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2018年11月3日土曜日

大森ダイヤモンドは永遠に

 最近アタイ以外のリールにばっかりかまけてて悔しいッ!

 と、430ssgちゃんやら4400SSちゃんやらがプンスカしてそうだけど、今回もPENN以外のスピニングリールネタ。まあ「昔の女」的な想い出話なので許してネ。

 全てのスピニングリールをスピンフィッシャーでまかなうような偏狭で妄執に凝り固まった私だけど、最初っからそんな釣り人じゃなかったということはここに書き記しておきたい。ダイワもシマノもリョービも使ったことがある。オリムピックはそういやトゥルーテンパーが初めてだな。
 でも「PENN使い」になるまえに好きだったのは大森製作所であるというのは以前にも書いたとおりで、今でも学生時代から社会人になってしばらくの間愛用していたダイヤモンドリール3台が蔵に眠っている。”ダイヤモンド”キャリアーNO.1、同マイコン302TB、同マイコン301TBである。
 2台はベールスプリングが折れているので使用不能で3台とも後継はスピンフッシャーに任せて引退させてあった。

 しかしながらも恥ずかしながら最近スピニングリールのことばかりを考えていて、引退させてたダイヤモンドリールもクリクリ回してみて、部品1個ありゃ直るのになと思ってしまった。
 古リール好きが、パーツを特注して愛機を使い続けているというのは知識としては知っていたけど、バネ一つだけ作ってもらうっていうわけにはいかず、何十個とかの単位で買わねばならないものだと思っていた。それってお高いんでしょう?
 そういうマニアが大量に作った部品をネットオークションでばら売りしているのとかは散見されたし、ABU社カーディナルとかミッチェル社のインスプールモデルとかの人気機種の部品ならあるだろうけど、大森製作所じゃ無理だろなと思いつつも、ネットオークションでひょっとして程度の悪い中古でも”ゴミスピ”価格で安く手に入れば、そこから部品持ってきても良いかと眺めてみたら、部品ばら売りがなかったのは予想してたけど、ダイヤモンドリールの人気の高さは正直予想外で驚いた。
 インスプールのコメットが人気なのは知ってたけど、アウトスプールのマイクロセブン、タックルオートやマイコンシリーズも軒並みイイ値段で、特に小さいのはちょっとパーツ取りに1台って感じじゃない。キャリアーとか弾数少なくて相場が分からなかったので検索かけて調べてみたら、一番小さい”SS”は何万円って値が付くらしい(訂正:ゴメン一番小さいのは”ミニ”だった)。


 ネットオークションはあきらめて、nori shioさんに教えてもらった「須山スプリング製作所」さんでベールスプリング作ってもらったらなんぼするンやろ?でもお高いんでしょう?と試しに見てみたら、なんと最小単位はアウトスプールの”トーション式”なら5個から、インスプールのグルグルバネ式なら2個から、どちらも1000円+消費税送料で請け負ってくれるとのこと。頼んだ。脊髄反射で速攻で。


 「見本」として折れたベールスプリングを郵送して待つことしばし。ってほどでもなく1週間もしないうちにサクサクッという感じで、見本とともに5本ずつできたベールスプリングが郵送されてきてポストに入ってたので、ワクワクしながら早速組んでみた。
 ベールを折りたためる機構も同じ場所に入っているのでちょっと組み立ての順番がパズルっぽかったけど、まあ初めてじゃないし昔取った杵柄で何とか組み込んで無事復活。
 こういうサービスは本当にありがたい。モノなんか壊れたらどんどん新しいの買って経済回しましょうなんて、それも大事なことかも知れないし現実そうなってる部分もあるんだろうけど、そんなんばっかじゃもういろいろ立ちゆかないだろうって状況になってきてるし、良いもの大事に直しながら使ってくのって、やっぱり理屈じゃなくて直感的にそれも正しいんだと思う。新品売らなきゃならん釣具屋やらはその分苦労するのかも知れないけど、そういうご時世だと思って気合い入れて良いもの作ってくれとしか言いようがない。再利用とか部品だけとかに関連した小商いとかも、それはそれで立派な経済活動だろという気もする。

 でもって、復活したリールをクリクリ回したり、ベールをハンドル回してカションと戻り具合を確かめてみたりして、改めてダイヤモンドリールのデキの良さを実感させられた。
 大森ファンは声を大にして褒めちぎるけど、正直使ってたけどそれ程でもないやネ、普通の良いリールだヨと思ってた。しかしながら、認識改めてワシも褒めちぎらざるをえんなこれは。
 使ってたときも以前サイトの方でキャリアーについて「どうということはないリール」と書いてたように、取り立ててスゴイ高性能だったり驚きの機能があったりというリールじゃなくて”普通”のリールだと思ってた。
 でも、よく考えたら年間100日以上平気で釣りに行ってたような若い頃に、何年も使い倒して、ベールスプリングが折れるまで他のを買う気も起こらなかったという不具合のなさが既に非凡である。
 リールとしての基本性能である回転性能とかがなにげにイイ。今現在愛用してるのがスピンフィッシャーという丈夫方面とドラグ方面が得意だけど、そういう方面は全然期待してないリールだからというのもあるだろうけど、巻き取りが軽やかで単に軽いというよりバランス良く回ってくれる。ベール手で返してたので今回初めて分かったけど、ハンドル回してベールが返るときの抵抗も軽くて音もガッチャンじゃなくてカションと鳴る。
 そんなこと言ったって、いまのイグジストやらステラやらと比べたらショボいでしょ?と思うだろう。それは半分正解で半分不正解だと思う。
 ダイヤモンドリールの少なくともマイコンやキャリアーは大手の旗艦機と比較するようなリールじゃない。どっちかというと安い価格帯のリールでダイワ、シマノ、オリンピック、リョービの四天王の隙間を縫って職人技と上手な設計で良心的な価格で玄人好みの良いリールを売ってた「スピニングリール屋」謹製のリールだったのである(断言)。
 私が買った90年代には既に大森製作所は傾きかかってて、釣具屋さんも古い在庫を貧乏学生に買える値段で安く売ってくれたように記憶していて、キャリアーは3千円かそこらだったような気がする。だから万札飛んでくよな値段付いてるとビックリするんである。なんせ高価なベアリング様は1個しか使ってないような庶民派でっセ。
 もし、今時のリールで比較するなら5~7千円とかの機種で比較しろと。そのぐらいの機種となら20年以上経った今でも使い心地で互角以上に闘いそうなぐらい回転性能良いし、逆転防止の遊びも少なくて4桁スピンフィッシャーほどには今の機種に慣れてる人が触っても違和感ないように思う。ゴチャついてない適材適所な基本設計からくる壊れにくさとか「上位機種の劣化版」という印象がなく特別感があるというのなんかを上乗せすれば多分圧勝する。だから中古でも5~7千円なら人気機種でなくても普通にしてるんだと思う。今の5~7千円のリールがダメなんじゃなくて凄く良くなってると思うんだけど、20年前においてはダイヤモンドリールが多分特別だったんだと思う。
 今の5~7千円のリール買っても、古いダイヤモンドリールの程度の良いのを探してきても、多分ほとんどの釣り人が「クソたっかいリール買わんでもコレでいけるやン」と普通に使えると思う。
 回転軸を90度捻ってグリグリ回すというケッタイな糸巻きで”普通に使える”といのがどれほど難しいかってところで、今の普及品も昔の大森もエライってことだろう。

 でもって「マイコン」についてだけど、過去私は「ドラグの効きはいまいち」と書いた。「いつもスムーズに動かない小さい方(註:301TB)のドラグが奇跡的に働いてくれて釣れた」という昔話も紹介した。
 「ダイヤモンドマイコンさんスイマセンでした。私が間違ってました。」
 と、まずは平謝りに謝っておこう。
 いや~ネットの情報ってあてになんないよね~嘘ばっかり。

 今回2台を復活させたついでに、分解してじっくり鑑賞するとともにグリス塗り直すかなとバラしてみて、仕舞うときに分解清掃したのか綺麗な状態で、マイコンは海で使いまくってたけどドラグを押さえるバネがちょっと錆びてたぐらいで問題なく、錆だけ落として本体はグリスもそのままでドラグだけ何とかイマイチ状態を脱出するにはどうすれば良いかなといじくってて、そもそも使ってた当時の状態でライン引き出してみて違和感が走った。
 「えらい堅く締めてるな?」
 マイコンシリーズはドラグがスプールの上の方じゃなくて、リールのお尻のほうに付いている”リアドラグ”方式が大人気を呼んで、ダイヤモンドリール史上最大のヒット作となったシリーズ。同時にスピニングリールに一大リアドラグブームを巻き起こした歴史的なリールでもありながら、それまで手堅い設計で玄人好みのリールを作ってた大森製作所がへんな方向に行き始めた元凶となった傾国のリールであるとも好事家の間でまことしやかに囁かれていて、そのせいか弾数の多さゆえか中古でもそれ程値段が付いていない。
 リアドラグって一般的に糸巻いてあるところから距離が離れるから効き悪いよねってのが今時の常識で、大森製作所をもってしてもそこから逃れられないと思っていた。

 でも違った。
 マイコンのリアドラグは、 右の写真のようにドラグを締めるネジを切った部品の上に数字を振ったキャップをネジ止めする構造になっていて、キャップは1周しか回せないけど、どのぐらい締めるかはあらかじめ持ち主が調整しておけるようになっている。ドラグパッドを押さえつけるバネがへたってきたりグリスアップでドラグの効きが違ってきたりしたら再調整ができるというよく考えられた仕組みである。これだと調子に乗ってゆるめすぎてキャップを落としたりしないし、あらかじめ調整して数値化して把握しておいたドラグ値にファイト中にサッと変更可能である。
 でも、リアドラグ方式はそもそも安定しないから数値どおりのドラグ値になんてならないよねと思ってたのだけど、ハッキリ言って当時のナマジ青年がドラグのなんたるかをよく知らなかったから調整に失敗して締めすぎてたというのが判明した。
 手で引っ張ったときにズルズル出てこないぐらいに「締めたときには止まる」のが大事だと思ってきつめに締めてた。結果最大限ゆるめてもそれ程ライン出て行かず実質的な調整幅も極狭くて「ドラグ効かない」と感じる状態になっていた。
 普通にシーバス狙うときのような8ポンド2号のナイロンラインを切れないように、締めたとしても2ポンド約1キロ前後で滑り出す程度を上限にまあ1ポンド以下を中心にというような、実釣に即した緩めの設定にしてやると「ドラグが良い」とまでは行かないまでも、充分にドラグを使った釣りになる程度の性能がありそうに思う。部屋の中で手で引っ張るのと竿も介して魚に実際に引っ張られるのとでは違うことも多いけど、昔の想い出の中にあるマイコンのリアドラグの印象とは全く別物のまともなドラグだというのは間違いなさそうである。海より深く反省した。

 とはいえ、リアドラグが好きになるかというとそうでもなくて、写真見てもらえば分かるように大森製作所の職人技を持ってしても、リアドラグをまともに機能するように設計すると、部品も多くなるし実際ドラグを押さえる大っきなバネが錆びたりと、壊れる部分が増えてしまうのである。
 この写真を撮ってからグリス拭き取りながら作業してたら、さらにキャップの中にはもう一枚スリーブが入ってたし、一番左の部品は筒状の部品にドラグ音鳴らす歯車とワッシャー2枚が組み合わさっていて写真以上に部品数多いのである。さすがに手が油で汚れてから写真撮り直すのははばかられたので想像以上のややこしさを写しきれてないのはご容赦願いたい。

 部品数が増えれば当然リール自体が大きく重くなる。
 実はマイコン301TBはキャリアーNo.1より大きくてPENNで言えば4400に相当すると思ってて、そう過去に書いていた。
 マイコン301TBはJOSさんが元の持ち主に「うちの後輩に大森のリール好きなヤツがいるよ」と話したら、もう使ってないのがあるからあげるよということでJOSさん経由でいただいたモノで、その時点でシールも剥がれていて、今回ネットで調べて大森製作所でいうところの「No.1」の糸巻き量に相当すると初めて知ったところである。ちなみに「ミニ」とつくのが一番小さくてその次に小さい「SS」がPENNなら4200相当で「No.1」が4300相当、以降数字が大きくなるとリールも大きくなる。
 写真で並べても同じ糸巻き量なのに大きさ違って見えると思うけど、実物だともっと差があるように感じる。

 そのぐらい大きく重く複雑にしてまでリアドラグにする必要あるのか?と聞かれれば、ファイト中にドラグいじる人には価値があったのかな?という気もするけど、ファイト中には赤子泣いてもドラグいじらない派の自分としては、別にいらんがナと正直思う。
 じゃあなんで、そんな質面倒くさい機構をマイコンは付けたのか、そして人気を呼んでリアドラグブームまで来てしまったのか?
 私が思うには9割方その理由は昔のABU社カーディナルのリアドラグが格好良かったからだと思う。
  釣り具なんて好きか嫌いかが重要で、性能とか重いとか、ましてや値段の高い安いなんてのは格好良さの前では割とどうでも良かったりする。
 遊びで面白おかしく魚釣りするのに、多少のデキの悪さだのは我慢できても格好悪いのだけは我慢できないってのはお好きな人なら分かるでしょって話。

 マイコンシリーズ、中古市場を見る限りじゃそれほど人気ないし、評価しない人もいるかも知れないけど、そんなことはどうでも良いんである。
 学生時代から愛用してベールスプリング折れるまで使い切ったマイコン302TBもキャリアーNo.1も、縁あって手元にやってきた2人の主人に仕えて楽しい釣りを友にしてくれたマイコン301TBも自分にとっては最高に価値のある格好いいリールで、3台とも使える状態になったし、想い出に浸りながらいつの日か釣り場に再度持ち出す日まで、また蔵で眠ってもらうことにしよう。

 想い出の詰まった思い入れタップリのこのリール達。なんぼ金積まれても売る気はないけど、私にマイコン301TBを託してくれた釣り人の気持ちは歳食ってなんとなく分かってきたような気がしている。
 想い出だけ心に残れば、使ってくれる人にあげるってのは悪くないのかもしれない。

2022年5月14日土曜日

やっぱりワシは、このあたりが好きっ!

  マイクロセブンCSはこれで4台目である。マイクロセブンCシリーズ全体ではシェイクスピア版も含めてわが家にゃ都合”11台いる!”。最近写真中央のC1のボロ個体が活躍してくれているけど、ハッキリ言ってデキが良い!なんだかんだいっても釣り具は釣果でその良さが証明されるはず。若いときに使ってたキャリアーも先週書いたように大好きだけど、好みで言えば正直マイクロセブンCが自分好みだと思う。ちょいとだけ目方的に重くなるけど、その分補強入れたりネジが樹脂本体に直接タップネジじゃなくて金属の雌ネジ填め込んであったりで作りが丁寧で丈夫。銘板剥がれて、ベールワイヤーのベールアームと反対側の支持部が錆び付いて、ベアリングもシャーシャー鳴ってたようなボロボロ固体でも、ギアがおかしな事になってるような固体にはお目にかかったことがなく整備してやれば快調に復活する。ハンドルのウッドノブは多少重量増につながってるかもだけど、軸が細いのは指の腹が痛くならなくてワシ的には握りやすい形状でわりと好き。簡易ローターブレーキのおかげもあってか投げるときハンドル回ってベールが返ってしまうとかの問題もなく、使ってて全体通しての不具合としては”フカセ”でユルいラインを巻き取るときにドラグノブのツマミの段差に巻いてしまったぐらいで、それもエポキシ盛って対応済みで、ドラグはテフロンパッド3階建ての優秀なのが付いててCSでラインがチリチリになるまで走るボラで試験したけど、全く問題ない優秀さで(ちなみにスプールはキャリアーと共通規格でドラグも同じ)、巻き心地も大森ハイポイドフェースギア機らしい素直な滑らかさで、とにかく使ってて快適で気持ちいい。

 「大森製作所は大衆に迎合した大手みたいなリールを作るようになって潰れた」という論調は多く目にするけど、ワシそれにはいつも疑義を呈してきた。その証拠としてマイクロセブンCシリーズを出したのにたいして売れなかったし、今でも中古市場では多少ボロいとはいえ値段がつくはずの小型のCSが落札価格千円台と”不人気実力派”に甘んじている。っていうのがあげられると思う。ワシ、このマイクロセブンCシリーズはほぼアウトスプールスピニングの完成形で、良いもの作ってれば売れるのなら、大森製作所は今でもこのシリーズをマイナーチェンジ加え続けながら売っていて然るべきだと思うぐらいで、具体的に今時版に改良するなら、スプールエッジの形状を真っ直ぐにしてスプール上下幅キッチリに糸巻きの幅を合わせる。ベール支持部の耐腐食性を上げる。ベールスプリングの耐久性をコイルスプリング方式にするなどして上げる、ラインローラーを大きさ重さは同程度のまま素材を硬質なものに変更(そのままでも良いかも)し形状をラインが転がりにくい形状に調整。ドラグノブにライン巻かないように段差無くす。ハンドルノブを今時の軽くて摘まみやすいのも選べるようにする。銘板剥がれないように良い接着剤使う。ぐらいで丈夫でそこそこ軽くて巻きが滑らかドラグ優秀整備性良好価格適正の”究極の1台”になってておかしくないはずである。でも、現実には大森製作所はとっくの昔になくなったメーカーだし、市場にはアホみたいな瞬間的逆転防止機構が搭載されてバカみたいな高額な値札が貼られた高級リール様が幅をきかせている。大森製作所の末期の様を嘆くときに鋭い論者だと「何やっても潰れたかもだけど、どうせ潰れるなら最後まで大森らしさを貫き通して欲しかった」という論調になってて、そこはある程度同意できるけど、無邪気に”良いものを作ってれば潰れなかった”とか書かれてしまうと、そうじゃねぇだろ?って、現実も全体像も見えてないお気楽な論者だなって、正直思ってしまう。ゴメンナサイ。

 ワシがしつこくしつこくマイクロセブンCシリーズ(とかPENNスピンフィッシャーやら)をネタに褒めちぎるのは、こういう単純明快なリールが多くの普通の釣り人にとっては良いリールなんですっていうのを世に知らしめて啓蒙し、いつの日か愚にもつかない瞬間逆転防止機構なんていう害悪が載っかってない、適正価格で新品手に入れることができ自分で手入れして長く使える素晴らしいリールが新たに作られる日が来て欲しいからである。何をエラそうにと自分でも思うけど、エラそうに書かないと自分で物事判断できない人種は影響されてくれないようなので、なんかさも権威ある人間の意見であるかのごとくエラそうに書きます。そして、数値化した指標はアホでも理解しやすいので、アホのように数を買っているのである(嘘です後付けの屁理屈です)。

 とはいえ、さすがにマイクロセブンCネタも新たに書くようなことは少なくて、今回新たにベールスプリング自作という”名工への道”的な試みについてと、意外なところで関連が出てきたかもなマイコン301TBネタ、ついでにこの春に買った大森5台の最後の1台余らせても仕方ないのでマイクロセブンNo.2ネタもチョイと突っ込んでおこうと思いますので、お暇なかたはどうぞお楽しみください。

 今回入手した、マイクロセブンCSはボロかった。ベールスプリングは折れていて、須山スプリングさんで作ってもらおうかと思ったけど、これまでベールスプリングとかの力の掛かるところ以外のバネは自作可能とステンレスワイヤーとかで自作してたんだけど、今回そのベールスプリングも作ってみようと思い立った。きっかけは、PENNのパーツ屋さんである「「MYSTIC REEL PARTS」」さんが海外発送やめてしまったちょっと後ぐらいに、ヤフ○クにPENNのベールスプリングを手曲げで自作して出品している人が現れて、隙間見付けて上手に小遣い稼ぎしてるなと感心しつつ、バネ屋さんに発注するより安めの絶妙な値段設定もあって、これで確保できるなら便利なので1票入れる意味で買ってみた。耐久性とかは使わないと分からないけど、填めてベールの返りとか試した段階の感触では、わりと大丈夫そう。そうなると、材料さえ手に入れば手で曲げて作っても少なくとも当座をしのげるような代物は素人でも作れるのでは?ということを考えてしまい試してみることとした。

 ステンレスの硬線があると錆にも強くて良いのかもだけど、太さ見ながら買いたかったので近所のホームセンターで探したら硬鋼線(ピアノ線)しかなかったので、とりあえずコレで行くことにした。太さは0.55ミリのと0.7ミリのを買って、とりあえず細い方が加工しやすいだろうということで、まずは0.55ミリの方で作ってみた。

 道具は、ルア-自作とかフックハンガー作成とかの際のワイヤー加工のために買った針金加工用のペンチがあるので、それと普通のペンチでグリグリと加工する。針金加工用のペンチは片方が円錐形になってるので、そこにピアノ線を巻き付けるようにしながら適宜挟んで型をつけて、欲しい3回巻きのバネを作成。あとは元のバネの長さに合わせて先を曲げて切ってハイ完成、って感じでこの太さのピアノ線なら特に難しくない。細いのでややベールの返りがおとなしい感じになるけど、ちゃんと閉じるのでとりあえずは使えるようだ。そのうちよく使うであろうC1用にも作成して0.7ミリと0.55ミリで比較して耐久性とか見てみたいところ。綱線なので錆には弱いかもだけど強度的にはそれなりにありそうに思う。多少錆びたり耐久性に乏しかったりしても、自分で作れるのならどのぐらいでダメになるか把握して、定期的に交換してしまうという手も使える。錆が問題になるようなら太さの感じも掴めたしステンレス硬線買い直しても数百円である。強度的には意外と何とかなりそうな気配で、自作で良いなら金もそんなにかからんし、いいかもしれん。とりあえず今回のCS、ベアリングがシャーシャー言ってるのは回していると錆が削れてベアリング復活するという話を読んで(ぬこさんマジっすか?)今度試してみようと放置してあるけど、他はグリス大盛りで整備して快調、いつでも出撃できるよう準備万端にしておいた。

 お次は「マイコン301TB」なんだけど、TBシリーズはマイコンシリーズで屈指の完成度だと思うんだけど、全く人気はなく、もう一回書くけど落札価格1000円のゴミスピ価格はどうなのよ?って思う。みんな見る目がなさ過ぎる。何が良いって大森後期の作でスプールエッジが比較的真っ直ぐで、かつ丈夫な金属製、そして今回全バラフルメンテしてて気がついたんだけど、初代マイコンがスプール上下はギアを介して減速なりしているのに対してTBシリーズ単純なハンドル1回転一往復のクランク方式になってて、それゆえ綾巻き系でかつスプール幅狭めの直径大きめでライントラブルが少ない。ラインのヨレをライン出し入れ無しでハンドル逆回転させてとる、という”TB”の名前のもとになってる”ツイストバックシステム”のワケのわからなさが目立つかもしれないけれど、ツイストバックシステムたいした機構ではなくてジャマにはならずで、使ってみるとトラブル少なく投げて巻いての基本性能がしっかりしててなかなかに良くできてるのが分かる。これワシだけの偏見じゃないみたいで大森仲間のSUZUKIさんも1台入手して使ってみて”使えます”と太鼓判押されてたのでやっぱりデキが良いんだと思う。

 今回の個体はわが家に来たときには、まともにハンドル回せないぐらいに重くなってたんだけど、毎度のことながら大森スピニングがギアとか逝ってるわきゃなくて、グリスが固まってるだけだろうってことで、全バラフルメンテグリスシーリングを敢行。案の定、スプール外した時点でローター軸のギアの出口のところに茶色くグリスがこびり付いていて、ギアでグリスが固まってるよりローター軸のギアの中で主軸に古いグリスがこびり付いているのが巻きが重い原因のようだった。ここにはいつもグリスじゃなくてオイルを使ってるぐらいで、軸とギアが筒の中の広い面積で接するので粘性の高いグリスよりオイルが良いと思ってる。

 でもってついでにツイストバックシステムの解説。さっき書いたように機構は単純で、ローターの下部にあるレバーを入れると、ローター上部のスプール内側に突起が飛び出して、ローターの内側壁面にある出っ張りに引っかかるようになる。使い方としてはラインの端をどこかに固定してヨレの入ってる長さの分引っ張り出す。そしてドラグユルユルにして(註:ドラグそのままで良かった)、ツイストバックシステムをONにして、ラインを張りながらハンドルを逆転させると、ローターが逆回転するけどローターとスプールが固定された状態なのでラインは出て行かず、ローターとスプールがその場でグルグル回る。回るっていうことは糸が縒れるハズなんだけど、その方向が通常の糸が縒れる方向であるドラグ出ながらハンドル正回転で回してできる糸縒れと反対に糸が縒れる。なので縒れていた糸が元に戻るぐらいに逆の縒れを加えてやれば”糸縒がとれる”という機構。ただこれどこまでやればちょうど良く糸縒れが取れるのか加減が分からんというのと、TBシリーズ自体は糸縒れあんまりできない良くできたリールなので、最初面白がって何回か使ったけど、結局ラインが縒れ始めたらライン交換って感じになって使わなくなった。糸縒れとるのには単純な金属棒を投げて適度にラインに張りを持たせて巻いてきて縒を取る”縒り取りスティック”とかいう商品の方がよく使った気がする。投げて巻いてではたいして縒れないリールでもドラグ効かせて走らせまくるとラインはチリチリに縒れる。川だとラインになにもつけずにしばらく流してから指で摘まんでしごきながら巻き取ると縒がとれる、ってのもシーバス釣っててコイにラインチリチリにされたりするとやったことあるけど、時合いならさっさとスプール交換した方がイイよねって話。写真でも分かるようにバネが1個にレバーとスプール引っかける突起の部品が1個と実質3個の部品数でたいして重くも複雑にもなってないのでこの機構は無視して、むしろその他の部分が改良されて良くなったマイコンシリーズだと思って使うと良いとおもっちょります。

 分解するときチョイと面倒なので、リアドラグの部分は最初にやっつける。ドラグパッドの枚数について、以前、フロントドラグだと一番底の面はスプール底面かスプールに固定されたワッシャーで始まるので、一番上のドラグパッドを押さえるワッシャーは、軸と同期して回らないものでないと、ドラグノブを回してしまってドラグ値変わってしまいかねないので、必然的に一番下がスプール固定、一番上が軸固定にならなければいけないので、ドラグパッドは1枚、3枚というように奇数になり、逆に軸が回転するリアドラグ方式だと一番上と下のワッシャー等が本体と固定になるので、最低限間に軸と固定のワッシャーが1枚入るドラグパッド2枚等の偶数枚になると書いた。301TBでもまさにそうなっていて、上左から4枚の灰色っぽいのが繊維質の素材にツルツルの樹脂で表面処理したような感じのドラグパッド。一番左のドラグパッドは本体底(=ドラグの天井?)とその下の軸と一緒に回るギザギザ付きの部品に挟まれている。ギザギザは本体内部に隙間を作ってはみ出させてあって、ドラグが効いてるときにこのギザギザで金属部品を弾いてジジジッと鳴る”音だし”になっている。2枚目はその軸と回る音だし部品と本体固定のワッシャーの間、次の3枚目は本体固定と軸固定ワッシャーの間、次の4枚目は軸固定ワッシャーと本体固定ワッシャーの間に挟まれていて、最後のワッシャーはドラグスプリングに適度に押さえつけられているという構成になっている。ドラグパッド4階建てで、実用充分な性能を確保しているけど、ちょっと部品が増えて複雑化しているところは欠点にも数えられるか。

 その他の分解作業では、巻くときカリカリ音がしないようにするサイレントカムの位置と入り方を写真に収めるなどして把握しておくのも地味だけど大事で、忘れてると、これどこに組めば良いんだろ?って悩むハメになりかねない。ストッパーの切り替えスイッチから伸びている軸から張り出している白い部品が、ハンドル軸のギアに填められたサイレントカムの伸びた足の部分を押して反対側でストッパーの金具を押したりするので、填める位置は右のようにハンドル軸ギアの直下、サイレントカムから伸びる足の部分は左写真のようにリアドラグ側の隙間に入れてやる。

 でもって、初代マイコンの全バラでは、リアドラグで軸が回転するということを妨げないために、いろいろとややこしいことになっていて、スプール上下のオシュレーションはギアをハンドル軸のギアに別に設けていて、そのせいで主軸を抜かないとハンドル軸のギアが抜けないんだけど、主軸にオシュレーションカムを止めているCクリップが非常に外しにくく「マイコンSS」を分解したときに二度とごめんこうむると思ったしろものである。

 ただ、立派なことに、TBシリーズでは軸が回るリアドラグではあるけど、初代マイコンのように分解しにくくはなっておらず、多少複雑化してはいるけど、分解するのに根性やら技術やらが必要とされるようなことはない程度に整備性が良くなっている。手順をまもってサクサクと分解していけば問題なくバラせる。

 まずスプール上下のオシュレーションがクランク方式で本体蓋開けたときにギアの上にあるのでスポッと抜けて、ついでにハンドル軸のギアも抜けるのでオシュレーションカムが剥き出しになって作業がし易い、剥き出しになったオシュレーションカムを軸の上でクルッと裏返してやると、左端の方で”コの字”の部品がカムと、カムを軸に削った溝に填めて固定するハンガー的な部品をまとめているのがわかるので、これをズラして外す。外すと真ん中写真の様にハンガー的な部品をオシュレーションカムから外せるので外して、オシュレーションカム自体も軸から抜けるようになって取り外し完了。って感じになる。リアドラグだと、軸が回転するので軸に穴を開けての”単純クランク方式”はできないというのは理解していて、クランク方式にするならオシュレーションカムにクランクを刺すか填めるかだろうなと思ってたけど、まさにそうなっている。っていうのに実は今回初めて気がついたというお粗末。オシュレーションクランク外さなくてもハンドル軸ギアまで外れればグリス追加とかの整備は十分可能なので、これまで使ってきた2台は全バラしはしてこなかった。今回全バラしして色々分かって面白かった。

 気付いたことの一つに、このギアひょっとしてマイクロセブンCシリーズと共通じゃないか?ということがあって、マイクロセブンCシリーズのギアとオシュレーションクランクの形状は他の同時期の機種、キャリアーや初代マイコンとは異なっていて、専用設計の気合いの入ったモノじゃないか?と書いた。初代マイコンより時代的にはマイコンTBシリーズと同じ時期だったっけ?よくわからんけど、初代マイコンはスプール上下は別途歯車設けた方式なのでそもそもクランク方式じゃないし、単純なクランク方式だと軸の穴にピンを刺すのが普通だけど、ピン刺したらリアドラグ方式では軸が回らなくなってドラグとして機能しなくなるので、マイコンと共通はあり得なかったけど、マイコンTBシリーズはオシュレーションは単純クランク方式だけど軸に穴開けてピンを刺す方式ではなく軸の回転は確保しつつ、軸の一定の位置に固定したオシュレーションスライダーから出ている棒にオシュレーションクランクを刺す方式なので、写真の様にどうも共通臭いハンドル軸のギアとクランクになっている。左が今回バラした301TB、右がマイクロセブンC1。実際交換して試してはいないけど、穴の開き方とか同じでわざわざ違う規格ならここまで共通な形にしないだろうから、間違いなさそうだなと思ってます。

 でもって、値段つかない機種だから自分で使うこと想定して、青グリスグッチャリ大盛りで仕上げて、外見も拭き上げたら、回転もベールの返りもドラグも快調そのもので、見た目もそれ程キズ腐蝕等なく、とても良い状態に整備できた。放っておけばグリス固まって巻きも重い”ゴミスピ”だったけど、今回の整備でバリバリに使える現役リールに復帰して、しっかりグリス詰め込んだので、今後何十年と実釣可能な状態に復活させることができたと思うので、久しぶりに良い気分である。実際には、使ってた別個体があるので、このリールそのものが使えるというより替えスプールが手に入ったということが大きいかも。今回の個体はキレイめなのでお留守番してもらう方向だろうけど、元々わが家にあった個体の方は、これで実戦投入させやすくなったし、近いうちに使ってみよう。

 最後のマイクロセブンNo.2は、需要が少ないせいか珍しい大きさなので落とせたらもうけもので入札しておいたらちょっと競ったけど落札。使う予定も必要性もなく、あえて言うなら蔵に転がってる箱入り新品娘のオートベルNo.2とで替えスプール有り体制が組めるな、ってぐらいで買う必要あったのかは疑問である。でも欲しかったんだもん。しかたなかったんだもん。外蹴りのアウトスプール版マイクロセブン、何度も書いてきたけどかっこいいんだもん。

 とにかく、作りはしっかりしてるけど設計は単純。オートベールとかではご自慢である”内蹴り式”の部品が当然無いので、部品数少ない。特に樹脂パーツが、外蹴りの蹴飛ばし部分、ハンドルノブ、ドラグノブ、ストッパースイッチの防水パッキン、ラインローラーのスリーブ、スプールのライン止め、ぐらいで、あとはドラグパッドの硬質フェルトを除くと全て金属でできちょります。硬派な感じです。

 前の持ち主が丁寧に使ってたのが偲ばれる感じで、キズも少なく、グリスやらオイルは定期的に注していたようで、そのまま使っても良いぐらいに機関快調で、40年から生き残ってきたこのリールを、今後もまた数10年は生き残らせてやらねばと、ガッチリグリス盛って仕上げておきました。

 同時代の庶民派「タックル5」も基本的なところは同じでこれも良いリールなんだけど、やっぱり大森製作所の由緒あるリール名”マイクロセブン”を冠するリールは、特別な格好良さがあるようにも思ったりして。

 てなかんじで、今回とりあげた3機種(シリーズ)はどれもナマジ推薦のお買い得な大森スピニングなので、興味のある人は是非手に入れて楽しんでみてください。


 大森アウトスプールの最終形態、樹脂製で軽いけど適切な補強で丈夫さも確保、ドラグも優秀な”不人気実力派”マイクロセブンCシリーズ

 マイコン買うならTBシリーズにしとけ!ギミックよりも基本性能の成熟度の高さ、トラブルの少なさ、使えるリアドラグ機マイコンTBシリーズ。

 昭和の時代の硬派なリールをお求めなら、そしてあなたが左手でベールを返して使う釣り人なら、自ずとこのリールがしっくりくるというものでしょう。マイクロセブン(アウトスプール版)。

 良いリールは、使って魚釣るのももちろん楽しいけど、いじってるだけで楽しくなっちゃうのよね。だからスピニング熱は治らない。スピニングの沼からは這い上がれない。

 それがどうしたっ!楽しいことは多分正しい!!

2019年3月3日日曜日

おかわりっ!大森で



 大森製作所が世に送り出したダイヤモンドリール達のうち、どの機種が同社史上最高の傑作だったのか?”究極の一台”はどれか?なーんて書くとエラそうだし重くなるけど、そういうのをワイワイ「オレならコレだ」「いやいやアレだ」とやるのって結論あるようでなくって、言いっぱなしでも根拠もオチもなくたって楽しいジャンとおもってサクッと書き始めてみる。

 nori shioさんも書き込みしてくれていたけど、沼の底に沈んでいる濃いめの大森ファンのブログとかを読んでいると、TAKE先生も絶賛、大森最後のインスプール「コメット」が最高とされていたり、大森にしては珍しいウォームギアが滑らかに回る高級機種「プロラインNo.101」こそ大森の最高傑作と推す声もある。ワシの持ってるマイクロ二世301もそれらに並べてよい機種だとはnori shioさんの見解。
 いやいやインスプールならそうかもしれないけど、大森史上最大のヒット作っていったらマイコンシリーズなわけで、マイコン以外はあり得ないでしょと思う人もいるだろうし、アウトスプールなら小型軽量コンパクト、某”カリスマ”ルアーマンも愛用で人気の高いキャリアーSSが一番良いから一番オクで値が張るんでしょ?と思う人もいるだろう。
 以前私は、「生産性に優れて性能もよいハイポイドフェースギア方式、確実な内蹴り式のベール返し、錆びないし小型軽量な樹脂製スリーブの入ったラインローラー、3階建てのドラグ、単純で確実性の高いローター軸のギア直上のラチェットに歯をかける方式の逆転防止機構、ローター軸(と機種によってはハンドル軸)に一個のベアリング。手入れもなしに放置しても塗装が多少やられる程度の耐久性のある素材。小型リールには充分実用的な単純クランク方式の平行巻機構」を備えた、オートベールとタックルオートあたりが小型スピニングの一つの完成形じゃないかとかも書いた。じっさいこれらを大森のアウトスプールの最高到達点だと推す声も目にする。
 このあたりはまあ妥当な線だとはおもうけど、思うんだけど常々私が主張しているように、良いリールなんてのは釣り人との関係性の中からしか生じ得ないモノで、どんなに世間一般に不評だろうが、その釣り人が愛用してきて一番好きならその人の中での一番はそのリールになるんだろう。「俺が好きなんだからコイツが最高!」って意見は客観性を持った説得力はないにしても、大いに頷けるし気持ちは良く分かる。
 私がコレから安ダイヤの「アクションM」と「タックルA」を使い込んでいって、「オレのダイヤモンドはアクションM」とか言い始めても「ハイハイおジイさんそうですね」とウロ入り始めた年寄りをいたわるような目で見てあげて欲しい。


 とはいえ、一般的に大森ダイヤモンドが高く評価される点は、単純な機構に丁寧な設計と適切な素材選定で”必要充分”な、無駄なく実用的で値段も良心的なスピニングリールを世に送り出してきた点だとは言って良いかと思う。
 マイコンあたりはリアドラグにした分やや複雑な機構だけけど、それでも、その後の行き過ぎたゴテゴテしたリール達と比べれば充分単純明快なリールである。最近のリールは原点回帰で軽さとか回転性能とかが重視される傾向にあって、あんまりめんどくせぇ機構は付いてなくて逆転防止の切り替えも省略とかになってたりするけど、そのくせ部品点数としても多くて重く、繊細で扱いにくく防水性とか過剰に求められるようになる「瞬間的逆転防止機構」だけが現代のリールに存在する大きな矛盾点だと私は思っている。逆転防止なんて大森方式のローター軸の部品に歯を掛ける方式でも、それ以前のハンドル軸に設ける方式でも特殊な用途以外には困らないし、カリカリ鳴ろうがガチャガチャしようが慣れればどってことない程度の話である。
 そういう”必要充分”という視点で自分の釣りに照らし合わせて、さっきあげた小型アウトスプールの大森ダイヤモンドの美点をもう一度点検してみる。最初の前提としてアウトスプールを選んだのは、最近インスプールの扱いにも習熟しつつあるけどやっぱりアウトスプールの”ベールを手で返して良い”スピニングの方が馴染みがあるし、そういう釣り人の方が現代では多いんじゃないかと思って、インスプールはまあ語る人も多いのでそういうのは沼の深みに棲む人達にお任せして、私としては”左手でライン放出を調整してそのまま左手でベールを手で返す釣り人”代表として大森アウトスプールについて考えてみたいと思ったからである。
 点検してみると、ベアリングが1個が良いか2個が良いのかっていうのがなかなか難しい問題で、回転性能的にはそんなに差が出ないのはPENNで回らなくなったローター軸のベアリングをハンドル軸に回したら何の問題もなくて、ハンドル軸には回転性能だけ見たらベアリングなんて、少なくとも自分の釣りには必要ないと思っている。ただ、ベアリングの”摩擦が小さくできる”という特性は耐久性にも関わってくるのでベアリングなしだと軸が削れていくのでは困ってしまう。そのあたりは具体的にはベアリング1個のタックルオートと2個のオートベールのどちらを選ぶかなんてのに関わってくる。
 他はほぼ自分の釣りにも有利な美点なんだけどベアリングの他にもう一点、自分の釣りにあきらかにいらないな、というのがあって「確実な内蹴り式のベール返し」がじつはワシにはいらんのじゃないか?と思っている。
 不要なら取っ払える機能なので取っ払っても良いんだけど、重量変わると回転バランスに影響するはずなので”無し”でいくなら最初からない方が良く、部品点数減るのでその分故障箇所や経費の削減という利点が出てくる。
 右手の人差し指でラインの放出を調整して左手でハンドル回してベールを返す釣り人ならベール返しが確実で軽いことは重要でTAKE先生のリールの評価基準でも思いっきり重視している点だけど、そこは人差し指でライン放出調整できないような重いルアーとかも投げる塩分濃いめの釣り人である私には正直関係ないっちゃ関係ない。
 事実、昨年秋にインスプールのリールに慣れた手で430ssgを使って右手人差し指でライン放出止めてハンドル巻いてベールを返そうとしたら、なぜか空振りしてしまい投げ方を元に戻して左手でベール返して釣りは続行できたんだけど、部屋に帰ってから原因調べてみたら内蹴りのベール返しの組み方を間違えてて機能しなくなっていた。おそらく数年前に油ぎれ起こした一方通行のベアリングに注油がてら全分解してグリスアップしたときに組み間違えたんだと思うけど”ベール反転機構なし”の状態で気がつくまで何の問題もなく使用できていたのである。ついでに言うなら4400ssはワシの右手の人差し指じゃスプールまで届きにくいというTAKE先生的評価基準ならダメリールなんである。でも私の中での信頼感と評価は極めて高い。ってぐらい釣り人毎に最適な答って違ってくるよって話。
 実は仕様で”ベール反転機構なし”というスピニングリールなんてのもあったりする。起こすのも返すのも手でやるマニュアル方式。なぜこんな一見”欠陥品”のリールが売られているのか?重量級のルアーを投げるリールで、投げた際にハンドルが回るなどしてベールが反転してルアーが初速のエネルギーを持った状態で急ブレーキがかかりラインが切れたり逆転機構の破損やらが起こるというトラブルはありがちで、私も7500ssの逆転防止機構は2度壊している(それを想定してだと思うけどPENNには音出し式の逆転防止機構が予備に付いているので釣りは続行できた)。ベールを起こす位置を一定にして滑らかな無理ないキャストが実行できていれば起きない”過ち”なんだけどたまに過ちを犯すのが人間というモノである。くだんのリールはエイテックのテイルウォーク”クロシオ”シリーズにあるんだけど、そのあたりの人間の過ちを織り込んで割り切った、実際の釣りの現場が分かってる人が考えた賢い設計だなと感心したモノである。

 ということで、タックル”オート”、”オート”ベールの名に誇らしくその機構を謳っている大森式の”内蹴りのベール返し”なんだけど、大森さんスイマセンそれワシいらんかもしれませんわ。ということで、より単純な外蹴り式のリールが案外良いかもって考えたらどうにもたまらなくなってしまうという”急性大森熱”症状悪化で、実釣でも使用感とか試してみたいならシーバスかなということで、ネットオークションで写真上の「タックル5NO.2」と「タックルNO.2」をサクサクッと落札してしまった。他にも似たようなタイプに「マイクロ7」のアウトスプール版があるけど、これはワンタッチ着脱スプールでベアリング2個とタックルオートに対するオートベールと似たような機種のようで、ベアリング1個の「タックル5」は「マイクロ7(アウトスプール)」の普及版のような関係らしい。
 アホみたいにポンポンとリール買いやがってと自分でも思うんだけど、これがまた外蹴りアウトスプールのダイヤモンドリールって人気薄で1500円と1980円とゴミスピ価格一歩手前のお安さなんである。こりゃあ落札するしかないよね?

 まあ買っちまったモンは仕方あんめぇ。どちらもグリス固まってるのか回転も重いので早速分解清掃実施。特に黒銀の「タックル」の方は普及機だからぞんざいに扱われてたんだろうけど、スプールエッジにも結構傷が入っていたのでハンドドリルで大きな傷はえぐって引っかかりがないようにならしてサンドペーパーかけて、ラインローラーも注油なんかしてもらってなかったようで固着して糸溝できてたのでアロンアルファで溝を埋めておいた。
 パカッと蓋を開けると、オートベール、タックルオートでそろそろ見慣れたいつもの大森式の機構の数々で細かい説明省略。
 ベアリング1個なので、ハンドル軸は真鍮で受けてるけど特に鋼製の軸にも真鍮のはめ殺しのブッシュにも摩耗はないように見える。
 グリスも塗布し直して、さて、左にハンドル付けて終了。と思ったらクリクリ回しても「あれ、入らんがナ?」という感じで填まってくれない。
 愛用していたマイコンTBシリーズやら先頃購入したタックルオートもハンドルは左右兼用だったので、当然そうだと思っていたんだけど「タックル」に関しては左巻き用のネジに交換する必要があるらしい。そのために2枚目写真のようにはめ殺しじゃなくてネジが外せるようになっている。
 「あっちゃー!やってもうた~」という感じである。左用のネジなんて使わなければなくしてしまうだろう。実は紛失防止に「マイクロ7(アウトスプール)」ではハンドルの後ろを延長してハンドルネジの収納スペースを設けている。キャスト時にハンドルが回るのを防ぐ重さ調整のための設計かなと思ってたけど、それも兼ねてるかもだけど収納スペースらしい。ちょっと見た目はイマイチな気がするけどそういう機能があると知ると大森らしい実直な良さのある造形にみえてくる。
 今回落札した2台とも、困ったことに右巻き仕様になってて左巻き用のネジなど付いていなかった。どうすんのよこれ2台も?と途方にくれてしまうのだったけど、でも見たところネジの太さが右にも左にも付けられるマイコン301TBと一緒と違うか?と思ったので試してみた。あっさり装着可能で、私の場合リールを一度に2台使うことはあまりないので使おうと思えばハンドル借りてきて使えるようで一安心。
 と、思わぬ形でハンドルの互換性が判明してしまったけど、実は今回の購入で確かめたかったことに一つに、ダイヤモンドリールのパーツ共有性というのがあって、写真を見る限りスプールなんかは金型代節約のためだと思うけど形一緒で、いろんな機種で使い回せるんじゃないかという気がしていたのでその辺も確認したかった。
 一番下の写真が「タックルNo.2」に「タックル5No.2」のスプールと「マイコン301TB」のハンドルを装着した状態。何ら問題なく部品共有可能。

 ただ、「タックル」と次に分解した「タックル5」は同型機のようで、スプールどころかギアからナニからほとんど一緒。本体の表記が凸ってるのからシールに変わって色が骨董的な雰囲気の青から70年代日本リール風の黒銀に変わった他、スプールのライン止めが省略されてるとかの細かい違いだけ。ネットでカタログ登場年とか調べたところ「タックル5」は1975年からの登場らしく、「タックル」シリーズは1979年カタログには掲載されていて「タックル5」が消えているので色違いのを後継機的な扱いで「初めてのスピニングリールに」と売っていたようだ。部品共有もナニもあったモンじゃない。設計基本一緒。ただお化粧直ししてでも、一番ややこしくないことから値段も低く設定できるこの型のリールを残していたのは、入門者にも優しかっただろうし「タックル5」の愛用者にも部品供給が続けられて良心的だったんじゃないかと評価できる。
 ちなみに「タックル」のベールアームを樹脂製にした「ニュータックル」というのもあったようだ。 

 「タックル5」の方を分解していくと、思った以上に一緒で笑える。さっき見た「タックル」のギアでも平行巻機構のクランクの輪っかの端が右上の方削ってあって、多分蓋を止めるネジの場所に当たるので削ってあんのかなと思ったけど、こっちの部品も同じようになっててフフってなった。ちょっと削らんと入らんかったんだろうけど、新しく金型かなんかを作り直すのが経費かかるのでそのまんまにしてある感じが、人間の手仕事を感じさせてくれてほほ笑ましい。
 両機ともベールアームは金属製で、ラインローラーを縒りが入りにくいように水平に、とかの調整はしやすい。意外に使っていると金属の板で出来た部品は曲がるようでだいぶ曲がってしまっていた。ダイヤモンドリールのベールアームがたためる意義が小さくたたんで持ち運びしやすいという以上に持ち運びの際等にベールアームの変形を防ぐところにもあったんだなと実感できる。
 部品点数は45をちょっと越えるぐらいでとっても少ない。壊れるカ所やらお金の掛かる部品やらが少なくできている感じでとても好印象。
 このあたりから、分解清掃にパーツクリーナーを使い始めたんだけどスプレーするとグリスとか吹っ飛んでいくし、瓶に貯めて漬け置き洗いも頑固な汚れが落とせて作業が捗る。
 そうやって分解清掃してグリス、オイルを入れ直してやると「タックル」もそうだったけどコイツも問題なくクルクルと快調に回ってくれる。「タックル」のほうは全く手入れされてなかったけど、こちらはラインローラーとスプール外して主軸には注油してあって前の持ち主がだいぶ愛用していたと見えるけど、特にギアとか真鍮のブッシュとかに摩耗は見られず、やっぱりベアリングは1個で良さそうに感じる。
 
 出撃準備も整ったんだけど、ダイヤモンドリールのパーツ共有について確認してみたいという目論見は同型機だったのであんまり達成できなかった。おそらくスプールの形式から見て、アウトスプールの場合、同じサイズのワンタッチスプールの機種「プロライン(アウトスプール版)」「マイクロセブン(アウトスプール版)」「オートベール」はスプール交換可能。ワンタッチじゃない「タックル5」「タックルオート」「タックル」「ニュータックル」はこれまたスプール交換可能なんじゃなかろうか?ギアとかについてはひょっとしたら両者で共通の部分はおろか、インスプールともある程度共通しているようにも思う。
 そこまで調べる気はないにしても、スプールの互換性があるってのは蒐集していくとスペアスプールも手に入ることになって実戦投入するには極めて使える情報だと思うので調べて書いておきたい。自分の選ぶべきは普及版の方だと思うので、ワンタッチスプールじゃないほうのスプール互換性があるか調べてみたくなった。っていっても先にあげた4機種のうち「タックルオート」以外は形が一緒なので互換性あることは明らかで、「タックルオート」と他の3機種のどれかが互換性あることだけ確認すれば良い。



 No.2サイズの「タックルオート」を入手しても、逆にNo.1サイズの「タックル5」とかがあっても確認できる。
 サクッと「タックル5No.1」を某ネットフリーマーケットで3000円で購入。だんだん突っ込む金額が上がってきてヤバい感じに感覚が麻痺しつつあるけど、躊躇なく買ってしまった。
 前回の失敗の轍を踏まないようにちゃんとハンドル左に付いているのを確認して購入。上の写真の右がその個体。コレで左巻き用のネジが1本手に入ってネジだけの使い回しも可能。
 でもって、「タックルオートNo.1」とスプールとハンドル交換してみた。真ん中はタックルートの左右兼用のハンドルネジ。同一軸状に右用と左用のネジ山が交互になる感じで切ってあって、初めて見たときに機械にうとい私の場合「へーこんな方式があるんだ」くらいにしか思えなかったけど、これ機械に詳しい人が見るとびっくりするらしい。いくつかのブログで興奮気味に書いている記事があった。
 ナニが凄いのか分からん。ベイトリールの平行巻機構の細かい版みたいなもんじゃないのかと思って、むしろ平行巻機構の方がなんで端まで行ったら戻ってくるのか?同じ方向に回ってるのに途中で止めても行ったり来たりせずきちんと往復する仕組みが理解できん。
 だとしても既に設計してあって使ってるギアの軸の穴に合わせて、後付けでキッチリ左右のネジ山を切るのがそんなに簡単じゃないんだろうなというのはおぼろげに想像できる気はする。普通はPENNみたいに右と左で軸の穴の大きさを変えて、ネジの先の方半分を細くして右用、残りを太くして左用とかに切るンだと思う。いまのシマノの高級機種もそうなってたはず。そもそも高級機種じゃなければ軸の穴を四角や六角形にしてというのがもっと一般的。それを普及品の「タックル5」でも丈夫で緩まないネジ込み方式にこだわって、次には左右両用のネジまで切ってしまうあたりの大森製作所の真面目な機械屋ぶりなのである。
 ちなみに一番下の写真のようにハンドルとスプールは何の問題もなく交換可能。
 「タックルオート」がいけるんなら、ひょっとして樹脂版の「キャリアー」も行けるんじゃなかろうかと試してみたらキャリアーはダメだった。スカートの直径やら主軸の径は一緒で入ることは入るのだけど高さが合わなくて、低い方はワッシャーか何かを噛ませれば使えなくもないかも?という程度。キャリアーは逆に樹脂製どうしで「マイクロセブンC」とかとスプール互換性有るんじゃないかと思うので興味ある人は調べてみてはいかがかな?キャリアーSS2台買うのはちょっとキツい値段だけど「マイクロセブンCS」を予備機に使ってスプール共有とかできれば実戦的かもしれない。CSも充分お高いけどね。

 「タックル5No.1」も分解清掃してやろうとパカッと開けてみると、なんとグッチャリと”グリスシーリング”されていて、前の持ち主の愛用度合いが見てとれて笑みがこぼれる。正直スプール傷だらけとかのリール見ると「もうちょっと丁寧につこたれよ!」とムカつくモノである。
 2枚目は参考までにベールアームの反対側のベールワイヤー支持部の金属パーツ。重量を金属のベールアームと釣り合わせるために結構大きな金属の部品になっている。樹脂製ベールアームのニュータックルとかどうなってるんだろうか?
 笑ったのが、グリス塗り直してハンドル軸のギアを填めようとしたときになかなか填まらずに押しこんでも浮いてくることで、グリスで機密性上がると空気が抜けずに、左巻きなので後ろのキャップが填まった状態では空気圧で押し返してくるんである。精度高いうえに全然削れてないやンけ。
 くわえてこの個体は分解清掃後もハンドル回すとシャーとコーッの間のような音がしているので、最初ギアとか長い愛用の間にさすがに摩耗したのかなと思ったけど、どこが鳴ってるのか部品外しながら確認したらギア関係なしでローターで、それならベアリングかとベアリング買って交換してみたら、クルックルの滑らかな回転になってしまった。
 大森小型アウトスプールにおいてベアリングは1個あれば上等だと得心した。
 ミニチュアベアリングの世界ではトップブランドらしいミネベア社製とまでいかないけどそこそこ良い日本製の200円弱のステンレス製ベアリングで大復活である。
 大森ダイヤモンドぐらいの精度・耐久性高く作ってあるリールなら、故障するカ所も特には思い当たらないし、手元に来た使い込まれていたであろう個体達がべつにギアもブッシュも摩耗してないのとかみると、消耗品的部品であるベールスプリングとベアリング交換だけしていけば普通に100年使えそうに思う。どっかのメーカーが宣伝で言ってたことなんて大森やらPENNやらの耐久性重視した設計の実用機なら、別に今さら言うほどのことでもなくて、「モデルチェンジまで持てば良い」ってな新品で店頭にある時の性能に振りすぎた”その後”のリールの多くが、そういう代物だったってだけだろう。

 ということで、ナマジ的大森ダイヤモンドリール最高傑作は、どうも「タックル5」が”必要充分”に近い気がして、そうなんじゃないかと今のところ考えている。余計なモノはなるべく付けない方がイイ。「タックル」でも同じだけど色が懐かしい感じの「タックル5」の方が好み。
 あとは実際に使ってみて、金属のベールアームが糸がらみとかのトラブルを頻発させないかとか、ちょっとみてみたいところ。まあそんなに細糸つかわんしワシの場合大丈夫だろとは思う。
 そのあたりを確認するためには樹脂のベールアームの「ニュータックル」との比較が必要だ!とまた1台買いそうになって、なんとか寸前で踏みとどまった。樹脂のベールアームで同じスプールが付いている「タックルオート」がその辺の比較には使えるわけで、もっというなら同じような形の樹脂製ベールアームの「キャリアーNo.1」使ってたので既に使用感は”普通に使える”って知ってるだろう。全く油断も隙もありゃしない。くわばらくわばら。

 ということで、私と同じようにベールを手で起こす釣り人の皆さんには、大森の「タックル5」「タックル」といったアウトスプールで外蹴り方式の機種をお薦めしちゃいます。こいつら人気薄で安く手に入るうえに、部品数少なくて手入れも楽だしで、今時のリールに飽きたら、こういう良くできたリールを自分で分解清掃したりしながら理解して愛着持って使うなんてのはとっても楽しいですよと提案してみたい。

 さあさあ、皆さんふかーい沼に一緒に沈みましょう。ヌルヌルしてて気持ち良いですよ。
 現時点で我が家のリール数は制限である90台を3台オーバー。手放す速度より手に入れる速度が速くて困ります。全然へらんがナ。
 次回も大森ネタ「ナマジ痛恨の過ちに天を仰ぐ!」にご期待ください。

2020年5月23日土曜日

大森熱もたまに再発する


 小人閑居して不善をなす、っていうらしいけど、おうちで暇してると悪い病気が出たりするのよねこれがまた。
 だいたい、魚が釣れていないと道具をイジリ始めるってのはお約束で、今回もしばらくの療養期間中に、買って放置していた1台と、勢いがついて思わずポチッと落札してしまったのの2台を暇に飽かせて分解清掃してしまった。
 どちらも見た目はボロい個体なんだけど、いつも書いているように大森のリールが内部まで逝ってることはほとんどなくて、固着している箇所でもなければせいぜいベアリングを交換する程度で何の問題なく復活する。今回も2台ともサクッと復活。

 左の青いのは「タックル5No.2」なんだけど、以前書いたように同型機のベールアームのナット固着を上手く外せず、無理矢理捻ってネジを折ってしまっているので、ベール周りの部品が取れればいいやとジャンク扱いのを安く入手したんだけど、分解清掃したら普通に復活してしまった。折れている方の個体は折れた部分にドリルで穴を掘ってネジ穴に加工できないか、自動車整備関係の仕事している友人にチョット見てもらっているところ。あかんかったらベールワイヤーレス機に改造予定。
 タックル5はNo.1の大きさを小遠征の根魚釣りに使ってるけど、外蹴りで単純な構造で壊れるような要素も少なく、左手でベールを返す釣り人ならベールの返しが重いとかも関係ないし今のところ快調に使えている。ドラグはこの時代から既にフェルトのドラグパッド3階建て方式だし、ねじ込みハンドル、鋼製の芯を鋳込んだハンドル軸のギア、樹脂製スリーブの入ったラインローラー、折りたたみ可能なベールとまさしく大森仕様という感じで全然人気がないのが可哀想になってくる。兄弟機の「タックル」や「マイクロセブン(アウトスプール版)」も含め凄く良いのにみんな見る目がない。

 もいっちょ、右の黒い小さめのリールは「マイクロセブンCS」でこれまたボロ個体を、どうせ分解清掃したら復活するから、と落札して予想通りあっさり復活。コイツを入手したのは我が家にある「タックルオートSS」には何故かマイクロセブンCSのスプールが付いていて、スペアスプール有りの体制がすぐに組めるからというだけの理由で、特に使うアテがあるわけでもないのに思わず反射的に入札してしまった。「大森熱」という悪い病気は、なおったと思っても魚釣りに行けずに心が弱っていたりすると再発するのです。
 またこれが「マイクロセブンC」シリーズも不当に人気がなくて、同じ樹脂製のキャリアーが小さいSSの大きさだと一時期ほど高騰してはいないにしても万札ぐらいは飛んでいくのに、若干重くなるとはいえ、ラインローラーに樹脂製スリーブ入りでネジがタップネジじゃなくて金属の雌ネジとか、重い分はしっかり作られていて耐久性はあるハズでどちらかが優れてるってよりは性格の違うそれぞれ魅力的なリールのハズなのに、購入見送ったけど箱入りのC1が2千円とかにしかなってないのを見て「なんでやねん?」と突っ込まざるを得なかった。
 以前スピンフィッシャーの「4200SS」について、PENNが作ったダイヤモンドリールみたいな単純軽量なスピニングと書いたけど、逆にマイクロセブンCシリーズは大森製作所が作った樹脂製4桁スピンフィッシャーみたいな、樹脂製だけど必要なところに金属で補強入れて丈夫に耐久性も持たせたスピニングなんじゃないだろうかと感じている。
 
 いずれにせよ、今回の2台は送料は別途掛かるけど落札金額自体は500円と1100円と格安だったのである。キャリアーSSが1万円は越えてくるのに、同じ大きさのマイクロセブンCSはなんぼボロいと言っても10分の1の価値しかないとか思えないんだけど、みんなちゃんと見てる?って不思議に思う。
 大森人気も一時の加熱状態は過ぎて落ち着いてきたようで、ハッキリ言ってダイヤモンドリールが安い。今でもキャリアーSSとコメットとかの小型インスプールぐらいは値段付くけど、他はそんなに値段付いてなくて、インスプールでも「マイクロ2世301」が開始価格4000円で1週目買い手が付いてなかったってぐらいで全体的に安くなってる。
 ダイヤモンドリールのデキの良さとか全く変わってないはずだけど、単なる流行廃りの関係でみんな飽きたか、良さが理解できるほどスピニングリールを「分かってない」かだと思う。バカくせぇことである。

 ただ、あんまり値段が安いとネットオークションに出されもせずにゴミの日に出されてしまいかねず、ダイヤモンドリールなんてベールスプリングとベアリング交換してやれば100年快適に使えるはずでありゴミにするには惜しすぎるので、そろそろ初心者マークが取れそうな「大森アナリスト」として、人気それ程なくて安いけど使えるお薦めのダイヤモンドリールを推しまくってチョットでも相応しい人の手元に相応の値段で届くように応援していきたい。
 まずは、普通に使えるスピニングが欲しいという向きには「タックルオート」をお薦めする。上でも書いたけどフェルトのドラグパッド3階建て方式、ねじ込みハンドル、鋼製の芯を鋳込んだハンドル軸のギア、樹脂製スリーブの入ったラインローラー、折りたたみ可能なベールと、ザ大森方式というスピニングで、大森ご自慢のベールの返りが軽い内蹴り式なのでハンドル回してベールを返す釣り人にも快適に使える。ボールベアリングが2個に増えてワンタッチスプールになる高級版の「オートベール」も、さっき書いた外蹴り版「タックル5」他でももちろんそれぞれの使い方を考えて選べばまずこの辺は間違いないし、値段も汎用性の高いNo.1サイズなら弾数も多くて安いはず。
 それから、せっかくダイヤモンドリール買うならリアドラグのマイコン系が使ってみたいという釣り人には「TB」シリーズをお薦めする。なぜなら、マイコンシリーズの終わりの方にでてきたせいもあって、スプールエッジの形状が大森独特の”なで肩”じゃなくて真っ直ぐ系に修正されていたりして、使ってて全く不満を感じなかったので自信を持ってお薦めしたい。マイコンシリーズで値段が多少付くのはオリジナルのSSかNo.1ぐらいで、その他のマイコン系は3千円も出せば買えることが多い。鱒用に人気のSSサイズのマイコン30STBでもそのぐらいで買えると思う。
 そして、不当なぐらいに評価が低いマイクロセブンCシリーズだけど、これこそ買いだと思う。これまで気付けば4台も買ってしまっているけど、箱入りのC1の3900円、シェイクスピア版の「シグマプレジデント2440-040」2800円でもデキの良さ大森製作所の気合いのは入りようを考えると安いぐらいだと思うけど、C2の980円とCSの1100円とか、もうゴミスピ価格である。


 キャリアーのほうが軽いっていっても、マイクロセブンCシリーズだって樹脂製で軽いはずでどれぐらい違うのか、実際測ってみた。
 結果は、
①NO.1の大きさ
 キャリアーNo.1:220g、マイクロ7C1:236g、タックル5No.1:250g、タックルオートNo.1:252g、マイコン301TB:274g
②SSの大きさ
 タックルオートSS(スプールはマイクロセブンCSの樹脂製):187g、マイクロセブンCS:195g、タックルASS:204g
 ちなみにラインも巻いたうえでの湿重量。
 という感じで、確かにキャリアーの方が軽い、でも言うほど違うか?って正直思う。マイクロセブンCSの195gとか明らかに軽いリールの範疇だと思うがどうなのよ。
 っていうか、大森のNo.1と同じぐらいの大きさのスピンフィッシャー430ssgとかライン巻いたら291gもあって300g級の重さだけど、竿とのバランスもあるんだろうけど特に重いと感じたことはないんだよね、ってぐらいで220gと236gの差が我慢できんほどなのかね?ってPENN使いからしたら思ってしまう。その分丈夫に作ってあるって考えたらまったく問題ない”重さ”だと思うけどナ。タックルオート自体単純でよけいな機構も付いてないんでずいぶん軽快なスピニングだと思うけど、ソレより樹脂製のCシリーズは軽いんでっセ。カリカリ音しないようにする消音化の部品も組み込んであるし、お買い得だと思うンだけどどうでっしゃろ。

 って、部屋でクリクリリール回して書いてるだけでは説得力がないので、ちょっとこの夏はダイヤモンドに浮気してマイクロセブンCシリーズの実力を推し量ってみようかなとおもっちょりマス。

2019年7月13日土曜日

症例3および4についての報告ー大森製作所タックルオートSS、同マイコンSSの場合ー

 先週に引き続き”スピニング熱”のなかでもやっかいで重篤化することで知られている劇症型大森症の症例についてつまびらかに紹介していきたい。 

<症例3>大森製作所ダイヤモンド「タックルオートSS」

 一番マシだったマイクロセブンNo.1は問題なくかるーく復活させることができたので、次は一番ボロかったタックルオートSSに手を入れることとした。
 そもそもタックルオートSSの本体になぜかマイクロセブンCSのスプールが付いている”ニコイチ”個体で、かつハンドル軸のハンドルの反対側のキャップをなくしたまま海水浴びて放置されていたようで、表面塗装が腐食で全体的にボロいのは我慢するにしても、ハンドル軸のギアも内部で相当さび付いているようで、最初はハンドルは回らないしベールも固着という有様で、さすがにどうにもならんだろうという代物だった。何か使える部品生きて残ってるのだろうか?


 ところが、他の2台と共にビニール袋に詰めこんでCRCぶっかけて一晩寝かせておいたら、割と各部普通に動くようになって、ひょっとしたら使えるようになるんじゃなかろうか?と希望が見えてきて全バラし。
 ハンドル軸のギアは心棒の部分は鉄にメッキがかけてあるようなんだけど、メッキは剥がれてたけど心棒自身に酷い腐食はなく、ハンドルねじ込みも問題なく右左どちらも可能で、パーツクリーナーで洗浄してブラシ掛けたら普通に使える程度に復活した。さすがにベアリングは新品と交換だったけど内部の機械的には何の問題もない状態に回復。
 これまで古い中古リールをいじってきて感じるのは、グリスで覆われている内部部品は腐食しないっていう”グリスシーリング”の絶大な効果で、グリスで覆ってしまうわけにはいかない本体表面とかがボロボロになってるような場合でも、内部に浸水の形跡がある場合でさえグリスが塗ったくってある部品自体は腐食していなかった。

 ということでこれでもかとグッチャリ大盛りでグリスシーリング。グリスの役目として最近のリールグリスにはギアの高負荷での摩耗防止とかが求められているようだけど、ぶっちゃけスピニングリールでギアに高負荷かけてのゴリ巻き自体が使い方間違ってると思ってて、普通にポンピングで竿で稼いだ分だけ巻き取ってればギアの摩耗なんて起こりようがなくグリスはそんなに上等なモノでなくても、ちゃんと油膜で水気やゴミから部品を守ってくれりゃ良いと割り切ってる。まあいうても気を使って対塩水的に定評のあるMAXIMAウォータープルーフグリス使ってるけどな。
 内部の機械的な動きは問題なくなったんだけど、古めのリールを快適に使うのに大事なのは、ライントラブルを防止するために、①ラインローラーの角度を水平にする、②スプールへのラインの巻き上がりを真っ直ぐかやや逆テーパーになるように調整する、の2点で、これを知ってて実行しているのと知らないのでは全く違ってくると思っている。
 ベールアームってベールが返るたびにガシャンガシャンとぶつかって力が掛かっているので、使っているうちに角度が変わってきてベールが深く返るようになってラインローラーの角度も変わってくることがある。
 金属の板を曲げて作ったベールアームなら曲げ直して角度を修正してやれば良いので簡単だけど、樹脂製や金属でも鋳造の、ちょっとやそっとでは曲げられないようなものはこれまで手が出ずに放置していた。
 ただ今回のタックルオートSSはけっこうラインローラーが斜めってしまってたし、壊しても惜しくないようなボロ個体なので以前から暖めていた方法を試してみることとした。


 ベールが返ったときにベールアームを受け止める樹脂製のキノコ型のストッパーが填めてあるタイプのリールでストッパーを太いナイロンハリスを炙ってキノコ型に成型して自作し高さ調整したのの応用編で、ベールアームかそれを受けるローターの面に穴を開けてそこに太いナイロンハリスで作ったキノコ型のストッパーを押し込んで高さを調整して角度を変えるという方法である。
 今回、ベールアームが樹脂製だったのでベールアームに熱したステンレス棒で穴を開けてキノコ型ストッパーを押し込んでから熱したステンレス棒で頭を押して高さ調整した。
 アルミ鋳造とかのベールアームでもアルミなら柔らかいのでハンドドリルがあれば穴が開けられるはずで、ローターかベールアームどちらかに穴が開けられれば同様の方法が使えると思う。
 ベールアームが傾いてくるとラインローラの角度が変わるとともにスプールに対しての位置が下がってくるので、ライントラブルに繋がる”順テーパー”にもなってくるので傾いてきたら対策取った方が良さそう。

 で、ベールアームの角度は上手くいったんだけど、スプールへのラインの巻き上がり調整が苦労した。なにしろ本来のスプールじゃなくて別のリールのスプールが付いているので全然高さがあってない。
 大森No.1サイズだとこの組み合わせではドラグノブの雌ネジが主軸の上部まで届かなくなって締められないんだけど、SSの大きさだと締めることはできるようだ。ただ、普通に巻いたら、きっつい順テーパーで、”プリン巻き”と表現している人がいたけど、まさにそんな感じに巻き上がってしまう。
 順テーパーを補正するには、スプールを下げるかラインローラー(が乗ってるローター)を上げるかで、まずはスプールを下げる一番手軽な方法、スプール座面のワッシャーを薄いのに交換を試すも全く焼け石に水で2~3ミリぐらいはまだ足りない。
 次に追加でローターを上げてみる。ローターとローター軸のギアの間に、ベアリングや枠に接触しないようにジュラコン樹脂のワッシャーの穴を削って調整して填めてみる。大分改善したけどまだけっこう順テーパー。だけど、ローターをこれ以上上げるとローターの下面の隙間が大きくなって塩梅悪そう。
 あとは主軸の穴の位置を開け直して主軸を下げると主軸に乗ってるスプールも下がるはずだけど鉄系の主軸には堅くて穴はよう開けん。
 悩んでたら一つ方法を思いついた。インスプールのABUカーディナルの巻き調整の方法で、その手があったか!と感心させられたのがスプール上下のクランクのシャフトを曲げて主軸が上下する高さを調整してやるという、主軸削ったりする方法に比べると簡単な方法で、幸いタックルオートもクランク方式だ。だいぶ形状は違うけど。
 ということで主軸に突っ込むピンの部分をなるべく下に曲げて主軸のお尻が本体の底を叩かない範囲で下げてやろうとしたけど、ピンを曲げるとクランクのギアの上に乗ってる部分が浮いてしまいよろしくない。理屈ではカクッカクッと2回曲げて主軸に突っ込む部分を真っ直ぐにしてやれば良いんだろうけど、ステンレスっぽいピンはそんな思うようには曲げらんねぇ。
 ということで若干斜めにできたかなという気持ち程度の修正にしかならなかった。

 最後の手段で、ダイワのアンチバックラッシュシステム(ABS)でスプールの形状が元から逆テーパーになってるのを下巻きで再現するというダイワABSスプール以前の結構昔からやられていたらしい”手動下巻きABS”で最終的な巻き上がりが真っ直ぐになるように下巻きを結構な角度で逆テーパーに巻いてなんとか帳尻を合わせた。
 小さくベールアームを折り畳める収納性の良さを生かして旅のお供に持ち出しての実釣でも、ライントラブルもなくドラグの効き具合も優秀で良い感じに使えて、さすがにここまでボロくて元々ニコイチの個体は売るにも売れないので手元において使うことにする。
 ハンドルがハマってない方のキャップがないのは、パイプ椅子の先に填めるようなエストラマー樹脂性の伸び縮みするキャップでちょうど良いサイズのがあったので高さを切って調整し水抜きの穴をウレタン接着剤で封してから填めておいた。
 防水性能も復活。これであと10年は余裕で闘えるだろう。ニコイチで見た目もボロボロで格好良くはない。それでも自分で修繕して復活させたリールなら愛着湧いて気分よく使える。ボロは着てても心は錦。今後”旅の友”はコイツにまかせよう。

<症例4>大森製作所ダイヤモンド「マイコンSS」

 大森製作所の名を世に知らしめた大ヒット作、初代”マイコン”の一番小さいSSサイズで押しも押されぬ人気機種である。箱入り美品なら1万円以上している。
 表面腐食が多くボロ目で回転も重め、音なし切り替えツマミが固着、ドラグは締めてもスカスカで機能していないという状態では3台3千円のジャンク扱いもやむなしだけど、大森のリールがギアまで逝ってたのはこれまで遭遇していない。症例3のように内部に塩水入っていてもなお錆を落とせば復活する程度に丈夫な部品を選んで組まれているので、見た目はともかく内部は無事なのは予想できる。
 音なし切り替えは、最悪できなくても釣りはできる機能だけど固着外せれば外せば良い程度の認識。
 ドラグにおいてはマイコンのリアドラグを前の持ち主が分解後適切に組み直せなくて、っていうのはお約束だと思うので何の問題もないだろう。
 再起不能と思われた症例3のタックルオートSSに比べれば構成部品数は多いにしても、マイコンシリーズ自体初期型もNo.6で経験済みだし301TBと302TBは昔の愛機で馴染みがあり、楽勝気分でこれは勝ったも同然と余裕綽々で分解清掃整備を始めたんだけど、これが予想だにしなかった難敵で思わぬ大苦戦で薄氷を踏むような辛勝。運が良かったとしか思えない有様で今思い返して胸をなでおろしている有様。もう二度とマイコンSSには手を出すまいと誓うほどのトラウマ的に厳しい闘病だった。


 まずは鼻歌仕事だと思ってたドラグでも落とし穴にハマった。
 リアドラグの部分は本体内部と分けて整備してしまった方が作業用のお盆の上が散らからずにすむので、最近使って現役リール棚に置いてあった301TBのリアドラグと比較しながら最初に手を付けて、案の定ドラグパッドとかの順番が写真のようにデタラメだったのを苦笑しながら直してグリスも塗り直して填め直して、苦闘の末の本体復活の後ドラグの効きを確認してみたら、最初ちゃんと作動するのに、すぐに何というか中でずり落ちてしまう感じでスカスカに空振りして作動しなくなる。
 No.6分解したときのドラグの順番の写真や301TBの現物と何度も比較してみるんだけどどう考えてもドラグパッド、ワッシャーの順番は間違っていないので、何がおかしいのかずいぶん悩んで、ドラグパッドの填まっている金属製のスリーブの、ワッシャーが止まる出っ張りの前後に分けて填めてやる必要があるという正解に何とかたどりつくことができた。全部まとめて出っ張りで止めてると思ってたけど、ドラグラチェットを鳴らすギザギザの歯車とパッド1枚だけを出っ張りより本体側に重ねて他をドラグノブ側に重ねるのが最終回答。
 でも本当にしんどかったのは本体内部。基本的にはNo.6と同様の設計である。にもかかわらずSSサイズはメチャクチャ難易度が上がる。SSはその小型軽量がルアーの釣りに好適として人気なんだと思うけど、小型軽量に仕上げるため、リアドラグ化で増えて複雑化した部品を狭い本体内部に配置するためのギリギリの立体パズル的な設計になっていて分解そのものが難しい。

 具体的にはスプールを上下させるためのオシュレーション機構の部品であるオシュレーションカムを主軸に止めているCクリップの上の方の1個。ハンドル軸のギアに隠れるギリギリの位置で外しにくいことこのうえない。これが外れないと主軸が抜けないのでハンドル軸のギアもローターも外せない。全く分解整備できないやんけ!?
 下の方はマイナスドライバーと千枚通しで何とか外したけど、どうにも上のが外せなくて、なんでいつもの単純なクランク方式で主軸に穴開けて刺す方式じゃないのかと”恨みます”って気分になるけど、考えたらリアドラグ方式ではスプールと固定した主軸の回転をお尻のドラグに伝えなきゃならんので、クランク方式にするにしても主軸に穴開けてピンで固定して回転しないようにしてはリアドラグは意味を成さない。リアドラグでクランク方式自体はABUカーディナル(インスプール時代とクラッシックラインのC3とか)という前例があるけど、どうしてもハンドル軸のギアの後方に大きく場所を取るので、カーディナルのように後方というより斜め後方にドラグを持ってくる設計じゃないと下半身が長くなりすぎる。オシュレーションをハンドル軸のギアから歯車で持ってくる方式なら、ハンドル軸のギアとある程度重ねる設計が可能で小さくまとめることができる。マイコンSSはオシュレーションカム方式をとりつつもほぼハンドル1回転で1往復で減速密巻きにも倍速綾巻にも振ってないそうなので、大型機種との並びもあったんだろうけど純粋に小型にまとめる設計のためにこのオシュレーション方式をとっているようだ。なので、マイコンシリーズは単純なクランク方式採用のフロントドラグ方式の小型ダイヤモンドリール達とはハンドル軸のギアに互換性がない。
 てな蘊蓄はCクリップを外すためには何のお役にも立たず、最終的にはCクリップが跳んでどっかに行ってしまう不安におびえつつ、普段は座椅子に座っての作業で力をかけるときは膝上にリールを固定して作業しているのを、リールをお盆に押しつけるように固定して腹ばいで両手にマイナスドライバーと眼鏡用プラスドライバーを持って艱難辛苦を乗り越えてやっとCクリップがリール本体内に落ちたのを確認しようやく峠を越したことに安堵したのであった。所要時間およそ1時間の激闘であった。
 他にローター軸のベアリングが固着してたのも衝撃加えて外すにもドライバーとかあてる場所が小さくて危なかったけど何とかギアごと外して難を逃れた。固着系はどうにもならんときはどうにもならないので運が良かった。ベアリングの回転の軽さとかおもクソ無視して最終的にはグリス盛りまくっておいた。音消しのツマミも問題なく回復。消音部品の爪をぴったりの位置に填めるのに何度かやり直しが必要だったけどNo.6の経験を生かして無事組み付けできた。

 分解してパーツクリーナとブラシで洗浄してみたらばギアとかはあんのじょうピッカピカでベアリングも特に錆びてはいなかったので軽い回転に復活。まあグリスで重くなったけどナ。
 ちなみに金属パーツ小皿にまとめてパーツクリーナーに浸してブラシがけしてるけど、手間食って非効率でもバラした順番に並べておいて一つずつ作業していった方が良い、っていうか基本。そうしないと組む順番が分からなくなる恐れあり。慣れればデジカメで分解するときに写真押さえていけば問題なく組めるようになるので手抜きしてます。
 ついでに、どうでも良いことだけど、マイコンがなぜ「MI-CON」で私のコンピューター的に「mycom」やマイクロコンピューターの略の「micom」じゃないかって話は、多分「マイクロセブン(MICRO7)」のマイクロとコントロールあるいはコントローラー(Controller)をくっつけた、リアドラグで”精密に調整できるよ”的な意味で名付けた一種の造語ではなかろうかと思っちょります。

 という感じで、リールの方は快調に復活したけど長時間根を詰めてストレスフルな状況下でお行儀悪く作業していたのでこちらの腰にきた。洗浄後乾燥させてから組み上げるのが嫌になるぐらいに腰が痛かった。こうやってキーボード入力で文字打ち込むのも座椅子に座ってこたつ机で打ってるけど、パソコン用兼釣り具いじり用に良い椅子と机を買うべき時期に来ているのかもしれない。
 見た目腐食有りでボロっちいのは致し方ないにしても、性能的には何ら問題なく好調な個体に復活。これでジャンク3台は三者三様に復活させられたことになり、とっても気分が良い。
 以前にも書いたようにマイコンシリーズでは愛用していた301TB、302TBが好きなのでコイツとマイクロセブンNo.1は売りに出す予定。

 何しろこの時点(書いてるのはチョイ前で7月4日)で台数は規定の90台を3台オーバーである。
 2月にリール管理台帳を付け始めてからこちら、この患者は21台を購入し18台を売却または譲渡した。前者の金額は計56,296円、後者が37,003円で差し引き利益はマイナス19,273円と大赤字である。健康保険は適用されないので全額自己負担である。
 なんでこんなに赤字経営なのかというと、値段が付かないマイナー機種は売る手間が面倒くせぇので人様にあげてしまっているというのが大きいといえば大きいけど、そもそも値段が付くような割と人気の機種であっても、買って一生懸命分解清掃整備してそのことを説明して売りに出しても買った値段ぐらいにしかならないからっていうのも大きい。儲けて商売にするなんて遠い彼方の話である。
 有り体に言って全バラフルメンテは業者さんに頼んだらどれだけ安くとも2~3千円はして普通5千円~1万円ぐらいはする。手間暇考えればそのぐらいは当然するはずと納得できる。
 順テーパーが当たり前の時代のリールを逆テーパー気味に調整したり、ラインローラーの角度を調整したりという簡単な整備だけでも、使いやすさに直結するので金払う価値はあるだろう。
 っていうのを中古リール買う方は分かってなくてピカピカした見た目にしかこだわってないし、”機関好調”は書くのはどうとでも書けるけど、客観的には評価する指標が難しく、表面拭いて可動部にグリス付けた程度の「整備済み」個体とワシが自分で使うつもりで半日からかかってグリス大盛りで仕上げて向こう10年はラインローラー、ハンドルノブ、スプール外して主軸への注油と折れたらベールスプリング交換のみで闘えるようにしたリールでも「整備済み」ということにおいては同じである。
 古いリールは見た目状態良くてもそのままじゃ使いにくいなんてことは普通にあると思うんだけど。
 そのへん海外のオークション覗いているとユーチューブからリンク張ってあるのがあったりして、滑らかにクルクル回転してベールも軽く返ってるのとか説明しながら撮影してあって、なるほどこれなら写真よりは回転具合とかの機関良好っぷりを判断するには参考になり得る上手い宣伝方法だとおもう。
 でもそんな面倒くせぇことやってられっかよってのが正直なところ。2、3千円で買ったリールが買値よりちょっと値が付いて5千円で売れるようになるぐらいの違いのために、カメラ買って興味もない広告映像のお勉強もせにゃならんくなるとかまっぴらゴメンである。
 同様の面倒くせぇという理由で見た目が良くなり売却値段向上に直結するだろう再塗装技術の習得にも今のところ興味はない。ボロいリールの場合そのボロさも味のうちだと思っている。自分で使う場合ボロくならないように丁寧に扱うとしてもだ。

 でも、これからもボロリールを買って苦労して修繕・整備して売るというのは多分続けていくだろう。リールいじるのが楽しいという単純な話だけでもおおいに買う理由になりえる。特に動かないような状態のジャンクリールを使えるように直せたときの気持ちよさは一度味わうと病みつきになる。使えるリールを壊したオノレの罪や汚れさえ浄化される気もして、もはや止められず完治は不可能なところまできている。
 直して気に入ったら自分で使っても良いし、友人にあげても良い。既に持ってるリールと役割かぶって売りに出したとして、値段がたいして付かないとしても、使えなかったリールを使えるように修繕整備して中古市場に還元して、手にした誰かが気に入って愛用してくれるならそれだけで充分嬉しい。
 新品売らなきゃな釣具屋には恨まれるかも知れないけど、いりもせん機能でごちゃついた道具ばっかり買わそうとしてくる勢力に対抗して、単純で必要充分な道具の良さを知る釣り人が一人でも増えることを目指してのナマジなりの体制・権威への抵抗活動である。
 ということで治療方針としては、当初のそれに改めて立ち戻って、ジャンクとされてるような動かない系ボロリールを買って直して楽しむということになるのだと思う。
 完治はもう望めないぐらい病膏肓に入ってる状態だと思うけど、ジャンク3台復活はだいぶ病状を軽くしてくれて、今現在なんでも良いから大森が欲しい的な劇症型大森症は治まってくれてスピニング熱は末期的症状というほど酷くはなく、今後も上手に病気と付き合っていくしかないのかなと思うのであった。

 ということで次回は割と得意分野になりつつある”安ダイヤ”関連の症例報告いってみます。お楽しみに。

2023年8月5日土曜日

大森補完計画

  ワシ常々釣り具と釣り人の関係は一期一会というか、それぞれの好みや道具の使い方とか想い出とかで、良いも悪いも変わってくるものなので、相対的なその釣り人にとっての最高の釣り具というのはあり得ても、全釣り人共通で絶対的な一番の道具などというモノはあり得ないと思っている。

 大メーカー様が、ヘッタクソでも問題なく使えるように技術の粋とボールベアリングをこれでもかと突っ込んで恐ろしい値段になってる高級リール様とかワシ金積まれても使わんぐらいに嫌悪してるけど、好きな人にはたまらん魅力があるんだろう。何が良いのかサッパリ分からんけど、おそらくそういう人には瞬間的逆転防止機構の搭載される前のPENNだの大森だのの良さは、ましてやボールベアリングすら入ってない原始的なベベルギア機の丸ミッチェルとか、それこそ何が良いのかサッパリ分からんだろうからおあいこである。お互い好きなモノを好きに愛でておけばいい話である。

 とはいえ、大森製作所謹製のダイヤモンドリールは古いスピニングが好きな人種には評判が良く、大森沼の住人はスピニングではミッチェル沼、ABU沼に次ぐ人口を誇っている気がする(当社調べ)。

 そんな大森スピニングだけど、ここがイマイチとイの一番にあげられるのが、スプールエッジの形状で、スプールの糸巻き部分上面がなだらかな傾斜になっていて、スプールいっぱいにラインを巻くと、端の方はスプール上下の幅を超えていてラインが崩れてグズグズになってラインがドバッと出ていくトラブルになりかねないし、ライン放出時に斜面に広く当たって出て行くのでラインの放出性的にも良くないという理屈である。右がその大森スピニングのスプールの例で「タックル5No.1」のもの、左が糸巻き部分上面が真っ直ぐの優等生の例でPENN「スピンフィッシャー4300SS」でPENNはやっぱり分かってるなっていう感じ。

 とはいえ、実際にはラインをスプールの直径ギリギリまで巻かず糸巻き量少なめで運用してやればトラブル自体はあんまり気にならず、実際の運用時は写真の「タックルオートNo.1(スプールはタックル、タックル5と同規格)」ぐらいの糸巻き量にしてるんだけど、ワシ遠投性とか気にしない近距離戦特化型の釣り人なので困ってはいない。いないんだけど愛する大森スピニングの欠点とされる部分が解消できれば、それはそれで気分が良いだろう。スプールの形状を変えるとなると、どっかの小工房にお願いしてアルミから削り出してもらうぐらいしか手がないように思えるかもだけど、そんな金のかかる人任せなことをワシがやるわけがない。

 じゃあどうするんだって話だけど、ゆうてワシZEBCO「15XRL」では割れて上部欠損したスプールを再建したぐらいで、なんなら日曜大工で樹脂素材主体にスプールそのものを作るのも不可能ではないと思っている。思っているけどさすがにそれは時間がかかるしめんどくさい。こんなもんスプールエッジの形状だけ真っ直ぐにしたいのなら、シャンプーハットみたいな輪っかを作ってスプールに填めて固定して、適当にそれっぽい形状にしてやれば良いだけじゃん。ということでおあつらえ向きにちょうどいじくって遊ぶのに良さげな「タックルNo.1」が送料込み1980円でネットフリマに出てたので確保、そのうちコイツでやっつけてみよう、と思っていたら先にいじくった外蹴りアウトスプール版「マイクロセブンNo.1」でラインローラー固定ナットが固着してるのをネジ切ってしまうという失態を犯してしまい、その時にとりあえず問題先送りにして、ベール周り両機種共通なのでタックルの方の正常なベール周りをマイクロセブンにとりあえず移植してその場しのぎしてあった。なので、ネジ切ったラインローラー周りの再建も今回やらねばならない宿題となっている。ということで、スプールエッジの形状改良と壊してしまったラインローラー周りの再建が今回のお題であります。

 それではスプール改良からいってみよう。

 まずは何はともあれ現状把握からだなと採寸から始めてみる。今回スプール上下幅にスプールの糸巻き部分の幅を合わせるのも重要なのでまずはそこから。単純クランク方式の場合、どう考えても主軸に刺さってる棒の上下の幅がスプール上下幅のハズなので測ると約11mmというところ。スプ-ルの糸巻き部分は上端まで測ると約16mm。ちなみに直径は下のスカート部分で47mmあるのにスプール上部では42.5mmと小さくなっていて、インスプールだと下がったときにライン放出がローターと干渉しないように下の方が直径大きい必要はあるけど、アウトスプールの場合は同じで良いはずなので、これも修正するとスプール直径大きくなって”直径大きめのスピニングは使いやすい”と思っているので良い具合の改良になるはず。高さ的には5ミリ、スプール上面からスプールエッジが下にくる位置に輪っかを填めてやれば良いことになる。5ミリって大きいけど実際には現状のスプールエッジは丸く滑らかに立ち上がってるので、スプールエッジと呼ぶべきラインが当たるカド自体は2,3ミリ下がる程度という印象。

 でもって、どうやって輪っかを填めるか色々悩んだ。輪っかを切らずに填めるのはワシ手品師でも何でもないので難しい。難しいということはできるのか?と聞かれれば、一旦スプールを上下に切って填めてからスプールをカスガイ使って上下くっつける方法がないこともない。ZEBCO「15XRL」のスプール再建したときの方法の応用である。でもスプールぶった切るのは強度面やら切ることで短くなるおそれやらなにやらで、あんまりやりたくない。かといって輪っかの方を何枚にも分けて貼り付けると今度は輪っかの強度面と水平の確保に問題が生じそう。妥当な落としどころとしては、輪っかに1箇所切れ目入れて捻って突っ込んでやるのが無難に思う。でもってその材料としては1mmのアルミ板でいくか、0.8mmのFRP板で行くかで検討して、捻って曲がった後の復元性が良くて水平が出しやすいFRP板で行くことにした。FRP板は薄くて丈夫なので一部ルアーのリップにも使われていて、この手の薄いFRP板は電子機器の基板に使われているので”基板リップ”と呼ばれている。我が家にあったのもまさに基板リップとして使うために買ったモノで、ハルコ「ソーサラー」の元のリップが薄くて弱くボックス内で割れてしまったのでその修理用だったけど、ほとんど余らしていたので出番があって良かった。

 作成手順としては、外周はスプール糸巻き下面の直径にあわせて47mmでいくので直接スプールおいて油性ペンでなぞる。糸巻き部分が11mmにする位置に填めるには内径は35mmぐらいなので、外周から6mmの位置に点を打っていって内周を手描きする。

 FRP板はわりと丈夫でカッターでは切りにくいけど金切りバサミやニッパーは使えるので金切りバサミで大まかに切り出していく。

 1箇所内側に向けて切り込みを入れて、金切りバサミで大まかに直線的な穴を開けた後、ニッパーでバチバチと3角形を切り取っていく感じで内周を円に近づけていく。

 大まかに輪っかの形になったら、サンドペーパーでひたすら削って円形に仕上げていく。

 ヨッシャできた!と捻ってスプールに填めてみたら糸巻き部分が1ミリぐらい狭い。FRP板の厚さを考慮してなかったというお粗末。まあ削り足りなかった分には追加で削れば良しで、幅5mm弱でちょうど糸巻き部分の幅というか高さが11mmになる仕上がり。

 ここでちょっと迷ったのが、1箇所切れ目を入れたんだけど、これはカスガイなり穴開けて縛るなりした方が良いのか?接着剤でくっつけただけでは開いてきてしまわないか?ということだけど、カスガイにしろ縛るにしろ出っ張ると引っかかって塩梅悪いので、0.8mmの板に0.4mmの溝掘って出っ張らなくするとか面倒くせえことこの上ないので、5mm弱の幅に巻かれたラインの圧力は外側ということもあるしたいしたことないだろうということで、とりあえず接着のみで行く。開いてきてしまったらまた考える。

 輪っかの水平を保つために11mm幅に切った厚紙で下支えしつつ、瞬間接着剤塗って最初は細いティッシュで作った紙縒りをグルッと巻いて、瞬間接着剤塗って、隙間に合わせて太らせた紙縒りをグルッと巻いて、外周まできたらサンドペーパーで形を整えてエッジの角が立たないようにFRP板の面取りもしてから、主軸に刺して固定してロッド回しで回しつつエポキシでコーティング。スプールとFRP板の段差も切れ目もエポキシである程度ならしておく。最後黒のタッチペンで色塗ってスプールはこれで完成。

 スプール共通のタックル5で試してみたら、上下幅ちょうどよくラインがキッチリと巻かれて良い塩梅に仕上がっている。

 よっしゃ、スプールは上手いこといった。次は懸案のラインローラー固定ナットをネジ切ってしまっているところの再建である。以前「ラインローラー周りを再建する計画は準備していて、プランA及びBを既に立案済みで上層部(ワシ一人で現場と上層部兼任だけどな)のゴーサインを待っている状態」と書いたところだけど、プランAは機能回復というか修繕に近いんだけど技術的には難しくて失敗しそう。プランBは技術的には難しくなさそうだけど、ちょっと元と同じような機能には戻らなくて”改造”の範疇になる。プランAで失敗してからプランBに切り換えることは可能なので、いっちょ難易度高いプランAに挑戦してみる。現状は写真の様にナットが填まってたネジが根元近くで折れて、折れた残りはナットの中で回収不能になっている。どうするねんコレ?

 って考えて、難しそうだけど寸法的にはギリギリできなくもない。とワシが立案したプランAが、流行の?性転換モノ的な方法で、もともとはローラーが填まる軸から伸びた棒が雄ネジになってて雌ネジ切ってある円錐形ナットで締めてたんだけど、雄ねじの部分、いうなら”息子スティック”にあたる部分がもげてしまった状態なので、もう雄ネジとしては機能し得ないので、逆に穴を掘って雌ネジ化しようというものである。っていうても、ローラーが填まってる軸は2.7mmしか直径がない。穴掘ってバネを利用して雌ネジのネジ山をつくる”リコイル”で2ミリのネジを使おうと思うと、バネを入れる関係から2mmの穴では足りず2.5mmの穴を開けなければならない。整理すると2.7mmの真鍮の丸棒に2.5mmの穴を開けなければならないという、ちょっとズレたら穴が横に開いてしまいそうな危うい作業工程である。

 まあ失敗したらプランBだよな、という逃げ道は作ってあるし、ローラーが填まってる軸がダメになったら真鍮パイプ利用で軸から再建するプランCも追加で試してみてもいい。

 ということで”ままよ”とプランAにまずは挑戦してみる。

 はじめに、余ってる雄ネジの部分を金鋸で切り落としてラインローラーの填まる円柱部分だけにする。

 そして、まずは細い1mmのドリルから穴掘っていくんだけど、最初のこの時に穴が真ん中に真っ直ぐ掘れるかどうかが、成功と失敗を分ける分水嶺なので、写真では電動ドリルが写ってるけど、ドリルでいきなりギュィーンッて回すと真ん中からズレることが多いので、まずはドリルの刃?単体で手で持ってキリのようにグリグリと回して、少しずつで良いので真ん中に真っ直ぐな穴の取っかかりを作ってやって、そこからは小型万力に固定して、真っ直ぐ上からになるよう気をつけつつ電動ドリルでドリドリと穴掘ってやったら上手くいった。最初で失敗したら修復はほぼ不可能。素材的には真鍮にクロムメッキなので金工用のドリルなら問題無く穴は掘れる。あとはドリルの太さを順に太くして穴を拡張する。

 で、穴拡張して仕上げていくときに2mmのドリルで軸の長さぐらい穴を掘って、2.5mmのドリルの時は、その半分ぐらいリコイル用のバネが納まるぐらいの穴で止めておく。リコイルのバネで作った雌ネジを越えて雄ネジが収まるので、穴の底に雌ネジ部分があるより雌ネジ部分全部使えて、突っ込む雄ネジの長さは雌ネジ越えていい余裕があるので大雑把で良くなる。

 リコイル用の道具でバネを巻いて直径小さくしてから穴に挿入して、中で巻きを緩めて2.5mm部分の底に設置。

 長さ調整していない長いネジで試してみると、しっかりネジとして機能してバネが抜けてきたりもしないようだ。樹脂とかに”リコイル”を使うとバネの引っかかりが弱くて抜けてきたりするけど、真鍮だと適度に堅いのでしっかり噛んでくれるようだ。

 最後、雄ネジの長さを切って調整して、ベールアームの穴よりネジがだいぶ細いので間を埋める仕掛け用パイプ切ったリングを噛ませて、ネジの頭の手前に緩み防止のワッシャー填めてネジ締めてみた。良い塩梅に締まって固定できて、ちゃんとラインローラーも回転してくれて問題なさそうで、思ったより上手くいった。なんでも試してみるモノである。

 ということで、今回の大ネタは無事成功したので、いつものようにグリス盛り盛りで組んでやるんだけど、ちょっと小ネタもございます。

 一つは逆転防止のスイッチが欠けてるので、ちょっとお化粧直ししておきました。

 まあ、欠けてても機能に問題ないっちゃないんだけど、見た目良い方がイイかなと、割れた面に2箇所1mmドリルで穴開けてステンワイヤーを刺して骨組みにして、れいによって、ティッシュを瞬着で固めてそれっぽい形に成形して、ナイフとヤスリで適当に形を整えて銀色のスプレー塗料で目立たないように塗装。雑な仕事だけどまあこんなもんで良いでしょう。

 もういっちょは、今回の「タックルNo.1」はありがちなんだけど、右巻でこの時代のハンドルネジは左右別で左巻きにするには交換が必要なんだけど、そんなもん付いてないって話で、いただきものの自作「大森No.1、No.2用左右別型ハンドルネジ左」を使っても良かったんだけど、ちょうど部品売りで「オートベールSS」のハンドルが手に入ったので今回そちらを使うことにして、”左ねじ”は温存した。で、オートベールのハンドルには「2ボールベアリング」とかシールが貼ってあるし、ボロくて塗装ハゲハゲだったりもしたのでタッチペンの黒で塗装して使った。

 というわけで、いっちょ上がり。

 今回いじったローラーを固定しているネジは念のため引っかかったり抜け落ちたりしないように、エポキシを盛ってツルンとさせておいた。ナットがなくなった分軽くなって回転バランス崩れてプルッたらオモリ追加で調整だなと思ってたけど特に問題なくクルクル回ってる。

 スプール上面は”アルミ感”を残すため輪っか状に塗り残した部分を設けたけど黒一色の方が表情は引き締まるか?そのへんの美的センスはワシには欠けてるのであまり気にしないでおこう。田舎ヤンキーの改造車みたいにケバゴテしてなければ見た目なんぞ何でもイイや。

 ハンドルノブの形が、大森三角パドル型になったのも案外違和感ない。ハンドルノブはどうせ”改造”するなら好みの形にしたくなるところだけど、意外にどんなハンドルノブが良いのかって難しくて、たとえば世間的に評判の良い”ミッチェルのひねりハンドルノブ”だけど、最初摘まみやすく感じて「コレがミッチェルの捻ったハンドルノブか!」と感動したけど、ワシわりとしっかり摘まむのか摘まみやすくて指の同じ所にノブが当たってると長時間の使用では痛くなってくる。たいした痛みでもないので丸ミッチェルのハンドルノブわざわざ換える気はないけど、ハンドルノブの形状は実際摘まんだり握ったりして使ってみないと評価できないもので、手の形や大きさもツマミ方も個性があるので、自分に合ったものがどういうモノかさえ難しい。とりあえず大森三角パドル型は摘まみやすく痛くもならないのでワシ的には合格なので換える必要はないだろう。

 さて組み上がったし、ラインも巻いてみる。

 ちょい後ろ巻きになってしまってる気がするけど許容範囲。しっかり糸巻き部分の上下幅一杯つかってラインが巻けている。

 ワシはトラブルの少なさ重視でラインはあまりいっぱいいっぱいまで巻かないので、この状態で直径42mmラインが巻かれている。上の方に写真がある、元のスプール形状で少なめに巻いているタックルオートNo.1の巻いたラインの直径が37mmなので、実質5mm糸巻き部分の直径が大きくなっている。スプール糸巻き上面を真っ直ぐにしたのでラインの放出性も良くなってるはずだ。スピニングリールの改造っていうと、世間ではボールベアリングの数を増やしたがるようだけど、そんなもん少なくとも飛距離にはあんま関係ないはずで、あれほど飛距離にこだわるのなら、スプール形状いじって然るべきだと思うけど、あんまりそういう改造は聞いたことがない。なんかご大層な高級リール様のようにスプールエッジには特殊な堅い素材とか使わねばならんので”いじれない”と思ってるのかもだけど、耐久性とかはともかく飛距離に関係してくるのは”形状”であって素材は滑りやすい方がイイだろうけどまあ普通に磨いた樹脂でもアルミでも上等のハズである。あとはスプールの直径、純テーパーか逆テーパーか、オシュレーションが密巻きか綾巻かとかでも放出性が違ってくるというところか?飛距離にこだわるなら純テーパーのスピニングだってあって良いのに、昔みたいな純テーパーのルアー用スピニングってとんと見なくなった。今回の改造は、ライン放出性を良くする”飛距離に直接的に効く”改良だったということは自慢できる気がしている。

 しているんだけど、スプールエッジの形状について、大森のアルミの時代と樹脂製の時代のを比べたりしているうちに、ちょっとワケが分からなくなってきて、本当に今回の”改良”は自分にとって必要だったのか?という気がしてきて、改めてもうちょっと頭を整理してみることにした。長くなってるけどもうちょっとお付き合い願いたい。

 ワシが大森製作所が存在した当時に愛用していたリールは「キャリアーNo.1」と「マイコン302TB」である、これらの機種は大森製作所の”黄金期”最後の方にでてきた機種で、キャリアーは本体も樹脂製だけど、本体金属製のマイコンTBシリーズもスプールは樹脂製で、これまでワシ「後の方に作られたこれらの機種はスプール上面の傾斜がきつくなくなってて改善されていて使いやすかった」的なことを書いてきた。スプールがアルミから樹脂に変わったときに金型新しく作る時に改善したんだろうなぐらいにボンヤリ認識していた。なので、今回傾斜きつめのアルミスプールのタックル、タックル5、タックルオートをいじりつつタックルのスプールを改造してみて、じゃあどのぐらい違うんだろうって、タックル5No.1、キャリアーNo.1、スプール同じだけどマイクロセブンC1、マイコン301TBのスプールを並べてみて、比較してみた。それが上の写真である。

 ナンジャコリャ?キャリアーもマイクロセブンCもタックル5と形状一緒やんけ!マイコン301TBのスプールだけスカートも長いし糸巻き上面の傾斜も微妙になだらかな気がするけど、キャリアーもマイクロセブンCもきっちり傾斜してるやん。どゆこと?またワシ嘘書いてやがったな!あいすんませんなぁ。堪忍したってくんなまし。

 マイクロセブンCシリーズもそこそこ使ったし、写真のキャリアーNo.1とマイコン302TB、301TBは若い頃の愛機なので散々使い倒した。その時に、飛距離的に別に困りはしなかったのはワシの釣りが近距離特化型だから参考にならんにしても、ラインがドバッと崩れて出たとかのトラブルもなかったと思うし、今もちょくちょく使ってるマイクロセブンCシリーズも使いやすいリールでトラブルとかは少なくて快適なリールだと感じている。スプールの糸巻き部分に対してスプール上下幅が狭いスピニングは、巻いたラインの上下が崩れてトラブルが多いという理屈じゃないのか?明らかにその理屈に自分の感触が反している。いかに理屈から言ってなさそうであっても、現実にそうなっているのならそれが正しく、かつ、そうなる理由が隠れているはずである。その理由は何か、ここに来てパソコン椅子探偵の推理の時間である。

 ひょっとして、とノギス片手にライン少なめで運用しているタックルオートNo.1の糸巻き部分の幅を測ってみたら、謎はたぶん解けた。すまないが大森沼の関係者を呼んでくれたまえ。

 写真では分かりやすいように、スプールが上がって下がってする1回分ラインの色を変えてあるんだけど、ワシが経験則で少なめに巻いているラインの状態で、ラインはスプール上下幅一杯11mmに巻かれているのである。それより幅が広がるところまで巻いてない。なので上下部分で崩れたりはしない。単純明快。本体タックル5だけど同じ単純クランク方式なので気にしないで欲しい。というか、ワシがさっき書いたタックルオート、タックル5,タックル、キャリアー、マイクロセブンC、マイコンTB、どの機種もハンドル一回転でスプール上下一往復の単純クランク方式で、ということは綾巻でありラインの放出性はイマイチでもトラブルは少ない方式で、かつ、少なめに巻いたラインが放出するときには斜めったスプール上面の傾斜に多く当たって出て行くのでこれもライン放出性は悪いけどトラブルは少なくなる要素。つまり、大森スピニングのような放出性の必ずしも良くない糸巻き上面に傾斜が付いているスプールに少なめにラインを巻いて運用するとラインがドバッと出ていくようなトラブルはむしろ軽減されるのである。って言うかワシはそういうトラブルは記憶にないぐらいで極めて少なかったはず。知っててそうしてたわけでも何でもないけど、自然とそうなっていったし、近距離特化型でトラブルなく使えるリールが良いリールと思ってるワシにとって、形状いじってない元の大森のスプール形状が実は合理的というか合目的的だったのである。

 ワシ、今回スプールの改造が上手くできた時点で、これから大森スピニング片っ端から糸巻き上面真っ直ぐに改造してやろうかと思ってたけど、むしろそのままがイイと理解した。飛距離重視の人には参考になる改造になったかもだし、ワシも勉強になって良かったけど、若干無駄骨臭がしないでもない。

 よく考えれば、今時の高級リール様でも、単に放出性重視なら必要のない、糸巻き部分の上にちょろっと斜めに出たひさしのような出っ張りが設けられていたりする。要するにスプール上下減速式にして密巻きにしてたりしていて、放出性が良すぎるとラインがドバッと出てしまうトラブルとかが増えるので、ライン放出時にわざとちょっと当てて、そういうのを防ぐ仕組みを設けているのだろう。減速式は巻くの軽くなるしで高級機種では入れたいだろうし、そうするとそのままだとトラブルが多い、なので逆テーパーつけたりスプールエッジに”ひさし”つけたりラインの放出性は悪くなるけどトラブルの減る仕組みを設けているということだと理解した。

 最近流行の釣りが、アジングだの管釣りの鱒だので軽いルアーを使って、かつ前者だとフロロだエステルだといったあんまりしなやかじゃないラインも使うので、放出性重視でカッ飛び仕様にしてしまうとトラブル多くて使いにくいっていうのも、今時のリールにやたらライントラブル防止のための工夫が多い背景なんだろう。まさにヘッタクソが、カッ飛び仕様までいかなくても、普通のスピニングでそういう軽い仕掛けの釣りをしたら不具合多くて困るだろうなと想像に難くない。メーカーさんある程度マッチポンプでそう仕向けてる部分もあるけど、ちゃんと釣り人の程度と釣りに合わせた道具を売ってるってことか?

 ただ、そう考えると、そんな極端な軽いルアーを使わないシーバスとかでは、今時の高級機種やその機構を真似した下位機種では、トラブル少ないのは良いけど放出性良くなくて飛ばんがな、って遠投派のシーバスマンは思ってしまうかも。そういう人は今の逆テーパーのスプールじゃなくて投げリール由来の純テーパーが付いてた時代のスピニング、たとえばダイワの革命機「ウィスカートーナメントSS」とか今こそ出番じゃなかろうか?そこまでじゃなくても、スプールエッジの角がキリッと立ってるミッチェルとか飛距離的には優秀なはずである。たしかに丸ミッチェルはプラナマチック入ってなくても良く飛ぶように思うところ。スプール径大きめも効いてるんだろうけどな。

 逆に、ライントラブル防止策で、ライン少なめに巻いた大森スピニングをライトタックルの釣りに使うというのもありではないかと思えてくる。なにしろ、さっき書いたようにスプールエッジに大きな”ひさし”が付いてる状態だし、綾巻でもありライントラブルに強いのはワシ実感してきたところ。

 ついでに、PENN4桁スピンフィッシャーでも4400SS以上のモデルはぬこさんが”原始A-RC”と書いてたように、真っ直ぐな糸巻き上面にちょっと”ひさし”が突き出てる形状になっていて、純粋なライン放出性よりトラブル防止をやや重視している感じ。まあ昔っからこの手の工夫はあったって話で、スプールエッジ、糸巻き上面の形状は各社各時代で想定する釣りやら釣り人やらによって適切と考える形状を選択してきていたようで、釣り人はそれらの違いを認識しつつ選べる程度には各種スピニングがこれまで世に出ている。まあワシ認識あんませずに経験則でトラブル少ないリールをトラブルおこさないように使ってきたわけだけどな。あと細かい話だけどラインの放出性の良さが即飛距離向上を意味しないっていうのもある。何じゃそれ?って話かもだけど、例えば固定重心のミノーとか投げるときに、ある程度放出性が悪くてラインの抜けが悪くてルアーがライン引っ張って飛ぶ形になると、ルアーの飛行姿勢が安定して飛距離が出るとか、そういう細かい例外もチラホラある。

 という感じで、まあ道具っていうのは、それを使う人の好みや技術はもちろん、使う状況や仕掛け、調整具合、重視すべき要素なんてのが種々絡んで、一筋縄ではいかず、最初に戻るけど「釣り具と釣り人の関係は一期一会」「相対的なその釣り人にとっての最高の釣り具というのはあり得ても、全釣り人共通で絶対的な一番の道具などというモノはあり得ない」って話で、少なくともどういった機能がどういう理屈で働くようになっているのか、自分の釣りに必要とされる機能はどういったモノか、というのをなるべく理解していないと、フォーミュラ-カーで山道登るようなアホな道具の選択になりかねないので、皆さんよく勉強しておきましょう。

 ワシも今回、スプール糸巻き部分上面が斜めってるのは必ずしもスピニングリールにおいて欠点だとは限らないってことを理解できて、蒙を啓かれる思いで大変勉強になりましたとさ。