2019年7月27日土曜日

待てばジャンクの出番ありー症例6についての報告ー大森製作所「マイクロ7-C2」

<症例6>大森製作所ダイヤモンド「マイクロ7ーC2」

 症例5で一旦報告終わりの予定だったけど、ポロリと出物があって、前回チラッとふれたけど入札ワシだけでマイクロ7ーC2を入手。これだけならめでたしめでたしで名古屋の味噌ならあかだしあかだしで終了だったんだけど、なんとこれが部品欠損個体。
 やられたゼと思ったけど、確認すると出品時の写真にも堂々と欠けてる写真が使ってあり、ワシも気付かず買ったけど、売る方も気付かず売ったんだろうなという感じ。もちろん掲載写真のとおりじゃ文句も言えず、980円+送料で写真右の既に持ってた海外版の方のシェイクスピア「シグマプレジデント2440-040」のスペアスプールが手に入ったと考えて、それだけでも安いと考えてまあいいやとなった。
 
 欠損していた部品はラインローラーのベールアーム側に填める覆いの付いたワッシャーのような金具。
 スペアスプール確保でまあいいやって一旦なったんだけど、こんなもんラインがラインローラーとベールアームの隙間に落ちないようにすれば良いんだから隙間に覆い無しのワッシャーでも填めときゃいいんと違うか?とテフロンワッシャーでちょうど良い厚さのを填めてみるも、余裕で8ポンドラインが隙間に落ちる。当たり前だけど釣り糸って細い。
 まあ、マイクロ7ーC2を使おうと思えばシグマプレジデントから部品取ってくればいいし、多分マイコン302TBとかとも共通の部品だろうなとは思う。思うんだけど、部品外した方のリールが使えなくなるのはなぜか気に入らない性分。同時に2台使うわけじゃなし別にいいやんケと思うんだけど、2台使える状態にしたいと思ってしまうのがイジリだしたら止められなくなった。
 とはいえ金属削ってパーツ作るのは難易度高いし、樹脂製素材ならドリルで削って整形すれば作れるかな?とかも考えたけど面倒くせぇ。

 都合良く、部品取りに使えるNo.2の大きさの修復不能なダイヤモンドリールの出物があるまで待つか?とも思ったけど、そういえば我が家の蔵には樹脂製のベールアームが割れてたりして現在の私の技量では修復不能な”大森っぽい”リールが転がってるなとフルーガー「メダリスト1626Z」を引っ張り出してきて該当する部品を外して組んでみると、これがなんとラインローラーの径的にはピッタリ合う。よっしゃ捨てずに取っておけば役に立つ日も巡ってくる、と喜んで装着するもラインローラー回転せず。
 なんでじゃ?といじり回しながら考えると、どうもネジを締めていく途中まで滑らかに回ってるけどキュッと締め込むと回らなくなる。構造から考えて部品の厚さは関係なさそうで、ネジを通す穴の径が若干大きいので締めるとズレて斜めってしまってラインローラーを固定してしまうようだ。
 じゃあ穴とネジの隙間を埋めれば良いなと方針が立つ。

 簡単そうなのは”リコイル”に使うバネ状のパーツを適切な長さに切って隙間にはめ込むという方法だけど我が家にあるリコイル用のバネはサイズが合わなかった。買っても良いけど何か筒状のものを間に突っ込んで切れば良いだけだから、その辺に何か転がってるだろうと探してみるとあったあった。ちょうど填まりそうなカーボンの延べ竿の折れた部分発見。
 竿の折れたヤツって太さが徐々に変わるある程度強度のある筒という、こういう隙間埋めるのにももってこいの素材。主に竿の補修用として捨てずに保管してあったんだけど役に立った。物を捨てられない性格は将来的にゴミ屋敷を出現させる可能性大でどうにかせねばと思うところだけど、こういう”取っておいたら役に立った”という実例があるとますます物を捨てられない性格が補強されてしまう。困ったものだ。
 でもってちょうど良い太さの所を突っ込んで、意外に薄いとグシャッと潰れがちで一回失敗したけど2度目で必要なだけ切り取り成功。
 瞬着で固定して填めてネジ締めてみたら、思ったとおりにズレずに固定できたようでラインローラー問題なく滑らかに回っている。合格。

 手間暇掛けて修繕すると愛着が湧くもので、当初はシグマプレジデントの方がハンドルノブが軽くてルアー投げるのには向いてそうだし、竿もシェイクスピアのアグリースティックエリートだからシェイクスピアで揃うしでそっちを実戦投入の予定だったのを予定変更、マイクロ7ーC2を実戦投入しその実力を体感してみることとして、分解清掃グリスアップとあいなった。

 まあ、ダイヤモンドリールの分解はもう慣れたものでチョチョイのチョイと分解していく。
 C1の時にも書いたように、大森製作所としては伝統あるマイクロセブンの名を継ぐにふさわしい”樹脂製スピニングの最高傑作”をという意気込みで気合い入れて作ったのが見て取れるけど、だからといって不必要な機構やら部品やらがゴテゴテと追加されているわけではなく、部品数自体は少なく単純な設計である。
 だって、他に追加すべきものなんて正直ないんだもん。でもこのリールが天下獲るようなことはなかったし、現代の中古市場でもC2なんて980円である。


 樹脂製にすることによって軽さを追求したけど、その際に耐久性とかを犠牲にしたくなかったんだろうってのもみてとれる。既に書いた蓋を止める金属製雌ネジのほかにも、逆転防止の爪を受ける部分にアルミで補強が入れてあったりなんてのも地味なんだけど芸が細かくて感心する。写真の上2枚がそのへんなんだけど分かるだろうか?下が外したローター軸のギアの位置に爪が倒れ込んでいる状態。
 写真3枚目はこれまた樹脂製のキャリアーで、こっちは樹脂の出っ張りで受けていて、キャリアーはより簡素化して軽さを追求した形になっているけど、マイクロ7Cシリーズはベアリングも2つの交差する軸にそれぞれ1個づつ入っててより長く使うことを想定しているようにみえる。
 小型のリールでは単純で軽量なキャリアーの方が実用的なのかも知れないけど、マイクロ7Cの単純だけど丁寧な造り込みはさすが大森製作所と評価するべきだと思う。
 唯一当時の流行の高級感溢れる?ウッドハンドルノブがC2の大きさになるとちょっとでかくて邪魔に感じるけど、使ってみて握りにくいとかなら他のリールともハンドル共有可能なので持ってくりゃ良いし、投げるときにハンドル回ってベールが勝手に返ってしまう不具合あれば、”ローターブレーキ”自作改造でも良いだろうし、あるいは内蹴りのベール返しのバネを外して”マニュアルベールリターン”にしてしまっても、今や左手でライン放出調整してベールを起こすのも、お作法通り右手人差し指でライン放出調整してハンドル回してベール返すのもインスプール修行の成果で問題なくできて、自在にどちらも選べるワシには死角はないのであった。

 自分の中でシーバスに使うようなサイズのスピニングリールの最終完成形はどれかといえば、答えはPENNの4桁第3世代スピンフィッシャーで既に決着している。部品の入手しやすさとかも考えればこの答えは今後も変わることはないと思っている。もし変わるとしたら、どこかの大手メーカーが原点回帰で瞬間的な逆転防止機構を取っ払ってベアリングも1個から多くて3個にして単純な設計にしたスピニングを最新の技術で作って、今後の部品供給を10年単位で保証した場合ぐらいである。多分そんなことはあり得ないので私にとっては4桁スピンフィッシャーがスピニングリールの最終形だと思っている。
 ただ、マイクロ7Cシリーズは、機能性能的には4桁スピンフィッシャーに勝るとも劣らない実力の持ち主だと現時点で評価せざるを得ない。人気薄で確保が難しい(送料掛かるけど海外のネットオークションで”SIGUMA”を狙う手はある)のと、そもそも大森製作所がなくなってしまったので部品確保とかは予備機を現物で手に入れるしかないのがつくづく惜しいと思う。
 多分今時の回転性能とかが良いリールに慣れた世代の釣り人が評価すれば、4桁スピンフィッシャーよりマイクロ7Cシリーズに高得点付けるんじゃなかろうか?”日本のリール屋が日本の釣り人向けに作った実用機”って感じだと思う。
 まあ実際に使って魚釣ってみないと釣り具の評価なんて本当の意味じゃできっこないので、せっかく入手できたこのリール、たまにPENNから浮気して使って実力のほどを確かめてみたい。
 いまのところ魚掛けてないのでそのあたりなんとも言えないけど、投げて巻くのは問題なくハンドルノブも思ったほど邪魔じゃなくてこのままでいけそう。早く魚釣ってみたいけど、そろそろ気づくと梅雨も明けてテナガも終盤でハゼの時期だ。いま台風来てるけど風台風のような感じで濁りも期待薄で、次に使うのは移住先で秋以降かな。急ぐ話じゃなしボチボチ行きます。

2019年7月20日土曜日

症例5についての報告ー大森製作所「プロフィットSS」の場合ーと”安ダイヤ”の世界

<症例5>大森製作所ダイヤモンド「プロフィットSS」

 この記事がいったいどんな層に需要があるというのか?やっすいダイヤモンドリールに興味ある人がナマジ以外にどれほどいるというのか?そんなことは一切お構いなしに自分の書きたいことを書きたいだけ書く、それが「ナマジのブログ」の基本理念。アー楽しい。
 「プロフィット」は以前紹介した「タックルA」、「アクションM」と見た目似たような、というか本体の金型あきらかに一緒の末期大森製作所の作で韓国製。 
 とはいえ名前だけ違うのかというと作りも微妙に違ってて、プロフィットSSはワンタッチ折りたたみハンドルでラインローラーはセラミック製と見た目からしてちょっと高級感が漂う(当社比)。

 分解清掃していくと、ドラグは樹脂製本体の大森スピニングではお馴染みのテフロン製ドラグパッドの3階建て方式、ワッシャーが錆びついてるあたりのメッキのお粗末さとかは末期大森の特長か?主軸にもちょっと錆。
 なぜかこのスプール、タックルAとは微妙に合わなくてアクションMとは合う。
 本体パカッと開けてみると、プロフィットSSはなんとボールベアリングが2個も入っております。高級や!!よく見ると本体表面にもその旨明記。
 タックルAとアクションMのハンドル軸のギアに填まっているブッシュはなんであんな大きいのかなと疑問に思ってたけど、要するにプロフィットではベアリングが填まってた場所にそのまま填まる大きさの樹脂製ブッシュだったわけだ。納得。
 ついでに購入時はズレて機能していなかったけど消音化のためのバネがハンドル軸のギアに付いててプロフィットはカリカリ音しないのが正常のようで復活させておいた。やっぱり高級だ(当社比)。
 過去の写真よく見ると、消音化のバネがおさまる溝がアクションMのハンドル軸のギアには存在して、タックルAの方にはない。
 以上のことから考えて、おそらく3機種のうち最初に作られたのはプロフィット兄貴でその廉価版として同時期かやや後に同じ本体、ギア、スプールを用いて、ドラグや消音、ワンタッチハンドルとかの部分を変えて安く仕上げたのがアクションM。
 タックルAはそれより後の製品で本体だけ共通で、スプールの上下幅より広すぎる糸巻き部分の幅を改善したのだと思いたいけどスプール形状変更して、プロフィットからはやや経費削減仕様にして、ちょうどプロフィットとアクションMの間ぐらいの設計で売った、というのが今回のパソコン椅子探偵ナマジの推理である。
 プロフィットのドラグノブの上には例のハイポイドフェースギアをあしらったトレードマークが残ってるのも時代がより前なのを裏付けているかなと思ったり思わなかったり。
 3兄弟並べるとこんな感じ。


 で、一件落着なら良かったんだけど、実はこの「プロフィット」から派生した、と今のところ整理している一群の樹脂製本体の韓国大森製作所作のリールはこれら3機種だけじゃないようで、ネットオークションに出品されているのをサイズが大きいので手を出さなかったのとかで確認しているのだけでも他に「ビックフィット」というのとスプールが金属製の「UPフィット」というのが存在して、スプール金属製のにはスズミ版の「Steams Spin」というのまであり、他にも資産家のスケベ爺ちゃんが死んだ時みたいにあっちこっちから母親違いだのの兄弟機は出てきそうなのである。
 大森製作所は最後釣り具量販店の上州屋に吸収されたので、上州屋のブランドであるスズミとかリョービとかのリールを韓国大森が作らされてたってのはあるんだろうなって想像してたけど”スズミ版プロフィット”があるってことはやっぱり現実にあったようある。リョービ「サイノスフィット」とかが出てきたとしても、やっぱりなというぐらいで驚かない自信がある(※その後「メダリオン」というのも確認)。
 そんなワシも、さすがに韓国シルスター社がダイヤモンドブランドでリールを作ってたっていうのをネットオークションで発見したときには腰抜かしたわい。
 「DIAMOND EX35」っていう大森製にもおんなじ名前のなかったっけ?なロングマイコンの黒っぽいやつという感じのリアドラグスピニングで、多分本体ロングマイコンと金型共通だろうなって感じのだったけど、世の中にはどんな分野でもマニアっているようで、入札ワシぐらいだろうと思ったら意外にも競って1600円まで値が上がってさすがに使うあてもないのに買う気満々の相手とこれ以上競るのは危険と判断して手を引いた。あぶねえあぶねぇ。ひょっとして落札した人ココの読者さんだったりして。
 シルスターも上州屋が輸入している上州屋と縁の深い会社だから上州屋が作らせたってのが普通にありえるっちゃありえる話だけど、どうもシルスターって韓国ダイワとか韓国大森の部品下請けしてたか、もっと直接的に韓国ダイワや韓国大森っていうけど、日本の日吉産業がルーやゼブコのブランドでリール作ってたようにシルスターが韓国製ダイワや韓国製大森を作ってたってこともあるんじゃないかと思える。


 そう思ったきっかけは、写真の韓国大森製「ポスカ1」のクランクの方式。
 このブログの読者のマニアックな皆さんなら「アッ!」と驚かれるかもしれない。そう、私が「PENN101」をダイワ製と推理したときの決め手とした製造会社の”癖”が韓国大森にも認められるのである。
 メイドインジャパンのダイワの安リールにもPENN101にもクランクの金具を2回直角に折って主軸を囲んで上下に主軸ごとピンを貫くという方式がとられていて、その方式が韓国大森製ポスカ1にも使われている。しかもダイワの安リールとPENN101はちょっと同時代のダイワと毛色が違う設計でどっかで部品作らせて日本で組んでたんじゃないかということが疑われる。ということを韓国の1つの製造元があちこちから受注して得意の方法で図面引いてたと考えるとしっくりくる気がするけどどうだろう?
 その製造元がシルスターかそうでないのかは、韓国語堪能ならネットで調べりゃすぐ分かる気がするけど誰か調べてくれんだろうか?
 あるいは90年代ぐらいのシルスター社製のリールをお持ちの方で、パカッと蓋開けたらクランクが”2回直角曲げピン貫通方式”だったりしたら謎はだいたいとけた気がするので是非情報提供お願いしたい。
 シルスター製のリールも欲しくなってくるけどここは我慢のしどころだろうな。
 プロフィット兄弟に関する情報とかも「こんなんもありましたよ」とか教えてもらえるととっても嬉しいです。

 で、実際のところ安ダイヤは使ってみてどうなの?って話だけど、まあこの手のリールにあんまり厳しいことを言ってやるなということかもしれない。先日旅先で使った同じ大森製作所のタックルオートSSが、巻いてて作りの良さが伝わってくるようなカッチリとした機械の使い心地でストッパーのカリカリ音もシャリリリリっと軽やかに気持ちよく釣りができたのと比べるのは、正直野暮ってくらいのデキである。
 正確にどう違うのか、専門的知識もないので感覚的にしか書けないけど、現在使ってるアクションMは軽さが安っぽさにつながっててカスカスと精度の低い巻き心地という感じで、かつローターが軽い上にバランスやや取り切れてなくてプルプルするのが、普通部屋で回したときにプルついててもライン張って巻くときにはその分の”重石”がかかるので案外気にならなくなるんだけど、軽さ故に手に来る感触としてバランスの悪さとストッパーのカリカリが明確に増幅されてる感じで使ってて苦笑が漏れるところ。


 でもまあ、このリールやらの”安ダイヤ”の良いところは良くも悪くも安っぽい軽さにあって、アクションMは実際にはSSサイズでもロングスプールでベールも張り出してて他の機種よりはちょっと大きくて、並べたら左の写真ぐらいの違いがあるんだけど、それでも重さはアクションMも写真右のタックルオートSSに軽さじゃ負けず190gぐらいで、さすが樹脂製という軽さは小型リールとしては評価して良いんじゃないだろうか。プロフィットとタックルAは高級?な分金属部品増えるので200グラムぐらいはあるけどそれでも充分軽いといって良いだろう。
 あとは、釣り場で道具が人とかぶらないのと、クソ高い道具買わされてる釣り人どもに「ごくろうさん、魚ぐらいこのやっすいリールでも釣れまっセ」と歪んだ優越感にひたれるところが使ってて楽しいところだろうか。ドラグもちゃんと効くように調整したし魚釣るのに問題があるわけじゃない。楽しい釣りの共に悪くないリールたちだと思う。気楽に行こうゼ。
 カリカリの振動が気になってたのは、無視してても、何なら逆転スイッチ切って釣っても良かったけど、プロフィットではバネ一本で消音仕様になってたのをみて、例によってタチウオ用ステンレスワイヤーで消音部品自作してカリカリ音しないようにしておいた。
 スプールの幅が広すぎるのも調整してあるし、ハンドル軸のギアの芯、ブッシュが填まってない方にもジュラコン樹脂のブッシュ填めたし、だんだん使いやすく改良できているような気がする。結構気にいって愛着も湧いてきた。

 アクションMとプロフィットはスプール共有できるので替えスプール有りの1組と考えて、他にタックルAは3台もあるんだけど、1台は逆転防止がぶっ壊れてるのでスプールだけ使ってやっぱり2台で1組と考えると、1台余るのでプロフィット入手と入れ替えで売りに出す予定。
 これでなんとか90台に収まると思ってたら、なんとなかなか出物がないと書いたそばから「マイクロセブンC2」が某ネットオークションで安く手に入って、また売るリールを選ばねばならぬ。
 書くと出物があるパターンは結構あってPENN720も722に比べたらあまり見ない機種だったけど魚模様のが出てたりした。ワシが入札しないときは安くてムカつく。書き込み欄で話題に上ってた稲村のロディージャイロも出てた。
 ひょっとしてこれ読んで出品してる人居るのか?って疑いたくなる。自分で書くのも何だけど、このブログは読者が少ないので宣伝効果あんまりないと思うんだけど、逆に読んでる熱心な読者さんは末期的なスピニング熱患者の方も多いから、沢山売りさばくわけじゃないならむしろいいのか?一台ならワシがまず買うしナ。まあ人様の商売の心配しても意味ないな(っていうか単なる偶然なんだろうなってのは薄々知ってます。)。
 マイナーリールのファンの人からすれば、いらんこと書きくさんなヤ、相場が上がるやろ!って話かも知れないけど、不人気機種って金額付かないので売りにも出されずゴミとして処分されがちだと思うので、多少相場上がるのは我慢していただいて中古市場での安定供給に寄与できればなとおもっちょりマス。

 ただ読者少ない我がブログにおいて”スピニング熱”ネタは本人予想しなかったぐらい人気で、まあ普段が日曜と月曜には50人ぐらいの固定客様に読んでいただいているってのが、倍の100人ぐらいになるってだけで目くそ鼻くそレベルの話なんだけど、それでも当社比で倍に達するような多くの人に楽しんでもらえたのならば素直に嬉しい。
 ただ、自分も道具買ったりいじったりしてる時って、実際の釣りの方が不調の腹いせ的な部分って結構あったりして、読者の皆様が釣り場で苦戦されてるんじゃなかろうかと心配である。
 魚釣りは魚釣ってナンボだと思うので、道具イジリも楽しいけどほどほどにして皆様良い釣りをお楽しみください。

2019年7月18日木曜日

私は京都アニメーションが大好きです!!

 嫌な気分がぬぐえない、この憤り悲しみをどうすれば良いのか?

 ”西のジブリ”とも例えられることもある老舗アニメーション製作会社の京都アニメーションが放火され多数の死傷者が出ているとのニュースの見出しが目に飛び込んできて、ニュースのたぐいは見出ししか見ない私が久しぶりにニュースサイトあちこち情報探ってしまった。

 ”西のジブリ”といってもジブリが劇場公開アニメを主に作っているのに対して”京アニ”は深夜アニメ中心に劇場版も作ってるという感じの会社で、芸風は違うんだけど多くのアニメーション作成会社が”アニメーター”と呼ばれるアニメの絵を描く技術者を外注していて、昨今では人件費の安い隣国へと発注することも多く、日本のアニメーターはそういった安い労働力と薄利多売で闘わなければならない黒い職業だと聞いているが、京都アニメーションではアニメーターを自社で育成・雇用してアニメ業界の見本となるような優良企業としても知られている。
 芸風として特徴的なのは、いわゆるオタク文化の”萌え”を00年代の代表作「らき☆すた」「けいおん!」「涼宮ハルヒの憂鬱」あたりで盛り上げた功労者で、特にテーマもなんにもなくても可愛い女子がキャッキャウフフしてる様を描写するだけでもアニメは面白かったりするっていうことと、逆に可愛い女の子をキャッキャウフフさせながらも、深いテーマやらハードSFに突っ込んでっても面白いアニメは成立するってあたりの相反する要素をもってたり持ってなかったりする作品を世に問うてきた。
 最近では腐女子人気もガッチリ取り込んで可愛い男子がキャッキャウフフしている「Free!」なんていうヒット作もあるけど、基本アニオタ向けの良作を作ってきた会社で一般の人は代表作聞いても今一ピンときてないだろう。
 ただアニオタにとっては重要欠くべからざる会社で、例えば私のここ5年ぐらいの年末恒例ベスト3エンタメ編のアニメ部門において、2017年「小林さんちのメイドラゴン」1位、2016年「響けユーフォニアム2」1位、2015年「響けユーフォニアム」2位と年間何十本って観るアニメの上位に高確率で入ってくるぐらいで、オタク御用達のアニメ製作会社なのである。「響けユーフォニアム」は原作書ける表現者を育てるためっていうのもあって自社で立ち上げたライトノベルレーベルから原作者でてきていて、”クールジャパン”とか軽薄な言葉と対局にあるような、本当にオタク文化の根っこの方から貢献してきた会社なんである。
 「響けユーフォニアム」もそうだけど、京アニの描く学園物アニメからたちのぼる青春の香りがどうにも好きだ。「涼宮ハルヒの憂鬱」「氷菓」「中二病でも恋がしたい!」忘れちゃならない「フルメタルパニックふもっふ」。

 こういうときにファンとして何かしてあげることがないのかと思うけど、何ができるって訳でもなく無力感にさいなまれる。
 でも、以前も紹介したけどジジイなので何度でも同じことを繰り返すと、スピルバーグ監督が取材に答えて「オレはディズニーに神聖な負債がある。だから映画を撮り続けなきゃならんのだ」という格好いい表現し続ける動機を語っておられて、それに倣うなら、微力なれどお気楽ブロガーも表現者の端くれとして何か書くべきだと思ったのである。それぐらいしか今はできることがない。
 面白くねぇことも多いこの世の中で、京都アニメーションのくれた楽しいひとときは何物にも代えがたく、オレも京アニには神聖な負債があると思うので京アニへの思いを書き記しておきたい。

 私は京都アニメーションが大好きだ。
 オレの魂の恩人達に降りかかった大きな不幸にお見舞い申し上げます。
 亡くなられた方のご冥福と、怪我をされた方の回復を心からお祈りします。

 最大の侮蔑は無視だと思うので犯人については何も書いてやる気はない。

2019年7月13日土曜日

症例3および4についての報告ー大森製作所タックルオートSS、同マイコンSSの場合ー

 先週に引き続き”スピニング熱”のなかでもやっかいで重篤化することで知られている劇症型大森症の症例についてつまびらかに紹介していきたい。 

<症例3>大森製作所ダイヤモンド「タックルオートSS」

 一番マシだったマイクロセブンNo.1は問題なくかるーく復活させることができたので、次は一番ボロかったタックルオートSSに手を入れることとした。
 そもそもタックルオートSSの本体になぜかマイクロセブンCSのスプールが付いている”ニコイチ”個体で、かつハンドル軸のハンドルの反対側のキャップをなくしたまま海水浴びて放置されていたようで、表面塗装が腐食で全体的にボロいのは我慢するにしても、ハンドル軸のギアも内部で相当さび付いているようで、最初はハンドルは回らないしベールも固着という有様で、さすがにどうにもならんだろうという代物だった。何か使える部品生きて残ってるのだろうか?


 ところが、他の2台と共にビニール袋に詰めこんでCRCぶっかけて一晩寝かせておいたら、割と各部普通に動くようになって、ひょっとしたら使えるようになるんじゃなかろうか?と希望が見えてきて全バラし。
 ハンドル軸のギアは心棒の部分は鉄にメッキがかけてあるようなんだけど、メッキは剥がれてたけど心棒自身に酷い腐食はなく、ハンドルねじ込みも問題なく右左どちらも可能で、パーツクリーナーで洗浄してブラシ掛けたら普通に使える程度に復活した。さすがにベアリングは新品と交換だったけど内部の機械的には何の問題もない状態に回復。
 これまで古い中古リールをいじってきて感じるのは、グリスで覆われている内部部品は腐食しないっていう”グリスシーリング”の絶大な効果で、グリスで覆ってしまうわけにはいかない本体表面とかがボロボロになってるような場合でも、内部に浸水の形跡がある場合でさえグリスが塗ったくってある部品自体は腐食していなかった。

 ということでこれでもかとグッチャリ大盛りでグリスシーリング。グリスの役目として最近のリールグリスにはギアの高負荷での摩耗防止とかが求められているようだけど、ぶっちゃけスピニングリールでギアに高負荷かけてのゴリ巻き自体が使い方間違ってると思ってて、普通にポンピングで竿で稼いだ分だけ巻き取ってればギアの摩耗なんて起こりようがなくグリスはそんなに上等なモノでなくても、ちゃんと油膜で水気やゴミから部品を守ってくれりゃ良いと割り切ってる。まあいうても気を使って対塩水的に定評のあるMAXIMAウォータープルーフグリス使ってるけどな。
 内部の機械的な動きは問題なくなったんだけど、古めのリールを快適に使うのに大事なのは、ライントラブルを防止するために、①ラインローラーの角度を水平にする、②スプールへのラインの巻き上がりを真っ直ぐかやや逆テーパーになるように調整する、の2点で、これを知ってて実行しているのと知らないのでは全く違ってくると思っている。
 ベールアームってベールが返るたびにガシャンガシャンとぶつかって力が掛かっているので、使っているうちに角度が変わってきてベールが深く返るようになってラインローラーの角度も変わってくることがある。
 金属の板を曲げて作ったベールアームなら曲げ直して角度を修正してやれば良いので簡単だけど、樹脂製や金属でも鋳造の、ちょっとやそっとでは曲げられないようなものはこれまで手が出ずに放置していた。
 ただ今回のタックルオートSSはけっこうラインローラーが斜めってしまってたし、壊しても惜しくないようなボロ個体なので以前から暖めていた方法を試してみることとした。


 ベールが返ったときにベールアームを受け止める樹脂製のキノコ型のストッパーが填めてあるタイプのリールでストッパーを太いナイロンハリスを炙ってキノコ型に成型して自作し高さ調整したのの応用編で、ベールアームかそれを受けるローターの面に穴を開けてそこに太いナイロンハリスで作ったキノコ型のストッパーを押し込んで高さを調整して角度を変えるという方法である。
 今回、ベールアームが樹脂製だったのでベールアームに熱したステンレス棒で穴を開けてキノコ型ストッパーを押し込んでから熱したステンレス棒で頭を押して高さ調整した。
 アルミ鋳造とかのベールアームでもアルミなら柔らかいのでハンドドリルがあれば穴が開けられるはずで、ローターかベールアームどちらかに穴が開けられれば同様の方法が使えると思う。
 ベールアームが傾いてくるとラインローラの角度が変わるとともにスプールに対しての位置が下がってくるので、ライントラブルに繋がる”順テーパー”にもなってくるので傾いてきたら対策取った方が良さそう。

 で、ベールアームの角度は上手くいったんだけど、スプールへのラインの巻き上がり調整が苦労した。なにしろ本来のスプールじゃなくて別のリールのスプールが付いているので全然高さがあってない。
 大森No.1サイズだとこの組み合わせではドラグノブの雌ネジが主軸の上部まで届かなくなって締められないんだけど、SSの大きさだと締めることはできるようだ。ただ、普通に巻いたら、きっつい順テーパーで、”プリン巻き”と表現している人がいたけど、まさにそんな感じに巻き上がってしまう。
 順テーパーを補正するには、スプールを下げるかラインローラー(が乗ってるローター)を上げるかで、まずはスプールを下げる一番手軽な方法、スプール座面のワッシャーを薄いのに交換を試すも全く焼け石に水で2~3ミリぐらいはまだ足りない。
 次に追加でローターを上げてみる。ローターとローター軸のギアの間に、ベアリングや枠に接触しないようにジュラコン樹脂のワッシャーの穴を削って調整して填めてみる。大分改善したけどまだけっこう順テーパー。だけど、ローターをこれ以上上げるとローターの下面の隙間が大きくなって塩梅悪そう。
 あとは主軸の穴の位置を開け直して主軸を下げると主軸に乗ってるスプールも下がるはずだけど鉄系の主軸には堅くて穴はよう開けん。
 悩んでたら一つ方法を思いついた。インスプールのABUカーディナルの巻き調整の方法で、その手があったか!と感心させられたのがスプール上下のクランクのシャフトを曲げて主軸が上下する高さを調整してやるという、主軸削ったりする方法に比べると簡単な方法で、幸いタックルオートもクランク方式だ。だいぶ形状は違うけど。
 ということで主軸に突っ込むピンの部分をなるべく下に曲げて主軸のお尻が本体の底を叩かない範囲で下げてやろうとしたけど、ピンを曲げるとクランクのギアの上に乗ってる部分が浮いてしまいよろしくない。理屈ではカクッカクッと2回曲げて主軸に突っ込む部分を真っ直ぐにしてやれば良いんだろうけど、ステンレスっぽいピンはそんな思うようには曲げらんねぇ。
 ということで若干斜めにできたかなという気持ち程度の修正にしかならなかった。

 最後の手段で、ダイワのアンチバックラッシュシステム(ABS)でスプールの形状が元から逆テーパーになってるのを下巻きで再現するというダイワABSスプール以前の結構昔からやられていたらしい”手動下巻きABS”で最終的な巻き上がりが真っ直ぐになるように下巻きを結構な角度で逆テーパーに巻いてなんとか帳尻を合わせた。
 小さくベールアームを折り畳める収納性の良さを生かして旅のお供に持ち出しての実釣でも、ライントラブルもなくドラグの効き具合も優秀で良い感じに使えて、さすがにここまでボロくて元々ニコイチの個体は売るにも売れないので手元において使うことにする。
 ハンドルがハマってない方のキャップがないのは、パイプ椅子の先に填めるようなエストラマー樹脂性の伸び縮みするキャップでちょうど良いサイズのがあったので高さを切って調整し水抜きの穴をウレタン接着剤で封してから填めておいた。
 防水性能も復活。これであと10年は余裕で闘えるだろう。ニコイチで見た目もボロボロで格好良くはない。それでも自分で修繕して復活させたリールなら愛着湧いて気分よく使える。ボロは着てても心は錦。今後”旅の友”はコイツにまかせよう。

<症例4>大森製作所ダイヤモンド「マイコンSS」

 大森製作所の名を世に知らしめた大ヒット作、初代”マイコン”の一番小さいSSサイズで押しも押されぬ人気機種である。箱入り美品なら1万円以上している。
 表面腐食が多くボロ目で回転も重め、音なし切り替えツマミが固着、ドラグは締めてもスカスカで機能していないという状態では3台3千円のジャンク扱いもやむなしだけど、大森のリールがギアまで逝ってたのはこれまで遭遇していない。症例3のように内部に塩水入っていてもなお錆を落とせば復活する程度に丈夫な部品を選んで組まれているので、見た目はともかく内部は無事なのは予想できる。
 音なし切り替えは、最悪できなくても釣りはできる機能だけど固着外せれば外せば良い程度の認識。
 ドラグにおいてはマイコンのリアドラグを前の持ち主が分解後適切に組み直せなくて、っていうのはお約束だと思うので何の問題もないだろう。
 再起不能と思われた症例3のタックルオートSSに比べれば構成部品数は多いにしても、マイコンシリーズ自体初期型もNo.6で経験済みだし301TBと302TBは昔の愛機で馴染みがあり、楽勝気分でこれは勝ったも同然と余裕綽々で分解清掃整備を始めたんだけど、これが予想だにしなかった難敵で思わぬ大苦戦で薄氷を踏むような辛勝。運が良かったとしか思えない有様で今思い返して胸をなでおろしている有様。もう二度とマイコンSSには手を出すまいと誓うほどのトラウマ的に厳しい闘病だった。


 まずは鼻歌仕事だと思ってたドラグでも落とし穴にハマった。
 リアドラグの部分は本体内部と分けて整備してしまった方が作業用のお盆の上が散らからずにすむので、最近使って現役リール棚に置いてあった301TBのリアドラグと比較しながら最初に手を付けて、案の定ドラグパッドとかの順番が写真のようにデタラメだったのを苦笑しながら直してグリスも塗り直して填め直して、苦闘の末の本体復活の後ドラグの効きを確認してみたら、最初ちゃんと作動するのに、すぐに何というか中でずり落ちてしまう感じでスカスカに空振りして作動しなくなる。
 No.6分解したときのドラグの順番の写真や301TBの現物と何度も比較してみるんだけどどう考えてもドラグパッド、ワッシャーの順番は間違っていないので、何がおかしいのかずいぶん悩んで、ドラグパッドの填まっている金属製のスリーブの、ワッシャーが止まる出っ張りの前後に分けて填めてやる必要があるという正解に何とかたどりつくことができた。全部まとめて出っ張りで止めてると思ってたけど、ドラグラチェットを鳴らすギザギザの歯車とパッド1枚だけを出っ張りより本体側に重ねて他をドラグノブ側に重ねるのが最終回答。
 でも本当にしんどかったのは本体内部。基本的にはNo.6と同様の設計である。にもかかわらずSSサイズはメチャクチャ難易度が上がる。SSはその小型軽量がルアーの釣りに好適として人気なんだと思うけど、小型軽量に仕上げるため、リアドラグ化で増えて複雑化した部品を狭い本体内部に配置するためのギリギリの立体パズル的な設計になっていて分解そのものが難しい。

 具体的にはスプールを上下させるためのオシュレーション機構の部品であるオシュレーションカムを主軸に止めているCクリップの上の方の1個。ハンドル軸のギアに隠れるギリギリの位置で外しにくいことこのうえない。これが外れないと主軸が抜けないのでハンドル軸のギアもローターも外せない。全く分解整備できないやんけ!?
 下の方はマイナスドライバーと千枚通しで何とか外したけど、どうにも上のが外せなくて、なんでいつもの単純なクランク方式で主軸に穴開けて刺す方式じゃないのかと”恨みます”って気分になるけど、考えたらリアドラグ方式ではスプールと固定した主軸の回転をお尻のドラグに伝えなきゃならんので、クランク方式にするにしても主軸に穴開けてピンで固定して回転しないようにしてはリアドラグは意味を成さない。リアドラグでクランク方式自体はABUカーディナル(インスプール時代とクラッシックラインのC3とか)という前例があるけど、どうしてもハンドル軸のギアの後方に大きく場所を取るので、カーディナルのように後方というより斜め後方にドラグを持ってくる設計じゃないと下半身が長くなりすぎる。オシュレーションをハンドル軸のギアから歯車で持ってくる方式なら、ハンドル軸のギアとある程度重ねる設計が可能で小さくまとめることができる。マイコンSSはオシュレーションカム方式をとりつつもほぼハンドル1回転で1往復で減速密巻きにも倍速綾巻にも振ってないそうなので、大型機種との並びもあったんだろうけど純粋に小型にまとめる設計のためにこのオシュレーション方式をとっているようだ。なので、マイコンシリーズは単純なクランク方式採用のフロントドラグ方式の小型ダイヤモンドリール達とはハンドル軸のギアに互換性がない。
 てな蘊蓄はCクリップを外すためには何のお役にも立たず、最終的にはCクリップが跳んでどっかに行ってしまう不安におびえつつ、普段は座椅子に座っての作業で力をかけるときは膝上にリールを固定して作業しているのを、リールをお盆に押しつけるように固定して腹ばいで両手にマイナスドライバーと眼鏡用プラスドライバーを持って艱難辛苦を乗り越えてやっとCクリップがリール本体内に落ちたのを確認しようやく峠を越したことに安堵したのであった。所要時間およそ1時間の激闘であった。
 他にローター軸のベアリングが固着してたのも衝撃加えて外すにもドライバーとかあてる場所が小さくて危なかったけど何とかギアごと外して難を逃れた。固着系はどうにもならんときはどうにもならないので運が良かった。ベアリングの回転の軽さとかおもクソ無視して最終的にはグリス盛りまくっておいた。音消しのツマミも問題なく回復。消音部品の爪をぴったりの位置に填めるのに何度かやり直しが必要だったけどNo.6の経験を生かして無事組み付けできた。

 分解してパーツクリーナとブラシで洗浄してみたらばギアとかはあんのじょうピッカピカでベアリングも特に錆びてはいなかったので軽い回転に復活。まあグリスで重くなったけどナ。
 ちなみに金属パーツ小皿にまとめてパーツクリーナーに浸してブラシがけしてるけど、手間食って非効率でもバラした順番に並べておいて一つずつ作業していった方が良い、っていうか基本。そうしないと組む順番が分からなくなる恐れあり。慣れればデジカメで分解するときに写真押さえていけば問題なく組めるようになるので手抜きしてます。
 ついでに、どうでも良いことだけど、マイコンがなぜ「MI-CON」で私のコンピューター的に「mycom」やマイクロコンピューターの略の「micom」じゃないかって話は、多分「マイクロセブン(MICRO7)」のマイクロとコントロールあるいはコントローラー(Controller)をくっつけた、リアドラグで”精密に調整できるよ”的な意味で名付けた一種の造語ではなかろうかと思っちょります。

 という感じで、リールの方は快調に復活したけど長時間根を詰めてストレスフルな状況下でお行儀悪く作業していたのでこちらの腰にきた。洗浄後乾燥させてから組み上げるのが嫌になるぐらいに腰が痛かった。こうやってキーボード入力で文字打ち込むのも座椅子に座ってこたつ机で打ってるけど、パソコン用兼釣り具いじり用に良い椅子と机を買うべき時期に来ているのかもしれない。
 見た目腐食有りでボロっちいのは致し方ないにしても、性能的には何ら問題なく好調な個体に復活。これでジャンク3台は三者三様に復活させられたことになり、とっても気分が良い。
 以前にも書いたようにマイコンシリーズでは愛用していた301TB、302TBが好きなのでコイツとマイクロセブンNo.1は売りに出す予定。

 何しろこの時点(書いてるのはチョイ前で7月4日)で台数は規定の90台を3台オーバーである。
 2月にリール管理台帳を付け始めてからこちら、この患者は21台を購入し18台を売却または譲渡した。前者の金額は計56,296円、後者が37,003円で差し引き利益はマイナス19,273円と大赤字である。健康保険は適用されないので全額自己負担である。
 なんでこんなに赤字経営なのかというと、値段が付かないマイナー機種は売る手間が面倒くせぇので人様にあげてしまっているというのが大きいといえば大きいけど、そもそも値段が付くような割と人気の機種であっても、買って一生懸命分解清掃整備してそのことを説明して売りに出しても買った値段ぐらいにしかならないからっていうのも大きい。儲けて商売にするなんて遠い彼方の話である。
 有り体に言って全バラフルメンテは業者さんに頼んだらどれだけ安くとも2~3千円はして普通5千円~1万円ぐらいはする。手間暇考えればそのぐらいは当然するはずと納得できる。
 順テーパーが当たり前の時代のリールを逆テーパー気味に調整したり、ラインローラーの角度を調整したりという簡単な整備だけでも、使いやすさに直結するので金払う価値はあるだろう。
 っていうのを中古リール買う方は分かってなくてピカピカした見た目にしかこだわってないし、”機関好調”は書くのはどうとでも書けるけど、客観的には評価する指標が難しく、表面拭いて可動部にグリス付けた程度の「整備済み」個体とワシが自分で使うつもりで半日からかかってグリス大盛りで仕上げて向こう10年はラインローラー、ハンドルノブ、スプール外して主軸への注油と折れたらベールスプリング交換のみで闘えるようにしたリールでも「整備済み」ということにおいては同じである。
 古いリールは見た目状態良くてもそのままじゃ使いにくいなんてことは普通にあると思うんだけど。
 そのへん海外のオークション覗いているとユーチューブからリンク張ってあるのがあったりして、滑らかにクルクル回転してベールも軽く返ってるのとか説明しながら撮影してあって、なるほどこれなら写真よりは回転具合とかの機関良好っぷりを判断するには参考になり得る上手い宣伝方法だとおもう。
 でもそんな面倒くせぇことやってられっかよってのが正直なところ。2、3千円で買ったリールが買値よりちょっと値が付いて5千円で売れるようになるぐらいの違いのために、カメラ買って興味もない広告映像のお勉強もせにゃならんくなるとかまっぴらゴメンである。
 同様の面倒くせぇという理由で見た目が良くなり売却値段向上に直結するだろう再塗装技術の習得にも今のところ興味はない。ボロいリールの場合そのボロさも味のうちだと思っている。自分で使う場合ボロくならないように丁寧に扱うとしてもだ。

 でも、これからもボロリールを買って苦労して修繕・整備して売るというのは多分続けていくだろう。リールいじるのが楽しいという単純な話だけでもおおいに買う理由になりえる。特に動かないような状態のジャンクリールを使えるように直せたときの気持ちよさは一度味わうと病みつきになる。使えるリールを壊したオノレの罪や汚れさえ浄化される気もして、もはや止められず完治は不可能なところまできている。
 直して気に入ったら自分で使っても良いし、友人にあげても良い。既に持ってるリールと役割かぶって売りに出したとして、値段がたいして付かないとしても、使えなかったリールを使えるように修繕整備して中古市場に還元して、手にした誰かが気に入って愛用してくれるならそれだけで充分嬉しい。
 新品売らなきゃな釣具屋には恨まれるかも知れないけど、いりもせん機能でごちゃついた道具ばっかり買わそうとしてくる勢力に対抗して、単純で必要充分な道具の良さを知る釣り人が一人でも増えることを目指してのナマジなりの体制・権威への抵抗活動である。
 ということで治療方針としては、当初のそれに改めて立ち戻って、ジャンクとされてるような動かない系ボロリールを買って直して楽しむということになるのだと思う。
 完治はもう望めないぐらい病膏肓に入ってる状態だと思うけど、ジャンク3台復活はだいぶ病状を軽くしてくれて、今現在なんでも良いから大森が欲しい的な劇症型大森症は治まってくれてスピニング熱は末期的症状というほど酷くはなく、今後も上手に病気と付き合っていくしかないのかなと思うのであった。

 ということで次回は割と得意分野になりつつある”安ダイヤ”関連の症例報告いってみます。お楽しみに。

2019年7月6日土曜日

大森がいっぱい

 走りだしたら止まらない。ブレーキの壊れたバカがスピニング熱を発症するとどうなるか、克明に記録しておきたい。
 猛毒のヘビに噛まれて死ぬまでの様子を自ら克明に記録したカール・P・シュミット博士の前例に倣って、この病気の治療法の確立のための献体となる所存である。このような治療不能な理不尽な病で苦しむのは私を最後にして欲しいと切に願うナマジであった。

 一旦小康状態となり寛解するかに見えたスピニング熱が、大森製作所「ポスカ1」216円(税込み)をきっかけにまた急性大森症という形で再発してしまい、慢性的PENN症候群も悪化したことは既に皆様にご報告したとおりである。
 ここまで再発から「ポスカ1」「マイクロセブンC1」、シェイクスピア「アルファ2260-030」、PENN「720」を購入したことを報告しているところだが、その後報告中にも症状は悪化するばかりで現在までにシェイクスピア「シグマプレジデント2440-040」、大森製作所(以下同)「マイクロセブンNo.1」「タックルオートSS」「マイコンSS」「プロフィットSS」と5台も買ってしまっている。
 賢明な読者諸氏におかれては既におわかりだと思うが、シグマプレジデントも大森製であり、これは急性大森症が劇症化しているとみて良いだろう。
 苦しい、辛い、病気が憎い!なんでアタイがこんな苦しい目にあわなきゃならないの?

<症例1>シェイクスピア「シグマプレジデント2440-040」

 「ポスカ1」を買ったら、その前身である「マイクロセブンC1」が欲しくなり買ってしまったことは既にご報告のとおりだけど、「マイクロセブンC1」が大森ダイヤモンドの一つの到達点と思えるぐらいに良くできた設計で実際に使いたくなった。けど、大森の「No.1」の大きさは普段使ってる7フィートの竿にはやや小さい気がする。No.2サイズの出物があれば安けりゃ買うのにな。と思ってた矢先に検索条件保存で見張ってた「シェイクスピア」に「シグマプレジデント2440-040」がポンッと出品された。
 どう見ても「マイクロセブンC2」の輸出仕様である。開始価格も2800円と安い。
 実は大森製作所のNo.2の大きさって人気がない。SSサイズが人気で、何にでも使えるNo.1サイズぐらいまでは弾数多くて、逆にNo.4以上になるとぶっ込み系の釣りにはリアドラグのマイコンとか需要があるのかまた弾数増える。っていうか、古いスピニングに共通だけどマス釣りに使うような小型機種は人気で値段も付くのでネットオークションにかかることも多く弾数多く、金さえ出せば手に入ることが多いけど、2号200m巻くぐらいのシーバスとかに使う大きさは値段付かないので出品多くなく出たら買いで損はない。


 今回も開始価格のまま入札ワシだけで無事確保。届いたら大森製じゃなかったという過ちはさすがに2度も繰り返すことなく、間違いなく大森製作所謹製なのは、交互に左右のネジ山を切ったねじ込み式ハンドルと、ラインローラーの樹脂製スリーブだけで充分証明できるだろう。面白いのはハンドルノブで国内版が木製のT字型なのに対してシグマプレジデントは大森小型機種ではお馴染みの3角形のパドル型になっている。米国ブランドのスピニングでもPENNとか握り込みやすさ重視なのかT字型(トーピード型含む)が多いけどシェイクスピア社としては、樹脂製ならともかく重い木製は邪魔でしかないと判断して軽さを重視したということか。
 ダイワの超長寿スピニング米国ダイワ版「トーナメントSS」も兄弟機の「ウィスカーSSトーナメント」が木製ハンドルノブなのに対して単純な樹脂製I字型だった。彼の国の釣り人の好みと我が国の釣り人の好みの違いの差でもあるんだろう。
 ワシャ違いがわからン男なので、性能的にはどっちでもかまわんけど米国仕様の方が余計な贅沢さが省かれてる気がして好みかな。シーバス釣るぐらいの大きさのリールだとあんまりハンドルノブ握り込まないしな。つまんどきゃ充分。
 というわけで、いっちょ使ってみるかと思うんだけど、使うならワシ替えスプールが欲しい。でも大森ダイヤモンドのNo.2サイズはさっき書いたとおり弾数少なく、とくにスプールが共用できる樹脂製でワンタッチスプールじゃないのとなると、国内名でいうところのマイクロセブンC2とキャリアーNo.2(キャリアーⅡもひょっとしていけるか?)しかなく、おいそれとは手に入らない。
 でもワシ解決方法知ってるもんね。金属製の例えばタックルオートのスプールを樹脂製のキャリアーに填めると高さが低くてドラグ締めてもスカスカになる、っていうことはスプールの乗っかってる座面にワッシャーでも噛まして高さを加えてやれば使えるんである。多分。
 しかもなぜか大森No.2の大きさの金属製のとスプールの互換性があるフルーガー「メダリスト1626Z」が我が家の蔵には部品破損やら抱えて使えない状態で転がっている。これのスプールを有効活用する方向でいってみよう。
 ついでにいい加減な処理で済ませていた穴が浅くて3階建てにならないドラグを、CDのポリカーボネイト樹脂板で、1枚軸に固定して回らないワッシャーを作ったうえで、ドラグパッドを1枚は純正のもののまま、他をテフロン仕上げガラス繊維製の薄いシートで作成1枚は純正のと交替、一枚追加で3階建てに仕立てあげて無事浅い穴に収納。ドラグの効きも問題なさそう。

 座面に金属とテフロンのワッシャーで2ミリ弱ほど嵩上げしたところちょうど良い具合になってドラグも問題なく作動している。スプール裏の音出しが座面のギザギザから遠ざかってしまったのでドラグ作動中のクリック音が出なくなってるけど、これはまた暇ができたらCDのポリカーボネイト樹脂板を加工して作ることにしよう。
 よっしゃできた。とラインを巻き始めて問題が発覚。メダリストのスプールのスカート部分が短くてスプールが一番上に来たときにロータとの隙間が空いてしまうというミニスカパンチラ状態。”スピーチとスカートは短い方が良い”って今のご時世”社会正義の戦士”様にセクハラだの女性蔑視だの怒られそうなことが昔はよく言われてたものだけど、女性のスカートが短い方が良いということについては言論の自由を尊重する立場からあえてここに賛同の意を表しておきたい。が、スピニングリールのスカートが短いのは砂浜遠投用のリールじゃ珍しくないっちゃそのとおりなんだけど、投げる回数多いルアー用のスピニングだとライン巻き込みそうだし水とか砂とか入ってきそうであんまり塩梅良くない。
 ではとタックル5No.2のスプールを見てみるとスカートわりと長めの真面目な女学生という感じなのでこれで試してみると、こっちはドラグノブがキッチリ填まらずスプール上面を押さえてしまいドラグが効き始めるとドラグがどんどん締まっていく。ドラグノブごと交換すると上手くいくが正直イマイチ。メダリストのスプールはどうせ余ってるからワッシャーとかスプールに接着していちいちスプール交換時に現場でチマチマ填めなくて良くしようと思ってたけど、タックル5はまだ直す気があるので、接着しちゃうのはどうもな、となるとドラグノブとワッシャー類持ち歩かなければならず面倒くせぇということで、まあ予備のスプールがなければ釣りにならんわけじゃなし、しばらくは予備スプールなしで妙案が浮かぶかマイクロセブンC2かキャリアーNo.2の出物があるかを気長に待つとしよう。なに、急ぐ旅じゃないサ。
 こういうときに中古リールを蒐集目的じゃなくて実釣機として購入するなら、やっぱりPENNのような今でもスペアスプール含め部品が売ってる機種か、弾数多くて中古で予備が手に入りやすい人気機種を選ぶべきで”隠れた名品”は実用的じゃないなと思わされるところである。マイクロセブンCシリーズは人気はそんなにないけど実力は間違いないと思う、思うんだけど実釣で使うとなると、弾数比較的多い一番小さいCSを狙うのがまだ実用的なのかなと思ったところである。

 なんでマス釣りでは古いリールはそれなりに人気あるのに、シーバス釣りでは古リール愛用者は少ないのか?遠投とか巻き感度とかまったく重視してない人間からすれば不思議な気がする。マス釣るンでもシーバス釣るんでも魚釣りなんて基本一緒で最新鋭の道具の利点もあれば古い道具の勝る点もあって、好みとかも言い始めたらどっちゃ使おうがお好きなようにっていう世界のハズである。
 今時の釣り人からすれば、私のような型遅れの道具を愛用している人間は「最新式の道具を使えばもっと釣れるのに」と思われているのかも知れない。でも賭けても良いけど、明確な意図があってなら別だろうけど”新製品が出たから”程度の理由で道具変えたぐらいでは釣果は伸びない。使っていれば慣れて使いこなせるようになるとしても短期的には道具を替えると感覚が違ってしまうので釣果はむしろ落ちる。嘘だと思ったら私の釣行の過去記録を見て欲しい。近所のシーバス釣りで6.5フィートのフェンウィック社ランカーギアXからもうチョイ長め7フィートで無茶がきくアグリースティックライトに竿を換えたときも、長さでためる分魚に突っ込まれて根に持ってかれて何匹かリーダー切られている。そういう竿だと慣れて対処できるようになるのにしばらくかかった。
 40年前の道具からたいして進化していない程度の”最新”の道具に換えるぐらいなら、今の道具のままで良い。釣り場にゃ一番手に馴染んだものを持ってきたいんでね。
 って思いながらも最近はいろんなリール試してたりして、そういう道具を楽しむ喜びが最新の機種を使いこなす行為にも当然あるんだろうなとは理解できるけど”シーバス釣りでは最新鋭の道具を使いこなすモノ”っていう釣具屋サイドが仕掛けてくる洗脳的宣伝にあんまり簡単に騙されてんなよ、と思うので天邪鬼の務めとして、そうじゃなくても好きにやって良いんだよということをしつこく書くのである。 

<症例2>大森製作所ダイヤモンド「マイクロセブンNo.1」

 劇症型の大森症を発症すると禁断症状が激しく出る。既に手元に売るほどの大森スピニングがあったとしても「もっと、もっと~大森なら何だっていいからもっと欲しい~!」と全く止められなくなる。痛ましいかぎりである。
 さらに症状が進むと「コメットとかキャリアーSSとか大森の人気機種が欲しぃ~、最低でもインスプールのプロラインかマイクロセブンの程度の良いのが欲しい~」などとうなされるようになり高額な治療費が必要になるのだが、私の場合まだそこまで病状が進行しているわけではないので対処療法的に安ダイヤでも動作不良のジャンク機でもかまわないのでとにかく買うことを治療方針とした。
 おあつらえむきにネットオークションに即決3台3千円のジャンク大森が出ていたのでためらわず流れる水のごとく即決。その3台が「マイクロセブンNo.1」「タックルオートSS」「マイコンSS」の3台で、いずれもジャンクというに相応しい未整備の状態だったけど、まずはその中では一番マシな「マイクロセブンNo.1」から分解清掃、整備に取りかかった。リールの分解清掃、整備は大森症に限らずスピニングリール熱には実釣に次いで効果的な治療法である。
 マイクロセブンと名の付くリールは大森製作所からいくつも出ているけど、コイツはアウトスプールで金属製の初期の頃のモノ。
 ワシがアウトスプールのリールに慣れていて手でベールを起こす釣り人に超お薦めする「タックル5」はコイツの普及版という位置づけなんだと思う。
 とはいえマイクロセブン(金属アウトスプール版)が豪奢なリールかというと、そんなことはなくてあくまでも大森のリールは実用機である。タックル5との違いといえばワンタッチスプールの採用と、ハンドル軸にも1個ボールベアリング追加で2ボールベアリング。ハンドルの後ろにハンドルノブの重みと釣り合いを取る錘としても機能してそうなハンドルネジ収納部ぐらいで、他はタックル5と部品共有できるはずってぐらいでたぶん一緒。

 このハンドルネジ収納部はまだ大森製作所方式の同じ軸上に左右にネジ山を交互に切った左右両用ハンドル開発以前のもので、左右用が別々のハンドルネジを、使ってない余っている方をなくさず収納できるようになっているんだけど、底にはちゃんと劣化しにくい素材のスポンジが敷いてあって中で遊んでしまいラトルのように音がしないようになっている。神は細部に宿るそうだけどこういう細かい気遣いが実に大森らしい丁寧な仕事っぷりである。
 分解清掃自体は、今回もCRC666ぶっかけ浸透一晩の後に始めたけど、ベールアーム基部の固着、ハンドル軸のギアに填まったボールベアリングの軸への固着が外せなかった。けど注油グリスアップには問題ないところまでバラせたので固着部分は放置のままガッチリオイルシーリングと、適宜注油で回転が悪かったベアリングも問題なく復活したので、次の10年はやや錆がキツかったベールスプリングが折れたら須山スプリングさんに作ってもらって交換するってだけで分解清掃はせずにとも済むはず。固着は無理に外そうとしない。これ大事な学び。

 スプールの裏のドラグの音だしのバネは欠損していたので、タチウオ用に使ってた単線ワイヤーの細めのでバネ作って再建しておいた。良い音でちゃんと鳴ってる。力のかかるベールスプリングとかじゃなくて単に爪を押さえておけば良い程度のバネならステンレスワイヤーで自作できるというのもこれまでの経験から学んだところ。
 もちろん、ラインローラーの水平出しとスプールの高さの調整でラインは緩めの逆テーパーに巻き上がるように仕上げて、実釣に耐えうる状態に復活させた自信がある。
 使える個体をぶっ壊した時の嫌な気分と真逆の”ジャンク”を上手く復活させられたときのえもいわれぬ満足感よ!

 てな感じで、ジャンク3台のうち最初の一台は軽い挨拶、準備運動ていどのジャンク具合だった。次の2台がちょっと手間掛かりそうなボロさで本格的な困難を伴う荒治療に突入していくのである。
 ということで、続きはまたのお楽しみ、って感じに今しばらく”症例報告”を続けさせていただくことになる。
 劇症型大森症の恐ろしさと、その治療の現実について次回も克明に報告していきたい。
 症状が軽いからと適切な処置を怠っていると、思わぬ症状の悪化に見舞われることもあり、こんな感染源にもなり得るブログを読んでいるあなたにとっても決して他人事じゃありませんよ。ご自愛くださいね。