2023年3月25日土曜日

ミスター・ハラのリール「ゴールドスピン」の謎 ーパソコン椅子探偵韓国日吉編ー

 某ネットオークションで分類「リール」の「ジャンク」品は検索ワードにして毎朝眺めている。

 今ちょうど、TAKE先生が、お師匠さんである、日吉産業、シマノを中心にリールを設計してきた”リール・ガイ”原氏の手記を元にまとめた「リール風土記」を興味深く読んでるところである。ワシとしては1960年代の日本のリール作りの黎明期の、メーカー下請け関係の相関図が見えてくるお話し(特にオリムと下請け周辺)が読めるかと期待してたけど、そのへんの関連性はもっと後の時代の70年代80年代の「相関図」はあったけど、サラッとしたモノでむしろ原氏がOEM(相手先ブランド生産)関係とかの出張仕事で訪れた、その時代時代のそのお国ごとのリール工場を中心に、それに限らない、文化、歴史的背景、気質、空気感というものが感じられる、読み物として純粋に面白いお話で楽しく拝読させていただいている。

 という中で、件の検索ワードに原氏設計でTAKE先生も激賞していた韓国日吉釣具製のルー「ゴールドスピン」が出てきた。「状態が悪いです」と念押しされているけど、ワシそういうのこそ直して稼動品に持ち込んで使ってみたい、次の使い手に渡したいって思うタイプなので、昔ちょっと興味持ったときに調べた感じでは国内販売は前身のスピードスピン(国内名「スピニッドRD」)も含め少なかったためか、弾数少ない上にエラいお高い値段で諦めた記憶がある。でも今回は部品取り個体含めた2台セットで1000円開始と弱気の値段設定のうえ「状態悪い」と念押しされているので、ビビって日吉沼の住人は手ぇださんのと違うか?という読みのもと1200円で入札しておいたら、へっへっへ日吉沼の野郎どもはチキンだぜ、開始価格1000円+送料720円で確保。この金額ならどうにもならんかっても現物触って「お勉強」させてもらえただけでも上出来。でもまあ”ニコイチ”ぐらいはできるだろ?って安易に考えていた。

 届いてみて現物を確認。まずはハンドル無しでラインローラー欠損の個体の方は、まあ達磨さんみたいな状態なので部品が無い事にはどうにもならんということはあるけど、ローター持って回してみる限り、回転もおかしくないし逆転防止も正常、ドラグも生きてる。つまり中身は正常であり、銘板もハゲチョロゲのこっちの個体から部品引っ張れば、見た目小マシなもう一台の方は復活させられそうに思う。まあぶっちゃけ部品取り要員として待機ってところか。おそらく前の持ち主もそういうつもりで購入して、ニコイチ組むのも手間が掛かるので諦めて一緒に手放したとかだろう。

 で、ルーとブローニング(ブラウニング)の両ブランド併記の見た目綺麗な個体。まずは致命的な固着が無いか、外せるところはとりあえす外してみるかとスプールポンと外して、ハンドル外そうとして、ネジ込み式のはずのハンドルが回ってくれない。「これが「状態悪い」の正体か!」とややビビる。ねじ込み式のハンドルがたためる位置、つまりギアの軸の中途半端な位置で固着しているとなると、最終的に外せなかったら、ネジたたっ切って右巻専用機にするぐらいしか手がないので「コリアいかんわい(韓国製だけに)」とガックリしかかる。

 しかかるんだけど触ってクルクルハンドル回したりしてると、なんかハンドルがスコスコと出たり入ったりする。ちゃんとハンドル回す位置にも収めることができるけど、固定されてなくてスコッと伸びたりもする。なんだこりゃ?と首を捻る。固着してたらハンドルがスコスコ伸び縮みするわきゃない。「ひょっとして共回り式に改造されてるか?」とハンドル反対側のキャップをクリクリ回して外すと、やっぱりネジが付いていてハンドルがスポッと抜けた。ええーっねじ込み式のバンドル軸のギアを共回り式に改造してるのか?こういうむちゃくちゃをするのはアメ人だろ?って過去の持ち主を犯人に仕立て上げてみる。ハンドルの芯は共回り式に良くある6角形のもので、削って太さ調整したような跡ものこっていたので、元々のハンドルかハンドル軸のギアをぶっ壊した持ち主が、ハンドル軸のギアの軸に鋳込んである真鍮部分を引っこ抜いて、横幅があうような他の共回りのリールからハンドル軸ギアの軸一式を引っこ抜いてきて溶接して無理矢理使えるように改造したんだろうというのが、ハンドル引っこ抜いた時点でのパソコン椅子探偵ナマジの最初の推理。でも、まだ謎を解くには必要なパズルのピースが揃っていない気がする。何しろ本体蓋さえ開けてないので本当にギアの芯を入れ換え溶接とかしてるのかわからんし、関係者を集めるにはまだ早い。

 で、パカッと蓋を開けてみました。ハンドル軸のギアに溶接の跡などなく、亜鉛一体成形鋳造品ですねこりゃ。あれっこういうモデルだったってことか?としげしげと見てみると、そういえばキャップの鹿さんマークはブローニングの商標だったような気がする。謎は全て解けた。日吉沼の関係者を集めてくれたまえ。

 ゴールドスピンの「ルー&ブローニング」のモデルにはハンドルねじ込み式じゃなくて共回り式のがあります。

 一応確認のためにイーベイとか覗いてみたら、やっぱりルー&ブローニングのゴールドスピンのハンドルキャップは鹿さんマークが入ってる同じ形のもので、そういう仕様のモデルが存在したということで間違いなさそう。多分経費削減のためかなんなのか真鍮の軸を鋳込むのをやめて亜鉛鋳造一体成形で済む共回り式に変更したんだろうけど、ゴールドスピンはねじ込み式という先入観で、居もしない米国人の犯人をでっち上げてしまうところだった。先入観で判断するなど探偵失格であります。

 で共回り式ならとキャップを締めてハンドルクルクル回して動作確認してみると逆転防止が効かない。まあこれは最悪もう一方の達磨個体から引っ張ってくれば良いので何とかなるはずだけど、逆転防止の不具合は多くの場合、単に組み間違いで空ぶってるだけっていうことが多いので、とりあえずどんな逆転防止機構になってるのか見たいし、部品の融通が必要か否かとかの2台の整備方針を固めるためにも必要なので、とりあえず逆転防止が出てくるまでバラしてみた。

 結局ローター外さないとわからん位置に入ってて、ローター軸のギアの回転で正回転時ストッパーの歯車から爪を離して浮かせて”サイレント”化して、逆回転になると爪を歯車に掛ける方向に回るので逆転が防止されるという方式だと判明。あれです、ダイワのウィスカートーナメントSSと一緒のような方式です、っていえばスピニング熱患者さんたちにはお分かりいただけるだろうか?あれがボディー本体内に入ってる感じ。でもって、部品が壊れたりはしてなくて、案の定爪を動かすための所定の隙間に、ストッパーの歯車の根元にグルッと巻いてから伸びているワイヤーの先が収まってないという単純な組み間違いで、所定の位置に入れてやって組み直したら逆転防止復活。他に不具合もなくドラグもちゃんと効いていて、この時点で特にグリスが固まってるとかもなくて普通に使えそうな完動品に復活してしまったんでやんの。安く落札してしまって申し訳ない気がしてきた。

 となると達磨個体はパーツ取り要員のお役御免である。となるとこっちも稼動品に持っていきたくなるのがワシの悪い癖。こいつは見えてるハンドル軸は真鍮製っぽくてネジが切ってあるのは見えている。これが我々”スピ熱”患者が「ゴールドスピン」と聞いて思い浮かべる、大口径スプール、適切なスプールエッジの形状と巻き幅、ネジ込みハンドル、真鍮軸を鋳込んだ亜鉛ハイポイドフェースギア、樹脂スリーブ入りラインローラー、堅牢な逆転防止機構、丈夫な3回巻きベールスプリング、手の感覚に馴染むリアドラグ、という仕様のものなのだろう。ラインローラー欠損してるけど樹脂製スリーブは残ってるので証拠がそうであることを示している。蓋パカッと開けてハンドル軸のギアを確認すると写真のとおり軸が真鍮なのが確認できた。

 ハンドル軸ギア以外中身一緒に見えるので、ギア交換できるか試してみると、ギアだけだと交換できないのでなんでだろ?って調べてみるとブランド相乗り共回り版の方は隙間調整のためか、写真の右の方に写ってるワッシャーと、ネジ込み版では蓋が填まる位置の、本体に切った雌ネジに真鍮のリング状ネジが填まってて、それらも一緒に交換すれば交換できるようだ。ということで共回りの方のハンドルを達磨個体に持ってくるコトはできるけど、そうすればルー&ブロウニングの方がハンドル無しになるので意味がない。ハンドル以外死んでる個体とか売りに出てないかと、またイーベイを覗いてみると逆にハンドルが折れた個体はあったけど残念ながらハンドルをパーツ取りできるような個体は無かった。ってアッブネェところだった、あったらまた買ってた。

 まあ、ネジ込みハンドルでパーツ確保が比較的容易なわが家の蔵に沢山あるような機種で流用可能なのを探すかと、大森関係、PENN関係をラインローラーも含め試してみると、大森はダメ。PENNはハンドルは430ssgのが一回転ぐらい入ってピッチが合わないのか止まってとりあえず巻けなくもない感じで他はダメ、一回転ではしっかり固定できないだろうから現実的じゃないなと断念。他にねじ込み式のハンドルのリールってなかったっけ?っと考えて、そういえばベールアームの樹脂が割れて部品取りにしているフルーガー「メダリスト1626Z」があったなと蔵出しして試してみるとハンドルネジ込みしっかりできる。かつラインローラーがスリーブ外して直づけになるけどちょうど填まる。そういえばコイツも韓国製だったしな、ハンドルはネジはピッタリだけど軸は隙間が空いてしまっててそこを埋める工夫がいるし、ラインローラーは糸オチ防止のワッシャーと止めるネジが必要になるけど「コリァいける!」という感じになってきた。ちなみに以前メダリスト1626Zのネジ込みハンドルの形状がやや写真で見るスピードスピンのと癖が違うと書いたけど、アレは嘘だ、いま写真見るとそんなに違うように見えなくて見間違いだったようで、メダリスト1626Z(シェイクスピア「アルファ040」が同型機)は韓国日吉製という可能性が高くなったように思う。このピッタリ具合は、韓国共通の規格があるってこともないだろうから同工場製とみるのが自然。

 でもって、ラインローラーはネジはM2.6の規格品である大森マイコンSSの本体蓋ネジが部品売りに出てたのを確保してあったのが上手く填まってくれて、糸落ち防止のワッシャーは微妙に大きめだけどPENNの4500SS用のが使えることが判明。スリーブ入りにはちょっとこだわりたかったけどとりあえずラインローラーが稼動する状態には復帰できたので仮置きとしておく。なんか手があればスリーブ入りに復活させるけど当座はこれで充分で実釣にも耐えるだろう。まずは上首尾の部類。

 でもって、ハンドルの方はというと、ネジがガッチリ填まった状態で、ハンドルの軸部のカバーは本来、本体からの出っ張りを覆って水や埃の侵入を防ぐようになってるけど、違うリールから引っ張ってきたのでそうはなってなくて、傘状に開いたカバーと本体からの出っ張りの間にはスコスコに隙間が空いていて、悪いことに左側にはこのリールには2個しか入ってないボールベアリングのうち1個が入ってて、しかもシールドタイプじゃないので軸の脇から覗くと、玉が丸見えで浸水したら一発で錆びそうなことになっている。

 とりあえず隙間を塞ごうということで、間に接触して回転を妨げることないようになんか入れて、上手に水とか入りにくくできないかと考えて、そういえばキャップが無い「タックルオートSS」のキャップとして使った椅子の脚に被せるエストラマー樹脂製のキャップが良い大きさで、伸び縮みもするし上手く填まらんかな?と試してみるとビンゴ。先細りの形がちょうど隙間に入っていくかんじで長さを調整してハンドル回転時にアタらないギリギリに調整してギュギュッと本体の出っ張りに被せる。そして玉が丸見えのボールベアリングにはPENN方式で硬質フェルトから切り出したワッシャーを填めてオイルを染ませて防水防塵という感じで抜かりなく仕上げてみた。

 ハンドル回してみると、軽やかに回ってくれる。けどなんんかおかしい?なんだろうってよく見てると、スプールが上下してない。こっちの個体はオシュレーション(スプール上下)もダメだったかと、やや不安になりつつ分解していくと、ゴールドズピンもリアドラグにする関係で主軸が回転するので、主軸に直接ネジ穴を開けてオシュレーションカムをネジ止めする方式ではなく、オシュレーションカムの前後に主軸に溝を掘ってCクリップで止めている、ってのは大森マイコンシリーズと同じ。ただマイコンSSのように主軸を外してからでないとハンドル軸ギアが外れないという知恵の輪状態にはなっておらず、先にハンドル軸のギアを抜いてから露出したCクリップを外せばいいので扱いは楽。楽なんだけど小さいCクリップは外したときにどっか飛んで行きがちで、Cクリップが片方欠損しているのがオシュレーション不調の原因だった。まあこんなもん止まればいいので細いステンレス針金で縛って写真の様にグリグリッと捻ってから短く切って邪魔にならない位置に曲げてしまえば問題解決。

 という感じで現時点で1台は共回り仕様がちょっと残念な子だけど、まあまあ美品で完動品。もう一台もなんとか稼動品に持ち込めて2台あるので換えスプールあり体制まで組めてえらいこっちゃという仕上がり具合である。共回りになると重くなるのではと思ったけど、そうでもなくてどちらも260g強で大差なかった。ガタつきも部屋でクルクルした程度では特になく、あんまり気にしないで良いのかも。

 1,720円でこれだけ充実した内容が許されていいんだろうか?今回欠損部品の補完もパーツ取り要因から引っ張ってきてるので追加投資はしていない。久しぶりの大当たりの買い物と言って良いのではないだろうか。これだからジャンクリール漁りはやめられん。

 この状態でもあんまりグリスの固化とかなくてそのまま使えそうなんだけど、まあ我が家に来たからには、全バラ清掃グリスシーリングであと数十年戦えるように仕上げておきたい。ということで手間かかった元達磨個体は使うかもなので、こちらから全バラしして青グリス大盛りで対塩水用に仕上げていきたい。

 まずはスプールは、リアドラグ機の場合ドラグも入ってないし特にいじるような要素はなくて、綺麗に拭いておくぐらいしかすることはない。樹脂製スプールなので防錆も気にしなくて良い。上部にクルクル回して窓にラインのテストポンド数を表示させるという、あると便利な機能がついてるけど、まあ飾りの部類かと。ワシャ裏に油性ペンとかで書いてるわい。エコノマイザーが標準装備なのはとてもありがたい仕様。大口径スプールだし逆転防止が堅牢だしで太い糸使っても大丈夫だけど、サイズ自体は260g台とルアーの釣りなら岸から何でも釣って良い大きさで細糸使用もドラグも良いのが付いてるので対応できるだろうから、細糸を大口径スプールに巻くにはエコノマイザー実用的で便利。釣りがよく分かってるリールという感じがする。実際イーベイにはスペアスプール3個付きとかで売りに出てるのもあったりして、スペアスプール体制がっちり構築してアレコレ使い回しで活躍したんだろうってのが偲ばれる。

 蓋開けてローター外してズンズンバラしていく。ローター下に大森方式に似た簡易ローターブレーキが入ってる。ローター軸のギアにはボールベアリングと堅牢な逆転防止の歯車が填まってて、その下部の溝に逆転防止をサイレント化しつつ機能させるためのバネが収まっている。ベール反転のスプリングは場所取ってるけど確かに3回巻きは見るからに丈夫そう。

 でもまあ一回見ておきたかったのは、手で締める感覚とマッチしたドラグ力が得られるように設計した、というリアドラグがどんな性能、構造なのか。
 ドラグ手で回しつつドラグちょっとずつ締めていくとどうなるのか試してみると、確かにドラグをギュッと締めたあたりで、ドラグの効きもギュッとフルドラグに近く強くなった感じになる。ドラグを出したくなくてギュッと締めたつもりがまだユルユルでラインが出ていったっていうのが無いような、ドラグノブの締め具合とドラグの締まりによるラインの止まり具合が感覚的に直結できる設定という感じか。
 ぶっちゃけ大森マイコン系でも、あらかじめ欲しい強さに調整して設定できるので似たような設定にできなくもないけど、ゴールドスピンはあらかじめそうなってるっていうところ。

 分解していくと、これが大森式とはまた違って、組み方にお作法があるようなのでゴールドスピンのドラグを整備する人のためにバラし方をここに書きとめておこう。

 まずは写真一枚目のように、本体お尻のところに填まってるCクリップを外します。

 そして写真二枚目のように次はドラグノブを回転させて抜きます。さっきのクリップはドラグノブのネジの上の方に填まっててドラグ緩めていったらノブが落ちたということがないようになってます。大森リアドラグと違い、ドラグはドラグノブの中じゃなくて本体内に位置してます。

 三枚目の赤丸の固まりがドラグパッドとかを一まとめにしたユニットでドラグノブを外してから傾けて外します。

 外してお尻の方、填まってる黒いゴムっぽい樹脂のあたりにあるCクリップを外すとユニットからドラグパッドやワッシャーが抜けてバラけます。

 バラけた状態が下の写真。

 イマイチ分かりにくいかもな構成だけど、下段右端は回らない本体壁と主軸と一緒に回る、本体ユニットをまとめている上段右端の亜鉛パーツ、の間で仕事するドラグパッドで弾力ある樹脂製。で下段右から2枚目の茶色いのは薄いカーボンかグラスの編み込みシートを樹脂で固めたもので割りと良く滑りかつ薄くて場所を取らない素材。下段同じ素材のドラグパッドが3枚続くけど、上段に並ぶ主軸と回る亜鉛パーツ、本体壁に直線で接して回らない金属ワッシャー、主軸と回る穴が長方形のワッシャー、もいっちょ本体壁と接して回らない金属ワッシャー、の4つの交互に回る回らないが来る間に挟まれてドラグの仕事をするようになっている。つまりユニット外側の1枚も含めて4階建てのドラグになってます。薄いパッド使って本体内の限られたスペースに性能の良いドラグを入れるべく頑張った感じ。

 で、ドラグのことがよく分かっている貴兄におかれては、「アレが無い」っていうのと、下段左の回らないワッシャーに上下挟まれて回ってないからドラグパッドの仕事をしてなさそうな黒いのはなんじゃ?っていう疑問を覚えるかもですが、この黒いゴムっぽい樹脂製の輪っかを二重円に並べた部品がどうもバネの代わりに弾力で調整幅を出しているようで、バネは入ってないけどドラグ締めてくとちゃんと徐々に締まっていってキュッと締まる良い塩梅のドラグノブの感触になってます。どういう理屈か分からんけど良くできてます。

 ということで、全バラしもできたので、ドラグはカルズの紫のドラググリス塗って湿式で仕上げて、他はいつもの青グリス盛り盛りで主軸やらラインローラー、ボールベアリングにはダイワリールオイルⅡ。組み上げてハンドル回してみると、逆転防止の爪がグリスの粘度で動きが悪くなって、逆に爪を動かすワイヤーはグリスで滑りやすくなって爪を押す力が弱くなったのが原因だろうけど、逆転防止がカカッとかいって1つ2つ歯を空ぶってしまうようだったので、爪周りにオイル注して滑りを上げて、ワイヤーの方は一旦外して主軸にしがみつく輪っかをギュッと絞ってより強く爪を押すように調整したらバッチリ決まって、ベールの返りも軽く回転も素直でスムーズ、ドラグもちゃんとノブがキュッと締まったあたりでスプールが回りにくくなる良い塩梅で申し分のない整備状態に仕上がった。

 ルー&ブロウニングのブランド相乗り共回り版のほうは、売ることも想定してグリスはおとなしめにしてABU純正でこれまた快調に仕上げておいた。だだ、あとは仕上げるだけという状態からで、かつ同じようなリール2台続けてなので楽勝鼻歌気分だったけど、組み上げて動作確認してると逆転防止が効かなくなって、またバラして組んで再度動作確認。するとまた逆転防止が効かなくなって、一回目はたまたま組み方がおかしかったのかなと思ったんだけど、2回続けてということは、なんか調整してやらんといかん状況。バラしてバネの先を正常位置に入れて、組み上げずにローター軸のギアまで突っ込んだ状態でギアの頭摘まんで回して逆回しして確認すると、回してるとバネの先が填まってた場所から簡単にスルッと一山越えて外れてしまう。原因分かったので山越えしないようにバネの先を下に曲げて調整。摘まんで回して問題無いのを確認して組み上げようとしたら、主軸にオシュレーションスライダーを止めるCクリップが填まらず跳ねて床に落ちてしまい悶絶。爺さん細かいものが見えなくなってきてるので床に這いつくばってなんとか見つけて、予想外の長期戦にやっとこさっとこ終止符を打って無事正常化完動品。

 とはいえコイツは売るっていっても、ネジ込みじゃなくて共回りですって正直に書いて売りに出すと、ゴールドスピンに手を出そうとするようなややこしいスピ熱患者は「ねじ込み式以外は父さん認めんぞ!」とか頑固なこと言いだして売れんかもだしで、せっかく良いリールらしいので使ってみたくもあり、これもまたしばらくは蔵に眠らせるか?スプール径が大きいリールが使いやすいってのはPENNの716zのスプール径大きくしただけの714zの使い勝手のよさや、大森No.2サイズの楽ちんな感じからも想像できる。できるんだけどリアドラグ機は愛用してた大森マイコンTBシリーズがあるから、そいつらより優先して使いたいかって考えるとちょっと微妙なのよね。安売りするぐらいなら死蔵しておくけど、興味があって使ってみたいって人は、相場がわからんのでそのへんご教授いただければ売っても良いし、なんかワシが好きそうで適度にジャンクで整備しがいのあるリールと交換なら相談にノリノリで乗りますので、ご連絡お待ちしております。コメント欄でもメールでも狼煙でもお気軽にどうぞ(註:輿入れ済みです、あしからず)

 春のシーバス苦戦中なのでスピニング熱は悪化の一途で、まだまだ整備待ちのリールがござるというのに、新たにまたしょうもないモノを買ったりもしております。順次ネタにしていきますので闘病中のお仲間な皆様におかれましてはお楽しみに。

2023年3月18日土曜日

春のいただきもの豪華ビンボ飯

  皆様のご厚意でメシが旨い。

 半月ほど前の食卓をネタにしてて鮮度がイマイチだけどご容赦を。ジャンクリールと激闘してたら季節はすっかり春になって、ふきのとうも既にとうがたっている頃だろうか?季節の巡りは早い。

 冒頭写真、フキノトウとワカサギの天ぷらなんだけど、フキノトウはレクエル堂さんから、ワカサギはOニーサンからのいただきもの。

 レクエル堂サンからは、お貸ししていたDAMのリールの返却とともに「(リールの)振れ止めに春の山の空気を封入してます。」とあったので、「今の春の山の空気って杉花粉をつかったテロか!」と一瞬下らん連想が頭に浮かびましたが、そんなわけはなくて塗れ新聞に包まれたフキノトウが丸く可愛らしく顔を出した。春の渓ではお馴染みのフキノトウ。我が家のVIP様の実家の気仙沼の方では”バッケ”という響きも可愛らしい呼び名で呼ばれていて、雪の残る斜面で丸い愛らしい姿を見つけると「春が来たなぁ」となごんだものである。

 で、見た目の可愛らしさ季節感を感じさせるたたずまいも素晴らしいんだけど、食味も一級で、なんといってもそのホロ苦さは春真っ先に出てくる山菜らしい鮮烈な個性で楽しませてくれる。

 料理法としては、天ぷらが鉄板ではあるけど、なんと言っても気仙沼のお母さんが作る”バッケ味噌”が最高で、ガッチリ砂糖の甘みを効かせた”なめ味噌”の一種なんだけど、甘くて苦くてどうにもご飯が進む逸品で、今回自作に挑戦してみた。

 ていっても、難しくはなくて、ザクザクとフキノトウを刻んだら、フライパンにサラダ油+ゴマ油を多めに引いて熱し、砂糖をすき焼きにぶち込むぐらいの勢いでフキノトウにかけて炒め、フキノトウに適度に火が通ってシナッとなってきたら味噌投入で、ある程度水分が飛んでドロドロになるまで弱火で炒める。水分飛びすぎてパサパサになるようなら味醂か酒で調整か。

 炒め上がったら、熱湯消毒しておいたビンとかに熱いうちに詰めて、冷めたら蓋して冷蔵庫で保存すれば、砂糖の多さにもよるけど半年もつような保存食にもできるようだ。今回そこまで甘くはしてないけど、ご飯のお供にちょうど良い感じで、実に上手にできた。なんで苦いのが美味しいのかよく分からんけど、この苦みが最高なんだよね。美味すぎて半年ももつわけがなく、すぐ食い切ってしまった。 

 でもって、定番の天ぷらの方は、この冬Oニーサンがワカサギ釣りにハマりまくってるようで、3年ものの15センチ級のワカサギ干物とかもいただいたけど、冷凍したものもいただいてたので、春と冬の天ぷら共演(競演?饗宴?)ということで、ガツンと大量に揚げて、さすがに一気には食べきれず、二食に分けて食いきったりました。あらためて、レクエル堂サン、Oニーサンありがとうね。

 ワカサギはワシだけじゃなくて愛猫も美味しく解凍したのをワシワシ食ってました。

 ワシもそうだけど、普段海の魚ばっかり食っていて、それはそれで大好きで美味しいし文句もないんだけど、たまに食べる淡水魚の繊細な味覚とかは、これはこれでまたたまらなく美味しいと思うのよね。多分コバンもそう感じてるはず。食いつきが良いと見てて嬉しい。

 でもって現在、半月も経つと春本番になってて杉花粉が今年は酷くてエラい目にあってるけど、食うモンも春っぽくなっていて、最近味噌汁の具としてお気に入りは”菜花”で、いかにも春っぽい食材なんだけど、これがなかなか野菜としても実力派で、茎とかも柔らかく味噌汁の味が染みて適度な歯ごたえ、癖がなく優しい味わいも春らしい。

 柑橘は今の時期はハッサクが終わりかけで、甘みの強いデコポンとセトカが出ていてて、ワシ、デコポンの果肉のブリブリ感が大好きなのでデコポン食いまくっている。直売所で傷物キロ100円とかで売ってたら、買わずにいられないでしょう?

 という感じで、オカズはマアジを主体としつつも、季節の美味を楽しんでおり、ついでにジャンクな袋菓子などもバリバリしつつ、お金は掛けてないけど相変わらず良いもん食ってます。

2023年3月11日土曜日

コンパック「カプリⅡ」修繕激闘編 金切りバサミとハンドドリルとダイヤモンドヤスリ

  お待たせしました。前回「カプリⅡ」を分解整備してはみたものの、

 ①ハンドル左右交換に必要なスプール上下のクランク”左巻き用”が無い。

 ②ラインローラーが腐蝕して破損、固定用ナットも正しいものが付いてない。

 という、にっちもさっちもなジャンク状態なので、ちょっと頑張って修繕してみることにして、アレコレ道具やら素材やら買ってお気楽に始めてみたら、えらい苦労してしまいました。

 とりあえず、クランク作成の方は単純で簡単だろうということで、まずはそちらから手を付けてみた。まあ薄い金属板を金切りバサミで切って曲げて穴開けりゃ良いだけの簡単なお仕事です。

 こちらはわりと想定どおりに事が運んで上手くいった。右巻用のクランクは厚さ2ミリあったけど、モノタロウオリジナルの金切りバサミの限界が銅板1.5mmまでとなっていたので、薄い分はテフロンワッシャーでも噛ましておけば事足りるので大丈夫だろうと銅板1.5mmを購入、したんだけど1.5mmもある銅板ってステンレスに比べりゃ堅くないにしてもペンチやら簡易な万力で挟んで曲げる程度で思うように曲げられるのか?っていう不安があってさらに曲げやすそうなアルミの1.5mmとついでに厚さ調整が上手く行かなかった場合の保険としてアルミ2mmの板も購入。使わなかった分はスプーンでも作ればいいやと採算度外視でこの時点で落札900円のゴミスピにサンドペペーパーやらテフロンワッシャーやらの小モノもゴチャッと買ったけど6,175円の追加出資。

 ブツが配達されてみると、1.5mmの銅板はこりゃ無理だっていう感じの堅さで早々に諦めて、1.5mmのアルミでとりあえず行ってみる。

 右用のクランクから型をとって、金切りバサミで切る。この金切りバサミ、テコで倍力するタイプなのもあってか1.5mmのアルミであれば問題無く切ることができた。大まかに切り出して、角を取るように形を整えてやって、端が尖ってないようにサンドペーパーで面取りしてやる。

 でもって、右用クランクと曲がりが対称になるようにペンチ2本で挟んでグイグイ曲げてやって、位置決めして釘でアタリをつけてからハンドドリルで穴開けてダイヤモンドヤスリでバリ取り。

 左巻きにするにはまずオシュレーションカムにクランクをネジで固定しておいてから、ハンドル軸ギア関連一式をズポッと刺す、そのときにギアの上の突起にテフロンワッシャー挟みつつクランクの穴を突っ込んでEクリップで固定する。実際填めてみたら、スプールはちゃんと上下して良い線いってるんだけど、ちょっとスプールが下がりすぎるようで、スプールが乗ってる主軸の横棒がローターナットにあたって音がしている。クランクの曲げを大きくして穴と穴の距離を詰めてスプールが上下する位置を上にズラしてやったらちょうど良い感じになった。一番下の写真のようにハンドル回して窓からクランクの仕事ぶりを観察すると、曲げた形でちょうどハンドル軸のギアにアタらないようになってきちんと機能していて気持ち良い。左巻き用クランクの作成については合格点。

 さてややこしいのがラインローラーのほうで、腐蝕してボロボロと崩れ落ちたラインローラーは、都合良くピタッと填まる部品を別のリールから持ってくるか、それができなきゃ”自作”というやや気が重くなるような作業に突っ込まざるをえない。まあ大森製のリールで似たような形式のラインローラーとかで共通のを探してみるかと、「アトラスⅡ」「マイクロセブンDX」「スーパーデラックス730」と調べてみたけどいずれも互換性なさそう。どのみち2台でパーツ共有というのも気持ち悪いので自作するしかないか、と覚悟を決める。

 通常、ラインローラー自体を自作するなら、真鍮を削り出してクロームメッキをかけるのが妥当だろうけど、真鍮削り出し自体はバス用のブラスシンカーで適当な大きさのを利用して、ドリルで穴を必要な大きさに拡張して、外径をベールやらの所定の位置に填まる直径に削るとともに、形状を昔やった”なんちゃってツイストバスター”みたいにドリルで回転かけつつ調整してやればできるけど、メッキは頼むとエラい金がかかるし個人でホイホイとできる技術じゃない。ので削れるのは織り込み済みで削れたら再度形状調整してやるか作り直す方向で、真鍮剥き出しというのは1つの手だろう。ただハゼ釣りチョイ投げ程度の使用なら削れて糸溝できてくるのに何年もかかるだろうから良いんだけど、ルアーでシーバス想定だともうちょっと投げる頻度も掛かる負荷も大きくて、真鍮剥き出しはやや頼りない。

 でもって試してみたいアイデアが1つあった。ジュラコンスリーブの加工である。ジュラコンというのは商品名でポリアセタール樹脂とかいうのの一種らしく樹脂なのに堅い。過去、ラインローラーのボールベアリング代わりに突っ込んだりするのに穴の大きさ調整でハンドドリルのヤスリで削ったけど、異様に堅くて動画とか見ながら何十分もかけて数ミリ穴を拡張したのを憶えている。ベアリングの代わりにラインローラーの軸受け仕事をやらせて全く問題無い耐久性ってそこそこいけるんじゃないの?っていう感触があってポリアセタール樹脂を成形して作ったラインローラーっていう、樹脂は摩擦に弱く削れるという常識の盲点を突く作戦。まあダメで削れたとしても、削れるまでの期間が長ければ”削れたら作れば良い”って話で1シーズンも持ってくれれば次の出番までに新しいのを拵えて換装すれば良いことになる。

 でもって、ジュラコン製でチクワ状の”スペーサー”と銘打って売ってる部品は、それなりに大きさもいろいろあるので適当なのが見つかるだろうと思いつつ、蔵に転がってる”いつか使うだろう”と買ってあったものの大きさを試しに確認してみると、あつらえたように外径はピッタリ。内径は大きいけどなんか詰め物を考えれば良さそうで、これは”ジュラコンで行け”という流れだろうと作業に入る。

 とりあえず、回転式にするので元々填まってたスリーブの長さを参考にジュラコンを金ノコで切って、ハンドドリルのヤスリの棒にティッシュの詰め物をしてガッチリ填めて回転させながら、ダイヤモンドヤスリを押し当ててなんちゃってツイストバスター的な片側にラインが落ちる谷を作る。つもりだったんだけど、これが過去真鍮相手に問題無くできた工程がまったく進んでいかない。かなりの時間回しても、ちょっと溝が掘れかかったかな?ぐらいの進捗状況で全然削れねえんでやんの。逆に言えばラインで削られにくいわけで好ましいわけだけど、成形できないのではどうにもならん。これだけ堅いと刃物もとおらんよなと、思いつつダメ元でためしてみると、ナイフの刃はそれなりに堅いけど入っていくし削って成形できる。摩擦には強いけど切り削りには弱い的な不思議な物性。なのでちまちまとだいたいの形を作ってしまって仕上げだけハンドドリルで回してダイヤモンドヤスリ。

 お次は穴の径が大きいので、ベール側の軸を太らせなければならない。ブラスシンカー削ってスリーブ作るかと思ったけど正直面倒くせぇ。削れない程度の堅さの金属で太らせれば良いだけなら針金巻いておけば良いんじゃないの?と安直に細いステンレス線何種類か試したら割と良い太さのがあったのでグルグルと巻き付けてローラーよりちょいはみ出させて、かつ微妙に太りすぎたようだったのでジュラコンの穴の方にダイヤモンドヤスリ突っ込んでゴシゴシ穴拡張でローラーのスムーズな回転を確保。ドリルで回転させつつ押しつける程度の圧力では削れていかないけど、手で思いっきり押しつけながらだとそこそこヤスリが効くことも判明。

 しかし止めるナットが無いのはいかんともしがたく、規格品では合わないようなので、ついでにこれも針金で行くかと、ベールアームから突き出したネジ山部分に細いステンレス線を巻き付けて最後ペンチでグリグリとねじりあげたら、とりあえず抜けることはなく止まるようにはなったので、ラインが引っかからないように落ちてたケミホタルの廃品利用でキャップを作って填めてエポキシで固定。これでエポキシが固化すればいっちょ上がり。

 って簡単にいったら”激闘編”にはならんのよねこれがって話で、翌朝固化してラインローラーも回ってるのを確認できて「上手いこといったな」とぬか喜びしつつベールを起こしてハンドル回してリターンをカショーンカショーンと何度かやったら、キャップを止めてるエポキシが割れ始めた。エポキシ割れるのぐらいはエポキシをシリコンに変えるとかで対応できるけど、なんで割れるかっていったらラインローラーが抜けずに止まるようになってはいるけどグラグラで軸がベール返る度とかに動くからで、写真一番上みたいにグラグラして斜めってる状態だとラインローラーの隙間が片側で開いてしまいラインが落ちそうな状態になってる。これはよろしくない。

 キッチリとナットで締め上げて、グラつかないようにしないとだけど、ピッタリのナットの確保が難しいから針金で縛ったわけだし、元の持ち主もスカスカのナットを接着剤で固めてたわけで手に入らん。万事窮すか?と思いつつ頭抱えて唸っていると、針金をネジ山にグルグルして太らせて大きめのナットで填まるヤツを探すってどうだ?と思いついたんだけど、それってそういうネジ穴が舐めきったときの修繕用で”リコイル”っていう手法で、かつそれ用のコイルが以前使ったのが余ってるのではと出してきて、填めてみたら綺麗に填まるんでやがんの。そしてナットはM2.6の規格品がドンピシャで、余ったバネ部分の針金がナットの下からチョロリ出てくるけどそれをニッパで切り取れば、ベールがグラつかないようにしっかり締めることができた。

 ふーっ、これで一件落着ってなれば良かったんだけど、これがそうはいかねんだわ。しっかり締めたら今度はグルグル巻きにした、軸の太さ調整のステンレス線の部分が太ってしまいラインローラー固定されてしまう。あちらを立てればこちらが立たず、帯に短したすきに長し、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、ってなもんで悶絶。

 まーたラインローラーの穴を削るか?って思ったけど、そろそろ谷を作った溝が穴に近づいてちょっとヤバめ。しょうがないステンの針金のもうちょいだけ細いのを買うかと思ったけど、どうせ買うなら厚みの(ということはスペーサーとしての長さも)安定しないグルグル方式の針金を買うのではなくてパイプ買おうそうしよう。ってことでアマゾンでちょうど短めの真鍮パイプの太さ何種類かのセットがあったのでスルリとマウスを滑らせてクリッククリック。1,738円の追加出資。最近読んだマンガに「博打打ちは過去の負け分まで回収しなければいけないとムキになって自滅する」的なことが書かれていたけど、ここまでオゼゼと時間を費やしておいて負けてなるものかとは確かに思う、という相変わらず”損切り”のできないワシであった。

 届いて、太さ確認してみるとちょうど良さげなのが一本あって「負けもここまでよ!」と何が”負け”なのかよく分からんけど安堵する。削れたら作り直しっていうのを想定すると、穴削ってしまってる一個目のに合わせたパイプでは毎回穴削る無駄な作業が出るのでローラーはまたジュラコン切って削って新規に作成。

 真鍮パイプと軸の隙間は固定してしまえば削れるモノでも無いのでナイロンラインでグルグル巻いて埋めてエポキシで固定。チョイと真鍮パイプを長くしてかつ隙間にラインが落ちないようにパイプの長さをヤスリで削って微調整して、リコイル噛ませてナットで締めて固定。ちゃんとローラー滑らかに回ってる。ナットにラインが絡まないようにエポキシ盛ってやる。

 って感じで一晩おいたのがこちらでございます。良い感じじゃん。ベール反転カショーンカショーンってやっても今度はヒビは入ったりせず大丈夫、グリスとオイルで回転もそこそこ滑らか。まあたまに回ってくれれば糸溝掘れにくい程度でラインが一箇所に落ち着いて転がりにくいのがラインローラーのキモだとは思ってる。

 って感じで落札価格900円のゴミスピに多大な労力とそれなりの金額をつっこんで一応仕上がりはしたんだけど、結局釣り具の評価は魚釣らんと分からんってのがあるので、実戦導入してみます。苦労しただけに釣れたら嬉しいと思う。ちょい大きめの360グラム強でサイズ感としてはちょうどダム「クイック220」に似た感じなので、重いリール担当の初代アグリースティック7fと組ませてこの春シーズン超接近戦のN川担当で試してみたい。前回書いたように今期主力はマニュアルピックアップ化した丸ミッチェル「304」で行くことにしているけど、N川専属でこの「カプリⅡ」を試して、あんまり塩梅良くなければ、大森ダイヤモンド「デラックススーパー730」に継投という体制でいざ尋常に勝負勝負!

 最近すっかりPENNの出番がないけど、秋には714z主軸に戻そうかなとか考えてます。って書いておいて、秋になったら針金ベールのリール使ってたりして。まあ、なんにせよ楽しんでみます。

2023年3月4日土曜日

ややレア?大森製コンパック「カプリⅡ」サンレイ商会ってなんぞ?

 ネットオークションで、ジャンクリールとしてコンパックブランドのこの見慣れない「カブリⅡ」というスピニングが出てきた。独特の色あいといい、ローター下部の角度といい、コンパック「アトラスⅡ」を彷彿とさせる特徴がありどうにも大森っぽい。サイズがやや大きめ中型機で、あと見た目ボロいことから入札者ワシぐらいしかおらんだろうという予想どおり、競らずに開始価格の900円+送料1100円と送料の方が高い立派なゴミスピ価格。

 届いて足の裏を確認すると「OMORI S.S.(最初のOに上線)」とあり、大森製作所製のスピニングで間違いなさそう。

 ちょっとネットで調べてみると、箱ありで売られた事例が目について、”箱書き”ある程度読めたんだけど、コンパック「No.86 カプリⅡ」と表記があり、製造は大森製作所、販売は「サンレイ商会」となっていて、コンパックブランドの国内販売元として、「サンレイ商会」というのがあったのかもしれない。コンパックで検索してて箱入りのモノが出てくるとたまに見る商会名(※タレコミによるとコンパックのというより大森製作所の販売店っぽい)

 ちなみに「カプリⅣ」ってのもネット検索してると出てくるけど、どう見ても茶色い「マイクロセブンDX」で、つまりコンパック89「アトラスⅢ」と同型機、なんで同じブランドで別の名前ででてるんじゃ?という混沌とした状況(※ゴメン間違い。カプリⅣは同じデラックススーパー系でもっと大きいサイズ)

 まあ、そのへんの販売上のあれこれやら歴史やらはとりあえず脇に避けておいて、このブツにはぱっと見て、非常に怪しい部分が見えているので、私気になります!

 右の写真をみたら、「ああこれアレっぽいな」と予想が付く方も多いのではないでしょうか。

 そう、これD・A・M「クイック110」とかで見られた、ハンドルとハンドル軸ギア、ついでに逆転防止関係をまとめてズボッと抜いて、ハンドルが左右逆に付け替え可能なリールなんではなかろうか?とハンドル軸のギアが3つのネジを外せばヌポッと抜けそうなのと、反対側にその抜いたハンドル軸側の一式を突っ込んで収まりそうな穴の蓋がやっぱり3つのネジで止められているのを見たらある程度予想できる。

 まあ予想どおりかどうか、分解整備していけばわかるだろうから、いつものようにスプール周りからボチボチとバラしていく。

 ワンタッチスプールなんだけど、なぜかエポキシで上部を固められていたりして、そいつを引っぺがして、やや堅く抜けが悪かったのは、刺さってる主軸の頭の金属板のバネを調整して正常に作動するようにしておいた。

 以前の持ち主が、塩梅悪いと接着剤で固めるという悪癖があったようで、実はラインローラーを留めるナットがサイズ合ってないんだけど、接着剤で固めて落ちないようにだけされていて、グラグラで全く機能していないというジャンクぶりも早々に判明している。

 ドラグは3階建てなんだけど、ちょっと意図が不明な設計になっていて、下の二枚のドラグパッドに比べて一番上の革製っぽいドラグパッドが直径大きい。

 当然、スプール側の穴にも段差があって、かつ2枚パットがはいるにはやや浅めで、革も赤い繊維のパッドも劣化して怪しくなってたので、パッドは交換したんだけど、下の2枚は薄くて滑りが良いテフロン仕上げ硝子繊維シートにして、一番上を2mmの硬質フェルトにして、実質フェルト1枚が仕事をするドラグに仕上げたら割と良い感じに仕上がった。ドラグパッドの直径に違いがあると、大きい直径のドラグパッドの性質が強く反映されるように感じたところ。ちなみに最初、上のパッドを百均フェルト製にしてみたら厚さが足りず、ドラグノブがスプール上面にアタって干渉してしまい塩梅悪かった。

 ラインローラー周りが、ちょっと壊滅的で前述のように止めるナットがサイズ合ってないのを接着剤で固めてあるだけという、やっつけな前の持ち主の処理もあれだけど、ラインローラーについては大森製作所自体もやらかしてて、常々ワシャ水が入るこの位置に錆びる部品(であるボールベアリング)を入れてはいけないと書いてきたけど、このラインローラー、ローラーもスリーブも鉄系で固着より何より、ハズしたらボロッと崩れるぐらいに錆びてボロボロになっていた。本体内部である程度防水されているギアの芯とかが鋼製なのは、グリスシーリングで錆びるのは概ね防げる。でもラインローラーは何度も書くけど浸水しまくる位置であり、こんなところに錆びる部品を持ってくるのは愚かである。大森製作所もまだそのへん分かってなかったということか。初期の大森スピニングは前回取りあげたシエラⅣとかでもそうだったけど、なんというかいろんなスピニングの設計を手当たり次第に試してた気配があって、このあたりは模索の時期にあったのかなという気がする。

 ローター周りは、この頃から既にベールアームと反対側にベールリリースの機構を組み込んで重量を分散させていて、このへんは後の大森スピニングにも脈々と受け継がれていく美点かと。

 蹴飛ばしが、リングを折り曲げたのではなく、本体に刺さってる別部品なのも丁寧な作り。

 ちなみにローター軸のギアにもボールベアリングは使われておらず、アルミかもしくは亜鉛のでっかいブッシュがローター軸ギアにはまってて、BBB団の皆様お待たせしました、このコンパック「カプリⅡ」はボールベアリングレス機です。ボールベアリングレスだとなると、がぜん使ってみたくなるややこしい性分。でもラインローラーが無いのはどうにも処置が難しいけど、なんとかならんもんだろうか?

 今シーバス用にメインで使ってるのがマニュアルピックアップ化した丸ミッチェル304なんだけど、マニュアルピックアップだいぶ手が馴染んできたけどそれでもラインを指で拾い損ねることがあるので、モタクサしてると食ってくる場所から外れてしまう超近距離戦が予想されるN川攻略の日には別のリール使った方がイイかもと思ってて、まあボールベアリングレス機にこだわるのであればPENN720zが手に馴染んでもいるし適任ではあるけど、コイツを実戦導入できたらなお楽しめるかもしれん。なんか修繕の手を考えてみたいところ。

 でもって蓋を開けていくと、ドーンと鎮座しますのはアトラスⅡに良く似た感じの亜鉛鋳造っぽいウォームギア。そりゃそうだダムクイック110とかと同様のハンドル左右切り換え方式なら当然ひっくり返してもギアの歯切の方向が同じになるウォームギア方式じゃないとおかしい。

 でもって、予想どおり”ダムクイック方式”でハンドル、ハンドル軸のギア、その裏の逆転防止機構はセットでズボッと抜けて左右入れ換え可能なようだ。

 ただ、ダムクイック110では、逆転防止のレバーは、逆転防止、フリー、正転防止と逆付けした際をあらかじめ想定して、正転防止という普段は使わないレバー位置も用意されていたけど、このリールにおいては爪とバネを一旦ハズして逆位置に付け替える必要があるようだ。

 でもって、ちょっと笑ったのがハンドルの固定方法で、そこまでダムのまねせんでも良いだろ?って思うんだけど、ピンがネジじゃなくて押しこむ方式。で抜くのも千枚通しとかあてておいて、木槌でトントンというD・A・M式のお作法どおりで抜けてくれる。

 まず間違いなくダム社製スピニングを参考に設計したんだろうけど、黎明期のオリムピックみたいにフルコピーしたわけじゃなくて、基本的な設計思想を拝借しつつ大森独自の味ツケにしてるんだけど、にもかかわらずハンドルピンはネジじゃないんかい?ってところがツボに入った。大森製作所の技術者もダムクイックを分解するのに「ハンドルピンどうやって抜くんだ?」って苦闘したのが印象に残り、ダムクイックを手本に作るならハンドルピンはネジじゃダメ!って思ったとかだろうか?

 いずれにせよ、面白いリールでラインローラーをどうするかは考えなきゃならんけど、稼動品までもちこんでなんとか実戦導入してみたくなってきた。ということで、とりあえず左巻きにして、グリスグッチャリシーリングして一旦作業終了しようとしたら、これがもいっちょ問題発生。

 上の写真のように、爪を右から左に移動するのは問題無くできた。これで左巻きの時に正常に逆転防止が機能するはずである。

 そして、ハンドル軸のギアを突っ込んでハンドルもピンブッ刺して取り付けて、左側からそれらを突っ込もうとして、オシュレー(スプール上下)のクランクがどうにも塩梅が悪いことに気がついた。クイック110の時は、クランクは平面的で左右どちらにするときにも、ギアの上から真っ直ぐ出て、オシュレーションスライダーの両面どちらからでも固定可能になっているのでクランクは左右兼用できた。しかし本機ではクランクは写真下の様にグイッと曲がって下がってオシュレーションスライダーの真ん中へんに刺さって上からネジで留める構造になっている。対称形になってないので、ひっくり返そうがどうしようがこのクランクは右巻専用で、左巻きにするには反対側に曲がったクランクが別途必要である。強引に曲げてなんとかならんかとちょっと試すも2mmぐらいの分厚いステンレスっぽい板製なので曲がらん。箱に左用クランクとか同封されて売られてたのかもだけど現状無いモンは無い。

 ちょっと困った。困ったけど、クランクはそれほど強度必要ではないだろうから、2mm厚のステンは加工できなくても、銅板ならあるいはアルミ板なら加工できるのではないだろうか?という気もするので、もがけばもがくほどどんどん沼に足が沈んでいくような感触は覚えるんだけど、とりあえずクランクは薄板加工に挑戦、ラインローラーも試したいアイデアがあったので、ちょっと頑張ってみることにしました。

 なにしろ、がーんとデカいブッシュがはいってるだけでボールベアリングなしってのと、ダムっぽい凝った左右切り換え方式、そしてなによりウォームギア機というのもあって、売れるような弾では全然ないし、いじれるだけイジリ倒してなんとか稼動機に持っていって魚釣ってみたいと思って悪戦苦闘してみました。悪戦苦闘の様子は長くなりそうなので次回回しということで、珍しく”引き”終わりです。こうご期待。