2026年10月31日土曜日

クランクキャロ

  今クランクベイト界隈で騒がしいのがDRT「ポリス」で、DRTは琵琶湖のそばのメーカーらしいんだけど、琵琶湖の水深10mをシンキングルアーではなく、ディープダイバーによって「浮かせて躱す」「浮かせて食わす」ことで浮力付きで攻めきることが可能と宣伝文句が踊っている。なんでも船で引っ張るドラッキングじゃなく投げて巻くキャスティングで最大深度13mをマークするとか。いわゆるマグナムディープクランクである写真のストライクキング「10XD」やデュエル「バレットクランク7+」がキャスティングだと最大深度7m強とされているので、えげつない潜りっぷりである。まあ、この手の今まで届かなかったところまで届くルアーは、皆が使ってスレるまでは独擅場になるわけで、超深場からデカいのが釣れてくるという刺激的な報告は、釣り人のロマンをかき立ててきやがるわけで、令和の闇市「メル○リ」とかをチェックしてみると、多分定価5千円ぐらいだろうけど、プレ値つけた新品がゴチャっと売りに出てて、” 転売ヤー”どもが、はした金稼ぎのためにに奔走しているようである。

 ワシ、”転売”という行為はある程度容認する。ワシが買うような釣り具とか趣味の世界では、欲しけりゃ高い金払ってでも買えば良いっていう単純な話で、コレクターズアイテムとか、別に買わなきゃ死ぬわけじゃなし、需要と供給で需要のあるモノを仕入れて、欲しい人間に供給して稼ぐ行為自体は、むしろ商売の基本のキだろうと思うので、値段が折り合わないとか嫌なら買わないってだけであり、むしろ古物とかで考えると価値が無いので売りにも出てこないってなるとお手上げなので、値段が高くても買えるのはありがたい。趣味の世界でも、トレーディングカードゲームのカードとか転売屋が買い占めると、本来の使用者である子供が買うことができなくなるっていう批判も目にするけど、まあ買えなくても死にゃしないんだから、大人の世界の経済っていうのは、そういうキッタネェ商売もあって、金が無いと手のだしようがないこともあるってのを学ばされるのは、社会勉強のうちだろうと思う。ただ、値段つり上げて転売ってのを食料品・医療品でやるのは勘弁してくれって心底思う。買えなきゃ死ぬような、人の生き死にに関係するようなモノの流通を妨げてまで、卑しく金ごときを稼ごうとするなと罵倒して批判しておきたい。転売って話ではないかもだけど、令和の米騒動で米抱え込んで、値段つり上げてた連中が在庫過多に陥って、結局安く放出しなくちゃならなくなってるのとか見ていると、人の食うモノで意地汚く儲けようとした報いじゃザマミロという感想しか湧かん。ただ、物価が何でも上がってる中で5キロが2000円程度とかの安い銘柄米が出てくると、しわ寄せ食らうだろう農家の人達が立ち行かなくなるんじゃないかというのは心配する。ワシは米農家さんが生産を続けられるのなら、底値2500~3000円くらいは負担しても良いと思っている。在庫抱えた中間業者がつぶれようがどうしようが知らんがなだけど、農家にはちゃんと経営が成り立つように相応の金額は払いたい。

 っていうなかで、件の10m超級のディープダイバー「ポリス」を買うかというと、とりあえず現時点では買わない。一つにはこんな尖った性能のルアーを皆が皆使いこなせるわけもなく、使いこなせたとしてもそれはそれで、れいによって流行ったらスレてしまうので、最初は効果絶大でも釣れなくなる。となるともてあました釣り人が、安い値段で良いからとネットオークション・フリーマーケットなりに放出し始めるだろうから、買うのはそれからで遅くない。というのと、10mダイバーであるこのポリス、ちょっと簡単に扱える代物ではなさそうに思う。16ポンドフロロでキャスティングで10m以上潜るとあるけど、そのための大きなリップを支えるためには当然ボディーも大きく、88g、20センチは3オンス超えのデカブツで、ちょっと普通のバスタックルの延長では扱えん。ビッグベイト用で長めの竿か、マスキー用チョウザメ用とかの怪魚系用の竿がいりそうに思う。かつ、3オンス超級のデカブツを10m以上潜らせるのはハッキリ言って”重労働”だろう。試しに安くなったら買っても良いけど、これを主戦力に組み込めるかっていうと微妙である。

 で、ついでに書くと我が家の蔵には、10m超級のディープダイバーがすでになんぼか転がっているのもとりあえず様子見で手を出さない理由の一つである。まあ、そいつらはボーマー「サーティファイドデプス30」とかマンズ「マグナムストレッチ30+」、ラパラ「Xラップマグナムダイブベイト30フィート」とかである。こいつら一応30フィート(約9m)潜るよとなってるけどトローリング想定のルアー達であり、サーティファイドデプス30の箱書きの潜行グラフを見ると、50LBのPEラインで船速5ノットぐらいで長距離引っ張ると最大で約18m潜るとなってる。50LBのPEでどれだけの距離引っ張れば10mを超えてくるかというと、約65フィート(約20m)で33フィート(約10m)ぐらいまで潜るようだ。もう少し細いPEでもイケると思うので、助走距離が20m近く掛かるとしても、なんとか50mぐらいぶん投げたら手前30mぐらいからは10m以上に潜ってくれそうではある。ただ、こいつらキャスティングはまったく想定されてなくて、まずは投げにくいし、代表してサーティファイドデプス30とかを見ると21センチ(リップ除いて)123gもあっって、ポリス以上に”投げて巻いて”がしんどそうで、コイツを近所漁港の底物や根魚狙うのに投入するのは躊躇しているところである。写真の隅に写ってる小さく見えるクランクベイトは実際にはそれほど小さくもないワシの主力ディープクランク「5XD」である。ダイビングクランクは浮力大きな太いボディーで大きな潜行用リップを支えることができるっていうのは、同じように10mを超えて潜るポリスが、サーティファイドデプスよりデカいリップが搭載できて、ずいぶん軽く?仕上がってることからも分かるところ。

 って感じで、20センチ超えのデカブツダイバーどもをワシが扱えるのかという懸念もあり、10mダイバーを使えば10水深が狙えるようになると単純にはいきそうにない。ので考えた。ジグヘッドのワームやらはフグに食われるし、底付近を攻めようとするとすぐに浮き始めるので適宜着底させてというのが必要になり、そうなると根がかりも問題になる。シンキングミノーやバイブレーションは沈めるのが時間掛かってかったるい上に巻けば浮いてくるので、底近くを横に引くのはかなり技術がいる。当然こいつらにも根掛かりの問題もある。メタルジグは沈みが早いので、多少巻いて浮いてきても都度沈めてやればそれなりに底付近を攻めることがデキる。根掛かり少ない砂底限定だけど今でも使ってる。とはいえイマイチアピール力には欠ける。

 ということで、なんとかならんかと考えた。トローリングならあんまり潜らない”しんどくないルアー”でも潜行板やら砲丸みたいなダウンリガーを使って、必要な深度に届けることができる。って考えて、潜行板は結局潜らせる作業が生じるのは一緒だし投げにくいのも一緒なのでダメだとしても、望みの深さに届けるのはオモリに任せて、そっからハリス出してルアーを引っ張れば、オモリの重さとかを変えていけば、いろんな水深に対応できるし、使うルアーも動き重視で使いやすいのが選べる。ということで、カマスのルアー釣りでは実績充分のシャッドキャロのクランクベイト版”クランクキャロ”ならオモリ20号とか使えば10m水深もなんのそのだし、フローティングのルアーを使えば根がかるのがオモリの部分になるはずで、オモリの接続をショボいスナップとかにしておけば、基本根掛かり少ないところで使うつもりだけど、オモリだけが切れて海底に残すゴミを最低限にできる。まあ、あとは現場に持ち出して試行錯誤して詰めていくんだろうなと、早速実戦投入。クランクキャロの仕掛けは、親子サルカンのように枝スのほうにも回転するサルカンが付いた3方に結ぶところがあるサルカンを利用して、上は道糸からのリーダーに接続、下は細い縒りワイヤーを使って、横に出すのは普通に40センチかそこらのハリスを伸ばしてルアーを接続という感じ。

 単体のディープダイバーで10m水深を狙おうと思うとルアーが大型化したけど、クランクキャロの場合は、むしろ大きすぎると絡みそうなので、とりあえずは小型のモノから試す。あと、引っ張るときにルアーをディープダイバーにして、棚を上がりにくくする方が良いのか、ある程度ルアーを浮かせたまま引っ張れるシャローランナーが根がかり防止の面から良いのか、あたりも試してみた。ついでに”クランクキャロ”の仕掛けだと、クランクに限らずミノーとか巻モノならなんでも使えるので、ミノーも用意した。1回目の試し投げの結果は、15号オモリで5~6m水深の底を狙うのに充分使えそう。投げて使う場合は原則根掛かりしない砂底のみだけど、テクトロの場合は漁港なので足下にゴミが沈んでてたまに根がかったけど、護岸の真上から長めにとってある中間リーダーのPE80LBを引っ張れば、フックが細いと曲がって回収できる。ちなみにルアーへのハリスが7号ナイロン、仕掛けへのハリスが根魚クランクのをそのまま使ってて、ハリスが12号ナイロン、中間リーダーが4~5mのPE80LB、道糸4号ナイロンをビミニツイストでダブルラインとって中間リーダーに接続という感じ。これは元々根魚クランク用のリーダーシステムで都合が良いのでそのまま使ってる。15号とかの重いオモリだと、オモリが仕掛けをしっかり沈めるので、多少潜るルアー使ったところで棚がキープできるってモンでもなく、ルアーはシャローランナーでちょっと巻いて、あるいは歩いて、仕掛けごとルアーが浮いてきたら一旦沈めてまた引っ張るって感じでよさげ。ちなみに沈むときもオモリに引っ張られてルアーは泳いでる。むしろルアー自体を浮いて根がかり回避させるか、沈めて底棚に入れるかは思案しどころ。って感触は掴めたけど、1回目は晴れててあんまり条件も良くなかったってのもあったけど、クランクにもミノーにも反応なし。

 で2回目は、足下の根魚狙ってテクトロするとなると、根掛かり対策で弱めのフックを使わざるを得ず、ルアーもあまり大きくないので、狙いが良型根魚ではなく、ガシ(カサゴ)中心の小型根魚になっていくっていう状況が生じると分かった。まあそれはそれでかまわない。大型狙いの時は、根掛かり少ない場所を選んで丈夫なフックのルアーを引けば良い。ということで、途中から小型根魚に狙いを振ってタイニーピーナッツⅡSRを使って、見事「クランクキャロ」での1匹目をゲット、この仕掛け、釣り方で魚が釣れるという感触を得ることができた。

 それは良いんだけど、その後しょうもないミスで根掛かりで、リーダー、中間リーダー、道糸のビミニ部分と+ちょっと、くわえて当然ルアーとオモリの仕掛けを海にゴミとして残してしまった。足下テクトロであれば根がかっても、根掛かりの真上で中間リーダーまで含む長めのリーダーシステムに手が届き、それを引っ張って、フックなりオモリの付いてるスナップを伸ばしてしまえば海に残すことになるゴミを最低限に抑えられるんだけど、不用意に底の状態が分かってない場所でチョイ投げしてしまって、中間リーダーに手が届かず引っ張って金属部分を壊して回収ということができなかった。5mからの太い糸を海底に残してしまい慚愧に堪えない痛恨のミス。ヘッタクソって話で”ソニン”共を笑えない。

 という痛い目をみて、砂底で根掛かりの心配がいらないところ以外では、クランクキャロは投げないっていうのと、テクトロするときは水深より長いリーダーシステム組んで、根がかっても強いリーダーシステム引っ張って最悪オモリ以外とかは回収できるように、フックをある程度弱くしたり、オモリの接続を切りやすくしたりという細かいところの詰めをきちんとしていきたい。

 魚はとりあえず釣れる。あたりまえだけど。というなかで、今後は坊主逃れに小型根魚狙いですぐ曲がるハリ使って釣る方向と、投げてもテクトロでも砂底やらで根掛かりが心配無い場所を攻めるのに、ある程度ハリを丈夫にして良型を狙って行く方向と、それぞれ釣るためのフックやルアーの最適化も進めていきたい。現時点では前者の方向で、チビガシねらいのタイニー&プチピーナッツ勢、おとなしめラパラF5(アスリートS5.5とシュガーミノー5SPあたりも入れる)。もうチョイ大きめ狙いのピーナッツⅡSR、ロングA14A、マジェンダ80、チョイ大きめおとなしめはサイレントピーナッツⅡSR、ラパラF9、という布陣でとりあえず色々試してみたいと思っている。まあ、釣り場に立って魚の反応見ながら考えないと、所詮机上の空論で話が詰まっていかない。

 深目の砂底エリアを投げて広く探ってコチヒラメとかの底物系ありで良型根魚狙うのと、長く真っ直ぐな護岸足下をテクトロして、広く効率的に探って小型根魚で坊主逃れ、とかが当面習熟したい方向性だけど、こういう新しい試みは、上手くいって常時使えるような技術に育つなんてのはなかなか難しいけど、なんかのときに使える手札が1枚増えるだけでも、そのうち役立つときもあるだろうから、まずは海底にゴミを出さないことを至上命題としつつ、使える手札の一つとして育てていければ儲けものかなとおもっちょります。新しい釣り方、釣りものを常に探しておかないと、海も川も季節のあり方さえも変わっていく中、今までの釣りでしのぎきれるほど甘くはないと感じてるところ。10ぐらい試して1つか2つモノになったら、なんとか次の数年ぐらいは釣っていけると思うので、海を、釣り場の状況を見ながら、新たな手立ては常に考えていきたい。

2026年10月27日火曜日

真っ白な灰になりたい

 「ほんの瞬間にせよ、まぶしいほどまっ赤に燃えあがるんだ。そしてあとにはまっ白な灰だけが残る。燃えかすなんか残りやしない。まっ白な灰だけだ」、高森朝雄(梶原一騎)原作、ちばてつや作画の名作マンガ「あしたのジョー」の有名な台詞である。

 ちばてつや先生の訃報が・・・最近ワシのメンタル削るような訃報が多くて泣けてくる。ワシ、人生で好きなマンガベスト3を選べと言われると、選べず4つ選んでしまう。若いときに読んだので想い出補正もあって、もっと良いマンガも描かれているようにも思うけど、ベストを選べといわれれば「あしたのジョー」「ブラックジャック」「釣りキチ三平」「デビルマン」になってしまう。手塚治虫先生などとうの昔に鬼籍に入り、矢口先生が亡くなられたのはまだ記憶に新しい。梶原一騎先生もだいぶ昔になくなっており、ちば先生も亡くなり、いよいよワシのベスト4マンガの作者でご健在なのは永井豪先生を残すのみとなった。豪先生あの多作で時に魂削るような作風で御年81歳まだ画業続けておられて、長生きをお祈りしております。

 で、ちば先生、スポーツマンガが多く「明日天気になあれ」はゴルフ、「少年よラケットを抱け」はテニスで、連載時マガジンで読んでた。ただ、「あしたのジョー」は連載時はまだ幼く読んでなかったけど、アニメで入って、後年原作マンガも何度も読んだけど、クソ面白いの一言に尽きる。今もそうなのか分からんけど、原作と作画担当の関係は、一種の真剣勝負だったというようなことをちば先生がおっしゃられてたように記憶していて、梶原先生の原作に対して、ちば先生が、そうきたらこう返す、って漫画で描き出す、それを受けてさらに梶原先生が物語りをヒートアップさせるアイデアを打ち返してくるというような、作中のトリプルクロスカウンターみたいな攻防で物語を紡いでいったようだ。

 最後、闘い終えて、白木ジム会長の葉子にグローブを渡して真っ白な灰になったホセ・メンドーサ戦ももちろん良かったけど、ジョーのベストバウトを選ぶとなると、カーロス・リベラ戦をあげたい。エキシビジョンマッチで最後乱闘ノーコンテストになってるけど、力石の死で顔面攻撃できなくなってたジョーが復活ののろしを上げる爽快な読後感の1戦。

 いま現実のボクシングでも日本勢はバンタム級が熱いけど、バンタム級の試合を見るたびにジ様はジョーと力石が闘った階級だなと思ってしまう。

 冒頭の、公園のブランコでだったと思うけど紀ちゃんに語ったジョーの台詞は、こうグッとくる人生の指針となるような名台詞だと思うけど、ボクシングまみれの生き方を紀ちゃんは「悲惨だわ」ってついていけなくなり、対照的に白木葉子会長は、ジョーに闘い続けさせるために燃料の薪をくべつづける。どっちゃのヒロインもどうなのちょっと?という疑問が若い頃のナマジ君の頭にうかんだのであった。女性ってコワいねって現実のみならずマンガでも学ぶのであった。

 まあ、他にも力石が白湯を捨てる場面とか、ジョーが小銭だったかを握りこんでパンチ力を増す反則で力石を殴ったあと、オッちゃんに褒められつつも鉄拳制裁くらう場面とか、色々と思い出される名シーン満載で、たぶんワシの心を形作るのにおおいに影響を受けていると思っている。

 まあそういう、魂の親達とでもいうべき作家先生達が、まあ親世代だからそうなんだろうけど、一人また一人とお亡くなりになるのは、寂しくてやりきれないものがある。

 ちば先生には、心からご冥福をお祈りするとともに、良いマンガをありがとうございましたと深く深く感謝を捧げたい。

2026年10月24日土曜日

アベマTVはエラい

©ABEMA-TV
  3年ほど視聴し続けた、世界最大の米国のプロレス団体「WWE」の国内配信元が、アベマTVからネットフリックスに変わった。米本国では去年だったかにネトフリが独占放映権買ったようで、既にネトフリ中継になってたようだけど、WWEわりと仁義は通す団体なのか、日本国内では契約期間満了までだったんだと思うけど今年の9月までアベマTVが放送していた。常々感じるところだけどアベマTVはあまり知られてもなかったコンテンツを見つけてきて、時間割通りなら無料で視聴可能なうえ、良い感じの実況解説陣を引っ張ってきて丁寧な初心者向け解説を入れつつファンを獲得して日本でも人気コンテンツに育て上げるのが上手いというか、それを同業他社に育ったところで美味しいところをもってかれ気味だと感じる。今回は円満な移行のように見えるけど、格闘技でいうなら「ONEチャンピオンシップ」や「ベラトール」がそうだと思うし、国内では人気定着しなかったけど素手にバンテージだけ巻いて戦ういろいろとやばい格闘技「ミャンマーラウェイ」や寝技団体戦「QUINTET」とかの新しい芽を育てる挑戦的な放送内容が多かった。逆に地上派がもうスポンサー獲得できなくなって放映権買えなくなったようなコンテンツや、やらかして地上派で出演できなくなったタレントとかの受け皿にもなっていて、「RIZIN」とか今年からフジが撤退して、DAZNとアベマのペイパービュー方式になったようだ。オクスリで捕まったピエール瀧氏とか相撲題材のドラマで悪ーい親方を怪演している。ミュージシャンが薬やったぐらいで干されなきゃならん”コンプライアンス”ってなんや?って常々疑問に思ってるので拍手。

 一方で、地上波はいよいよもって終わってる。一切見なくてもなんの問題も生じないというか、アホな情報に踊らされない利点が大きい。以前も書いたけど、速報性はネットに劣り、公平性正確性は語るに落ちて、スポンサーにおもねって理念も理想もクソもなく、コンプライアンスとクレームにビビって冒険性のかけらもない。アホな視聴者の求めるしょうもないモノを垂れ流すだけ。

 ネットニュースでは流れてきてたけど、ヤフーの上の方のトピックスに上がってなかったってことは皆さん興味がないようで、地上派で報道したのか怪しいけど(さすがに報道したよね)、フランスで複数の企業の外部から操作可能な冷凍保管施設がサイバーテロにあって冷凍食品の在庫が大量に廃棄処分になったってのが、戦争とか継続案件除くと最近では一番の大事件だったと思うけど、以前、シンガポールだったかで電気水道などの都市インフラがサイバーテロにあってパニクったというのをネトフリのドキュメンタリーで知ったけど、一緒に観てたケン一が「こんなもんテレビでは一切触れられてなかったぞ」と戦慄してた。ホントこの平和ボケした我が国はそういう危機管理意識に欠けていて気にもしてないようで、情報漏洩とかオムツ必要なレベルで漏らしまくってる程度の低さで、いつ大規模なサイバーテロの標的になってもおかしくないのに、キャッシュレス決済がどうのこうのと痛い目みるのがあからさまなシステムにホイホイと手を出して、案の定一部で不具合生じて現在進行形で混乱してる。まあ現金も国の経済とかがひっくり返ったらゴミに帰するとしてもだ。

 アベマTVにもニュースチャンネルがあって、たまに覗くと地上派ではちょっとお目にかかれないような個性的というかなんというかなアナウンサーが、各社配信の映像と、視聴者からの提供映像やらネット動画の使い回しで、クソ安く作ってて笑えるデキなんだけど、お客さんと一緒に観てると、今の地上派は似たようなモノだそうで、いよいよもって地上派は見る価値が無いと知る。

 というわけで、ワシはたとえ楽しみにしていたコンテンツが他の配信業者にもってかれてしまったとしても、また新しいワシが知らなかったモノを見せてくれるであろうアベマTVをプレミアム契約して、見たいペイパービュー放送もしっかり金払って観て、スポンサー企業さんとともに支持していきたいと思っている。ネトフリとかの海外勢の配信事業者も、アベマTVのような国内配信勢が頑張ってくれているとなかなか強気の値段設定にはできないようで、囲い込みのために苦心しているようで、古くからの契約者であるワシ、今では入れない格安プランで契約している。これ一回解約すると次は高いのに入らなければならないようで、ネトフリも契約継続しか選択肢がない。とはいえ、ネトフリ作成のドキュメンタリーやらアニメやらは金払って見る価値は充分にあるので、パトロンの一人としてはなんの文句も無い。WWEも引き続き観られるしな。戦争を題材にしたドキュメンタリー「ターニング・ポイント」シリーズも見応えあったし、「ジョジョ7部」もやっと配信再開したし、「サイバーパンク・エッジランナーズ」新シーズンもまとめて上がってるし楽しみでならない。

 という感じなので、皆さん少なくとも時間割どおりなら視聴無料のアベマTVは見たことなかったら一回観てみていただきたい。でもって、これは良いとなったらプレミアム契約していただくことで、アベマTVにお金が入ってもっと面白い番組が提供されるようになるとワシも嬉しいな、と思って宣伝させてもらいましたとさ。

2026年10月23日金曜日

限りなくブルー

  作家の村上龍先生が17日、死去したとの報道があった。74歳だった。

 74歳はちと早いという思いと共に、自分の心を形作る鋳型の一部であるといってよい、影響を受けた作家先生とかの死の報にふれるとなんとも言えない寂しさがある。まあワシ自身がジジイになってるので、どうしても自分が影響を受けたような先輩方がそろそろ彼岸に旅立たれがちではあり、順番でもあり、あるていど仕方ないと思うにしても、それでも人の心はそんな簡単には割り切れないものがあると知るワシ55歳。

 先生の作品で一番のお気に入りは「コインロッカー・ベイビーズ」で、今もそうだけど、読んだ若い当時に心の奥にオリのようにとごってぐちゃぐちゃしていた、社会への言いようのない不満と、破壊衝動が共鳴するような傑作だった。また読み直してみよう。きっと若い頃とは別の味わいがあるだろうと思う。

 村上龍先生を知ったのは、読書仲間のケン一が激推ししてたからで、高校生の頃のヤツの本棚には「すべての男は消耗品である」シリーズ始め著作多数揃ってた。その後も「半島を出よ」「愛と幻想のファシズム」とか推されるたびに読んだけどクソ面白かった。ただ正直、デビュー作で芥川賞という出世作の「限りなく透明に近いブルー」はエログロきつすぎてワシにはあわんかった。

 ケン一に指摘されて始めて気がついたけど、エヴァの登場人物トウジ君、ケンスケ君は、「愛と幻想のファシズム」の登場人物由来だと知って、村上先生いろんなところに影響与えてるんだなと思ったのも思い出される。ワシの心やものの考え方にも大きく影響を与えてくれたと思っています。

 先生素晴らしい作品達をありがとうございました。心よりご冥福をお祈りします。


2026年10月17日土曜日

迎撃準備完了!?

 軍事力が典型だけど、人間って未来のことが心配になると、空がオレの胸に落ちてくるかもって不安でたまらなくなるぐらいで、過剰なぐらいに備えがちである。ケセラセラとかケンチャナヨとか気楽に構えておけばいいものを、あるいは未来はナルホイヤだから、今から準備したところでどうしようもなく、その時になって必要なことをするのみと割り切れば良いものを、未来の不足を想定して、そんなもん未来にどんな不足が生じるか不確定ななかで不安がって準備を始めるとエラいことになる。海水温上昇に伴う”紀伊半島南の海化”を迎え撃とうとして”強い”ミノーを求めた結果の惨状がどうだったか、読者様の中には憶えていらっしゃる方もいるだろう。そうではあっても、その準備過程で試し投げしていたミノーがなんか良い魚に食われるという事象が生じており、準備するのに早すぎるということはないし、待ったなしであると思わされたのもこれまた事実。

Fマグ3kg強、ロングA約3kg、インビン2kg弱

 ミノー軍団については、ミノー買いまくってた時にも書いたけど、まあラパラ「Fマグ」各種、ボーマー「ロングA」各種、ニールズマスター「インビンシブル」各種が在庫充分なので、それだけでも間に合うだろうというのが冷静な見方というものだろう。しかし、ミノーで間に合わなくなるような、「とにかくアピール力で勝負!」「もっと深く!!」という場面で、ミノーよりも太いボディーで浮力や水押し力で優れるクランクベイトをと考えるのは、ルアーマンのモノの考え方としては至極当然だろうと思う。後者においては、深く潜るためのデカいリップを備えるには浮力の大きな容積の大きなボディーのクランクベイトが必要なのはルアーの設計上自然な流れで、実際に「根魚クランク」において、ディープクランク達には活躍してもらっているところ。前者のアピール力強化という面では、ミノーの”長さ”という視覚的要素はアピール力において無視できない要素であり、ミノーにはミノーのアピール力があるとは認識している。とはいえ、大型クランクベイトの強力な水押し力、水掻き力、激しい動きとラトルとの相乗効果というものはまた別格のアピール力を持っているのは間違いなく、ミノーのアピール力で足りなくなったら、クランクの出番とワシが考えたのはある種避けられない流れだと思う。まあ、ポッパーとか水面系もあるけどそっちは備蓄もあるしでとりあえず不用意に触らない。

こいつらまだまだ子供サイズ
 ということで、マウス滑りまくっている状況を、これまでもご報告してきた次第であるが、紀伊半島が南の海化した際に迎え撃たねばならない大型根魚、大型フエダイ系、大型に育ったメッキ系を迎撃するためのクランクベイトの体制が、やっとのことで整ったのでご紹介しておきたい。すでに大型根魚用のディープクランクについては実戦配備され戦果を上げつつある状況なので、それはここでは割愛させてもらって、港内や河口域の浅場を想定した、強いシャロークランク?達の布陣を主に紹介したい。

 とりあえずクランクベイトの”強さ”の大きな要素が太い本体の容積が押しのける水量に起因する”水押し”であるからして、ある程度以上大きめのに絞られる。まあぶっちゃけ小型のが必要な状況ならピーナッツⅡ軍団と”おっぱいおっきい地味メガネねぇちゃん”ことマジェンダ投げときゃ良いんだろって気もする。となると、具体的にはバグリーの「バルサB」でいえば「B2」、スクエアビルクランクの新基準であるラッキークラフトUSAの「RC」シリーズとその後継「LC」シリーズでは”2.5”クラス、長さでいえば7センチぐらいから上の大きさになるだろう。それ以上の大きさを全部で4段階に分けて、今回ルアー図鑑第96弾では紹介してみたい。

 では早速、”B2級”からいってみよう。まずはB2は使わない。なぜならB2って真鍮リグの時代のはしらんけど、ドミニカ製B2だと、フロントフックのアイはオモリと一体になったリグを埋めて接着してるだけのようなので、ぶっ壊されていざというときに魚に逃げられる恐れがある。代わりとして、そういう欠点を解消してあるのがワシの自作の「パクリ-2(略称P2)」である。 見た目はパッとしなくても実釣能力的には詰めてあるつもり。そして、まあプラ製のスクエアビルクランクという流行を作り出した源流ラッキークラフトUSA「RC2.5」&「LC2.5」はその先駆性に敬意を表して使ってみたい。でストライクキング「KVD2.5」はぶっちゃけラッキークラフトの真似なんだろうけど、でもディープクランクのXDシリーズとかとも共通するノペッとした表面塗装でストライクキングと一目で分かる個性があるのは評価する。性能的にもラッキークラフト製と遜色ないぐらい良く動く。で、これまであげたクランク達はノンラトルである。まあ”強さ”を求めるならラトルという要素も無視できないだろう。ということで、昔から樹脂製クランクはラトルインがお約束なので、古めからこれまたストライクキングの「リトルS」を選んでみた。表情が気に入って気がつけばなにげに5個在庫するにいたっている。ラトル有り2つめは国産シャロークランクの名作ベルズ「シャローラビットBIG」あんまりこいつの”売り”の障害物回避性能とかを使う場面はないんだけど、立ち込んでゴロタの浜とかで使うならコイツかな。で、もいっちょ抑えにラパラ「シャローシャッドラップ9」は強いクランクというのとはちょっと外れるかもだけど、平べったくて水掻き力に長けて、ノンラトル、バルサ製の嫌われる要素の少ないコイツは良い仕事するだろう。長さ的には7センチより長いけど、重量というか水を動かす量的にこのクラスと判断したところ。このクラスのクランクは投げるのにまだ抵抗感が生じにくい。なんならシーバスに投げてもいいぐらい。

 で次は、8センチ20g前後を”オリジナル級”としたい。ビッグOに始まるルファベット戦争の主戦場であり、そのころの各社ご自慢のクランクベイト達のオリジナルサイズがこのあたりというのと、バルサ50「オリジナル」にこれまた敬意を表してみたところである。ちなみにバルサ50も使わない。ワシの持ってるのリップに50の浮かせ文字が入ってる第2世代の”オリオリ”で下手すると数万円とかする。ワイヤー貫通構造でその面でも優れてるけど、さすがにぶっ壊されるの前提でいかちぃ魚共に投げる気にはならん。ということで、まあこのへんは前述したようなアルファベットプラグを持ってきておきたいところで、樹脂製「ビッグO」大サイズ(C80)は最近まで製造されていたので確保もしやすく、釣り人の信頼も厚く、まずは堅いところだろう。で、ついでにパチモノくさいシェイクスピア「ビッグシェイカー」も4つほど確保しているので投入したい。フラットサイド方面では自作「Pフラット」がこの階級に入る。そして今時?のノンラトルのスクエアビルクランクからはラッキークラフトUSA「ファットCBSR」を選んでみた。大森選手優勝記念モデルとか安く売りに出てるので確保しやすい。もいっちょ変化球入れてマンズ「ワンマイナス」は水面直下担当。藻場の上っ面とか引いて下からドカンとか、干潮時に残った河口の澪筋でウネウネゴロゴロでドカンとか妄想は楽しい。

 ここから先は、ちょっと投げるのがためらわれ、狂気が必要になってくるけど、海の魚はデカいのは上限知らずなので、いくらでもデカいの使えば良いと思う。”1オンス超級”と安直な階級名にしておく。デカいクランクのブームの先駆けとなったストライクキング「KVD8.0」は1.5オンス9センチといったところで、大きい分ややモッサリ感は出るにしても2.5と同様に良い動きしてる。ラッキークラフトUSA「ファットCB BDS6」は同サイズながらやや平べったい系おとなしめで、暴れるKVD8.0とは使い分けできそう。でこの2つはノンラトル。れいによってラトルインも欲しいとなると、一つはシーバス用シャッド系のハルシオン「ネタ」は重心移動も搭載で飛距離稼いで広く探れる。そして、もいっちょが変化球でデプス「バズジェット」は、ノイジーなのか水面ウェイキングでジョボジョボやりつつグネングネン暴れるのはアピール度ということでは、その大きさもあって強烈だろう。水面直下引きでも良い感じ。このあたりのルアー、デカクランクもバズジェットも流行ったときは入手も困難で、なんならプレ値ついて売り買いされてたんだろうと想像に難くないけど、流行りが過去のモノになってしまえば千円しないような普通の中古価格。流行ってたんなら弾数も多く入手簡単。たしかにこれだけのアピール力の高いルアーが流行ってしまったら、すぐにスレてしまうだろうから、最初に美味しい思いをした釣り人以外はろくに釣れもせずもてあますだろうことは想像に難くない。ただ、逆に流行が過ぎてしまえば、スレた魚も忘れてしまい、また釣れるようになる。その時に実績が高い釣れると分かってるルアーが使える。同じバス狙うにしてもそうだと思うし、さらには海に持ち出そうなんて思ったら、バス釣りで流行って効果が実証されたルアー達が、流行終わって安く中古市場にあふれてる状況とか、買う以外に選択肢がないだろうと思う。名品は色あせないのである。魚釣りで良い思いをしているのは、もちろん先頭走ってる、新しい釣り方開拓してるような釣り人は、リスクや苦労に見合った良い思いする権利があると思うけど、意外に流行が過ぎて周回遅れでやってると良い釣りがデキたりするので、流行関係なしのマイペースな釣り人も存外釣ってたりする。バスに限らずルアーに限らず釣りに限らずである。一番苦労するのが、流行ってる釣りモノ、流行ってる釣り方に中途半端な時期から参入する釣り人で、既にスレ始めている魚を相手に多くの釣り人と競らなければならない。人の10年先を行く釣りは難しいけど、人より10年遅れた釣りをするなら難しくない。釣り場情報とかでも「もうあそこは終わった」とか言われてる釣り場が、釣り人来なくなって密かに復活してたとかいうのは経験している。過去に実績が上がっていたという紛れもない事実は、わけの分からん釣り具業界が流行らそうとしてくる珍奇な釣りよりは確実性が高いと思っている。

 最後は、15センチとか2オンスを越えることもあるようなデカブツ共を”マグナム級”とする。デカクランクのブームの中心に存在した、ラッキークラフトUSA「SKTマグナム」は2オンス級の巨体のくせにRC2.5みたいに暴れてみせるデカいけどスクエアビルクランクらしい逸品。これがまた中古市場で安い。今回のクランクベイト熱以前に、何に使うかもさておきとりあえず確保してたぐらいに「これは釣れる」感がすごくする。集合写真で他のデカブツと混じると2ozのデカさがわかりにくいのでピーナッツⅡSRと並べてみたのでデカさをご理解いただきたい。でもいっちょサイレントでマグナム級なのは14センチのラパラ「スーパーシャッドラップ(SSR14)」、コイツは怪魚釣りとかではカウントダウンタイプと共に定番なのは皆様ご存じのとおり。まあマグナム級のフラットサイド部門担当である。でここまでノンラトルなので、ラトル有りもと思うんだけど、デカクランクが流行った時にどのメーカーもスクエアビルクランク流行の流れからか、単にKVDやSKTの真似なのかラトル有りタイプが少ない。アピール勝負ならラトル有りもあってしかるべきだろう、っていうなかで我が道を突き進み、お家芸の多目的重心移動をぶち込んであるメガバス「ビッグM4.0」は、他のノンラトルのデカクランクとのローテーション要員としては国産ではコレしかないってぐらいの個性を発揮している。リアルな造形の作り込みとかはルアーの効果的には意味ないと思ってるけど、メガバスの場合はそれがブランドの個性であり、先駆者でもあり、味わいとしては癖が強いけど悪くないと思うところ。コイツはちょっと中古でもお高い。そして、マグナム級の隠し球として、ドリフターズタックル「ビリーバー」は、果たしてクランクベイトなのかなんなのか。元々はパイクやマスキー用のトローリングルアーらしいけど、竿で投げて巻く分にはクランクベイト扱いで良いだろう。日本円が高かったころに海外通販楽しんでこういう色物?も種々買えて良かった。今国内だと新品5千円以上で売ってたりするけど、そこまでのものか?プラの、昔からあるある種の定番品だぞ?で、ビリーバドとかにも改造したりもしているけど、8インチと10インチが箱入り娘で残ってる。20センチ25センチのデカブツ投げる状況が果たして来るのか、是非来て欲しいと願ってやまない。

 という感じで、今後海水温が上昇するにつれ、南の海と化していくであろう紀伊半島の海に、見たこともないような獲物が現れたとしても、ワシは準備おさおさ怠りなく、釣る気満々なのである。先駆者のやってることは、往々にして”普通の人”には理解しにくく奇異に、もっと端的に言えば頭おかしく見えるだろう。そのぐらいじゃないと人より先んじることなどかなわないとカリスマ(自称)としては思っているし、良い釣りをして範を示していきたい所存である。

2026年10月10日土曜日

ないものは作る

 ルアー制作は”自分で作ると安く上がる”と素人は考えがちだけど、実際には手間も時間も掛かって、材料費にさらに道具も買ってとなるととても元が取れるとは思えない。最低賃金のバイトでもいいから働いてルアー買った方がよっぽど安上がりである。とはいえ売ってないものが欲しい、自分の思い通りのモノが欲しい、とかになると作るしかないってのもこれありだけど、なにより自分で作ると楽しめるというまぎれもない事実があり、費用対効果だのタイパだのは楽しさの前ではクソ食らえなのである。

 ここのところクランクベイト方面に病状が出ていて、アタイ病気が憎いわけなんだけど、本当に欲しいものはなかなか手に入らない。売ってりゃ老後資金削って買うのもやぶさかではないけど、古い真鍮リグのバグリー「バルサB2」の良い色とか出てこないうえに、出てきたらさすがのワシでもちょっと金に糸目はつけねばならん値段になっててマウスの滑りが悪くなる。フラットサイドクランクも金出せば買えるけど、使用を前提とすると杉にヒートン打ってるだけのようなバス仕様のものでは、なんぼ釣れるルアーだとしても強度面で不安が生じて使えない(ヒートンじゃないスタンフォードのは1つ買った)。なら作るかということになった。

 まずは古い「バルサB2」的なものをでっちあげよう。古いフロリダはウィンターヘブン工場時代のものが、塗装が薄くて軽くて良い動きをするという、その再現というのが目指すところ。要するに”パクり”である。もう本物のドミニカB2から型紙起こして作っていくので、なんの新規性もありゃしない。ワシ、あんまりデキのいいパチモノはいかがなモノか?と書くところであるけど、”塗装が薄くて”というのを再現すると、どうしてもデキは木目の残る、良い風にいえばギルモアとかの古いウッドルアーみたいな風合いともいえるけど、完成度低いちゃちいモノにしかならないので、これで稼ごうとしてるわけでもなく”私的複製”の範囲を出ないものでもあり、バグリー様におかれましてはなにとぞお目こぼしをお願いしたい。

 作り方は、一般的なバルサを2枚貼り合わせる方式で、貼り合わせる面の端をマジックで黒く塗ってるのは、両面テープで貼り合わせて削るときに中心線が分かりやすく、左右のバランスが整えやすいからである。まあ、現物横に置いてカッターナイフで大まかに削り出して、あとはサンドペーパーで成形していく。バルサは柔らかいので目の大きいサンドペーパーでガリガリやると簡単に削れていって形状を整えることができるけど、逆に削りすぎないように注意が必要なぐらい。

 で、ここからがワシ的に大事なところで、内部のリグをどう処理するかということころで、ラパラとかみてると針金長く折り返した部分が接着剤の樹脂で固めてあるだけのようで、でも本体のバルサぶちこわされてもフックが抜けてしまった経験はない。とはいえもうちょい強力なイナバ物置的な頑丈さが欲しい。過去やったことがあるのは、単純にねじってへワイヤーツイスト決めておく方式でこれだと強度的にはなんの心配もいらなくなるけど、ややコブができてしまいバルサ削ってちょうど収める溝掘るのが面倒くさくなる。丈夫なポリエチレンとかケブラーのスレッド巻いて強化はそこそこイケると思うけど、今回もっと単純かつ丈夫なリグにしてみた。だるまスリーブでかしめる方式。これだと作業も簡単だし強度的には本体ぶっ壊されようが何しようが、ラインとフックがもちさえすれば魚は揚がる。で、最重要項目が重量で、ドミニカB2はフック無しで12.4g。なのでそれよりちょい軽くなるぐらいのをとなると塗装前の部品全部で11.9gとした。 オモリはお腹のふくれたあたりに腹のフックぶら下げるリグの前後に入れた。これで、貼り合わせて接着。真ん中変に強力な接着力を誇るコニシのSU、周辺部は削りやすい粘度のある瞬間接着剤を使った。塗装で0.5g増えるかどうか?そこはやってみないと分からない。どのみちシングルフックで運用するので、動きは”軽く”なる方向にいくとは思う。全体的な重量の増減ではなく、塗装というまんべんなく重量が増える要素が良くないのなら、真ん中下方重心に重量がまとまっていれば良いのかなと考えるところ。まあ、そのへんはプロのルアーデザイナーが苦心するところで、素人は下手な考え休むに似たりで、とりあえず作って投げてみろだろう。

 リップは、0.8mmの基盤板を使った。リップの位置と角度と大きさはドミニカB2に準拠。基盤板はサーキットボードとも呼ばれるようだけど、要するにFRPの板で薄いので水切りが良く、動きに切れがでるんだとかなんとか。ドミニカ製になる前のバグリーから基盤リップのバルサBシリーズとかも出てたように記憶している。逆に一体成形の分厚い重いリップがダメかというと、重量で振り子のようにボディーを振り回す効果があるとかないとか、ホンマかいな?だけど、ヘドン「タイガー」の大きく分厚いリップを思い浮かべると、そういうこともあるのかなと思う。まあ今回の良く動くクランクベイトをという趣旨からいって、薄くて”切れのある動き”が期待できる基盤リップで良いだろう。

 で、基本構造ができたら塗装。今回薄くしあげるということで、黄色ペンキ1回、のときにキンラメ振り掛けして、目を入れてからウレタンコーティング1回。リップをエポキシ接着剤で取り付けて、銘を入れて完成。なんだけどこの工程が一番時間が掛かる。手間はドブンとペンキ缶にどぶ漬けにせよ、書き目にせよ、ウレタン筆塗りにせよたいしたことないんだけど、乾燥時間が掛かる。しっかり乾燥させておかないとコーティング時に目の塗料がたれたりしてイーッとなるので、充分干す。軒下で天日干し。カラーに凝り始めると使った色毎に乾燥時間が掛かってきていつまで経っても完成しないので、単純な色構成にしておくのが釣るためだけなら最適解。ちなみに銘は”P2”と入れた。バグリーをパクったので「パクリー2(P2)」と命名。

 これが、予想外に重くなってしまった。ハリ無しで13.5g。塗装だけで1.6gも増えるとは思わんかった。2回塗装でこれだと厚く塗装していくと確かに全体にオモリを分散して貼り付けるようなモノだろう。ドミニカB2のトリプルフックとリングが2セットで1.4g、P2に使用したシングルフックとリング2セットは14.7gは1.2gで、そこまで差がない。塗装って重いということを学習した。ということで単純に目方を小さく仕上げることには失敗。でも、塗装は薄いので、重量がオモリ入れたフロントフック周りに集中していて、動きは良いという可能性はあるので、試しに投げてみる。

 いつも使ってる根魚用のリーダー12号ナイロンの道具立てで投げてみるとドミニカB2と比較して、あんまり遜色ない良い動きしてる。っていうか浮力の強さに負けてる感じで挙動が不安定なのが、いわゆる”チドり”状態を産んでてこれはこれで悪くない。ただ、同クラスの大きさのラッキークラフトの「LC2.5」やその対抗馬的なストライクキング「KVD2.5」は浮力はそこまでないけど、動きが大きく激しい。そっちの動きを目指したつもりなのでちょっと意図した方向性とは違ってしまっている。まあ原因は重量が増えてってのもあるかもだけど、なにげにドミニカB2と比較するとちょっとデブであり、そのへんが全体的な重量増を越えて浮力の強さを生じさせている気がして、重量増あんま効いてない気もする。が、そんなもん正直よく分からんって話で天然素材であるバルサ製ルアーの宿命で”個体差”ってヤツかなとも思う。バルサB2自体、時代やロット、個体差によって重さ12g強から15gぐらいまであるらしく、なので当然動きも全然違ったりするらしい。そう考えるとタンクテスト済みとはいえ、ほぼハズレ個体がなく均質に近いラパラは偉大って話か。生産国がフィンランド本国からアイルランド、エストニアと変わっても品質が保たれているのは賞賛に値する。P2は、これはこれで使える弾としては上首尾だけど、激しく暴れるような動きを出したいという思いもこれあり、まあ再挑戦でややスリムに軽くを心がけて作ってみることにしてまたバルサ削り始めている。


 もういっちょは、浅場に突っ込んで来た良型根魚を想定して1.5mぐらい潜るフラットサイドクランクをという目論見。今回は特にパクリ元はないので、まあこんなもんだろっていう、いい加減な脳内のイメージで適当に形とか決めていく。極端な薄いボディーにはせず、P2作るのに使った15mmの厚さのバルサ1枚分のボディー厚でいく。2枚に割る方式ではなく、下部に溝を掘って骨組みとオモリを埋め込む方式なので、大まかに成形したら金鋸の方を固定して溝掘るボディーの方を持って前後させてギコギコと溝を掘る。掘れたらサンドペーパーで成形。

 リップはそれなりに潜らせたいので、ルアーのおでこの角度と平行ぐらいのやや浅い角度で、狭い扇状で大きめの、これまた基盤板を用意。そのままでは内部のワイヤーが邪魔で差し込めなくなるのでリップの根元の方に切り込みを入れておく。こういう細かい加工が金切りバサミで適当にデキてしまう割れにくさは基盤板の扱いやすいところ。ステンワイヤーのリグは当然P2同様にだるまスリーブでか締めてある。リップの大きさはニールズマスター「インビンシブル8DR」とかハルコ「ソーサラー」のような、リップにアイが付いてなくてリップの上に張り出すようにして本体先端にアイがあるタイプの潜りやすいルアーを参考にした。リップにアイを付けるとワイヤー貫通方式が技術的に難しく、差し込みリップに付いてるアイがフックぶら下げるアイと繋がってない方式では欲しい強度が得られないのでこういう形が妥当と考えた。リップの大きさと形状は適当で、嫌われる要素少なめのおとなしい動きが良いので、そこそこ動けばいいやなんだけど、試してみてダメなら調整する。

 悩ましいのが重さで、参考となるパクリ元がないので、同程度の大きさのクランクベイトのビッグO19g、タイガー11g、ちょい小さいポーエリート12gと参考にならんような数値を参考に、まあ15gぐらいになれば良いだろうと、塗装抜きで14gに設定して、腹の隙間を拡張してペンチで挟んで平たくしたオモリを突っ込み、半田で調整。動きキビキビしてなくても良いとはいえ、せっかくのバルサボディーなのでそれなりには動いて欲しいので、最初写真のようにしっぽの方までオモリ入れてたけど、なんとか腹の方に収めるように拡張工事で収めた。収めたら溝のへこみをバルサの削り端を瞬着で貼り付けて、細かいところはティッシュを貼って瞬着で固めてサンドペーパーで均して成形。

 で、コイツはペンキ2回、ウレタンコーティング2回のうち一回目にキンラメ振り掛け、とP2の倍の塗装を施す。その途中のペンキ2回の段階でスイムテストを近所でやっておく。テストしたところ思ったほど潜ってはいかなくて、シャロークランクのストライクキング「リトルS」よりは潜るけど、金属リップの割には潜らないストーム「ホットN」よりまだ潜らない感じ。まあ1mから1.5mの間ぐらい。上等か?その分動きが良い。オモリが前後に分散させる形になってるので、もっとおとなしくなるかと思ったけど、バルサの軽さ舐めたらアカンね。浮き上がりも早いし動きも狙ってたヌルヌルというよりは、キビキビまでいかないけどブリブリと元気に泳ぐ。これはこれで有りだと思うので。リップはこれで一発合格にした。あとはウレタンコーティングしてキンラメ振り掛けて仕上げのもいっちょウレタンコーティングの後リップをエポキシで固定して完成。重量は17g強と3gは塗装で重くなった。やっぱり塗装は重いと再認識。名は「Pフラット」とした。パクリじゃないけど、バグリー「Bフラット」とスタンフォード「Cフラットスペシャル」にオマージュを捧げてみた。

 という感じで、ルアー図鑑第95弾は、自作した2つのクランクベイトでいってみました。2つとも実弾として使えそうなモノに仕上がったので、紀伊半島南国化に伴い、近所の漁港の浅場に接岸した根魚や、シーバス釣ってるような川の下流域に突っ込んで来た良型のメッキやらフエダイ系やらを向こうにまわして、いつの日か武勲を立ててくれることを夢想している。願わくは、その強い引きや迫力ある質量でボディーをぶっ壊すような魚を、貫通ワイヤーのリグが功を奏して水揚げに成功する、ってな展開を期待したい。

2026年10月3日土曜日

秘密じゃないクランクベイト

 雨貝健太郎著「秘密のクランクベイト」は面白い釣り本だとは聞いてたけど、米国バストーナメントを背景とした話らしいので、発行当時はあんまワシ関係ないなと読まずにいたんだけど、ここに来てパチモノクランク達をいじくってて、というかそれ以前から根魚をクランクで狙うようになってた影響や、紀伊半島が南国化するにつれ”強い”動きのルアーで迎え撃とうということで、ミノーをあれこれ物色したときに、ミノーで間に合わんかったらクランクだなと感じた経緯もあり、クランクベイトについてちょっとお勉強してみようかなと思いましたとさ。てなわけで2003年発行のこの本を読んでみることにした。クッソ、プレ値ついてやがって定価2400円が中古で4000円もした。とはいえ、内容はしっかりとした”クランクベイト論”で勉強になったし、読み物としても楽しめたのでまあお値段以上の価値はあったと思っておこう。

 読み始めると、まずは”元祖クランクベイト”フレッド・ヤング氏謹製の初期ビッグOから紐解いてファットボディーでブリブリ泳ぐクランクベイトの特徴と機能を、プロトタイプも含めた初期ロットの”ビッグO”のコレクションを用いて、その生い立ちから明らかにしている。そして、もう一方当時流行りだしていた薄いボディーでややおとなしい動きのフラットサイドの系譜についても触れ、という感じにクランクベイトの歴史から入り、クランクベイトのなんたるかを整理していく。

 クランクベイトとはなんぞや?という問いに「リアクションルアー」である。と筆者は述べる。北米にあんな形状の淡水魚はおらず、ベイトに合わせて形作られたルアーではなく、潜ったり障害物を回避したりする機能をもち、動きなどで魚の補食行動を誘うために必要な形をしているだけであり、リアルさなんぞは必要としない。と看破している。このあたりまったくその通りだと思う。ワシなんぞルアーのほとんどはその整理でいくとリアクションベイトであると思ってて、マッチザベイトとかルアーマンが言い出した時点で負けが9割方確定しているとこれまでも書いてきた。ルアーは餌に似せているのではなく、餌などを捕食するために魚が指標とする要素を、強調したり抽出したりして表現しているモノであり、よほど特定の餌に狂ってる場合を除いてマッチザベイトは役立たずだし、マッチザベイトが必要なときでさえ、たとえばバチ抜けでは細長い物体が真っ直ぐ進むという要素が重要で、脚とかウネウネした動きとかいらないなど、限られた要素を押さえていれば魚は釣れて、その限られた要素の絞り方、見せ方にどういうルアーが必要かということで、条件さえ満たしていれば割り箸にハリぶら下げても釣れるのである。加えて、適当な棚に沈むか、潜るかというような機能も備えておらねばならないので、そのへんからルアーに求められる魚に反応させる要素、と魚の反応する範囲に通すことができる機能を盛り込んだモノがルアーとして成立するのだとワシャ思ってる。単純明快な典型としてはスプーンなんて金属片のキラメキとゆらゆらする動きのみで魚に口を使わせるし、加えて魚に届けるために重量で飛距離を稼ぎ狙う棚に沈むような機能を持っている。人から見たリアルさなんぞ無用である。逆にあの金属のきらめきは遠くまで届くような天然の餌にはありえない強い刺激があり、時に自然物である餌よりも激しい魚の反応を引き出す。

 ただ、「シャロークランクは基本的にカバーを釣るためのルアー」であるとしていて、トーナメントシーンでは沈木だのにガンガン投げて当ててすり抜けさせて使うらしく、障害物回避能力が求められ、アメリカのトーナメントプロとかに言わせると一昔前の日本製クランクはゴミ扱いだったらしいけど、これには異論を唱えておきたい。まあ米国のバス釣りはトーナメントシーン中心にボート前提の釣りが多く、根がかってもシャロークランクなら近づいて回収機で回収できるだろうし、飛距離も軽視して回収重視で太いラインも使えるだろう、一方、日本では一部のトーナメント志向の釣り人を除いては、陸っぱりが多くてまた違うと思うところ。陸っぱりでクランクベイトでカバーに当てて釣ってたら根がかってルアー失って釣り場にゴミ残しつつ釣具屋ばっかり儲からせてしょうもないことになる。それはそれこれはこれって話であり、海でクランク使うワシの個人的な釣りにおいてはなおさら障害物には当てられない。蛎殻の生えた石組み、ロープ、一発でアウトの障害物が淡水とは状況を一変させる。それぞれの状況でもまた同じクランクベイトでも求められる要素や機能も変わるということで、アメリカバスプロの最強クランクベイト運用法が日本の野池や、いわんやおや紀伊半島の漁港においておや、ということを分かって混同しないようにして、米国プロトーナメントにおいての話として読んでいく。アメリカのバスプロ仕様の戦略と、紀伊半島のワシの戦略は違う。違うけど同じクランクベイトを使うなら参考になって、自分の釣りの知識を深めるのにおおいに役立つこともまたあるのである。

左から、古め練り大、復刻バルサ大、現行C80大、中、小、小小
 とりあえず、クランクベイトと言って思い浮かべるような、太っちょで高浮力、大きめのリップ、「ワイドウォブル」と表現されているけど、ようするに大きくブリブリとケツ振って泳ぐ、という特徴が上手くあわさると、アピール力高く、障害物もデカめのリップを振り回してはじいて高浮力も手伝ってかわしていく、メリケン仕様のシャロークランクの基本形ができあがる。これをまさに体現しているのが開祖フレッド・ヤング氏謹製のバルサ製だった頃の「ビッグO」だと著者は述べている。ちなみに手作りでは限界のあった生産を、コットンコーデル社が版権買ってプラスチックで大量生産した今でも入手できる「ビッグO」は優れたルアーではあるけど、初代の持っていた「バルサウッド独特の浮力とアクションはやはり失われていると言わざるを得ない」としている。まあそうだろうな。で、バグリーのバルサB系が初代の後を継ぐようなものである旨述べている。

 で、もう一つのシャロークランクとして、当時旋風を巻き起こしていた「フラットサイドクランク」についても新しくカテゴライズされた別の進化を辿ったルアーとして取り上げている。家内制手工業で作られるようなシダーウッド(杉)製の、薄くその名のとおり側面が平面のボディーで低浮力、動きは「タイトウィグル」な小さくプルプル震えるルアー達の、無視できない強さについて解説している。どうも”タービュランス”水を乱す力とでもいう要素が鍵らしい。フラットサイドクランクについてはかなりページを割いていて、ディープダイバーのような「ダイビングクランク」については、使用目的が多岐にわたるとして、各個撃破的に詳細な説明はせずシャロークランクが地形の上に存在する障害物である”カバー”を釣るのに対して、かけ上がりとか「主に地形変化を釣る」とサラッと流しているのと対照的で、当時の”フラットサイド熱”とでもいうものがしのばれるところ。

 フラットサイドクランクは、カバーの少ないテネシー州の人造湖で盛んに使われていたようで、その特性から、障害物回避能力は高くないけど、より”フィネス(嫌われる要素が少なく地味ぐらいの意味)”な釣りにマッチザベイト的に使われることが多かったようだ。ところが、当時のトーナメントシーンでは、本来障害物回避能力の高いビックOタイプのクランクで狙うべきシャローの障害物周りを、フラットサイドで攻めることが流行していて。一部のトッププロの”秘密”のクランクベイトだったのがバレて流行りだしてしまっている状況だったようだ。わざわざフラットサイドのクランクに、障害物に強い大きな”コフォン(棺桶)型リップ”をあてがってまで使ったのは、フラットサイドのボディーは先ほどちょっと触れた要素「タービュランス効果」、水流を”乱す”効果が大きく反射的なバイトを促進する効果があり、かつ、それはラトル音ほど不自然で飽きられやすくないとされている等の理由からだとのこと。フラットサイドが普通の丸っこいボディよりタービュランス効果を生みやすいのは、げんこつと平手で水をかいた時の差を例に出していたけど、イマイチぴんとこなかった。太いボディーのクランクの方が水を動かしてそうでタービュランス効果も大きそうに思う。でも、色々お勉強してタービュランスとウォーターディスプレイスメントの違いを理解すると、しっくりくる。太って丸っこいボディーはタービュランス効果は小さいけどウォーターディスプレイスメントは大きい、平べったくて平面なボディーはその逆。例として船を考えると釣り人なら分かりやすいかも、タービュランスは船のペラにまさに求められる性能で、ペラは曲がってるにしてもおおよそ薄くて平べったく設計される。肉厚で太ったスクリューとか重いだけで効率悪いだろう。対してウォーターディスプレイスメントは水を押しのける力で、船が進むときにその船体の水中部分で水を押しのける効果であり、その効果は遠くまで伝わる。船が沖を通過するときに、引き波が足下までやってきてジャバジャバするのは釣り人なら日常的に経験することだろう。対してタービュランスの効果は船を動かすほど強くても遠くには伝わらない。大型船の離着岸の時に海底の泥が巻き上げられることはあるけど、それでも効果が届く範囲は限定的でスクリューが掻いた水が岸壁でザバザバするようなことがあればその船は転覆しかかってるかなにか大きな問題を抱えている。ウォーターディスプレイスメントは水を押しのける、Dr.柏木いうところの”水押し”力とでもいうもので、ブリブリ大きな動きで泳ぐ太くて丸っこいクランクは、大きな船体が、水を押しのける動きで水を動かしたように、ウォーターディスプレイスメントが大きく、その”水押し力”の効果は遠くまで伝わってアピール力が強い。逆にタービュランス効果で”水を掻く力”が強い、バイブレーション的な小さな動きの薄くて側面が平面のいわゆる”フラットサイド”クランクは、ボディーの体積自体小さく水を押しのけて発生させる”水押し力”は少ないのでアピール力こそ劣るけど”水掻き力(という用語を提唱します)”は高くて、近くに寄った魚に口を使わせる引き金を備えている。ということだろう。クランクベイトを始めルアーを理解するうえでとてもためになる要素のとらえかただと思う。

 で、本書ではそういったクランクのそもそも論を第一章で論じてから、第二章ではカラーや素材に塗装、リップやラトルの有無の違いなどの基礎的な話を論じて、第三章で、本場米国バスプロトーナメントの取材を通じて目にしてきた、プロ達のシークレット、タイトル回収的に「秘密のクランクベイト」達を紹介している。ここがおつゆたっぷりで読み物として面白いところで、プロ達のそれぞれの戦略やら秘密にしておくその隠しっぷりとかも知れて面白い。で、読んでると当然その”秘密のクランクベイト”達が欲しくなる。幸いなことに当時はプレミアついて売り買いされただろう秘密のクランク達も、20年も経ちゃあ、すでに秘密でも何でもなく皆の知るところであり流行も落ち着いていて、買おうと思ったら買える値段で中古市場に出てるのもある。あるけど、よく考えるまでもなくワシ米国に渡ってバストーナメントに参戦するどころか、バス釣りさえ年一回行くかどうかで、ワシの日常の釣り場である海で投げるところがあるのかって話であり、さらによく考えると、既に持ってたりするのも多いし、ドンピシャじゃなくても似たような性格のモノは蔵に転がっていたりする。なので、「秘密のクランクベイト」として紹介されているクランクと、それに対応するであろう我が家のクランクベイトを紹介してみたい。

 まずは、”スパーシャロー”の刺客、1996年ポトマック川での勝利から注目を浴びるようになって、今時クランクベイト作ってるメーカーならシリーズに”SSR(スーパーシャローランナー)”を用意してるのが普通ってぐらいに、数々の追従者(≓パクり)を生み出したマンズ「ワンマイナス」。ご存じのように潜らないクランクベイトで、藻面の上とかの水面直下の美味しい棚を引いたり、なんなら竿立てて水面波立てて引いてくる”ウェイキング”も得意。これは、さすがに現物持ってる。オリジナルサイズとベビーサイズがなんぼか蔵に転がってる。ついでにストレッチベビーワンマイナスも転がってる。まあ、ワシ的にはクランクベイトは可能ならすべて「ピーナッツⅡ」一族に任せたいと思ってるので、ピーナッツⅡのSSRはデカ、ノーマル、タイニーと蔵にございます。シーバス狙いでタイニーは使ったけど結果は思わしくなかった。でも藻場の表層をラトル音させて引いてくるとかそのうち出番がありそうに思う。在庫は充分だぜ。

 続いては”オールドバグリー”日本でも真鍮アイの古物とかは人気で中古市場で高値がついてるけど、バグリーの「バルサB2」とかに米国のバスプロがご執心という話は、以前からワシの目に入るぐらいだから有名だろうと思う。できの悪い中米産のを箱買いして、良い動きするヤツだけを選別して、他はすぐにネットオークションに流すとか、昔のが手に入らないので塗装引っぺがして昔風に塗り直すとかとか。本書ではラリーニクソンの「ビティーB」、ケビンバンダムの「キラーB3」が典型例として紹介されているけど、日本でなら大森選手の「バルサB2」が有名か?わし、バグリーが新体制になってドミニカ工場で作り始めたときに、80年代の綺麗なバグリーが帰ってきたと思っていくつか買ったぐらいだけど、ドミニカ産ではいかんのか?と思うんだが、この本の当時はまだドミニカ工場じゃなかったし、ドミニカ産の綺麗な塗装は逆に重くてバルサの動きの良さを削ってしまいそうではある。まあワシはドミニカ産で充分。そんなトーナメントレベルでのシビアな違いなど分からんしな。でも古いバグリーもあることはある。写真の青い「バルサB1」は真鍮リグ。どっか中古屋でえぐったブツ。バグリーは差し込みリップのモデルだと、ぶっ壊されてリップが抜けるのが怖くて使いにくいけど、ワイヤーが貫通してるモデルなら出番はあるかも。そんなバグリーも今は工場セルビアだとか聞く。


 で、お次。本書の本命筋が初代ビッグOからバルサB系の流れとしたら、裏本命というか対抗馬的な位置づけの家内制手工業のフラットサイドクランク。「スタンフォード」、「テネシータフィー」、「ソニー・マクファーランド」あたりの小規模メーカーが紹介されていたけど、我が家の蔵にも大量生産で入手しやすいポーの「RC」シリーズとかは転がってるし、スミス「シャッティー」シリーズとダイワ「BHシャッド」シリーズ、「バスジャッカーⅡ」、レーベル「ベビーブリーム」あたりはフラットサイドクランクとしてもイケるのではなかろうか?ラトルなしならシャッドラップやらのバルサ製シャッド系はだいたいイケそうに思う。このあたりは普通に使ってるのも多い。シャッドラップとか今考えるとフラットサイドクランク的にタービュランス効果も効いてたんだろうなって思うけど、理屈は知らんけど釣れると分かってればそれで良かったっちゃそうなんだけど、知ってた方がモアベターよ。

 最後はスモールクランク。アメ人もずいぶんとまたせせこましいこともやるんだなと、”メリケンクランク使い”ならDD22とかぶん投げてボートデッキに膝ついてモリモリ巻いてるもんだという偏見を恥じたしだい。クラッピー用とかのスモールクランクにハリだけ大きいの乗せて使ったりするんだと。以外にお盛んらしく例としてノーマン「ディープタイニーN」、バグリー「ビティーB」、ボーマー「ファットA4F」、同「モデル5A」、ラパラ「リストラップRR04」、同「ラトリンファットラップRFR04」と色々出てきてた。まあワシも浅いところ用にファットA、モデルA、ラトリンファットラップは使ってる。どこでもそうだろうけど、特にトーナメントなんかやってる場所では魚がスレてて小さいルアーじゃないと口使わないとかあるんだろうってのは想像に難くない。つらいところである、と同類相哀れむところ。

 という感じで、楽しく読了したんだけど、そのお勉強した視点で自分の主力クランクベイトを考えてみる。現在”根魚クランク”で実績が高いのはストライクキング「5XD」、サンシャインフィッシング「ベクトロン60」、ベルズ「マジェンダ80」の3強である。まずはワシの求めるクランクベイトの性能としては、何はさておき潜行深度が重要である。潜りすぎて底の石組みとかに当てると高確率で蛎殻とかに根がかるので、底のちょい上50cmぐらいを安定して引いてこられるのが大事。たまに底に当たったぐらいならその後竿先上げるなり一回浮かせるなりしてなんとかできるけど、ガツガツと底を叩くようなことは砂底でもなければ不可。その”潜行深度”という際に、海水という浮力が強くなる条件下で12号50ポンドのナイロンリーダーを背負って潜らせるので、カタログスペックとはだいたい1mぐらい違ってくるし、そもそもカタログスペックも投げて巻くのか、トローリング的に船で引くのかでも違うのでぶっちゃけテキトーなことも多く、いちいち試して、潮位変化に応じたポイントごとの深度とあわせて把握しなければならない。5XDとベクトロン60は3m水深担当で、干満差とか海底の傾斜とか多少の水深差は、膝ついて竿先海中に突っ込むか、普通に立ち上がって竿立て気味に巻くかとかで調整できるけど、普段より1m以上浅くなるような大きく引いた干潮時とかは、ベクトロン45とかハスティー3とかの2m水深対応のものにバトンタッチする。5XDはそれなりに側面が平らなディープクランクで”水掻き力”もある程度期待できる。この形状はおそらくボーマー「ファットフリーシャッド」からの流れで、ファットフリーシャッドについては後世に残るだろうと書かれていたけど良くできてると思う。そいつをさらに発展させて急速潜行しつつ深く潜るように詰めてある優等生がストライクキングの「XD」シリーズで、ラトルも水掻きも水押しもバランス良く”全部のせ”してあって実際良く釣れるのも納得である。対してベクトロン60の方は、太っちょなアメルアらしさのある形状のディープクランクで、特徴はノンラトルであるということ。もともとバグリー「DB3」が5XDとか引いた後でも”変えると来る”で魚を連れてきてくれたんだけど、バルサ製で差し込みリップに後ろのフックアイはヒートンでは40UPの根魚が釣れてくるようになって強度不足でぶっ壊されて魚逃がす懸念が生じてきたので、代替となるモノをと考えて導入したものである。樹脂一体成形のベクトロンは強度的にはまあ安心だけど、ノンラトルだからといってDB3と同様の性格かというと、厳密には違うと考えてはいる。バルサなど木製ルアーと樹脂製ルアーの違いというと比重の違いでバルサは軽いということが注目されているけど、意外に違ってて釣果にも影響してきそうなのが、木製なら内部が充填されているけど、樹脂製は硬質発泡素材とかの例外を除くと、内部が空洞であるという点で、何が違うかというと音響特性が全然違ってくる。ノンラトルのルアーでもハリが当たる音やスプリットリングが擦れる音は発生させていて、その響き方は人間が聞いても違うレベルだし、イルカのような自ら超音波出して”音響定位”できるソナー持ちでなくても、自然音の反射の具合の違いは魚も聞き分けてておかしくないと思っている。でも、ラトルのような積極的に音を響かせているのと、ハリ音とかでは程度の違いが大きく、ベクトロンは水掻き効果も少ない曲面ボディーであり、全体的に大人しく仕上がってて嫌われる要素少なめ、でもそれなりに水押はブリブリと力強くアピール力はあるという良いあんばいなので、長くノンラトルクランクの名作として幾多のブランドを乗り換えつつ売られ続けていたのだろうと思う。DB3の完全互換ではないけど、5XDとローテーション組ませるには良い感じの違いのあるルアーだと思っている。でもって、マジェンダ80がまた独特で、水掻きも水押しも弱いミノーっぽい細いボディーで動きも細かいバイブレーションみたいな大人しい動きでスルスル動く、でもそういう弱いミノーみたいな特徴の中で1点ラトルだけが派手にアピール度高い。アピール全振りでも、フィネス全振りでもない、なんか一点豪華主義な感じのルアーでこれが理屈はよく分からんけどなぜか良く釣れる。あれか、地味なメガネのオネェチャンがチチだけデカいとめちゃくちゃモテるってのと共通か?しらんけど。なんにせよ良く釣れるので、よく売れて流行に習ってリアルになった後継型とかも含め長く愛されてきたけど、ワシはクランクとして使ってるけど、昨今一般的な分類で言うスプーンビルミノーってもう流行らないのか廃盤になって久しい。でも雨貝氏も、結局古いバグリーや、なんならバルサ版のビッグOでも、今でも売ってるならバスプロ達も使うだろうってぐらいで、よく釣れるルアーが流行り物として消費されて「まだそんなルアー使ってるの」ってな言い方されるのはかんに障るようで、「名作は色あせない」って書いてたけどけだし名言である。


 で、流行っていうと、本書から20年から経った現在までのクランクベイトの流行というか趨勢を振り返って見てみると、まずは大きな動きとしてバルサ製クランクの動きををプラで再現するっていうのがあったようだ。そらいつまでも古いバグリーとか供給の途絶えたルアーに頼ってられんって話で、その嚆矢となったのがラッキークラフトUSA「RC」シリーズらしく、そのへんの開発苦労話は書籍になってるようだけど、一部釣り人社のサイトで読めてなかなか面白い。で、その大きな流れの中で、マグナム化やウルトラディープ攻略とかの枝葉もでてきて現在に至る。フラットサイドクランクは一時の流行は収まったけどそこそこ定着。あと小規模工房の作るバルサB風のクランクも一時流行ったようだ。という感じか。写真のクランクはまあ、そうなると欲しくなるよねって話で、RCシリーズの後継というか廉価版?のLCシリーズ「LC1.5」と「LC2.5」。確かに素人目にもバルサクランクみたいな良い動きしてる。とはいえ素人目には前回取り上げたパチモノクランクも良い動きに見えるけどな。マグナムサイズもUSAラッキークラフト製「SKTマグナム」とかデカいのに良く動いてやりそうな雰囲気ムンムンで思わず3つぐらい確保してある。いつの日か50グラムからのマグナムクランクが火を噴く日を夢見ている。ウルトラディープ攻略の恩恵はワシXDシリーズやデュエル「バレットクランク7+」とかで享受しているところ。ありがたいこってす。

 しっかしパチモノだらけは今に始まったことではないにせよ、洋の東西さえ関係なしだな。もう各社から出てるシャロークランクが樹脂製でスクエアビルの「RC」シリーズのそっくりさんだらけ。まあ、ビッグOがその設計の基本部分をパクられてアルファベット戦争が勃発した際に、百花繚乱のルアーを選ぶ楽しみが釣り人にもたらされたわけで、単純に悪いとは思わんけど、丸パクは論外として、結構な大手が後発で「うちはリップを基盤リップにしました」とかちょい独自性っぽい設定を加えて売り出してるのとか、コーモランがファッツオー丸パクで怒られたかなんかで、ヘルメットかぶらせたのと大差ないやんけと思ってしまう。昭和のパチモノメーカーと令和のメイドインジャパンとで一緒のことやっててどうするねんって正直思う。

 ということで、ルアー図鑑第94弾は、クランクベイトはどこから来てどこへ行くのか?あたりにせまってみました。バス専用だと思われてるふしがあるけど、釣れる要素と機能を備えたらできあがった形なので、見た目に惑わされずなんだって釣れると信じて投げてみてください。ワシもそうしてます。