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2025年7月26日土曜日

PENNのドラグの素晴らしいブレーキ性能がワシの購買欲にもあればいいのに

 アタイ病気がにくいッ!って自虐気味の”ネタ”だと思われるむきも多いとは思うけど、購買欲が止められなくなって、自分の意思でどうにもならないというのは、盗癖、アル中、ギャンブル依存等と似たような種類のあからさまな病気であり、生活やら社会性に問題が生じなければ治療の必要がないというだけで、それもまた例に出した依存症のたぐいでも同じだろう。

 ワシ、好きな釣り具が値段が安いのが多いので、経済的に破綻しないから生活が成り立ってるけど、高価なアンティークタックルとかに手を出し始めて、借金してでも買い求め始めたら、買い物依存で自己破産とかシャレにならん結果が待ってるだろう。そう分かっていても欲しくなってしまったら止められる気がまったくしない。

 どのくらい、止められていないかこの三本の「アグリースティックGX2 USCA662MH」を見ていただければある程度分かるだろうか。2本目が欲しいということで、円安も関係なくネット釣具屋で確保したのは以前にご報告しているとおり。2本目を買おうとしていた時点で、待っていれば国内の中古市場に流れてくるのを確保できる可能性は大きいと思っていた。そう分かっていても、今すぐに手に入れてしまいたいという欲求を抑えられなかった。その欲求は切迫したモノであり理屈や意思で止めようのない種類のモノだというのがおわかりいただけるだろうか。割高だったけど買ってちょっと症状は落ち着いた。落ち着いたけど、その後しばらくして予想どおり某中古屋のネット通販サイトに同じ竿が出てきた。なんのためらいもなくそれも確保した。一本の竿は折れても三本の竿は折れないと毛利元就も言っている(言ってない)し、竿は消耗品なので予備が多くて困ることはない。ってのは言い訳で、見たらとにかく欲しくなったので買ったというだけのごく単純な話である。で、このアグリースティックが屈指の名竿というのなら分かる。でもこの竿クソ丈夫でそこは他の追随をゆるさないぐらいだと思うけど、その他はショボい竿でもある。ガイドがステンフレームに直接クロームメッキをかけたような”アグリータフガイド”でショボく、今使ってるのは”当たりロット”のガイドだったのか削れてこないけど、ガイドセッティングが今ひとつ分かってなくて、一番曲がって負荷がかかるだろう、2ピースの竿先側の継ぎの上のガイドがシングルフットになっていて、必死でドラグ堅めで魚寄せてくると毎度のように曲がってブランクス側に寝てしまってるので手で摘まんで起こさなければならないというていたらく。そのうち金属疲労で折れるだろうからその前にガイド換装が必要になるだろう。同じようなパワーのフェンウィックの低級グレードの「FVR66CMH-2J」では、その位置のガイドはダブルフットになっていて、そこはさすがフェンウィック”さすフェン”で竿というモノが良く分かってるのである。下の写真の上がGX2で下がFVRなんだけどGX2の継ぎの上のガイドはスレッド剥離しかかってるのがおわかりいただけるだろうか?シェイクスピアのガイドセッティングやらグリップの配置やらがイマイチなのは今に始まった話ではなく、ワシが最初に買ったスピニング7fのアグリースティックもグリップが短くてトップヘビーでバランス悪くて最初「何じゃこのクソ竿」と思ったものである。それがグリップにオモリかまして調整して使ってるうちに「何じゃこの丈夫で応用範囲の広い竿」って惚れ込むようになるのである。

 というわけで、2本持ってても3本目を買うぐらいには頭がおかしくなってるんだろうと思う。ついでに書くなら前回書いたアグリースティックの9fの船竿?も見つけて即買った。

 幸いなことに、今症状が出まくってる従来型PENN両軸機は安いので個別に見ていくとどうということはないけど、安いとはいえ調子に乗って数を買ってしまうのでここしばらく、月の釣り具予算3万円は軽く超過してしまっている。2千円3千円で買えてしまうと、ブレーキの効きが悪く、マウスはスルスルと滑りがち。

 まあブログネタには困らなくて良いなと思うけど、今の時代一体どれだけの釣り人が従来型PENN両軸機に興味があるというのだろうか?興味あるようなマニア氏達は既にワシの知ってる程度のことはご存じだろう。でも書く。なぜならいつもの基本姿勢でワシが書きたいから書くのである。まあそういうわけで皆様お付き合いいただけると嬉しいです。

 今回は買う予定などなかったけど安かったので思わず買ってしまった、ちょっと面白い2機種を紹介してみたい。

 1台目は「350レベルライン」、コイツは従来型PENN両軸機には珍しく平行巻機構が付いている。付いてるんだけどレベルワインダー(平行巻機構)といって普通想像するような、グルグル棒で行ったり来たりする仕組みではない。従来型PENN両軸機にも「No.9」シリーズには若干丸アブとは違う形式だけど似たような平行巻機構の搭載された機種はある。だがしかし、コイツの平行巻機構はかなり独特で、リールの前方やや上に左右というか前後対称に半分ずつ逆になったひねりの入ってる棒があって、それがユックリ回ることによってスプールにラインが並行に巻かれていくという仕組みで、PENNの特許技術らしい。けどゼブコのベイトキャスティングリールで似たようなのがあったような気もする。サイズも大きめで使うアテはまったくないんだけど、どういう仕組みなのか面白そうで興味あったのと、金属部分のメッキ剥げとか激しめで捨て値で競ることもなく入手できそうだったので確保した。ちなみに千円スタートで送料込みで1760円。発送してもらう手間考えると儲けにもクソにもなってなさそうで申し訳ない気がするぐらいだけど安いのはありがたい。

 分解整備は、平行巻機構の分部品が増えたけど、基本は単純明快なつくりなのでたいした手間でもなく、ギア下の赤繊維ワッシャーが腐ってて割れたけど、ドラグパッドの革はまだしなやかだったので、ギア下ワッシャーだけジュラコン製に換装して組み上げて、早速ライン巻いたらどうなるか試してみた。

 ハンドル回してラインを巻いていくと、スプール糸巻き部分より高い位置の前方に出ている、”半分逆ひねり棒”の上をラインが巻かれてくるけど、半分逆ひねり棒はハンドルの回転より減速されつつユックリと回転していく。するとその回転にあわせて半分逆ひねり棒の上のラインはヒネリに導かれて端の方にユックリと移動していく。そしてラインがスプール幅の端まで来ると、半分逆ひねり棒のヒネリが逆向きの面になって、今度は端から反対方向に逆向きヒネリに導かれてラインがもう一方の端に向かっていく。端に到達したら同様にまた逆のヒネリの面にひっくり返って戻っていく。という仕組みで、常に棒にラインが接触して摩擦が生じている点やらの欠点もあるけど、自動で平行巻きができるという点において平行巻機構の役目は果たしている。なかなか面白い工夫で国内の中古市場でも珍しくない程度には見かけるので、そこそこ評価されて愛用されてたようである。ただ、整備する前にはどういう仕組みで動いているのかやや不思議だった。「不思議もナニも丸アブとかのレベルワインダー動かすホイールギアみたいなのが側板の方に入ってて減速してるだけじゃないのか?」って思うかもだけど、どう見ても側板側もハンドル側も薄っぺらくて、減速するのに必要な大きな径のギアが入ってるようには見えない。側板側には通常の従来型PENN両軸機と同様の位置にクリックブレーキが入ってるのが見て取れるので、そもそも側板側には余分なモノが入ってそうな気がしない。だとするとハンドル側のメインギアから回転を持ってきてるはずで、クラッチ切ってフリースプールにすると半分逆ひねり棒は回ってないのもそのことを裏付けている。メインギアから回転持ってきつつ減速するけど、幅は増えてないから、メインギアと同一平面上にギアがあるはずで、メインギアと同一平面上のギアは、ウォームギア方式なら可能だけどむしろ増速してしまう。増速してもいいから回転を伝えてしまってから、歯を欠いたような例えば1回転で1回だけ歯が噛みあうギアで半分逆ひねり棒のギアを回して、半分逆ひねり棒のギアには普通に歯を付けておいて逆転防止装置をつけるとかか?

 とか思いつつ蓋を開けてみたら、当たらずとも遠からずナマジ予想自己採点40点ぐらいで、正解は、ハンドル軸に入ってるメインギアから回転を持ってきてるのはそのとおりで写真の黄色矢印でさしているギアがそれ。半分逆ひねり棒のギアに逆転防止が付いてるのもあってた。写真では右の右端ピンクの矢印。ただ、ワシ生物系の理系であり、機械科とか出身の人なら、この手のギアとかラックとかを組み合わせた工夫っていろいろ知ってるんだろうけど、ちょっと想像つかん方法だったので面白かったし感心した。写真で見て分かるように、綺麗にハンドル側本体のベークライト樹脂の端の方の空きスペースに収まっている。黄色矢印のギアでメインギアから回転を引っ張ってきたら、それを一回ピストン運動的な直線運動に変換している。これはスピニングのスプール上下の単純クランク方式と一緒で写真の赤矢印の”十手型”の部品が左右に往復運動をする。そうすると1回転に一回だけ十手型部品の先っちょが緑の矢印で示した半分ひねり棒のギアを押す。その分だけちょっとずつ回っていく。ラインの抵抗とかで逆転してしまわないように写真右端の逆転防止の爪をバネで押しつけている。淘汰されて現在使われなくなった方式だけど、ラインがスプールに均一に巻けるという平行巻機構の役割は果たしていて、端の方がややタイミング一定しないきらいはあったし、さっきも書いたようにラインに常に摩擦がかかる方式だけど、ドラグ逆転してラインが出ていくときに、今の連動式や固定式のレベルワインダーだとスプールからレベルワインダーへの角度がきつくなって、ドラグ値と魚の引きによってはレベルワインダーの破損やらラインの損耗が生じかねないのに対し、棒の上滑るだけの比較的ユルい制限しかないというのは有利な点もあるように思う。レベルワインダーがパカッと開いたり、フリーになったり投げるときの摩擦対策がとられている機構のは何種類か見たことあるけど、高ドラグ値でファイト中にレベルワインダーでラインがスプールに入る角度がきつくなってしまうのの対策としては、レベルワインダー取っ払うのが現時点での最終回答なんだと思う。けど、この”半分逆ひねり棒方式”を発展させたら、例えば通常の巻き取り作業では働く位置にあるけど、ドラグが出て強い負荷が掛かるような場面ではスライドして下がるようにするとか、海用のどえらい値段のトローリングリールでも、レベルワインダーがなくて手で平行に巻けるように均らさなきゃならんって、なんか変な気がする。ワシャそういう”手動”でマニュアル方式がむしろ好きだけど、トローリングリール買うような金持ち相手ならオートマチックにしてその分値段に反映させて錢引っ張ってくるべきじゃないの?って思ったりして。1950年代半ばの登場だから特許も切れてるだろうし、PENNのインターナショナルシリーズの焼き直しでしかないトローリングリール作ってるメーカーさん達は頑張ってみたらどうですかね?(特許切れる前のはずだけどオリムがマルパクしてる「レベルライン胴突」はさすがにパテント料払ってるよね?)

 で、もいっちょが泣く子も黙るPENNブランドを代表する名機。セネターシリーズの末っ子「セネター1/0」。

 まあセネターつったら、使いもせんのに我が家の蔵にも9/0、4/0が転がってるぐらいのもんで、この手のスタードラグ仕様の大型両軸リールの決定版である。特徴としては、以前にも書いたけど樹脂製(初期はベークライト、今時の機種はドライカーボン等)の側板や本体プレートを金属リングでサンドイッチした堅牢な構造。とにかくこの構造は真似されまくっていて、面白いところではガルシアミッチェルもモロパクしてて、ただそこはミッチェル、セネターパクっても白い樹脂を使っててなんかオシャレなの。PENNが作ったミッチェルスパイラルベベル機みたいな720系の裏返しでパクってもそれぞれ味わいが出るのが、さすぺン、さすミッチェというところか。スピニングリールを工業製品として普及させたのが「300」のミッチェルなら、樹脂ボディーを金属板で補強した丈夫な両軸受けリールを工業製品として普及させたのが「セネター」や「ロングビーチ」のPENNなんだろうと思うと、なかなかに両メーカーとも偉大な足跡を残している。ワシPENNについてはスピンフィッシャーシリーズという、PENN社としては”本業”の両軸ではないところから入ったくちで、スピニングの世界ではPENNはもうひとつマイナー感があって悔しいところだけど、両軸に関しては全くもって”世界のPENN”であると、従来型PENN両軸機をいじくってて誇らしく感じるところである。ワシPENNの関係者でも何でもないけどな。

 というなかで、PENN小型機をルアー投げる釣りで使おうというときに、候補をピックアップした中にもセネター1/0は入ってきてはいた。いたけど、本来大型魚を狙うごっつい道具という性格であり、そのための堅牢な作りなわけで、小型機にセネター選ぶ利点はあんまりない。小型機で釣るような魚相手ならそれこそそういう目的で作られているライトタックルな「27モノフィル」や「180ベイマスター」が適切で、セネターは過剰性能だろうというもの。まあ、夢のハタ系10キロオーバーとかPE80ポンド道糸でドラグ締めて狙うとかならありかもだけど、いざ買おうとしても同じように小型機にセネターの性能はいらんだろうと皆考えるのか、中古の球数が少ない上に、たまに出てると良いお値段してるので確保対象からは外していた。いたけど、明らかに安く落札できそうな弾が出てきたので、開始価格3000円にちょっと色つけて入札しておいたら入札ワシだけで確保できてしまった。この個体、程度も良くて機関良好、メッキの剥げも無いぐらいなんだけど、足の裏にデカデカと前の持ち主が名字を彫ってあるという明確な瑕疵があって、今時この手のリールを買う層はコレクターだろうから、こういうキズモノは狙い目だろうという読みがハマってくれた。ワシの手元に来たということは、コレに80ポンドPE巻いてゴツいの釣れという運命の導きだろう。実釣に使うのなら足の裏など竿に付けてたらそもそも見えんので関係ないし、そういうことにしておこう。

 ならば実釣仕様に整備せねばなるまいと分解整備。

 パカッと開けるとステンの銀色が多いなとか、小型機なのに140スクイダーや350レベルラインのような中型機でもそうだったけど、ピニオンギアの上部にリングが填めてあって、ゴリ巻きしてもスプールがハマる切り欠きの部分が欠けたりしないようになってたり、全体的に堅牢な仕様だけど、基本的な構造、設計自体はほぼ従来型PENN両軸機の基本形を蹈襲しているので、分解して増えた部品としては側板や本体の樹脂を挟む金属リングがサンドイッチ方式なので2枚から4枚に増えてるぐらいで部品数は多くなくシンプル。ただ、細かいところでもメインギアの直径が大きく材質が鋼製でピニオンはステンレスっぽい素材で丈夫そうとか、他にも気がつかないけど工夫はあるのかもしれない。ピニオンギアが割れる潰れるって相当な力でゴリ巻きしなきゃ起こらないはずだけど、スピニングでゴリ巻きは愚策だと思うけど、両軸機でゴリ巻きは状況によりありだと思うので、それに耐えうる仕様だと認識しておくのはいざというときの判断材料になるだろう。

 実釣想定でちょっといじったのがドラグとブレーキで、ドラグは革パッドがまだしなやかさを保ってて生きていたけど、ここは”HT-100”カーボンパッド一択だろう。スピンフィッシャーの7500ssとかのドラグパッドが使える。ついでにメインギア下の赤繊維ワッシャーはテフロン製に交換。ブレーキ無しでぶん投げるのは難しいというのがお恥ずかしいけど実態なので、スプールは真鍮にクロームメッキの金属スプールなので側板にとりあえずネオジム磁石2個ウレタン接着剤でくっつけて、投げてみて調整の予定。アルミより真鍮の方が、良伝導体の銅主体なのでマグブレーキは効きやすいのか?

 って感じで、組み上げて80ポンドナイロン下巻きに、ロウニンアジ用にしこたま用意してた7500ss用のスプールから80ポンドのPE引っぺがしてとりあえず巻いてみた。ラインシステムをどう組むか、ロウニンアジ用をそのままだとルアーが泳がない気もするのでどうするかとかもうちょっと悩んでみるけど、とりあえず釣り場に持ち出す用意はできつつある。

 350レベルラインは中身見て面白かったということでワシ的には用済みなので、売れもせんだろうからいじってみたい人はご連絡ください。送料負担していただければお譲りします。1/0セネターのほうは、どうもコイツでゴツいのをやってしまえという流れのような気がするので、ラインシステムに加え竿をどうするかとかまだ詰めるべき所はあるけど、年内に釣り場に持ち込めるように準備していきたい。1/0セネターは久しぶりにガチムチの大物狙い臭のするリールで、ちょっと興奮させられている。3000円+送料の分ぐらいは既に楽しんだと思う。安いもんだゼ。

2024年12月21日土曜日

ワシの大森は格好いい!

 先日、遊びに来た釣り仲間と話していて「上級者とか上手い人間がいろんな機能がついた”高級”なリールを使うっていう風潮はおかしいんじゃないか、単純な機能のシンプルな道具を使いこなしてこそ上手い釣り人なんじゃないのか?」という話になって、大いに賛同した。まあフライマン達だったので「フライリールはシンプルで格好いい」っていう結論はフライリールはよほどの大物でも相手にしない限り、釣りが終わった時にラインを収納しておくだけの機能ですむのでちょっと違うような気もして、我田引水気味だなと思うにしても、フライリールやチヌの落とし込みリールのような単純な”センターピン”のリールの格好良さってやっぱりあるように思う。こういう感覚は世界共通であるらしく、ヨーロッパでは今でも鯉釣りとかセンターピンのリールで浮き釣りで楽しんだりする渋い趣味は健在のようだし、オーストラリアだったかと思うけど横転リールでサーフの釣りをするという、糸ヨレしまくりでえらいことになりそうな愛好家達もネットで見た憶えがある。

左:フライリール、右:横転リール
 ひるがえって、今時のスピニングリールのややこしさと言ったらどうよ?って話で、もう全くぐにもつかんような機能満載で、しつこく何度でも書くけどしゃくったときにガチャガチャいわんってだけの瞬間的逆転防止機構とそれに付随した防水機構は諸悪の根源として、要りもせん箇所に重くて錆びるボールベアリングをズッコンバッコン入れまくりで、アホみたいな使い方してクレームあげてくるアホなド素人客のために、ライントラブル防止でスプールのエッジには小っちゃくひさし付けてくれてあるし、ふけたラインをそのまま巻き込まないように、一旦ラインローラーの手前でしごく機構までついてたりする至れり尽くせりの仕様。なんというか自転車でたとえると、ガキが乗ってるゴチャゴチャ電飾のついたような補助輪付きの自転車みたいなかっこ悪さ、なんなら電動アシストも付いてる感じ。

 ちょっと話それるけど、川崎に住んでたころ朝の出勤時、おかーちゃんが前と後ろに子供乗せて、保育所へ送りがてらパート先に出勤するのだろうか、駅までの坂を爆走してるのが日常の風景だった。あの丈夫でなんならこけないように3輪になってたりもする電動アシスト付き自転車は、脚力も運転技術も優れていないだろうおかーちゃん達の心強い味方だなと感心した。素晴らしい自転車だと思うけどカッコ良いか欲しいかというと普通そうは思わんだろう。ただ、どんな世界にもマニアはいて電動アシスト付きで子供座席の付いた自転車のサドルを専門に盗む変態さんがいて捕まってた。まあなんというか頑張るママさん達へのゆがんだ尊敬の形なのかなと、ちょっと分かるような分からんような上級者もいるのである。子供乗せて自転車で爆走してるおとーちゃんが全く居なかったところは今考えると、さすがに男ども役立たずが過ぎると思わなくもない。子供の送迎でそれなら家庭内でも推して知るべしで、家事において男親など電動アシスト付き自転車よりも役に立ってないんだろうなと思うと、都会で共働きで子育てしてるようなおかーちゃん達に手厚い支援策をと思わざるを得ない。

 はなしもどすと、スプールのひさし。ARCとかいうやつを代表に、スプールエッジがエッジの効いた角の立った形状だと、ラインの放出性はいいけど、良すぎてドバッとまとめて出てしまうようなトラブルが多いので、ひさしに当てて放出性はチョイ下げつつもトラブル少ない様に良い塩梅に放出性にブレーキを掛けている存在だと思っている。って話を遊びに来た後輩にしたところ「あれは飛距離を出すための形だと思ってました」と妙なことを信じ込まされていた。飛距離的にはひさしなどないほうがラインの放出性がよく良いはずでアル。あるけどワシもスプール往復にプラナマチック機構採用でスプールエッジの角の立った丸ミッチェル「314」では、ラインがドバッと出るトラブル頻発で最初使い物にならなかった。識者に「糸巻き量を減らすと劇的に改善します」とご教授いただいて糸巻き量減らしたら、ラインがスプールエッジに角度大きく当たり、適度な放出時の抵抗が生じることでトラブルは激減した。まあスピニングリールで”ライントラブル多くて扱いにくければ糸巻き量減らす”っていうのは応用が効き単純明快な方式である。放出性の良いスプールエッジの角の立ったリールを使いこなし遠投性の良さの利点を生かすという方向もありそうなモノだけど、まあ、遠投投げ釣りリールならともかく、今の釣り具市場でそんなとんがった仕様が受け入れられるわけもなく、素人でも扱えるように、となるとひさしが付いてるのは親切設計だと思う。でもそれが”飛距離が出る”と優良誤認されているのはいかがなモノか。あと、角の立ったスプールエッジにちょっとひさしが付いているような、実用性重視のリールは昔からある。いまさら特にそれを宣伝するまでもないだろって話。写真の左から4200SS、と丸ミッチェル304のスプールエッジは角が立ってる、でも右の4400SSのスプールエッジはゆるいひさし付き。何世代も前の古いリールでっせ。

 そして、もひとつ例に出した、ラインローラー手前でラインをちょっとしごく仕組み。あれがいかにも新開発ですって顔で出てきたときに、TAKE先生は90年代中頃の怪作ミッチェル「クォーツ」で同様の機構がすでに採用されていたことをご指摘されていたし、ぬこさんはPENNスピンフィシャーの小型アウトスプール機を始めいろんな機種で、ラインローラーまでのベールアームとベールワイヤーの間が狭く絞られていて、実質”しごいてグチャッとしたままのラインを巻き込むのを防ぐ設計”になっていて、昔から珍しくもないことを指摘していた。写真の上から覗いてるのはマイクロセブンC1。右が4300SS、左が420SS。ワシも下の写真の1960年代製の古い大森大型機「スーパー2000」やらコンパック「スーパー7」あたりに、おなじようなラインをしごく仕組みが既に実装されているのを知っていて、その機構は、二番煎じどころか少なくとも四番煎じの出がらしであるということである。それをさも新技術のごとく宣伝する売りたい側の言ってることって、まあ基本疑っていいよねって話。

 てなことを書けば、今時の高級リール様の信奉者さんは涙目で「でも、今のリールは巻きが滑らかで軽いから!」って必死に優位性を信じたがるだろうけど、ほんとにそうかな?と今から意地悪にも現実というモノを筋道立てて思い知らせてやろう。まず、負荷が掛かる時には、ギア方式が同じならギア比変えたら変わるけど、同じギア比なら軽くなる理屈が分からん。っていうかそんな現象は起こらないはず。ベアリング入れたりギア同士の接触面を耐久性削って減らせば、負荷が掛かってないときは軽く回るだろう。ただ実際にリールを軽く巻きたいときって、ルアー引っ張るときでも魚寄せるときでも負荷が掛かってる状態のはず。竿で稼いで負荷を抜いて巻くにしても負荷ゼロで巻いたらそれこそ糸ふけ巻き込んでトラブルの元でヘッタクソって話。ギアというやや複雑な機構なので目に見えてどう効果が出てるのかが分かりにくいので、店頭や家で空回ししたときに軽いと負荷が掛かってる状態でも軽いかのように錯覚するかもだけど、もっと単純なテコで考えると分かりやすい。たとえばペンチやハサミを使うとき、もしベアリングが入ったようなけったいな製品があったとしても、ナニも挟まずカチカチチョキチョキする分には軽くても、モノ挟んだり切ったりするときには高負荷が掛かるので、ベアリングが効くような負荷の無い”軽い”状態とでは場合によってはキロとグラムという感じの2桁以上は桁の違う抵抗が生じるわけで、ベアリング無しと有りとで結果的に使用時に感じられるほどの差など生じないはずである。生じて軽くなるならベアリング入りのペンチやハサミが一般的になるはずで、でも実際にはそうはなってなくて、使用感を軽くしたいなら、ペンチなら握りを長くというか全体大型化するなり二段階方式にするなりが必要で、ハサミなら加えて切れ味鋭い刃を付けるとかで、空気挟むときに軽やかに作動したところで本来目的での使用時には誤差程度の差しか生じ得ず意味など生じない。テコってそういう用途と仕組みだろっていうのは、さすがに支点力点作用点ぐらい義務教育受けてたら分かってもらえると思うけど、これがリールのギアになるととたんに何か特別な仕組みのように思って、ありもしない不思議なフォースが働くと信じたがるジェダイの騎士のなんと多いことよ。フォースに目覚めるより先に物理法則勉強した方が良いと思うけど、ワシも物理苦手系なので勉強するほどのことかねって正直思う。まず売ろうとしてくるヤツの言ってることなんぞ疑ってかからねばならんってのが物理云々より先にしなきゃならんことだろ?鵜呑みにするヤツは鵜じゃなくて良い鴨。あと軽いルアー使う負荷の軽い時に巻きが軽すぎるとハンドルに手がしっかり当たってない感じがしてスッカスカな巻き心地で、いわゆる”巻き感度”が悪いっていうのはTAKE先生なり村田基先生なりもご指摘されているとおりだと思う。低負荷時に巻きが軽いようなベアリングやらギア接触面を減らしたようなスピニングリールは、低負荷時に巻き感度が悪く、高負荷時には特に軽くもない。アホかと。ギア方式の全く新しいモノ(もしくはギアを使わない斬新な回転軸を90度曲げる方式)を考案して、今までより力の伝達効率が大幅にアップとかいうなら、それは真に革新的と言って良い称えられてしかるべき技術だろう。ただ現在も40年から昔に考案されたハイポイドフェースギアというギア方式は蹈襲されていて変わってはいない。じゃあそのハイポイドフェースギアを開発したエラいメーカーはどこよ?っていえば大森製作所がその開発には大きく貢献したとされていて、そうなると大森製作所は称えられてしかるべきってことになる。大森製作所のハイポイドフェースギアはガタが来てるのを見たことがないぐらい耐久性に優れ、滑らかさにおいても充分今時の高級リール様に遜色ない。っていうか巻きの滑らかさってそんなにリールに必要か?そこそこギアはやかましめのベベルギアの丸ミッチェルも魚釣ってて不快な感じは全くせんかったけど、気になる人は気にするのだろうか?ワシには分からん。ギアの作りが鍛造?削り出し?高強度ジュラルミン?あほか?大森ハイポイドフェースギアはハンドル軸に鉄系の芯は鋳込んであるけど亜鉛鋳造のハンドル軸ギアと加工のしやすい真鍮削ったローター軸のギアと”経済的”な設計だけど、ギア方式変えずに製法だ材料だをいじったところで、ものの重量は削減できても、巻きの軽さも滑らかさも勝てる理屈ないやんけ?それでいて値段はバカ高い。そしてワシの少ない経験からで申し訳ないけど耐久性はないがしろにされていて劣るとか買う価値まったく見いだせない。

左手サミング修行
 「でも実際に安いリールだと魚がかかったら重くて巻けなくなるけど、高いリールにしたら巻けたから!」って思う人もいるだろう。それはギアの良さではなくむしろ本体の剛性の問題で、片軸受けでローターの回転軸の片側のラインローラーにラインが掛かるスピニングの構造上、まあそうなるわなという本体とかが”たわんでる”高負荷状態でゴリ巻きしようとするから巻けなくなるのを、クソ高い高級リール様だと、ゴリ巻き仕様で過剰なまでの剛性でたわんで巻けなくなるのを防いでるだけで、ギア関係あらへんと思う。以前ネットでバンスタールを買った釣り人か「8万からするリールなのに魚が掛かったらたわんで巻けん、使えんリールだ!」と憤ってるのを目にして「スピニングリールの使い方知らんアホ発見」と思ったモノである。スピニングリールは高負荷時ゴリ巻きするのに向いた構造ではない。でもそんなもんポンピングして竿で稼いだ分負荷を抜いて巻きゃ良いだけのことである。バンスタールも価値の分からんマヌケに買われて災難である。いらんのならワシにくれって話である。そうやってゴリ巻きしないならPENNスピンフィッシャーの、ねじ込み式ハンドルで力が掛かると締め込んでいく構造のハンドルピンも曲がらないので純正のハンドルで問題なく20キロ30キロの魚があがる。社外品の折りたためない高っかいハンドルなんぞ必要ない。ましてや純正状態で折りたためないようなハンドルが付いている不便な今時の高級リール様なんぞ馬鹿臭くて触る気にもならん。なんで、そんなアホなゴリ巻き仕様のスピニングが世にあふれかえってるかって言えば、おそらく船縁に竿掛けで竿ごと固定してゴリゴリ巻いてた両軸使ってた餌釣りから転向した釣り船の船頭さんが、手で持って巻くスピニングタックルでも「竿あおちゃダメ!」と釣り人を指導したからと、釣具屋もアホが勘違いしてくれてるならそのままの方が正しい使い方を啓蒙するより楽で良いって安易にその方向に追従したのと、そのことに気づかなかったアホの釣り人のせいだろう。ワシも釣り船で何度か「竿あおっちゃダメ!」って言われたけど気にせずポンピングして釣ったった。通い慣れてる釣り場の魚や海の知識で本職の船頭さんに勝てるとは毛頭思わんけど、ことルアー使った釣りに関してはワシャガキのころから馴染んでるから、昨日今日ルアー船始めた船頭さんに道具の知識で負ける気なぞさらさらなかった。ポンピングした方が明らかに勝負が早くつくのを見て船頭さんも「そういうやり方もありなんかな?」と己の自信が揺らいでるようだった。良い船頭さんは常に考えて新しい釣りにも対応するから釣り人が賢ければこうはなってない。「20キロ30キロならそうかもしれないけど、もっと大きくなると違う」と涙目で言うかもしれん。そうなったらいつも書いてるけど、スピニングじゃなくてベイト使えって話を今回もジジイの繰り言として書いておく。90度回転軸を変えるなんてけったいなことはしていないから巻き上げ効率は良くて”軽い”し、”両軸リール”ってぐらいで軸の両側を受けているからたわんだりもほぼ気にしなくて良い。投げるのが難しいって、それを上手くやるのが上級者で上手い釣り人ってもんだろって話。素人でも扱える道具しか使えません、っていうならそりゃそいつは素人なんだろう。ワシゃ実践経験はそこまで積むことができてないけど、大型のベイトリールでのキャスティングのための”左手サミング”も一応はたしなんでおりましてよオホホ。あたくし素人じゃございませんの。磯からロウニンアジやらやる人達には結構両軸派はいるので、船からでもどこからでも使えば良いのにと不思議でならない。アベットとかアキュレートとかちょっと欲しくなる程度には格好いいしな。もちろんPENNやニューウェルの両軸も渋くて格好いい。

 って感じにごちゃついてうっとうしい今時の高級スピニングリールと比較して、ワシが今年シーバスに年間通して使ってた大森スピニングは、はっきり言って格好いい。冒頭写真のがそれで、集合写真では右下に写ってるやつだけど、モノとしては「タックルNo.2」という、外蹴りアウトスプール時代から内蹴りの時代になっても、単純設計で低価格設定にできるので生き残った機種(「タックル5No.2」の色違いバージョン)で、余計なモノは付いてない。ただ、ギアは既に完成の域にあったさっきも書いた鉄系の芯を鋳込んだお馴染み大森ハイポイドフェースギアで、よく売りに出されているときに「古い時代のものなので、現在のリールと比べると劣ります」みたいな書かれかたしているけど、大概ボールベアリングが錆びてるとかでシャーシャー言ってるだけで、ベアリングの交換で今時のリールと遜色ない滑らかな巻き心地に復活する。逆転防止は瞬間的には止まらないけど、単純小型堅牢で本体内部に収まっているので特別な防水機構を必要としない。防水機構が特段は付いてないのでボールベアリングが錆びるのは、まめに塩抜きするなり錆びたら交換と割り切るしかないにしても、構造単純なので苦にならない。規格品っぽいワンェイクラッチ(片方にしか回らないベアリング)ぶっ込んだ単純な設計ならともかく、今時の瞬間的逆転防止機構はそもそも分解不可なのかもだけど、異様に面倒くせぇ繊細で複雑な機構で触る気が失せる。外蹴り大森はベール外蹴りでベール反転機構って言ったってラインローラーの尻をフットから張り出した”蹴飛ばし”に当てるだけと極めて単純。ドラグは今の小型機のドラグと同じように3階建て方式で同じように硬質フェルトのドラグパッドを使っているので、今時のドラグ用グリスを使えば、当然今時のドラグと同等の性能になる。スプール上下が減速なしの単純クランク方式なので完全平行巻にならない欠点もあるけど、軽負荷時に適度に巻き抵抗になり巻き感度向上には役立ち、綾巻に巻き上がるので放出生は劣るけどライントラブルの少なさは利点となる。で、この外蹴りアウトスプールの大森スピニングが進化して軽いベール反転を実現し、簡易ローターブレーキの搭載で意図しないベール返りを防ぐようになったのが、大森スピニングのある種の到達点である「オートベール」、「タックルオート」の両機種だと思っている。いずれにせよ外蹴り内蹴りそれぞれ利点欠点はあるものの、今時のクソリールどもと比べて、劣っているところもあれば逆に優れている点も多く、単純に古いから劣っているとは全く思わない。むしろ純正状態でも今時のクソみたいな瞬間的逆転防止機構搭載機より実用性で優れていると思うぐらいである。なら、大森スピニングの単純明快な良さを生かして、欠点を補ってやれば”良いとこ取り”の実用性最強のスピニングになるのではないかというのは、ちょっと前にネタにした「オートベールNo.3」のスプール周り改造とも共通するワシの大森改造の基本理念である。加えてこの「タックルNo.2」については、スプールをアレしてやるのに加えて、もっと機能をそぎ落として単純化できる部分はないかと考えて、フルベールのベールワイヤーを取っ払ったマニュアルピックアップ方式の、いわゆる”ベールレス機”に改造した。ラインローラーはポリアセタール樹脂で自作しているが今年1年もってしまって思ってた以上に耐久性がある。削れてきたらまた作って交換と考えていたが、ちょっと溝ができてきたかな?って程度であり、今年はその必要はなかった。同様の改造は「タックル5No.2」で以前にも報告している。具体的な改造方法はそっちを読んで欲しい。フルベールであれば投げた後ラインを確実に拾ってくれる。でもハーディー社がフルベールアームの「アルテックス」を開発するまで(そしてその特許が切れるまで)、ハーフベールやマニュアルピックアップの機種が使われていたわけで、フルベールにするからベールスプリングやらの耐久性が問題になったり、内蹴りの方式の複雑さや意図しないベール反転が生じたりするわけで、マニュアルピックアップにしてしまえばそれらは関係がなくなる。ベールレス機を扱うには多少の技術と慣れが必要で、素人にいきなりやれと言っても難しい。ただ慣れると、ミッチェル方式で通常は逆転防止機構を切っておいて、投げるときにはラインローラーを手前に持ってきてラインを人差し指で拾ったら、ハンドル逆転でラインローラーからラインが外れて投げる体制が整う。投げたら人差し指でフェザリングして着水したらフェザリングしていたその指でラインを拾っておいてから巻き始めるとラインローラーにラインが掛かる。というのが夜釣りのシーバスでも普通にできるようになる。たまにラインを拾い損ねて巻き始めてもラインローラーにラインが掛かってないミスがあるけど、一晩やってて数回程度だし、竿を立ててラインを出しつつ改めて人差し指で拾ってやれば良いのでたいした問題にはならない。まさに単純シンプルな道具を技術で上手く扱えているわけで、ゴテゴテの補助輪付けてもらったようなダッセぇスピニングより、ワシの大森の方が玄人っぽくて格好いいというのがおわかりいただけるだろうか。リールの基本的な構造や使い方をしっかり理解していて、どこを改良すべきか、特にナニを省略できるかが分かり、省略して単純化した分、技術が必要とされる部分を経験や修練でなんとかして、実際に”快適に”魚を釣る。どっかの大手のフラッグシップモデルで釣ったところで、そんなもん誰でも使える道具で釣ったという部分ではなんの自慢にもならない。それを買える経済力は自慢できるかもしれんけど、釣りにはあんま関係ない。でも、マニュアルピックアップに改造して大森スピニングの良さを生かしつつ、素人にはできんような技術で使いこなしてるっていうのは、その道具を選び改造した知識と技術、判断も、使いこなす技量も自慢に値すると自画自賛せざるを得ず、ワシのリールは玄人仕様の格好いいリールなんですよ!って高らかに宣言したい。さっき出てきたバンスタールやらPENNだと706zやトルクのマニュアルピックアップ仕様とかの、あからさまに格好いいところは、素人じゃ使いこなせない、使いこなすのに一手間かかるっていうところじゃないかと感じている。で使いこなすとベール反転関連のトラブルと一切縁が切れる。だってベール反転させないんだから意図しないベール返りもなければベールスプリングの破損も起こるわけがない。遠征の荷物に突っ込んでもベールワイヤーが曲がることもない。技術で単純な道具を補って使う利点は”格好いい”ってだけじゃないということがおわかりだろうか。

 ワシらジ様釣り師になると、経済的にはそこそこ小金持ちなことが多い。クソ高い道具を買ったところで、それほど驚かれはしない。ただ、ワシのベールレス機を「ベールワイヤー取っ払ったった」と言って見せると、そういう酸いも甘いも知ってる経験豊富な釣り人達でも、ちょっとオオッと驚いてくれる。やっぱり少なくとも個性的ではあり、ちょっとやりそうな感じで、ひょっとすると「ちょっとそれは格好いいかもな」と思ってもらえるようにも感じている。ワシの大森は格好いいのである。

 で、さらに腕で不便を補完する方向で、さらに、歴史を遡って何か省略してしまえる機構はないかと考えると、候補は3つ考えられる。一つは「逆転防止機構」、二つ目は「ドラグ」、3つめは「スプール上下機構(オシュレーション)」ぐらいで、あとはどうにも外してしまうとリールとして機能しなくなる気がする。

 この中で、歴史上出現した順番を考えると、スプール上下機構、ドラグ、逆転防止機構の順でドラグが意外に早くから搭載されていることに驚くというか、もっと驚くのが逆転防止機構が存外後になって出てきたことで、フルベールアームのハーディー「アルテックス(1932発売)」にはまだ付いてない感じで、カーパノ&ポンズ(ミッチェル社の前身)の「CAP」リールでも初期のモノには逆転防止は付いていなかった。同時代の後の「300」である「ミッチェル」は1948年登場時にすでに逆転防止機構は搭載されていたようだ。なので1930年代以降1940年代までぐらいで逆転搭載機構は搭載されるようになったと推定する。スプール上下機構は、まあスピニングリールの出自は紡績機械で最初のスピニングリールは細長い糸巻き(スプール)の形状だったので、当然最初のスピニングリールである「イリングワース1(1907)~」にはスプール上下させるオシュレーション機構が付いている。ただ、安価なライバル機の出現でコストダウンを図った「イリングワース2(1910~)」ではスプール幅を狭めてオシュレーション機構を省略している。そしてより機能を進化させた「イリングワース3(1913~)」ではオシュレーションも復活、なによりフロントドラグ方式のドラグ機構が登場となっていて、ワシの現時点のベールレス版タックルNo.2はこの時代に生まれた機能に逆転防止機構が付いてる感じになっている。(参考:國吉昌秀著「ベールアームは世界を回る」)

 歴史を顧みて、逆転防止が一番後に追加された機能であることは意外に思うと同時に、我がベールレス版タックルNo.2からさらに削るとしたら、たしかにそれかなと思わなくもない感じで、最後まで搭載されなかったのも理解できる。スピニングリールの役目が元々は軽い仕掛けを遠くに飛ばすというものであったから、自ずと対象とする魚の大きさも限られてくる。逆転防止がないと取り込むときに片手が離せなくてタモとか使いにくいと思うかもだけど、シーバスぐらいまでならローターに指伸ばして引っかけて逆転を止めてしまう程度でなんとかなる。これは改造も簡単でスイッチ、銅板の爪を上げ下げする金具、爪あたりの関係パーツをいくつかとっぱらてスイッチを外した穴を適宜ふさいで防水しておけば足りる。逆転防止のラチェットはギアの上に填まってるのを同じ幅とかのスリーブに換装しても良いけど、そのままで問題ないだろう。でも外しても大して変わった気もしない機構でわざわざ外すほどでもない気がする。使わないなら切っておけば良いだけだしな。

こいつはなぜか蔵にあった707
 となると、ドラグかオシュレーションか?って話になるんだろうけど、ドラグはちょっとなくなるとしんどい。予期せぬ大物の急激な引きとかにドラグなしだと対応できず怖い部分がある。ただ、その場合でも逆転防止を切るあるいは逆転防止を廃止しておいて、ローター逆転で対応する”逆転釣り”という手段はある。まあ、ドラグを使うより、さらに技術が必要とされるようになるから今回の話の筋にも合致している。ただそうなるとアウトスプールスピニングのローターはベール関係の乗っかる腕が両側に付いていて、これが高速で逆回転するのを手で止めるのは突き指しそうで危なっかしい。かといってハンドルを高速で逆回転させてラインを繰り出すのは難易度が高そうである。そうなってくると、昔の磯のグレ師がフットを切って短く溶接したオリム「トゥルーテンパー727」のインスプールのローター下部のお椀の部分に指をあてて逆転によるライン放出を調節したように、やるならインスプールの機種でやった方が良いように思う。

コイツはなんでしょう?そのうちネタにする予定
 オシュレーションに関しては、まあクローズドフェイスリールではスプール幅狭くしてスプール上下なしってのも珍しくない程度には存在するので、オシュレーションクランクを取っ払って、適切な高さに主軸をピン止めしてスプール位置を固定、ラインがぐずぐずになりすぎない様にスプール幅をアレしてFRP板とかで狭くしてしまうというのはできなくもない。ただ、投げるとき幅が狭いのですぐに糸巻き量が減って、ラインの放出に抵抗がよりかかるようになって、飛距離的にはかなり不利になるだろう。とはいえ使用不可になるほどか?と考えたら、クローズドフェイスリールの事例で実用可能なのは明白だし、もっと単純な機構でと突き詰めるならやる意味はあるだろう。

 実は、逆転機構なし、ドラグなし、オシュレーションなし、マニュアルピックアップ方式のスピニングは、安価なライバル機に対抗して、必要な機能を絞り込んだ最低限の機能で構成された「イリングワース2」がまさにそのような機種であり、究極に単純なスピニングリールと言って良いかもしれない。そう考えるとちょっと、それを当時の釣り人のように使いこなしてみたくなる気もするけど、ドラグの代わりにローター下部を指で押さえて逆転(=ライン放出)することを考えると、適当なインスプール機種の改造母体が必要であり、まあなんかちょうど良いジャンク個体でも出てきたら、挑戦してみるのも悪くないぐらいの感じで、現時点ではあんまりやる気はない。

 むしろ、現在使用中のベールレス版タックルNo.2は、ヒラフッコまでしか釣れていないので、もうちょっと”映える”武勲を立てさせて、この程度の単純なリールでも充分以上に釣りは楽しめるし、なんといっても使ってて気持ちいいんだぜ!ってのを示しておきたいので、来年の話をすると鬼が笑うそうだけど、来年もシーバス用の主軸で使っていこうかなと思っております。大森のデキの良い部分を楽しみつつ、欠点は補ってあって、かつちょいと使うのにコツがいる、使いこなす楽しさ誇らしさを味わえる、なかなかに良いリールに仕上がってると思って、当初想定以上に気に入ってます。 

 ワシの大森は格好いい!

2024年11月30日土曜日

永遠に古くならない5000

 根魚クランクが思いのほか上手くいって、想定していた当初の目標は早くも達成してしまったりしている。60クラスまでは今の道具で大丈夫だという感触は得た。
 得たけど、それ以上も想定しておいて損はない。
 前もそんなこと言ってライギョタックルとか持ち出してなかったか?と言われるとそのとおりなんだけど、あれは今の自分が扱える最大火力の道具で、今使ってる、バスロッドに毛が生えたぐらいのタックルとはだいぶ差があって、使用感も違えば使えるルアーも変わってくる。何しろ細めのリップなどもげるぐらいのパワーof力な道具立てである。
 そこまでキツくなくて、もうちょいパワーを上げて来たるべき70クラスに対応するような道具はないのか?っていうと、わが家の蔵には現時点で121本もの竿が確保されているのでないわきゃない。
 アメナマ釣りに使ってたアグリースティックタイガーの2ピースベイトロッド「BWC2201-2」がライン指定10~50lb、というとガチムチに思えるけど、実際にはわりと粘っこい調子の適度に曲がる、シイラロッドよりチョイ強めぐらいの竿でライギョタックルとバスタックルとの間の良い塩梅の竿だと思う。粘っこい調子なのもクランクのような巻きモノ用としては好適。
 70UPのアメナマとかも仕留めてた竿なので実績的にも充分。アメナマ、日本のTHEナマズと違ってシッポがマグロほど極端じゃないけど2又に分かれた高速遊泳仕様でけっこう引くので、このてのゴツい竿で釣ってた。
 でリールはっていうと、ブッコミ餌釣りでアメナマ釣ってたので、20ポンドナイロンラインとかが長尺巻けるPENNの「インターナショナル975」と組ませていたんだけど、ナイロンライン長尺巻いたスプールは重くて飛距離面ではだいぶ苦戦する。カヤックシーバスとかなら飛距離いらんので普通に使えていたけど、40とかのそこそこサイズの根魚を中心に狙うことを考えると、あまりデカいルアーが使えず、かつディープクランクで一定の棚を引こうと思うと”助走距離”が必要で飛距離はある程度欲しくなる。
 となると、ウチにある丸ABUだと「アンバサダー6500C」は合格なんだろうけど、それには5m以深用にPE2号を道糸に巻いてあって、3m前後の深さの根回り用とは兼用できない。
 「ナマジは何を言ってるんだ?つい先日根魚クランク用にアンバサダー「ライト」系のブラックマックス買って、魚も釣れて調子ようさそうじゃん?あれではいかんのか?」と思うでしょ、ワシも思って付けてみたんだけど、軽くてバランスが云々はもともとトップヘビー気味なのをバットにオモリ詰めて調整してあるので良いとして、見た目的に全然調和がとれてない感じで、釣れればそれで良いとは思わんでもないけど気分よく使えないので駄目。
 でもわが家の蔵にはこれまたリールが現時点で206台もありやがるので、適当なリールぐらいあるわいな。アメナマにも使ってた「アンバサダー6500C4」はハイスピード仕様なのでイマイチ。なら「アンバサダー6500C3」はというと、九州時代にライギョ釣ってた想い出深いカモフラカラーの個体なので、太いPE巻いたまま残しておきたい。となると消去法で我が初めてのABUである「アンバサダー5000」にお出まし願おうかということになった。竿に付けてみると、スレッドに一部赤が使われていることもあって自然な感じで馴染んでくれて良いんじゃないだろうか。糸巻き量も6500系よりは少なく当然スプール軽くて飛距離面でも好適だろう。
 良いじゃん格好いいじゃんよ。
 同じ丸ABUでも、ボールベアリング入りのC付きモデルでもなく、高速版の5500系でもサムバーの5600でも左巻きの5001でもない”素5000”のしかもパーミングカップモデル。インスタントアンチリバースなんぞついてない80年代もので、余計なモノが付いてない素っ気なさ高級感の無さが逆にアグリースティックには相応しいかも。まあABUって時点で当時は高級品だったんだけどね。高校生の頃お年玉握りしめて買いにいったのを憶えている。当時は身の丈に合わない高級品のような気もしていたけど、30年から経ってもまだ実戦投入可能な状態で残っているし、これまで多くの魚を釣ってきたことを思えば、決して高くはなかった。一生モノっていう売り文句が嘘じゃなかった時代のリールだと思う。

 で、アンバサダー5000投入でめでたしめでたしなんだけど、実はこの5000はニコイチ個体だったりする。高校の部活で、夏にみんなでキャンプに行ったとき、受付中に駐車場にリュックごと置いてたら車にひかれてフレームとスプールがが歪んで、部品取り寄せすると本体買い直すより高くつくということだったので、ひいたオッチャンに交渉して半額ださせて新品買い直して、フレームとスプールだけ使ってた愛機に載せ替えてあったのである。大手術で新たに復活したこの個体には”エマニエル”と名付けて当時呼称していた。今の人「エマニエル婦人」って映画知ってるだろうか?昔は元旦年開けて行く年来る年も終わったぐらいからやってたエッチな映画シリーズで、女優さんが歳取って交替することになって「全身整形手術で若い体を取り戻したエマニエル夫人が新たな官能の旅路に旅立つ」とかなんとかやってたように思う。

 ということで、スプールとフレームがおシャカの個体が実家に眠っているハズで、久方ぶりに実家に帰郷してそんな30年も昔のモノが取ってあるはずはないよなと思いつつ、ワンピースのバスロッドとかは「捨てないで!」と念押ししてたので残ってて、その辺りの整理をしつつ発掘作業を行った。さすがは我が母、この子にしてこの母ありと思わせられるぐらい予想外のモノも取ってあって驚いた。ワシ含む3人の子供達が使っていたノートやら教科書やら、テストや書道の提出物などダンボールに5箱ぐらいあって、流石にもう捨てて良いだろうと確認取ると、教科書やらは良いけど子供達の書いたモノとかは捨てたくないとのこと。親の愛の深さと、電車で2時間かそこらで帰ることができるのに2年以上帰郷してなかった自分の親不孝ぶりを鑑みて、しばらく深く静かに反省したが、まあワシ次男坊だし、人様が盆暮れに帰郷してるのを横目に遠征の釣りとか行って、実家に寄りつかなかったからこそ得られた釣果や経験もあったので、それがワシの行く道だと開き直る。2年以上帰らずになにやってたかと言えば、必死で魚釣って、ネコと戯れていた。そのことはワシにとって重要だからそうしたまでのことと、悪ぶっておきたいところだけど、そんな親不孝な息子が帰ってくると、すき焼き食わしてくれたり柿むいてくれたりとかいがいしく世話してくれる母に、たまには電話ぐらいしてミカンでも花でも贈っとけとは思う。そのぐらいやっておいてもバチは当たるまい。
 で、釣り具も目的のフレームとスプール歪んだ5000はもとより、チョイ前にネタにしたビルノーマンの「ラトルー」やらフッキング悪すぎるのでウィードガード取っ払って使ってたらしいハリソン「スーパーフロッグ」やらもでてきたし、竿はエビス「スタンプヒッターSH58」、ダイコー「スピードスティック#6-16HOBB?」、ダイワの「ジェットスピンML」あたりが残っていて、リールも他にダイワ「ミリオネア5000」が残っていた。持ち帰ることができる量に限りがあるので、今回は5000とラトルーとスーパーフロッグあたりを回収しておいた。
 何十年と放置されてきた教科書とか、埃を掃除機かけてぞうきんでふきながら、老いた母でも車に積めるぐらいの量にまとめて縛って、外のガレージに積んで、多少なりとも親孝行したつもりで、慣れないことをして疲れたけど、目的のブツが発掘確保出来たし、やった甲斐があった。
 昔ならメーカー取り寄せでパーツ交換とかしたら新品買った方が早いとなったけど、いまなら丸ABUに関しては、ネットオークションやフリマで部品を安く入手することも可能。こちらも稼動個体にしあげて、5000の2台体制が組めたら戦力大幅補強になるだろう。ということで、ギッチリ分解整備しつつ、必要なフレームとかを確保して組み上げていこう、ということにあいなりました。

 ということで、ネットオークションとかで5000系のフレームとスプールを探してみると、フレームは700円+送料の激安品を確保。5000と5500系ってギア比が違うだけでフレームとかは一緒のはずで、弾数多い5500のでもいいやと探してたんだけど「5000C3」のフレームというそんな機種あったのか?っていうのが出ていて、ウルトラキャストデザインになってからの機種だけどフレームは変わってないだろうと、念のため我が家のウルキャス以前の6500Cとウルキャス機種の6500C4とで確認したらいけたので購入。丸アブも非パーミングモデルは人気あるし中古価格も高いのでパーツもそこそこの値段してるけど、パーミングモデルのは総じて安いけど弾数は多くはない。フレームはとくに年代特定のできるフットナンバーが刻印されてたりするので古い丸アブ組むならこだわりたいのは当然で、ウルキャス機種のとか安くしないと売れないのだろう。今回のワシは使用前提で使えりゃ良かったので大助かり。
 でもって、スプールがわりと苦戦。意外に適合するスプールが少ない。ウルキャス時代の軸とスプールが分離してるタイプが駄目なのはもちろん、それ以前でもレベルワインダー(平行巻)を回す歯車の部分が金属だったり樹脂だったり、遠心ブレーキの刺さる棒の形状もいくつか存在する。適合するのは歯車が白い樹脂製で遠心ブレーキの棒はカチッと留めるタイプのブレーキブロックが填まる段差のあるタイプ。意外に良いお値段してございまして5千円前後が相場らしく、使いもせんリールにどれだけお金突っ込んだか考えれば安いものだけど、珍しくマウスの滑りが悪かった。
 どうしようか考えてて、ダメ元でゆがんだスプールの軸直せないか試してみることにした。ゆがんだフレームがどうにもならんことは素人目にも明らかで、篭状に組まれたややこしい形状を元に戻すのなどリール修理の専門業者でも難しいだろうと思う。ただスプールはゆうても軸1本曲がっただけである。曲がった方向と逆にチョイチョイ曲げていけば真っ直ぐにデキるんじゃないの?と素人考えでペンチ片手に挑戦してみた。ゆがんでないフレームで組んでスプール回すとカシュカシュと一方が擦れていて、何度かやってたらスプールエッジに擦れた跡がついて、そっちに曲がってるのが分かったので、ペンチで軸挟んでちょっとずつ試していこうとチョイ曲がったか曲がらないかぐらいで填めてみたら擦らずスムーズに回ってくれた。偶然って恐ろしい、上手くいってしまい問題解決。

 すべてのパーツが手に入った、と思ったら遠心ブレーキのブレーキブロックが在庫してあるのはウルキャス用のパチンと留める角張ったのと、止めがなくて現場でスプール交換すると落っことすと嘆かれている、おがくず固めたような素材でできた止めがないヤツだけで、ウルキャス以前のパーミングカップモデルに採用されていた円柱形で切り込みが入ってて落とさないように軸の段差で留めるタイプのが今使ってるリールについてるのしかない。予備の補充もしておきたいけどとりあえず出物もないようなので、昔どっかで読んだ裏技を今回採用。実はボールペンの芯が内径、外径ともにジャストフィットで使えるらしく、インク固まってるボールペン探して適当に切って填めてみた。当然パチンと止まるようになってないので釣り場でスプール交換とかするときには落っことさないように注意が必要だけど、これでいいなら安くて助かる。試し投げして駄目そうなら5000を2台同時に出すわきゃないから、使う方に優先的にブレーキブロック入れておいて長期的には調達して行けば良いだろう。写真上のが純正ブレーキブロック、下がボールペンの芯。ブレーキ強く効かせたいなら長めに切り出して、弱めが良ければ短く作ればとお好み次第。

 せっかくなので、全バラしして耐海水仕様にグリス大盛りで仕上げたいんだけど、ABUのグリスってこの時代から純正の透明なヤツとか高品質なグリスの使用を想定してるかもなので、PENNや大森のようにボート用のマキシマ青グリスぶち込みはやめておいて、PENN純正青グリスで盛り盛りに仕上げていった。2台ある5000でも微妙に年式の違いがあって、古い方はハンドルナットを固定するリターナーが金属だったのが、新しい?方では樹脂製の黒のに変わってる他に、なにげにドラグパッドが材質変更されていて、古い方は土星の輪型の革っぽいパッドがメインギアの表裏に填まってるんだけど、新しい方では形状一緒で素材が赤いファイバーワッシャーにちょっと触り心地の似た感じのザラついた樹脂素材になってて、PENN純正グリスはドラググリスとして優秀だと感じてるんだけど、そのせいもあってか調整幅も滑り出しも良い塩梅で、かつ締めるとかなりギュッと止まる。ABUのドラグはイマイチとかほざいていた過去の自分が恥ずかしくて寝るときに思い出してお布団の中でジタバタしてしまいそう。そうそう、この逆転防止の薄い銅板の爪がついたドックが、初めて分解したときどうやって付けるのか分からなくなって困るのがお約束よね。と爪でラチェットを挟んだ状態で一緒にメカプレートから出てる軸にぶっさすのを当たり前のように知ってる今となっては懐かしく感じる。逆転防止なんてこの方式が丈夫だし確実だし静音化はできてるし、錆びる誤作動する壊れるの3拍子そろったインスタントアンチリバース(IAR)なんぞ、どこの誰が欲しがってるのか意味が分からん。遊びが少ないってなんか意味あるのか?ジギングとかシャクリまくるときにガチャガチャいわないって以外のメリットをついぞ思いつかないし読んだこともない。まあ普通釣ってるときハンドル持ってるから逆転防止なんぞ中小型機ならミッチェル方式で取り込みの時にハンドルから手を離すときにかけてやれば用が足りる程度の機構のはずである。ただ、遊びが少ない以外の有用なメリットはいくつか思いあたるのがあって、以前、ハンドル基部にベアリング(IARはベアリングの一種といっていいかと思うワンウェイクラッチが使われている)が入ってるのは力が掛かる部分でもあり摩耗した場合にも交換していけるので有用であると書き込みいただいていて、なるほどそういうこともあるのかと思ったけど、その場合でも摩耗対策はそっちに任せてワンウェイじゃないベアリングなり金属製スリーブにしておいて逆転防止はラチェット方式にしたほうが安心・安全というものだろうと愚考する。まあ作る方からするとワンウェイクラッチ一個にベアリングの仕事も逆転防止の仕事もさせておけば部品数、工程数少なくて効率が良いって利点はあるのだろうから一概には言えんのだろうけどな。ABUのIAR搭載機種はワシの使用条件ではこれまで問題起こしてないし正直ベイトでは困らんような気もうっすらしてる。スピニングの場合は多くのメーカーで防水機構なんて余計なモノまで必要になる入ってる位置といい、ワンウェイクラッチ一個じゃない複雑でメンテしにくい特殊な構造のややこしさといい、おもいっきり邪魔でしかないけどな。

 という感じで、ばっちり組み上がったので今使ってるブラックマックスとの飛距離やら巻き心地の違いやらを確認するために、竿とりあえず同じアグリースティックGX2にして近所の川の上流の堰堤で投げてみた。5000はさっきも書いたようにボールベアリングが入ってなくて”ブロンズベアリング”とABU公式では書いてたけど要するに真鍮のブッシュが入ってるだけで一個もボールベアリングが使われていない。けど、軽いシンペンとかやや飛距離出しにくいかな?と感じたけど、重量そこそこあるクランクベイトとか普通に飛距離出せる。古い方には実はボールベアリングぶち込んであって、昔は竿1本でなんでもやってたのでベイトで軽いルアーとかも投げるのでそうしていたけど、今回は用途的にクランク投げときゃ良いのでボールベアリングはいらん。スプール軸の曲がりも実用充分に直ってるようだし、ボールペン軸の遠心ブレーキブロックも問題なく機能しているようだ。5000と5500の違いはギア比と書いたけど、基本同時代では5500系がハイスピード版で、この時代の5000はハンドル一回転でスプールが5回弱回ってるのでネット情報と照らしておそらく1:4.7で、古物の1:3.6とかの5000ほどトロくて巻いてくるのがしんどいという感じはなく普通。古物の5500系と同じぐらい”高速化”されていてむしろディープクランクとか巻くには早すぎないほうが軽く巻けて好適だろうと思う。ギア比調べようとネット検索してると、非パーミングの古物の情報はいくらでもでてくるけど、パーミングで非ウルキャスの80年代初頭から中盤ぐらいの機種の情報がなかなか出てこず、しかたないのでツーテンの虎ファンさんにメールして問い合わせたけど、ABU関係の蔵書3冊みてもパーミングカップのモデルは唯一最近復刻されてたストライパーモデルぐらいしか紹介されていないとのことで、いかにこの実用性・完成度が高く無駄なモノがついていなくて、非パーミングの古物と、ウルキャスでIAR搭載の現行丸アブとの狭間の”美味しい機種”達が軽んじられているかが分かろうというもの。中古の相場的にも安いしパーミング非ウルキャス時代の丸アブは絶対的にお買い得とお薦めしておきます。

 現行の最新鋭のリールがなんぼ性能良くてメーカー側が”史上最高”を謳ったところで、3~5年後のモデルチェンジの後にはすぐに陳腐化が始まるのは明白。性能が良くて多少飛距離とか出るようになったからと言って、それがどうした?って感じで、そんなしょうもない違いで釣果に差が出るかよって話で、魚釣る程度の機能は30年とかを超える昔の道具でも既に充分備わってて、今時の先鋭化専門化して融通の効かん、軽さに振って耐久性を軽視しているアホみたいな道具より昔の基本性能がしっかりしている道具の方がなんだかんだで釣りがしやすいし、いつまでたっても陳腐化しないどころか使えば使うほどに愛着が湧いて”自分史上最高”に育っていくってのは、分かる人には分かるだろうし、信じたくない人には全く信じられないだろうと思う。
 「釣り具の性能は基本的に金額に比例する」とか言ってるバカの横っ面を、これからも良い魚のシッポでもってペチペチとひっぱたいてイラつかせるような釣りをしていこうと思う。陸っぱりで釣った5キロ近い根魚のシッポでペチペチされれば、さぞうっとうしかろうて。へっへっへ。ザマアミロ。

 まあ、釣り具の好みなんて人それぞれで、丸アブ一つとったって、ワシがベイトの釣りを改めて詰めてたときにF師匠が丸アブ詰め合わせセットを贈ってくれて、「パーミングカップの6500Cがナマジが使ってた5000と同じ時代ので使い心地とか似てるから合うと思うよ」と言っててまさにそのとおりだったぐらいで、好みなんて経験やら知識やら感覚やらで十人十色で当たり前。そうアドバイスしてくれたF師匠はIARぶっ壊すし6000番台のフット吹っ飛ばすしで、ラチェット式の古い非パーミングの6500Cに社外品の強化フレーム組んだのを愛用していた。真鍮製カップとかで重くて閉口する6500CSロケットクロームも丈夫で腐食に強いので左手サミングで長竿で使う遠投かご釣り師には人気が高かった。水面系バスマンや開高先生のファンなら古い5500Cは特別視するだろうし、巻きの遅い古い5000のその巻きの遅さを生かしてシーバス狙いに導入してるような御仁までいるぐらいで、みんな違ってみんな良くてあたりまえで、道具なんて好きなの使えばいいよとは思うんだけど、ろくでもない使いにくそうな道具にどんどん最新の道具がなっていくのを見てると、お節介だし、自分が死ぬまでに使う道具ぐらい既に確保してあるので関係ないといえば関係ないけど、天邪鬼のつとめとして、あんまアホな宣伝文句にだまされるな、意味のない流行に迎合するなって、しつこくしつこくクドクドと老婆心ながら繰り返さざるをえないのである。

2024年5月11日土曜日

聖地巡礼“ハトリーズを愛でる会” 妄想タックルボックス

 バス用トップウォータープラグの製作で、我々バスブーム直撃世代に種々の影響やら想い出やらを与えてくれた羽鳥静夫さんが2019年の秋にお亡くなりになり、ワシ追悼の意味も込めてカクーンでシーバス釣らせてもらったりした。

 その時分に、働いてた頃の職場の先輩達2人と、ナマジも紀伊半島に居ることだし、七色あたりに羽鳥さんの産みだしたプラグ持ってって「ハトリーズを愛でる会」という名の釣り合宿をしよう。時期は来年新緑の頃が気持ち良いんじゃないって話してた。しかし2019年の冬といえばあれである、そう”COVID-19”こと新型コロナウイルスが流行してしまい、気色の悪い、日本語としても違和感のある”自粛要請”の嵐の中で、その計画は「コロナが落ち着いたらな」ということで、一旦流れてしまっていた。

 「●●が落ち着いたらな」なんていうのは世間では行かないフラグでしかなく、「行けたら行く」ていどの信憑性だけど、釣りの世界では皆行きたいばっかりなので、無理筋でもなんとかして行くんである。我々もボチボチ落ち着いてた去年は都合がつかなかったけど、今年万難排してバスマン憧れの聖地池原七色なんてのもある紀伊半島(こっち来てバス一回しか釣ってないけどな)のわが家を合宿場として、七色ダムなんかも行ってしまおう、アジも釣って食ってしまおう、ネコと遊んでしまおう、という並々ならぬ意気込みで”GW明け決行”とあいなったのであります。

 ちゅうわけで、久しぶりにワチャワチャとバス用の道具引っ張り出してきたりしてると、妄想も膨らみまくりで箱1つに納めたいんだけど、収まるわけもなく、プラグと金モノだけで冒頭写真の様に3つ、これに一応魚釣れないと寂しいしなとワームも用意してとエラいことになっている。”フラデバ”も、とか手が伸び始めるのを自重するにはかなりの意思力を要した。竿を2本に絞ったのは我ながらエラいけど、正直釣り部屋ごと持っていきたいぐらいだった。

 まあ部屋ごと移動ちゅうわけにもいかんので、頑張って選抜してみた。とりあえず以前バス釣り行くならという妄想で用意していた黄色のダイワ箱をベースにハトリーズ増し増しで1箱。入りきらなかったハトリーズで1箱、その他使ってみたいのや予備で人箱、ワームで一袋という感じになっているので、順にその内容を紹介してみよう。

 まずは、竿とリールだけど、わが家にはハトリーズっぽい竿がない、バルサ50っぽい竿ならルー(ダイコー)の「スピードスティック」があるけど、ハトリーズっぽくはない、このどうでも良いこだわりが分かっていただけるだろうか?唯一スミス「スーパーストライク バトラックスウォーカーBAW-60ML」がスーパーストライクだしな、ということでギリ合格ということにして、リールは丸ABUがあわんグリップなのでABU「MAX」という平べったいのにした。ベイトがそんな感じで2号ファイヤーラインに4号フロロリーダーで運用。メインラインがPEなのは巻きモノには今一だけど、テキサスとトップには都合が良いのでベイトにはそっちを任せることにした。あとクソデカいのが来ても獲る気満々というところをPE2号に見ていただければと。で、スピニングはいつものナイロン2号にこれまたフロロ4号ハリスといういつものシーバスタックルに近い組み合わせで、竿は内房運河で愛用していた、というかその以前には陸っぱりバス釣りで、その一本で何でも投げて釣る竿として長く愛用していたフェンウィック「ランカーギアX LGX66SM-2J」。こいつで、巻きモノ系と小型トップ、軽いワームをやってもらうことにして、リールがまあわが家にスピニングはありすぎて迷うのよね。丸ミッチェルとかも雰囲気あって良いけど、ここはやっぱりワシゃ”PENN使い”だしPENNでいこうということにしてPENN「スピンフィッシャー720z」に決めました。ボールベアリング無しの低速機で一所懸命巻きモノ巻きます。まあシーバス釣ってたので問題無いかと。細かいことを考え始めると「もう一本パワーのあるのが欲しい」とかいらんこと思い始め、そこは底の無い沼でブクブク沈むことになるので非情な意思力を持って割り切る。

 そしてルアーに移ってメインのダイワ箱の上段。ゴチャーっと詰めております。まあハトリーズなんで水面系中心にという感じなんだけど、ワシのガキの頃はハトリーズなんて高級ルアーなかなか買えなくて、当時モノとしてはお腹が見えているブッシュペッカーぐらいで、ハッピーモールは30周年記念モデル。そしてハトリーズで一番好きなペンシルはと言えば樹脂製のカクーンを選んでしまう貧乏なアタイ。でも好きなの。っていうかカクーンでバス釣ってない。シーバスはそれなりに釣ってシーバスルアーとしては非常に優秀だと思っている。横浮きだとフッキングが良い、よね?じゃあオマエはハトリーズでバス釣ってねえんじゃん?と思われるかもだけど、釣ってます。右上の端の方にスーパーミスティーSPが写ってるけど、コイツは関東に居た頃霞水系でクランク巻きまくってた時の主力の一角でもう一角が一緒に入ってるピーナッツⅡ系、ミスティーシリーズはシーバスでも使いまくり。小型トップとしてはこの地のシーバスで一軍登録のリトルダイナマイトにキューティーデビル。リトルダイナマイトにいたっては80UPのランカースズキ様も連れてきてくれた超お気に入りで、バスも釣ってみたいところ。昔は小型ポッパーで今で言う”虫パターン”みたいなことをやるにはタイニーラッキー13を使ってたけど、コイツでもいけるかと。その他ダブルスイッシャーを集めてたときに入手したベイジングスパローも入れたし、なにげにワームヘッドのペコットだかいうのと、わりと得意なバズにしれっとハトバズが入ってるのがネタ枠かな。あとは、聖地に行くならバルサ50も投げておきたいとビッグラッシュウォーカーやら、バス用トップとして大好きだった、レッドペッパーJR、チャグバグ、ヘルレイザーなんてのも入れて、集中力切れたら金物系ダラダラ投げちゃ巻くんだろうなと、ゲイリーバズやバイブラシャフトの小さい方、スピナーにスプーンなんかも入れている。

 ダイワ箱下段は巻きモノ中心。使わなそうだけど昔良い思いしているバドとかTDバイブとかは入れてしまう。ピーナツⅡ系はワシの主力バスルア-なのでいくつか緑と黄色を入れている。あと、ミノーはフラットラップ8、インビンシブル8のツートップでチョイ潜らせるのにシャッドラップ7とスティッキーJr2も入れている。そして、秘密の部分には、フッコスペシャルと自作シンペンの”I字系”をぶち込んでいる。”聖地”七色ダムといったって、要するに人が沢山来るハイプレッシャーなダム湖なわけで、正直トップで何とかなる時間は限られていると思うし、巻きモノも”強め”のは嫌われるかもしれん。かといってテキサスリグでネチネチやってると効率は悪い。ということで、プレッシャーかかりまくりの東京湾のシーバスで実績大の自作I字系を密かに切り札として持ち込む。そんなもんで釣れたら皆I字系使ってる、って思うかもだけど、I字系一時期流行ったみたいだけど、既に廃れてるっていうのは、意外に使いどころが難しいからで、使いどころ分かってないとアピール力小さいので箸にも棒にもかからんのである。でも分かっててハイプレッシャーの湖でバス釣りすることになった神奈川で一緒にシーバス釣ってたKさんが、フッコスペシャルつかったら明らかに効いたと報告してくれているので、なんか流行ってるから投げてみるか?程度の使い手とは自作して育て上げたワシとしては程度が違うと自負している。まあ使わずに済めば楽で良いけど、切る札として持っておく。

 で、まったく収まりきらなかったのでハトリーズ追加箱。カクーンやらリトルダイナマイトの予備から、ラウドラットやらバフィートップやら、ついでにスティッキーはトップの0からわりと潜る3まで、シャッティーと小さめのハスティーもいくつか、ピーナツⅡDRが効くようならハスティーも投入するかな。ミノーにロングAを入れていないんだけど、ラトル有りで動きの良い固定重心ミノーの枠はスティッキー1でいけるかなという算段。リトルダイナマイトとバフィートップはただ巻きで使っても水面直下ヨタヨタと良い動きなので、ノンラトルの水面直下系ってバスルア-ではあんまないよな気がするので、シーバスに効いてバスに効かんって事もないだろうから裏技的に使えるかも。そこまで試してる余裕が果たしてあるかどうか?

 もいっちょオマケ箱は入りきらなかったお楽しみ系とスピナベやらインビンやフラットラップ等主力の予備。

 お楽しみ系としては、色塗り直したウッドのパイキーが試投してみたらグワングワンと大きく動く今時のルアーに無い動きだったので、余裕があったら泳がしてみたいのと、バズでブラッシュポッパーの良い色が中古で手に入ったので投げてみたいとか、仔バスやら渓流魚、ウグイやらも居るのが見えたら釣ってしまうべく、フラッタースティック4やらスプーンやらも入れてある。絞れてねえ~!

 最後、なんぼ聖地巡礼が主目的だとしても、魚を釣ろうとしない魚釣りはワシの中ではあり得ないのでワームも持ち込む。まあダムだとテキサスが基本だろうなとウナギみたいなのストレート系とザリガニ系、そして東北の根魚では定番パルスワームを用意。関東在住時に房総のダム湖ではほとんどの時間ゲーリージャンボグラブを投げていたんだけど、もう酢酸ビニール製とかの分解しないワームは使う気がないのでジャングラは使えない。ジャングラ何が良かったって、見えてる障害物周りをノーシンカーの”グラビンバズ”で狙って、沈めたければアユ玉かまして底取って、とか1つで何でもできる便利さが良かったんだけど、使えないとなると分解性のコンニャク系素材のワームでまともに動くグラブは見たことないので、底取るのと表層障害物周り狙いとを分けてやるんだろうなと、表層はスラッゴー系のを用意した。ウナギ系も表層ウネウネには使えるだろう。東北根魚用とかフロリダ遠征ターポン用とかで買ってあったのが蔵から出て来たので買わずに済んだ。封切らなければ腐ってないはず。マルキューさんなど、古い在庫に”熟成”と銘打って売ってるぐらいで、古くても魚は釣れるはず。

 クッソ、釣りの計画立てて準備してる時ってなんでこんなに楽しいんだろう?

 という感じで、これ書いていた時点ではまだワクワク準備中だったんだけど、記事上げる現時点ではすでに聖地巡礼後で、その時どうなったのか?釣行顛末記も来週末ぐらいには上げる予定なので答合わせ的にお楽しみいただければなと思っちょります。

2024年2月17日土曜日

売るためのとってつけた機能ではなく、釣り場からの要望とかの反映

4200ss~9500ss
 薄々読者の皆様お気づきかもしれませんが、ワシ「PENN」についてはちょっとうるさいよって感じで、このところ4桁スピンフィッシャーを分解整備してたんだけど「そもそも一括りに4桁スピンフィッシャーと言うけれどもニッチャァ」って感じでネットリじっくり書くこと沢山あって、前回あれほどネチクリネチクリと書きまくっても、まだ書き足りない。っていうか書きまくってたら収拾つかなくなって分けて書き残してた分をちょいと整理したのが今回のネタでございます。れいによってこれまでも書いてきたことの繰り返しにもなるだろうし、先週書いたことさえまた書いてるかもしれない。それでも書く。なぜならワシが書きたいから書くのである。熱暴走して頭おかしくなってるのかってぐらい書く。

 

550ss,5500ss,4500ss
 前回チラッと書いたけど4桁5500ssは3桁550ssの直系じゃなくてむしろ3桁450ssの直系であるとか、久しぶりに4桁スピンフィッシャーをいじってて改めて気付いたこともあり、そのへんを整理した感じの内容になる予定で、前回のネタが「4桁スピンフィッシャーの薦め」的な一般的?なモノだったのに対し、今回のネタはPENNに興味の無い人には一切楽しめそうにない重箱の隅をつつくようなネタで、主に3桁から4桁への変遷過程を推理しつつその辺りを行ったり来たりしつつ書いていきます。PENN沼の皆様におかれましてはそこそこ楽しめる内容になると思いますので楽しんでいってくださいね。

 スピンフィッシャーの3桁と4桁の違いというと、3桁は全モデル金属本体で4桁になると5500ss以下が樹脂製本体になるという大雑把な印象が一般的だと思うけど、実は正確ではない。なぜなら3桁にも樹脂製本体のが存在するからである。

5500ss,4500ss,4400ss
 3桁シリーズのうち、最初実は440ssも450ssも左ハンドル専用の金属本体の機種だった。形式は420ssや430ssがそうであったように、インスプール時代のZシリーズをアウトスプール化したような外観。おそらくウォームギア機。しかしこのモデルは短命だったらしく「ミスティックリールパーツ」さんところの写真などで外観の写真しか見たことがなく、オークションでも出てきたのを見たことがない、内部のギア方式とかは不明。ちなみにミスティックリールパーツさんところの450ss、440ssの冒頭写真は左専用の初期型だけど、展開図やパーツリストはその次の左右両用版になっている。この左右両用版になった時点で、なぜか440ssはカーボン樹脂本体、450ssは金属本体と分岐している。この時の2機種の機構が実は4桁4400ss、4500ss、5500ssの元になっていて、ベールアーム側に反転機構を、反対側にベールスプリングを持ってくる構造はここから採用されている。なので、3桁550ssと4桁5500ssとではボディーが金属製から樹脂製に変わったということだけでなく、設計が550ssより後発で改良が加えられた450ssの後期型に寄せられていて、ベールスプリングの巻き数も増えて耐久性も増しているのである。ちなみに3桁から4桁にかけての変化として、ギア方式がスパイラルベベルギアの中心軸をズラしたようなハイポイドギアから、今のスピニングの標準的なギア方式であるハイポイドフェースギアに変わったことを把握している方も多いだろうけど、私の見てきた限り、4桁になっても初期の頃は余ってたハイポイドギアぶち込んでたのか、ハイポイドギアの4桁6500ssとかが存在するのを確認している。

ドングリノブ、樹脂ノブ金ハンドル、樹脂ノブノーマル
 ついでに、4400ss、4500ss、5500ssの初期型はドングリノブが付いてるタイプで、これらはギア比が大きいハイスピードタイプになっている。なぜなら、これら初期4桁中型機も3桁に搭載されていたハイボイドギアを突っ込んでいて、ギア比も5.1:1の3桁後期のギア比を当然ながら踏襲しているからである。その後4桁の当該3機種はドングリノブではない金ハンドルの時代になって、4桁では標準的なギア比4.6:1のハイポイドフェースギア搭載に変更されている。そして黒ハンドルT字樹脂ノブのよく見るハンドルの時代に移行していく(写真はすべて4500ss)。

 おさらいでスピンフィッシャーZシリーズから3桁そして4桁への推移を見ていくと、まず小型機の716z、714zはそのまま金属本体の左巻き専用機で、ギア方式も互換性があるぐらい同じなウォームギアを踏襲して3桁420ss、430ssに引き継がれ、4桁に移行する際に樹脂本体になるとともに内部のギア等を一新、4200ssではハイポイドフェースギア採用で”大森っぽい小型スピニング”に、4300ssはギア方式こそウォームギア方式を踏襲するも、ハンドル軸のギアは小型化され左右両用になって生まれ変わった。ただ両機ともに3桁時代とスプール互換性はあって双方持っているとスペアスプール体制が組めて便利だったりする。

 Zシリーズのその前身というか色違いの”グリーニー”な716、714から4桁まで小型2モデルはずっとワンタッチスプール採用で、惜しむらくは第4世代の”ssg”になるとワンタッチスプールが廃止で小型機についてはスプール互換性がなくなる。ギアは中型も含め4桁と同様の形式のものを踏襲している。

 同じ型番のモデルでも発売年とかで微妙にちがってて、716、714と716z、714z初期が実は単なる色違い程度の違いなんだけど、716Z、714z自体は90年代まで4桁と並行して作られていた超ロングセラー機なので、細々した違いが生じている。古いのはハンドル根元に注油穴が開いていて、本体蓋が金属製。新しいのは注油穴省略で本体蓋も樹脂製に変更されている。
 4200ss、4300ssも細々とした変更が加えられていて、後期型はハンドルが改良されて写真上の上の方の半月型にギザギザが入ったタイプに変更されている。前期型のハンドルノブは掃除がしにくくて回転が悪くなりがちなのでそのあたりの改良だと思う。あと、ワンタッチの爪が金属の三枚羽タイプから後期型は、白い樹脂製の取り替え式の爪を填める方式に変更されていて、金属の爪は折れると主軸ごと交換なので、爪だけ交換方式は経済的で良い。今時のリールでワンタッチ式スプールってほぼ絶滅(ミッチェルブランドの最近?の機種にカートリッジ式があったっけ?)してるけど、素早くスプール交換できてドラグもいじらなくて良いのは実用面で大いに利点だと思うけど、まあ実用面なんて売れるか売れないかにあんま関係ないってのがここまで証明されてしまうと、流行じゃなくて売れそうにない機構はわざわざつけんのだろうな。大型リールで付いてたのはメタロイヤルフィッシングサファリとかのリョービ勢が最後だったけど、リョービも釣り具部門売るハメになったし、ホント良いモノ作ってりゃ売れるってワケじゃない。

712,440ss,4400ss
 中型機に移ると、初期の左巻き専用440ssが712zと同サイズなのかは実物確認してないのでなんともあやしいけど、先ほど書いたように初期版の440ssはZシリーズみたいな形状の左巻き専用の本体なのでその可能性はあると思っている。コイツの中身は不明だけどおそらくウォームギア機で、次にでた後期?440ssは、設計から言ってほぼ4桁4400ss同様の仕様だったようだ。本体樹脂製で712z(写真は712)ではドラグが3階建てだったのが、440ss及び4400ssでは直径の大きな1階建て方式になっているので、おそらくアウトスプール化した初期440ssのときに変更してから踏襲しているのだろう。4400ssより大型の4桁には終盤日本仕様の”ssj”モデルがあって、コイツには元は9500ssにしかなかったラインローラーのボールベアリングが入った。4400ssは途中からギア方式がハイポイドフェースギアに変更されているが、初期のドングリノブ個体にはハイポイドギアが入っていて、440ss後期樹脂本体版と4400ss初期ハイポイドギア版は同一仕様ではなかろうか?っていう感じで意外にズルズルとちょっとずつ微修正加えながら改良されていってるというのが、このことからもうかがえる。ちなみに、3桁に金属本体じゃなく樹脂本体のがあったと書いたけど、ということで440ssの後期型?がそれ。写真ではかすれかかってるけど「GRAPHITE」の印字が読める。叩いて確かめると確かにコッコッて感じの樹脂製の音がする。
 あと細かい話だけど4400ssの時代にスプールの上部の形状が変更されている。旧型は稀にラインがドラグノブの下に巻いてしまうことがあるけど、新型はそうならないようになだらかに傾斜させてある。
 写真左が旧型スプールwith初期4400ss、右が新型スプールwith後期4400ss、440ssgドラグノブを添えて。って感じで第4世代440以上の機種はスプール3桁4桁と互換性があり、当然ドラグノブも互換性あるんだけど、後発の第4世代ssg、ssmのドラグノブは効果あるんだかないんだか防水パッキンが追加されていて、それとは別にドラグノブの止まりが良くなってて緩みにくくちゃんと進化してるので可能な範囲で換装してある。
 ついでに書くと以前書いたように、大型機とかのドラグノブは当初樹脂製だったのが4桁後半にはドラグワッシャー押さえるアタリ面が金属製にアップデートされている。も一つついでに書くなら4400ssとか中型機は逆転防止のラチェットの歯が6(4もあったかも)から8へと増やされていて、途中からドックを留めるEクリップが追加されている。ラチェットの厚みがEクリップ有り無しで違うようで互換性無いので注意が必要。(追加註:最終モデルでラチェットを爪ありドックではさむのではなくダイワっぽく針金パーツで主軸の回転を利用して消音化してる爪無しドック版も存在した様子、互換性有る無しはこの最終モデルとそれ以前かも?) 

 次に、初期450ssと710zが大きさ的に対応しているのかはこれまた怪しいところだけど、700zが550ss、704zが650ss、706zが750ssと一応糸巻き量的にはやや近いので、710の本体形状をそのまま活かして初期450ssは作られたと考えた方が自然かなと思っている。450ssの後期版は440ssとは違って金属製であり、ひょっとしたら後期版440ssと450ssを同じような設計で金属本体と樹脂本体とを作って市場に出して、故障の出方や評判を見て次のシリーズである4桁の設計に生かしたのではないかと愚考する。結果、樹脂製本体は時流でもあり、市場でのユーザーの評価も悪くなく「すぐ壊れる」なんてクレームも上がってこないので「よっしゃ中型機までは樹脂製本体でいいな」という判断になったんだろうと思う。で、設計的には似た感じの440ss並びで樹脂本体化して4500ssになったという流れか。

 でもって、550ssは登場初期から700zをアウトスプール化しただけの設計ではなく、最初から左右両用ハンドルの金属本体モデルで、かつスプールとか共通だけど意外と後継機の5500ssとは設計が違う。5500ssでも途中からギアがハイポイドギアからハイポイドフェースギアに変わってるのもあるけど、写真右が550ssだけどベール反転がベールアーム側にあって、かつベールスプリングもそっちに入ってるので、回転バランスから考えても後期440ss、450ssで始まったベールスプリングがベールアームと反対側にあってベールアーム側には写真左のようにベール反転機構が入ってる5500ssの設計の方が重量分散してて良さげだし、何よりあのウニャァっと伸びてる2回巻きのベールスプリングより、5500ssにも採用された後期450ss、440ss方式の3回巻きスプリングの方が、どのみち1.5倍ぐらいじゃ定期的な交換は避けられないにせよ長持ちはする。ということで、5500ssは550ssの直系というよりは、後期450ssの直系に近いのかなと思っている。550ssをまず発売して、その問題点や左右両用の好評さとか勘案して改良した設計が後発の後期450ssだとも考えられる。樹脂本体という点では後期440ssの設計を5500ssに反映したとも言えるけど、440ssはドラグが1階建てで、4500ss、5500ssはドラグが3階建てになる点で設計上の違いが大きい気がする。というような紆余曲折ありつつも4500ssと5500ssは樹脂製本体、ベール反転機構とスプリングが分散式、ドラグが3階建てと共通の設計思想で、糸巻き量違いの兄弟機だとワシの中では分類している。

8500s,7500ss,6500ss
 で、兄弟機という点では大型機に移って650ss、750ss、850ssは糸巻量違いの兄弟機だとこれまた思っている。アウトスプール化の時におそらく750ssの元になった757をベースに設計されたんだろうと思うけど、とにかく単純丈夫な鋳造アルミ本体の外蹴り機でぶっ壊れるところが少ない。ベールスプリングと意図しないベール返りで壊れるストッパー周りを用意しておけば、遠征先でも困ったことがない。ストッパーはよしんば壊れても予備のカチカチ鳴る方を使えば当座はしのげる。っていう感じでこの3桁3機種はこれはこれで完成形に近く、4桁6500ss、7500ss、8500ssになってもギア方式がローター軸のギアを真鍮製のかさ歯車に斜めに溝を切らにゃならんようなハイポイドギア方式(ハンドル軸は真鍮だったりアルミっぽい素材だったりなんだりかんだり)から、安価で製造しやすいローター側真鍮、ハンドル側真鍮芯亜鉛鋳造のハイポイドフェースギアに順次(最初の頃の4桁にハイポイドギアが入ってることがある。ギアはセットでなら互換性あり)換えたぐらいでほぼ一緒、最後の方でssjにはラインローラーにベアリングが入ったけど、まあこのクラスのマグロとかが掛かる可能性があるようなサイズのリールには社外品のボールベアリング入りラインローラー入れるのは普通で、ボールベアリング嫌いのワシでも念のため入れちょったぐらいであり、あんまいじる必要もないリールだったわけである。ハンドルピンが曲がるって?それはスピニングリールの使い方を分かってなくて”ゴリ巻き”して壊しているだけであって、ポンピングで竿で稼いだ分だけ巻いてりゃ純正ハンドルでも壊れないって話は証明済み。ついでに書くと7500ssと8500ss(750ssと850ssも)はスプールとそれに伴ってローター周りの大きさ変えただけっぽくて、ギアも共通で本体蓋さえ共通の仕様。っていうのに銘板ハゲ個体の7500ssj用の銘板付きの蓋探していて気がついた。

9500ss
 そして、4桁から投入の超大型機9500ssは最初っからマグロとかドラグ使って走らせまくって獲るための機種として設計されている。どっかの大手メーカーさんがさも新しい技術のように宣伝してた、スプール裏面の広い面積を使ってデッカい直系のドラグパッドを用いる方式を90年代には採用し、尋常じゃない速度で走る魚にラインをくれてやって対応するべく、糸巻き量は30lb340ヤードと新品のスプールに糸巻くとくたびれる大容量。そして最初っからラインローラーはボールベアリング入り。黎明期のジギングで数々の記録がこのリールで打ち立てられたのは必然だったのかと。そういうのを狙って設計されています。

 っていう具合で、4桁スピンフィッシャーには、インスプールの70年代から脈々と引き継がれてきて、PENN社のそしてPENN使い達の知識やら技術やら情熱やら要望やらが詰まって形作られていった究極の実用スピニングだとワシャおもっちょるのさ。

950ssm,430ssg
 第4世代と呼ばれる3桁ssg、ssmシリーズも逆転機構を一方通行のベアリング一個に任せてしまって簡略化し、ギア方式は踏襲、小型モデルを除き引き続きスプール共通な、単純設計で丈夫なスピンフィッシャー直系のシリーズだと思うけど、諸悪の根源”瞬間的逆転防止機構”はPENN社をしても完璧には設計しえず、430ssgは使いやすくて気に入ってるけど、冬の東北に持っていくとグリスの粘度が上がって逆転防止が効かなくなる。とかいうのを何とかしようとすると、結局PENN社でさえ日本の大手と一緒で、やれ防水性がとか、本来水辺で使う道具に入れちゃダメな種類の濡れるとダメな機構を入れたがために面倒くせえことになっていて、VやⅥも使ってみたいけど二の足を踏んでしまうのである。

 

 という感じで、4桁中心に細かいネタをあれこれ突っ込んでみました。この手の”何年式モデル”みたいな話は歴史の長いリールではお馴染みのネタだけど、丸ABUやらミッチェル408、308やらほど我が国では人気がないPENNスピンフィッシャーについて、誰か書いてくれると良いなと思いつつ、ワシぐらいしか書かんか?と諦めて書きました。と言いつつ年代書いてないけどミスティックさんところで調べれば分かるし細かい年数とかは興味ないので無視。ちなみに樹脂製の4桁スピンフィッシャーにはデカールの下とかどっかに製造年が刻印されてたりするけど、本体パーツを作った製造年でしかなく同じ本体で中身の仕様がヘタするとギアごと変わってたりするのは書いたとおりであり、あんまアテにならんと思ってます。でもって全体的な設計変更や新機種投入の経緯を見ていくと、タイトルに書いたとおり、往年のPENN社は売るためのギミックぶち込んで新製品をドーン!っていうのはあんまりやらなくて、故障対応なり要望なりを受けてだと思うけど、チョコチョコとしたマイナーチェンジでの対応が多くて、新製品出すときも事前に前のモデルの後期型とかで試した変更を良かったら採用とかいう感じで、いきなりわけわからん機構を実戦導入とかは避けて、仕様を一気に換えてしまうようなことが少ないのが分かる。パーツも古いのがそのまま使えるようになってたりして、その分の金型代やら開発費やらは抑えられていたハズである。機能的に変わらないところでも、新型ではデザインだけ換えて目新しく見せて売るのに全力投球な国内大手とかとは、リール作りの姿勢が全く違っていたといって良いだろう。

 でもまあ、PENNもピュアフィッシング傘下に入って、スピンフィッシャーもⅤやⅥは古い機種と部品互換性とかもあんまりなくなってしまった。でも、Ⅵとかもういじるところあんまり無いなという感じなのか、モデルチェンジしばらくしてなくて、ずいぶんなロングセラーになっている。コロコロ新製品出すのは別のシリーズに任せて、スピンフィッシャーは長く使える基本性能で売るとかなら、ピュアフィッシングさんも分かってらっしゃると評価するけど、実際のところどうなんだろ?

 714zや706zの復刻ものとかもあるので、潜ろうと思えばさらに沼の深くに潜っていくことも可能かもだけど、まあ息がそこまでつづかないので、今宵はこのへんにしとうございます。まあまあスッキリするぐらい書けたかな。

<業務連絡>17日土曜朝現在、お年玉プレゼントの5500ssに応募者無しです。このブログ読んでるような沼の住人はみんな5500ssは余らせてるのか?引き続き募集中です。勝手にチャリティーオークションの方は2台とも入札有りですがこちらも引き続き参加お待ちしてます。

2024年2月10日土曜日

古今東西史上最高の実用機はPENN社4桁スピンフィッシャー

  (当社比)。

  釣り具に求められるものは、必ずしも性能や実用性だけでないことは重々承知で、ややジャジャ馬な丸ミッチェル使いこなす楽しみなんてのも知って、そういう実用面以外も大事だと改めて思うようになったけど、今時のリールが高性能高機能を謳ってるわりには、ぜんぜん道具として実用度が高くなさそうに思うのであえて書く。実用性にこだわるなら、4桁PENNで事足りる。今時のハンドルもたためン、水辺で使うのに浸水したら不具合生じるようなクソリールよりは少なくとも実用性が高いと改めて書いておきたい。

 でもって、今6台の4桁PENNを整備しているところなんだけど、最近ワシもうちょい古い時代のインスプールの714zをシーバスでは主に使ってるし、4桁は青物とか狙うのに4500ssをたまに投入するぐらいで出番作れていないのになぜ6台も整備する必要が出てきたのか?縁というのは実に妙なるもので、当ブログの読者様から「実はペンリールを整理していた所、使わないリールなどが出てきたので是非ナマジさん引き取って頂けないでしょうか?ヤフオクなど出品も面倒でしないので受け取って頂けるとありがたいです。」とのメールがあり、まあワシも好きなほうなのでありがたく頂戴したところ、送られてきたリールたちをみて「しまった、軽くホイホイともらってしまったけど、これはモノが良すぎる!」とちょっと焦った。使い古してボロボロのを何台かもらって使えるように整備してやろうぐらいのつもりでいたけど、1台やや回転重くなってるのがある程度で、特に整備無しで実戦投入しても問題無さそうなのが、スペアスプールも豊富に6台。具体的には5500ss(j)3台、4500ssj、4400ss、440ssで、そんなに値段がつく機種ではないにしても実用機としての根強い需要はあって、1台5千円ぐらいはヤフ○クとかに流しても値が付きそう。銘板ハゲ個体すら一台しかなく状態は良好。

 さすがにこれは申し訳ないと「オクで売るので半額返させてください」等と提案してみるも「ブログ楽しませてもらってるお礼です、老後の資金の足しにでもしてください」とやんわり断られてしまった。ここでご厚意を固辞するのが不粋なのは自明なので、ありがたくいただくことにした。特に、ドングリノブとコーヒーミル型ノブの個体は、PENNのT字ノブは軸がやや太く指の腹が痛くなってくるのであまり得意でないワシには好適で、中型機のコーヒーミル型ハンドルは中古市場でも弾数少なく貴重なので実用面でありがたくもある。

 とはいえ、わしの釣り人人生はこれまでも諸先輩方や仲間にいろんなモノを有形無形問わずいただいてきてばかりである。いかがなモノかと思わなくもない。とても素敵なエピソードで何度か紹介したネタだけど、スピルバーグ監督がインタビューで「あなたは既に充分なお金も名誉も得ているのに、なぜまだ映画を撮り続けるのですか?」というクソみたいな問いに「オレはディズニーに神聖な負債があるんだ。だから映画を撮り続けなければならない」と答えていて、いたく感動した。ワシも諸先輩方や、釣りの技術や文化を創造してきた先人達にシャレにならないほどの神聖な負債がある。良くしてもらった本人に返す機会があれば返しても良いんだろうけど、彼らはワシからの見返りなど期待もしていなければ、彼らに受けた恩に報いるだけのものを返す術もぶっちゃけ持ち合わせていないし、遠い先人とかであれば返しようもない。ただ、ワシが負債を返すのを、彼らが若輩者であるワシにしてくれたように、ワシの後輩である若い釣り人やらに返すというのは、神聖な負債の返し方としては上等で真っ当なものであり、そうやって技術だ文化だ精神だというものは引き継がれていくのが正しいのだろうと思う。微力ながらワシもそう思って、釣具屋さんにあんまり騙されすぎないように、こんなブログを書いたりしているし、迷える子羊たちにヒントになるような釣りに関するアレコレを書いたりもしている。釣りの面白さ、楽しさ、苦しさ、難しさをも伝えたいと、丸ボウズくらったり手ひどい失敗したりとかもなるべく包み隠さず釣行顛末記の方には書いている。そういった聖なる負債の返済の一環として、今回、新春お年玉企画として、縁あってわが家に来た4桁PENNのうち、とりあえず確保したい3台を除いた3台を、4桁スピンフィッシャーの良さを知ってもらって、実用度の高いリールっていうのはこういうモノだよってのを実感してもらうために、きっちり整備して読者にプレゼントしてしまおう、というつもりでいたところ、お屠蘇気分を吹っ飛ばす北陸の地震で企画は一旦お蔵入りとした。

 で、まだまだ被災者はインフラの復旧もままならない中ご苦労されているとはいえ、ボランティアの募集も始まったようで、次の段階に移行しつつはあるようだ。ということで、そろそろ良い頃合いかなと蔵から企画を出してきたんだけど、ワシ良いこと思いついた。これ自主的チャリティーオークションにしてしまって、得たお金を能登半島地震関連に募金してしまえば、4桁PENNが欲しい人にリールが渡って、かつ復興の一助にもなる。ワシは整備と出品の手間ぐらいで、元の持ち主の方も悪くない使い方だと思ってくれるだろう。ということでチョイチョイとパーツを組み替えたりしつつ比較的綺麗でかつ、売りやすいラインローラーにボールベアリングが入ってる”ssj”な5500ssjと4500ssjとをヤフオクに出して売上金を全額寄付。残りの一台5500ssは銘板片ハゲ個体なので値段つきにくいし、コイツは読者への遅いお年玉ということで一名様に送料もこっちで持つのでプレゼントしてしまいたい(海外の方は送料高いので無理です)。お年玉の方は使って気に入らなければ売っぱらおうがなにしようがかまわないけど、最初から転売目的は遠慮してください。何釣りに使う予定か等を書いてサイトのホームページ下の方にあるメールアドレスまで「5500ss希望」と明記のうえ、送り先、氏名と電話番号を書いてご連絡ください。着順とメール内容を考慮して、こちらで一名様に発送させていただきます。ヤフオクの方は、商品説明の隅の方に括弧書きで(売り上げは寄付する予定だけど落札者に個別に報告とかするつもりないのでブログ読者以外は気にしないで)との旨書いて出品中です。締め切りは17日(土)の夜ですのでふるってご参加ください。売り上げ寄付した証拠の画面はプリントスクリーンででも保存して後で当ブログでご報告かなと考えております。※プレゼント終了しました。

 というわけで、久しぶりの4桁PENNの全バラしフルメンテ、改めて気がつくことなどもあったので、4桁PENNの宣伝がてら、その設計やら何やらを紹介してみたい。とりあえず4500ssと5500ssは大きさが違うだけで設計等はほぼ共通の兄弟機なので、4500ssjを例にご託を述べてみたい。

 まああれだ、リールの本質は”糸巻き”と言われるぐらいでスプール周りのデキの良さ作りの丁寧さを見てもらえれば、このリールがいかに実用度が高く、戦闘力が高いかご理解いただけるかと。

 ドラグは3階建てでカーボンシートのバッドと、別にどうということはないように見えるかもしれない、ただカーボンのドラグパッドにはインターナショナルやセネターといったトローリングというドラグが重要な釣りでPENN社が培った技術がこめられており、スピニングへの採用に関しては先駆者的な存在でもある。多少調整幅が今時のスピニングより狭い程度で、ドラグの性能自体はPENNに勝てるモノがあるとは到底思えない。トローリングの世界での圧倒的な実績を考えると昨日今日ドラグを付け始めたメーカーのドラグが魚掛けてからの性能でPENNを凌駕することなどありえんぐらいに思っている。そのぐらいPENNのカーボンドラグパッド”HT-100”は信頼性が高い。調整幅がやや狭いけど、だいたいそのリールの大きさで狙う魚に相応のドラグ値あたりにドラグノブ締めていってキュッと締まる前後で決まるようにはなっていて、気に入らなければ緩めるなら一枚テフロンパッドに締めるなら一枚赤ファイバーワッシャーにとかで調整は可能。あと、初期のドラグノブは樹脂製だったけど、途中からドラグワッシャーを押さえる部分は真鍮製になっていて、高速でスプール逆転してドラグが熱くなってドラグノブが溶けることがないように改良されている。ドラグはそのぐらい熱を持つということは知っていると、ペットボトルの水掛けて冷却したりと対策もとれる。

 でもって、ドラグがブッ刺さっている軸は真鍮で太くしてある。これ理屈は良く分からんけどドラグの作動が安定するようには感じていて、アメリールだと60年代製造のシェイクスピア「2062」も既にそうなっていて、干からびてた皮のドラグパッド換えてやったら調整幅、作動の滑らかさ共に文句なしの状態に調整できた。軸が太いのが安定性に寄与するのなら、ボールベアリング噛ませるのも軸?は太くなるわけで安定性の面では役立っているのかもしれないが、何度も書くけど負荷が掛かった”重い”状態で回転して機能するドラグにボールベアリングの軽く回る”低摩擦生”は全く必要ないだろうと思う。ポリアセタールのブッシュでもカマしとけば軽くて安くて充分だろうと思う。アホかと。あと、この真鍮製の軸、実は割れます。といっても割るのにワシぐらいのヘビーユーザーで10年ぐらいかかったけど、当時はすぐにPENNリールジャパンから部品取り寄せ可能で問題生じず、後に「ミスティックリールパーツ(当時のスコッツ)」さんで予備確保しておこうと思ったら実際に割れた5500ss用のは売り切れていて、ハードに使い倒すとやっぱり割れるようなのである。ちなみに4500ssのは在庫あったので確保してある。真鍮の部品が割れるぐらいに海のルアーとかやってると道具は酷使するわけで、ドラグなんて滅多に使わない内水面の釣り中心の場合とは道具の評価基準も自ずと違ってきてあたりまえである。

 ということで、本体は4桁になって樹脂性になってもスプールは丈夫なアルミ製。でも丈夫なアルミ製だとしても真鍮の軸が割れるぐらいにドラグを使うことを想定すると、軸をアルミで直受けすると削れる。なので、ポリアセタールかなんかの黒い樹脂製のスリーブが入れてあるって思ってたけど、今回よく見てみたらスリーブには真鍮製のものもあるようで、いずれにせよ回転部分は直受けせずにスリーブ入れるという丁寧な仕事ぶりなのである。下の写真の右が樹脂スリーブ入りで左が真鍮スリーブ入り。

 スプールエッジの形状も真っ直ぐで端だけちょっと斜めってて、今時のスピニングと機能的にあんま変わらん。この4桁PENNのスプールから、今時の高級スピニングのスプールがなにか進歩して明らかに優れている点ってあるんだろうか?ワシ思いつかないんだけど?かつ、ボールベアリングまで入れてクソ高くなってるとおいそれと替えスプール体制組めんだろって話で、新品で2千円台とかで売ってて替えスプール2個3個と用意していろんな釣りに対応できたりしてた4桁PENNのアメリールらしい質実剛健、実用的で無駄のない造りは”戦闘能力”高いなと思うのである。替えスプールは増やすと如実に効果がある買う価値のあるモノだと思うけど、今時の高級リールのユーザーってちゃんと替えスプール用意してるんだろうか?替えスプールだけで何万とかしてまっせ。

 次にパカッと本体蓋を開けていく。ギアとスプール上下機構(オシュレーション)は普通。どってことない仕様でローター軸のギアは真鍮、ハンドル軸のギアは真鍮の軸を鋳込んだ亜鉛、と真鍮と亜鉛の経済的なハイポイドフェースギア。スプール上下機構もハンドル軸から回転を持ってくる単純な減速式で、今時のみたいにカムがS字になってたりしないので巻き上がりは上下に盛り上がりができる。けどまあ気にするほどでもないかなと思ってる。端が崩れてドバッと出るライントラブルとかは糸巻き量を減らせばどうにかなるし、スプール上下幅と糸巻き幅をキッチリ合わせたければスプール下面に板でも貼って調整してやってもいい。ワシャそこまでやるのは面倒なので、スプール座面のテフロンワッシャーを薄いのに換えて前巻き気味にして使ってたりもするけど、そのままでやや糸巻き量少なめ運用が面倒が無くて良いかなと思ってる。特に尖ったところのない”普通”の安っぽくさえあるギア周りである。ハンドル軸が真鍮でネジ込みハンドルになってるのは丈夫で良いけど、こんな安デキのギアで大丈夫かと、今時の”我が社のギアは特別製で素材からして強度があって”とかやってるのを目にしていると思うかもしれない。でも大丈夫なんである。回転の軽さとか本体の軽さとか気にせず、充分な余裕を持って設計しているんだろうとおもうけど、この4桁PENNのハイポイドフェースギア、ワシいまだギアが逝くまで使い潰した個体はないっていうぐらい長持ちします。超ジュラルミン?鍛造?そんなもんどうでもいいから、充分な分厚さと接触面を確保して設計しておけって話なんだと思う。どうせ魚釣るときには魚が掛からなくってもルアーの重さとかが掛かった状態で巻くんだから、リール空回ししたときにいくら軽く回っても意味ねえっちゅうの。ギア比やらギア方式を効率よい方式に変えるのならいざしらず、空巻きした時に軽くまわる性能が魚かかったときに軽く巻けることに有利に働くとは思えない。マイナスには働かなくとも無視できる程度の差でしかないだろう。例えばシャッターの上げ下ろしの手巻きウィンチとか、ベアリングもクソもないようなキリッキリやかましい代物でも、ギア比が適正ならキリキリ巻いてるとちゃんとシャッター動いてくれる。あれにベアリング入れて空回り時クルックルに仕上げたとしても軽く回せるようになる理屈が無い。油ぎれで重くなってたらさすがにまずいだろうぐらいのことはあるにせよ普通に回ってれば充分で、空回しでクルクル軽く回ることと魚が掛かったときに力強く巻けることにはあんまり関係がない。よっぽど軽い仕掛けやルアーを使う場合は空回しと同じような巻き心地で釣りができるのかもしれないけど、そうなってくると巻きが軽すぎるときに起こりがちな”巻き感度”が悪くなるという不具合も生じてくる感じで、空巻きで軽く滑らかに回ることに実釣上の優位性などほぼ無いと思った方がいいと思う。

 本体樹脂製なんだけど、本体蓋留めているネジはタップネジを樹脂に直接ねじ込んでるんじゃなくて、金属製の雌ネジを填めてあって、分解清掃等メンテナンスを前提として設計されていて好感の持てるところ、スピンフィッシャー第4世代の430ssgは使ってるウチにネジ山潰れてきてリコイルで修復した。

 あと分解清掃で憶えておいた方がイイのがハンドル軸のギアを抜く順番で、本体蓋開けてすぐに抜こうとしても抜けない。なぜならスプール上下用の歯車が主軸と逆転防止のスイッチ用の軸に邪魔されて抜けないから。まずネジ2つでガッチリ止めてある主軸を抜いて、しかる後にハンドル軸のギアを抜くというのがお作法です。

 でお次はローター周りバラしていくんだけど、この個体はラインローラーにベアリングが入っていて、かつ規格品の小さいボールベアリングにあわせたのか、ラインローラーの填まる軸の太さがそれまでと違う新規格になっている。そして、その太さの違うベールワイヤーの軸に銅色のボールベアリング入りラインローラーが填まっているので、社外品のボールベアリング入りラインローラーを組みこんだのではなく、コイツは4500ssの終盤にでた4500ssjなんだろうと思う。ベールワイヤーごと交換してssj化するのも良くやられていたので、その可能性もあるけどとにかく仕様としては4500ssj。これが、つねづねこんな潮かぶりやすいところにボールベアリング入れたらいかん、と言っているのを裏付けるかのように錆が出ている。この位置のボールベアリングの錆を防ぐには毎回塩抜きでパーツクリーナーやCRCに漬ける必要があって、海で釣りする人には一般的な水道水でジャブジャブ洗った程度では塩残ってしまう。だったら錆びないポリアセタール樹脂入りの旧型のラインローラーの方が良いじゃないか、ということなんだけど、シーバスぐらいまでは全くそうだと思う。陸っぱりの青物でもそれで足りる。でも船でシイラカツオ釣りに行ったら、なんかエラいのが掛かってしまった、っていう状況は想定の範囲内である。具体的には10キロ越えるようなマグロ系、メーター軽く越えるようなサワラ系、あるいはカジキ系のような、ある程度重さもありつつ速い魚だと、ラインローラーにベアリングがあった方が安心なんである。ラインローラーの回転に掛かる力(摩擦力≓回転の重さ)は、ラインを引っ張る力と引っ張る早さの2乗に比例するはずで、設定してたドラグ値で速度が落ちていく程度の大きさの魚はいかに速くてもラインローラーの限界を超えることは無い。カツオとか速さは特筆モノだけど、普通2キロとかのドラグを逆転させながら加速していくほどではない、これが重さも速さもある想定外の大物だと、設定したドラグ値を屁ともせず加速していき、速さの2条に比例するが故にある程度の速度に達するとアッサリとローラーの回転を止めるほどの摩擦力が生じてしまい回転が止まり、固定式のラインガイドに成り下がりかつ90度一番角度を付けてラインを曲げている摩擦がキツい部分がローラーの部分なので「バンッ!」と破裂音を残して切れてしまう。んだと思うんだけど、まあ理屈はこれであってるのかどうか知らんけど想定外の速度で走られるとラインローラーで切れるっていうのは現象としてあると思う。なので、マグロやらがでてきそうな海域に船をだすとかの場合は、ラインローラーにベアリングが入ってるのは安全策として機能しえる。元々のラインローラーの回転にかかる力、引っ張る力がボールベアリングが入れば軽くてすむようになり、かなりの状況に対応できるようになるだろう。ということで、ワシは船で沖に出るときは念のためボールベアリングあった方が良いかな、って思って、陸っぱりなら青物狙いであってもマグロなんぞかからん!(とは限らんけどな)と割り切って手入れが面倒じゃないボールベアリング無しの樹脂製スリーブ入りを選択している。まあこの辺は、毎週、毎夜のように行くシーバス用のリールで毎回塩抜きとか面倒だけど、年に2、3回とかのシイラカツオ船ならその時ぐらいは塩抜きするかっていう感じかと。

 ローター周り続いて、ベール反転機構とベールスプリング。

 なんてことはない、3巻きになって、多少耐久性ありそうとはいえ普通のベールスプリング、そして2つのバーツでベールを反す、ベール反転機構。特に変わったものが入ってるわけじゃないけど、特徴としてはベールスプリングがベールワイヤーのお尻側に入っていて、ベール反転機構がベールアーム側に入っているということか、これ5500ssとも4400ssとも共通の設計。って書くと550ssオーナーから嘘つけ、とお叱りをいただきそうだけど、そのへんの話はまた別途まとめてみたいと思っております。5500ssと4500ssはローター周りも含めて共通の設計が多い兄弟機です。でも550ssと450ssは必ずしもそうじゃないのよね。

 で、ローターの下にはストッパー関係が鎮座している。

 ローターの下には当然雨水も入ってくれば、水没させれば塩水も入ってくる、この位置に瞬間的逆転機構を入れているスピニングをこれまで口汚く罵ってきた。アホかと。濡れたら困るんなら大森やカーディナルCとかのように本体内に入れておけよと。でもPENNのこれは何の問題もないと思っている。

 見たら分かると思うけど、真鍮ステンレスアルミと濡れて困るような素材の部品はまったく見えない。下に鎮座しているステンレスボールベアリングへの浸水が”グリスシーリング”で防ぎきれなかった場合、ベアリングが錆びて交換とかになるけど、水没したところで、この部分に塩水かぶったって当座は別にどうともならん。だから別にこのリールにご大層な防水性能なんてのは必要ではない。常々書いているように瞬間的逆転防止機構なんていう、利点がしゃくったときにガチャガチャいわないぐらいしかない、水で濡れると困る機構を水辺で使う道具であるスピニングリールに入れるからアホみたいなリールになってしまうんである。馬鹿くせぇ話である。

 上の写真の手前に見えている真鍮の部品はベール反転の蹴とばしである。樹脂でもいけるだろうけど、そこはPENNしっかり金属にしてある。ただ見ての通りローターブレーキの類いは付いていないので、キャストがぶれると意図しない反転がガッシャーンと起こるときはある。ちょっと適切な場所がないのでマジックテープ貼り付け型のローターブレーキ追加は難しく、やるなら大森式に薄い銅板でも曲げてれいの“簡易ローターブレーキ”を追加するほうが簡単かもだけど、もっと簡単で抜本的な方法として、邪道ではあるけど、ベール反転機構の部品2つを取っ払ってハンドル回ってもベールが返らないので手で返す”マニュアルベール反転機”にしてしまうという処置がある。実際ワシ4500ssはそれで運用している。ワシ、ライン放出の調整は右手人差し指で行ってハンドルでベール返すのも、ライン調整左手でしてそのまま左手でベール反転させるのもどちらもできるので使える外法。まあ、正道はぶれずに真っ直ぐ投げておけば意図しないベール反転は起きないはずで、キャストがきちんとできるように練習しておけって話なんだろう。でも人間たまにミスるもので、良いところでミスるとムカつくので、外法をもってことをしのいでおるしだいであります。

 分解進めていくときにストッパーを外すときにはお作法があって、下の写真の様にドックの金属板の爪でラチェットをはさんだまま2つの部品を一緒に抜いてやらないと外れない。填めるときも同様。で、このストッパーは真鍮でガッチリしてるのでとても丈夫。ドックの爪が経年劣化で割れることがあるので予備部品は確保してあるけど、ラチェットはなかなか壊れない部品で、結局スピニングリールで強度がいるのは、アワせ喰らわしたり、魚が突っ走るのを止めたりというときに逆回転を止めているストッパーと、高速で魚が突っ走ってるときに作動しているドラグ周りであり、それ以外の部分の強度なんてそんなにいらんと思っている。ギアなんて亜鉛と真鍮のハイポイドフェースギアで充分、ボディー剛性?樹脂で結構、剛性とか五月蝿いこと言ってハンドルもゴリ巻きで壊すヤツはスピニングの使い方が分かってないってだけでPENNなら純正品で充分。ゴリ巻きが必要ならそもそも強度が出しにくいスピニングにこだわらずベイト使えって話で、投げるのが難しいっていったって、それをどうにかするのが”釣り人の腕”ってもんだろうと思うし、今時”DC”とか最適なブレーキを制御してくれる機構とかもあるんだろ?ベイトで投げとけって。スピニングはゴリ巻きせずにポンピングで竿で稼いだだけ巻き取る。基本のキだとワシャ思うんじゃけど、磯に乗って記録魚狙うような人除いて大型魚狙いでベイトでキャスティングってなぜか流行らんのよね。

 という感じで、それほど複雑なリールじゃないのでサクサクと分解できる。難しいところも特になく整備性は極めて良いのがPENNの魅力でもある。

 今回樹脂製本体ということで、本体の汚れはCRC吹いてぬぐっておくぐらいにとどめている。パーツクリーナーはそこそこ強力なので、金属本体でも塗装剥げたりはやらかしているので、使う時は注意した方が良さげ。樹脂製本体は塩水でも錆びることがないのは大きな利点。

 ラインローラーのベアリング始め、ボールベアリングは針で突っついてCクリップ外してシーリングが外せるものについてはハズしてパーツクリーナーで洗浄してから、耐塩性重視のマキシマグリスをぶち込んでやる。これで多少は塩に耐えてくれると期待したい。でもまあラインローラーのボールベアリングはマメに塩抜きしないとダメだろうなとは思う。

 組むときは、金属パーツにはグリス盛り盛りでもってやり、ドラグにはPENN純正を盛ってやったので、ドラグもバッチリだろうと思う。

 基本的には、放置でも大丈夫なリールなので、ラインローラーのボールベアリングの塩抜きはマメにしておくべきなんだけど、その他にはドボンと水没させてプクプク内部に海水が入ったとかがなければ、これといって分解整備の必要がないぐらいで、海から帰ってきたらシャワーとかでジャバジャバ洗って乾燥、ハンドルノブの根元、スプール外して主軸の根元への注油、ラインローラーへの注油ぐらいの外回り注油だけで5年、10年と好調に使えると思います。スペアスプールも2個付いて、戦闘能力は充分。これはお買い得でっせ。ベールスプリングは交換必要になるので須山スプリングさんに作ってもらうか自作しましょう。

 5500ssjと5500ssも同様に分解整備。

 ”勝手にチャリティーオークション”用の4500ssj、5500ssj、お年玉読者プレゼント用5500ssもスペアスプールは2個付きです。ただ、プレゼントの5500ssにつけたスプールのウチ1個は純正ではない樹脂製のパッドが入ってます。調整幅は増えた感触だけど耐久性とかはどうなのか使ってないのでぶっちゃけ分からんところ。たまにPENNのドラグパッドをフエルト製に換装してあるのとか目にするけど、PENNのHT-100という信頼性の高いドラグパッドを調整幅増やすため程度の理由でわざわざ交換する意味が分からんなと思っちょりますが、何かワシの思いつかん利点あるのかも。ないのかも。


 ってことで、瞬間的逆転防止機構が搭載される前の4桁スピンフィッシャーって、使ってて問題のない機能、丈夫さ、耐腐食性、メンテナンスのしやすさ、特筆モノのドラグの良さ、モロモロ勘案すると、買ってずっと使える一番面倒のないスピニングだと思うので、まあ評価基準が違えば自ずと答はまた違うんだろうけど、海での釣りが多くて、雨や波飛沫をかぶっても釣りをして、毎回全バラするほどまめじゃないけど、道具いじるのが好きならば、4桁スピンフィッシャーはそんなあなたのためのスピニングです。お年玉希望、オークション参加お待ちしております。

※お詫び:普段からクドクドと同じことを繰り返す芸風ではありますが、今回珍しく風邪ひいて(38度以上の熱が出てたのでインフルやコロナだったかも)熱にうなされつつ書いてたせいか、さらにネチっこく妄執的な書きぶりになっておりますことを伏してお詫びします。健康って大事。


<ご報告>”勝手にチャリティーオークション”無事終了。募金しますというのがオークション参加者の財布の紐を緩める免罪符になったのか、予想より高額で落札いただきました。5500ssjが9,801円、4500ssjが11,001円とスプール2個付きとはいえ相場5~7千円のところ1万円前後まで値が上がり正直「募金するとか書かずにしれっと老後資金の足しにしときゃ良かった」と邪な思いもあったりなかったり。いずれにせよオークション参加者の皆様、落札者様ありがとうございます。2月20日に早速一番手軽なYahoo!基金の「令和5年能登半島地震 緊急支援募金」に20000円+1000円の21000円募金しておきました。売上合計20802円ですが募金が100円単位なので面倒くせえのでワシからもチョイ出してます。ついでに書くと売上金全額ワシの懐に入ってくるわけじゃなく手数料Yahoo!様にもってかれますが、それもワシからの寄付ぐらいのつもりでいかせてもらいました。プリントスクリーンで切り貼りした画像ぐらいナンボでも加工可能ないまどきではありますが、ちゃんと寄付しておりますのでそこは信用いただければと思います。被災された方々の日常が一日も早く戻り復興するようにお祈りします。