ナマジのブログ
2023年12月9日土曜日
パチモン?ゲットだぜ!
2023年12月2日土曜日
あらためてキャリアー
ちなみに自称大森アナリストが今が買い時だと思ったのは、また値段が上がって高く売れると思ったからではない、単純に欲しかったから。それがたった一つの理由。
でもって、C1と比較しつつ分解清掃なんだけど、C1の今使ってる個体は銘板片ハゲ個体で、そいつを出すとスカがほとんどないぐらい滅茶苦茶働く個体なんだけど、ハゲててもかまわんとは思ってたけど、なぜか買った記憶がない銘板が部品棚の大森用のジップロックに入ってて、耄碌ジジイどこでいつ買ったのか、まとめ買いとかしたときに入ってたのかわからんけど、とにかく働きに対して褒美をあげるのにちょうど良いなと、銘板を貼り付ける作業も同時進行で行った。どうせもう剥がれそうになってるだろうと、ついでにまだ剥がれてない側も針先で突いて隙間に突っ込んでペリペリ剥がして、残った接着剤のカスを爪でこそげ落としてアルコールで汚れを拭き取って、さらについでに整備するキャリアーの銘板も両側剥がして改めてコニシのSUで接着。C1はハンドルの塗装ハゲもタッチペンでごまかして綺麗に、とまではいかないにしても良い感じのお化粧直しになった。 そしてキャリアーNo.1の分解整備に着手、いつものようにスプール周辺から。スプールはC1のとも互換性のある樹脂製スプール。裏面に音出しと、ライン留めがネジ留めしてあるごく普通のものだけど、ドラグはテフロン3階建てで、金属製ワッシャーのスプールと同期して回る1枚は、良くある耳付きじゃなく6角形で、2箇所だけで支える耳付きより樹脂のスプールに”噛み”にくくしてるんだと思う。テフロン3階建てのドラグの優秀さは「マイクロセブンCS」でボラ釣って身に染みて理解できた。ドラグが良いのは大森の伝統だなと改めて思う。必要充分で無駄なくデキが良い。今時安リールでもまともなドラグぐらいついてると思うけど、1980年代終わり頃にワシが買ったときは新品投げ売りで3千円台だったと思うけど、86年の発売で定価5300円と決して高級品ではなく、当時同価格帯のスピニングでこれほど実用性の高い使えるドラグがついてた国産品はなかったと思う。85年登場ダイワ「ウィスカートーナメントSS」はさすがにドラグも良いけど2万近い値段の高級品だしな。ちなみに86年の大森カタログには”CAREER”「カーボンボディを装い、伝説の名機復活。」とあり「軽快なフォルムと信頼性の高いメカニズムで、国内はもちろん海外でも圧倒的に支持された名機タックルオートが復活しました。」という感じで、樹脂版の「タックルオート」というのは公式見解でもあるようだ。左の写真は3枚ともC1で、蓋固定用ネジに金属製の雌ネジが使われているのと共に、ストッパーに掛ける爪が押さえつけられる部分に金属製のつっかえ棒的な”棚”が補強で入ってて、2枚目の写真の矢印の部分が爪をズラして棚を見えるようにしたところで、3枚目写真矢印は銘板の下に確認できる、棚に繫がる金具を本体に穴開けて固定してある、そのお尻が見えているところ。キャリアーでは樹脂本体から張り出した樹脂製の棚でつっかえ棒をしている。本体内で”補強を入れるならココ”っていうのが分かってるのが大森製作所のエラいところで、アワセの時など竿しゃくったときやら魚が突っ走ってストッパーがガチンと働いたときに、ココに爪が押しあてられて負担が来るはずなので納得である。以前にも書いたけど「エギングはしゃくりまくる釣りなのでヤワなギアだとすぐにダメになる」とか言っちゃうような、しゃくって負荷が来るのはストッパーだろ?フケた糸回収してるだけでギアに負担が来るかよ、なアホとは違うということである。
ローター周りは、大森沼住民にはお馴染みの方式、というか後述するラインローラー関係以外はC1と共通だろという感じ。ローターナットは大森は逆ネジなのに注意して外すと、ローターナットが乗る部分は四角い金属ワッシャー?が樹脂製ローターにハマってて、間に樹脂製ワッシャーが入ってる。ローター外すとベアリングの蓋と銅製の”簡易ローターブレーキ”が入っていて蹴飛ばしになっているのもいつもどおり。内蹴り方式もいつものグルグル眼鏡型ネジとL字の金具を使ったもの。いつも”簡易ローターブレーキ”と書いてる部品は”トリセツ(学生時代買ったときのが残ってた)”の「部品見・部品表」で確認すると「ベール返しブレーキ」となっていて、「(2)オートベールシステム」の説明の中で「さらに投餌の際,回転してベールが返らないようブレーキ装置が内蔵されています。」となっていて、実際効果あるのか、ワシあんまり遠投しようと竿ぶん回したりしないからもあるかもだけど、大森スピニング使用時は意図しないベール返りは少ないように思う。ローターブレーキの付いてないPENNの4400ssとかだとたまにベール返りあったので適切に機能してる気がする。キャリアーの場合は樹脂製ローターの”蹴飛ばし”の保護にもなっている。 樹脂ローターの”樹脂で直受け”については”蹴飛ばし”以外にも、ベールアームとベールワイヤーの支持部を直受けにしてタップネジで留めているリールについて大森「ダイヤモンド2001SS」とかPENN「パワーグラフ2000」とかで「大丈夫か?」と疑問を呈したところだけど、キャリアーはその点ローター部分は上位機種のマイクロセブンCシリーズの流用ぽいので、樹脂で受けてなくて、ネジの腹の部分で受けている。写真上の段がベールアーム、下の段が反対側のベールワイヤー受け、そしてそのネジ自体もタップネジじゃなくて雌ネジも金属製のを使ってしっかりしたものになっている。写真じゃちょっと分かりにくいかも。本体蓋は3箇所長いタップネジで間に合うだろうけど、起こして返してを繰り返す場所であり負荷のかかるベール周りはタップネジじゃダメというのがこの時代の大森製作所の整理なんだろうと思う。あと、ついでに写真右上でベールアーム取っ払った後に見えてるアルミの棒はなんだろ?と思うかもだけど、大森の場合ベール反転機構はベールアームと逆側に入れているのでこの時点ではなにコレ?だけど、蓋を外すとベールをたたむスライドスイッチにつながってて、普段はこの位置にあってベールアームを止めてるんだけど、スイッチで棒を左に倒すとベールアームの凸部が右側を通れるようになってベールアームがたためるという、電車利用やリュックに詰めて自転車乗ってっていう釣り人には収納性良くベールワイヤーが曲がったりするのも防止できてありがたい機構。マイコンシリーズからこの方式で、それ以前のタックルオートとかはバネ入りのボタンがポチッとローターの”腕”から飛び出ててベールアームを止めていた。そっちの方が単純な仕組みで組むときも簡単だったけど、新方式のメカメカしい感じも悪くはない。 ここまで見てきたように、キャリアーはローターより上はマイクロセブンCシリーズの流用、本体はタックルオートの雰囲気とギア関係を残しつつ樹脂化して簡素に仕上げてるって感じなので、ラインローラーの素材がマイクロセブンCシリーズはルーロン樹脂スリーブ入りのクロムメッキ真鍮製だったのを、キャリアーでは当時流行だったセラミック製(おそらく酸化アルミ系)のモノをスリーブ無しで入れている。でもラインローラーが刺さる棒の径は同じだろうから、ラインローラーは樹脂スリーブごと交換したら互換性あるだろうと思ったけど、意外なことにセラミック製の方が若干長さが長く、径も微妙に違ってて互換性無かった。セラミック製ローラーが他社用とかの半既製品があってそれに合わせたとかだろうか?変える必要性が良く分からんけどとにかく互換性はなし。セラミックラインローラー直受けについては、キャリアーでもダイワ「カーボスピンGS700ーRD」でも削れてきた経験がないので、滑りが良いので金属で受けてる面を削らず問題無いのかも?ついでに互換性の確認でキャリアー関係ないけどマイクロセブンC1出したので、C1とマイコン301TBのハンドル軸のギアは互換性あるだろうと思ってたので、301TBボロ個体(2000円落札+送料780円)がちょうど整備待ちだったので整備しつつ確認してみたけど、写真下のようにクランクとギアのサイズ自体はあってて入るんだけど、軸の長さかなにかが違うのか、填めて蓋締めてハンドル回そうとすると回らない。調整可能かもしれないけど今回そこまで詰め切れなかった。 って感じでキャリアー分解は余計な部品がない単純設計なのでサクサク終わって整備性はとても良い。スプール座面の赤い繊維性ワッシャーだけテフロンワッシャーに変えて、ドラグにPENN純正グリス、その他は今回樹脂製なので本体とかには盛らなかったけど、ギアとか金属はすべからくマキシマ青グリスでグッチャリ、あとは適宜ダイワリールオイルⅡで仕上げておいた。
キャリアーNo.1には想い出も、思い入れもいっぱいあるけど、それを差し引いても、軽快で、単純明快で面倒臭いところがなく、樹脂製で錆に強く、整備性も良く、ドラグも良い、使ってて不具合を感じることなく使える非凡なリールだと思っている。ベールスプリングが折れるのはこの時代のトーション式スプリングでは仕方ないとして、他に不具合が生じた経験がない。でも、とりたてて特殊な機能や機構が付いてるかといえば、そういうものはない。カタログスペック的に誇れるのはこのサイズで220gという軽さぐらいだろうか?ゴッチャゴッチャ新機能を付加していってカタログスペックで釣り人を釣るようなリールの真逆で、自社のマイクロセブンCシリーズから引き算できるところは引いて、無駄をそぎ落としたようなリールだと言えるかもしれない。削りすぎて”ハンドル軸を樹脂製本体直受けで大丈夫か?”とか危うそうな部分もあるけど、樹脂素材の選定が丈夫なモノを選んであるので何とかなってるように見える。とか、これ以上削ったら破綻する際まで攻めているんじゃないだろうか。その結果、SSサイズだと200gを軽く切って170gという今時の小型軽量機と勝負になるレベルの軽さを得て、えらい中古市場で人気が出たんだろう。
ただ、中古市場で値段がつこうとつくまいと、不人気実力派といつも書くマイクロセブンCシリーズも、最後の金属本体大森スピニングかもしれないマイコンTBシリーズも、使えば分かる良さがある。コレクターズアイテムとして値段がついたり逆に値が下げたりとかはあるんだろうけど、それとリールの使いやすさや”良さ”とはあんまり関係がない気がする。今時のスピニングに慣れていて瞬間的逆転防止機構がなければ手に馴染まないとか、釣具屋に洗脳されてラインローラーにもドラグにもボールベアリングが入ってないと不安になる、っていうかわいそうな人とかでなければ、大森スピニングは高かろうが安かろうが買って不満の出るようなリールじゃないと、自称大森アナリストとして断言してお薦めしておこう。2023年11月25日土曜日
斜にかまえたNo.5
左「マイクロセブンNo.5」、右「オートベールNo.5」、双方600gを越える、糸巻き量6号240mの大型機である。大森製作所のリール的にはNo.6サイズがあるので最大ではないにしても大型で、PENNなら糸巻き量的には6500SSぐらいの大き、見た目の大きさ的には糸巻き量考えるとコンパクトで5500SSよりちょい大きいかなってぐらい。
大森の小型機は人気機種ではなくても、それなりに情報がネット上にも転がっている。でも大型機に関してはその人気の無さ、注目の薄さを反映してか情報たいして出てこない。むしろロシアのオッチャンが外蹴りマイクロセブンを激賞してたってぐらいで、シェイクスピア版で馴染みのあった海外の釣り師の方が詳しいかもしれない、日本語サイトの情報は限られている。
そんな中、興味深い報告をされているのが、以前ギブスのルアーネタのときに書き込みいただいた、米国製海用ルアーを投げている方で、ブログを読ませてもらっていたら、「タックルオートNo.4」を愛用されていて、かのリールには「ストローク減速機構装置」というのが搭載されていて、スプール上下のオシュレーションカムが斜めになってるのがそれではないか?と書かれているんだけど、おそらくストローク減速機構装置自体は、ハンドル軸ギアの回転からギアを介して回転を持ってきて、ギア比によってハンドル1回転で1回スプール上下するのではなく、ハンドル数回転でスプール上下1回とかにスプール上下を減速するという、一般的な減速式のオシュレーション機構そのもののことだろうなと思う。このあたりの大森スピニング、外蹴りアウトスプール「マイクロセブン」「タックル5」はNo.3の大きさまで、「タックルオート」や「オートベール」もNo.2の大きさまでは、単純クランク方式でハンドル回転1回転でスプール上下が1往復で、使ってて特に問題は感じていない。それ以上の大きさになってくると、ハンドル軸のギアからギアを介して回転を減らしたいわゆる”減速オシュレーション”となっている(タックルオートNo.3はクランク方式ではないけど減速してないのかも?確かめたくてまた物欲が・・・)、減速オシュレーションにする理由としては、デカいスピニングになるとまずはスプールからなにから重いので、減速して軽く巻けるようにというのがあるだろう、ギア付きの自転車で坂道で低速ギアに入れるようなモノである。デカいスプールがハンドル1回転ごとにガションガションと上下してる様は迫力ありそうで見てみたくはあるけど、実釣的には巻きが重くてどうもならんだろうな。さらに、減速式にすると、巻きが綾巻気味から密巻き気味に変わるので、投げるときのラインの放出性は良くなるだろう。その分綾巻のトラブルの少なさは削られるのは行ってこいの関係で、そのへんは良い塩梅の減速比率で仕上げるのだろう。けどまあ、大型リールで減速無しはあんまりないぐらいでそれが使いやすい妥当な設計なんだろうと思う。
なので、オシュレーションカムが斜めになっているの自体は「ストローク減速機構装置」そのものを指しているのではないんだろうけど、ここで興味深いのが、タックルオート(たぶんオートベールでも)でNo.3サイズではオシュレーションカムが水平なんだけど、No.4からNo.6サイズでは斜めになっている。これは何の意味が効果があるのだろうか?私気になります!
ということで、自分でいじくってみんとあかんなということで、買いました。なんで2台あるねんって話は、れいによって予備スプール体制が組めるからで、実釣に持ち出す予定もないのに予備スプールもクソもあるかよ、という気もするけど気にしない。欲しけりゃ買うんです。
マイクロセブンの方はクソ安くて1000円落札+760円送料、オートベールは出物が少なく、ちょっと高いけどコレ買わんと次がないかなと、3980落札+980円送料とボロ個体に張り込んだけど、その後綺麗なのが3000円即決で出ててジイさんちょっとガックリ。まあ綺麗な個体はコレクター氏の棚に、ボロい個体はワシのところで整備して良い状態に、ってことでこれで良かったんだと思っておこう。
ということで、わが家に来たからには分解整備。
先に見た目ボロいオートベールから、まずスプール周り、ドラグがちょっと面白い。この時代の大森スピニングはフェルトの湿式ドラグパッドが標準装備で、この大きさでも基本は一緒なんだけど、3階建てのドラグで3枚のパッドのうち1枚が赤いファイバーワッシャーになっている(写真上列右)。このあたりの大型リールの国内での用途としては、投げ釣りが主に想定されるのでドラグとしての性能よりもしっかり締まって、投げたときにドラグが滑って指を切らないというのが求められていたのかなと想像するんだけど、ドラグパッドを一枚摩擦の大きい繊維性のドラグパッドにしてそのへんの”締まり”を確保しているんだと思う。3階建てドラグでドラグパッドの材質やらを変えるとき、変える枚数に応じてドラグの性能が調整できるってのは以前実験したとおり。さすが大森製作所、わかってらっしゃるという感じだ。 あとは、簡易ローターブレーキがついた内蹴り機構、真鍮のローター軸ギアに鋼を鋳込んだ亜鉛のハンドル軸ギアのハイポイドフェースギア、ローター軸直上の鉄系のストッパーあたりのいつもの大森方式なんだけど、さすがに大物用のリールという感じがするのは、主軸が5.6mmもあるステンレス系なのと、小型機だと樹脂製のベールアームがアルミっぽい金属製なところとかで、このあたりガッチリ強化すべきところは強化されている。ローター軸のギアもゴン太で、ギア比は4.2:1とやや低速だけどスプール径もデカいのでこんなもんでしょ。 でもって、問題のオシュレーションカム、確かに主軸に対して垂直じゃなくてちょっと斜めっている。なんで斜めになっているのか?オシュレーションカムの形状をS字にすると、だいたいスプール上下が等速に近くできて、ダイワとか最近の機種は高級機種でも丸ABUの平行巻機構に使われているようなクロスワインド方式じゃなくてS字カム方式だそうで、オシュレーションカムの形状いじると、当然スプール上下に何らかの影響が出るはずで、なんのためにそうなっているのかは、後ほど考察してみたい。
とりあえず、全バラしするとこんな感じで、ボールベアリングが2個も入ってる高級仕様だけど、無駄なモノがついてるわけじゃなく単純明快な設計になってて整備性は良い。ただ、デカいのでお盆にバラした部品が乗り切らないので、お菓子の箱を用意して適宜作業が終わった固まりからそちらに移したりして作業した。
デカいリールは当然ながらグリスぶち込むにしても必要なグリスの量が多く、こういう海で使うしかないだろって機種こそグリスグッチャリにしておきたいけど、リール用高級グリス様ぶち込んでたらいくら銭があっても足りまへん。芋グリスでも良いぐらいにギアとか丈夫なので、まあいつものマキシマの青グリスぶち込んでおく。
ただ、ぶち込む前に、ちょっとばかしお化粧直しはしてやりたい。ワシそっち方面苦手だけど、ちょっとずつ練習していこうと思ってるので、今回は塗装ハゲハゲで地金が見えてるところを、黒の車用タッチアップペンでごまかして、奇跡的に全部揃ってる銘板を、一旦剥がして貼り直しておく。銘板は、パーツクリーナーかけた後にマイナスドライバーで突っついたら、いとも簡単にペリッと剥がれる。この時代の接着剤に期待してはいけない。
色は本当は黒じゃなくて濃紺みたいな色なんだけど、黒でもごまかせるだろうエイヤァという、やっつけ仕事。タッチペン付属の筆でペタペタ塗ると確実に塗ったところが段差になって物理的にも雰囲気的にも浮くので、いったん小皿に出して綿棒でポンポン叩いて乗せたり、シャッシャと薄く汚す感じで見えてる地金を隠したり、あんまり塗り直したところがあからさまにならないようには努力したつもりだけど、銘板もコニシのSUではりつけて仕上げたけど、まあ新品同様とはいかんのはいかんともしがたい。
それでも、いつものことだけど、大森スピニングのギア等内部構造はまったくガタなど来ておらず、ベアリングも今回錆びておらず、機能的にはクルックルの絶好調に仕上がったので良しとしておこう。
当時の国内では、大型のスピニングは糸巻き量が必要な投げ釣りが主な使いどころで、正直、キスだのカレイだの釣るのにこのリールの性能は必要ないというか、対大物用の性能が活かされていたのかはなはだ疑問ではある。そもそも大物用には両軸使えって話ではあるけど、このリールの想定しているナイロン6号、8号あたりって、ポンド換算でいえば22ポンド、30ポンドぐらいなわけで、PENNでいえば6500SS、7500SSで狙うような、必ずしも両軸にお出まし願わなければならんほどじゃない大物に使うなら、その実力を発揮しえるだろうなと夢想する。
続いて、マイクロセブンNo.5の方も分解整備していく。古いリールなのでグリスがネットネトになっていて、最初エラい重いのでやや不安な立ち上がりだったけど、鬼門のラインローラーナットも固着しておらず無事外せて、グリスをパーツクリーナーで洗浄したら、ギアも当然健在でベアリングも錆びておらず、スプール裏とかに多少砂が残ってたけど、大事に使われていたのか、はたまたこの青い塗装は強いのか、見た目的にも表面塗装のハゲとかは少なく、小さな置き傷とか擦れはあるけど、比較的綺麗な個体で、外蹴りでオートベールよりもさらに単純な設計なのでサクサクとバラしてグリスグッチャリで仕上げた。うーんどうにも格好いいな。小型の機種については、最近も代打で登場願った「マイコン301TB」で感じたんだけど、ベール反転が内蹴り式で軽いのは使っててすんごく気持ち良いってのはある。ワシ、昔はスピニングは全部左手でライン放出調整してそのまま左手でベールを返す方式でやってたけど、インスプールスピニングも使うようになって、最近は小型スピニングは基本どおり右手人差し指でライン放出調整してハンドルでベールを返すようになっててベール反転が軽いことの重要性が腑に落ちてきてはいるんだけど、一方なぜもともと左手でライン放出調整してたのかといえば、デカいルアー投げると右手人差し指ではライン放出調整しきれないので、そっちにあわせてたんである。ということは内蹴り式でベールをハンドルリターンした時の感触はオートベールに軍配が上がるけど、大型機では左手で返すからハンドルリターン時の感触は関係なくて、となると単純な設計の外蹴りマイクロセブンのほうがワシ向きかなという気もしてくるのである。
ドラグの方式は、オートベールと同じくパッドが1枚赤い繊維性のワッシャーで、スプールの互換性もあり。オシュレーションカムが”斜め”ってるのも同じで写真は引っこ抜いて溝が見やすいように裏向けたところ。基本オートベールは外蹴りアウトスプール版の「マイクロセブン」に内蹴り機構をぶち込んで、本体の形状をやや曲線を帯びたデザインにあらためた後継機だという認識で良いんだと思っている。
マイクロセブンにも大型機ならではの強化が施されていて、ローターのベールが付く”腕”部分に斜めに張り出した補強部分が設けてあり、いかにも大物仕様といった雰囲気が醸し出されている(訂正:小型機でも補強されてました。嘘書いてゴメン)。やっぱり格好いいぞ。写真はベールアームと反対側のベールワイヤー支持部で左側にはみ出してる部分がそれ、もちろん向こう側のベールアーム側にも同様の補強部分がある。そして背景に見切れている主軸はこちらのも太ましい。まあスプール共通からして設計同じだろうからあたりまえか。
でもって、今回の大きな疑問である”なぜ大型機でオシュレーションカムが斜めになっているのか”についてだけど、頭から煙噴くぐらいに考えたけど、コレっていうしっくりくる答にはたどりつけなかった。たぶんこうかな?という推定はしてみたけど、正しくその設計思想が読めた方がおられましたら是非、私めにも教えてください。
まず、前提条件としてワシ頭の中でイメージ図を動かすことが苦手というかほぼできない。なので、そういうのが得意な人からしたら「なにやってんだコイツ?」かもだけど、そういう人なので四苦八苦してるところはお見苦しくともご容赦願いたい。とりあえず、疑ったのは”斜めにすると平行巻に近づくのではないか?”ということで、これはマイクロセブンNO.5に最初巻かれていたナイロンラインが、そこそこ綺麗に巻かれているようにもみえたので、きっとそうだと期待してしまった。
なんだろ、オシュレーションカムの端まで棒が来て折り返す”死点”の前後で上下動のスピードが落ちるのが平行巻にならず端が盛り上がる原因だけど、斜めにすることで死点が上下動の一番上と下とズレるとかか?と思って、頭の中でイメージが動かせないので、現物でとりあえずと考えてる作業風景が、マイクロセブンの分解整備作業の写真でオシュレーションカムを溝が見えるようにひっくり返しているものである。正直斜めの角度も緩いので良く分からん。ということで、次にこれはTAKE先生がS字カム方式のときに書いてたような略図を書くしかないなと書いてみたのが、写真上の図なんだけど、適当にフリーハンドで角度を決めて点を打ってるので精度が全くアテにならず、死点を越えてから下がってるのか上がってるのか良く分からんかった。つぎにじゃあ実際に回転する時におこるイメージを視覚的に追えるようにしてみようかと円書いて、仮想の主軸位置(紫)と仮想の傾きを紙に書いて、その上に重ねられるようになんかの蓋だったプラのシートに仮想のオシュレーションカムの溝(オレンジ)+仮想の主軸(これも紫)を書き込んで、プラに書いた主軸を上下させて、死点を越えて主軸が上がったり下がったりするのか確認したところ、「しない」「速度が死点前後で落ちて、上下動は両死点の高さの間」だとワシャ判断した。誰か同じようなこと調べてないかなと思ったら、インスプールのカーディナル33とかは、クランク方式だけどクランクを回してるハンドル軸のギアの一番上と下から斜めにずれて死点が来る点で似ているようで、じゃあスプール上下の動きはどうなるのか?っていうのを考察されている方がいた。その方は、ワシみたいな”数学が苦手な理系”というアホとはちがって、三角関数つかってグラフ書いて同じような結論にたどり着いていた。彼我の理系的頭の良さの差を思うと泣けてきた。サインコサインは役に立たない数学的知識の例として歌にまで歌われていたけど、知ってると機械の働きとか理解するのに役に立ったりします。じゃあなぜ、オシュレーションカムを斜めにしているのか、死点間の高さでスプールが上下動するので、運動エネルギーがその分節約できる。っていうのはスプール上下幅減るのと行ってこいの関係で、それをやるならオシュレーションカムを上下させてる歯車の径を小さくすれば良いだけで、そのほうが軽量化にもなるだろう。
って考えてって、スプール上下のためになにか寄与してる、っていうのではなさそうだなと思う。じゃあなんでって考えて、本体内の配置とか見ていると、どうもオシュレーションカムを真っ直ぐにしてしまうと、ハンドル軸と干渉してしまいそうに思う。単にそれを避けるためという配置上の都合であったのではないかというのが、今のところの私の考察。たぶん、No.4サイズから設計していったので、同じように設計しようとしたら、大型化するに際してカムの肉厚とかも増したら「入らんがな」ってなって、回転する歯車の上のカムに刺さる棒をもっと中心に寄せて回転する径を小さくするか、カムを斜めに下げて干渉をさけるか、どちらにしてもスプール上下幅が小さくなるけど”致し方なし”として後者としたのではなかろうか?これら2台より後発になってギア形式の違いから設計やり直しができた「スーパー7No.3」では素直にもう1枚歯車を入れてハンドル軸からオシュレーション上下の歯車を遠ざけている。その際にカムは斜めではなく真っ直ぐになっていて、斜めにすることでラインの平行巻に寄与するようなことがあれば、後発機でもそうしてそうだけど、スーパー7はまだNo.3サイズで直接比較にはならんのかもだけど、他に「マイコンNo.6」でも斜めではなく、やっぱり平行巻への寄与はなさそう。設計上スペースが無かった、っていうショボい理由が案外正解かなと思っちょります。「こういう利点があるんですよ」というのが分かった賢い方がおられましたら、是非とも教えてください。ワシのピンボケた頭ではこのあたりが限界でした。
なんで、あんまり巻き上がりが凸凹してないのか不思議な感じである。れいによってスプール上下幅より糸巻き部分の幅を大きく取ってごまかしてるのかと思って、スプール上下にともなってどこまでラインが巻かれているか、ラインの色を変えて確認してみたところ、写真の様にわりとキッチリ上下幅一杯にラインが巻かれていて、なかなかヤる感じになっているのである(この写真で見ると真ん中へんが若干くぼんでて平行巻にはなってないなという気はする。ちなみに減速比はギア比4.2:1でハンドル一回転で4.2巻きと考えると、片道6巻きになってるからだいたい1/3弱ぐらいに減速というところか?) というところも含め、2台いじくって感じたのは、大森のこの時代の大型機はなかなかやってくれそうだということで、90年代ぐらいにルアーキャスティングの世界でPEラインが使われるようになり始めて、ロウニンアジとかが対象魚として注目されるようになったんだけど、当初国産の大型機はお話にならなかった。ほぼPENN一択。なぜならそれまで国内向けの大型スピニングは前の方でも書いたように投げ釣り用が主で、ドラグもろくなもんじゃなかっただろうし、強度も不足していたはず。なので、ルアー用の大型スピニングを、ってなっても作り慣れてないので、最初の頃はダイワのトーナメントもシマノのステラも、PENNユーザーが鼻で笑う程度のデキだった。ファイト中に瞬間的逆転防止機構が壊れる、ドラグはウィンウィンと音を立ててしゃくる、ハンドルノブのベアリングが錆びて潮かぶると一発でキコキコ鳴き始める。そこで反省してPENNみたいなスピニングを作っておけば良いのに、そうならずに逆転防止機構の改良やら防水、あつものに懲りてドラグにボールベアリングまでぶち込んで、ベアリングも防水してってやって、アホみたいな価格の高級リール様が誕生するに至っている。もし、あの頃に大森大型機を投入するという発想があったら、案外すんなりロウニンアジぐらい釣れたんじゃないか?っていう気がするのである。オートベールNo.5で”釣力”17kgとなってて、これは最大ドラグ値(あるいは耐破壊強度のほうか?)と同じような意味だったはずで、手持ちのスピニングタックルでドラグ値10キロ以上に上げて使えるマッチョな釣り人など希有なぐらいではあるけど、そのぐらいの負荷に耐えうる強度は確保してあるっていうことで、実際ワシを例に出すならPENNの7500ssでドラグ値6~7キロで運用してたんだけど、そのぐらいのドラグ値なら大森大型機はまるで平気な気がする。主な購買層が投げ釣りで、性能の良いドラグも、大物と渡りあえる”釣力”も必要とされていなくても、大型のスピニングリールならば大森製作所はそれが必要だと考えてたんだと思えてくる。ただ、大型スピニング用のドラグパッドとしてフェルトはどうなんだろう?とかドラグノブ樹脂製なのはドラグキツめで突っ走られたときに摩擦熱で溶けたりしないだろうか?っていうのは、ちょっと不安なところではある。ただ、ドラグ周りは難しい機構じゃないので好きにいじる余地はある。パッドはたぶんアクリルとかの化繊であるフェルトよりは、フライパンの表面加工にも使われるぐらいの耐熱性があるテフロンや、大型リールでは定番のPENN方式といって良いかも?なカーボンシートやらのほうが良さそうだし、ドラグノブの摩擦熱対策は、ドラグノブと一番上のワッシャーの間に、熱伝導率の良くないパッドを断熱材として挟んでやるとか工夫はできそうである。逆に言うと不安なのはドラグ周りぐらいしかなく、何しろギアやら本体枠やらはガッチリ作られていて頑丈で、設計も複雑なところがなく壊れる要素も少ない。90年代始めには大森製作所はなくなってしまったので、100g超の大型ルアーのキャスティング向けとしては誰も目をつける人はいなかったけど、もし使ってたら多少の改造でアッサリ必要な性能を確保できてたのではないかという気がしてくるのである。なので、遅きに失した感はあれども、この冬ちょっと手を入れた対青物仕様の大型大森スピニングっていうのを考えて、遊んでみようかなと考えている。実際の青物釣りは、この地で岸からだと試行錯誤して遊んでる余裕はないので、実釣はPENNで行くんだけど、魚掛けなくてもドラグテストとかは可能なのでちょっと頭の中に試したいことがいくつかあるので、暇をみて試してみたい。
タイトルに使うにあたって”斜にかまえる”という言葉を検索して意味を確認したところ、実はこの言葉はもともとは剣術の用語に由来するようで、剣を斜めに、つまり中段にかまえて、相手の動きに即応できるようにかまえることから、本来「真正面から気合い入れ直してかかる」的な意味だったようだ、現代では逆に「正面からとらえず、皮肉な態度をとる」と反転している。
大森製作所が、オシュレーションカムを斜にかまえたのは、まさに”斜にかまえて”設計上の問題に即応したんじゃないかと考察したところであり、適当に語感の良い言葉を並べただけのタイトルなんだけど、なんか意味深長な感じになってるやんけ、とほくそ笑んだところである。
2023年11月18日土曜日
アメ人も凝ったリール作るじゃん!オーシャンシティー310!!
なかなかの珍品ではないだろうか、オーシャンシティーっていうとその名からも分かるとおり、海用の両軸とかが得意なメーカーだけど、日本じゃむしろバス用のダイレクトリールのほうが馴染みがあるだろうか?スピニングはあんまり印象無くて「350」という奇っ怪なリールぐらいしか知らんかった。しかしながら、PENNの創始者はオーシャンシティーで働いてリール作りを学んで独立したと聞いて、まあPENNの源流ならそのうちいじってみんとあかんな、と思ってたんだけど、幸いなことに物々交換でブローニング&ルー(韓国日吉釣具製)「ゴールドスピン」の換わりにわが家にこのオーシャンシティー「310」がやってきた。ちなみに「トゥルーテンパー」のシールが貼ってあって、オーシャンシティーは両軸でもちょくちょく同ブランド名で売ってるのがあって、トゥルーテンパーブランドはお得意様で、その販売網とかで売ってたのかも。
カラーリングからして、古き良き米国な感じが醸し出されていてなかなかに味わい深い。350ほど奇っ怪な見た目ではなく、ちゃんとしたスピニングリールに見える。ただ、いざ分解していくとどうにも独特な独自路線でなかなかに楽しめたので、スピ熱患者の皆様にもお楽しみいただけるかと思っちょります。
まずはどう分解していけば良いのか?ちょっと迷う。ドラグノブがネジ留めされていてスプールがどう外すのが正解なのかまず分からん。そして、本体は横にネジが無く、縦にネジが入ってて、どうも側面の蓋をご開帳する方式ではなく、本体を脚側と写真の様にネジの見えてる側の上下にパカッと割るしかなさそうである。まあ、そのへんおいおい進めるとしてまずは簡単にはずれるというか、送付時外してあったハンドルから外していくか、と外してハンドルの軸をいじると、いきなりそこからして初めて見る方式で笑えてくる。
ハンドルが外されて送られてきて、つけるには本体から飛び出てる軸の先にハンドル側の穴をあててからハンドル側の横に出てる円盤状のツマミを回して填めてやるんだけど”ねじ込み式じゃ何でアカンのだろう?”って思ってたけど、なるほどそうなってるのかと合点がいった。ネジ込み方式でハンドル左右を付け替えるとなると、ハンドルのネジの山の切り方を左右で逆にしないと、片方側が巻いてるときにネジが緩んでしまうことになるので、4桁PENNならハンドル側を雄ネジにして根元と先でネジ山逆にして対応してるし、大森は最初ネジを右用左用の2種類用意してて、その後はごぞんじの同一軸上に左右のネジを切る方式にしている。ところがこのリールは冒頭写真でハンドルの無い側突き出した軸にキャップがハマってるのが見えてるのからも分かるとおり、左右両用でかつハンドル側が雌ネジである。雌ネジでも深さによって穴の径とネジ山を逆転させればねじ込み式にできるかもだけど、このリールは本体側の雄ネジの方が左右同じ向きのネジ山で当然同じ径になってる。なのでねじ込んでハンドルを固定するのではなく、ハンドル回すための固定自体は本体から出てる軸に填めた俵型の部品に、ハンドルの俵型の窪みをガタつかないように填めてガタ無く巻けるような構造になっていて、ネジはそのハマった俵型の凸凹部分を抜けないように固定する役割をになっている。なるほど左右両用のハンドルの固定方式としてこんな手もあるのか、という感じ。軸はこれまた本体内でギアに凸凹でハマるようでこの時点で抜けてきたので抜いておく。 ハンドルノブの軸は鉄系の軸にノブが当たる両端の方に真鍮製のスリーブがハメゴロされてる感じでこまかいところも丁寧な作り。基本的に回転部には真鍮や樹脂製のスリーブやブッシュが入ってて仕事はとても丁寧で、古き良き米国の職人魂がそういう細部に感じられ、そういうところがPENNにも継承されていったんだろうなと歴史が感じられるところ。 分解の方は、じゃあ次はスプールいってみるかと、ドラグノブは緩めていってもネジ留めされていて外せないので、そのネジから外していく。ネジ外すとドラグノブが外れて、ドラグノブの中に収納されるようにバネが入ってて、その下に軸と同期して回らない俵型穴の金属ワッシャーが入ってて、その下に革製のドラグパッド、その下に樹脂製の台座が来て、この台座にカパッとリング状のスプールを填めるカートリッジ式のスプールのようだ、で台座の裏にはドラグの音出しの金属パーツが飛び出ている金属スリーブのお尻がみえていて、この金属スリーブは台座を貫通してて、これにドラグノブをネジ留めしている。台座と金属スプールの間には繊維性のパッドと金属ワッシャーが入ってて、メインのドラグパッドは上の皮パッドだろうけど、こちらの繊維性パッドも多少ドラグの仕事はしている構造。
一番下の写真がバラした部品で、上の方に写ってる輪っか状の部品は、糸落ち防止にスプール下部に巻かれているモール。で、今回モールもだけど皮パッドもそこそこ保存状態良くて、当時の状態を残すためにも交換せずに使った。
お次はいよいよ本体割るかなということで、意外に長いネジをスポンと抜いて、パカッと割ると、なんか見たことのない違和感バリバリの構造が見えてくる。スプール上下どうなってんの?オシュレーションカムが縦に付いてるのは正しい位置なのか?それより何より、このとげとげしいビール瓶の蓋みたいなギアはなんなの?この時代にハイポイドフェースギアのような、軸をオフセットさせたギアは無かっただろうから、左右両用なので蓋開けるまでてっきりウォームギアが入ってるんだと思ってた。そのわりに巻きがジャーコジャーコと滑らかでないのも精度が出てないからとかだろうと思ってたけど、ウォームギアではなく、歯車の歯であるトゲトゲが突き出して、双方のギアのトゲトゲ歯同志が噛み合う方式。接触する面だけ考えるとトゲトゲの斜めの面どうしが接しているので、かさ歯車に切った歯どうしのベベルギアの一種なんだろうか?当然主軸とハンドル軸は直交するので、左右両用には交差する軸が重ならない工夫が必要なわけで、なかなかにそこは鋭い工夫がしてあるので見ていこう。
まず上の写真は、本体から外してギア同士が噛んでる状態を見やすくしたもので、こういうギアです。王冠のトゲどうしで絡んでるようなギアと言うこともできるか?ちょっとネット検索したぐらいではなんというギアなのか出てこなかったので、ご存じの方おられたら是非ご教授ください。ちなみにローター軸のギアはステンかな?ハンドル軸のギアはアルミっぽいの、芯がステンっぽい堅いのを鋳込むというよりは後で出てくる写真のように継いであるように見える。そして、軸が直交するギアで左右にハンドルをつける方式、というとZEBCO「15XRL」が、主軸を短く、伸ばしていけばぶつかるはずのハンドル軸まで届かないようにする。という力技で解決している例は見たことあって、その時にその応用編で、主軸の真ん中をくりぬいてその中を通るハンドル軸にしてもイケるかもな、と思いついたけど、主軸であるステンレスや真鍮をそんな難儀な形状に加工するのは手間掛かって現実的ではないよな、と思ったんだけど、ステンや真鍮を加工しなくて良い。それらの素材でできた主軸に加工が容易な素材でできたオシュレーションカムを縦に接続して、そカムの中をハンドル軸が貫通してカムが上下動できるようにしてやれば良い、ってのがこの「310」の方式。写真下は見やすいように、ハンドル軸のギアに軸をブッ刺した状態で、主軸の縦になったオシュレーションカムがどう重なってるかを示したものです。カムのお尻からでてる棒がギアに掘られた円形溝にハマってギアの回転でカムが上下し、スプールを上下させるという仕組み。これだとカムは亜鉛鋳造で好きな形に作ればよいから楽だろう。ウーン独創的。
ギアのところを見やすくするとこんな感じで、ハンドル軸のギア上に切った、スプール上下のための円形溝はこうなってます、偏心してるので真ん中の軸穴との距離が変化することでオシュレーションカムを上下させているというのがお分かりいただけるだろう。細かい所だけど、オシュレーションカムのギアの円形溝に突っ込む棒には真鍮のカラーが巻いてあり、ハンドル軸のギアには素材不明のブッシュがハマってるけど、これがハンドル軸とギアの継ぎ目の部分でギア側がやや太いのを軸の径まで絞ってる形に合わせて、カラーも曲線的に凹ませてある、等々は丁寧な仕事ぶりだなと感心する。ちなみにハンドル軸にもローター軸にもボールベアリングは入っておらず、ボールベアリングレス機です。エラい!
でもって、本体割った脚側にはナニも入ってってなかったのかというと、逆転防止機構(ストッパー)関係が入ってました。これが一見して何をやってるのか分からん謎機構。