まあ翼長2mってちょっと想像がつきにくいかもだけど、マンガ「乙嫁語り」やNHK「地球ドラマチック ワシ使いの少女~モンゴル アルタイ山脈の麓で~」では、イヌワシを使った鷹狩りの様子が紹介されていて、普通鷹狩りっていうとウサギとかカモ類とかを狩る印象だけど、イヌワシ使ったワシ狩り?ではキツネとかを獲物にできるといえば多少想像できるか?当地紀伊半島でもお馴染みの最も日本人になじみ深い猛禽であるトビが翼長150cmぐらいらしく、トビが気流に乗って舞ってる姿やあのピーヒョロローという鳴き声にはなんとも雄大な気分にさせてもらえるぐらいで身近な鳥では大型の部類だと感じるけど、まあ長さでそのぐらい差があると現物の迫力は倍で効かないぐらいだと思う。ちなみにイヌワシを狩りに使うのは中央アジアのカザフ族の文化らしく、カザフ族の国という国名のカザフスタンはすでに石油とかの鉱物資源で景気が良く近代化が進んでいてあまり見られないようで、主にモンゴルのカザフ族がその伝統を今に伝えているそうな。
で、東北を本拠地にする野球球団がシンボルにするぐらいだから、東北にはいっぱい飛んでるんだろうって思うと、そうではなく国内絶滅の危機が間近にせまるぐらいに数を減らしているそうな。ワシが若い頃にお世話になった志津川(現南三陸町)にも昔は飛んでいた。それが2012年以降は見られなくなってしまっているという。
ワシが鳥の話については全幅の信頼をおいて、種同定とか迷ったら教えてもらう”鳥の人”は実は東北時代に仲良くなった人で、彼も当然故郷の山にイヌワシが居なくなったことを残念に思っている。思うだけなら誰でもできる。彼の凄いところは口だけじゃなく手が動くところで、それもワシがゴミ拾うみたいに自分の手だけ動かしているワケじゃなく、林業に携わる人やスポンサー企業なんかも巻き込んで、これまでもイヌワシが餌を獲るために重要な”草原”を確保するために、今あちこちで山火事が問題になっているけど、昔は山林には山火事の延焼を防ぐため、火防線という木が生えてない尾根沿いの草地が設けられていたんだけど、手入れが行き届かなくなっていたのをみんなで整備してきた。日本の山野で減ったのは手つかずの原生林や人里の里山ではなく草原であるという報告もあるそうな。草地を増やした結果、志津川の山にはイヌワシの餌となるノウサギやヤマドリが増えて、現在イヌワシが生息している地域よりも餌環境は良くなっているとのこと。でも、イヌワシは帰ってきてくれない。なぜならイヌワシ自体が数を減らしすぎて増えにくくなっていて、若い鳥が、待っていて他の生息地から供給されることが期待できないぐらいの危機的な状況のようである。
環境省のレッドリストでもイヌワシは絶滅危惧ⅠB類という上から2番目の整理。環境省としても手をこまねいてるわけにはいかないけれど、ご存じのように力も利権もあんまり持ってない省庁だから、予算も潤沢には持っていない。重要性は認識していてもない袖は振れないから予算が降ってくるのを待っていたらイヌワシ国内絶滅してしまうというのが、もう目に見えている危機的段階。で、鳥の人たちどうしたか?急がにゃならんので、クラウドファウンディングで金集めてやっちまえ!となった。それが今回紹介したい「南三陸イヌワシ野生復帰プロジェクト」である。
野生で巣立ってくるのが期待できないなら、動物園で繁殖させた個体を野生復帰させていこう。と言えば単純だけど実際には、その段階で失敗に終わった日本産のトキの例を出すまでもなく、難しい試みである。まずは繁殖の技術から野生復帰させる手法から、動物園、復帰に携わる技術者、学ばねばならないことは山とあるだろう。先例としては鳥類という括りなら、中国から大陸の個体群の親を譲り受けて野生復帰、定着をある程度成功させているトキとコウノトリ、国内個体群から親を確保して試行錯誤しているライチョウという例はある。イヌワシの先例としてはスコットランドがあるとのこと。やってできないことはないという腹の括り方か、やってできなければ絶滅あるのみという焦燥感からか、いずれにせよ”やる”と決断した関係各位には最大限の敬意を覚えるところである。
すでに、先進事例等に基づいて「南三陸イヌワシ野生復帰プロジェクト 実施計画書」を策定し、種の保存法の規定に基づく、国(環境省)のイヌワシ保護増殖事業計画に適合している旨の認定を環境大臣から受けているとのこと、あとはオゼゼの話である。
この話は、動物愛護団体の「クマがかわいそうだから殺さないで」とは感情論だけで動いていない点で大きく異なる話であると、当ブログの読者様にはお分かりいただけるだろう。頂点捕食者の存在が、餌となる草食動物の生息数や行動に影響を与え、植生を変え河川流路さえ変えうるぐらいに、生態系全体にとって大きな鍵となることは各種報告されている。また、そういう頂点捕食者が存在するためには逆説的に豊かな生態系の存在が前提となる。加えて、現実として火防線も整備されていないような山林では昨今増加しつつある山火事で人の命さえ危うくしかねない。頂点捕食者であるニホンオオカミを絶滅させてしまったしっぺ返しは、現在シカやイノシシによる作物への食害という形で我々が受けていることは、見たら分かるでしょこのしまつ?って感じである。今なら間に合うとすれば手を打たねばと思う。
と同時に、まあクマかわいそうも、分からんではないと多くの人も思うだろうし、それと住んでる人の安全と天秤に掛けて、上手に棲み分けるなり、個体数管理するなり感情論だけじゃないけど感情論も考慮には入れて、野生動物とはなんとか落としどころを見つけて”和解せよ!”なんだろうなと思うなかで、遠くの懐かしい山をイヌワシが優雅に飛んでくれたら、それはとても素晴らしいだろうなと、ワシも感情論で思ったりもする。クマに襲われて亡くなった動物写真家の星野道夫氏が、人にとって、たとえ都会の街で暮らしていても、遠く離れたところでカリブーたちが大移動している、っていうことは重要なことであり必要なのではないか。という旨エッセイで書かれていたと思うけど、そういう気持ちは確かにある。もし日本の空にイヌワシが舞わなくなったら、舞っていると思えなくなったらそれはとても良ろしくないことではないかと直感的に思う。
クラウドファウンディングというのは、ワシの大嫌いな”選挙”と違って、直接的にその行おうとする策に金で”1票投じる”ことができるので、ワシ嫌いじゃない。公共予算には公共予算の、デカい、それこそ国家的プロジェクトを行えるだけの枠組みという利点があるけど、結局政治的な綱引きでどうこうされてしまうので、政党支持母体の利益団体の好みに合うようなものになりがちで、まあクソ食らえと思うような方向に行きがちである。その点、クラファンは「是非やってくれ」って思える事業を直接支援できる。ほっとけば要りもせん釣り具ばっかり買うことになるから、たまにはこういう大事な事業を支援するために身銭切っても良いんじゃないかとワシャ思う。なのでチョロッとだけど支援させていただくことにした。
あと、クラファンの良い点には話が早いってこともあって、公共の予算とか引っ張ってこようとしたら面倒くせえうえに時間が掛かる。クラファンの良さを初めて認識したのは「コロナ禍で金がなくなり法隆寺」が当面の修繕費やらの運営費をクラファンで集めたという記事を目にして、そんなもん本来は国の文化財保護の予算でやるのが筋だろうと思うにしても、予算組んで来年度施行とかでは間に合わねぇってときにサクッと目標額集まってて、これはなかなか凄い仕組みだなと思わされたものである。
ま、クラファンで金集めてるって言ってもピンキリで、中にはポケットにナイナイしうよとたくらんでるような輩もいるだろうし、そういうのを避けるための選球眼とかがクラファン利用時には求められるんだろうけど、今回の事業はそういうのはまったく心配しなくて大丈夫。これまでやってきたことや、環境省のお墨付きとってることを見れば客観的にもちゃんとしているというのは分かると思うけど(クマさんのために森にドングリ撒きましょう、では環境省はさすがに認めんと思う)、もっと端的に、鳥の人は鳥が大好きで、その好きさ加減はワシが魚を好きって以上のモノがあり、そういう鳥の人が、全力で鳥のために取り組む以外のいらんことをするとはまったく考えられないので、ナマジの魚好き具合を信頼できると思うなら、鳥の人はそれ以上に間違いのない鳥好きだと信頼してもらって大丈夫です。
ということで、普段鳥を殺しかねない釣り糸使っていて、種族「釣り人」全体としては釣り糸で沢山鳥を殺してきている我々は、罪滅ぼしに可能な範囲でご支援してもバチはアタらんと思うのです。ぜひご支援をお願いします。我がブログの読者さんは数は少ない、少ないけどモノの分かる精鋭だと誇りに思っております。そのうちの何人かでもクラファンに協力してくれて、南三陸町の空にイヌワシが舞ったときに、共に「オレもちょっと手伝ったンや!」と誇らしい気持ちになれれば重畳。そういう未来にできるハズだし、きっとそうなるでしょう。(画像、イラスト引用:「南三陸イヌワシ野生復帰プロジェクト」公式サイトより)






























