンオイカワ釣りに行ったときにお世話になった釣り仲間とかも居るから、心配になって「どないなってるねン」って思わんかったら、オマエの血は何色だっ!って話で、ネットニュースの見出しだけじゃなく記事本文も気になって読んでたりする。
 デモ隊の一部が暴徒となって暴れてるっていう”公式発表”が全部嘘だとは思わないにしても、どう見ても体制側の都合の良い”大本営発表”なんだろうなっていうのは想像に難くなく、デモの激化の直接的原因になった犯罪者引き渡し協定の改正案が、ホンコンの人間を中国本土にしょっ引いていってお裁きを受けさせることができるようになるっていうのだと知ると、そんなことされたらそりゃ英国統治下時代から続く自由は大きく侵害され、中国共産党体制の思うがままに都合の悪い人物はしょっ引かれて適当な罪おっかぶされて処刑されるのはワシでも分かる。
 昔、中国共産党の偉いさんが”造反有理”(我々の革命の中にこそ真理が存在した、転じて「抵抗には理由がある」的意味で使われる)って言ったらしいけど、そのまんま今のデモの参加者の心中を表しているんじゃないだろうか。
 自由って、日本のように米国から押し売りされるような形で与えられた国に居るとあんまり実感できないけど、それを奪われている体制下では彼の国の歴史的に有名な”天安門事件”の一場面を切り取った写真で思い知らされるけど、戦車の前にたった一人で立ちはだかってでも戦って勝ち取らなければならない尊いモノだというのが想像できるとともに、今こうやって好き勝手書いててもなんにもおとがめなしっていうのがいかに恵まれてるかってのも感じる。
 中国共産党体制側としては、そんな反党的といえる自由を香港にだけ与えていたら、今の時代情報統制って言っても限度があるから「なんで香港だけあんなに自由があるんだオレたちも欲しいっ!」って今まで戦車まで出されて弾圧されてきた中国本土の人民もそのうちブチ切れるのは、東欧のプラハの春とかアラブの春とかで実質的な独裁政権が民意でコケてきた歴史的前例を見ると逃れがたい流れであり、内実戦々恐々としているんだろうと想像に難くない。
 中東情勢とか見ると春の後に混迷が続いてるように見えて体制コケたらコケたでもめるのかもしれないけど、それでも独裁的体制側の都合の良いように自由を踏みにじられ続けるぐらいならコケてしまった方がよっぽど良いと思ってしまう。
 今回の香港のデモの問題について、私の立場は明確に”造反有理”で香港住民の自由を応援したい。そして早く平和な日常が戻ることをお祈りすることぐらいしかできないけど、お祈りしつつ、ここにグチャグチャッとなんか書いて支援したつもりになっておきたい。
 
 自由ってなんだろうって、よく考える。今の生活は仕事もせずに好きなときに好きなだけ釣りに行っていいというとっても”自由”な生活なんだけど、それでも「今の蓄えが尽きるまでの当面」っていう制限があるし、そもそも体力的な制限もある。
 古代ギリシャのフィリッポス2世とその息子であるアレキサンダー大王に仕えたエウメネスを主人公とした歴史マンガ「ヒストリエ」でエウメネスの恋人が王家に輿入れすることになって、エウメネスは憤るんだけど、達観してるんだか諦念なのか諭すように、個人の自由を柵の中の範囲のようなものだと例えたうえで恋人が口にした「地平線まで続く”自由”などありえない」っていう台詞は胸に突き刺さってカエシのついた棘のように抜けない。
 私の当面の自由は、5年後に金銭的な柵がきて尽きてしまうのかもしれない。
 それでもその5年間の自由を得るために、25年そこそこ苦労して働いたのは自分なりの自由への戦いだったんだろうなと思いたい。
 今はその戦利品であるつかの間の自由を目一杯楽しむことにしたい。
 なんかよく分からんけど、自由って素晴らしいと思うよ。