2026年9月12日土曜日

謎ミノー なんじゃこりゃ?詳細希望!

  まあリールや竿も買えばルアーも買うよねってことで、ルアー図鑑うすしお味第92弾はよくわからんミノーでいってみます。

 ミノーも格好いいのが色々あって、ボーマー「ロングA17A」とかフルーガー「マスタング」とかとか、まあそういうのも好きなわけで過去とりあげてきたけど、格好良さとは離れていくかもだけど、変なミノーもこれまた好物なわけで、安い値段で出てるのをネットで見つけると思わずマウスが滑ってしまう。アタイ病気がにくいッ!

 ということで、ちょっと変なのが蔵にたまってきたのでご紹介したい。

上ハードコアミノー210F、下タイドミノースリム200
 まずは軽くジャブから、デュエル「ハードコアミノー210F」は、とにかく長い。海外のマスキー用とか海用なら21cmの長さも珍しくはないのだけど、その場合長さもあるけど太さも出てくるので、道具からして大物対応のものが必要になってくる。だけど、このミノーが出てきた背景には、シーバス狙いでのコノシロパターンやボラパターンはじめ、長いミノーのアピール力が欲しいという場面に対応したってのがあって、長くて細いミノーの世界はDUO「タイドミノースリム」が開拓した分野で、最初120と140がメインだったのが、「長い方が釣れる」という要望に応えて175と200が追加されていった。その時に、ベイトタックルとか特殊な道具立てではなく、多少強めのシーバスタックルで投げられるってのが売りで、そうなると当然長細いミノーに仕上がる。大手メーカー含め長いシーバスミノーというのは1つのジャンルを形成するに至り、なかでもデュエルは後出しジャンケンで210mmのを突っ込んできて、東京湾でシーバス釣ってた当時、「タイドスリムミノー200」は購入済みで、かつデカい餌食っててもルアーのアピール力は強いので、よっぽどのことがなければ145mmで食ってくるってのも感じるところだったので、210mmと言われても食指が動かなかったけど、塗装はげちょろげで700円とかでネットフリマに出てきたら、思わずマウスが滑ってクリック。そのうち暇をみて、黄色に塗り直すなりして青物でも狙ってぶん投げてみたいところ。

 お次が光りモノ。まあ黒蝶貝とかで作った釣り針を使ってた石器時代のご先祖様の大昔から光が魚の興味を引くというのは注目されてきたわけで、各種科学技術が発達した現代においては、反射光や蓄光を利用するだけでなく、自ら発光する仕組みをそなえたルアーも色々と作られてきた、単純明快なのは写真下のヨーヅリ「アークミノー」のように”おなかにポケット”等ケミホタルを装着することができるタイプで、最近ではアーボガスト「ジッターバグ」にケミ搭載用の金具が付いてるモデルがあったりするようだ。ワシそんなの売ってなかった時代に、クリアカラーのジタバグに穴開けてケミを入れる筒を仕込んで光るジッターバグ作ったりしてた。光るジタバグは思いっきりナマズに嫌われることがあって、普通に黒か黄、白あたりの色が無難だと思っている。で、光らせるなら当然電気浮き方式で電池で光らせようという発想も出てくる。我が国では、ナショナル→パナソニックと大手電機メーカーが”光るルアー”の伝統を引き継いでいる。ナショナル時代のは目が光ったようだけど、00年代に作られた”平成最新版”のものは、頭が全体的に光って、かつバイブレーションとポッパーも展開していて、意欲的な怪作となっている。ただ、傑作ではあっても名作ではないようで、あんまりこれで釣れたっていう評判は聞いたことがない。蓄光のジグあたりでも、嫌われるときは思いっきり嫌われて警戒されるので、とある船長さんは周りに迷惑かけるから使わないでくれとまで言ってた。でもグローカラーのジグも釣れるときは蓄光が効いてるかどうかは別として良く釣れたけどな。自ら光って魚を誘うってのはハマりどころがありそうな気がするけど、それがいつどこで何を対象になのかはよく分からん。なのでワシが使うことは想定されない。けど、けっこうネットの中古市場には弾数多くて、送料割安感を出すのになんかついでに買っておくかと、200円のレッドヘッドに手が出てしまった。電池は電気浮子用のがあるので光らせてアークミノーと共に写真撮ってネタにしようと思ったら、配達されてきた個体はジャンク個体で発光せず。200円の動作未確認品だし文句も言えんけど、結局送料込み600円のイワシカラーのをおかわりしてしまった。いつかこいつらの光が、捕食者共のやる気スイッチを押しまくることがあるのだろうか?ちなみにアークミノーが光るところを撮影するためにケミを一本消費したわけではない。ケミって冷凍庫で保管するとポキッとして光り始めた後でも反応を止めて保管しておける。半年ぐらいは問題ない。釣り終わったらその場に捨ててくとかもってのほかなので持ち帰って冷凍庫保管して何度も使って欲しい。

 話横道にそれるけど、久しぶりに蔵から出した、ケミ装着改造ジッターバグ、実に良くできている。ケミが突っ込める筒を本体横っ腹に貫通させているんだけど、片方の端に少し径の小さい筒をハメて接着している。ケミを突っ込んで小さい筒に当たって止まるまでしっかり押し込んで使って、ケミを外すときには小さい筒に千枚通しかなんかを突っ込んで押し出すことができるようになっている。ワシ、若い頃からこの手の細工物は得意だったんだなと思いましたとさ。ナマズ釣れなかったけどな。釣れなくてもいろんなこと試していくのが大事。10のアイデアのうち一つでも上手くいったら儲けものである。アークミノーのケミ突っ込むところは単なる窪みだけで、適当に出っ張らせてチューブで突っ張り棒みたいにしてやらないと装着できない落っこちそうな仕様より安全確実と自負している。

 で、お次が顔のない「BETEミノー」ニールズマスター時代だろうと思うけど、ひょっとしたらBETEがニールズマスターに吸収されるときに持ってた塗装途中の在庫が流れたバッタもんかも。単に塗装はげただけか?っていうBETE社なんだけど、ダイワの「チヌーク」やらのネタ元の一つだと思う「ヤムトランド」とかのスプーンが有名で、スプーン好きにはおなじみのブランドだけど、スプーンマニアの方々の情報を見ていると、BETE社はTYSK社に買収されたかなんだかで、ブランド名が変わって、BETEのスプーンのパッケージに「TYSK」のシール貼って売られていた時代もあったようだ。となると、その後だと時代的には考えられるニールズマスターへの吸収のさいにはブランドはTYSKだったと考えるのが自然だけど、なぜかBETEとなっている矛盾。ニールズマスターの公式サイトにもBETEブランドで今でもヤムトランドやウトーといった伝統的なスプーンがラインナップされている。TYSKブランドあんまり浸透してなかったので、なじみのあるBETEブランドをニールズマスターが復活させたとかだろうか?真相ご存じのかたはタレ込みお願いします。

 で、もいっちょフィンランドものが、「フィンランディアミノーウォブラー」といういわゆるスターホイルのクラッシックなミノー、リップには「Original Finlandia uistin wobbler」と明記されていて、おなかにはメイドインフィンランドの赤文字が誇らしげに記されている。”uistin”はフィンランド語でルアーの意味のようで、フィンランド産ルアーのパッケージとかでちょくちょく見かける単語だと思う。これ、売り主さんはニールズマスターのフィンランディアの初期版と考えてたようだけど、ちょっとそのあたりが怪しく確証が持てない。ニールズマスターの初期のルアーには七種類あってその1つがハーカーみたいな平べったい系の「コンカラー」でスターホイルが貼られている。ってのがDab氏の”B列伝”で紹介されていたと思うけど、残りの六種がなんだったのか、そのうちの一つがコレなのか?ただ、コンカラーにはすでにリップに”NILS MASTER”の銘が見える。
 気になって探したらリップに”NILS MASTER”の刻印ありのスターホイルなフィンランディアも見つけてヌルッとマウスを滑らせて入手できてしまって、なおさらニールズマスター製なのかどうかこんがらがってきた。いずれにせよ60年代ぐらいの、ラパラに触発されたというかパクったフィンランド製ルアーなのは間違いない。詳細ご存じの方がおられたらこれもタレ込みよろしくお願いします。って、引き続き調べてみると、丁寧に年代とブツを追った推理でニールズマスター社の前身の製造であるとしている方がおられました。ラパラの真似してこの形式のミノー作ってた会社は、知的財産権とかも適当だった当時はフィンランド国内に複数あったとか。そういうラパラの真似で始まったけど、1963年あの独特の感性を爆発させて7つのルアーをひっさげてニールズマスターという個性的なルアーメーカーになったということなのかな?なかなか説得力のある説。ちなみに最初のニールズマスターの七種類はスピアヘッド 8 cm、インビンシブル 8 cm、ウォリアー 8 cm、コンカラー 7 cm、デストロイヤー 5 cm、プレデター 5 cm、スタルワート 8 cmだったそうな(あれっフィンランディアがない?)。
上と右がニールズマスター製
 入手したニールズマスター製スターホイルなフィンランディア?を見ていくと、リップはニールズマスター刻印ありの丸い形状のに変わっている。腹に赤字のMaid in Finlandもない。ただその他は多少体高が高いかなというのはバルサ製なので個体差かなという感じで違いが見あたらない。特にフロントフックのアイの形状がちょっと尖ってるのとか癖が一致するのは同一の製造元であることを想起させる。細かいところでもう一点スターホイルの鱗パターンが、星の間隔といい、星の中にも点が入ってることといい、同一の”鱗ローラー”が使われてるように思える。アルミホイルに鱗描くのは鉄筆使って定規で線引く方法と金属製のローラーを転がす方法が代表的だけど、今回のもそうだけどラパラのような細かい鱗模様は後者で、金属製の円筒に模様が切ってあるのを、ローラー刷毛のような治具にハメるか直接かいずれにせよ押しつけて転がして鱗模様にする(スターホイルの場合星形のを押してから細かい鱗模様を押すのかも?)。オルファのアートナイフのグリップ部分とかいつも「アルミ箔に細かい鱗描けそうだな」って思いながら使ってる。同じ”鱗ローラー”を違う製造元が使ってたとも考えにくいので、製造元同じって可能性が高いかとパソコン椅子探偵としても推理するところ。真相を知る方がいたらご教授願います。なんにせよラパラのスターホイルものとか復刻版以外だと手が出ないぐらいにお高いけど、ニールズマスター製始め、ラパラは周辺のものも含めて面白くて案外ラパラ以外が狙い目かもと思ったりして。じつはニールズマスターの初期のものはリップに、刻印ではなく社名が”けがいて”あったとかで、刻印リップものはその後の時代のもののようなので、引き続きなんかそのへんも狙ってみたい。

 そして最後が、ある意味今回の本命ネタ。なんじゃコリャ?ってブツ。たぶんボディーの意味深なくびれは、スカートとかなにかを装着するためのものと見て取れる。頭切ったタコベイトとかなら問題なく装着可能だろう。ただ、単にスカートを装着するだけなら、くびれが一カ所あればいいだけで、こんなしっぽの方まで何かに突っ込んでカチッとはめるような構造が必要とは思えない。ボウガンみたいな射出装置にカチッとはめて、バシュッと撃ち出すんじゃないかという感じの形状に見える。ただその場合後ろのフックが思いっきり邪魔なので現実的ではないか?だとすればこのミノーはなんなのか?色違いのパーツを左右からパチッとはめたりするとかか?まったくわからんので、こういう珍品は”B列伝”かえぐり氏チャーリーさんのサイトを見ればでてくるだろうと、調べてみたけど出てこない。出てこないけど、さんざん悩まされた「トップ45Ⅱ」とかB列伝でしっかり紹介されてたりして、知ってる人は知ってるものだと感心した。いろいろ調べてみたけど、結局答にはたどり着けず。ただ、ルアーをバシュッと撃ち出すっていう装置は今も昔もあるようで、カタパルト方式からボウ&アロー方式、変わったところでスパイダーマン方式まで各種あるようだけど、どれ一つとして「竿とリールで投げとけ!」というツッコミから逃れられるモノではないと思う。ちょっといけそうなのが、まあ三平君の”デカバルト”の昔から、ドローンでルアーを運ぶっていう発想はあって、ドローンはありかもで、ドローン撮影と組み合わせたら面白いかもしれない。魚群の探索とかに使ってる人は既に居る。まあ、便利な分めんどくせぇけどな。などと暇はつぶれたのであった。にしてもこのミノーがいったい何なのか、分かる方、探し求めてたという熱烈なマニアの方、ご連絡お待ちしております。

 ということで、謎めいた?ミノー達を紹介してみたんだけど、なぜ我々は(ワシだけか)こうも謎にロマンを感じてしまうのだろうか?分かってしまえばしょうもない話だったとしても、分からないこと自体にあらがえない魅力があるように思ってて”私気になります”っていう気持ちが抑えきれない。好奇心はネコを殺すらしいけど、我が家では好奇心が老後資金を削っております。ホドホドにせなあかんね。かまうもんか、ブレーキなしでアクセル全開だぜ!(by JF)

2026年9月5日土曜日

弱点の利点

  釣りにおいて、道具のシステムは弱いところから破綻する。それはあたかも傷のついたラインがそこからたやすく切れるようにである。

 なんぼ切れないラインを使っていたところで、竿が折れれば釣りは継続できず、リールが壊れればこれまたどうしようもない。もっというならそれらの釣り道具を強化しまくったところで人の体が耐えられなくなればどうしようもない。どうしようもないのに、船だの磯だのに道具を固定とかし始めたら終わりである。それはもうワシの知っている”釣り”ではない。単なる漁であり魚を獲る手段でしかない。

 往々にして大物狙いの場合、強度面での破綻は人の体の限界が招くので、まあ限界値を上げたかったら体鍛えろって話になってくる。あるいは技術面で補完するかで、いずれにせよ道具の限界が人体の限界を超えていると危ないので、どこか力の逃げ道を作っておかないと怪我の元である。リールのドラグがそういう役目を果たしてくれるけど、より確実に安全を確保したいなら、ハリなりラインなりに体の限界が来る前に壊れる部位を設けておくのが上策だと思っている。ワシが根魚狙うのに道糸をぶっといPEではなくナイロン16LBや20LBにしているのは、換えの効かない釣り具である我が体を壊したくないからである。それ以外でもどこが使ってる道具立てで一番の弱点かを理解していることは有用で、根魚狙いの岸壁ジギングではアシストフックが写真のように折れるか抜けるかするようにしているし、フライフックは”世界のマルト”の「H260」という細軸の折れやすいハリを主力として使ってるけど、そうすると根掛かりは避けられないとしても海にゴミを残すのが錆びて朽ち果てるハリだけにできて、ルアーを失くすことや高価なフライラインを伸ばして痛めることもかなり防げる。根がかったラインを手元で切るバカが一定数存在するようだけど、意図しない”高切れ”もハリに近いところに弱点を作っておけば防げる。ノットをわざと”弱い”ものにしておくというのも使える手。破綻するような弱点も”逆に考えるんだ”って上手く扱うべきだと思ってる。

 で、釣りは弱いところがあるとそこから破綻するっていうこの考え方は、もっと範囲を広げて釣りの技術全体においても同じようなことが言えると思っている。端的に言うとなんぼ道具を良いものを揃えたとしても、技術が伴っていなければどうしようもないって話であり、逆に言うと釣り全体のレベルは、道具、体、精神、知識、情報、技術、経験、センス等諸々の一番低い部分に引っ張られて限界が生じる。もっというなら心技体が揃った釣り人でも釣り場にやる気のある魚が居なければ手のうちようがない。なので、技術も知識もたいしたことない場合、道具やらにはそこまでシビアな性能が求められない。雑っつい釣りしかしてないのに、細かな戦略を支えるための高レベルな尖った性能の道具など使いこなせるわけがなく必要ではない。あんまり尖りすぎてたり高機能すぎたりするとかえって使いにくかったりする。

 ワシが、40年から昔の道具にちょこちょこ手を加えて使ってるのは、劣っているのを承知で格好いいから使ってるってわけではなく、自分の釣りの技術で必要とされる性能が充分それで間に合うからであり、かつ手入れが楽とか壊れる部品がそもそも少ないとかとか総合面で勝るからというのはコレまでも書いてきたとおり。よく、中古の道具の説明文に「古い物なので今の製品より性能は劣ります」とか書かれているけど、どのへんの性能がどう劣っていて、それがどうあんたの釣りに不利益をもたらすのか説明してくれって話で、投げて巻いての基本性能が同等なのはリールならギアの方式とかが変わってないなら当たり前の事実で、瞬間的に止まるとか滑らかな回転とか竿なら美しいベントカーブとか、それがあればなんか釣りに有利な点があるのか?って話だし、剛性や軽さ感度の良さなんかは、重さ、強度不足、魚への違和感の与えやすさと表裏一体で、適切な落としどころってものがあるだろうって話で宣伝文句的に優れているからといって、それがどうしたって話である。魚釣ってなくても評価できる軽さとか飛距離とか感度とか、どうしても物を売る側はそういう分かりやすい性能を打ち出してアホな釣り人がホイホイ釣られるけど、一回あんたの釣りに必要な道具の性能はなにかよく考えろと書いておく。

 まあ、ワシ技術的にはたいしたことをやってない。まさしく投げて巻いて(あるいは手繰って)の基本動作ぐらいしかやってない。戦略的にはそこそこ玄人らしい釣りをしている自負はあるけど、ワシのような”腕で釣らずに足で釣る”ような釣り人にとって道具は最低限の基本性能さえ備えてくれていれば困るようなことはない。その範囲内でおおいに遊んでもいる。ヘッタクソな釣り人に限って、自分の腕やら戦略やらがダメで釣れていないのに、道具のせいにしたがって、結果道具ばかりご大層な”ソニンデラックス”が釣り場に量産される。釣り道具はまあ状況や腕にあったのを使うと、釣り全体を底上げしてくれるようなことがあるのも否定しないけど、物理法則を無視したような魔法の道具も存在し得なければ、お魚まっしぐらな万能の餌や疑似餌もあり得ない。新規なけったいな”爆釣ルアー”とかさんざん若い頃にだまされたけど、結局ほとんどの場合で定番ルアーが強い。たまに革命的なルアーは出てくるけど、まずほとんどがすぐに消えていく泡沫のようなものである。ワシが長い釣り生活で新発売のルアーで恐れ入ったのはコモモとフラットラップラパラ、グレートハンティングミノーとかごく限られている。ワシがどんだけの種類のルアーを買ったかって話にもかかわらずである。フラットラップラパラは唯一無二に近いけど、コモモやグレートハンティングミノーがその後その基本設定をどれほどパクられたか。

 自分の釣り全体を底上げしていきたいと思うなら、道具なんてどっかに破綻する欠陥を抱えていないことが確保されてれば充分で、全体として弱点が少ないことを重視した基本的な道具立てでほとんどの場合間に合う。もっと情報収集能力とか、作戦の組み立て方とか、人山の回避の仕方とかに力を入れた方が結果に直結する。道具に金掛けるぐらいなら、その分交通費や船代に回すべきである。って、使いもしない道具に金かけてる人間がどの口がいうかだけど、”釣り”と”釣り具の蒐集”はちょっと別物なところもありご容赦願いたい。

 というなかで、久しぶりに実釣想定の釣り具を買ったので、マイニューギアってみたい。 ハッハッハ、フライロッド買うたりました。写真の5本継ぎのがそれ。ちなみに8番で主に冬のカマス用。

現行、8番メインロッド、4本継ぎ
 今使ってるメインの8番ロッドは冒頭写真のように1回折れたのを継いで修繕して使っている。右の写真のオレンジで囲ったところが補修部分ですぐにダメになるってことはなさそうだけど、まあ竿は消耗品だし次の主力竿を探してはいた。フライロッド探してる話を聞いてOニーサンから、昔琵琶湖で記録狙いに使ってたオービスの8番をあげると言われたけど、丁重にお断りした。2ピースなのでワシ自転車で持ち運ぶ関係から4ピース以上が望ましいってのもあったけど、オービスというのはワシの腕では分不相応でぶっちゃけ良すぎる。Oニーサンとかケン一あたりになると、記録狙いとかシビアなラインコントロールが必要な釣りとかもやるので、相応の道具がふさわしいと思う。ワシも”それなり”の腕にはなったと思うけど、フライフィッシングについてはオービスだのセージだのといった良い竿をもらっても、その性能を理解できると思わないし、生かせないだろうしで似つかわしくない。ケン一が「あんまり高い道具買うと一平爺さんにどやされそう」って言うけどその感覚はよく分かる。ではどういうブランドの竿がワシにふさわしいか、まあ筆頭はこれまでも何本か買って愛用しているカベラスブランドで、ここの竿は、本場米国の初心者クラスを想定していてドンピシャである。その他でも欧米のフライロッドブランドとしてはマイナーなシェイクスピアやらセントクロイあたりの高くない価格帯のものでも、通販勢ならLLビーンやもちろんバスプロショップスでもいい。今時欧米ブランドでもアジアとかの新興工業国製が多いだろうから、そういう新興工業国製の横流し的なノーブランド品は安く売ってるけど、ブランド名がないとちょっと思い入れがしにくいのでイマイチ。

 という中で、ド本命カベラスの「ストアウェイ9f8#」5本継ぎというのがネットオークションに出てきたので、まあ新品でも100ドル強ぐらいの安めの竿のはずだし、送料込みで7千円台ぐらいまで出す気で入札したら勝てるだろと、6220円で入札しておいたら、ちょっと競ったけど4330円落札に送料1220円で5550円で我が家にやってきました。名前がまた良い、「Stowaway」ってなんて意味だろ?って調べたら”密航者”だそうである。パックロッドだから旅行かばんにでも忍ばせておけばどこにでも密航できるって感じかと。いうても5本継ぎと4本継ぎはそこまで変わらないけどな(写真真ん中が長さ比較)。でも百均の書類入れを1段伸ばしたのにちょうど入るので”密航”はたやすいだろう。百均の書類入れの筒って本来の目的で買うよりロッドケースとしての需要の方が多いのと違うか?ってくらいパックロッド持ち運びには便利。ただ安っぽい作りで伸ばして使ってると力が掛かったときとかに縮んでしまうことがあるので、伸ばして使うときにはビニールテープとか巻いて固定しておくと安全。

 カベラスのフライロッドたまにレビュー記事書いている人がいるけど、総じて「コレといった強みのない凡庸な竿」「費用対効果は抜群」という評価である。凡庸な竿っていうのは、ようするに腕の良い人にとっては物足りない性能だろうけど、逆に言うと長所と引き替えの欠点もない素直で基本性能の足りている竿だと言えると思う。弱点は裏返すと利点に転じる。バスプロショップスと親会社統合されているようだけど”カベラスブランド”で、初心者がまず買う1本とか、玄人衆が予備竿に持っておく1本とかには好適な竿だろうし、そういう竿もまた釣り具市場には必要って話である。

 ワシもロアーロッドには明確な好みがあるけど、フライロッドには好みをどうこう言えるほどの技量も知識もないしで、こういう初心者向けの竿は非常に合っていて分相応だと思う。今使ってるロッキーマウンテンアウトフィッターズも釣りツアーとかやってるアウトドア系旅行会社の貸し出し竿ブランドらしく、まさに初心者用って感じだけど、それでワシの釣りに足りない部分があるとか、もっとこうしたいとかいう好みが出てくるとかいうところまでワシ至ってない。なら初心者用の道具で何ら問題ないだろう。

 カベラスの竿は、9番の「LST」と6番の「キャスタウェイ7」を使ってきたけど、どちらもなんの問題もなく使えている。っていうかかなり魚釣った。ソニンデラックス共の高級ロッド様とは段違いに魚で曲がった竿だと思う。

 とりあえず次世代主要ロッドなので、ボナンザ塗ってしばらく蔵で待機だと思うけど、今の竿が腰抜けたり折れたりで引退したら活躍してくれることだろう。

 良い買い物だった。とブログには書いておこう。 

2026年8月29日土曜日

雄弁は銀

 その昔、韓国大森製の”チープ大森”的なやっすいスピニングをいじったときに「もし、韓国大森製スピニングの実力を知りたいなら、その時代の実用機であるタックルシルバーあたりを見てみないとなんとも言えないのかもしれない。」と書いたけど「アクションM」だの「タックルA」だののチープ大森をさんざんいじって、加えてダイワ「スプリンターマックスST600」のお粗末なできにうんざりして「タックルシルバー買おうとかいうやる気ももう正直なくなった。」と書いたな、アレは嘘だ。

 ハイ先週に引き続き夏の長雨不釣のおりに、冒頭写真のとおり、濡れて滑りの良くなったマウスでヌルッと購入してございます。何で買うことになったのか説明させてください。まあ、なんというか人のせいにするのはどうかと思いますが、TAKE先生のせいなんです。TAKE先生のサイトとか読んでると昨年は渓流にベイトタックルを持ち出すのがマイブームだったようで、結局グリス抜きとかしても使いにくくなるだけで出荷状態が適正であり普通に使える。というまあそうなんだろうなという結果に落ち着いてた。あんまり回りすぎてもサミングが難しくなるだけでどうにもならんっていうのはワシも感じてたところでどっかで書いたと思う。で、その前にちょっとゼブコのクローズドフェイスリールが来てて、ワシもちょっと遅れたようなタイミングでクローズドフェイスリールが今年来てるのは先生の「リールの歴史」シリーズとかの”ミスター原”の影響だろうからそのへんで必然的にシンクロしたんだろうなと思う。でもって今TAKE先生がご執心なのが、「タックルシルバー」や「タックル7」あたりの韓国大森製のスピニングと、そのミッチェル版「ロングショット」やその卵形デザインを踏襲した2代目ロングショット(日本名「プリビレッジ」)らへんであり、「リールの本3」を読むとタックルシルバーについて「「まがい物」にあらず」として「先入観を捨ててみれば、スプールは長いのだから、旧タイプのリールよりは飛距離が出るはずだ、ボディーが長く大きくても、部品が少ないから重くはなく、スプール往復機構がボディ後端にあるぶん後方重心で、むしろ投げやすい。ここに低コストや故障のなさを加えれば、けっしてまがい物とはいえないだろう。」と書かれている。同じ本でワシが最上級に評価する「マイクロセブンC」シリーズが本体が四角くて、重いウッドノブ付きハンドルなのもダサいってな感じでケチョンケチョンでワシ「そんなに言わんでも」とショックだったのと好対照である。まあ、TAKE先生にとって軽快に投げて巻いてを邪魔する重いウッドノブ付きハンドルは、ワシがスピニングリールでドラグもろくに使わずゴリ巻きするのが、そういうゴリ巻き仕様の奇形的なスピニングが許せないのと同じぐらい生理的に嫌なんだろうなと想像するところである。釣り人ごとに評価軸が違うのはある意味当たり前。でも、タックルシルバーもウッドノブ付きハンドルでっせ!?と考えていくと、なぜTAKE先生はマイクロセブンCがダメでタックルシルバーを良しとしたのか、ご本人もどっかで書いてたけど、本体が卵形のリールはミッチェルっぽくてお好みなんだろうって思う。それならしかたない。先生ミッチェル好きすぎるぐらいだからな。何度も書くけどリールなんて好みで選んで上等ってなもんである。

 ということで、まあ後方重心の振りバランスとかワシあんまり気にしたことがないというか分からんレベルでしかないのでアレだけど、そこまで先生が評価されるなら”自称生徒”としては、買って自分の目で手で確かめねばならんなと思ったわけで、こんなもんと言えば失礼だけど人気のある機種でもなしでネットフリマで1500円送料込みならマウスが滑ってクリックするのになんの摩擦抵抗もなかった。

 我が家に来たからには分解整備ということで、サクサクとバラしつつ中身を見ていく。スプールは長くなってアルミ化しているのを軽量化するためか、側がアルミだけど中の方が謎素材の白い樹脂製ではめ殺しというか流し込んで固めたような感じになってる。音出しとライン留めもはめ殺しで外せないのはちょっと減点だけど、ドラグがちゃんとしているのは大森スピニングに関しては原初の大型インスプール機から最後の方のチープ大森まで貫かれている美点であり、立派なモノだと思う。ドラグパッドはテフロン製。

 ハンドルはまあ普通にネジ止め式のウッドノブ付きワンタッチ折りたたみハンドル。本体蓋はローターの下に一部突っ込まれているけど、4本のタップネジを外せば斜めにしたら外せる。先にローターを外す必要はなく素直な工程で外せるのと、タップネジが樹脂本体に直接ではあるけど、これでもかと長いのが使ってあるのはしっかりしてて悪くない。ただちょっと気になったのは、分解してる段階で緩んでるネジが何本かあったことで、前の持ち主が締めたりなかっただけなのか、使ってくると緩んでくるものなのか、タップネジ使ってるリールは他にも触ったことあるけど緩んできた経験はないので前者と思いたいところ。

 蓋パカッと開けると、下の方に減速式のスプール上下機構(オシュレーション)の歯車とカムが入ってて、オシュレーションカムにネジで留まってる主軸を抜くと、亜鉛鋳造っぽいハンドル軸のギアがヌポっと抜ける。ボールベアリングはローター軸に一個、ハンドル軸に2個なんだけど、ハンドル軸のギアの軸が太っててオシュレーション用の歯の下に入ってるボールベアリングは抜けなくなってる。ハンドル軸のギアを填めるときには先にボールベアリングだけ填めてからであれば、オシュレーション用の歯車とカムを所定の位置に収めてから填めれば良いけど、ボールベアリングが付いたままだとハメられないので、ボールベアリング付きのハンドル軸のギアとオシュレーション用の歯車を同時に噛み合わせてハメて、後にカムを滑り込ませる順番で上手くいった。このリールはサイレント仕様なんだけど、わりと単純な針金一本でできてる部品が、ハンドル軸のギアの根元の溝にハマってて、そこから出た”枝”の部分(黄色い→)が、逆転防止の爪の下の方の溝(赤い→)にハマって、正転時に爪をバネで押しつけようとしているのを相殺してカリカリ鳴らないようにしている。チープ大森でもサイレント仕様の機種は同じような方式だった。バネの締まり方とグリスの滑り具合で動作がやや不安定だけど、シンプルなのは良いことだ。

 ローターを外すと、裏には大森おなじみのベール反転機構のメガネバネが見えてるのは安心だけど、蹴飛ばすのがロータの内側本体の樹脂むき出し、銅板の簡易ローターブレーキもなし、ローター軸のギアを固定するのもタップネジ三本でベアリングを押さえてるだけ、ロングスプール化で先週のダイワ「ウィスカートーナメントSS」は本体の上のローター内部に逆転防止機構とかを持ってきてたけど、本機種では、ローターの内部にまで本体を筒状に引き延ばす感じで大森式の本体内の逆転防止機構という方式を踏襲している。ただ、この時代の他の機種でもみたけど、往時、逆転防止の部品は鉄系素材で一体成形だったのが、ステンレス板を打ち抜いた手裏剣みたいなの2枚と高さ調整のスリーブに分かれて、経済的な設計になってる。まあ丈夫だろうしちゃんと機能するとは思うので悪くないと思う。

 ローター周り、ベールアームを樹脂製のローターから芯を出して受けているのとか、ラインローラーがセラミック系直づけなのは、まあこの時代の標準的な仕様でこんなもんかという感じだけど、ベールスプリングが特許切れて使えたはずのグルグルコイルバネ式じゃないのは残念減点って感じか。にしても高級機種ではなかったので、経済的な設計でそれなりに使えるようにはなっていて、あんまり困りそうな感じはしない。部品数が少なくて整備性が良いのと樹脂本体で軽いのは実用上は評価できる点だと思う。まあ使ってみないとどうともいえないけど、値段とか考えたら充分と評価できそうに思う。

 で、一応注油して組み上げて、前回みたいに固着ネジ切ったり、あるいは部品紛失したりもなかったので、一件落着でもいいんだけど、こいつは一度釣り場に持ち出して魚釣ってみたいなと思っているので、そうなるとちょっと気になる点かいくつか出てくるので手を入れる。
 まずは、写真見ても分かると思うけど、れいによってスプールエッジがぬるいというか、中心の方から傾斜が入ってて見るからにスプールエッジ近くではスプール上下幅より糸巻きの幅が広くなってそうで、これはアレしてやる必要があるだろう。
 それから、ベールワイヤーのベールアームと反対の端は亜鉛の部品になってて、その部分を受けているのは樹脂製ローターから突き出た芯で、留めてるのはその芯にタップネジを突っ込んで留めている。このへんキャリアーとかマイクロセブンCは金属製雌ねじで受けた金属製のネジで軸を作ってるのと比べ安っぽい。けどまあ耐久性の問題はあるかもだけど削れるまで問題ないだろうとも思うんだけど、削れてないけど問題生じてて、タップネジをギュッと締めるとベール反転がスムーズにいかなくなる。緩めると問題なく大森方式の内蹴り”オートベール”は軽やかに返ってくれるんだけど、どうも亜鉛部分が太ってタップネジと接触が強くなってしまってるようだ。コレも何らかの対応が必要。

 とりあえずアレのほうから。もう慣れたもんで適当なあまり糸でスプール適当に埋めてから色変えたラインでスプール上下幅がどのくらいか確認する。だいたいスプールの底の幅が上下幅と同じぐらいで、だいぶ水増しされたロングスプールだなこりゃ。作業としてはスプールエッジがスプールの底から水平に持ってきたところに来るぐらいに、板の厚さも踏まえつつFRP板を切って輪っかを作ってハメて、隙間をティッシュをねじった紙縒りで埋めつつ瞬間接着剤で固めて、大まかな形ができたら電動ドリルで回して形状を整えて、半日ぐらい固化にかかるエポキシ厚めに塗って串に刺してロッド回しで回してやる。固化したら電動ドリルで回してサンドペーパーかけて表面とエッジを滑らかに整えて、銀のラッカー塗料で塗装していっちょ上がり。せっかくのロングスプールをちょっと詰めてしまったけど、直径は大きくなってるので、ラインが上下でやや盛り上がるにしてもグチャッと崩れなくなったのとあわせて、ラインの放出性は良くなって飛距離も出るだろう。

 もいっちょの、タップネジがベールワイヤー端の亜鉛部分をしっかり押さえすぎるのは、ローターから出てる芯の直径ぴったりのワッシャーというかシムを噛ませてかさ上げするんだろうなと方針は立つんだけど、小さすぎて合うサイズがないし近いサイズのを削って調整するのも手間なので、まあ細いステンレスワイヤー2巻きぐらいしておけばちょうど良いんじゃなかろうか?と試してみたら、問題なく軽くベールが返るようになった。もういっちょいじるなら、ロータ内で蹴飛ばしが直接樹脂にあたってるのを保護しつつ、意図しないベール反転等を防ぐためにマジックテープ式のローターブレーキを追加してみたいと思ったけど、ベール起こしたときの止まって欲しい位置にマジックテープ張る場所がないので、ベールが返る前に軽くブレーキかけるだけならできるけど、軽いハンドルリターンが損なわれるだけなのでやめておいた。瞬間的逆転防止機能が付いてないのでローターの”遊び”で投げる前のベール位置調整することで足りるかと。

 とりあえず整備完了。いつでも実戦導入可能なようにラインも巻いておいた。
 で、ナマジ的にはこのリールをどう評価するかというと、可もなく不可もなくまあこんなもんかなだけど、それで充分だろという感じ。
 個人的にはもうちょっと耐久性のある設計にして欲しいところだけど、大森製作所が韓国に工場移して、長年の良き相棒だったシェイクスピアとも縁が切れてしまい、ミッチェルと組んでアメリカ市場で、手頃な値段でそこそこの使えるリールをというニーズに応えて作ったんだろうってのを考えると、経済的な設計ではあるけど、ドラグはちゃんとしたのが付いてて、スプールも樹脂と組み合わせて厚めのアルミ製で丈夫、ベール反転も軽い。本体とローターは樹脂製で軽くてって感じで、投げて巻いて魚とやりとりしてってのが普通にできそうで、30ドル弱とかで売られてたらしい値段考えたら上出来の部類だろう。”チープ大森”な「アクションM」とかは、逆転防止の部品が一体成形なのは良いとして、あんまり素材・製法的に固くない亜鉛鋳造でしかも、ス入りの不良部品とかも確認できてて、さすがにあんまりなポンコツ具合だと思うけど、タックルシルバーは逆転防止の部品を安くあげるにしても、ステンの打ち抜き2枚重ねとか丈夫さ確保してて、限られた費用で上手くまとめてあると思う。実際に投げてもいない段階ではあるけど、使ったらそんなに悪くないんじゃないだろうか?
 年間200日以上も釣りに行くハードユーザー向けの仕様ではないかもだけど、たまの休日は釣りを楽しんだりもするっていう一般的な釣り人がこの仕様で困ることはあんまりないだろうと思う。今中古で買って使っても整備が楽だし壊れそうな部分はベールスプリングぐらいだしで、水で濡れたら困るような今時のクソリールより良いんじゃないかと思う。
 ”チープ大森”はある程度、品質が低いのも折り込み済みで、その安っぽさを味わい、クソ高い高級リール様に対するアンチテーゼとして使うという通好み?なリールで、ワシの使ってたアクションMは2シーズン持たずに樹脂製スプールが上と下とに泣き別れという致命的なぶっ壊れ方して実用面ではわりと役立たずな面もあったけど、タックルシルバーはちゃんと実用機として足りるだけの性能があるように思う。
 韓国大森は亜鉛部品のス入りは減点ポイントだけど、けっこう頑張ってたとワシャ評価する。昔入手したことがある「ポスカ1」も意外にしっかりした作りで悪くないと思った。
 まあそのへんをきちんと自分なりに評価するには、なんぼか魚釣らなきゃダメだなとおもっちょります。まあ普通に釣れると思う。魚釣るのに重要なのは場所と時間が9割がた決める用素で、道具なんて手堅く破綻しない程度のモノで充分で、その中でもリールは遊んで良い余地のある部分だと思っている。だからこそ、いじって遊ぶ余地があって楽しいってことだろう。

2026年8月22日土曜日

SSで750といってもPENNじゃなくてダイワ

上段:SS750,SS600、下段キャリアーNo.1,PENN4300SS
 ダイワの「ウイスカートーナメントSS」シリーズは、投げ釣りで使われていたような遠投性能に優れたロングスプールを小型機に取り入れた、今時の”スプールが大きいスピニング”の源流となった”革命機”で、米国でも色違いハンドルノブ違いの「SSトーナメント」は高い評価を得たようで、令和になってもまだ米国では売ってた。発売は1980年代ともう40年から昔のリールだけど歴史的な名作だとワシャ思ってる。「ウィスカートーナメントSS600」は我が家にも1台あって、その昔、大森「キャリアーNo.1」のベールスプリングが逝って、当時は直し方も知らず次の小型スピニングの候補としてPENN「4300SS」とどちらにするか迷った末、逆転防止機構のバネが折れて選に漏れたけど、現在はステンのワイヤーでバネをでっち上げて使えるようにして蔵に眠らせている。

 ダイワの小型スピニングでどれが歴代最高の1台かと考えると、まあ人それぞれで色々あるんだろうけど、ワシ基準だと瞬間的逆転防止機構が付いた以降のはまとめて選外で、それ以前で実釣に持ち出して困らない、投げて巻いてが滞りなくドラグがまともなモノが付いていてってなると、自分の使ったことある機種では「ウィスカートーナメントSS600」で間違いないところである。あと、TAKE先生の本とかで紹介されていてよさげに思うのは、「ファントムEX800」と「UL13」で、前者は世界初の”カーボンボディ”を謳った気合いの入った機種のようで、ねじ込みハンドルで大口径の1枚パットのドラグにワンタッチスプール、樹脂スリーブ入りのラインローラーとほぼ文句なしの仕様なんだけど、世間的には全然受けなかったようで後継機もサイズ展開もなく消えていったらしい。良いもの作れば売れるかというとそうでもないっていう典型か?たまに中古で出てても高級機種なので結構お高くて手に取ったことがない。後者は樹脂製ボディーにアルミスプールで、スプール径が大きくて幅が狭いのが特徴のその名の通りウルトラライトな小型機で、米国仕様だったようだけど、たまに国内のネットオークションとかでも目にする。けど、意外に人気なのか試しに入札しても競り負ける。特に凝った機能とかないシンプルな設計だけど、スプール径が大きいとギア比が低めでも大丈夫っていう単純な利点で使い勝手が良く米国では人気があったそうな。これは実用機としてよさげな雰囲気で手に入るなら手に入れたいところ。

 で、ウィスカートーナメントSSシリーズの新機軸な点は、テーパーの付いたロングスプールのほかにもあって、ベールスプリングが”折れるのが宿命”のトーション方式から、ほぼ壊れないグルグルコイル方式に変わったというのもあった。特許が切れて各社使えるようになった時期が80年代とかなんとか。ただ600サイズだけは、トーション方式のままでその恩恵を受けていなかった。750サイズだとグルグルコイル式なので、シーバスにはちょうど良いぐらいの大きさだし安いのあったら1台あっても良いなと、使いもしないけど以前から思ってたら、1700円即決でボロめの個体がメル○リに出てたので、思わずマウスが滑ってクリッククリック。クソ夏が一休憩したと思ったら毎日毎日毎日中途半端に雨が降りくさって、魚がイマイチ釣りきれん。そうなるとワシのマウスも”濡れると滑ります!”の注意書きが必要なぐらいヌルリと滑りやすくなってくる。アタイ病気がにくいッ!

 で、我が家に来たからには全バラしして整備である。ただ、こいつのワシから見た欠点は設計がややこしい点で。バラし方にお作法というか順番があって、組木細工みたいで面倒くさい。なぜそうなってるかというとたぶん、スプールを長くしたのでその内側?に逆転防止とかの機構を入れて本体内から出したからってのと、ロングスプールに完全平行巻でラインを巻くためのスプール上下機構として、ベイトリールの平行巻機構同様のクロスワインド方式を採用していて、主軸と逆転防止スイッチの軸の他にクロスワインドの軸も入ってるので面倒くさくなってるんだと思う。外蹴り機なのに結構部品数多い。そう、このころのダイワのスピニングはまだ外蹴りだった。外蹴りは単純な設計にできるけどハンドルでベールを返そうとすると手前でガコンと返る感じでイマイチ感触は良くないことが多い。ローターブレーキも付かないのでハンドルがウッドノブでやや重いのもあって、投げてベールアームが回って手前側に来てしまうのもありがち。そうなると右手人差し指でライン放出調整ようとしたらベールワイヤーが邪魔になる。もっと極端になると意図しないベール返りが生じる。大森スピニングが「オートベール」以来とっくに内蹴り式になってたのと好対照か?ただ、ワシ的には左手でライン放出を制御して、そのまま左手でベールを返していたので、外蹴りは苦にはならなかった。あと、軸が細いウッドノブは写真右のPENNの魚雷型ノブみたいで指が痛くならなくて嫌いじゃない。ハンドルノブは人の手の形、癖によって合う合わないがあるので他人の評価を鵜呑みにしない方が良い。まあハンドルノブに限らずだけど。

 完全平行巻の純テーパーのロングスプールは、ぶっちゃけラインの放出性も良すぎるぐらいで、ややじゃじゃ馬だったと思う。当時使ってた人の回想として「投げたときドバッとラインが出てしまうトラブルが多かった」とか書かれがちである。でもワシ的には左手でライン放出調整するやり方と相性良かったのもあったのか、特にトラブルが多いとは感じてなかった。渓流で近距離キャスト多用で使ってたので”遠投性能”の恩恵には授かれなかったと思うけど普通に使えてた。ライン少なめに巻くほうなので、それもトラブル防いでたんだと思うけど、まあエラそうに書くなら、ちゃんとライン放出を指で調整してやって、巻くときに糸ふけた状態で巻かないようにしてればトラブルにはならないので、使えないってことは下手くそだってことだろう。遠投性能に振った尖った味付けだけど目指すところが明確で素人用じゃないところは今思うと好感が持てる。ライントラブル防止のために逆テーパーにしてスプールエッジには”ひさし”つけてって、今時のスピニングはずいぶんと使い手を甘やかしてくれるようになったものだ。釣り人口の多くは糸ふけ出さないようにフェザリングしてとかができない初心者なので、悪いことではないにしても、玄人がつかうような高級機種はもうちょっと尖ってても良いようには思う。写真がスプールが一番上に行ったときと下に来たときの比較だけど、結構なロングスプールなのが見てとれると思う。最近の小型スピニングはここまであからさまにロングスプールではない気がするけどどうだろう。最近のは長いというより直径が大きめで”ドデカコンパクト”な感じかと。

 で、分解整備だけどコレが大苦戦。まず前述のように構造が複雑でバラすのが面倒くさい。スプールはドラグパッド押さえる一番上のワッシャーが瓶ビールの王冠状で、補強のためだと思うけど耳が下向きに曲げられてるとか、ちょっと形状が変わってるけど3階建てのちゃんとしたドラグが入ってる。ドラグパッドは合成皮革かなにかか?柔らかい材質のもので、スプールの大型化に伴って直径も大きくドラグの性能としては充分なモノになっている。ハンドルは軸の細いウッドノブ付きでワンタッチ横折りたたみのネジ止め方式と、この時代の標準的なもので特に可もなく不可もなくという感じ。ワンタッチ折りたたみのハンドルは重いというのは過去計測して実感したところだけし、ハンドル重いと投げたとき回りがちだけど、SS600はそんなに実釣でトラブルなかったので、まあ小型機の多少の重量増ぐらい気にすんなよってぐらいに思わなくもない。このへん投げ方の癖とかと関連するだろうから人によって評価の分かれるところかも。

 で、次にどこから分解していくかと思うと、ここからが組木細工っぽくなっていく。今時のスピニングはスプールが大きいのでローターの中に逆転防止機構やらが入っている。なのでまずローターを外してからでないと本体蓋が空かないというパターンが多いと思う。ただ、当該機種ではスプールが刺さるところがスリーブで太らせてあって、それはドラグの安定した作動に寄与するんだろうけど、こいつが座面とか音出しとかは外せてもスリーブ自体は外れないので、主軸がハマったままローターを先に抜くことができない。

 とりあえず別のところからと思うけど、本体蓋の上部を止めているネジはローターの下に隠れていて、ローターが被さった状態では蓋は外れない。外れるところといえば、一番下の四角いお尻の蓋で、とりあえずそれを外すとスプール上下用のクロスワインドのグルグル棒の後端を押さえてるとっ手つきのU字の部品が外れるけど、これを外せばグルグル棒が抜けるとかはない。色々考えて、ローターナットを外して、ローターが主軸から抜けないけどずらせるようになるので、ずらすと本体蓋を留めているタップネジ4本がやっと抜けて、抜けると蓋が開いて、ここでスプール上下のカムと、クロスワインドの爪部品を押さえている押さえの板のネジが外せて主軸が抜けて、主軸のスプールがハマるスリーブに行く手を阻まれていたローターも外れる。

 あとは、完全平行巻のためのクロスワインドオシュレーション機構がローター軸のギアから回転取ってるとか、ロングスプール化にともない大きくなったローター内部に逆転防止機構関連が入っていたりするけど、概ね普通に分解していけばよく、そこまで難しくはない。ハンドル軸のギアはアルミ合金っぽいピカピカした素材でベアリングは2個+ローター軸の1個で3個とまだ無意味に増えていない。ただ、このローター内部に逆転防止機構をぶち込んだのは、瞬間的逆転防止機構を入れたときに、こんな浸水しやすいところに濡れると困る機構を入れて問題が生じないわけがなく、後に”防水性能”とかいう水辺で使う道具にあるまじきものが求められるようになる遠因にはなっていく。ちなみに当該機種では別に濡れて困るほどのものは入ってないので、浸水してもさびないように帰ってからメンテで問題ない。PENNの4桁中型機以上も同様にローターの内側に逆転防止関係は搭載されているけどさびない材質の部品使ってるので適宜整備で大丈夫。4300SS以下の小型機や大森スピニングの多くでは逆転防止機構は本体内に収まってて、さらにはABU「カーディナルC4」とかではドラグさえ本体内に収まっていて、なおさらめんどくせえ防水機能とかの追加は必要としない。

 でその逆転防止の方式は、ローター軸の回転を使って、爪をラチェットに押しつける方式。

 ラチェットの上にぐるっと細い針金のバネが巻いてあって、それが拡大写真のように爪の上に出た薄い金属板の隙間にに挟まれる形で、逆回転時には写真左のように爪をローター軸ギア上部に刺さってるラチェットに掛かって止まる。正回転時には爪をラチェットから離す方向に針金が押す。なので、常にバネでラチェットに爪を押し当てている方式のように、それをキャンセルするような機構を設けてカリカリ鳴らないようにしなくても普通にサイレント仕様なんだけど、当時は巻いてるときに音がしないとヤダっていう釣り人も多かったので右端のような音を出すための部品を組み込んであった。まあ不要なので外しておく。ワシはカリカリ鳴るリールもまた乙なモノぐらいに思ってるけど、わざわざ鳴らす必要性までは感じない。隣の釣り人に「カリカリうるせぇ!」って怒られてもいやだしな。

 ローター方面にも見所はあって、まずはベールスプリングがグルグルバネ方式で、これでベールスプリングが折れて消耗品扱いという状態からは脱却。まあワシのSS600では細いワイヤー使ってる逆転防止のバネのほうが折れたけどね。改めてSS750のベールスプリングの仕組みを見ると、グルグルバネにちょっと曲がった心棒が突っ込んであるだけで意外に単純なので、どうにかしたら過去のトーションバネ方式のリールをグルグルバネ方式に改造できないか?とか考えたけどスペースの問題で結構難しそうではある。で、次ぎにローターにベールアームとベールワイヤーの端を留めてるのが、ローターが樹脂製なので貫通させておいて裏側でEクリップで留める方式。コレだと厚さが確保しにくい部位にタップネジだけで留めるのでは上手くいきそうにないのを上手に処理していると思う。リョービにも同様の設計のリールが見受けられるけどどっちが元祖だろうか?ちなみにこのリールのネジは基本タップネジだけど逆転防止の爪を留めているネジだけは、下の本体に金属の雌ネジを入れている。逆転防止が一番力がかかる場所なので納得の設計。

 で、最後にベールアームとラインローラーなんだけど、やってしまいました。何度も過ちを繰り返すバカ。ラインローラーを留めてるネジを無理矢理回そうとしてねじ切りました。樹脂製ローターとベールアームでそこは錆とは無縁なので油断してしまったってのは言い訳だけど、ラインローラーを留めているのは金属に金属ネジであり、塩噛みして固着してた。これがまたセラミック製のラインローラーも固着していて外せない。ネジは真鍮のようなのでドリルで穴ほじって”リコイル”でどうにかするとしてラインローラーはなんとかして外したいので、チャック付きの小袋に入れてCRC(666)に浸して二晩放置。とりあえずラインローラーを除いて全バラしした状態が写真下で、部品数が多いのは否めない。整備性とか考えるとローターが外しにくいのとかも合わせて弱点ではある。4桁PENNとかと比べるとだいぶ手が掛かる。その分凝った設計で尖った性能の意欲作っていう魅力はあると思う。

 で、ラインローラーだけど、結局どうやっても外れてくれそうになく、しかたないのでペンチで挟んで取れたら儲けもんと力入れてパキッと割って外しました。完全に固着していてCRCが浸透した形跡なしで、こりゃダメだとあきらめもつくというもの。まあラインローラーは最終的にはポリアセタールのスリーブから切り出す手もあるのでどうにかなるでしょ。逆にどうにか外れたのがネジの方で、残ってるネジの軸を倍力ペンチで挟んで回したら外れました。なんで軸ひねって外れるのにネジの頭ひねったらねじ切れるかな?と思うけど、まあネジ穴が残ってるので幸いネジはM2.6規格だったので、なんかそのぐらいのネジはあるだろうと思ったらセット売りでオマケ的に付いてきて整備して蔵に寝かしてたダイワ「ロングスプリンターST600B」というのがあって、ラインローラーもネジもそいつから流用できそうでとりあえず片が付きそうだったけど、ネジはまあM2.6のネジ在庫もあるので良いとしてラインローラーをそのリールから徴用すると、1台ラインローラー無しの機体ができてしまい、ワシ的には非常に尻の座りが悪い。ので、ネジは使うとしてラインローラーが余ってる部品在庫から使えるのが出てこないか、大森、PENN関係のラインローラーはそこそこ在庫しているので、あれこれ引っ張り出して試してみたら、PENNの「スピンフィッシャー4200SS・4300SS」のラインローラーがちょっと穴が大きいけど外径的にはちょうど良かった。なので、穴の隙間はテフロン加工のグラスファイバーシートで埋めてやることにして、なんとかかんとかする算段がついた。ついたんだけど、よく見ると固着してたラインローラーがハマってた辺りが腐食して欠けてギザギザになってしまってる。これはラインが挟まりそうで怖いので、ペットボトル切った薄い樹脂板を覆いにして、瞬間接着剤でくっつけて周りをエポキシで覆って角が立たないようにしておいた。これでラインローラーは問題なく機能するだろう。手間掛かって大変だったけど、なんとか稼働機に整備できてうれしい。

 グリスぐっちゃりめに塗り塗りしつつ組み直したけど、PCの画面で外すときに順番に撮影していたものを、後ろから逆再生しつつでないととても組み立てられんかった。若い頃はデジカメなんかなかったけど、良くバラして元に戻せたものだと我ながら感心する。整備性は明らかにPENNに軍配があがり、スピンフィッシャー4300SSを選択したことは間違ってはいなかったと今振り返っても思う。思うけど、もしウィスカートーナメントSS600を選んでいたとしても、多少の面倒くささやじゃじゃ馬具合はあったとしても、相棒として良い関係が築けて良い釣りを共にできたのかもしれないとも思う。逆転防止のバネが壊れた時点で釣具屋さん通じてダイワに修理を依頼したときに「部品がもうない」という定型句で修理不可と言われたのがPENNにした大きな要因だったけど、今思うと米国ではその後も前述のように延々とほぼ同型機である「トーナメントSS」が売り続けられていたんだから、部品は米国ダイワにはあったはずで、それを”無い”といいやがったのはダイワの営業の不勉強か新品売るための策略であり、そういうメーカーを相手にしなかったのは正しかったのかもしれない(ダイワもついでにシマノもそのへんのサービスは反省したのか今現在改善されている)。だとしても、ウィスカートーナメントSSシリーズが革命的な名機だったことに間違いはなく、ダイワ史上最強小型スピニングはワシ的にはコレでいい。バスプロショップスに2000年代に売ってたときのレビューが「最新の高級機種があんたに魚をもたらすわけじゃねぇ」とか「コイツは馬車馬のように働くぜ」とか、実釣性能を重視する米国の目の肥えた釣り人達が絶賛してたことからも、その判断は妥当なのかなと思う。唯一対抗馬を上げるなら金属本体の高級機の先駆けとなった「トーナメントEX」シリーズぐらいだろうか?でもワシ的には小型スピニングのドラグとラインローラーにボールベアリングを最初に入れた戦犯扱いなので評価しない。

 実釣に持ち出すと整備が面倒くさい機種なので、一応ラインも巻いて準備万端に整えたけど、今後は蔵で眠ることになるのかもしれない。それでもワシのところに来て、ラインローラー固着でどうしようもなかった状態から、純正状態ではないにしても曲がりなりにも使える状態に戻せたことは、ワシが死んだときには中古屋に売るんでもなんでもいいのでゴミにしてしまうのは避けてくれと、ケン一に頼んであるので、次に手に取った釣り人に、この革命的名機を引き継ぐことができると思うと心安らかであり満ち足りたこころもちである。

2026年8月15日土曜日

このあたりのダイワルアー

 ジャンクなルアーを修繕したり、思わずマウスを滑らしてしまったりしてると、自分がダイワルアーを結構好んでいるというのを思い知らされる。80年代のバス釣り少年だった頃、頼りになるハードルアーはダイワが多かったように思う。それなりに舶来のストームだのレーベルだのも使ってたけど、なんといってもお値段控えめなダイワのルアー達はお小遣いで買えて、かつ使えるルアーが多く、同じお値段控えめでも当たり外れのあるコーモランより断然信用できた。ダイワのルアーも”チームダイワ”を冠するシリーズが出るようになると、そこそこお値段もし始めて円高にもなって、だんだん国産品が高級で外国産は仕上げもイマイチで舶来品と言っても既に欧米の本国生産ではなく、途上国の工場で作られるようになって安物あつかいになっていったけど、それでもダイワがTDシリーズと平行してBH(バスハンター)シリーズをガキのお小遣いで買える値段で提供し続け、今でも低価格帯のルアーも売っているという姿勢は高く評価したい。TDバイブとかTDミノーとかにもお世話になったけど、むしろダイワのルアーの真骨頂はBHシリーズに象徴される安価良品ルアーである。というわけでルアー図鑑うすしお味第91弾は、ダイワのそのへんのルアーでいってみたい。

 まあ”そのへんのルアー”の筆頭はもちろんBHシリーズの由来にもなってる「バスハンター」なわけで、わし「バスハンターDR」で初めてのバスを釣っている。矢口高雄先生原作の「バーサス魚神さん」で、雑誌の企画に引っ張り出そうとしてきた編集者に断りを入れるために、魚神さん重量を競う鮎の友釣り勝負で勝ったら、という条件を飲んでやるんだけど、そりゃもちろん魚神さん釣果で圧倒する。でもその編集者が全くの初心者で初めて釣った魚だと知って「人生の中では君の鮎のほうが「重い」」って勝ちをゆずって雑誌企画に協力を約束する。矢口先生そのへん実に釣り人心理を分かってらっしゃる。ワシもいろんな魚をいろんなところで釣ってきたけど、初めての釣りものやら初めての場所の1匹も未だに膝震えたりするぐらいに興奮するし、それが多感な少年時代の初めてバスを釣ったルアーとなったら、人生の中では初恋の人と同じぐらい「重い」と認めるにやぶさかではない(注:ワシの初恋の人が太っていたという話ではない)。で、おそらく写真一番下のバスハンターDRが1/2ぐらいの確立で現物そのもので、たぶん同じ色のは2個ぐらいしか買った記憶がないので、生き残ってるこの個体がワシの初バス筆おろししてもらったヤツの可能性は高い。先に買ったのはSR(「6」あるいは無印が正式名称か?)のほうで、SRは時代を先取りしてた潜らないクランクで当時のワシにはイマイチ使い方分からんかった。なのでもっと潜った方が良いだろうと新しく買ったDRの潜り方を足下がえぐれたダム湖の岸際で確認してたら、足下のえぐれから飛び出してきた30ぐらいのバスがバコッと食ってきたのをよく憶えている。その後、立ち木の多いダム湖だったので根掛かりが怖くて、拾ったワーム(ファットギジットの長い方)でノーシンカーで立ち木の間を釣って、40も釣ってワームの釣りにハマっていくんだけど、ワームでもスレきってて食ってこないような近所の野池で、バスハンターDR投げたら食ってきたとかもあって、クランクベイトは今でも好きだけど、たぶんそのきっかけはバスハンターDRだったんだろう。

 クランクベイト好きになったきっかけがバスハンターDRなら、それを決定づけたのは、「ピーナッツⅡ」だろう。こちらはSRもDRも使いまくった。バスハンターがダイワの独自色の強いメイドインダイワなクランクなら、こちらは米国クランクベイトの名門、ストライキング社の「ダンスキング」の金型と販売権引き継いで作られた流れらしく、Ⅱの前の無印「ピーナッツ」はブルーギルっぽいプリント模様だったけど、Ⅱにはもっとポップで自由な色使いのモノが採用されて、後にはサイズ展開や限定カラーの販売など、おおいに一族は繁栄を遂げている。写真真ん中あたりが代表的なモデルかな。当初なかった水面直下引きの「SSR」もサイズによっては用意されてるし、サイズ展開も「デカピーナッツⅡ」、「プチピーナッツⅡ」、「タイニーピーナッツⅡ」と隆盛を誇り、忘れちゃならない「サイレントピーナッツⅡ」とワシの把握しているだけで、それだけの派生ルアーがある。他にも同時期、リバーラントとかのサル顔(パイク顔)のルアーの模倣だろう金属リップの「コネリー」、その後プラの一体成形リップになった「コネリーⅡ」、レイジーアイクの「ナチュラルアイク」を引き継いだ発泡樹脂製の「バスジャッカー」はその後中空プラ製の「バスジャッカーⅡ」となり、バスハンターと同期の樹脂製クランクベイトは4系統あったと思う(写真下の左が初代、右がⅡ)。だけど、バスハンターこそ特別カラーやらサスペンドモデルの展開は多少あったけど、最も釣り人に愛され、群を抜いて様々な展開を今も継続しているのはピーナッツⅡシリーズで間違いないだろう。なぜ、4系統のうちピーナッツⅡがここまで出世したのか?それはまあ端的に言えば「釣れるから」ってことだったのだろう。なぜ釣れるのかはよく分からん。SRはオーソドックスな尻をフリフリ系の動きで、DRはちょっとバランス崩しやすくチドるほどではないけどヨタつく感じで、動きはそこまで特別じゃないと思う。ただ、ちょうど良いサイズ感と良い音で鳴るラトルとで投げたくなる釣れそうなルアーだっていうのは、投げなきゃ釣れないルアーという道具の性格上結果に繋がってるのかもと思う。なんか知らんけど釣れる。釣れるから投げる。そして釣れるという好循環。ワシが投げまくってたのは、関東の霞ヶ浦水系や印旛沼とかの濁った湖やら池やらで、スレきった釣り場では、ワームは投げられすぎていて反応が悪くて、逆にクランクベイトやバイブレーション、スピナベなんかの巻物でひたすら投げまくってというのが釣果に結びつきやすかった。ピーナッツⅡSR、DRは手に入りやすく値段も手頃で50センチ棚、1m強棚と狙う深さによって使い分けてたけど、どちらもよく働いてくれた。思えばそのころクランクベイト巻いてたABUライト系「MAX」に使い慣れていたので、今根魚クランクする時にもリールはやっぱりライト系の「ブラックマックス」がしっくりきているのかも。色は濁った水の中で目立つように、黄色系と緑白系を使ってた。サイレント版ではシーバスも釣ってるし、プチピーナツとかでは根魚もなんぼか釣っている。今後もこのサイズ、この深度のクランクベイトはピーナッツ達で良いのかなと思っている。新品中古含め入手しやすいのはなんといってもありがたい。っていうか既に上の写真のようにしこたま在庫してある。

 あと実釣でお世話になったのが、BHシリーズで特に「BHポッパー」はメッキ釣りで切り札的に使ってた。軽くてその分の動きの良さがあるんだと思うけど早引きメインで他にはない強さを発揮してくれた。「BHミノー」も実は渓流で優秀と聞いてちょくちょく使ってたし、「BHシャッド」も今でも使ってる。かわいそうなのがBHバイブレ-ションで、BHシリーズは安価という他に、やや小ぶりな”野池サイズ”という位置づけもあったはずなんだけど、ダイワのクソ名作バイブレーション「TDバイブレーション」が強すぎて、TDバイブレーションの小型版が発売されてしまい、BHバイブレーションはすっかり陰に隠れてしまった。我が家の倉にも1個ぐらいあるだろうと思ったけど探せなかったぐらいに忘れ去られてしまった不遇の存在。もちろん釣る能力は充分なので持ってる人は愛でてあげて欲しい。

 BHシリーズではないけど、バスハンターの名が付くルアーに「シーバスハンター」もあって、Ⅲまで出てるんだけど、これの初代は難儀なルアーでとにかく飛距離が出しにくい重量バランスで、トローリングを想定してるんじゃないかと疑うレベルで投げにくく魚釣ったことがない。動きももたくさとしてて良くはない。シーバスミノーはそのぐらいの方が良いのかもだけど。ただ安いのもあって売れたのかカラーも色々あってルアー名の末尾に「BN」が付くボーンカラーとか、透明なボディーに骨が入ってて、ロングAの反射板内蔵とかと違って、釣果的にはあんまり意味ないはずだけど、ルアーとしての楽しさとしては非常に高く評価されていて、BNカラーの「バスハンター6BN」とか下手すると5千円とか10倍のプレミア値で売買されてたりする。ワシも2千円がとこ出してボロ目のを入手してしまった。ついでに「ハリアー」のBNカラーも入手してしまった。オレのマウスは軽いゼ。ハリアー使ったことないんだけど、コレがまた薄っぺらくて軽くて飛ばんらしくて、でもシーバスハンターと違ってこいつは動きは非常に良いらしく、そのうち実戦投入してみたいところ。動きの悪いダイワのミノーと言えば定評のあるのが「ロビン」で、こいつはハリアーとは逆に動きは悪いけど重心バランスは後方寄りで良くデキてて重量のわりに良く飛ぶ。固定重心で動きおとなしめ飛距離はそこそこでる、となるとシーバスにはうってつけと考えて実戦導入してみたけど、成績上げられず一軍定着とまではいたってない。けど、悪くはないと思ってる。

 ダイワのプラグの良いところは、BNカラーもそうだけど、ルアーらしい楽しさを盛り込んでるところで、そのへんはTDシリーズとか高級路線にはむしろ少ない用素で、今でもちょこちょこそういう楽しさ重視のルアーは出してくるし、80年代ごろとかはさらに自由にやらかしてくれてた。そのころのルアーとかB級好きには大人気で、「ドリンガー」とかとうてい買える値段じゃなくなってる。水車型というか外輪船みたいなペラの「リブンシケーダ」とか中古人気に押されて再販かかったぐらいである。個人的には「ブッシュマン」の実釣能力高そうなそうでもないようなマイナー感が好みである。

 で、ダイワさん勢い乗ってた80年代とかには、木製の量産ルアーにも手を出している。さすがに樹脂製ルアーほど安くはなかったけど、舶来のバグリーだの国産でもバルサ50のアルファ&クラフトだのほどは高価ではなく、お手頃価格で田舎のバス少年でもウッドプラグを手にすることができた。ハードウッド製の「ウイスパー」とか、ベーシックな首振り得意な動かしやすいペンシルで良くできてた。クランクはハードウッドとバルサとどちらも作ってて「バルサマック」「ウッドマック」というわかりやすい名前だった。バルサマックは最近ボロ個体を手に入れて修繕したばかりなので使ってみたいところ。なにげにラトルも入ってて凝った作り。他にもラパラの真似っこ「バルサミノー」シリーズに北欧ミノーのもう一方の雄インビンシブルもパチっていて「シースネーク」と、今も昔も変わらぬ釣り具業界の物真似ぶりを発揮していたりもしている。コーモランもそうだけど、当時の我が国のルアーメーカーは丸パクのパチもんルアーに堂々と自社のロゴを入れていて、ダイワ製ラパラ、インビンシブルのリップにも堂々と”DAIWA”のロゴが入れられている。妙にできの良い今時の新興工業国製のパチモノは下手すると本物と間違ってしまいそうで、それはなんというかパチモノ制作者としての掟破りな気がする。精度の良いコピーが機械さえあれば作れてしまう今時だけど、オリジナルの価値を下げてしまうようなデキの良すぎるパチモノはよろしくないと思っている。工業製品において”安くて良いもの”はどこかでズルをしないと出てこないはずで、それは開発費掛けてないパチモノに限らず、企業努力という名の労働者からの搾取だったりもあるのは我が国はいやというほどみてきたはずで、気をつけて避けなければとワシゃ思ってる。デキの良くない安っすいパチモノには笑って許せる良さがあるとは思うけど、気をつけていないと悪貨は良貨を駆逐するって昔の人が言ったように、良いものが作られなくなってしまいかねない。値段相当のものを買いましょうっていうのが、結局まわりまわって自分たちのためだということかと。

 パチモノといえばダイワは金物勢も充実していて「クルセイダー」はカラーリングからしてルブレックス「オークラ」コピーだけど、本家は日本のルアー釣りの歴史に名を残す名作。新興工業国だった我が国のルアーメーカーが真似したのもさもありなんという感じか。70年代から作ってるらしい。スプーンだと「ダンサー」の5gとか初めてニゴイ釣ったスプーンだったし、「チヌーク」17gとか南の島のリーフの小物に忠さん「バイト」と双璧をなす釣れっぷりだった。ダンサーとチヌークはありがちな形状なのでネタ元とかどのあたりなのか判然としないけど、ダイワ製スプーンの良いところは入手のしやすさで、同じような形状のスプーンがあったとしても、とりあえず手に取るのは安心のダイワ製なのであった。あと、ジグの「ファントム(Ⅱ)」は分厚い樹脂で覆われてるタイプで、これは製法としてはアブ「シャイナー」とかが近いけど、直撃のネタ元が見あたらないオリジナリティーのあるジグで、沈降速度が遅くなってというのが今考えるとあるのかもだけど、優秀なルアーで渓流でも深場に沈めて使うのに常備していた。

 ダイワという釣り具メーカー(今は「グローブライト」なのか?)については、リールに瞬間的逆転機構を搭載しやがった大戦犯だし、わけの分からん特許の押さえ方で中通し竿という竹竿から連綿と続いてきた技術を途絶えさせやがったし、中小メーカーが釣り方から育てたような分野のルアーに後出しでパクって高性能なのをぶつけてきたりと、いい加減にしろよ思わなくもない。でも使える品質の初心者クラスの道具を連綿と提供し続けて、新たな釣り人に門戸を開いていることとかは高く評価するし、そういうダイワの安価良品でずいぶん良い釣りをさせてもらったので、感謝してもいる。今後も、アホな客を釣ることばかりに執心せず。未来の釣りを育てるぐらいの気概をもって、業界最大手としての努めを果たしてもらいたいものである。

2026年8月8日土曜日

閉じた顔

  クローズドフェイスリール(スピンキャストともいう)は過去にゼブコ「44クラシック」というスピニング用ロッドに下付けする”トリガースピン”を使ったことがあるけど、ベイトロッド型の竿に上付けする一般的なモデルはガキの頃友達のを触らせてもらったことがある程度で、ほぼ未体験の世界である。構造的に最初にリールのスプールを囲った”クローズドフェイス”な覆いの穴にラインを通すので、投げるときにも巻くときにも一定の張りを保つことになるのでトラブルは少ないんだけど、その分飛距離が出にくいとか、初心者用的な位置づけでもあり、設計が経済的というかショボい部分もあって、まあスピニングとベイトキャスティングリールを使えれば、わざわざ使う必要性は無いと思っていた。

 ただ、この2台、ダイワ製で右の緑の顔のが「スーパーキャスト300」左青のが「スーパーキャスト250」、なんだけどフット裏を見るとどちらも「ASSENBLED BY PENN REELS FROM PARTS MADE IN JAPAN」となっていて、日本で部品作ってPENN社で組み立ててますっていう、日本じゃPENNの代理店だったこともあり、下請け仕事もしてたダイワの下請け仕事の一つかなというリールで、なぜか中古市場にはそこそこでてくるので、安いのがあれば確保しようと思ってたら、どちらも2千円からそこらでネットフリマに出てたので確保した。

 とりあえず、300の方から分解整備。
 単純な設計で部品数が少なめなのは好印象。
 緑の覆いを外すと、回転するローターに1カ所ピンクの棒がポチッと出るところがある。素材なんだろセラミックか?いわゆるピックアップピンで、巻き取り時に覆いとカップ状のローターの間でラインを拾ってローターの裾のところからスプールにラインを巻いていく。ローターのカップの上にはゴムの押さえパーツがねじって填めてあって、投げるときやサミング時にラインの放出を止めたりすることができる。右列が本体内のギアとかの様子だけど、ギアはローター軸のがまっすぐに歯を切った真鍮製、ハンドル軸がアルミっぽい白い金属の平面に切ったギアというフェースギア。心棒ごとローターが回転するので主軸は片面切ってあって、ローター軸のギアはその形に穴が空いてて填まってる。分解するには先が絞られていて心棒の端の方に引っかかるようになってるバネをちょっと広げつつ無理矢理抜く感じ。ローター軸の主軸に填まってるバネは常にローターカップを下げる方向に引っ張っているけど、写真右上のようにリリースボタンを押して主軸の後端を押し上げると、写真左下の、スプールの上の出ている真鍮スリーブの上に内側に引っ込むようにバネの力が掛かっているピックアップピンが引っ込んできて根元の樹脂パーツがスリーブの上に乗っかって、ピックアップピンが引っ込んで、ローターカップが上がった、”投げられる状態”になる。投げている途中でリリースボタンを押してライン止めのゴムを覆いに押しつけてブレーキを掛けることも可能。
 ハンドル巻き始めると、ピックアップピンが楕円軌道みたいな段差が設けられているスリーブの外側に移動していって、スリーブ外側面に落ち着いてピンが巻き取り可能な状態に戻る。巻き取りは、ローターカップの下面から高さの無いスプールの真ん中目指して一定の高さで巻いていくだけで、スプール上下機構とかはないので、ラインは真ん中が盛り上がりつつ上下にグジャッとややつぶれて巻かれていく。

 ドラグはスピニングリールのそれよりも、ベイトリールのそれに近いような構造で、スプールに設けられているのではなく、ハンドル軸のギアに設けられている。そうなるとスプールは回る必要が無いので本体にかちっと填まって回らない設計。ドラグがベイト同様ハンドル軸のギアにあるからか、調節幅を出すためのバネ的な機構は、写真右上のようにスタードラグの下の曲げたバネワッシャーが主なモノのようだ。ベイトのドラグのバネはだいたいこの程度のような気がする。
 ハンドル軸のギアの前後に銅製のドラグパッド?を挟んであって、ややウィンウィンするけど、それなりに調整もできるし強く締めることも可能な実用上充分なドラグになってる。けど、金属のドラグパッドって、ギアやらの接触面を削りそうなので、ギアの歯のある面はテフロンと、ストッパーの歯車とギア裏に挟まれる位置のものは自作カーボン製ドラグパッドと交換しておいた。やや滑りやすくなった感じだけど、ドラグとしては意外にまともな性能の設計。そのへんドラグなんて止まれば良いとしか考えてなかった我が国市場とちがって米国市場向けでPENN社が関わった機種ともなると、ドラグは使えるのが付いてないのは認められないということか。逆転防止のストッパーはギア裏の歯車に掛けるまあ普通の方式。右下の分解全体像見ても分かると思うけど、部品数が少なくて単純な設計なのは好ましく、何が少ないかというとスプール上下とベールアーム周りが無いっていうのが大きいのかなと思う。このぐらい単純でも機能としては魚釣るのに充分な機能を有しているようで、なかなかに興味深い。
 250の方も、基本構造は一緒で、糸巻き量が少なくスプール径が小さいのと、写真左中段のように逆転防止がオンオフできなくて効きっぱなしの仕様、ハンドル逆転はできないけどその分単純な設計になってる。バネを使わない方式で正転時はギア裏の歯車と接触する爪の、角度が開いた方が歯車と当たってカチカチと音を立てて、逆転時には曲がった方の爪が歯車にかちっと噛み合って止まる構造。
 ドラグは300同様に銅板のドラグパッドだったけど、こちらはオリジナル状態を維持することとして、そのままのドラグ構成とした。あと、PENNのリールではある種お約束の仕様といっていいかもだけど、銘板を貼り付けている接着剤がショボくて、中古市場に出てくるこれら2機種も銘板が剥がれていることが多い。今回250のほうは幸運にも銘板残っていたので、一回パーツクリーナーでふやかしてからアートナイフこじ入れて剥がして、接着面を綺麗にしてやってから、コニシの「SU」で接着し直しておいた。250の方は比較的綺麗な個体で、予備機としてあまり使わずに温存しておく方針。

 っていう感じで、分解清掃は終わったんだけど、単純で部品数少なく整備性の良い設計はなかなかにわし好みであり、今時クローズドフェイスリール使ってる釣り人って少ないから、釣り場で道具かぶりがないのも魅力的に感じる。ということで、実釣で導入してみようってなったんだけど、竿が無い。我が家には7月1日現在で121本のも竿があるんだから、シングルハンドのベイトロッドとかの上付けのクローズドフェイスリールに適した竿の1本や2本は在庫してるだろうって思うんだけど、なくもないんだけどイマイチ合わない。ダイコー「1#ー26HOBB」とバスプロショップス「マイクロライトIM6グラファイトML60MC-4」の2本はシングルハンドのベイトロッドでクローズドフェイスリールにも使えそうだけど、どちらもシーバスやメッキを想定するとごつすぎる。ならゴツい竿にあわせて太いライン巻いて根魚でも狙えばどうかと思うと、今度はリール的にあまり太いラインが使えないのがネックになってくる。どうするか?今時のベイトフィネスな竿はワシ強度的に信用ならんので買う気ないし、そもそも古いクローズドフェイスリールが似合わん。オモチャみたいなバスプロショップスで売ってるキッズコンボ竿みたいなのは高っかい送料、ドルを突っ込んでまで買いたくない。となると自分で組むしかないだろうなということになる。釣り部屋をごぞごぞして、それっぽいグリップやブランクスを見繕ってみた。
 グリップは誰だったかに、パーツまとめ買いしたときに入ってたけど使いそうにないからといただいたモノ、グリップジョイントにするための心棒として、ガイド取りに購入したジャンク竿のブランクス、元竿用には、釣り場で拾った折れ竿から適切な太さと堅さ長さの素材が切り出せそう。穂先はパックロッドとかの補修用にストックしているソリッドグラス、穂先と元竿を繋ぐのは、折れた竿の残しておいたブランクスからちょうど良い太さの部分を切り出して”外インロー継ぎ”で穂先を突っ込んで固定して、元竿を突っ込んで継ぐ方式とする。だいたい5.5fぐらいのやや柔らかめの竿に仕上げるだけの素材は問題なくそろった感じ。ガイドも各種在庫してあるので適宜使えば特に足りないものはなさげ。
 素材が揃ったら、ひたすら太さを合わせてどこで切るか、その微調整であるコミ調整と接着。気をつけなければならないのは、接続部分は竿の部分より接続用の心棒なり、外にかぶせる筒なりが弱いとそこがアッサリ折れるので、心棒なら補強にソリッドのブランクスを突っ込んだり、かぶせる筒部分には最低限スレッド巻いて補強をしておきたいところ。
 ガイドを止めていくラッピング方法については以前書いているのでそちらを参考にしてもらうとして、ガイド位置の決定方法だけど、似たような竿があればそのガイド位置を参考にするのが安パイだけど、ワシのように変な竿を組む場合、参考例が見当たらないだろうから、そこはある程度基本的な、曲がるところに多く真っ直ぐなところには少なく、っていうのを押さえつつ、一回マスキングテープとかでガイド位置仮止めで曲がり方とかチェックして、不自然な曲がりかたしてないか見ながら修正していくのが正攻法か。ぶっちゃけスピニングはラインがらせん状にばらけて出て行くので、ラインが暴れて絡んだりしないガイド位置やら高さに径にと色々考えるところがあるんだろうけど、クローズドフェイスリールは最初からラインはある程度絞られて放出されるので、あんまり考えずになんとなくで組んでみてダメなら再調整ぐらいの感じで適当にやっても、よほどのことがなければ1発で決まる。で、ガイド位置が決まったらスレッド(補修糸)で巻き巻きとラッピングしてグルグル回しつつコーティング。今回、とうとうウレタンコーティング剤の瓶を1本途中で固化させてしまうことなく使い切った。使う分だけ小出しにして、空気と触れて反応始まった液を瓶に戻さないということに気をつけるだけで劇的に保存性が良くなり長期保管できるので、何度でも紹介しておく。

 ただ、今回誤算たったのは、気温35度にもなるようなクソ夏の昼間にコーティング作業したところ、反応が進み固化する速度が速すぎて、通常半日ぐらいかけてゆっくり固まっていくので、スレッドの隙間とかから生じた気泡もはじけて消えていくんだけど、気泡がはじける前に粘度が上がってきて固まってしまい、クレーターだらけになってしまった。サンドペーパー掛けて、夜間に気温なんぼか下がったタイミングを見計らって再度コーティングせざるを得ずで、くそ夏はこんなところにまで影響が出ている。ついでに穂先に浮子用の蛍光黄色塗料塗って完成。あと300の方の銘板をでっち上げておきたくて、0.3mm厚のアルミ板丸く切ってPENNっぽい色目にしようと車用のタッチペンで赤く下地を塗って、白のプラカラーで字を書いてウレタンコーティングしたんだけど、赤が溶けて白い字がぼやけてしまって書き直した。出来映えは「ゆるふわ浮子」程度のナマジ品質。まあ銘板はそうやって作ることができるという手札が増えただけでも良し。タッチペンもプラカラーも完全に乾燥しきってれば溶けないけど、急ぎ作業で乾燥が甘いとウレタンで流れがち。気をつけてるつもりでもやってしまう過ち。

 で、2号ナイロン巻いて実際に釣り場に持ち出してみると、使い心地は悪くない。スプール幅が狭くて、投げたときのスプールの痩せ方が早く、スピニングだとあと一伸びしそうなところで失速する感じがして飛距離的には今ひとつだけど、軽いルアーもそれなりに投げられるしトラブルは起こりにくいしで、案外使えそうに思う。欠点としては飛距離よりむしろ、ラインの痛みが早いことで、最初にカバーの穴に思いっきりラインをあてているせいか、スプールを上下させる機構がなくラインはスプールにグチャッと巻かれがちなことも影響しているのか、意外に早くヨレヨレになってくる。、最初にやった釣りがジグぶん投げてタチウオ狙いだったので、ワシにしては投げまくったので、それもラインが傷むのが早かった要因かも。シーバス釣りとか軽めのルアーで近距離しか投げなければそこまで気にしなくて良いのか、そのへんも試してみたい。あと穴にSICのリングでも装着したら改善せんだろうか?

 いずれにせよ、初心者用というわりに、使いこなすにはそれなりに修練が必要な感じで、かつわりと使ってて楽しいリールなので、ちょっとこいつでなんぼか魚を釣るところまでいってみたい。
 今時のゼブコとかのクローズドフェイスリールにはPEラインにも対応してるのもあるようだし、スピニングにけったいな細糸巻いて扱いきれずにグジャグジャにして捨ててくような弩弓の輩どもは、トラブル起こしにくい構造であるクローズドフェイスリール使っとけば良いんではなかろうか?下付けタイプならスピニングの竿がそのまま使える。っていうのをどっかのメーカー流行らしてくれると、多少は釣り場に捨てられるラインゴミが減るのではないかと思う。「そんな初心者みたいなリール使うのはかっこ悪い」っていうなら、フェザリングでライン放出キチッと調節できずにラインからませてるオマエらのどこが初心者でないのか、お似合いと違うのか?申し開きがあるなら言ってみろソニンデラックスどもめ。
 持ってる道具で、素人か玄人か上手か下手かが決まるんじゃねぇぞ。道具を上手く適切に扱える釣り人が上手だって話。自慢するような腕がないから、道具しか他の釣り人と差別化をはかることができないって、釣り人としては終わってると思った方が良いとカリスマとしては思っちょります。