2017年6月30日金曜日

ハリスはどっちだ


 腰の具合は思ったほど酷くなくて、この分なら明日は釣りに行けるかなという感じになってきた。痛みというよりは違和感程度にまで回復。

 ヘラ用の0.5号のハリスを一巻き使い切ったのを買い足しに行こうと思って色々考えた。
 まずは、いつもの台詞で申し訳ないが「ヘラ釣りの道具は何でも高い」 というのがなんとかならんのか?と思うところ。
 50mで2千円以上とかの高級品の横に並んでいるから、50m千円のハリスも「普通」の値段に見えるけど、これまで親しんできたルアー用のナイロンラインなら、割と良いやつで100m千円、費用対効果抜群のダイワ「ジャストロン」なら500m千円しない。

 正直、それが相場だから、ヘラ釣り用のラインは中級グレードは50m千円、高級品は50m2千円とかの価格設定になってるだけで、実際の原材料費だの製造費だの製品としての価値だのとかとは別の所で値段が高く設定されているような気がしてならない。

  まだ、ハリスは分かる。直接魚に触れる部分だし、吸い込みよくしなやかで、でも短くても切れないように強度も必要とか結構難しい条件を満たさないといけない。
 でも道糸なんて、見やすくて安定した強度がある以上に求められる要素ってあるの?伸びないように吸水性を抑えるコーティングが、とか流れの影響を受けにくいようにあるいは早く沈むように細く、とかあるのかもだけど、前者は今時のラインならルアー用だろうがなんだろうが当たり前の処理で、ヘラ用だけ高級な理由にならない。後者はフロロカーボンでも使ってろって話。

 なので、最初0.8号の道糸はダイワの良いやつを買ったけど、ハリスを0.5に上げたときには、道糸新たに買うのも馬鹿臭くなって、1号っていったら4ポンドだろうから、昔渓流でルアー投げてた時のがあっただろうと、ごそごそ探してみたら、10数年前の当時お気に入りだったザウルスの「バスラインスピニング4LB」が残っていたので、想い出深いコレを使ってみた。とっておいても仕方ないしね。ナイロンラインって経年劣化する印象が強いかも知れないけど、暗所で紙パッケージに入れて保存してあると、かなりの長期間でもさほど劣化せずに使える。ちょっと試しに結んで引きちぎってみて充分な強度が残っているようなので使っていた。道糸高切れもなく問題なく使えていて、渓流でルアーの航跡を目で追えた白系色の視認性の良さも健在。
 でも、ナイロンラインは2回ぐらい使ったら交換という早めの交換でバンバン使っていくので、半分ぐらいは残っていたと思うこのラインももう使い切りそう。
 ということで、手頃なナイロンラインでまた視認性良いのをと考えると、残念ながらジャストロンが2号以上しかないので、ルアー用で派手めのカラーのを探してみたら、バリバスの「スーパートラウトアドバンスサイトエディション」というのが、蛍光緑で見やすそうで値段も100m千円強とまあこんなもんかというところなので4LB1号相当のを買ってみた。

 道糸用のラインは余り悩まずに済んだのだけどハリスは悩ましい。最初に買ったときに「今時ナイロンハリスなんだ!」と驚いたぐらいで、細ハリスならフロロカーボンの時代に、あえて柔らかいナイロンにこだわらないと吸い込みが悪いと聞くし、細けりゃ切れる確率は上がるしで細くて柔らかくて強くて結びも丈夫というのはけっこう条件難しい。
 とりあえずバリバス「スーパーへらハリス」は50m千円の中級グレード品で、まったく使用に問題を感じていないのだけど、正直「こんなのヘラ用じゃなければもっと安く売ってないのか?」と思ってしまう。
 
 ので、ネットで色々と調べてみた。狙い所としては、ヘラ専用じゃない「銀鱗」とか「スタークU」あたりの一般的な安めのハリスで良いのがないかというのと、そもそもハリスじゃなくて良いから今時の高性能ナイロンで0.5号とかの細いのがないかあたり。

 「スタークU」は既に代替わりで「スタークU2」になって値段もお高くなってしまっている。「銀鱗」は今でも健在で、これの0.5号とか50m500円くらいで使えるかもしれん。とか思っていたら、ヘラ釣り界隈では使える安ハリスとして東洋ナイロンの「レブロン」というのがあるという情報をみつけ、ちょっと調べてみたら、「安いけど太い」という批判もあるにはあるけど「安いのに丈夫」「アワせ切れしにくい」という好評が多く、どうもこれは「当たり」っぽい。特にフライマンがティペットに使ったらアワせ切れがなくなったとか書いているのは、ナイロンラインらしくビヨーンと伸びてショックを吸収してくれているからのような気がする。値段も定価は50m千円だけど実売は600円くらいとお安いので早速買ってみた。

 もう一方の、ハリスじゃなくて今時の高性能ナイロンの細いのも探してみたが、これがあんまり無い。細い道糸自体は管理釣り場のトラウト用にあるにはあるんだけど、だいたい見やすい色が付けられていてハリス向きじゃない。でもまあ東レ「ソラロームⅡトラウトリアルファイターエリアスペックスーパーソフト」というのとバリバス「トラウトエリアマスターリミテッドSVGナイロン」というのは条件に合致しているようなので、バリバスの方が馴染みがあって好きなのでバリバス「SVG」を買ってみた。
 「最高峰ナイロン」を謳うこのラインはなんと、0.5号相当の太さで3LBという強度があるらしい。普通今のナイロンラインは1号相当で4LBなので比率で行けばその1.5倍というメチャクチャな強さ。ホントかよ?という感じだが、お値段は150m千5百円(実売1350円)で安ハリス代表のレブロンより単位当たりの値段は安い。
 製法自体が他のナイロンと違うような説明で、今までのラインの2クラス上の強さとのことだが、それにしては同じバリバスのヘラ用高級ハリス「プロバージョンVへら」「スーパーステージ マスタースペックへら」にはその「SVG製法」は使われていないようで、これはヘラハリス向けじゃないフロロみたいな堅さがあるとか、直線強力があるけど結束強度が落ちるとかそんなのかな?と解せない気持ちが湧いてきた。

 まあ、そんな場合は実験だよね。ということで実験、実験!

 今回の実験は単純明快。バリバス「スーパーへらハリス」、東洋ナイロン「レブロン」、バリバス「SVG」の0.5号をアスカ5号に結んで8の字チチワ作って50センチのハリスに仕立てて、ハリを段ボールのカドに刺してハリがどっかに飛ばないようにビニールテープを被せて貼って、チチワの方を秤にかけてゆっくり引っ張って切れたときの数値を読む。3回平均ぐらいでいく。

 0.5号ナイロンは普通引っ張り強度2ポンドぐらいのはずと認識。だけど、100%ノットでもなんでもない外掛け結びでハリを結んでいるし、8の字結びも強度低下するだろうから、1ポンド約454グラムで2ポンド約908グラム、結束による強度低下分で8掛けするなら700グラム台ぐらいが基準で、今時のナイロンならもうちょっと出てくれても良いかなという心づもりで実験スタート。

 まあ、部屋での実験なんてのは、実際に釣り場に行けばまた色々条件違ってきて、あんまり実験の結果に印象引っ張られたりしないように気をつけなきゃなぐらいで、参考程度のものだと思っている。
 思っているんだけど、実験するたびに自分の思い込みがいかに間違っていたか、自分が何も知らないということを知ることになるので、実験はしておいた方がイイと思う。

 でもって、驚きの実験結果。
 まず、バリバス「スーパーへらハリス」が、940g、1230g、1190gの平均1120g。
 いきなり2ポンド余裕で超えました。切れたのはチモト2回、高切れ1回。2回目なかなか切れないと思っていたら「高切れ」ってどんだけ結束強度高いのかって話で、ちょっと信じられない。
 50m千円で高いとかいってゴメンナサイ。

 次に、期待の「レブロン」。事前情報で号数より「太い」と聞いていて、デジタルノギスで測って太いことを証明している人もいたりしたのだが、正直どう太いのか分からない。0.5号のハリスのちょっと太いのが感覚的にわかる人ってスゴいなと感心する。
 結果は、810g、1065g、790gで平均約887g、このぐらいが今時の高性能ナイロンハリスの性能だろうと予想していた数値だけど、もうこのレベルは一昔前の性能なのかも知れない。でも1キロ越えたときはチチワで切れていて(他はチモト)ハリの結び方次第ではもう少し強度稼げるかもという感じ。
 ただ、柔らかくてしっとり伸びる感触があって、実釣では数値以上の使いやすさを発揮するかも知れないと感じた。全然悪いラインじゃないと思う。愛用者が多いのも分かる気がする。

 最後の「SVG」だけど、ひょっとして表示通りの3LBなら1.5キロ近く出てメチャクチャ強いんじゃないかと期待したけどそれ程でもなく、結果は、970g、1030g、1080g。平均約1027gチチワで2回、ちもとで1回切れた。
 「0.5号で3LB、コレまでのナイロンラインの2クラス上」という宣伝文句に偽りありじゃないのか?と思って、試しにスパイダーヒッチでダブルライン作ってそれをダブルにして8の字でチチワ作ってスプールから直接引っ張って切ってみたら、あっさり1200g越えて、どうも直線強力自体が3LB相当というのは嘘って訳でもなさそう。でも結束による強度低下がわりとあって、このラインの本来の性能引き出したいならビミニツイストでダブルライン組んで1号とかのフロロのリーダーに接続してやるべきだろうけど、管理釣り場のトラウト狙いでナイロンラインを使うならリーダー無しで直結してそうで、そのへんどういう使われ方をしているのかちょっと気になった。まあどうでも良いか?ハリスとしては強度はこれだけあれば問題なさそう。値段もヘラ用ハリスに比べればお買い得。あとは実釣で「レブロン」と逆にちょっと堅くて伸びが少ないようなところが、合わせ切れやら食いの悪さにつながらないか見極めていきたい。フロロほどは堅くはなくて割といけそうに思う。

 ということで、しばらくメインの0.5号は「バリバススーパーへら」「レブロン」「バリバスSVG」をローテーションで使って使い心地を試してみたい。
 もうすぐ使い切りそうな0.4号、次はとりあえず手堅く「バリバススーパーヘラ」でいこうと思っている。今使っているダイワの「スペクトロンへらXP」は「高級品」だと思うけど、いきなり走られさえしなければ60ぐらいのコイが寄るぐらいで強さは充分なんだけど、ヘラでもスレ掛かりで突っ走った時とかにあっさり飛ぶことがあって、ショックを吸収する適度な伸びは「高級品」より「中級品」のほうがあって、バランス的には「中級品」が普通の釣り人にとっては優れているのではないかと今のところ感じている。
 そのへん、「箱」でバンバン釣って比較してみると良いのかも知れない。

 しかし、思いの外ハリスが丈夫というのが分かって、心配になるのが道糸の方が先に切れるんじゃないかということ。
 試しに、買った4LBの道糸を8の字で輪っか両側に作ってペン片方に刺して足で押さえて片方を秤に掛けて引っ張ってみたら、案の定1200gぐらいで切れることが多くて、「バリバススーパーへら」なら上手く結べているとハリスの方が強くなってしまう。
 チチワのところで道糸高切れした時になぜそうなるのか不思議に思ったけど、これはなるわナ。
 「小ネタ」にも書いたけど地味に最近改善策として実施している、竿先に繋ぐチチワをスパイダーヒッチで作る「蜘蛛撚り式チチワ」だとどうだろうと、4LBの道糸を両側スパイダーヒッチでチチワ作って測ってみたら、だいたい1700gぐらいで弱くても1500gは越える感じで、やっぱりこの方が安心である。

 ヘラ釣りの教科書にも、上手い人の仕掛けを見ても、道糸はハリスの2倍の号数というのが定石で、昔の弱いハリスならそれで良かっただろうし、今の強いハリスでもそれにあわせた「高級道糸」を使うのならチチワを8の字で作っても問題ないのだろう。
 でも、私のように道糸はあんまり高性能なのいらないだろうと思って「普通」のナイロンラインにしてしまうと、ハリスが信じられないぐらいに強くなっているので道糸のチチワから高切れする可能性が高くなる(サルカンに結ぶユニノットをもっと弱い結びにすればサルカンで切れるようにはできるか?)。

 私のような初心者が結ぶの下手で高切れするのは、まああることなんだろうと思っていたが、雑誌とかで「手練れ」がコイに浮子ごと持ってかれたとか書いていて、そういうケースはそれ程特殊じゃないと感じるようになるにつれ、なんで糸太くするなり、結びを変えるなりしないんだろうと違和感を感じていたけど、今回の実験でなんとなく原因は分かった。みんな、ハリスがこんなに強いなんてイメージできていないのではないだろうか。

 古くからの慣習的に、道糸はハリスの2倍となんの疑問も持たずにやってきていたのだろうと思うけど、時代と友に道具も進化していくので、常に釣り方は更新していかなければならないと思ったところである。まあ、難しいけどね。

 私もヘラ釣り初心者だから、真っ白な頭で疑問に思ったことには突っ込んでいけている気がするけど、5年も釣っていけばドップリはまって手癖で釣り始めるだろうから、今の「初心」のうちに思いつく疑問やら何やらは意識して拾ってチマチマとつめておきたい。

2017年6月25日日曜日

まだ使いきっていないと思いたい


 人生初になると思うが、ドブ漬けコーティング用の「ウレタンクリアー」を使いきった。



 最後、ドブ漬けというより底にたまっているウレタンを傾けて入り口の方にトロッと流れ出しそうになる状態にしておいて浮子を突っ込んでクルクルと回してコーティングしていた。ここまでくれば残りは新しいウレタンに混ぜてしまえば良い。



 いつも、ルアーとか作りたくなって買ってきて、ひとしきり作って飽きると放置しておいて、次にルアー作りたくなったときに出してくると、中で固まっていたりゲル状になっていたり、という惨状はルアー作りやったことある人には「あるある」ネタだと思う。
 それを使いきったのは、ここしばらく精力的に「ヘラ浮子」を作りまくっていたので使いきったというのが直接の原因なのだが、ヘラ浮子作り始める以前に買って、ルアーのコーティングに使ってしばらく放置していたウレタンクリアーがぜんぜん劣化していなかった理由を小ネタ的にみなさんにお伝えしておきたい。
 まあ、どっかで過去にも書いたけど、「冷凍庫」に入れておくと空気や水蒸気と反応したり2液が化学反応したりするタイプの塗料、接着剤は「低温では化学反応は進行が遅くなる」という一般的な法則どおりで、常温で放置しておいた時と比べて飛躍的に使用できる状態が永く保てる。


 写真が我が家の冷凍庫のドアポケットだけど、ロッド補修用なので使いきることが少ないけど、放置しておくと2液混ぜてもいないのにやっぱりゲル状になっていたりするエポキシコーティング材、おそらく使うときにはカラカラに乾燥していて買い直すのはどなたも経験しているだろうアロンアルファは水と反応するシアノアクリレート系、ネジのゆるみ止めのロックタイトも同系統。意外なところでペイントマーカーのペン先がガチガチに固まって使えなくなるのも冷凍庫に入れておくとかなり防げる。ウェーダーの穴をふさぐアクアシールも一度でも封を開けてしまうと冷凍しておかないと使うときに固まってる。
 ちょっと、別の話のようで、でもたぶん「酸化」という化学反応が遅くなるという原理は一緒だと思うのけど、右端に入っているインド土産のカレー粉。何年も前のものだけどいまだに辛いし、香りも結構する。
 冷凍庫は偉大だ。家庭用冷蔵庫は昔「三種の神機」の一つに数えられていたがむべなるかな。

なかなか使いきれないもの、となると一般的にはボールペンのインクとか100円ライターのガスとかもあるかもだけど、我が家で使い切れそうにないのは50LBのボビン巻きのナイロンライン「クインター」。同じボビン巻きでも巻き換えの多いシーバス用のメインラインのダイワ「ジャストロン」8LBは毎シーズン使いきるぐらいに使うのだが、50LBはショックリーダーとして買ったのだけど、50LBをショックリーダーにするシイラ釣りとかなかなか行かなくなったのでほとんど減っていかない。まあ、使うときでも一ヒロずつぐらいしか使わないリーダーなので一生分あるだろう。
 その並びで、ハリスなんて1回に使う長さは短いので、すぐにはなくならないつもりでいたら、へら用のハリスは意外に消耗が激しくバリバスの0.5号50mは使いきって、ダイワの0.4号も底が見えている。
 ヘラ釣りではハリスの長さを変えて反応をみていく場面が多いのに加え、ちょっと絡んだりして縮れたりヨレたりしたハリスも交換していくので思ったより使う量が多い。
 へら釣りの道具は何でも高いけど、ハリスも高くて高級品だと50m2千円したりする。たしかに今時のナイロンハリスの性能には感心するばかりだけど、正直、直線強度、結束強度ともに太くしてしまえばある程度稼げるので、私はそんなに高性能なラインを必要としていない。安定してそこそこの性能なら問題ないので、50m千円ぐらいか75m千5百円ぐらいの「普通」ので良いのを探したい。とりあえず今使ってるバリバスの「スーパーへらハリス」は合格点。ダイワの「スペクトロンへらXP」はちょっと高性能すぎて値段も高い。とりあえずバリバスかなという感じ。

 とまあ、良い感じにヘラ釣りに熱中しているんだけど問題発生。

 腰がッ!

 腹筋の方法を変えてからこっち腰の調子は良く、これは腰痛とはおさらばできたかと思っていたら、台所でしゃがんでペットボトルの包装を剥がしたり分別作業をしていたら、いきなりお尻に衝撃が走った。
 悶絶して、前のめりに倒れたのを横向きに転がるのも必死。10分ぐらいしてゆっくりと手を使って起きあがると過去のぎっくり腰より下の方のお尻のあたりに重い痛みがこもっている感じ。歩けないほどではないけどこれは2週間は完治にかかりそう。
 昨日は午後早めに釣りを切り上げたけど、実は2、3日前から脇腹が原因不明で痛くて、今思うと体に疲れが貯まっていたのかもしれない。
 ここしばらく雨の中でも渋い釣果でも根性出して粘れていて、体力はまだ回復途中だけど根性はけっこう戻ってきたと思っていたんだけど、体の方は思ったよりも回復していなかったのかもしれない。

 もう体の方は使いきってしまってたりしたらどうしよう?と不安になってくるけど、まあそれならそうでも仕方ないか。とりあえず来週は梅雨空のようだし安静に寝ておきます。  

2017年6月18日日曜日

鉛よさらば


 鉛という金属は何かと便利である。ある程度柔らかく融点が低いので、電化製品の基盤とか溶接に使うハンダに使われたり、昔は割れにくい柔らかさから水道管にも使われていた。
 釣りの世界ではその「重金属」とも分類される比重の大きさ、つまり「重い」という性質から仕掛けを沈めるオモリとして好適で、オモリという意味で「ナマリ」と使うぐらいに利用されてきた。融点が低く加工が楽で様々な形に成型可能、柔らかく板オモリのような使い方もできる。
 そのうえ、鉛は貴金属ではなく割とありふれた金属で値段も安いので、釣りに限らず様々な分野で利用されているところ。

 ところが、この鉛には毒性がある。水道管に使われていたぐらいで、表面がすぐ黒ずんで酸化皮膜に覆われて水に対しては安定していて普通健康被害が出るほど溶け出したりしない。
 ただ、鉛には毒性とともに蓄積性もあるようで、普段の食事から摂取される量の鉛ぐらいなら尿とかで排出されるようだけど、削れた砕片などが口から取り込まれるとか、排出が追いつかない量になると体内に蓄積され中毒を起こし様々な健康障害を起こすようだ。
 ということで現在では、水道管も塩ビ管に置換されていっている。

 釣りの世界で、鉛のオモリを使うことが問題視されるようになってきたのはここ、10年来ぐらいであろうか。
 その論拠は主に、散弾銃の弾の鉛と併せて、池とかにばらまかれた鉛玉を、水鳥が餌をすりつぶすために砂嚢に貯める砂利などと一緒に飲み込んでしまい鉛中毒を起こして衰弱し死んでしまう、ということを防ごうという趣旨からのものだと理解していた。

 中には、海の中に鉛のオモリを残してくると、その周りに貝も海藻もいっさい生物が付かなくなる。海で鉛のオモリを使ってはいけない、と主張する意見もあり。鉛ごときで付着生物が防止できるのなら船低塗料に毒性の強い有機スズとか使う必要なんてなかったわけで、なにを言ってるんだ?という気がする眉唾な話だと思う。鉛はダイオキシンやらPCBとは違ってもともと天然に存在し、まあぶっちゃけ海水中にもそれなりに溶けている。

 ということで、鳥の口に入りそうなサイズのオモリを鉛から、スズだのタングステンだの鉄だののものに置き換えていけばいいやと思っていた。


 なので、ヘラ釣りを始めるにあたって、オモリは鉛の板オモリを使うことが常識となっていたが、スズ製のオモリで何とかならないかと考えて、最初は市販のスズ製ガンダマを使おうと考えていたのだけど、微調整がきかないので困ってしまい何かないかと調べていたら、「鉛フリー」のスズ主体のハンダが売っていることがわかり、これの直径1ミリのと0.6ミリのを買って、仕掛け用パイプに巻き付けることで微調整も可能な「鉛非使用」のヘラ用のオモリとすることができた。上の写真のような感じである。
 調整幅も自由自在でちぎったり追加したりも爪でできるぐらいで簡単。仕掛けが絡んだり回転したりもなく不具合なく使えている。
 機能性やらをいい始めたら、もっと高性能なオモリ周りの工夫もあるかもだが、環境影響をふまえた評価をすれば、現時点で最も進歩した最先端のヘラ釣り用オモリになっているという密かな自信がある。
 スズは鉛より比重が小さいので沈降速度が遅くなる可能性はあるが「ゆるふわヘラ道」ではそんな細かいことは気にしないし、気にする人はヘラ用のタングステンシンカーは市販されているので、それと組み合わせて使ってみてはどうだろうか。高比重のタングステンシンカーでストンと沈めつつ重さの微調整はスズハンダでってやれば完璧かと。

 ついでに、ハゼ用の中通しシンカーとかもスズハンダをパイプに巻いて作ってみたりと、スズハンダを使ったオモリのバリエーションを考えていて、ふと「なんで「鉛フリー」を謳うハンダなんか売ってるんだろう?」と疑問が浮かんだ、鉛主体のハンダを使っていると、鉛の削りくずとかができて、それを吸い込んだりして人間に健康被害が生じるからかな?とかボヤッと思っていたが、今時そのぐらいはネットでサクサクッと調べられるので調べてみた。

 欧州基準では、既にハンダは「鉛不使用」が原則になっているらしい。
 電化製品の基盤やらに含まれる鉛ハンダは最終的には埋め立て処分される。それで昔は問題がなかったのだが、近年欧州で問題になっている酸性雨が最終処分場の埋め立てられた鉛を溶かし、地下水や河川を鉛で汚染するという状況が生じており、生態系への影響やひいては人間への健康被害を防ぐため喫緊の課題として「鉛不使用」が進められていて、欧州へ家電製品とか輸出するためには、鉛不使用でないといけないらしい。
 というわけで、日本でも普通に「鉛フリー」表示のハンダが売っている。
 日本ではまだ酸性雨の被害は顕著になっていないので、問題としては表に出てきていないけど、地球規模で起こっている環境問題なので明日は我が身というつもりでいた方がいいように思う。

 オモリを始め、鉛を使った釣り具は可能な限り、スズやタングステン、鉄などを使ったものに置き換えていくべき時期にきたのかもしれない。狩猟の世界では既に北海道で鉛の散弾が禁止となっている。釣り人も続くべきだろう。

 アメリカの通販では鉄製シンカーとか豊富な種類がそろっていて、かの国のこういうところでは真面目な姿勢がうかがえる。
 日本でもバス用のシンカーなら高比重でストンと沈められる高性能なタングステンシンカーが種類豊富に出ている。
 非鉛素材のオモリのメーカーとしては「フジワラ」というところが、鉄製の海用の大型オモリから、スズ製のガンダマやワカサギシンカーとかも作っていて、是非ガンダマとかはここのスズガンダマを買ってあげて欲しい。テナガ釣りとかに私も愛用している。

 という感じで、ナマリ不使用の動きはすでに釣り具業界でも始まっているので、利用できるところから利用していってはどうだろうか?とすべての釣り人に押しつけてみたい。

 とりあえず私も各種オモリに加え自作のルアーのオモリはスズハンダ使うことにして、新作の「お手元ルアー改環境対応型」とかも作ってみている。

 魚釣りなんて、魚がいなければできない遊びだから、しょうもない目先の釣果のことばかりを考えていないで、たまには釣り場を含めた環境のことも考えるべきだろう。


 環境に配慮した釣り具で、私が推薦しまくっていた「生分解性ショックリーダー」は、全く流行らなかった。今はどこからも出ていない。
 多少太くて伸びるぐらいの性能の悪さぐらい、我慢して使えよ、そこをカバーして釣るのが、上手いつり人ってもんだろうがよ!と思うのだが、世の多くの釣り人はちょっとでも細くて強くとか、低伸度で感度良くとか、正直ショックリーダーにはあんまり必要ないことにこだわっていて、本当に大事な釣り場のためになる性能を評価しなかった。

 とても残念なことだ。 

2017年6月10日土曜日

パンツじゃないから恥ずかしくないもん!

 あまり知られていないことかもしれないが、私ことナマジは着古した服が好きである。知ってるって?

 ポケットの位置とか変わると使い心地が変わるというか、不安になったりするこの気持ちは、誰か共感してくれる人がいるのだろうか。ひょっとして「ライナスの毛布」みたいな心理学的な用語があったりして。

 ここ数年お気に入りでいつも履いていたズボンが、夏用、冬用共に2交代制なのだが、片方が限界を迎えつつある。
 最近はズボンっていわないのか。でも「パンツ」って言い方は昔は発音が尻上がりでパンツ↑というしゃらくさい感じだったのが、いつの間にやら下着のパンツと区別つかないようなパンツ↓という呼び方になってきているような気がする。ズボン・パンツ問題については椎名誠先生ほかいろんなところでオッサン共が問題提起しているのでここではあまり深くはつっこまなないでおく。まあ、どうでもいいんだけど。
 で、ズボンなんだが、いちいちベルト締めるのがめんどくさくて、ベルトのついているイージーパンツというのかカーゴパンツというのかその手のを履いているのだが、夏用の薄手のは、先日いつも携帯を入れる左ポケットが大破したのを繕って、まだ履けるだろうと思っていたのだが、一カ所破れ始める頃にはすでに生地があちこち限界を迎えているようで、ポケットの端だのケツだのにあちこち穴があき始めた。尻が割れて「いきなり尻見せ」状態になったとしても、まあ若い女性でもないので実害は少ないけど、財布とか家の鍵とか落とすと面倒くさい。
 冬用も手を突っ込む右ポケットのあたりがボロボロである。

 そろそろ買い換えるかと思うのだが、買うとなるといろいろ注文の多いめんどくさい男で、最近ズボンに求める条件はチャックの付いたポケットがあることが第一で、夏用なら即乾性素材の涼やかなのが、冬用なら丈夫な厚ぼったいのが欲しい。デザインにも明らかにダメなのと良いのがあるのだが、その辺の好みは言葉で説明できない感覚である。どうせいつもダサ臭い格好しているのに何でも良いやろと思うかもしれないけど、そうじゃないんだなぁ。
 チャックのついてないポケットに鍵を入れておくのが不安で嫌いだ。鍵落としたことなどないのに不安になるめんどくさい心配性。

 今時はネットショッピングで膨大な数の商品から買うものを選ぶことができるので、冬用についてはこの冬、ポケットが沢山ついているやつを、そのアカ抜けないデザインには目をつぶって我慢して、チャック付きのポケットが手を突っ込む前ポケットとは別にあるのを画像で確認して買ったのに、そのチャックは単なる飾りで、チャックおろしてもポケットになっていないという衝撃の代物であった。意味のないデザインした責任者でてこいと文句を言いたくなるが、ネットで安いのを買うから銭失いをするんだと反省。反省を噛みしめるためにも履くことにした。財布と鍵はボタンで留められる尻ポケットに入れる。

 夏用は、冬用の失敗を繰り返さないように、こういうときは手堅くモンベル行っとけばいいねン。と渋谷のモンベルショップに出かけた。
 東急ハンズの隣にあるのだが、このアタリの「表渋谷」は毎日祭りのような人手で、人混み嫌いな人間にとってはロールプレイングゲームの「毒の沼」のように歩いているだけでHPガリガリと削り取られていく気がするが、夏ズボンを買うというクエストのためにはいたしかたない。我慢して突撃した。

 流石はモンベル。わかってるという感じにズボンの前ポケットにチャックがついた即乾性のやつが売っていて、サイズがMの長さがS(ショート)というところにやや屈辱を感じたけど、無事お買い物終了。7千円ぐらいで価格も適正価格としかいいようのない安くも高くもない価格。これでしばらく夏物ズボンは買わなくてすみそうだ。

 貧乏ってほど金持ってないわけでもなくて、ズボンぐらい好きに買ってもいいんだけど、ズボンに限らず服って気にいったものをズーッと着続けていたいと思っていて、夏に釣り行くときの長袖Tシャツとかも、いい加減擦り切れてきた奴も脇が破れて繕った奴も、もう何年もその状態から着ている。
 着ると、それを着て良い釣りしたときの記憶がよみがえったりして、なかなか捨てて新しいのを買う踏ん切りがつかなかったりもする。買い物行くのめんどくさいし、ネットショッピングははずれもあるし。
 バンバン新しいものを買って経済回していかなければいけないのが現代人の努めなのかもしれないけど、まあ一人ぐらい変なのがいても大丈夫だろうと思う。

 昔々、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。そこに雀がやってきましたとさ。おしまい。

 「きたきり雀」のお話でした。

2017年6月3日土曜日

貧乏金なし

 あまり知られていないことかもしれないが、私ことナマジは安竿が好きである。知ってるって?


 まあ、そんな安竿大好きな私がヘラ釣りを始めるにあたってまず買った安竿が以前紹介したようにダイワの入門モデルのヘラ竿「陽舟」10尺で、快調な使い心地を楽しんでいるところだが、さすがに安い竿でしかも中古なので、ひょっとして耐久性とかに難があったりしないだろうかという不安はちょびっとある。
 安い割に軽くて使いやすいように感じていて、軽いということは、薄くてパワーやら耐久性に劣るのではないかという心配が無いわけではない。
 まあだとしても値段相応なわけで、すぐに折れるような不具合がなければ問題ないとは思うのだが、気になってちょっと使用感の報告とかネットに転がっていないかと検索かけてみたら、良い評価も悪い評価もあって、結局自分で使い込んで判断するしかないと思わされたところなんだけど、なかには初心者モデルを買うにあたってダイワかシマノか悩んでいる質問者に「陽舟とか言ってる奴はヘラ釣りなんて金のかかる釣りはやめておけ」とか書いている奴がいて非常に腹が立った。

 ヘラ釣り始めるにあたって、正直目標が自分でも明確ではなくて、まあとりあえず5匹10匹釣って楽しめるようになろう、ぐらいのゆるふわっとした目標で始めてみたところだけど、始めてみて自分の目標というか、戦うべき敵が明確に見えてきたように感じている。

 ヘラ釣りを妙に小難しい訳の分からん理屈で語って権威付けしようとしたり、高い道具じゃなければダメみたいなことを言って、さも自分が高尚な趣味を楽しんでいるかのように見せかけたり、全く鼻持ちならねえ野郎どもがウヨウヨいるのに反吐が出そうになる。
 そういう輩にネットの片隅から唾吐きかけて喧嘩売って、バカにしておちょくりまくったことを書くのが、そういうしょうもない輩どもに戦いを挑んで打ち負かして楽しく釣るのが、私のヘラ釣りの目標だ。

 もちろん、ヘラ釣りの技術を緻密に理論立てて真面目に求道的に研鑽している人たちもいるし、高い道具の「趣味の世界」だからこその贅を尽くした美しさや機能美に魅力を感じないわけでもないし、それらを楽しんでいる釣り人を悪く思っているわけでもない。
 そうじゃなくて、そういう楽しみじゃなくてちょっと休日釣り堀でヘラ釣りでもしてみようというような初心者やら休日釣り師を小馬鹿にする事によって、自分たちがさも上にいるかのように振る舞うバカどもにムカついているのである。他人を下に見たところでおまえの立っている位置は1ミリだって高くならないんだってわかってるか?

 「高い道具じゃなければダメ」というような奴にとっては、安い道具で快適に釣られてしまっては立つ瀬がないのだろう。どうせそんな連中は魚釣りにおいて唯一自慢できるのが道具の値段だけで、釣果も技術も凡百のヘボ釣り師の馬群に沈んでてなんの特徴もなく、たいして技術の習得に努力も払ってなくて、ゆえに他人の釣技の正当な評価もできず、他人が釣れるのはラッキーで自分が釣れないのは運が悪いぐらいに思っているから、いつまでたっても運など回ってこないことに気づいてもおらず、そういうことを背中で教えてくれるような師匠もいないんだろう。おかわいそうなこって。

 まあ、そういう輩は無視しておくのが精神衛生上も得策であり、相手にしていては自分も同じレベルになってしまうというのはわかっちゃいるのだが、でもまあ自分はお行儀良く賢い人間ってわけでもないしバカで結構、好きに書かせてもらう。
 サッカー元フランス代表のジダンがワールドカップで相手選手に頭突きかまして一発退場食らっていたけど、あのときは相手選手に母と姉を侮辱されたんだといわれている。フランス男児にとっては近しい女性を侮辱されたらブチ切れなければならないものなのだろうし、私にとっては安竿をバカにされたらやはりブチ切れなければならないというものである。愛の問題である。

 ヘラ釣り始めるときにもあんまり金はかけないでおこうと思っていたので、以前にも書いたように餌抜きでだいたい4万5千円ぐらいしかかかっていない。
 餌も、まあそんなに種類を増やさないようにしたりシラタキを鍋したときに確保したりで1日5百円前後かなという感触である。今時ゴカイ買ってもミミズ買ってもそのぐらいはするし、ことさらヘラ釣りが餌代がかかると思わない。
 べつにヘラ釣りするからって、ほかの釣りと違う特別な費用がかかる訳じゃあないと始めてみて実感している。浮子を自作しているのは大きいかもしれないので、貧乏人は浮子を作れと書いておこう。楽しいし。

 他の釣りと違う金がかかる要素をあえてあげるとすれば、竿掛け・万力の組み合わせと座るマットだろうか。
 正直なくても釣りできないことはない。でも短尺の竿はともかく長い竿には竿かけは無いとしんどいだろうし、短尺の竿でも竿を置いて餌付けするときの手返しとか考えると、無しというわけにはいかない気もしてきた。
 座るマットも長時間座る釣りなので、ないとお尻がいたいし、腰痛持ちには背もたれも欲しいところ。

 今使っている竿掛け・万力セットは「おり釣り具」というところが出しているセットもので7000円ぐらい。万力は木製、竿掛けは竹でできていてなかなかに趣があって良い。F師匠に薦められて買ったのだけど、同じような値段のもので竹製とかはあまり売ってなくて、金属とカーボン製のかなり安っぽいものになる。まあそれでも釣りにはなんの不便もないのだろうが、竹製の竿掛けはヘラ釣りの気分を盛り上げてくれるので気に入っている。
 でも、7000円のセットものなんていうのはヘラ釣りの世界では安物で、釣り具屋で黒檀とかで作られた万力を見ると平気で5万円とかしていてちびりそうになる。ヘラ釣りの道具は何でも高い。


 今使っている竿掛け・万力に全く不満はないのだが、竿かけて置いておくぐらい、ホムセンでクランプとか買ってきて細工すれば金なんてたいしてかからんだろうと思っってしまった。そういうやり方を示しておくのも「ゆるふわヘラ道」においては意味があるかなと、渋谷のハンズの金物コーナーでクランプ手にして実際に組み合わせてみたり「ここをこう締めて、こっちは木を持ってきて」とかいじり回していたら、結局竿掛け用の万力に求められる機能は、足下の木の棒に竿掛け全体を固定することと、木の棒と90度交差する形で竿掛けを角度を自由に調節できる形で固定すること、の2つだと理解した。その2つの固定をやってのけるにはクランプが2つあればできるということで、写真のような感じになった。これで竿掛けの万力として使えることは実際に竿掛け用の万力を触ったことある人なら理解してもらえるだろう。
 費用は1000円弱ぐらい。竿掛けは適当に余っているノベ竿をつかって、キャップのようにはめるY字とクランプに挟む木の棒を竿尻に上手く突っ込んで固定できるように削れば出来上がり。たいして手間もかからない。
 実釣でもどんな塩梅か使い心地を確かめてみたいところ。  

 座るマットについても、5000円ぐらいでそれほどお金がかかっているわけではなく、背もたれ付きのを買ったので腰が楽で良いといえば良いのだが、難をいうとデカいのである。マットの厚さと長時間の座り心地は関係深そうなので安易に安い薄っぺらいものに買い換えるわけにもいかなそうだが、もっと安くて腰の痛くならない空気で膨らませるタイプか折りたたみ式のものがないかと探していたら、プロックスから出ている「あぐら椅子」というのが、座面は低くて広くてヘラ釣りにも良さそうだけど、仕舞った時の体積は今使ってるマットの半分ぐらいで、かつ値段が1500円程度と安いのでものは試しと買ってみた。しばらく使ってみて、使用感など報告してみたい。

 とまあ、お金をあまり使わなくても楽しめるよといういうことは発信していきたい情報だが、ちょっとお金をかけたら楽しくなりそうというものもあったりして、買うべきか否か迷っている。
 水中映像の有用性を市販のDVDで感じたところだが、今時、個人でも水中撮影できるようなビデオ機材は手に入る。タブレット端末に接続してリアルタイムで水中の映像を見るような機材はそこそこお高いけど、小型のいわゆる「ウェアラブルカメラ(着るカメラ)」といわれるようなバンドで頭にくくりつけて撮影できるようなビデオ機器でマリンスポーツなどにも対応する専用防水ケースのついたモデルが5千円ぐらいの安価で売られている。
 スイッチを入れたままドボンと水中に放り込んで撮影するので「ドローン」ならぬ「ドボーン」とかいうらしい。
 水中で撮したい方向にどう固定するかとか検討するべき技術的な課題はあるけど、ルアーの釣りのような、どこで魚が食ってくるかわからない釣りとは違って、垂らしている餌のところで食ってくると分かっている釣りなら撮りようがある気がするし、リアルタイムではなくても後から釣れてなかった時間帯に魚が居なかったのか居ても食わなかったのかとか分かるだけでもかなり価値が高い映像だと思う。
 竿のグレードをあげるために使う金が5千円あるなら、こちらに使った方が釣りが楽しくなると思うのだがどうだろうか。ちょっとポチッと発注するべきか迷っている。

 釣りにおいて水中撮影を発展させていくと、その延長線上で水中映像をリアルタイムで見ながら釣るということも機材さえそろえればできるように思うけど、「ヘラ釣りは浮子で水中の状況を把握しながら釣るもの」という固定観念があるのか、いまいちそれは面白くなさそうに感じてしまう。まあ他の釣りでは偏光グラス使っての「見釣り」なんていうのを当たり前にやっていて、その楽しさも知っているつもりなので昭和の男のくだらないこだわりなのかもしれないが、ヘラ釣りでそれは何か違う気がする。

 まあ、情報機器の発達はすごい勢いなので、そういうのに触れて育った世代は抵抗無く自然にそういった機器を使いこなした釣りをするようになっていくだろうと思う。
 そうなった頃に若い衆にそういう釣りを教えてもらうのもまた一興かもしれない。
 ドローンも小型高性能化しているし一般化すれば、釣りキチ三平でラジコンでデカバルト狙ったような釣りのさらなる発展系がありえるだろうし、水中カメラも小型化や低価格化はもとより、先端技術のイルカ型の音響カメラなんかだと濁った水の中でも魚の映像が手に入ったりする。
 とりあえず貧乏人にも手が届くような、広く一般に普及した機器ぐらいは使いこなせるようになっておいて損はないように思う。

 でもまあ釣りなんて、お金がなくても拾ってきたラインとハリを竹藪から引っこ抜いてきた竹にくくりつけてもできる。お金をかけようと思えばいくらでもかけられるけど、なきゃないなりに手持ちの札で勝負するしかないのである。釣りぐらい金が無くても十分楽しめるということは示して情報発信していきたいと思っている。