2026年9月26日土曜日

ついでにコーモラン

  B級好きなら避けて通れない、キングオブMede in Japanパチモノなコーモラン。まあお世話になった世代で、思い入れもあるけど、そこまで蒐集欲をそそられない。なんでか分からんけど。でも、まとめて買うと送料お得感が出るという謎の動機や、そもそも一山いくらで売りに出てるのに混ざってきたりして、それなりに蔵に転がってる。まあ今回はそのあたりをいってみます。

 ま、コーモランといえば、ハズレ引くとまともに動かんってのがお約束で、この機会にコーモじゃないかもなパチもんも含め、試し投げの結果も含めご紹介していこうかなと思います。とりあえず第1弾。こんな感じ。

 全体的な感想としては、意外にみんなまともな動きというか、良い動きしてて、ガキの頃「横向いてまともに動かんやんけ!」と憤慨したのは、ラインアイをペンチで左右に曲げるいわゆる”トゥルーチューン””アイチューン”という調整方法を知らなかったからというのもあったのかもしれないと思わされた。コーモランに限らずだけど中古で手に入れた状態でまともに動かないチューニングが狂ってる個体が多いってことは、みんなちゃんと調整してないのでダメルアー認定で中古で売うっぱらってるんだという気もする。チューニングの仕方知ってると、逆にわざと斜めに泳がせて岸壁沿いに当てつつ引っ張るとかもできるってのもあるけど、まあまともに使うために必ず知っておいた方が良いと思う。ラパラの箱には昔チューンの方法書いてあったような気がするけど、ペンチで摘まんで泳ぎが曲がる方向と逆に曲げるだけである。

 で、まずはミノー系。一番上のは「スーパーコッド」という名前のミノーで、コーモランがパクりじゃなくてオリジナルなルアーを世に出し始めた頃のルアーのようで、頭出して縦浮き系でノタノタと緩く泳ぐ感じで、頭を突っ込ませてお辞儀とかのトップウォーターミノーイング用に作られているらしい。ネットとか見ているとアルミ貼りでもっと豪華なのもある。側面平面系なのでアルミ貼りだとギラッギラして確かに良さげ。2番目のはコーモラン版ロングAのジョイントタイプ「フォルテシモ」これは、あまり潜らず良い動きすると教えてもらってて見つけたときに確保したもので、これのジョイントじゃない「フォルテ」は「コーモランのロングA」と呼ばれて、ガキの頃仲間内では釣れるルアーと認識されていた。フォルテシモも実に良い動きでこれは釣れるという感じ。で3つめはスピードシャッドっぽい形に尻ビレがついている「ビブフラット」だと思う。コイツも本家に負けず劣らず良い動きしている。

 でお次がクランク系。一番上、人気のの「マルちゃん」シャロー巨人ヘルメット版はメットが邪魔で泳ぎ破綻するかと思ったら、意外に普通にちゃんと泳ぎます。問題なく魚釣れそう。まあ元ネタがファッツオーなら動いて当たり前かとも思うけど、元ネタ通りに動かないのがあるのがコーモランクオリティというのもあって、ちゃんと動くとお得な気分になる。中段右は「ベイビーバグ」で本家のストーム「バグプラグ」よりリップが立った形状だけど、良く水を噛んでブルブルと小気味よく泳ぐ。中段左の名前が分からんけどリップに刻印ありのレーベル「クロウフィッシュ」系もつぶらな可愛いお目目で元気にぶりぶり泳ぐ。ここまでまともすぎてつまらんぐらい。で、下段の2個はコーモかどうかも分からんパチモノで、さすがにまともに泳がないのではと”期待”したけど、右側の素朴なシャロークランクは普通に泳いだ。左のディープダイバーっぽいのが一番危なっかしくて、リップが大きすぎるのかフラットフィッシュを思わせるような、つんのめるような動きが混じって早引きするとひっくり返ったりする。でも使えないってほどじゃなさげ。案外この程度でも魚良く釣れそうには思う。

 で、もいっちょはトップとスプーンで、スプーンはオークラのコーモ版で「コデット」でいいのかな、これは本家の薄っぺらさを上手くパクってる感じでわりと良い動き。コーモのスプーンは北海道仕様のパチ「ドサンコ」が使えると人気らしい。今でも売ってるけどプレス用金型壊れて主力の重さが廃盤になるとか。ちなみにパラバンのバッハスペシャルが元ネタ。ベビトーっぽいのはパクられがちなのでコーモじゃないかもだけど、コーモなら「トップー●」とかの名前だと思う。まあこの形でやることは引っ張ったらペラが回れば十分で、そこはなんなくクリア。で、今回是非泳がせてみたかったのが、「バッカス」またの名を「TOP-4」というヘドンクレイジークローラーのパクりで、これ人によって「泳ぎ不如意」「羽いじっても何やっても泳がない」という意見と、「ちゃんと泳ぐ」「本家のオリジナルとタイニーの中間の大きさなのでローテに入れている」とかいう見解とに大きく分かれる。この形で泳がないってないだろうって思うけど、名前が酒の神バッカスだから酒飲んで泳いで溺死してるのか?とか謎だったけど、今回泳がしてきました結果、この個体はちゃんと”羽モノ”の動きで泳ぎます。泳がないっていう意見が散見されるのはなんでだろう?個体差か、あるいは動かない仕様だったのを後年変更したとかか?いずれにせよちゃんと泳ぐ個体もありま~す。ちなみにフローティングワームヘッドの「パクパク」は今回出してみたら表面塗装が溶けて、袋にべったりとくっついてしまってて泳がせることはかなわなかった。古いコーモランの塗装がベタベタに溶けてしまうのはたまに聞く。

 でお次が第2弾なんだけど、「ビッグO」タイプのシャロークランク達で、こいつらコーモランじゃないパチモノが多い。じつは白ベースにグリッターが振りかけてあるのは、コーモの箱に入ってネットオークションで売られてるのを見た記憶がありコーモラン製だと思ってたけど、違うブランド名のパッケージに入ってるのも散見され、どうにもコーモではない気がしている。っていうかこのあたりの、古いパチモノシャロークランクは複雑な事情が絡むようで、興味持って調べてる人も少なく、資料も現物箱入りぐらいしかない状態で、思わぬところに深い沼として存在していて足を踏み入れた人間を飲み込む。ワシっ、もうダメかもしれぬ・・・ブクブク。

 そもそもは、神奈川在住時に近所の黄色い中古釣具屋(ああっ懐かしい!)で件の白ベースグリッターのを手にしたところ、ノンラトルでかつリグも鉄板リグで興味を引かれるモノがあり、シーバスに投入目的で2個同じのがぶら下がってたのを買ったと記憶している。値段は300円ちょいの在庫処分価格だったけど、その値段にふさわしいショボい作りのクランクベイトである。買った当時は名前もないような国産パチモノだと思ってたけど、前述のようにコーモの箱に入って売られているのを見かけたので、コーモの一味なのかと納得してたんだけど、これが別のネット記事で「サンゴルアー」のパッケージに入ってるのもあると知り、コーモじゃなかったのか?と思ったんだけど、これそんな単純な話でもないようである。同じような鉄板リグのクランクを安くネットオークションで見つけて確保してみたら、今度はラトル入りでかつ塗装の感じもちょっと違う。で、色々と探ってみるとサンゴルアーの方は他にも鉄板リグのミノーとかもパッケージ入りで出てくるけど、プラグ以外にもパチモノ臭いルアーがこのブランドで出ていたようだ。会社は「TONOSAKI FISHING HOOK」というハリ屋のようで、フックを納入しているつきあいからか、どうもパチモノのルアー作ってるような会社から流れてきたブツを自社ブランドで売ってた気配がしてくる。そうなると製造元は別ブランドにもパチモノ作って流しててもおかしくなくて、 コーモランが自社パッケに入れて売ってても不思議じゃないし、コーモランが製造元っていう可能性も否定できない。こんなもんただでさえ40,50年昔の話で、まともに資料も証言も残ってるわきゃないので想像するしかない。

 しかし、もういっちょの青いラトル入り鉄板リグの方は、どうも香港シェイクスピアが作ってた「ビックSHAKER」シリーズのミディサイズの売れ残り在庫の横流しバッタものの可能性が出てきた。SHAKER(シェイカー)シリーズも時代によってリグが普通のエイト管だったりするけど、香港時代のは鉄板リグのもあったようで、本物?は腹にペイントで名前が書いてあるので、箱入りでなくても分かりやすいんだけど、これが、腹に名前の書いてあるモノが「KYOTO」というパチモノ感丸出しの製造元不明のブランドのブリスターパックに入った状態で出てくる。これなど、当時日本でシェイクスピアの企画やらもしつつ代理店してたのはコーッタックらしいけど、香港の製造元がコータックに収めなかった余り在庫をそのまま適当な日本語っぽいブランドロゴのパッケージに入れて売ったんだろうと見てとれる。面白いのは、同じ「KYOTO」のパッケージで同じような造りのクランクが、銘のない状態でも存在するところで、写真の小さめの方は銘がない。ついでにエイト管。でもネット画像で出てくる銘ありエイト管の個体と独特の出目の作りが同じに見える。そうなると正規に発注元に収めなかった余った在庫品のみならず、調子に乗って同じ型使って生産して無銘のままKYOTOブランド?で売ってたのではないだろうか?だとすると、製造元と企画販売元ブランドが異なっててって話で、製造元が正規に発注元に納めたモノ以外に流通させたバッタモノが出てくるのはある意味当たり前で、香港だろうが中国だろうか韓国だろうが、もちろん日本だろうが、こういう適当にパクったパチモノなのか正規品の横流し的バッタものなのかわからんのはいくらでもあって、今更パソコン椅子探偵が頑張ったところで「真実は一つ」とは特定し得ないし、真実が一つとも限らないのではないだろうか。ワシも若い頃、スピードスティックの銘を入れる前のダイコーからの横流しバッタモンという竿を愛用していた。クランクベイトではザウルスが「ジャララ」の名前で売ってた体側に溝が入るブランクスが、あちこち出回っていろんなブランド名で出てるのも、わりとB級好きには有名な話かと思う。鉄板リグとか目立つ特徴があったので今回ある程度推理しようとは試みたけど、そもそもビッグOっぽいパチモノクランクで普通のエイト管リグのなんて推理のとっかかりもないぐらいありふれているだろう。

 で、昔のは分からんでも今のパチモノなら追えるかというと、製造元が東南アジアの新興工業国あちこちに広がって、かつ製造(コピー)技術も上がっているので、やっぱりわけの分からん出所不明のパチモンが出てくる。写真のブツも側面の溝からバンディット「200」かなと思って安かったので手を出したけど、バンディットにこの歩脚まで書いたザリガニカラーはないようだ。このザリガニのプリントカラーはボーマーにはある。でもボーマーにこの形のルアーがない。ネットの海に潜って調べていると、ブランド名もクソもない、紙に英語ワープロ書きの「CRANK BAITーDeep Daiver」 サイズ2、カラークローダットとかプリントアウトされたシールが貼られたブリスターパックで、同じモノが売られているのを見つけた。見つけたけど情報少なすぎてどこのどなたが作ってるのかさっぱり分からん。

 というなかで、実際にルアーを投げてみて思ったのは、ビッグOタイプのパチモノはだいたい良い動きをするなということで、当時は飛距離がどうとかあまりいわんかったので、オモリも入ってるか疑わしい限りの軽い作りで、ポカンと浮いてキビキビと泳ぐ。クランクベイトのあの形は、太いボディーで浮力を確保し、水をたくさん押して動かしつつブリブリと泳ぐという機能のために、開祖フレッド・ヤング氏が設計したもので、パクりは褒められたモノではないけど、パクってもそれなりにその設計した意図のとおりに機能するというのはヤング氏偉いッ!ってことなんだろう。思わずもっと欲しくなってビッグOパチモノを意味もなく買ってしまった。ついでに見つけたオリム「ビックI」?とウィーRパチで鉄板リグの「DAE YANG 」にもマウスが滑った。こいつらもパチモノそのものだけどDAE YANGは妙にできが良い。けどちゃんとリップに名前が書いてあるのは偉い。ビックIとか名前どこにも書いてないので他のパチモノと区別するのが難しい。ケツがヒートンであとはカラーがそれっぽいとネットで見比べて見分けてみたけど正直自信がない。同じようなパチモン他にもあっただろうし、同じモノが別の名前で出ていてもおかしくない昭和の混沌。あとクロームカラーのもノーマン「リトルN」かもだけどノーマンは銘を入れないのでパチに紛れると分からんくなる。そいつを含め上から2段目は全部エイト管モノでそれぞれ目の処理が違うので製造元は少なくとも違うっぽい。にしても、古くて安っぽいパチモノには意外に鉄板リグが多いのは真鍮の板を打ち抜いて穴開けるだけの鉄板リグの方が、ステン硬線を曲げて作るエイト管より安く上がるとか理由があるのだろうか?実は上の写真の真ん中の段の同じパーチ柄の鉄板リグモノ2つ、片方だけラトルが入ってる。もう、わっけわからんな。なんにせよ買いすぎで、アタイ病気が憎いッ!思わずシャロークランク以外の鉄板リグモノにも誤爆している。ついでにパチモノ界隈では大御所の一角ザ・プロデューサーズものもなぜか蔵にあった。一瞬ピーナッツⅡDRに見えるけど表面の鱗模様が独特だし銘がちゃんとある。堂々としたものである。パチモノではないけどダイビングクランク繋がりで誤爆したバークレー「フレンジー」はなにげに新型。金型新しくするぐらい売れたということだろうけど、エエんかアメ人的にはあれで?パチモノ軍団と並べても何ら遜色のない胡散臭さはなかなかのものである。

 今時の”良すぎる”パチモノは正直ワシ使いたくないとこれまでも書いてきた。苦労して開発したり、釣り方さえ提言して売れるところまで育てたルアーを安易に丸パクされて、その市場を食われてしまうとすれば、まともに開発、開拓するのが馬鹿臭くなって、先駆的なルアーメーカーがいなくなりかねない。ただ、40年から昔のショボいデキのパチモンルアーに関しては、笑って許して味わうのも一興かなと思ったところ。

 ちょっとコーモ以外のルアーに話が逸れたけど、コーモランも既に昔のパチものだけのメーカーではなく、いまだと「VIVA」ブランドや、ちょいまえの「プライアル」ブランドでオリジナルの自社製品を世に出すようになっている。とはいえまだ、ヘドン「ソナー」をパクったロングセラー「コーモソナー」も2代目になってしっぽの方がちょっとかっこつけてあるようになって健在だったりする。ソナーって音波探査機の類いの一般名詞でもあるけど、ルアーの世界では当然ヘドンのそれで、それをルアーも丸パクしたうえで、バス釣り少年がフォルテを「コーモランのロングA」と呼んでたのと同じようにコーモラン公式が堂々と「コーモソナー」と命名していたその度胸はちょっと笑える。現在オリジナルな製品が多く、わし次の冬用にコーモラン製の魚バサミなんてのも用意したところだけど、パチモノの王者としての仕事もまた忘れていないようだ。ビックバドのサイズ違いとかも出してるはず。しかも良いできだと高評価。まあ、パチモノは褒められたことではないけど、コーモランなら仕方ないと思わされるぐらいに歴史と伝統のあるお家芸ではあると思う。フロッグの世界では、ほぼスナッグプルーフに端を発する上向きダブルフックの中空タイプが席巻し標準仕様となってしまった中で、脈々といにしえの上向き1本フック”ガルシア”方式を「かへるくん」の昔から、現代の「愛アマカエル」で今に伝えてるのとか、なかなかに味わい深いモノがある。

 ということで、 ルアー図鑑うすしお味第93弾は愛すべき”キング・オブ・パチルアー”コーモランと、よく分からんパチモノクランクあたりでいってみました。ちなみにコーモランって鵜のことだけど、知ってました?

2026年9月19日土曜日

当たり王

 ストライクキング社は、1964年創業の古くからある米国のルアーメーカーだけど、むしろ若いルアーマンのほうがなじみがあるんじゃなかろうか、なにせプラドコやラパラの軍門に降らず経営者は変わってたとしても独立したメーカーとして生き残ってて、バスプロのケビン・ヴァンダム氏と組んで、KVDシリーズのシャロークランクやら、沈むときにブルブルしながら沈む”シミーフォール”とかでブームを引き起こした「レッドアイシャッド」っていうバイブレーションとかで、トーナメントシーン中心に気を吐いている。ワシもディープダイバーで急速潜行得意な「XD」シリーズは特に海水で太いリーダー背負って3mラインを攻める時の「5XD」を中心に愛用していて、「10XD」でスーパーディープクランクの釣りを開拓した先進性と共に、あとで触れるけど「5XD」の完成度の高さ釣る能力の高さには惚れ込んで投げている。令和の時代になっても貼り合わせのバリとか残ってる仕上げでも、実釣能力はさすが本場のトーナメントで鍛えられたアメルアらしい強さのあるルアーである。若い釣り人にはそういうイケイケなルアーブランドとして目に映ってるかもしれない。

 でも、おっさんたちは「ん?」そんなご大層なメーカーだったっけ、ってピンとこないだろう。まず何作ってたっけ?っていうと80年代バス少年達に一番なじみがあったのが「ダイヤモンドワーム(正確にはダイヤモンドバックワームか?)」っていったら、ああ、そんなんあったな。と思い出してもらえるかもだけど、もっと有名なのは、ダイワの「ピーナッツ」の生まれがSRはそのまんまストライキング社の「ピーナッツ(S)」でDRが「ダンスキング」で、ダイワのピーナッツ、ピーナッツⅡ一族に連なる始祖を作ってたメーカーとしておっさん&ジ様界隈には一番知られているのではないだろうか。写真のがそいつら。ピーナッツをネタにしてから欲しくなってしまい、バス模様のリアルプリント柄のが雰囲気あって実に良いんだけど、高くて買えなかったのよ。相場で4千円がとこしている.写真のこいつらは半額程度で、でも悪くないとは思う。とくにピーナッツの派手な色とサイコな目はストライクキングっぽさもあって良い。ダンスキングは樹脂の素材が堅いのかラトルの響きが高くて良い音鳴る。

 ダイヤモンドワームに限らず、ダイヤモンド型の表面加工にはこだわりがあったようで、スピナベのブレードにもダイヤ模様のがあったはずだし、ワシんちの蔵からも写真上、バイブレーションの「ダイヤモンドシャッド」がパッケージ入りで出てきた。まあ地味であんま人気のないメーカーのルアーで、買ったときにはたたき売りされてて290円とかで3つほど買ったけど、陸っぱりでシンキングのバイブレーションって若い頃のワシも含めアホの所行であり、根がかって失くして結局パケ入り1つしか残ってない。ダイヤモンド状の表面加工が起こす乱反射が魚の反応を引き出して劇的に釣れるとかなら、たたき売られてなかっただろうし、ワシももっと探して弾数増やしてただろうけど、まあ安かったので買ったけど、それっきりである。ただ、ダイヤモンドシャッドが最初のダイヤ表面バイブレーションじゃないようで、名称不明のバイブレーションとして写真下のボーマーの「ピンフィッシュ」みたいな丸っこい形状で表面がダイヤ状のバイブレーションが格安で出てきて確保。入札前に、たぶんストライクキング製だろうなと思ってネットで検索かけたら、その時は出てきて名前も判明してストライキング製で正解というのも分かったんだけど、いざ入手して今回ネタにしようとして名前も忘れたので再度ネット検索したらこれが出てこない。同じルアーがネットオークションに出品されてるのとか引っかかってきたけど、やはり名称不明で出てる。入札した日にち前後の検索履歴とかから調べようとしても上手くいかなくてイーッとなってたけど、別件で”B列伝”を読み返してたら、さすがという感じで出てきて「シミーシャッド」と判明。こっちの方がやっぱり古い時代のものだった。ネットの情報は玉石混淆すぎて欲しい情報にたどり着きにくく、その道の権威の書いたものにあたるのが結局早いっていうことか。まあいつも書くようにどちらも上手に使いわけるのが王道。で、”シミー”シャッドという名前から、ひょっとしてコイツが”シミーフォール”するバイブレーションの原点か?と思ったけどそんなことはなくて”シミー”自体の意味は細かく揺れるとかなので、そういう名前ってだけのようだ。くだんのレッドアイシャッドの制作にはオモリを3カ所に分けて配分してどうたらこうたら理想の動きにするのに苦労したとかなんとか。ちなみにデュエル(ヨーヅリ)の「ラトリンバイブ」がシミーフォールの”元祖”を名乗ってて、現行のラトゥールシリーズでもれいによってデュエルお得意の”お化粧直し”して生産されているようだ。まあ、シンキングのバイブレーションなんて使わんから買わんけどな(ハッ!シミーシャッド買ってるじゃん)。

 で、まあピーナッツとダンスキング探してたら、別のクランクにも誤爆してしまった。こいつは「リトルS」って名前らしく、いわゆるクランクベイトの”アルファベット戦争”の時代のいかにもなネーミングだけど、調べたけど「ビックS」との2サイズの展開だったようだ。でリトルと言っても結構大きめでデカピーナツ級。でついでにもう一つの頭文字Sのシェイクスピアから「ビッグS」というのが出てて、サイズ違いで「ミディS」「リトルS」というのもあるようでややこしい。その辺の問題もあったせいか、シェイクスピアの方は正式には「リトルSHAKER(シェイカー)」っていう名前のようだ。シェイクスピアのシェイカーシリーズは鉄板リグの時代もあってビックSはヘドン「ビックヘッド」のそっくりさんで紛らわしかったりややこしいルアーで、また別途ネタにしたい。もちろんそちらにも誤爆しているからな。アタイ病気がにくいっ!

左から、ビックO、ピーナッツS、ピーナッツⅡ
 でもって、上のリトルSの意匠の素晴らしさよ、子供のお絵かきみたいな表情がとても良いと思う。何でもかんでもリアルお魚模様にしてるしょうもない国産メーカーと違いデザイナーが仕事してる感じがして好ましい。思わず使う予定などみじんもないのに2発目もチュドーンと誤爆。こいつ売れ残ったのか在庫処分で「トムマンアップロード」っていうトムマン印のパッケージでも売ってたようだ。まあ百花繚乱のアルファベット戦争の敗残兵といったところか?元祖のコットンコーデル「ビッグO」のできが良いから、なかなか差別化して生き残るのは難しかったんだろうなと思う。ぶっちゃけピーナッツもビックO小サイズとそっくりさんだからな。始祖「ビックO」はじめ、「モデルA」「バルサB」「ウィーR」「リトルN」「ファッツO」あたりの勝ち残った一流どころの、クランクベイトという機能の縛りの中での独自性の発露のなんと色気のあることよ。って話。

 でもって、ストライクキング社は昔からクランクベイト得意としているメーカーではあって、バルサ製の「バルサキング」なんてのもあったけど、木片をラグビーボール型に削って、金属製のリグをあしらってフラスカートも装備した「スペンススカウト」「カブスカウト」っていう素朴なクランクもあって、名前は当時の社長のスペンス氏の名前から来てるとのこと、”カブ”は小熊の意味だけど、カブスカウトってボーイスカウトの年少者クラスの組織名でワシもカブ&ボーイスカウト出身なのでなんか縁を感じて1個買ってた。スカウトってドラゴンボールのスカウターとか野球のスカウトである程度分かると思うけど、偵察とかの意味があってボーイスカウトの始まりって少年兵を戦闘行為につかせるのは戦時でもなんぼなんでもあれなので斥候に使えるように野外で行動する技術を鍛える(by BP)ってのが身も蓋もない原点だとかなんとか。我が家の蔵にあったカブスカウトのスカートは腐ってもうなかったのでこの機会にシリコンスカートをフックに細いステンレス線で縛り付けておいた。スペンススカウトの方は、最近ジャンク状態のを安く手に入れたもので、スカートはもちろんおなかのヒレもなくなってたのでアルミの0.5ミリ板で作って補修。スカートは適当に昔買ったルアーについてた手作りっぽいのをつけておいた。スペンススカウトなにげに需要はあったようで、ボディーが樹脂製のも長年作られていた。そして、金属リグを廃止してリップまで樹脂一体成形の「ウォータースカウト」も一時期作られていて、それじゃあ良さが台無しじゃんと思ったけど、実はウォータースカウトは津田商会製でパチものだとテツ西山著「ヒット:バスルアー」の後ろのカタログ?で知って納得してたんだけど、今回ネタにするにあたって、ネットで調べてたらなんと「ウォータースカウト」はコットンコーデル製のもあるようで、さすがに日本のパチものメーカー製のは無許可っぽいけど、コーデル製は版権とか了解得て作ってたんだろうから、このとぼけた味わいのルアーの分かる人間には分かるしぶとい魅力があるんだろう。ワシにはあんま分からんかったけどな。

 で、B級好きにはストライクキングでスカウトといえば、むしろこっちだろうっていうのが「サイコスカウト」で、樹脂一体成形垂直リップの個性的な見た目のクランクベイトである。釣れるルアーっていう評判は聞いたこともなく、まあ人気ってほどでもないのでボロいと500円前後からで買えたので2つほどゲットしたら、これが”B列伝”によると黒い方の目が普通のはパチものでフィッシュメイト製「ウォールアイ」で、キチガイピエロっぽいサイコな涙滴目の方が本物だそうである。なぜこんなマイナーなルアーをパチろうとしたのか?版権管理が緩そうとか、素人には分からん経営判断とかがあったのだろうか?単なる好みか?いずれにせよ微苦笑させていただきました。パチものもこういうほほえましいのは良いけど、いまだに我が国のブランドで製造は人件費安い国なんだろうけど思いっきり丸パクしてて、釣具屋の棚に本物の横にエラそうにパクりルアーが陳列されてるのとか見ると、どうにも胸くそ悪く怒りが湧いてくる。釣具屋もそんなもん同列扱いで売るなや。ワゴンか階段の段ボール箱にでもぶち込んでおけって心底思う。

 まあむかつく話はおいといて、ワシが良くできてるなと感心した5XDあたりについて書いて締めたい。5XDの前身は「プロシリーズ5」というクランクで、見た目は5XDもそんなに変わらない。写真の上から3枚、上と左が5XD下と右がプロシリーズ5。まあボーマー「ファットフリーシャッド」に始まるフラットサイド気味のややボディーの薄いディープクランクである。これが、写真で分かるかどうかだけど、リップが微妙に反って窪んで水噛みを良く、かつ若干大きくもして設計してやったんだと思うけど、ギューンと急速潜行して同じような大きさのプロシリーズ5より感覚的には1mぐらい深く潜る。底に当たった時の挙動も軽くひっくり返ってヒラうってテンションが抜けるので分かりやすく、抜群に使いやすい。そして実際に魚が釣れる。もうこの大きさのディープクランクではコイツを超えるのは難しいのではないかと思う完成度。後発で同程度の性能のものが色々出てきても正直べつにコレでいいやで終わってしまう。たださらに深くてデカくてな10XDになると、さすがに引き抵抗の重さや投げやすさで、デュエル「バレットクランク7+」の方が使いやすい。写真下の2枚、上が10XDで下がバレットクランクだけどデュエルのほうは反りや窪みのない平らなリップだけど、「バスフラッペ」とかから連綿と続く伝統?の根元の絞れた長いリップで上手に潜らせてて、さすが世界を相手に戦ってきた釣りの現場叩き上げの”漁具系”釣り具メーカー、その独自性の高い技術力に感心する。まあ、ストライクキングとデュエルは”シリーフォール”なバイブレーションでもしのぎを削る関係にあるようだけど、どちらもなかなかに実力のあるルアーブランドだなと思うのであった。

 ということで、ルアー図鑑うすしお味第92弾はストライクキング社のルアー界隈でいってみました。

2026年9月12日土曜日

謎ミノー なんじゃこりゃ?詳細希望!

  まあリールや竿も買えばルアーも買うよねってことで、ルアー図鑑うすしお味第92弾はよくわからんミノーでいってみます。

 ミノーも格好いいのが色々あって、ボーマー「ロングA17A」とかフルーガー「マスタング」とかとか、まあそういうのも好きなわけで過去とりあげてきたけど、格好良さとは離れていくかもだけど、変なミノーもこれまた好物なわけで、安い値段で出てるのをネットで見つけると思わずマウスが滑ってしまう。アタイ病気がにくいッ!

 ということで、ちょっと変なのが蔵にたまってきたのでご紹介したい。

上ハードコアミノー210F、下タイドミノースリム200
 まずは軽くジャブから、デュエル「ハードコアミノー210F」は、とにかく長い。海外のマスキー用とか海用なら21cmの長さも珍しくはないのだけど、その場合長さもあるけど太さも出てくるので、道具からして大物対応のものが必要になってくる。だけど、このミノーが出てきた背景には、シーバス狙いでのコノシロパターンやボラパターンはじめ、長いミノーのアピール力が欲しいという場面に対応したってのがあって、長くて細いミノーの世界はDUO「タイドミノースリム」が開拓した分野で、最初120と140がメインだったのが、「長い方が釣れる」という要望に応えて175と200が追加されていった。その時に、ベイトタックルとか特殊な道具立てではなく、多少強めのシーバスタックルで投げられるってのが売りで、そうなると当然長細いミノーに仕上がる。大手メーカー含め長いシーバスミノーというのは1つのジャンルを形成するに至り、なかでもデュエルは後出しジャンケンで210mmのを突っ込んできて、東京湾でシーバス釣ってた当時、「タイドスリムミノー200」は購入済みで、かつデカい餌食っててもルアーのアピール力は強いので、よっぽどのことがなければ145mmで食ってくるってのも感じるところだったので、210mmと言われても食指が動かなかったけど、塗装はげちょろげで700円とかでネットフリマに出てきたら、思わずマウスが滑ってクリック。そのうち暇をみて、黄色に塗り直すなりして青物でも狙ってぶん投げてみたいところ。

 お次が光りモノ。まあ黒蝶貝とかで作った釣り針を使ってた石器時代のご先祖様の大昔から光が魚の興味を引くというのは注目されてきたわけで、各種科学技術が発達した現代においては、反射光や蓄光を利用するだけでなく、自ら発光する仕組みをそなえたルアーも色々と作られてきた、単純明快なのは写真下のヨーヅリ「アークミノー」のように”おなかにポケット”等ケミホタルを装着することができるタイプで、最近ではアーボガスト「ジッターバグ」にケミ搭載用の金具が付いてるモデルがあったりするようだ。ワシそんなの売ってなかった時代に、クリアカラーのジタバグに穴開けてケミを入れる筒を仕込んで光るジッターバグ作ったりしてた。光るジタバグは思いっきりナマズに嫌われることがあって、普通に黒か黄、白あたりの色が無難だと思っている。で、光らせるなら当然電気浮き方式で電池で光らせようという発想も出てくる。我が国では、ナショナル→パナソニックと大手電機メーカーが”光るルアー”の伝統を引き継いでいる。ナショナル時代のは目が光ったようだけど、00年代に作られた”平成最新版”のものは、頭が全体的に光って、かつバイブレーションとポッパーも展開していて、意欲的な怪作となっている。ただ、傑作ではあっても名作ではないようで、あんまりこれで釣れたっていう評判は聞いたことがない。蓄光のジグあたりでも、嫌われるときは思いっきり嫌われて警戒されるので、とある船長さんは周りに迷惑かけるから使わないでくれとまで言ってた。でもグローカラーのジグも釣れるときは蓄光が効いてるかどうかは別として良く釣れたけどな。自ら光って魚を誘うってのはハマりどころがありそうな気がするけど、それがいつどこで何を対象になのかはよく分からん。なのでワシが使うことは想定されない。けど、けっこうネットの中古市場には弾数多くて、送料割安感を出すのになんかついでに買っておくかと、200円のレッドヘッドに手が出てしまった。電池は電気浮子用のがあるので光らせてアークミノーと共に写真撮ってネタにしようと思ったら、配達されてきた個体はジャンク個体で発光せず。200円の動作未確認品だし文句も言えんけど、結局送料込み600円のイワシカラーのをおかわりしてしまった。いつかこいつらの光が、捕食者共のやる気スイッチを押しまくることがあるのだろうか?ちなみにアークミノーが光るところを撮影するためにケミを一本消費したわけではない。ケミって冷凍庫で保管するとポキッとして光り始めた後でも反応を止めて保管しておける。半年ぐらいは問題ない。釣り終わったらその場に捨ててくとかもってのほかなので持ち帰って冷凍庫保管して何度も使って欲しい。

 話横道にそれるけど、久しぶりに蔵から出した、ケミ装着改造ジッターバグ、実に良くできている。ケミが突っ込める筒を本体横っ腹に貫通させているんだけど、片方の端に少し径の小さい筒をハメて接着している。ケミを突っ込んで小さい筒に当たって止まるまでしっかり押し込んで使って、ケミを外すときには小さい筒に千枚通しかなんかを突っ込んで押し出すことができるようになっている。ワシ、若い頃からこの手の細工物は得意だったんだなと思いましたとさ。ナマズ釣れなかったけどな。釣れなくてもいろんなこと試していくのが大事。10のアイデアのうち一つでも上手くいったら儲けものである。アークミノーのケミ突っ込むところは単なる窪みだけで、適当に出っ張らせてチューブで突っ張り棒みたいにしてやらないと装着できない落っこちそうな仕様より安全確実と自負している。

 で、お次が顔のない「BETEミノー」ニールズマスター時代だろうと思うけど、ひょっとしたらBETEがニールズマスターに吸収されるときに持ってた塗装途中の在庫が流れたバッタもんかも。単に塗装はげただけか?っていうBETE社なんだけど、ダイワの「チヌーク」やらのネタ元の一つだと思う「ヤムトランド」とかのスプーンが有名で、スプーン好きにはおなじみのブランドだけど、スプーンマニアの方々の情報を見ていると、BETE社はTYSK社に買収されたかなんだかで、ブランド名が変わって、BETEのスプーンのパッケージに「TYSK」のシール貼って売られていた時代もあったようだ。となると、その後だと時代的には考えられるニールズマスターへの吸収のさいにはブランドはTYSKだったと考えるのが自然だけど、なぜかBETEとなっている矛盾。ニールズマスターの公式サイトにもBETEブランドで今でもヤムトランドやウトーといった伝統的なスプーンがラインナップされている。TYSKブランドあんまり浸透してなかったので、なじみのあるBETEブランドをニールズマスターが復活させたとかだろうか?真相ご存じのかたはタレ込みお願いします。

 で、もいっちょフィンランドものが、「フィンランディアミノーウォブラー」といういわゆるスターホイルのクラッシックなミノー、リップには「Original Finlandia uistin wobbler」と明記されていて、おなかにはメイドインフィンランドの赤文字が誇らしげに記されている。”uistin”はフィンランド語でルアーの意味のようで、フィンランド産ルアーのパッケージとかでちょくちょく見かける単語だと思う。これ、売り主さんはニールズマスターのフィンランディアの初期版と考えてたようだけど、ちょっとそのあたりが怪しく確証が持てない。ニールズマスターの初期のルアーには七種類あってその1つがハーカーみたいな平べったい系の「コンカラー」でスターホイルが貼られている。ってのがDab氏の”B列伝”で紹介されていたと思うけど、残りの六種がなんだったのか、そのうちの一つがコレなのか?ただ、コンカラーにはすでにリップに”NILS MASTER”の銘が見える。
 気になって探したらリップに”NILS MASTER”の刻印ありのスターホイルなフィンランディアも見つけてヌルッとマウスを滑らせて入手できてしまって、なおさらニールズマスター製なのかどうかこんがらがってきた。いずれにせよ60年代ぐらいの、ラパラに触発されたというかパクったフィンランド製ルアーなのは間違いない。詳細ご存じの方がおられたらこれもタレ込みよろしくお願いします。って、引き続き調べてみると、丁寧に年代とブツを追った推理でニールズマスター社の前身の製造であるとしている方がおられました。ラパラの真似してこの形式のミノー作ってた会社は、知的財産権とかも適当だった当時はフィンランド国内に複数あったとか。そういうラパラの真似で始まったけど、1963年あの独特の感性を爆発させて7つのルアーをひっさげてニールズマスターという個性的なルアーメーカーになったということなのかな?なかなか説得力のある説。ちなみに最初のニールズマスターの七種類はスピアヘッド 8 cm、インビンシブル 8 cm、ウォリアー 8 cm、コンカラー 7 cm、デストロイヤー 5 cm、プレデター 5 cm、スタルワート 8 cmだったそうな(あれっフィンランディアがない?)。
上と右がニールズマスター製
 入手したニールズマスター製スターホイルなフィンランディア?を見ていくと、リップはニールズマスター刻印ありの丸い形状のに変わっている。腹に赤字のMaid in Finlandもない。ただその他は多少体高が高いかなというのはバルサ製なので個体差かなという感じで違いが見あたらない。特にフロントフックのアイの形状がちょっと尖ってるのとか癖が一致するのは同一の製造元であることを想起させる。細かいところでもう一点スターホイルの鱗パターンが、星の間隔といい、星の中にも点が入ってることといい、同一の”鱗ローラー”が使われてるように思える。アルミホイルに鱗描くのは鉄筆使って定規で線引く方法と金属製のローラーを転がす方法が代表的だけど、今回のもそうだけどラパラのような細かい鱗模様は後者で、金属製の円筒に模様が切ってあるのを、ローラー刷毛のような治具にハメるか直接かいずれにせよ押しつけて転がして鱗模様にする(スターホイルの場合星形のを押してから細かい鱗模様を押すのかも?)。オルファのアートナイフのグリップ部分とかいつも「アルミ箔に細かい鱗描けそうだな」って思いながら使ってる。同じ”鱗ローラー”を違う製造元が使ってたとも考えにくいので、製造元同じって可能性が高いかとパソコン椅子探偵としても推理するところ。真相を知る方がいたらご教授願います。なんにせよラパラのスターホイルものとか復刻版以外だと手が出ないぐらいにお高いけど、ニールズマスター製始め、ラパラは周辺のものも含めて面白くて案外ラパラ以外が狙い目かもと思ったりして。じつはニールズマスターの初期のものはリップに、刻印ではなく社名が”けがいて”あったとかで、刻印リップものはその後の時代のもののようなので、引き続きなんかそのへんも狙ってみたい。

 そして最後が、ある意味今回の本命ネタ。なんじゃコリャ?ってブツ。たぶんボディーの意味深なくびれは、スカートとかなにかを装着するためのものと見て取れる。頭切ったタコベイトとかなら問題なく装着可能だろう。ただ、単にスカートを装着するだけなら、くびれが一カ所あればいいだけで、こんなしっぽの方まで何かに突っ込んでカチッとはめるような構造が必要とは思えない。ボウガンみたいな射出装置にカチッとはめて、バシュッと撃ち出すんじゃないかという感じの形状に見える。ただその場合後ろのフックが思いっきり邪魔なので現実的ではないか?だとすればこのミノーはなんなのか?色違いのパーツを左右からパチッとはめたりするとかか?まったくわからんので、こういう珍品は”B列伝”かえぐり氏チャーリーさんのサイトを見ればでてくるだろうと、調べてみたけど出てこない。出てこないけど、さんざん悩まされた「トップ45Ⅱ」とかB列伝でしっかり紹介されてたりして、知ってる人は知ってるものだと感心した。いろいろ調べてみたけど、結局答にはたどり着けず。ただ、ルアーをバシュッと撃ち出すっていう装置は今も昔もあるようで、カタパルト方式からボウ&アロー方式、変わったところでスパイダーマン方式まで各種あるようだけど、どれ一つとして「竿とリールで投げとけ!」というツッコミから逃れられるモノではないと思う。ちょっといけそうなのが、まあ三平君の”デカバルト”の昔から、ドローンでルアーを運ぶっていう発想はあって、ドローンはありかもで、ドローン撮影と組み合わせたら面白いかもしれない。魚群の探索とかに使ってる人は既に居る。まあ、便利な分めんどくせぇけどな。などと暇はつぶれたのであった。にしてもこのミノーがいったい何なのか、分かる方、探し求めてたという熱烈なマニアの方、ご連絡お待ちしております。

 ということで、謎めいた?ミノー達を紹介してみたんだけど、なぜ我々は(ワシだけか)こうも謎にロマンを感じてしまうのだろうか?分かってしまえばしょうもない話だったとしても、分からないこと自体にあらがえない魅力があるように思ってて”私気になります”っていう気持ちが抑えきれない。好奇心はネコを殺すらしいけど、我が家では好奇心が老後資金を削っております。ホドホドにせなあかんね。かまうもんか、ブレーキなしでアクセル全開だぜ!(by JF)

2026年9月5日土曜日

弱点の利点

  釣りにおいて、道具のシステムは弱いところから破綻する。それはあたかも傷のついたラインがそこからたやすく切れるようにである。

 なんぼ切れないラインを使っていたところで、竿が折れれば釣りは継続できず、リールが壊れればこれまたどうしようもない。もっというならそれらの釣り道具を強化しまくったところで人の体が耐えられなくなればどうしようもない。どうしようもないのに、船だの磯だのに道具を固定とかし始めたら終わりである。それはもうワシの知っている”釣り”ではない。単なる漁であり魚を獲る手段でしかない。

 往々にして大物狙いの場合、強度面での破綻は人の体の限界が招くので、まあ限界値を上げたかったら体鍛えろって話になってくる。あるいは技術面で補完するかで、いずれにせよ道具の限界が人体の限界を超えていると危ないので、どこか力の逃げ道を作っておかないと怪我の元である。リールのドラグがそういう役目を果たしてくれるけど、より確実に安全を確保したいなら、ハリなりラインなりに体の限界が来る前に壊れる部位を設けておくのが上策だと思っている。ワシが根魚狙うのに道糸をぶっといPEではなくナイロン16LBや20LBにしているのは、換えの効かない釣り具である我が体を壊したくないからである。それ以外でもどこが使ってる道具立てで一番の弱点かを理解していることは有用で、根魚狙いの岸壁ジギングではアシストフックが写真のように折れるか抜けるかするようにしているし、フライフックは”世界のマルト”の「H260」という細軸の折れやすいハリを主力として使ってるけど、そうすると根掛かりは避けられないとしても海にゴミを残すのが錆びて朽ち果てるハリだけにできて、ルアーを失くすことや高価なフライラインを伸ばして痛めることもかなり防げる。根がかったラインを手元で切るバカが一定数存在するようだけど、意図しない”高切れ”もハリに近いところに弱点を作っておけば防げる。ノットをわざと”弱い”ものにしておくというのも使える手。破綻するような弱点も”逆に考えるんだ”って上手く扱うべきだと思ってる。

 で、釣りは弱いところがあるとそこから破綻するっていうこの考え方は、もっと範囲を広げて釣りの技術全体においても同じようなことが言えると思っている。端的に言うとなんぼ道具を良いものを揃えたとしても、技術が伴っていなければどうしようもないって話であり、逆に言うと釣り全体のレベルは、道具、体、精神、知識、情報、技術、経験、センス等諸々の一番低い部分に引っ張られて限界が生じる。もっというなら心技体が揃った釣り人でも釣り場にやる気のある魚が居なければ手のうちようがない。なので、技術も知識もたいしたことない場合、道具やらにはそこまでシビアな性能が求められない。雑っつい釣りしかしてないのに、細かな戦略を支えるための高レベルな尖った性能の道具など使いこなせるわけがなく必要ではない。あんまり尖りすぎてたり高機能すぎたりするとかえって使いにくかったりする。

 ワシが、40年から昔の道具にちょこちょこ手を加えて使ってるのは、劣っているのを承知で格好いいから使ってるってわけではなく、自分の釣りの技術で必要とされる性能が充分それで間に合うからであり、かつ手入れが楽とか壊れる部品がそもそも少ないとかとか総合面で勝るからというのはコレまでも書いてきたとおり。よく、中古の道具の説明文に「古い物なので今の製品より性能は劣ります」とか書かれているけど、どのへんの性能がどう劣っていて、それがどうあんたの釣りに不利益をもたらすのか説明してくれって話で、投げて巻いての基本性能が同等なのはリールならギアの方式とかが変わってないなら当たり前の事実で、瞬間的に止まるとか滑らかな回転とか竿なら美しいベントカーブとか、それがあればなんか釣りに有利な点があるのか?って話だし、剛性や軽さ感度の良さなんかは、重さ、強度不足、魚への違和感の与えやすさと表裏一体で、適切な落としどころってものがあるだろうって話で宣伝文句的に優れているからといって、それがどうしたって話である。魚釣ってなくても評価できる軽さとか飛距離とか感度とか、どうしても物を売る側はそういう分かりやすい性能を打ち出してアホな釣り人がホイホイ釣られるけど、一回あんたの釣りに必要な道具の性能はなにかよく考えろと書いておく。

 まあ、ワシ技術的にはたいしたことをやってない。まさしく投げて巻いて(あるいは手繰って)の基本動作ぐらいしかやってない。戦略的にはそこそこ玄人らしい釣りをしている自負はあるけど、ワシのような”腕で釣らずに足で釣る”ような釣り人にとって道具は最低限の基本性能さえ備えてくれていれば困るようなことはない。その範囲内でおおいに遊んでもいる。ヘッタクソな釣り人に限って、自分の腕やら戦略やらがダメで釣れていないのに、道具のせいにしたがって、結果道具ばかりご大層な”ソニンデラックス”が釣り場に量産される。釣り道具はまあ状況や腕にあったのを使うと、釣り全体を底上げしてくれるようなことがあるのも否定しないけど、物理法則を無視したような魔法の道具も存在し得なければ、お魚まっしぐらな万能の餌や疑似餌もあり得ない。新規なけったいな”爆釣ルアー”とかさんざん若い頃にだまされたけど、結局ほとんどの場合で定番ルアーが強い。たまに革命的なルアーは出てくるけど、まずほとんどがすぐに消えていく泡沫のようなものである。ワシが長い釣り生活で新発売のルアーで恐れ入ったのはコモモとフラットラップラパラ、グレートハンティングミノーとかごく限られている。ワシがどんだけの種類のルアーを買ったかって話にもかかわらずである。フラットラップラパラは唯一無二に近いけど、コモモやグレートハンティングミノーがその後その基本設定をどれほどパクられたか。

 自分の釣り全体を底上げしていきたいと思うなら、道具なんてどっかに破綻する欠陥を抱えていないことが確保されてれば充分で、全体として弱点が少ないことを重視した基本的な道具立てでほとんどの場合間に合う。もっと情報収集能力とか、作戦の組み立て方とか、人山の回避の仕方とかに力を入れた方が結果に直結する。道具に金掛けるぐらいなら、その分交通費や船代に回すべきである。って、使いもしない道具に金かけてる人間がどの口がいうかだけど、”釣り”と”釣り具の蒐集”はちょっと別物なところもありご容赦願いたい。

 というなかで、久しぶりに実釣想定の釣り具を買ったので、マイニューギアってみたい。 ハッハッハ、フライロッド買うたりました。写真の5本継ぎのがそれ。ちなみに8番で主に冬のカマス用。

現行、8番メインロッド、4本継ぎ
 今使ってるメインの8番ロッドは冒頭写真のように1回折れたのを継いで修繕して使っている。右の写真のオレンジで囲ったところが補修部分ですぐにダメになるってことはなさそうだけど、まあ竿は消耗品だし次の主力竿を探してはいた。フライロッド探してる話を聞いてOニーサンから、昔琵琶湖で記録狙いに使ってたオービスの8番をあげると言われたけど、丁重にお断りした。2ピースなのでワシ自転車で持ち運ぶ関係から4ピース以上が望ましいってのもあったけど、オービスというのはワシの腕では分不相応でぶっちゃけ良すぎる。Oニーサンとかケン一あたりになると、記録狙いとかシビアなラインコントロールが必要な釣りとかもやるので、相応の道具がふさわしいと思う。ワシも”それなり”の腕にはなったと思うけど、フライフィッシングについてはオービスだのセージだのといった良い竿をもらっても、その性能を理解できると思わないし、生かせないだろうしで似つかわしくない。ケン一が「あんまり高い道具買うと一平爺さんにどやされそう」って言うけどその感覚はよく分かる。ではどういうブランドの竿がワシにふさわしいか、まあ筆頭はこれまでも何本か買って愛用しているカベラスブランドで、ここの竿は、本場米国の初心者クラスを想定していてドンピシャである。その他でも欧米のフライロッドブランドとしてはマイナーなシェイクスピアやらセントクロイあたりの高くない価格帯のものでも、通販勢ならLLビーンやもちろんバスプロショップスでもいい。今時欧米ブランドでもアジアとかの新興工業国製が多いだろうから、そういう新興工業国製の横流し的なノーブランド品は安く売ってるけど、ブランド名がないとちょっと思い入れがしにくいのでイマイチ。

 という中で、ド本命カベラスの「ストアウェイ9f8#」5本継ぎというのがネットオークションに出てきたので、まあ新品でも100ドル強ぐらいの安めの竿のはずだし、送料込みで7千円台ぐらいまで出す気で入札したら勝てるだろと、6220円で入札しておいたら、ちょっと競ったけど4330円落札に送料1220円で5550円で我が家にやってきました。名前がまた良い、「Stowaway」ってなんて意味だろ?って調べたら”密航者”だそうである。パックロッドだから旅行かばんにでも忍ばせておけばどこにでも密航できるって感じかと。いうても5本継ぎと4本継ぎはそこまで変わらないけどな(写真真ん中が長さ比較)。でも百均の書類入れを1段伸ばしたのにちょうど入るので”密航”はたやすいだろう。百均の書類入れの筒って本来の目的で買うよりロッドケースとしての需要の方が多いのと違うか?ってくらいパックロッド持ち運びには便利。ただ安っぽい作りで伸ばして使ってると力が掛かったときとかに縮んでしまうことがあるので、伸ばして使うときにはビニールテープとか巻いて固定しておくと安全。

 カベラスのフライロッドたまにレビュー記事書いている人がいるけど、総じて「コレといった強みのない凡庸な竿」「費用対効果は抜群」という評価である。凡庸な竿っていうのは、ようするに腕の良い人にとっては物足りない性能だろうけど、逆に言うと長所と引き替えの欠点もない素直で基本性能の足りている竿だと言えると思う。弱点は裏返すと利点に転じる。バスプロショップスと親会社統合されているようだけど”カベラスブランド”で、初心者がまず買う1本とか、玄人衆が予備竿に持っておく1本とかには好適な竿だろうし、そういう竿もまた釣り具市場には必要って話である。

 ワシもロアーロッドには明確な好みがあるけど、フライロッドには好みをどうこう言えるほどの技量も知識もないしで、こういう初心者向けの竿は非常に合っていて分相応だと思う。今使ってるロッキーマウンテンアウトフィッターズも釣りツアーとかやってるアウトドア系旅行会社の貸し出し竿ブランドらしく、まさに初心者用って感じだけど、それでワシの釣りに足りない部分があるとか、もっとこうしたいとかいう好みが出てくるとかいうところまでワシ至ってない。なら初心者用の道具で何ら問題ないだろう。

 カベラスの竿は、9番の「LST」と6番の「キャスタウェイ7」を使ってきたけど、どちらもなんの問題もなく使えている。っていうかかなり魚釣った。ソニンデラックス共の高級ロッド様とは段違いに魚で曲がった竿だと思う。

 とりあえず次世代主要ロッドなので、ボナンザ塗ってしばらく蔵で待機だと思うけど、今の竿が腰抜けたり折れたりで引退したら活躍してくれることだろう。

 良い買い物だった。とブログには書いておこう。 

2026年8月29日土曜日

雄弁は銀

 その昔、韓国大森製の”チープ大森”的なやっすいスピニングをいじったときに「もし、韓国大森製スピニングの実力を知りたいなら、その時代の実用機であるタックルシルバーあたりを見てみないとなんとも言えないのかもしれない。」と書いたけど「アクションM」だの「タックルA」だののチープ大森をさんざんいじって、加えてダイワ「スプリンターマックスST600」のお粗末なできにうんざりして「タックルシルバー買おうとかいうやる気ももう正直なくなった。」と書いたな、アレは嘘だ。

 ハイ先週に引き続き夏の長雨不釣のおりに、冒頭写真のとおり、濡れて滑りの良くなったマウスでヌルッと購入してございます。何で買うことになったのか説明させてください。まあ、なんというか人のせいにするのはどうかと思いますが、TAKE先生のせいなんです。TAKE先生のサイトとか読んでると昨年は渓流にベイトタックルを持ち出すのがマイブームだったようで、結局グリス抜きとかしても使いにくくなるだけで出荷状態が適正であり普通に使える。というまあそうなんだろうなという結果に落ち着いてた。あんまり回りすぎてもサミングが難しくなるだけでどうにもならんっていうのはワシも感じてたところでどっかで書いたと思う。で、その前にちょっとゼブコのクローズドフェイスリールが来てて、ワシもちょっと遅れたようなタイミングでクローズドフェイスリールが今年来てるのは先生の「リールの歴史」シリーズとかの”ミスター原”の影響だろうからそのへんで必然的にシンクロしたんだろうなと思う。でもって今TAKE先生がご執心なのが、「タックルシルバー」や「タックル7」あたりの韓国大森製のスピニングと、そのミッチェル版「ロングショット」やその卵形デザインを踏襲した2代目ロングショット(日本名「プリビレッジ」)らへんであり、「リールの本3」を読むとタックルシルバーについて「「まがい物」にあらず」として「先入観を捨ててみれば、スプールは長いのだから、旧タイプのリールよりは飛距離が出るはずだ、ボディーが長く大きくても、部品が少ないから重くはなく、スプール往復機構がボディ後端にあるぶん後方重心で、むしろ投げやすい。ここに低コストや故障のなさを加えれば、けっしてまがい物とはいえないだろう。」と書かれている。同じ本でワシが最上級に評価する「マイクロセブンC」シリーズが本体が四角くて、重いウッドノブ付きハンドルなのもダサいってな感じでケチョンケチョンでワシ「そんなに言わんでも」とショックだったのと好対照である。まあ、TAKE先生にとって軽快に投げて巻いてを邪魔する重いウッドノブ付きハンドルは、ワシがスピニングリールでドラグもろくに使わずゴリ巻きするのが、そういうゴリ巻き仕様の奇形的なスピニングが許せないのと同じぐらい生理的に嫌なんだろうなと想像するところである。釣り人ごとに評価軸が違うのはある意味当たり前。でも、タックルシルバーもウッドノブ付きハンドルでっせ!?と考えていくと、なぜTAKE先生はマイクロセブンCがダメでタックルシルバーを良しとしたのか、ご本人もどっかで書いてたけど、本体が卵形のリールはミッチェルっぽくてお好みなんだろうって思う。それならしかたない。先生ミッチェル好きすぎるぐらいだからな。何度も書くけどリールなんて好みで選んで上等ってなもんである。

 ということで、まあ後方重心の振りバランスとかワシあんまり気にしたことがないというか分からんレベルでしかないのでアレだけど、そこまで先生が評価されるなら”自称生徒”としては、買って自分の目で手で確かめねばならんなと思ったわけで、こんなもんと言えば失礼だけど人気のある機種でもなしでネットフリマで1500円送料込みならマウスが滑ってクリックするのになんの摩擦抵抗もなかった。

 我が家に来たからには分解整備ということで、サクサクとバラしつつ中身を見ていく。スプールは長くなってアルミ化しているのを軽量化するためか、側がアルミだけど中の方が謎素材の白い樹脂製ではめ殺しというか流し込んで固めたような感じになってる。音出しとライン留めもはめ殺しで外せないのはちょっと減点だけど、ドラグがちゃんとしているのは大森スピニングに関しては原初の大型インスプール機から最後の方のチープ大森まで貫かれている美点であり、立派なモノだと思う。ドラグパッドはテフロン製。

 ハンドルはまあ普通にネジ止め式のウッドノブ付きワンタッチ折りたたみハンドル。本体蓋はローターの下に一部突っ込まれているけど、4本のタップネジを外せば斜めにしたら外せる。先にローターを外す必要はなく素直な工程で外せるのと、タップネジが樹脂本体に直接ではあるけど、これでもかと長いのが使ってあるのはしっかりしてて悪くない。ただちょっと気になったのは、分解してる段階で緩んでるネジが何本かあったことで、前の持ち主が締めたりなかっただけなのか、使ってくると緩んでくるものなのか、タップネジ使ってるリールは他にも触ったことあるけど緩んできた経験はないので前者と思いたいところ。

 蓋パカッと開けると、下の方に減速式のスプール上下機構(オシュレーション)の歯車とカムが入ってて、オシュレーションカムにネジで留まってる主軸を抜くと、亜鉛鋳造っぽいハンドル軸のギアがヌポっと抜ける。ボールベアリングはローター軸に一個、ハンドル軸に2個なんだけど、ハンドル軸のギアの軸が太っててオシュレーション用の歯の下に入ってるボールベアリングは抜けなくなってる。ハンドル軸のギアを填めるときには先にボールベアリングだけ填めてからであれば、オシュレーション用の歯車とカムを所定の位置に収めてから填めれば良いけど、ボールベアリングが付いたままだとハメられないので、ボールベアリング付きのハンドル軸のギアとオシュレーション用の歯車を同時に噛み合わせてハメて、後にカムを滑り込ませる順番で上手くいった。このリールはサイレント仕様なんだけど、わりと単純な針金一本でできてる部品が、ハンドル軸のギアの根元の溝にハマってて、そこから出た”枝”の部分(黄色い→)が、逆転防止の爪の下の方の溝(赤い→)にハマって、正転時に爪をバネで押しつけようとしているのを相殺してカリカリ鳴らないようにしている。チープ大森でもサイレント仕様の機種は同じような方式だった。バネの締まり方とグリスの滑り具合で動作がやや不安定だけど、シンプルなのは良いことだ。

 ローターを外すと、裏には大森おなじみのベール反転機構のメガネバネが見えてるのは安心だけど、蹴飛ばすのがロータの内側本体の樹脂むき出し、銅板の簡易ローターブレーキもなし、ローター軸のギアを固定するのもタップネジ三本でベアリングを押さえてるだけ、ロングスプール化で先週のダイワ「ウィスカートーナメントSS」は本体の上のローター内部に逆転防止機構とかを持ってきてたけど、本機種では、ローターの内部にまで本体を筒状に引き延ばす感じで大森式の本体内の逆転防止機構という方式を踏襲している。ただ、この時代の他の機種でもみたけど、往時、逆転防止の部品は鉄系素材で一体成形だったのが、ステンレス板を打ち抜いた手裏剣みたいなの2枚と高さ調整のスリーブに分かれて、経済的な設計になってる。まあ丈夫だろうしちゃんと機能するとは思うので悪くないと思う。

 ローター周り、ベールアームを樹脂製のローターから芯を出して受けているのとか、ラインローラーがセラミック系直づけなのは、まあこの時代の標準的な仕様でこんなもんかという感じだけど、ベールスプリングが特許切れて使えたはずのグルグルコイルバネ式じゃないのは残念減点って感じか。にしても高級機種ではなかったので、経済的な設計でそれなりに使えるようにはなっていて、あんまり困りそうな感じはしない。部品数が少なくて整備性が良いのと樹脂本体で軽いのは実用上は評価できる点だと思う。まあ使ってみないとどうともいえないけど、値段とか考えたら充分と評価できそうに思う。

 で、一応注油して組み上げて、前回みたいに固着ネジ切ったり、あるいは部品紛失したりもなかったので、一件落着でもいいんだけど、こいつは一度釣り場に持ち出して魚釣ってみたいなと思っているので、そうなるとちょっと気になる点かいくつか出てくるので手を入れる。
 まずは、写真見ても分かると思うけど、れいによってスプールエッジがぬるいというか、中心の方から傾斜が入ってて見るからにスプールエッジ近くではスプール上下幅より糸巻きの幅が広くなってそうで、これはアレしてやる必要があるだろう。
 それから、ベールワイヤーのベールアームと反対の端は亜鉛の部品になってて、その部分を受けているのは樹脂製ローターから突き出た芯で、留めてるのはその芯にタップネジを突っ込んで留めている。このへんキャリアーとかマイクロセブンCは金属製雌ねじで受けた金属製のネジで軸を作ってるのと比べ安っぽい。けどまあ耐久性の問題はあるかもだけど削れるまで問題ないだろうとも思うんだけど、削れてないけど問題生じてて、タップネジをギュッと締めるとベール反転がスムーズにいかなくなる。緩めると問題なく大森方式の内蹴り”オートベール”は軽やかに返ってくれるんだけど、どうも亜鉛部分が太ってタップネジと接触が強くなってしまってるようだ。コレも何らかの対応が必要。

 とりあえずアレのほうから。もう慣れたもんで適当なあまり糸でスプール適当に埋めてから色変えたラインでスプール上下幅がどのくらいか確認する。だいたいスプールの底の幅が上下幅と同じぐらいで、だいぶ水増しされたロングスプールだなこりゃ。作業としてはスプールエッジがスプールの底から水平に持ってきたところに来るぐらいに、板の厚さも踏まえつつFRP板を切って輪っかを作ってハメて、隙間をティッシュをねじった紙縒りで埋めつつ瞬間接着剤で固めて、大まかな形ができたら電動ドリルで回して形状を整えて、半日ぐらい固化にかかるエポキシ厚めに塗って串に刺してロッド回しで回してやる。固化したら電動ドリルで回してサンドペーパーかけて表面とエッジを滑らかに整えて、銀のラッカー塗料で塗装していっちょ上がり。せっかくのロングスプールをちょっと詰めてしまったけど、直径は大きくなってるので、ラインが上下でやや盛り上がるにしてもグチャッと崩れなくなったのとあわせて、ラインの放出性は良くなって飛距離も出るだろう。

 もいっちょの、タップネジがベールワイヤー端の亜鉛部分をしっかり押さえすぎるのは、ローターから出てる芯の直径ぴったりのワッシャーというかシムを噛ませてかさ上げするんだろうなと方針は立つんだけど、小さすぎて合うサイズがないし近いサイズのを削って調整するのも手間なので、まあ細いステンレスワイヤー2巻きぐらいしておけばちょうど良いんじゃなかろうか?と試してみたら、問題なく軽くベールが返るようになった。もういっちょいじるなら、ロータ内で蹴飛ばしが直接樹脂にあたってるのを保護しつつ、意図しないベール反転等を防ぐためにマジックテープ式のローターブレーキを追加してみたいと思ったけど、ベール起こしたときの止まって欲しい位置にマジックテープ張る場所がないので、ベールが返る前に軽くブレーキかけるだけならできるけど、軽いハンドルリターンが損なわれるだけなのでやめておいた。瞬間的逆転防止機能が付いてないのでローターの”遊び”で投げる前のベール位置調整することで足りるかと。

 とりあえず整備完了。いつでも実戦導入可能なようにラインも巻いておいた。
 で、ナマジ的にはこのリールをどう評価するかというと、可もなく不可もなくまあこんなもんかなだけど、それで充分だろという感じ。
 個人的にはもうちょっと耐久性のある設計にして欲しいところだけど、大森製作所が韓国に工場移して、長年の良き相棒だったシェイクスピアとも縁が切れてしまい、ミッチェルと組んでアメリカ市場で、手頃な値段でそこそこの使えるリールをというニーズに応えて作ったんだろうってのを考えると、経済的な設計ではあるけど、ドラグはちゃんとしたのが付いてて、スプールも樹脂と組み合わせて厚めのアルミ製で丈夫、ベール反転も軽い。本体とローターは樹脂製で軽くてって感じで、投げて巻いて魚とやりとりしてってのが普通にできそうで、30ドル弱とかで売られてたらしい値段考えたら上出来の部類だろう。”チープ大森”な「アクションM」とかは、逆転防止の部品が一体成形なのは良いとして、あんまり素材・製法的に固くない亜鉛鋳造でしかも、ス入りの不良部品とかも確認できてて、さすがにあんまりなポンコツ具合だと思うけど、タックルシルバーは逆転防止の部品を安くあげるにしても、ステンの打ち抜き2枚重ねとか丈夫さ確保してて、限られた費用で上手くまとめてあると思う。実際に投げてもいない段階ではあるけど、使ったらそんなに悪くないんじゃないだろうか?
 年間200日以上も釣りに行くハードユーザー向けの仕様ではないかもだけど、たまの休日は釣りを楽しんだりもするっていう一般的な釣り人がこの仕様で困ることはあんまりないだろうと思う。今中古で買って使っても整備が楽だし壊れそうな部分はベールスプリングぐらいだしで、水で濡れたら困るような今時のクソリールより良いんじゃないかと思う。
 ”チープ大森”はある程度、品質が低いのも折り込み済みで、その安っぽさを味わい、クソ高い高級リール様に対するアンチテーゼとして使うという通好み?なリールで、ワシの使ってたアクションMは2シーズン持たずに樹脂製スプールが上と下とに泣き別れという致命的なぶっ壊れ方して実用面ではわりと役立たずな面もあったけど、タックルシルバーはちゃんと実用機として足りるだけの性能があるように思う。
 韓国大森は亜鉛部品のス入りは減点ポイントだけど、けっこう頑張ってたとワシャ評価する。昔入手したことがある「ポスカ1」も意外にしっかりした作りで悪くないと思った。
 まあそのへんをきちんと自分なりに評価するには、なんぼか魚釣らなきゃダメだなとおもっちょります。まあ普通に釣れると思う。魚釣るのに重要なのは場所と時間が9割がた決める用素で、道具なんて手堅く破綻しない程度のモノで充分で、その中でもリールは遊んで良い余地のある部分だと思っている。だからこそ、いじって遊ぶ余地があって楽しいってことだろう。

2026年8月22日土曜日

SSで750といってもPENNじゃなくてダイワ

上段:SS750,SS600、下段キャリアーNo.1,PENN4300SS
 ダイワの「ウイスカートーナメントSS」シリーズは、投げ釣りで使われていたような遠投性能に優れたロングスプールを小型機に取り入れた、今時の”スプールが大きいスピニング”の源流となった”革命機”で、米国でも色違いハンドルノブ違いの「SSトーナメント」は高い評価を得たようで、令和になってもまだ米国では売ってた。発売は1980年代ともう40年から昔のリールだけど歴史的な名作だとワシャ思ってる。「ウィスカートーナメントSS600」は我が家にも1台あって、その昔、大森「キャリアーNo.1」のベールスプリングが逝って、当時は直し方も知らず次の小型スピニングの候補としてPENN「4300SS」とどちらにするか迷った末、逆転防止機構のバネが折れて選に漏れたけど、現在はステンのワイヤーでバネをでっち上げて使えるようにして蔵に眠らせている。

 ダイワの小型スピニングでどれが歴代最高の1台かと考えると、まあ人それぞれで色々あるんだろうけど、ワシ基準だと瞬間的逆転防止機構が付いた以降のはまとめて選外で、それ以前で実釣に持ち出して困らない、投げて巻いてが滞りなくドラグがまともなモノが付いていてってなると、自分の使ったことある機種では「ウィスカートーナメントSS600」で間違いないところである。あと、TAKE先生の本とかで紹介されていてよさげに思うのは、「ファントムEX800」と「UL13」で、前者は世界初の”カーボンボディ”を謳った気合いの入った機種のようで、ねじ込みハンドルで大口径の1枚パットのドラグにワンタッチスプール、樹脂スリーブ入りのラインローラーとほぼ文句なしの仕様なんだけど、世間的には全然受けなかったようで後継機もサイズ展開もなく消えていったらしい。良いもの作れば売れるかというとそうでもないっていう典型か?たまに中古で出てても高級機種なので結構お高くて手に取ったことがない。後者は樹脂製ボディーにアルミスプールで、スプール径が大きくて幅が狭いのが特徴のその名の通りウルトラライトな小型機で、米国仕様だったようだけど、たまに国内のネットオークションとかでも目にする。けど、意外に人気なのか試しに入札しても競り負ける。特に凝った機能とかないシンプルな設計だけど、スプール径が大きいとギア比が低めでも大丈夫っていう単純な利点で使い勝手が良く米国では人気があったそうな。これは実用機としてよさげな雰囲気で手に入るなら手に入れたいところ。

 で、ウィスカートーナメントSSシリーズの新機軸な点は、テーパーの付いたロングスプールのほかにもあって、ベールスプリングが”折れるのが宿命”のトーション方式から、ほぼ壊れないグルグルコイル方式に変わったというのもあった。特許が切れて各社使えるようになった時期が80年代とかなんとか。ただ600サイズだけは、トーション方式のままでその恩恵を受けていなかった。750サイズだとグルグルコイル式なので、シーバスにはちょうど良いぐらいの大きさだし安いのあったら1台あっても良いなと、使いもしないけど以前から思ってたら、1700円即決でボロめの個体がメル○リに出てたので、思わずマウスが滑ってクリッククリック。クソ夏が一休憩したと思ったら毎日毎日毎日中途半端に雨が降りくさって、魚がイマイチ釣りきれん。そうなるとワシのマウスも”濡れると滑ります!”の注意書きが必要なぐらいヌルリと滑りやすくなってくる。アタイ病気がにくいッ!

 で、我が家に来たからには全バラしして整備である。ただ、こいつのワシから見た欠点は設計がややこしい点で。バラし方にお作法というか順番があって、組木細工みたいで面倒くさい。なぜそうなってるかというとたぶん、スプールを長くしたのでその内側?に逆転防止とかの機構を入れて本体内から出したからってのと、ロングスプールに完全平行巻でラインを巻くためのスプール上下機構として、ベイトリールの平行巻機構同様のクロスワインド方式を採用していて、主軸と逆転防止スイッチの軸の他にクロスワインドの軸も入ってるので面倒くさくなってるんだと思う。外蹴り機なのに結構部品数多い。そう、このころのダイワのスピニングはまだ外蹴りだった。外蹴りは単純な設計にできるけどハンドルでベールを返そうとすると手前でガコンと返る感じでイマイチ感触は良くないことが多い。ローターブレーキも付かないのでハンドルがウッドノブでやや重いのもあって、投げてベールアームが回って手前側に来てしまうのもありがち。そうなると右手人差し指でライン放出調整ようとしたらベールワイヤーが邪魔になる。もっと極端になると意図しないベール返りが生じる。大森スピニングが「オートベール」以来とっくに内蹴り式になってたのと好対照か?ただ、ワシ的には左手でライン放出を制御して、そのまま左手でベールを返していたので、外蹴りは苦にはならなかった。あと、軸が細いウッドノブは写真右のPENNの魚雷型ノブみたいで指が痛くならなくて嫌いじゃない。ハンドルノブは人の手の形、癖によって合う合わないがあるので他人の評価を鵜呑みにしない方が良い。まあハンドルノブに限らずだけど。

 完全平行巻の純テーパーのロングスプールは、ぶっちゃけラインの放出性も良すぎるぐらいで、ややじゃじゃ馬だったと思う。当時使ってた人の回想として「投げたときドバッとラインが出てしまうトラブルが多かった」とか書かれがちである。でもワシ的には左手でライン放出調整するやり方と相性良かったのもあったのか、特にトラブルが多いとは感じてなかった。渓流で近距離キャスト多用で使ってたので”遠投性能”の恩恵には授かれなかったと思うけど普通に使えてた。ライン少なめに巻くほうなので、それもトラブル防いでたんだと思うけど、まあエラそうに書くなら、ちゃんとライン放出を指で調整してやって、巻くときに糸ふけた状態で巻かないようにしてればトラブルにはならないので、使えないってことは下手くそだってことだろう。遠投性能に振った尖った味付けだけど目指すところが明確で素人用じゃないところは今思うと好感が持てる。ライントラブル防止のために逆テーパーにしてスプールエッジには”ひさし”つけてって、今時のスピニングはずいぶんと使い手を甘やかしてくれるようになったものだ。釣り人口の多くは糸ふけ出さないようにフェザリングしてとかができない初心者なので、悪いことではないにしても、玄人がつかうような高級機種はもうちょっと尖ってても良いようには思う。写真がスプールが一番上に行ったときと下に来たときの比較だけど、結構なロングスプールなのが見てとれると思う。最近の小型スピニングはここまであからさまにロングスプールではない気がするけどどうだろう。最近のは長いというより直径が大きめで”ドデカコンパクト”な感じかと。

 で、分解整備だけどコレが大苦戦。まず前述のように構造が複雑でバラすのが面倒くさい。スプールはドラグパッド押さえる一番上のワッシャーが瓶ビールの王冠状で、補強のためだと思うけど耳が下向きに曲げられてるとか、ちょっと形状が変わってるけど3階建てのちゃんとしたドラグが入ってる。ドラグパッドは合成皮革かなにかか?柔らかい材質のもので、スプールの大型化に伴って直径も大きくドラグの性能としては充分なモノになっている。ハンドルは軸の細いウッドノブ付きでワンタッチ横折りたたみのネジ止め方式と、この時代の標準的なもので特に可もなく不可もなくという感じ。ワンタッチ折りたたみのハンドルは重いというのは過去計測して実感したところだけし、ハンドル重いと投げたとき回りがちだけど、SS600はそんなに実釣でトラブルなかったので、まあ小型機の多少の重量増ぐらい気にすんなよってぐらいに思わなくもない。このへん投げ方の癖とかと関連するだろうから人によって評価の分かれるところかも。

 で、次にどこから分解していくかと思うと、ここからが組木細工っぽくなっていく。今時のスピニングはスプールが大きいのでローターの中に逆転防止機構やらが入っている。なのでまずローターを外してからでないと本体蓋が空かないというパターンが多いと思う。ただ、当該機種ではスプールが刺さるところがスリーブで太らせてあって、それはドラグの安定した作動に寄与するんだろうけど、こいつが座面とか音出しとかは外せてもスリーブ自体は外れないので、主軸がハマったままローターを先に抜くことができない。

 とりあえず別のところからと思うけど、本体蓋の上部を止めているネジはローターの下に隠れていて、ローターが被さった状態では蓋は外れない。外れるところといえば、一番下の四角いお尻の蓋で、とりあえずそれを外すとスプール上下用のクロスワインドのグルグル棒の後端を押さえてるとっ手つきのU字の部品が外れるけど、これを外せばグルグル棒が抜けるとかはない。色々考えて、ローターナットを外して、ローターが主軸から抜けないけどずらせるようになるので、ずらすと本体蓋を留めているタップネジ4本がやっと抜けて、抜けると蓋が開いて、ここでスプール上下のカムと、クロスワインドの爪部品を押さえている押さえの板のネジが外せて主軸が抜けて、主軸のスプールがハマるスリーブに行く手を阻まれていたローターも外れる。

 あとは、完全平行巻のためのクロスワインドオシュレーション機構がローター軸のギアから回転取ってるとか、ロングスプール化にともない大きくなったローター内部に逆転防止機構関連が入っていたりするけど、概ね普通に分解していけばよく、そこまで難しくはない。ハンドル軸のギアはアルミ合金っぽいピカピカした素材でベアリングは2個+ローター軸の1個で3個とまだ無意味に増えていない。ただ、このローター内部に逆転防止機構をぶち込んだのは、瞬間的逆転防止機構を入れたときに、こんな浸水しやすいところに濡れると困る機構を入れて問題が生じないわけがなく、後に”防水性能”とかいう水辺で使う道具にあるまじきものが求められるようになる遠因にはなっていく。ちなみに当該機種では別に濡れて困るほどのものは入ってないので、浸水してもさびないように帰ってからメンテで問題ない。PENNの4桁中型機以上も同様にローターの内側に逆転防止関係は搭載されているけどさびない材質の部品使ってるので適宜整備で大丈夫。4300SS以下の小型機や大森スピニングの多くでは逆転防止機構は本体内に収まってて、さらにはABU「カーディナルC4」とかではドラグさえ本体内に収まっていて、なおさらめんどくせえ防水機能とかの追加は必要としない。

 でその逆転防止の方式は、ローター軸の回転を使って、爪をラチェットに押しつける方式。

 ラチェットの上にぐるっと細い針金のバネが巻いてあって、それが拡大写真のように爪の上に出た薄い金属板の隙間にに挟まれる形で、逆回転時には写真左のように爪をローター軸ギア上部に刺さってるラチェットに掛かって止まる。正回転時には爪をラチェットから離す方向に針金が押す。なので、常にバネでラチェットに爪を押し当てている方式のように、それをキャンセルするような機構を設けてカリカリ鳴らないようにしなくても普通にサイレント仕様なんだけど、当時は巻いてるときに音がしないとヤダっていう釣り人も多かったので右端のような音を出すための部品を組み込んであった。まあ不要なので外しておく。ワシはカリカリ鳴るリールもまた乙なモノぐらいに思ってるけど、わざわざ鳴らす必要性までは感じない。隣の釣り人に「カリカリうるせぇ!」って怒られてもいやだしな。

 ローター方面にも見所はあって、まずはベールスプリングがグルグルバネ方式で、これでベールスプリングが折れて消耗品扱いという状態からは脱却。まあワシのSS600では細いワイヤー使ってる逆転防止のバネのほうが折れたけどね。改めてSS750のベールスプリングの仕組みを見ると、グルグルバネにちょっと曲がった心棒が突っ込んであるだけで意外に単純なので、どうにかしたら過去のトーションバネ方式のリールをグルグルバネ方式に改造できないか?とか考えたけどスペースの問題で結構難しそうではある。で、次ぎにローターにベールアームとベールワイヤーの端を留めてるのが、ローターが樹脂製なので貫通させておいて裏側でEクリップで留める方式。コレだと厚さが確保しにくい部位にタップネジだけで留めるのでは上手くいきそうにないのを上手に処理していると思う。リョービにも同様の設計のリールが見受けられるけどどっちが元祖だろうか?ちなみにこのリールのネジは基本タップネジだけど逆転防止の爪を留めているネジだけは、下の本体に金属の雌ネジを入れている。逆転防止が一番力がかかる場所なので納得の設計。

 で、最後にベールアームとラインローラーなんだけど、やってしまいました。何度も過ちを繰り返すバカ。ラインローラーを留めてるネジを無理矢理回そうとしてねじ切りました。樹脂製ローターとベールアームでそこは錆とは無縁なので油断してしまったってのは言い訳だけど、ラインローラーを留めているのは金属に金属ネジであり、塩噛みして固着してた。これがまたセラミック製のラインローラーも固着していて外せない。ネジは真鍮のようなのでドリルで穴ほじって”リコイル”でどうにかするとしてラインローラーはなんとかして外したいので、チャック付きの小袋に入れてCRC(666)に浸して二晩放置。とりあえずラインローラーを除いて全バラしした状態が写真下で、部品数が多いのは否めない。整備性とか考えるとローターが外しにくいのとかも合わせて弱点ではある。4桁PENNとかと比べるとだいぶ手が掛かる。その分凝った設計で尖った性能の意欲作っていう魅力はあると思う。

 で、ラインローラーだけど、結局どうやっても外れてくれそうになく、しかたないのでペンチで挟んで取れたら儲けもんと力入れてパキッと割って外しました。完全に固着していてCRCが浸透した形跡なしで、こりゃダメだとあきらめもつくというもの。まあラインローラーは最終的にはポリアセタールのスリーブから切り出す手もあるのでどうにかなるでしょ。逆にどうにか外れたのがネジの方で、残ってるネジの軸を倍力ペンチで挟んで回したら外れました。なんで軸ひねって外れるのにネジの頭ひねったらねじ切れるかな?と思うけど、まあネジ穴が残ってるので幸いネジはM2.6規格だったので、なんかそのぐらいのネジはあるだろうと思ったらセット売りでオマケ的に付いてきて整備して蔵に寝かしてたダイワ「ロングスプリンターST600B」というのがあって、ラインローラーもネジもそいつから流用できそうでとりあえず片が付きそうだったけど、ネジはまあM2.6のネジ在庫もあるので良いとしてラインローラーをそのリールから徴用すると、1台ラインローラー無しの機体ができてしまい、ワシ的には非常に尻の座りが悪い。ので、ネジは使うとしてラインローラーが余ってる部品在庫から使えるのが出てこないか、大森、PENN関係のラインローラーはそこそこ在庫しているので、あれこれ引っ張り出して試してみたら、PENNの「スピンフィッシャー4200SS・4300SS」のラインローラーがちょっと穴が大きいけど外径的にはちょうど良かった。なので、穴の隙間はテフロン加工のグラスファイバーシートで埋めてやることにして、なんとかかんとかする算段がついた。ついたんだけど、よく見ると固着してたラインローラーがハマってた辺りが腐食して欠けてギザギザになってしまってる。これはラインが挟まりそうで怖いので、ペットボトル切った薄い樹脂板を覆いにして、瞬間接着剤でくっつけて周りをエポキシで覆って角が立たないようにしておいた。これでラインローラーは問題なく機能するだろう。手間掛かって大変だったけど、なんとか稼働機に整備できてうれしい。

 グリスぐっちゃりめに塗り塗りしつつ組み直したけど、PCの画面で外すときに順番に撮影していたものを、後ろから逆再生しつつでないととても組み立てられんかった。若い頃はデジカメなんかなかったけど、良くバラして元に戻せたものだと我ながら感心する。整備性は明らかにPENNに軍配があがり、スピンフィッシャー4300SSを選択したことは間違ってはいなかったと今振り返っても思う。思うけど、もしウィスカートーナメントSS600を選んでいたとしても、多少の面倒くささやじゃじゃ馬具合はあったとしても、相棒として良い関係が築けて良い釣りを共にできたのかもしれないとも思う。逆転防止のバネが壊れた時点で釣具屋さん通じてダイワに修理を依頼したときに「部品がもうない」という定型句で修理不可と言われたのがPENNにした大きな要因だったけど、今思うと米国ではその後も前述のように延々とほぼ同型機である「トーナメントSS」が売り続けられていたんだから、部品は米国ダイワにはあったはずで、それを”無い”といいやがったのはダイワの営業の不勉強か新品売るための策略であり、そういうメーカーを相手にしなかったのは正しかったのかもしれない(ダイワもついでにシマノもそのへんのサービスは反省したのか今現在改善されている)。だとしても、ウィスカートーナメントSSシリーズが革命的な名機だったことに間違いはなく、ダイワ史上最強小型スピニングはワシ的にはコレでいい。バスプロショップスに2000年代に売ってたときのレビューが「最新の高級機種があんたに魚をもたらすわけじゃねぇ」とか「コイツは馬車馬のように働くぜ」とか、実釣性能を重視する米国の目の肥えた釣り人達が絶賛してたことからも、その判断は妥当なのかなと思う。唯一対抗馬を上げるなら金属本体の高級機の先駆けとなった「トーナメントEX」シリーズぐらいだろうか?でもワシ的には小型スピニングのドラグとラインローラーにボールベアリングを最初に入れた戦犯扱いなので評価しない。

 実釣に持ち出すと整備が面倒くさい機種なので、一応ラインも巻いて準備万端に整えたけど、今後は蔵で眠ることになるのかもしれない。それでもワシのところに来て、ラインローラー固着でどうしようもなかった状態から、純正状態ではないにしても曲がりなりにも使える状態に戻せたことは、ワシが死んだときには中古屋に売るんでもなんでもいいのでゴミにしてしまうのは避けてくれと、ケン一に頼んであるので、次に手に取った釣り人に、この革命的名機を引き継ぐことができると思うと心安らかであり満ち足りたこころもちである。