というわけで、「コメットG1」である。コメット使うことはないんと違うんかい?って自分でも思うけど、冒頭写真のように脚を短く改造した個体が安くネットオークションに出てきたので「コレって、逆転防止スイッチを切っておいてローターの下部を指で押さえて調整しながらラインを放出してやる逆転釣法用の改造だよね」と興味が湧いて、ものは試しと入札してみたらアッサリ落札。一時期5万円とか異常な値が付いてた人気機種が我が家にお越しあそばせになった。前々から、取っ払える機能を取っ払えるだけ取っ払って逆転釣法で使うためのインスプールの改造用素体をさがしていたので、現状でスプールに指が届きやすいように脚が詰めてあるならちょうど良いおあつらえ向きの個体だ、とこいつをいじってみることとした。常々書いているけど、トラブルにならないようにスプールエッジにひさしがついてたり、ふけたラインを巻き込まないように”しごく機構”がついてたりといったまともにスピニングを使えないヘタクソ向けな機能や、重くて複雑で動作が不確実で濡れたら困る瞬間的逆転防止機構や、意味不明に多いベアリングとかの、実超能力にあまり関係のない空回ししたときの店頭性能とカタログ上のこけおどしでしかない無駄機能でゴテゴテに飾り付けられた、ガキが喜んで乗るような電飾ぴかっぴかの補助輪付き自転車みたいなクソリールはダサすぎると思っているので、その逆の必要最低限な単純な機能で、足りない機能はカリスマの腕で補って釣るようなスピニングリールをと考えていたのである。これまでに、ラインローラーのベアリングを樹脂製ブッシュに換装したり、ベールワイヤー取っ払ってベールレス機にしたりという改造は行ってきて、あと取っ払えるとすれば何だろうと考えて、逆転防止とドラグだなという結論に至った。もいっちょ取っ払うならスプール上下機構だけど、クローズドフェイスリールで体験した感触ではグシャッと巻かれすぎてラインの傷みが早い印象もあり、あった方が良いとの判断になった。今回のコメットG1の改造は、ベールレス機にして逆転防止機構を取っ払い、ドラグを殺して”逆転釣法仕様”でいきます。もちろんスプールエッジはアレします。
ということで、方針は決まってるしスプールエッジの修正とラインローラーの作成ぐらいが生じる作業で、逆転防止機能はすでに別途「キャリアーss」にスイッチ移植してしまって無いし、ドラグは滑りの悪い赤いファイバーワッシャーをドラグパッドにしてギッチリ締めれば機能しなくなるだろうし、サクサクといくと思ってたら思わぬところで不都合が生じた。この脚の状態だとフットを中指と薬指の間に挟めんがな。写真上のようにローターが近すぎてベールアームが普通に巻いてるときにも人差し指にブチ当たって巻けん。これ、フットを人差し指と中指の間?に持ってくる握りを前提にしているようで、そうすると写真下のようにスプールエッジにも人差し指は届くので投げる時のフェザリングもできるし、当然ローターの下の方に指を当てて逆回転を制御するのも容易な位置になっている。そういうモノだと割り切ってこのリールを使うときだけ握り方を変えて使うというのも考えなくはなかったけど、なんか気持ち悪くてしっくりこない感じだったので、グリグルと巻いてある補修糸を引っぺがして、添え木あてるなりなんなりして脚を伸ばすこととした。握り方にこだわりはあまりない方で、基本のサムオントップじゃない軟式庭球握りで握ってたりするけど、リールの脚の位置はさすがに許容できない感じがした。”逆転釣法”特に徳島あたりの磯釣りで行われていた”阿波釣法”で使われていた実機で歴史的な価値もあるだろうけど、まあ使うとなれば仕方ない南無三という感じで、一回解体作業に入る。”阿波釣法”はその名の通り徳島の磯釣りで行われていた釣法で、浮子だの仕掛けだのも含めた釣り方の呼称だと思うけど、象徴的なのが、竿をノされたときにラインを瞬時にくれてやって立て直すために、脚を短くして指が届きやすくしたインスプールリールのローターに人差し指をあてて回転の制御をしつつ、逆転防止は切ってラインを出すという技術で、それ様にオリムピック「トゥルーテンパー727」や今回の「コメットG1」の脚を切って溶接したり、グルグル巻きで短くしたりという改造が行われ、「リールの脚を切って短くするといっても、普通の人はなかなかできんで。ほなけん、ようする人は注文を受けてやりよった。そうこうするうちに、足の短いインスプールリールがリョービから出てきた。グレキラーっていうやけど、よう売れたな」そしてS45年にスポーツライン500LB、1000LBが登場。「あっという間じゃ。皆がLBに変わった。そら見事やった」という流れだったと「磯釣りスペシャル」で阿波釣法の生き字引である高橋康生さんがインタビュー受けている。氏の阿波釣法に関するお話は「徳島釣りの輪」主催の「阿波の釣りの夕べ」という講演がYOUTUBEにあるので、ご興味ある人は観てください。紀州勢と阿波勢のしのぎの削りあい、技術の交流で釣法が伝播していく様とかなかなかに興味深いお話です。2026年8月1日土曜日
阿波踊りするコメットさん
2026年6月20日土曜日
へちま
「お染二の字」、「白熊中金」、「八つ橋荒巻」、「黒三光」、「源氏車」、「八ッ橋赤底荒巻」、「新魁荒巻」、という新しい打順の鮎毛針浮き流し釣りの仕掛けをこしらえた。
今期、我が鮎釣りポイントのアユの遡上具合は”小当たり”ぐらいで、まあ夕マズメに頑張って10匹ぐらいは釣れるかなというぐらいの、夕涼みにはちょうど良い塩梅である。
てな話をしてたら、去シーズン当地で鮎毛針釣りも楽しまれたひじさんから、「閉店するっていってた古い釣具屋の閉店セールで入手した鮎毛針(デッドストックもの)をまだ送ってなかったので送ります。「へちま」と書いてあるのは、付属ハリスがナイロンでなく本テグスだそうです。天然のテグス蚕製!僕は初めて触りました。いつのだよwww おまけに同じ店で入手したこちらもデットストックの流し浮きも付けます。」と物資補給があった。ありがたいことである。特に鮎毛針はワシは自作するときフライフックの18番20番といった小さいハリにチマチマと巻いているので、ある程度巻き貯めた備蓄はあるけど、それだけだと心許ないので、ネットでそれこそデッドストックを投げ売りしてるようなのを探して、ちょくちょくと予備弾倉を補充していたので実にタイムリー。
ということで、いつもはフライパターンとかを独自解釈で鮎毛針に落とし込んだ、「仇虫(アダムス由来)」、「水の女王(クィーンオブウォーターズ由来)」、「借苦(シャック由来)」とかいい加減な毛針で打線組んでるけど、今回は買いためてあったり、自作したりも含めて伝統的な鮎毛針で組んでみた。ひじさんにいただいたのは大阪の「カク久」というところのもの、購入済みのは加賀の「秀峰」謹製となっている。右端の2本はナマジ謹製。
いただいた流し浮子はダンベル型にリリアン貫通のジタバグのように左右に揺れるタイプで、ひじさんが使ってみたところ、どうも仕掛けが絡むトラブル多い印象、ということだったので、まあそのへんは小物釣り師は絡む仕掛けにゃとりあえずパイプってなもんで、パイプ突っ込んでみた。リリアンのような柔らかい部分があると絡みやすい。逆に張りのあるパイプを使えば絡みにくくできるハズ。で、浮子の位置は前後に浮き止め入れてやれば好きなところにできる。場合によっては浮子上げ下げして、毛針を水面に叩きつけるようにして誘ったりもするので、浮子の位置は好みの位置に調整できるとベター。いつも使ってるのは写真の左端の棒状のタイプで、この単純な形状でも流れの抵抗を受けてジタバタとクロールするように揺れる。
で、仕掛けはハリを結ぶメインライン部分は0.8号ナイロンで、上の方の道糸部分は視認性重視で、ピンクGTRの1.5号を使った。仕掛けの上部に流し浮子、最後の方にシモリ玉の浮子、浮子の間に毛針が6本、シモリ玉の後ろに1本で、毛針は枝ス方式で0.8号のメインのラインに8の字結びを作って、締めずに隙間を空けたままにして、下に向いてラインが突っ込む穴に枝スになる毛針の付いたハリスを突っ込んでメインのラインに電車結び。ハリスの長さは、長すぎると絡みやすいので適当に。長さ多少ランダムにして動きに差が出るようにしてる。絡みやすさはラインの種類によっても異なり、ホンテロンのようなエステル系は堅めで絡みにくく、ナイロンの方がしなやかで絡みやすいけど、気持ちしなやかな方が掛かりが良い気がするので、絡むと面倒な上の方のハリにはエステル系ハリスのを使って、後半の食わせたいハリにはナイロンとか一応変えている。今回いただいた毛針には”本物のテグス”が使われていて、パリッと堅めの感触だったけど、この乾いた状態だと弱いらしく、結ぶときにも濡らしてから結ぶようにとのことだった。たしかに濡らすとちょっとシットリとしてパリパリ感が薄れて結びやすい。で、どのぐらいの強度があるのかと、余ったハリスで引っ張って切ってみたら、普段使ってるナイロン0.4号とは比ぶべくもない弱さで、全体が伸びるのではなく、ガムとかみたいに切れるところに近いあたりがミョーンと伸びつつボツッと切れる。10センチやそこらのアユに切られるおそれはないと思うけど、尺ウグイちゃんとかだとちょっと心許ないぐらい。でも竿も4.5mで柔くてためが効くし案外なんとかなるかも。今時の0.4号ナイロンの強さが異常なのかもとも思う。
という感じで、伝統的な鮎毛針をお題に1打線組むのを楽しんだんだけど、”へちま”と呼ばれた”本テグス”についても、ツーテンの虎ファンさんも交えいろいろメールでやりとりして、その歴史やら製法やらいろいろと興味深かった。その時のやりとりを、一部抜粋、改稿してのせてみると、
ナマジ:ありがとうございます。テグス蚕のテグスは私も触ったことないので、どんなのか触ってみたいですね。私の持ってる毛針で本テグス仕様を謳ってるのは、ホンテロンとかのエステル系のハリスでした。違うやんけ。絹もそうですけど、天然の繊維でも保存が良ければ長持ちするもんですね。
虎ファンさん:テグスという言葉自体久々に目にしましたが、こんな風に作られていたとは驚きです。知りませんでした。web.tuat.ac.jp/~kaiko/03/dissect/SilkenGut.html
ナマジ:クスサンからテグス作るのは三平君もやってたので酢で固めるとか知識としては知ってました。繭を作る前の終令幼虫は独特のシワシワ感が出てくるそうで、秋田ではその状態を指す言葉として「ひきってくる」というらしいです。養蚕用語かな?(正解でした)あと、誰だったか忘れましたが、引っ張って伸ばす伸ばし方で太さを調節するんだけど、片方だけ細く伸ばしてテーパーつけてテーパーリーダーのようなモノも作れたとか書いてました。文明崩壊後してナイロンラインが手に入らなくなったら、クスノキ蹴っ飛ばしてクスサンの幼虫捕まえねばならんですね。
虎ファンさん:三平がテグス作ってたっけ。覚えてないなあ。でも、面白いな。 ポテチやかっぱえびせんの袋が白黒になっている時代やし。
ナマジ:三平君じゃなかったかも?矢口高雄先生の子供の頃の想い出とかを綴ったエッセイかエッセイマンガだったようなおぼろげな記憶が蘇ってきました。と書いて、データ化して持ってるかもなと探してみたらありました。「釣りキチ三平の釣れづれの記」(「続・釣りキチ三平の釣れづれの記」もある)でした。イラスト付きのエッセイ集ですね。ちなみにクスサンじゃなくてヤママユガの幼虫つかってました。テーパーラインの話もこの本に出てました。
虎ファンさん:その本、我が家にはなかった。クスサンに限らないのか。三平の話になると、秋田県の「横手市増田まんが美術館」に行ってみたくなる。
ひじさん:盛況ですね。テグスサンは中国にいるけど日本には分布せず、日本ではクスサンを使うんですね。テグスとクスでややこしいなあ。 ところで、テグスサン・テグス・・どっちが先なんだろう。テグス=漢字だと「手繰糸」で、これが取れるからテグスサンだと勝手に思ってましたけど、ウィキの説明は、「天蚕糸」で「ティエン・ツァン」が「テグス」に転じ、テグスサンから取るからテグスだと。「糸」は読まない漢字(有名なのは鹿児島の頴娃(えい)の「娃」)てことかな。 じゃあハリスやエダスは?釣り人用語なだけ? ますますわからなくなってきました。
ナマジ:テグスの語源はネットで検索かけてみると、「天蚕子」中国語読みから説が優勢ですね。子が読まない漢字ではなくスーと読むのならティエン・ツァン・スーからテングス→テグスとなりそうな気もするし、ハリス、枝スのスも糸と同じ意味で使ってそうに思うのですが、ネットのお勉強ではそこまでたどり着けませんでした。推理としては悪くない気がしてますが。クスサンの繭はなんか雑なつくりでそんな穴だらけで大丈夫か?という代物ですが、ヤママユガの仲間のウスタビガの繭は拾ったときに緑色のオシャレな感じといい、パカッと上部の口が開いて成虫が出て行ったらしい良くできてる機能性といい感動して、子供の頃蛇の脱皮ガラとかと一緒に宝物箱に入れてました。ヤママユガの繭も薄緑の綺麗な色で後にヤママユガの繭から糸をとって布にするという雅な技術が存在すると知ったときも、あの美しい繭なら良い糸が採れそうだなと納得したモノです。今でも長野とかでは生産してるとか。https://oishii.iijan.or.jp/products/post-1880こちらも「天蚕子」と書くけど読み方はテンサンシだそうな。って考えると、テグスがとれる蛾からは繭から糸もとれたりする。逆に絹糸線がある大きな蛾の幼虫からは絹糸線引っ張り出して酢で処理してテグスが作れそう。お蚕さんでもできそうに思いますけどどうだろ?お蚕サン、韓国出張行ったときに、屋台でサナギの揚げたのが売ってるのを買って食べてる人が居たので(ひょっとしてひじサンだったか?)1つ2つ摘まんでみましたが、食べられなくはないけど、鼻から匂いが抜ける度に、「大ごい」の茶色のパッケージが頭に浮かんできて、美味しいというほどのモノではなかったように記憶してます。コイ様に食べていただくための餌を人間ごときが食べるのは分不相応なのかもです。
虎ファンさん: 嫁と長野旅行をした時に岡谷の天蚕博物館に行ったことがあります。「あゝ野麦峠」の世界の説明やトヨタだけでなく、日産までも自動織機を作っていたのかと感心したことよりも、ご自由にお食べ下さいとあって、反射的に口に放り込んだサナギの味と臭いの方が記憶に残っています。
ひじさん:なお、僕もまだ使ってませんが、本ヘチマは濡れてないと切れやすいらしいので、仕掛け作りの際は気をつけて。まあ大物釣る仕掛けじゃないからギュウギュウ結ばないとは思うけどね。
ナマジ:毛針と浮子届きました。ありがとうございます。本ヘチマのテグス、触ってみましたが乾いてるとパリパリしてて確かに結びに弱そう。張りがあるのは絡みにくいので、そこはホンテロンハリスと似たような性格か?「お染」は単純で自分でも作りますが名作です。透け透けに荒く巻いてお尻にオレンジっていう色っぽいハリです。打線組むの楽しんでみます。
って感じでした。
その後、引き続きお勉強してたところ、なぜへちまという呼び方になったのかとか、詳しく紹介されているブログ「長良川と郡上竿の世界」にたどり着きたいへん勉強になりました。勝部直建著「テグス文化史」というのが参考資料として優れているようで、孫引きさせてもらうと「中国でテグスが作られ始めたのはいまから800年前の南宋時代であるという。その元となる虫は、中国南部産の楓蚕(フウサン)と呼ばれる蛾の幼虫で、テグス蛾、天蚕とも呼ばれた。」という古い歴史のあるもので、中国で作られたテグスが江戸時代に持ち込まれ、全国各地に行商人が卸して回ったとのこと。
その後、「テグスの断面をまるく、太さを均一にするために輸入された”荒テグス”を磨く(金属板に開けた穴を通したりして削って整える)ようになり、明治の頃には各太さの磨きテグスが全国に流通するようになったとか。その中で輸入テグスにも産地により品質に差があり、ヘソ、アイス、ヘチマなどの名前をつけてランク分けされた。最初は中国湖西省産の最高級テグスがヘチマと呼ばれたが、終盤にはヘチマを名乗った様々な商品が出回った。」とのことで、ナイロンやエステルに取って代わられる直前のころには高級な本テグスに「ヘチマ」と名付けられていたようで、いわば”ヘチマ”は「高級テグスですよ」という宣伝文句のようなモノになっていたようだ。
「国内では、1800年頃から信州で、ヤママユガやクスサンの幼虫からテグスが作られ始め、輸入のテグスが希少で高価であったため、全国各地にも生産が広まった」とのこと。やはり、ワシが想像したとおりお蚕さんからもテグスを作る試みはなされていたようだけど、とれる長さも質的にもイマイチだったようだ。
輸入した荒テグスを、日本で加工した「磨きテグス」はその技術が高く評価され、戦前には世界中に流通したようで、淡路島が高級ブランド産地だったそうな。0.4号の細さにまで磨いた製品が流通していたようで、たしかに凄い技術だと思わされる。
で、その蛾の絹糸線から作った”本テグス”がナイロンやらの合成樹脂に取って代わられていったという歴史だと思っていたけど、今回お勉強して、その間に「人造テグス」という絹糸を芯にゼラチンで固めたような製法で作られていたと知った。長尺のものが作れるのは良いけど、製造できる太さがやや太く水を吸って弱くなっていくのが欠点だったのが、水を吸ってふやけて弱くなっていく難点を克服したのが、いまも小もの釣りの「ブラックラーヂ」とかに名を残す最初の人造テグスの「ラーヂテグス」で、日中戦争、第2次世界大戦の時代に本テグスの供給も滞ってしまったなか、お茶やタマネギの皮で煮るなどして当時の釣り人は長持ちさせて人造テグスを使っていたそうな。という人造テグスがあって、その次にお馴染み東レからナイロンテグスが現れるまで、人造テグスは道糸用だったのでハリス用には”本テグス”が使用されていたのだろうと推定している。
東レによるナイロンテグスは昭和20年前後、昭和17年にまず商品名アミランのナイロンラインを「東洋合成テグス」として販売開始。その後昭和22年に、ナイロンの透明化に成功し泣く子も黙る「銀鱗」ブランドの発売を開始している。その後輸入も含め他社製品も出てきて、ナイロンラインが本テグスに取って代わっていったのだろうと思われる。
つまり本テグスが付いているいただいた毛針は、ナイロンテグスが発売される前か、発売されて過渡期に本テグスがなくなっていくまでの幾ばくかの間に作られたデッドストック品かもと推理できそう。昭和20年とかで80年前、その後過渡期が長かったとしても20年も本テグスの生産、流通が持ったと思えず、60年よりは前かなと推理してます。ワシより年寄りの毛針。長さの単位の書き方がセンチが漢字で”糎”なのも、古さを物語っている。
と、ブログ「長良川と郡上竿の世界」の内容から引用、簡素化して、長々と他人のふんどしで書かせていただき、申し訳ないところだけど、あげられてる参考文献がなかなか手に入りそうにもないので、ご容赦願いたい。道具の歴史、発達の経緯って知ってると、なぜその道具が必要とされたのか?という根源に迫ることができ、自分にとって必要な道具を適切に選ぶためのベースとなる知識たり得るんだけど、なかなかそういうところにまで突っ込んでる情報って出てこないので、是非紹介したく書かせてもらいました。釣りで大事なのはハリと糸っていつも書いている釣り糸の歴史。
その釣り糸の歴史の源泉には馬毛、絹糸を処理したモノ、麻縄など植物の繊維から得たモノもあるけど、透明なハリスの源泉としては糸を吐いて繭を作る蛾の絹糸線から作り出した”本テグス”があったということは、今日日強力な合成繊維が普通に使われているのと対比してなかなかに”遠くに来た”感じがすると同時に、小さな虫の作り出すテグスが透明な繊維が他になかった時代、魚釣りにおいて決定的な仕事をやってのけていただろうということに痛快さというか面白みを感じるところである。早速、アユ釣りに行ってみたけど今でも”ヘチマ”のハリスは小アユぐらい問題なく釣る実釣能力を備えていた。経てきた年月を思うと、なかなかにものもちが良く、絹にせよ、漆にせよ、鳥の羽根飾りにせよ、適切な保存状態における生物由来の素材の長持ちする性能には感心するところである。漆とか千年持つからね。
って、本テグスについてお勉強してたら、「絹糸からケブラーに匹敵する繊維素材」カイコの糸を摂氏125〜215度、1900〜9800気圧で加工すると、絹本来の結晶構造を保ったまま繊維同士が融合し、透明で緻密な固体素材が生まれる。強度は防弾チョッキに使われるケブラーに匹敵し、弾道試験では炭素繊維強化ポリマー(CFRP)とほぼ同等の耐貫通性を示した。っていう報告なんかもネットニュースになってて、生物由来の素材の有用性、発展性ってまだまだあるんだなと思ったりもして、そういう色んなことを考えながら、本テグスで釣りすると、釣果がUPするとか下品な話ではないにせよ、釣りがちょっと楽しくなって、自分が今やってる釣りが、どういう歴史の流れの中で培われてきた道具や技術を用いているのか?自分の釣り師としての立ち位置が意識できたりして趣深いモノがあったりします。
とにかく強くて切れない糸を使っておけば良いっていうのは、適切に切れないと危なっかしかったりするという実害もありつつ、思考停止で適材適所を踏まえられていないことも多く、時に強くもなく切れもする、でも必要十分な面白い道具を使っておくってのは、楽しみの面で利する面が大きいのかなと思っちょります。
2026年5月16日土曜日
さがし物はなんですか
上の二本のインビンシブルが26センチとデカすぎて縮尺狂ってしまってるけど、この二本は首都圏に住んでたときにサ○スイで売ってるのを目にしていたけど、5千円以上してたので、使いどころないし欲しいけど買わなかったのを、ニールズマスターで検索掛けてて出てきたので、思わず手が出てしまった。探してたっていうのとはちょっと違うかもで、下半分のショボいルアー達が今回の主役です。ということで、ルアー図鑑うすしお味87弾はニールズマスターとベーテの関係と、ヨーズリ「トップ90」あたりでいってみます。とりあえずあれだ、一回欲しいと思ってしまったものは結局買うことになりがちなので、四の五の言わずに欲しければ買っておけってのがデカブツ手に入れての教訓かな。良い子は真似しないように。マニア達は後に続け。
で、まずはニールズマスターで検索掛けて探していたブツの一つがこの箱入りの「ベーテミノー」である。箱にはフィンランディアと記載されているけど、中に入っているミノーは、コータックが輸入元だったことろのフィンランディアと同じように見えるけど、リップに「BETE」をかたどったロゴマークがある。ニールズマスターで検索掛けてたのは、実弾としての「インビンシブルDR8」の補充とかのためもあったけど、読者さんからの問い合わせで、どうもベーテミノーと呼ばれるフィンランディアのような形のミノーが存在するというのを知って、BETEで検索もしつつ、ニールズマスターで出てくる可能性も高いだろうと張っていて、予想どおりに出てきたので、ちょいお値段高目だったけど欲しいので購入。以前にも書いたけど、もともとニールズマスターのフィンランディアは、ラパラのオリジナルフローティングみたいな、標準的な形状のフローティングミノーだった。それが、なんで「スタルワート」っていう下あごキール形状が共通のミノーがあるのに、下あごにキールを出っ張らせたのか?不思議に思っていた。ちなみにスタルワートの下あごにはオモリが仕込まれているようで、その重量で頭を下にして逆立ち浮きする個性的なミノーである。![]() |
| 黒金がベーテミノー、赤金がフィンランディア |
2026年5月9日土曜日
今期お楽しみルアーとバスジャッカーの謎
廃盤品ではあるけど、ザウルス潰れたときの放出品関連か、中古市場に弾数多くて確保も楽。値段もこなれていて疵ありとかなら千円台で買える。とりあえずベイブを2個、Jr.を3個確保済み。Jr.のうち一つは塗装はげで片目がない状態で600円送料込みとかの投げ売りを買ったけど、実釣用なら目ぐらい入れれば良く、実にお買い得。
ついでに、蛍光緑のベイブもひび割れているところとかエポキシで軽く穴埋めして、塗装はまとめてやるとウレタンのコーティング剤とかの無駄が少なくてすむので、過去に入手して貯めてた要補修ルアーとかもついでに目を入れたりコーティングしたりしてみた。写真上からタイガーカブは5,6百円でたたき売られてたのをエグったブツで、反射板入りの古い時代のモノで塗装が剥がされていた。筆書きでタイガー模様描こうかと思ったけど、目を入れただけで反射板のおかげもあってか良い感じの面構えになったので、目だけ書き目でいれてウレタンコーティング。吹き目だと雰囲気でたかもだけど、そこまで凝らない。ラパラみたいなミノーはフィンランド製でハゲ掛かってるけど独特のプリズムな鱗模様から「パルサ」なのかな?リップの樹脂板が劣化してボロボロに崩れたので、基板リップをおごっておいた。出番の多いワンダースリム70は紀伊色にお色直し。ということで、今年の春シーバスお楽しみルアーのバルサ50ビックラッシュスケーターの小さい弟達は、安い出物があったら弾補充しつつ使える体制が整った。バグリーと同様にヒートンが抜けるおそれありという欠点はあるけど、ヒートンはエポキシで固定して強化しておく。人気があって”高値”の花だったころにはバルサ50をシーバス釣りみたいな荒い釣りに使うのは抵抗あったかもだけど、中古市場に弾数多く、かつ時代を彩った名品、人気がなくなったからといって、タタキ売りされていて使われもしないというのはしのびないので、魚釣ってルアーとしての本懐をとげさせたいところ。
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| 左端だけノンラトル、右端だけⅡが付く |
というわけで、ルアー図鑑うすしお味第86弾は、ビックラッシュスケーターの弟達とバスジャッカーなどでいってみました。
2026年4月25日土曜日
結構毛だらけ
まあ、ケモノっていうぐらいで、全身毛の生えた生き物の抜け毛の量は、ハゲ始めたオッサンのそれごときとは比較にならんって話で、メチャクチャ抜ける量が多い。居室は毎日掃除機かけるのは必須だし、遊ばせてる一階のネコ部屋も月一で掃き掃除するんだけど、1月もあると特に換毛期でなくても部屋の隅の方にモコモコと毛の塊が転がってるぐらいになってて、掃き掃除すると散らかしたネコ砂とかと合わせて紙袋いっぱいになる。
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| 上:掃除後、下:ネコ草 |
で、抜けた大量の毛は捨てるのもったいなくてっていうのは猫飼いあるあるらしく、愛猫家もはたまた愛犬家も色々と利用方法を模索していて、一番感心したのは動物の毛を使って巣作りをするシジュウカラとかの小鳥たちにあげるという方法で、適当にまとめてタマネギネットにでも突っ込んで鳥の目に付く場所に吊しておけば勝手に持って行ってくれるそうな。肉食獣の匂いは蛇とかの天敵を遠ざける効果があるとかなんとか。で、次にわりとポピュラーなのがフェルトのぬいぐるみ的なモノを作るというもので、もっと凝ってくると本格的にフェルト加工して帽子とか作ってる猛者もネット徘徊しててお見受けした。フェルトってアクリルフェルトとかの化繊じゃない天然繊維のものは、それ用のハリで突いて繊維同士を絡めてつくっているそうな。で、当然のことながら毛なんだから毛糸にして編み物をという人もいて、ネコ毛100%のセーターとかもネコ毛の量が確保できれば可能のようで、毛糸に紡いでくれるサービスを提供している方もネット検索すると出てきて、ブラッシングで手に入る大量の毛をもったいないと思う飼い主さんはワシの他にも普通にいるんだなと安心する。
で、まあ毛針釣りを嗜むワシとしては当然、毛針の材料にするわな、っていうか毛針始めた貧乏学生の頃からネコの毛にはお世話になっている。下宿の共同キッチンの三角コーナーに餌あさりにくる三毛猫から3種類のボディー材を確保したりしていた。まあ、ニンフフライとか巻くのに最初は教科書にならって、ウサギの顔とかのマテリアルを購入してたんだけど、あんなもん手に入りやすい適度な長さの毛足の毛があればなんでも良くて、ネコの毛はなんの問題もなく毛針のボディー材として使える。うちのコバンさんは茶白の毛色なので茶色と白の毛が入手可能なんだけど、ブラシ掛けるときにいちいち分けてないので、混ざった薄い茶色のボディー材が手に入る。これが、近所漁港の排水から流れてくる水産加工残渣のなんかモロモロッとしたタンパク質と細菌の絡まったようなやつに、色合いも似てるし、適度な視認性も確保されていてグジャッと乱暴にコバンさんの毛を巻いただけの”コバンフライ”は、ワシのボラ釣りにおけるキラーパターンである。切られて消耗することが少なく、頻繁にボラ釣りするわけでもないので、なかなか貯めてあるコバンの毛が減っていかないけど、チマチマと使ってます。![]() |
| 3原色限定でも毛色のバリエーションは豊富 |
でも、恐竜の生き残りだとされている鳥たちの、千変万化、なんなら光りを吸い込むぐらいの真っ黒から、構造色の輝く青やら緑やらまで使いこなす洒落者ぶりには到底かなわず、もっというならは虫類、両生類、魚類、昆虫や軟体動物に至るまで、生物は色彩にまみれているのに、白黒茶しか持ってないほ乳類の雄として、たまには派手な色の服でも着てオシャレしとかんといかんのかなと反省し、恥ずかしさに赤面するしだいである。
2026年4月18日土曜日
猫は同じ餌に飽きる
でも、科学の世界では、なぜ猫が同じ餌に飽きるのか?っていう基本的なことすら明らかではなかった。それどころか、猫が餌を選ぶのに餌の臭いや味は関係なく、脂質とタンパク質の含有量で選んでいるとか、あげくの果てには、猫が偏食するのはそれを見た飼い主が「うちの猫ちゃんはグルメなの」って喜ぶから、人の反応を見てそうしているとか、一度でも猫を飼ったことがあるならっていうか、飼ってなくても人んちの猫見てるだけでも、トンチンカンな的外れなことを言ってると分かるというモノがざらにあった。およそ観察眼に欠けたセンスのない科学者共だとあきれ果てていた。伊藤リサ先生の爪の垢でも煎じて飲む用に取り寄せろ。こんなのでも論文として出ると、さもそれが正しい説のように喧伝され出すので始末が悪い。論文が出て査読が通って学術雑誌とかに掲載されたとしても、それが絶対の正解だということを意味していない。単に”そういう説がでました”っていうだけの話で、今日知ったことは明日覆る、っていう感じに新たな知見で知識や常識が更新されていくのが科学というものの本質で、典型がアルコールは少量でも害になるっていう論文が出ると、健康至上主義者がそれ見たことかと、適量の酒なんてないって騒ぎ出す。賭けても良いけど、適度な飲酒は健康上大きな利点がある。そんなもん飲んだことあれば分かるし、気持ち良さげに酔っ払ってる飲んべどもを見てても分かる。精神衛生上非常によろしい飲み物であることは自明。データ的にも老人の健康には適度な運動より適度な飲酒の方が寄与するって、これまた1つの説でしかないけど、そういう飲酒が良い影響を与えるという報告は山ほどある。なんならそういう健康至上主義的な、健康に気を使ってる人とそうでない人の寿命を調べたら、後者の方が長生きするという、頑健な肉体だから気を使わなくても良いっていう因果関係もありそうだなとは思うけど、古い時代から知られている報告もある。
っていうなかで、やっとまともな研究結果が報告されていたので紹介しておきたい。岩手大学の研究チームが「ネコがごはんを残す理由を解明 ―同じ餌でも匂いを変えると再び食べる―」と題して研究報告を公表した。これはなるほどそうかもしれないと膝を打つ程度には信憑性がある。猫はご存じのとおり臭いには敏感で、外から帰ってきたワシの靴やら自転車のペダルやらの臭いから外界の情報を読み取っているのか、よく玄関で臭いをかいでいる。近所の雌猫が発情し始める今時期には、キン○マもうないのに、なんかソワソワとして春の臭いに興奮してるようにも思う。味が決め手となってないから、これまで味を変えたりして実験しても思うような成果が出ないとか、味とか関係なく餌を選んでるとかのトンチンカンな結果にしかならないとか、匂いが鍵ならそれも納得である。素晴らしい着眼点だと敬服する。近年の猫に関する研究では、猫の宿痾である腎臓病が血液中のタンパク質「AIM(apoptosis inhibitor of macrophage)」が正常に機能しなくなることが原因で、AIMが急性腎不全を治癒させる機能を持つことを解明したことに次ぐぐらい素晴らしい成果ではないかとおもう。3位にはネコがネコ草を食べるのは甘みを感じないので旨みでイネ科の草を好んでるという小ネタも面白い報告。AIMに関しては既に応用した治療薬の治験が始まっていて、猫の寿命を飛躍的に伸はせると期待されている。今回の猫の餌の選択には匂いが重要で、匂いを変えると再び食べる、という発見も、老化や病気で餌食いが悪くなった猫に対して適切な餌やりをできるようになるとか、猫飼いにとって猫にとって、とても意義のある研究成果だと思う。
まあ、うちのコバンさんも、同じ餌が続くと飽きるのは間違いなくあって、カマスの時期とか連日カマスの頭とか骨周りとかだと、しばらくすると食べ残すようになってくる。チュールを塗ったくってやるとちょっと食うけど、舐め取って食わなくなるとしばらくカマスは止めてカリカリとかでお茶を濁すか、マアジを釣ってこなければいけなくなる。でも匂いを変えてやれば良いと分かっていれば、なんかそれ用のスプレーとか当然ペット業界は考えて商品化するだろうから、カマスに飽きたら”イカ臭”スプレーとか、猫大好きカツオフレーバーとか匂いを変えてやることで餌ちゃんと食べてもらえるのではないだろうか。ウチのコバンさんは元野良なのもあってか、比較的餌食いは良い方だと思うけど、贅沢に餌をもらって育った猫で特に雌猫は食が細くて困るらしいから、ペット業界におられる方はイナバの「チャオチュール」以来の大ヒット商品目指して、銭の花を咲かせるべく商品開発よろしくお願いしたい。
ただ、同じ餌が続くと飽きて残すようになる、匂いを変えると食べる。ってのが分かると、さらにそれはなぜ?という次の疑問が湧く。イエネコは元々リビアヤマネコっていう乾燥地帯の野生猫がご先祖らしいので、その時代には虫やらネズミやらの小動物を色々食べてたので、雑食の人間が典型だけど同じ餌ばかり食べていると、栄養が偏ったり必須の栄養が不足したりするので、なるべく多くの種類の餌をとるように嗅覚による選択性が発達したとかそういう話だろうか?その時になぜ味覚ではなく嗅覚が鍵になったのか?餌の選択には口に入れないと分からない味覚より、その前段階で判別できる嗅覚が都合が良かったとかか?さらにいうなら、カマスは比較的飽きるのが早いけど、マアジともっというならアユは飽きるのが遅い。マアジでも刺身食べた後の中骨を重ねて焼いたものは飽きて残しがちで、丸ごとや頭は食いが良い。一般的な法則があるのか、単なるコバンさんの好みの問題か?以前はクモやゴキブリも好物だったけど、最近はいたぶって殺すだけで食べ残してるのを見かける。元々の食性考えれば虫の方が好きでもおかしくはないと思うけど、イエネコにはイノシン酸を感じる味覚があるらしいので、人と暮らしていくうちに魚の方が好きになったのか?疑問はつきない。
今も胡座の上ですやすや寝ているような身近な猫に、自然の不思議や、人との関係とかで培われた謎が溢れている。猫を知ることは生き物を知ることであり、ひいては人間やこの世界を知る手がかりになるに違いないと痛感している。やはり我々はネコと和解せねばならないようでである。
2025年11月15日土曜日
見せてもらおうか、チャットGPTの性能とやらを
右のヒメジ系は以前ネタにしたこともあるヨメヒメジ。左のアカマツカサ系というかエビスダイ系のは似たのが多くてやや自信ないけど、別写真とかもあわせて見るとおそらくテリエビスだろうと同定した。やや低い体高が一番の特徴でニジエビス、ヒメエビスと迷うけど背びれの膜の色でテリエビスとみた。
っていう同定結果を伝えたところ、釣りの上手い人はネットで簡単に使える生成AI(人工知能)の代表的なものであるチャットGPTに写真示して聞いたところホウセキキントキだと回答しているとのこと。キントキ系は鰭の付き方が特徴的だからまったく違っていて別系統だろ?似てるのは夜桟橋とかから釣れて色味が赤白ってところぐらいでアホかと。おそらく現時点のAIの写真判定って大まかな形と配色程度しかみてないんだろうと思う。最近ネットフリマとかでルアーの釣書をAIに書かせてると思われる事例が散見されるようになってきて、「緑と黄色で小魚の形が特徴です」とか、まるで意味をなさない情報しかなくて、そんなもん見れば分かるから説明ない方がマシって思わされるけど、生き物の同定でも同様に、素人が良くやるなんか色と形が似てるからコレだろうっていう「見分け方」のレベルで、まったくアテにならないどころか、危険ですらあるので注意喚起しておきたい。具体的になにが危険かというと、生物でも食べることを前提とした場合に、間違えると食中毒やらで下手すると命取りになるからで、例えばツムギハゼ釣ってコレ食えるのかなと写真でAIに問い合わせて「マハゼです、日本各地の沿岸や河口部に生息し、天ぷらなどで美味な魚です」って回答を信じて死んでもだれも責任取ってくれないし取りようもないって話で、もっとヤバいのが先日もネタにしたキノコの世界で、この秋もツキヨタケが猛威を振るってるけど、あんなもん裂いて黒い部分を確認しても、食べられるキノコと混生してたりして全部裂いてる暇などないだろうしで混じってしまい当たるぐらいの難しい判定を、学習するといってもネットにある情報を広く一般的に集めることしかできないだろうAIに、個別具体的な事象についてそれぞれ判断ってのは無理があるだろう。結局責任を持って判断できる人間、多くの場合は識者に頼ることになるだろうけど、最終的にその者を信じるかどうか含め自分自身の判断でないと同じ死ぬにしても納得イカンと思うけどどうだろう。ネットの言うことを鵜呑みにして死んだらバカくせぇと思うよねって話。
ただどのぐらい現時点で使えるのか使えないのか、あるいは質問の仕方しだいでどうにかならないか?ちょっと興味が湧いたのでチャットGPTは自分のパソコンにソフトを落とさなくても使えるようなので試してみた。お手並み拝見ってところである。
まずはワシがテリエビスって同定したやつ。この写真の方が各鰭が開いていて同定には向いているだろう。実際のやりとりの際の画面を取り込んだのを適当に切り貼りしてます。問おう「この魚は何ですか?」
で回答は、以下
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言ってることがだいぶおかしい。ミギマキとは似ても似つかんやろって突っ込みは捨ておいて、最初ミギマキに似てるといった舌の根も乾かんうちに、「より正確に言うと、~ではなく、~エビスダイ科の魚である可能性が高いです。」と、まあAIに舌があるのか知らんけど、どっちやねんっていう煮え切らない回答ぶり。まあ最終候補にヨスジエビスっていうエビスダイ系っぽい名前が出てきたのは上出来か?でも、どんな魚だっけってヨスジエビスを検索してもそんな和名の魚はヒットしてこない。学名はこういうとき極めて役に立って、お作法どおりの斜字体じゃないにしても書いてあるので大西洋の魚のだというのが分かる。っていうか手元の「魚の分類の図鑑」調べたらエビスダイ科って日本じゃ呼ばないはずでイットウダイ科のことだろうけど、英語圏のネット情報から学習していて英語名の直訳で和名とか科名をでっち上げてる気配がある。あと、整理された特徴だとこんなもんイットウダイ科のほとんどがあてはまるし、他にもいっぱいあてはまるだろう。同定の基準たり得ない。
とりあえず、エビスダイ科は日本語ではイットウダイ科のことだと解釈して、追加の質問というか突っ込みを入れてみた。
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はいそのとおりですって、素直な回答と「とても鋭いご指摘です」と使用者に忖度した言い回しをいただいた。けど、テリエビスの特徴が、だからその程度では同定できないんだってっていう状態なのは変わらずで、まあこりゃダメだ。一番下に「必ずしも正しいとは限りません」と逃げ口上を書いてあるけど、もっとデカく書いておいて欲しいお粗末さと言って良いだろう。
とはいえ、エビスダイ系なんていうややこしいマイナーな魚ではネット上の参考情報も限られるだろうし、この1件をもってダメ判定はかわいそうだろう。ということで2問目。スズキ(セイゴ)でいってみました。
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ネット上には、魚の同定に特化したアプリケーションソフトも出始めたように見受けられるけど、ベースが学習型AIなのは良いとして、「みんなで精度を上げていきましょう」っていう方式であり、その方式は結局は責任の所在が明確ではないので、ある程度は便利に使えるモノにはなるだろうし、普通の利用者にはそれで充分なんだろうけど、最終的には以前も書いたけどみんなで情報持ち寄るウィキペディア方式では情報の正確性には限度があると思うところ。誰かが責任もって、中坊博士監修の検索図鑑の同定ポイントをAIに学習させた上で最新の論文とかで明らかになった事項など情報を更新していく方式でないと、とどのつまり”自身の名に賭けて”書いてないお気楽なフワついた書き込みが精度を下げていくのは避けられないと思う。ワシの書いてる記事も匿名ではあるけど、ネット上のナマジという人格はそれはそれでもうある程度独立して確立された人格になりつつあるので、ナマジはナマジの名に恥じぬように書いているつもりである。あと、チャットGPTとやりとりしていて一番問題だと思ったのは、注意書きはあるにしても、分からんことを素直に分からないと言わずに適当な回答を生成してしまうところにあるようにも感じた。いつも口を酸っぱくして書いているけど、生物の世界では線引きができない事象がでてくるので「分かりません」っていうのも一つの立派な回答だと思うので、そこはAIなら設定でどうとでもなるだろうから今すぐ改善した方が良いのになとネットの片隅で思いましたとさ。ソクラテス先生も孔子先生も草葉の陰から同意してくれるだろう。キノコの世界では「分からないキノコは食わない」というのが判断方法の原則の一つになっていることもむべなるかなである。
とはいえ、この手の技術の進歩の早さって驚くぐらいで、そのうち文句なしに使えるモノになっていくだろうってのは想像に難くない。なにしろ先行している画像映像生成の分野では、生成AIが作った映像が加工無しの映像と区別がつかないレベルにまで来ていて、ネットニュースやらで流れる映像にAI生成のものが紛れ込んでいても見てる側から判別しようがない。元データで加工の痕跡とか調べれば分かるのかもだけど、そんなもんすぐにそれもごまかすような技術は考えられるだろう。視覚だけじゃなく全ての感覚が人工知能の作り出した”仮想現実”にすり替えられている世界を描いた傑作SF映画「マトリックス」の世界に、我々はすでに片足ぐらい突っ込んでる気がしてならない。自分が見ているモノが現実なのか誰かの作り出した生成物なのか、これは夢なのか現なのか?胡蝶の夢みたいな話で知りようがないという悪夢じみた現実が既に眼前にある気色悪さ。「この目で見たモノしか信じない」とかほざくバカは視覚的心理的トリック程度でいともたやすく騙されるわけだけど、見たモノも聞いたモノも”フェイクニュース”まみれでまがい物だらけっていう世界で、なにを信じたら良いのか?結局騙されるときはどうやっても騙されるので、その中でも自分が生きてきて学んだものやゴーストのささやきや論理的な思考、全てを動員して”多分大丈夫・・・かな?”、”これで騙されているなら仕方ない”という感覚が得られれば御の字ぐらいと考えておくしかない気がする。あぐらの上の愛猫の温もりがもし夢マボロシだとしてもオレはそれでも今このときの喜びのためなら騙されていても仕方ないと諦める。
何しろホモサピは自分の信じたいモノを信じる生き物らしいので、信じる者は騙されているのである。すべてを疑え!
※この記事上げて数時間後、自分で読み直していて「GPT」を「GTP」と書いていることに気がつき修正。まずはテメエのオツムを疑えってか?ロウニンアジ用のポッパーじゃねぇっちゅーの。GPTはGenerative Pre-trained Transformerの略称だとか、だからローマ字頭文字の略称は嫌いだっちゅうねん。
2025年6月21日土曜日
PENN「レベルマチック920」はPENNが作ったアンバサダーじゃない!
という状況で、PENN使いなら1台ぐらい持っててもおかしくない、PENNの主にバスを釣るための(箱にもバスのイラストが描かれている)ベイトキャスティングリールである、レベルマチックシリーズには手が出ていなかった。まあ後発のインターナショナル975は持ってるしいらんだろと。ところがこれが日課のネットオークション・ネットフリマ巡回の時に、送料込み6500円というお安い値段でチョイボロ目の「レベルマチック920」が売りに出されているのを見つけてしまった。相場的には1万円チョイ切りぐらいなのでかなりのお買い得品である。正直いらんリールなので迷った。迷ったけど「迷ったら買っておけ」は蒐集家にとっての鉄則だといつも書いているし、いつものようにスルスルッとマウスが滑ってポチチであった。「ある」のが悪い!!そしてアタイ病気がにくいッ!!!
まあ、PENNとかABUとかの実用機は買った値段ぐらいで売れるのでいらなくなったら売れば良いぐらいのつもりだったけど、このリールなかなかにというか相当に面白い。見た目ももろにアンバサダーっぽいし、平行巻機構とかもABUのパクリ(丸ABUはフルーガーの影響らしい)臭い。遠心ブレーキの効きが強すぎるのでもっと小さいブレーキブロックをと思うも、ミスティックリールパーツさん海外発送やめてしまったから、そもそもPENNの部品自体手に入れにくくなったんだよなと思ったら、丸アブのそれがそのまま使えて、さすがは丸アブのアフターパーツの豊富さよという感じであっさり解決したぐらいで丸アブの影響はもろに受けてるのは間違いない。
1970年代の同じような時代に、日本じゃ丸アブ丸パクリのダイワ「ミリオネア」初代とかが作られてたぐらいで(訴訟沙汰になったんだっけ?)、PENNも丸アブっぽいリール作りたかったんだろうなと思って、見るからに似たような設計だろうし、だったら買うほどのこともないだろうと思っていた。でも買って良かった。見た目はアンバサダー、中身はPENN!予想外にメチャクチャ面白いリールだったので、いつものように分解整備しながら語らせていただこう。ご用とお急ぎでない方はごゆるりと楽しんでいってね。 まずは、PENN両軸なのでハンドルナットは独特の形状で、凹った部分にねじ山をハメることで緩み防止になっている。このハンドルナット専用の工具がPENN両軸を箱付きで買うとついてきたりするので、我が家にもあって余裕の表情で持ち出してみたら、サイズが合わなくて結局モンキーレンチで回した。固着してるとかじゃなければモンキで回りますが、もちろん専用工具推奨。ネットフリマとかで売ってます。でハンドルとドラグホイールを外すとドラグホイールが回ってネジで締まっていくとメインギアの上にあるドラグワッシャー、パッドを押さえることになるスペーサーが引っ張り出せるんだけど、これが円筒形の筒状で、中に収まるメインギアを回す芯の刺さった軸が骨太い。樹脂製とワッシャーを重ねている、なんならインスタントアンチリバース(IAR)の逆転しないベアリングが入ってたりするアンバサダーと比べてエラい太くてさすがPENN”さすペン”という感じである。ちなみにハンドルは見てのとおりシングル。ギア比は4:1と低めで力強く巻ける感じ。 でサイドプレート側から外して、スプールをすぽっと抜くと、遠心ブレーキもアンバサダー方式だし(アンバサダー用の社外品極小パッドに換装)、グルグル棒一本方式の平行巻機構も同じだし、ここまでだとアンバサダーっぽい。ちなみにフットは後期モデルではアンバサダーでいうと7000cみたいなプレート型のものになっている。こいつはプッシュボタンや逆転防止の形式を見ると後期型っぽいんだけど、フットは古い形式のがついているので古い個体に新しいパーツを換装してあるのかニコイチなのか、イマイチ年代特定しにくい個体。いずれにせよ長期にわたって同じモデルを売り続けマイナーチェンジで改良していくのは、これまたさすぺン。ちなみにミスティックさんところのレベルマチック仕様表で見ると登場は70年代中頃で、製造終了は2004というご長寿モデル。 ただ、ここからが独特で、丸アブとかのメカプレート方式とフレーム構造に慣れていると、いきなり本体を外したら”本体蓋”の裏に直接ギアだのクラッチ板だの主要なメカがくっついていて、そもそも鳥籠型のフレーム構造じゃなくて、横棒のリムとフットをネジ止めして組み立てる方式になっているので驚く。これあれだ、ペンの旧型セネターとか樹脂製プレートを金属板で補強しつつリムとフットをネジ止めして堅牢な両軸受けリールに仕上げている、まさにその方式の蹈襲で、見た目はアンバサダーっぽいけど、構造やらの設計的にはペンの従来型の両軸機種の発展系であると理解した。出自が全く違うといっていい。ちなみにインターナショナル975はアルミ削り出しの一体フレームで、なんなら今の丸ABUにIARが入ってるのと同じようにハンドル基部に瞬間的逆転防止機構も入っているし、こちらはペンインターナショナルシリーズの系統に入れられているとはいえ、シマノ「カルカッタ」の流れをも汲むわりと今時のありがちなアルミ削り出しフレームの丸型ベイトキャスティングリールで、その印象もあってレベルマチックがこんなに独自色の強い機種だとは想定外だった。ちなみにミスティックさんところの部品販売上での仕分け的にリールは「コンベンショナルリールパーツ」「スピニングリールパーツ」「インターナショナルリールパーツ」「フライリールパーツ」に分けられていて、レベルマチックは”従来の”とか”伝統の”という意味の「コンベンショナル」に分類され、インターナショナル975は当然「インターナショナル」に分類されている。 でもって、分解進めてメインのギア周りを分解。本体蓋?にネジ4本で止められている主要メカ部分をパカッと外す。メインギアも外してギア上のドラグを見ていくと、小型機だけど3階建ての多板方式なのはさすぺンで、これが70年代の設計とは思えないぐらいに調整幅もあれば、キュッと締めるのもできるし、滑り出しも良くシャクリもしない「PENNはドラグが良い」の定評を裏切らない良いドラグ。同時代のアンバサダーのドラグも実用充分に良いドラグだけど、レベルマチックのはバス釣るには過剰と思えるぐらいに性能が良い。どんなドラグパッドとか使ってるんだろうと思ったら、バネ的なモノは一番左端に写ってる金属製の曲げワッシャーのみで、ドラグパッドが革製で、こいつがどうも良い仕事しているようだ。革のドラグパッドは腐ってることも多いけど、コイツは健在でグリス塗り直してそのまま使うことにした。2000年のPENNカタログからの孫引きになるけど、ミスティックさんところのレベルマチックの仕様説明をグーグル翻訳して引用すると「Levelmaticベイトキャスティングリールは、コンパクトで効率的なファイターです。小型軽量でありながら、体躯の大きな捕食魚にも負けないパワーを備えています。頑丈なアメリカ製のこのリールは汎用性も高く、様々な釣り場や用途に対応します。レッドフィッシュのキャスティング、スヌークのプラッギング、パイク、マスキー、ウォールアイのトローリングなど、様々な釣り場に対応します。淡水、海水、汽水を問わず、Penn Levelmaticならどんな場所でも対応可能です。ヒラメをフラットにしたり、大型ブルーフィッシュを倒したり、レッドフィッシュと激しく競り合ったり、ラージマウスバスを水平に釣ったり。」となっていて、小型機(軽量は疑問?)だけどバスだけが対象じゃなくて、何でもイケるぜな心意気で設計したので、バス用としてはドラグにしろ塩水でも錆びにくそうな素材選びにしろ過剰なぐらいの性能を与えられているのだろう。ヒラメをフラットにするのが何を意味するのか良くわからんにしてもたいした自信だ。今まで革のパッドは腐ってカピカピになってるようなのしか経験してなかったので、本来の革パッドの性能はなかなかに優れているのだと理解した。メインギア下の赤ファイバーのワッシャーは滑りと劣化しにくさに勝るテフロン製のモノに換装。
でピニオンギアとクラッチの関係、逆転防止の方式もバラしつつ勉強しておく。一番上の写真ではいま、ピニオンギアが下がって(使用時には引っ込んでたのが出てくるので上がるイメージ)スプール側の俵型した凸部が写真だとピニオンギアにガチッとハマってクラッチが繋がった状態。ここからカチッとボタン手前に引くと、右下の板が押し込まれて、板の上の斜め突起が、ピニオンを押さえている板を、真ん中写真のように矢印の方向に押し上げて、スプールとピニオンの連結が離されて、フリーに回転するようになる。で、ハンドル回し始めると、ハンドル軸の逆転防止のラチェットの下に2カ所蹴飛ばす突起が設けてあって、それが上の写真の上の方のバネで引っ張ってるグニャグニャ曲がった板を蹴っ飛ばしてカチッと元の位置に戻ってクラッチが繋がる。この方式はインターナショナル975でも似たような感じだった。
逆転防止はインターナショナル957ではハンドル基部に一方通行のベアリングが入れられていたけど、レベルマチックでは一番下の写真のようにメインギア下のラチェットにオレンジの矢印のバネでドックを押しつける方式。水色の矢印のところがちょうどラチェットにドックが掛かってるところ。で、レベルマチックは逆転防止がそういう方式なので巻くときカリカリ鳴るリールだよってのを何度か読んだ記憶があるけど、この個体は鳴かないのでグリスかなんかで音がしなくなってるのかなと思ったら、消音化されていた。緑の矢印の青銅の板がメインギアの下面に当たるようになっていて、正回転時にはドックをラチェットに押しつけないようにしている。ABU方式だと青銅版でラチェットを挟むんだけど、こういう方式もあるのね。どうも、消音化したのは最後の方らしく、ミスティックさんところで展開図を見ると、該当部品は15-910DOGで消音化の板が付いてるイラストになってるけど、部品注文画面で確認すると消音化の板は付いていない。
で分解終了すると、ベイトリールって多分今時のでもそんなに複雑化してないはずで、こんなもンかなという感じ。ただちょっと困ったのがこのリール2カ所にボールベアリングが入ってるんだけど、これが外し方が分からん。検索掛けたら外し方があるらしいということは分かったんだけど、具体的な方法までたどり着かなかったので、知ってる人が居たら教えて欲しいところ。展開図みてもCクリップ的な輪っかを外せば外せそうなんだけど、ベアリング自体のリングかなというのはあるけど、細かすぎてなんか違う気がするし外す自信もない。海外サイトの「アラン・タニのリール修理」でタイリー氏が詳細に整備方法紹介してくれているけど、「ベアリングは前回いじったから今回は注油だけにしておくぜ、ハッハッハ」って肝心なところを飛ばしててイーッとなった。あと、クラッチ切るボタンは力業で押して抜く方式のようなので今回はさわらないでおいたぜハッハッハ。 分解したらパーツクリーナーでプシューとして歯ブラシでゴシゴシ、ティッシュでふきふきで、今回グリスはPENN純正、オイルはいつものダイワリールオイルⅡで仕上げておいた。表面のアルマイトが腐食してるところは、とりあえず見栄えより腐食の進行を止めるの優先で、瞬間接着剤で保護しておいた。エポキシやら車用タッチペン塗料とかだと、すぐ剥がれ落ちたりするので、多少白く粉吹いてみっともないけど機能に支障をきたさないようにという処置。今回、デジカメ写真で分解中バチバチ撮りまくってバネとか部品の配置とかを確認できるようにというのはいつもどおりやってたんだけど、慣れてない独特の癖の強い機種だったので、何度もデジカメの小っちゃい画面で確かめるのは、いちいち立ち上げて該当写真探してと面倒くさいので、PCに取り込んで画像ソフトを立ち上げたままでPC前で作業したら、画面大きくて見やすいし順番に写真遡っていけば良いしで作業しやすかった。とはいえ、ピニオンギアを押さえている板を2本のバネを縮めつつ他の部品とも重ねて填めるのはちょっと知恵の輪状態で手こずった。あと本体にメカ部分をネジ止めするとき、外側の2本は樹脂製のクラッチ関連部品を挟み込んでいるので、ネジをきつく締めていくと樹脂部品が変形していくのかいくらでも締め込める感じでやばいので、適当なところで止めておかないとよろしくなさそう。前述したようにフレームが一体型じゃないので、リムやフットをネジ止めしていくときは偏らないように軽く締めてからハンドルグルグル回して良い感じの位置に収めてからしっかり締める、というお作法を怠るとゆがんでどっか干渉してしまうことがあるやにも聞く。でもって、使ってみるとこのリール、多少癖が丸ABUとかとは違うので慣れるまでちょっと戸惑うけど、慣れてしまえば魚釣るのになんの問題もない性能を有しているのが分かる。30年にわたるロングセラーッぷりも頷ける感じで、丸アブのいまだに製造販売されている愛され方には負けるにしても、個性的で”さすPENN”な堅牢な作り、優秀なドラグ。一目でPENNと分かるアルマイトゴールドの存在感。すごく良いリールだと思う。
写真でしか見たことなかったので、ABUだと5000番クラスの大きさだと勝手に思い込んでいたけど、写真でも分かると思うけど赤いアンバサダー5000より一回り小さい感じで、なのに重量は約335gとずっしり重く、イト巻いた状態の5000が約285gなのに比べて、軽量とは言いがたい重量になっている。でも、カップがアルミ以外はれいによってステンと真鍮使いまくりで、丈夫で耐腐食性に優れていて、そういう意図があって重くなってると理解すれば、丸アブより重いといったところで、しょせん小型のベイトキャスティングリールの範疇であり、どうってことはない。いつも書いてるけど、ハリとイトは大事でこだわらないといけない。こいつらに不備があると釣りが破綻するってのは、ちょっと前にトラウマになるぐらい痛い目みて思い知らされたところである。いつも書いてるくせにっていうお粗末な話。竿はまあ好みもあるだろうけど釣果を左右する部分もあり、弘法筆を選ばずで好きなの使ってもハリとイトさえ良ければ、最悪魚バラして終わるだけでよそ様に迷惑掛ける話じゃないので、クッソ使いにくそうな竿みんな使ってるけどご自由にだ。さらにリールまで来たら、投げて巻けりゃ十分で、もろに楽しんで自分の好きなリールで釣れば良いと思ってる。投げて巻くのがトラブルなくできるなんていうのは70年代のリールで既にできてたはずなのに、アホな釣り人に売らんがために変な方向に行ってしまってる今時のリールを”性能が良い”と優良誤認して使うぐらいなら、丸アブならもちろん信頼と実績充分だし、PENNのレベルマチックも悪くない選択肢だと思うのじゃ。まあ、レベルマチックはマニアな人は使ってるから、今更ワシごときが書くまでもないかもだけど、古ABUはお高いけど意外にレベルマチックお手頃価格でっせ、とワシが儲かるわけでもないけどお推めしておきます。
2025年5月31日土曜日
君の名は?テナガエビ三種盛り編
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| 上からテナガエビ、ヒラテテナガエビ、ミナミテナガエビ |
そんな細かい違いに何の意味があるのかと、釣ったら自慢できるような魚種ならともかく、”外道の雑魚”の名前が分かったぐらいでナニが面白いのか?と感じる人もいるだろう。まあワシそもそも外道も雑魚も魚を指し示す概念として持ち合わせていないからな。
ただ、言わせてもらえれば、自分の釣っている、釣った魚がなんなのか、その最も基本的な情報である魚種名さえ知らないとなると、ナニを足がかりにその魚の情報を探っていけば良いのか?その魚が釣りの直接の対象魚でなくても自分の狙う魚とどういう関係があるのかは知っておくべき情報のはずである。もちろん同じ魚種においても地域差とか個体差も生じ得て、釣り人は時に、「種」以上に細かく自身が釣りの対象とする魚について知っていかなければならないとしても、まずその魚の種名ぐらい分かってないと話にならない。昔の磯の底モノ師がハタの類いの大型種を全部”クエ”のひとくくりで済ましていて、そんなんじゃ戦略立てようがないだろうと呆れたものである。少なくとも種が違えば生態や行動に差があっておかしくなく、最終的に包括的に複数種を狙うことになることは珍しくないにしても、種ごとにどう違うのか、どう同じなのかが分かっているのと分かっていないのでは大違いで、戦略の立てようが違ってくるだろう。
過去何度も書いた繰り返しだけど、生物の世界はきっちり切れ目がある世界ではなく、むしろ今現在でも変化して進化して種の分化や統合が起こりつつある状況にあって、「種」という整理は、人間側が名前付けて整理しておかないとややこしいので、一定の基準で、本来なだらかにグラデーション状に変化していく生物の集団に人間の都合で分かりやすいように区切りを設けたモノだと思っておけば間違っていないと思う。というここで、おさらいがてら「種」という概念とその定義を確認しておくと。生物学的には「種」は形態や生態により、他の生物集団から区別できる生物集団であり、同一の種内では交配して子孫を残すことができ、他種とは遺伝的に隔離されている。というのが一般的な種の概念で、最後の「遺伝的に隔離されている」ことは「生殖隔離」とよばれたりして種の定義とされている。ただ、さっきも書いたようにキッチリ線引きができるモノではないので、アマゴとヤマメみたいに普段は生息地のちがいとかで生色隔離が成り立ってるけど、一緒にしておけば交雑してしまうような、種よりゆるやかな分かれ方「亜種」とされたり、DNAとか調べると結構ちがう傾向が出てくるけど、普通に天然でも交雑してることも多く、なだらかにいろんな変化を含んでるような場合では、線引きが難しいけど、なんとなくいくつかの個体群に分ければ分けられそうで「○○タイプ」とか整理されることもある。そのへん、種を分けるべきか、同じで良いか、むしろ統合かとかはDNA調べるような分子生物学的な手法が盛んになってきてから色々と分かったり、逆に混乱に拍車がかかったりしてもいる。生き物ってのはそれぐらい変わり続けて多様性に富むのがあたりまえで線引きが難しいということは、前提として念頭に置いて考えるべきではある。
ということで、種なり亜種なりが一緒なら、あるていど形態や生態が同じ生物集団だと考えることぐらいはできそうであり、よって釣りの対象とするなら、その魚の種なり亜種なりの特徴を知り、それを対象とした釣り方を学び、そういった一般的な知識に自分の釣り場、釣り方の特性を加味して、知識を上積みして、戦略を練り試行錯誤していく必要がある。
で、今回のネタの、本州で普通に狙えるテナガエビの仲間3種については、江戸前小もの釣り修行でもっとも得意として修練を積んだのがテナガエビだったので、思い入れもあり、首都圏在住時にテナガエビとヒラテテナガエビは釣っているので、南方系で関西以西に多いとされているミナミテナガエビは是非釣りたいと移住時考えていた。紀伊半島以南ぐらいだと普通にテナガエビ釣ってるとミナミテナガエビも混ざってくると聞いてたので、釣れると思ってたらテナガエビ自体が近所の川では釣れるほど居るところ見つけられなくて半ば諦めていた。
ところが、鮎毛針釣りで暗くなるまで粘った帰り道、トボトボジャブジャブと川の浅瀬を帰路についていたら、ヘッドランプの明かりの中にテナガが入ってくる。その川ミナミヌマエビはワサワサいる川でその夜も抱卵雌とかがホヨホヨと泳いでたんだけど、テナガは少なくてこれまでシーバス釣ってるときとか、鮎釣りの帰途に足下とかに居ないか気にはしてきたけど、下流のテトラではたまに見るけど、それも釣りになるほどは居ないのでテナガは居ない川という認識だったけど、何匹か居るのでちょっと意外な感じがして、やや大きめのオスがいたので捕まえたくなってタモ構えてそっちに足で追い込んで確保。手にとってみて戦慄が走る。ハサミに毛があんまり生えてない。ひょっとしてと思って、歩く足の爪を確認すると明らかに短い。ミナミテナガエビだった。その場でススキの枯れ穂を竿に仕掛けをでっち上げて、川虫とミナミヌマエビむき身を餌に10匹弱釣ったところ、どれもミナミテナガエビだった。その日の探索の結果、ミナミテナガがいるのは10mあるかどうかの狭い範囲の流れの強い側の浅瀬に限られていて、それまで反対側の流れの弱い砂底の方は何度も通っていたのに気がついてなかったという、ちょっと入渓地点を変えたことによりたまたま見つけた生息地だった。釣りってそんなもんだけど、ドンピシャの場所と時間の黄金郷のすぐ隣に不毛の砂漠が広がっていたりする。端から端まで場所と時間と状況を変えてすべてを調べ尽くすことのいかに難しいことか。あらためて思い知らされることとなった。
テナガエビとミナミテナガエビとヒラテテナガエビの3種においてヒラテテナガエビは形態的にかなり違うので、テナガエビ釣ったことある釣り人ならすぐに判別可能だろう。その名のとおりハサミ脚(第2歩脚)がごつくて平べったい。全体的にゴツくて殻も分厚く、どこかニホンザリガニのような渓流性のザリガニを彷彿とさせる雰囲気がある。ちなみに外来種のアメリカザリガニがニホンザリガニを減少させたというのは、ほぼ嘘っぱちである。生息環境が止水や下流域の暖かい水を好むアメザリと渓流やわき水の冷水域を好むニホンザリガニでは生息地があまり重ならない。多くの人が昔は田んぼの脇の水路とかにニホンザリガニが居たと言ってるのは、冷たい湧き水を引いてるならともかく、基本的には赤く発色するまえのアメリカザリガニの幼令個体をニホンザリガニだったと思い違いしているだけである。田んぼで捕まえてきた赤くないザリガニを長期飼育していると、脱皮して大きくなっていく課程で、あるときハサミ脚が赤くなったなと思ったら次の脱皮で全身真っ赤になる。ちゃんとアメリカザリガニの長期飼育ができていればそういう勘違いはしないはずである。アメリカザリガニとの競合が起こりそうな河川の下流域や止水域では生息域がかぶるのはテナガエビやスジエビなどであり、これらには何らかの影響はあったんだろうと思う。思うけど大河川ではテナガエビの方が優勢なように思う。アメリカザリガニが問題になるのは天敵のナマズやらウナギやらも居ないような狭い水域に持ち込まれ、希少な植物やら刈り取って動植物を食い散らかすような場合だろう。ちなみに逃げ場もない水槽でアメリカザリガニとテナガエビを一緒に飼うと、テナガエビが長いリーチを活かした攻撃でアメリカザリガニを完封してしまい、アメリカザリガニ歩脚全部切られてダルマ状態にされるらしい。ハサミの強さならアメザリ有利に思えるけど攻撃できる間合いに入らせてもらえないようだ。ロングリーチを活かしたジャブとストレートでゴリゴリのインファイターを懐に入らせないアウトボクサーみたいなものか? で、ノーマルのテナガエビとミナミテナガエビの違いは、パッと見ただけではわからんぐらい似ている。ちょっと昔はミナミヌマエビは胸の”M”字模様がくっきりとしているのに対し、テナガエビはややグチャッと乱れるとか書かれていることが多かったけど、模様だ色だは個体差やら体色の変化やらでアテにできないことがある。今回ミナミテナガエビとしたエビたちも、M字はハッキリしていない。ていうか写真だとM字がない。これは夜間に釣ったからというのが原因と思われ、光の強い状況では保護色に効く模様をハッキリとさせていることが多くても、夜とか濁りの中では色がボヤけてることが多い。あと個体差も大きい。この程度の模様の出方で種の同定ができるとは考えにくい。肉眼で細かく見ればうっすら透けて見えるような模様は確認できるかもだけど、そんな難しいことしなくても他の見分け方を使えばいけるので、そっちを使う。![]() |
| 上段2匹テナガエビ、下段2匹ミナミテナガエビ |
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| 上列テナガエビ、下列ミナミテナガエビ |
ところが、テナガエビの歩脚の爪は、上段写真の真ん中の雌の黒っぽい卵を背景に写ってるのが分かりやすいけど、鎌かっていうぐらいに細くて長い。後ほど考察するけど、なんか特殊な用途にでも使わない限りこの細長さはないと思う。
このぐらい違うと、生物の世界に100%はなく、例えば交雑個体の可能性もないではないし、ワシが念頭においてない最初から検討対象としてない南方系の種とかが気温上昇の影響で生き残ってるとかあるかもだけど、まずミナミテナガエビで間違いないだろうと思っている。国内最大種のコンジンテナガエビとかだったりしたらそれはそれで嬉しいけどね。24センチ(半分ハサミ脚だけど)とそこそこ大型のオス個体でもハサミ脚が黒くはなくコンジンっぽくなかったのでコンジンはないだろうけどな。
で、そんな毛だの爪の長さだのが違う種が釣れたぐらいで、なにを”戦慄”せにゃならんのだ?どうでもいいだろ、たいした違いかよ?って思うかもしれない。そう思うのは”センスオブワンダー”の欠如であり、生き物や自然の不思議や仕組みに対する興味や感動する心を欠いているといわざるを得ず。せっかく魚釣りして自然や生き物に触れる機会が多いのに、その楽しさの根源にあるものを理解できておらず、木を見て森を見ていないと指摘せざるを得ない。センスオブワンダーって言葉は今では”SFを楽しむ素養”的な意味合いで使われることが多いけど、もともとは「沈黙の春」で有名なレイチェル・カーソン先生の著書から来ていて、自然や生命の不思議を楽しむ素養というような意味があった。カーソン先生引用されまくってるから知ってるけど著書はパラパラと摘まみ読みぐらいで通して読んだことないっていうのがちょっと恥ずかしいけどね。
種が違うと、似ている種同士でもちょっと違う。そのちょっとの違いがなぜ生じているか?っていうあたりにまで突っ込んでいけると、その違いはメチャクチャ楽しめる味わい深い違いとなる。
今回のテナガエビ(以下「ノーマルテナガ」と書く)とミナミテナガエビの違いでいえば、前々からノーマルテナガのほうがハサミに毛が多く、脚の爪が長いってことは、河口域の葦ッパラとかにノーマルテナガは適応していて、ドロドロッちい環境で底の有機物を毛で濃し取るようにして食べてたり、葦に長い爪を引っかけて行動してたりしてるんじゃないかと思っていた。葦のある釣り場では葦の上の方に餌垂らしておくと登ってきて釣れる。っていうか底の方に餌落とすと絡んで上がらないことがある。で、今回釣ったついでにネットでまたお勉強してみたら、やっぱりノーマルテナガのほうが河口域に適応しているというのはあってるようで、逆にミナミテナガは中流域とかにも居るとのこと。ノーマルテナガの脚の爪の長さについては不自然なぐらい長くて、内股に折り曲げて爪の背で歩いているのは何の意味があるのか?と水槽観察から書いている人もいて、歩くときの爪の向きまで見られていなかったので、見る人は見てるもんだなと感心した。葦とか壁面とかに引っかけて登るほかに、ドロドロの底に沈まないように長い爪で重量分散させて歩いているのかも?とか考えるとまた楽しめる。
で、重要なのはミナミテナガとノーマルテナガでは生息域が川の河口ではかぶるけど、ミナミテナガはノーマルテナガでは産卵期でもなければ居ないような中流域でも生息しているってことで、これまで紀伊半島に来てからテナガを探したのは河口域ばかりで、ミナミテナガが中流域より上にもいる可能性は考えてなかった。ノーマルテナガがグチャッと居た東京湾に流れ込む川とかでの成功体験に意識せず引っ張られてしまってたっていうお粗末。なので近所の河川でももうちょっと中上流域を探らないといけなくなってきて、イマイチ釣れていない絶不調もあり自転車積んで電車でGOとかで新規開拓するか?とか思ってたけど、そんなことやってる場合じゃなくなってきた。改めて探って居なければ居ないでそういうもんだけど、N川の上流では数は少ないけど、やっぱりミナミテナガが居て釣れたし、釣れないまでも初めて探りを入れたN川の支流で意外に大型のカワムツが多いとか、テナガに限らず発見はあって、不調で停滞気味だったのを打破して新しい展開に突っ込み始めている。ノーマルテナガとミナミテナガとの違いの、違いが生まれた背景、生態や進化に思いをはせるだけでも、お好きな人間なら丼飯余裕の楽しさがあるうえに、さらにその違いから釣りの戦略を立て、実際に獲物を手中に収めることができるとなれば”センスオブワンダー”は釣りをより楽しくする香辛料の役割だけでなく、”釣るための武器”の一つにさえなり得るのである。
釣り人ならくっだらない新製品をありがたがってる暇があったら、センスオブワンダーを磨いておけって、ちょっと魚釣れないと道具ばっかり買ってることへの自戒も込めて今回テナガネタを書いてみた。
以前、釣り人なら「新しい釣り場」の発見については、新しい天体の発見以上の価値を認めるべきと書いた。もちろん新しい釣りモノや釣り方についても同様である。今回ミナミテナガエビという新しい釣りものを見いだし、新たな釣り場を開拓できたことは、ワシ的にとても大きい意味を持つ。たとえ釣れるのがそれほど大きくもないエビで”小物”であったとしても、その楽しみは決して小さくなく、ワシにとっては天体の発見にもひけを取らない大発見であると満足している。






















































