2023年3月11日土曜日

コンパック「カプリⅡ」修繕激闘編 金切りバサミとハンドドリルとダイヤモンドヤスリ

  お待たせしました。前回「カプリⅡ」を分解整備してはみたものの、

 ①ハンドル左右交換に必要なスプール上下のクランク”左巻き用”が無い。

 ②ラインローラーが腐蝕して破損、固定用ナットも正しいものが付いてない。

 という、にっちもさっちもなジャンク状態なので、ちょっと頑張って修繕してみることにして、アレコレ道具やら素材やら買ってお気楽に始めてみたら、えらい苦労してしまいました。

 とりあえず、クランク作成の方は単純で簡単だろうということで、まずはそちらから手を付けてみた。まあ薄い金属板を金切りバサミで切って曲げて穴開けりゃ良いだけの簡単なお仕事です。

 こちらはわりと想定どおりに事が運んで上手くいった。右巻用のクランクは厚さ2ミリあったけど、モノタロウオリジナルの金切りバサミの限界が銅板1.5mmまでとなっていたので、薄い分はテフロンワッシャーでも噛ましておけば事足りるので大丈夫だろうと銅板1.5mmを購入、したんだけど1.5mmもある銅板ってステンレスに比べりゃ堅くないにしてもペンチやら簡易な万力で挟んで曲げる程度で思うように曲げられるのか?っていう不安があってさらに曲げやすそうなアルミの1.5mmとついでに厚さ調整が上手く行かなかった場合の保険としてアルミ2mmの板も購入。使わなかった分はスプーンでも作ればいいやと採算度外視でこの時点で落札900円のゴミスピにサンドペペーパーやらテフロンワッシャーやらの小モノもゴチャッと買ったけど6,175円の追加出資。

 ブツが配達されてみると、1.5mmの銅板はこりゃ無理だっていう感じの堅さで早々に諦めて、1.5mmのアルミでとりあえず行ってみる。

 右用のクランクから型をとって、金切りバサミで切る。この金切りバサミ、テコで倍力するタイプなのもあってか1.5mmのアルミであれば問題無く切ることができた。大まかに切り出して、角を取るように形を整えてやって、端が尖ってないようにサンドペーパーで面取りしてやる。

 でもって、右用クランクと曲がりが対称になるようにペンチ2本で挟んでグイグイ曲げてやって、位置決めして釘でアタリをつけてからハンドドリルで穴開けてダイヤモンドヤスリでバリ取り。

 左巻きにするにはまずオシュレーションカムにクランクをネジで固定しておいてから、ハンドル軸ギア関連一式をズポッと刺す、そのときにギアの上の突起にテフロンワッシャー挟みつつクランクの穴を突っ込んでEクリップで固定する。実際填めてみたら、スプールはちゃんと上下して良い線いってるんだけど、ちょっとスプールが下がりすぎるようで、スプールが乗ってる主軸の横棒がローターナットにあたって音がしている。クランクの曲げを大きくして穴と穴の距離を詰めてスプールが上下する位置を上にズラしてやったらちょうど良い感じになった。一番下の写真のようにハンドル回して窓からクランクの仕事ぶりを観察すると、曲げた形でちょうどハンドル軸のギアにアタらないようになってきちんと機能していて気持ち良い。左巻き用クランクの作成については合格点。

 さてややこしいのがラインローラーのほうで、腐蝕してボロボロと崩れ落ちたラインローラーは、都合良くピタッと填まる部品を別のリールから持ってくるか、それができなきゃ”自作”というやや気が重くなるような作業に突っ込まざるをえない。まあ大森製のリールで似たような形式のラインローラーとかで共通のを探してみるかと、「アトラスⅡ」「マイクロセブンDX」「スーパーデラックス730」と調べてみたけどいずれも互換性なさそう。どのみち2台でパーツ共有というのも気持ち悪いので自作するしかないか、と覚悟を決める。

 通常、ラインローラー自体を自作するなら、真鍮を削り出してクロームメッキをかけるのが妥当だろうけど、真鍮削り出し自体はバス用のブラスシンカーで適当な大きさのを利用して、ドリルで穴を必要な大きさに拡張して、外径をベールやらの所定の位置に填まる直径に削るとともに、形状を昔やった”なんちゃってツイストバスター”みたいにドリルで回転かけつつ調整してやればできるけど、メッキは頼むとエラい金がかかるし個人でホイホイとできる技術じゃない。ので削れるのは織り込み済みで削れたら再度形状調整してやるか作り直す方向で、真鍮剥き出しというのは1つの手だろう。ただハゼ釣りチョイ投げ程度の使用なら削れて糸溝できてくるのに何年もかかるだろうから良いんだけど、ルアーでシーバス想定だともうちょっと投げる頻度も掛かる負荷も大きくて、真鍮剥き出しはやや頼りない。

 でもって試してみたいアイデアが1つあった。ジュラコンスリーブの加工である。ジュラコンというのは商品名でポリアセタール樹脂とかいうのの一種らしく樹脂なのに堅い。過去、ラインローラーのボールベアリング代わりに突っ込んだりするのに穴の大きさ調整でハンドドリルのヤスリで削ったけど、異様に堅くて動画とか見ながら何十分もかけて数ミリ穴を拡張したのを憶えている。ベアリングの代わりにラインローラーの軸受け仕事をやらせて全く問題無い耐久性ってそこそこいけるんじゃないの?っていう感触があってポリアセタール樹脂を成形して作ったラインローラーっていう、樹脂は摩擦に弱く削れるという常識の盲点を突く作戦。まあダメで削れたとしても、削れるまでの期間が長ければ”削れたら作れば良い”って話で1シーズンも持ってくれれば次の出番までに新しいのを拵えて換装すれば良いことになる。

 でもって、ジュラコン製でチクワ状の”スペーサー”と銘打って売ってる部品は、それなりに大きさもいろいろあるので適当なのが見つかるだろうと思いつつ、蔵に転がってる”いつか使うだろう”と買ってあったものの大きさを試しに確認してみると、あつらえたように外径はピッタリ。内径は大きいけどなんか詰め物を考えれば良さそうで、これは”ジュラコンで行け”という流れだろうと作業に入る。

 とりあえず、回転式にするので元々填まってたスリーブの長さを参考にジュラコンを金ノコで切って、ハンドドリルのヤスリの棒にティッシュの詰め物をしてガッチリ填めて回転させながら、ダイヤモンドヤスリを押し当ててなんちゃってツイストバスター的な片側にラインが落ちる谷を作る。つもりだったんだけど、これが過去真鍮相手に問題無くできた工程がまったく進んでいかない。かなりの時間回しても、ちょっと溝が掘れかかったかな?ぐらいの進捗状況で全然削れねえんでやんの。逆に言えばラインで削られにくいわけで好ましいわけだけど、成形できないのではどうにもならん。これだけ堅いと刃物もとおらんよなと、思いつつダメ元でためしてみると、ナイフの刃はそれなりに堅いけど入っていくし削って成形できる。摩擦には強いけど切り削りには弱い的な不思議な物性。なのでちまちまとだいたいの形を作ってしまって仕上げだけハンドドリルで回してダイヤモンドヤスリ。

 お次は穴の径が大きいので、ベール側の軸を太らせなければならない。ブラスシンカー削ってスリーブ作るかと思ったけど正直面倒くせぇ。削れない程度の堅さの金属で太らせれば良いだけなら針金巻いておけば良いんじゃないの?と安直に細いステンレス線何種類か試したら割と良い太さのがあったのでグルグルと巻き付けてローラーよりちょいはみ出させて、かつ微妙に太りすぎたようだったのでジュラコンの穴の方にダイヤモンドヤスリ突っ込んでゴシゴシ穴拡張でローラーのスムーズな回転を確保。ドリルで回転させつつ押しつける程度の圧力では削れていかないけど、手で思いっきり押しつけながらだとそこそこヤスリが効くことも判明。

 しかし止めるナットが無いのはいかんともしがたく、規格品では合わないようなので、ついでにこれも針金で行くかと、ベールアームから突き出したネジ山部分に細いステンレス線を巻き付けて最後ペンチでグリグリとねじりあげたら、とりあえず抜けることはなく止まるようにはなったので、ラインが引っかからないように落ちてたケミホタルの廃品利用でキャップを作って填めてエポキシで固定。これでエポキシが固化すればいっちょ上がり。

 って簡単にいったら”激闘編”にはならんのよねこれがって話で、翌朝固化してラインローラーも回ってるのを確認できて「上手いこといったな」とぬか喜びしつつベールを起こしてハンドル回してリターンをカショーンカショーンと何度かやったら、キャップを止めてるエポキシが割れ始めた。エポキシ割れるのぐらいはエポキシをシリコンに変えるとかで対応できるけど、なんで割れるかっていったらラインローラーが抜けずに止まるようになってはいるけどグラグラで軸がベール返る度とかに動くからで、写真一番上みたいにグラグラして斜めってる状態だとラインローラーの隙間が片側で開いてしまいラインが落ちそうな状態になってる。これはよろしくない。

 キッチリとナットで締め上げて、グラつかないようにしないとだけど、ピッタリのナットの確保が難しいから針金で縛ったわけだし、元の持ち主もスカスカのナットを接着剤で固めてたわけで手に入らん。万事窮すか?と思いつつ頭抱えて唸っていると、針金をネジ山にグルグルして太らせて大きめのナットで填まるヤツを探すってどうだ?と思いついたんだけど、それってそういうネジ穴が舐めきったときの修繕用で”リコイル”っていう手法で、かつそれ用のコイルが以前使ったのが余ってるのではと出してきて、填めてみたら綺麗に填まるんでやがんの。そしてナットはM2.6の規格品がドンピシャで、余ったバネ部分の針金がナットの下からチョロリ出てくるけどそれをニッパで切り取れば、ベールがグラつかないようにしっかり締めることができた。

 ふーっ、これで一件落着ってなれば良かったんだけど、これがそうはいかねんだわ。しっかり締めたら今度はグルグル巻きにした、軸の太さ調整のステンレス線の部分が太ってしまいラインローラー固定されてしまう。あちらを立てればこちらが立たず、帯に短したすきに長し、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、ってなもんで悶絶。

 まーたラインローラーの穴を削るか?って思ったけど、そろそろ谷を作った溝が穴に近づいてちょっとヤバめ。しょうがないステンの針金のもうちょいだけ細いのを買うかと思ったけど、どうせ買うなら厚みの(ということはスペーサーとしての長さも)安定しないグルグル方式の針金を買うのではなくてパイプ買おうそうしよう。ってことでアマゾンでちょうど短めの真鍮パイプの太さ何種類かのセットがあったのでスルリとマウスを滑らせてクリッククリック。1,738円の追加出資。最近読んだマンガに「博打打ちは過去の負け分まで回収しなければいけないとムキになって自滅する」的なことが書かれていたけど、ここまでオゼゼと時間を費やしておいて負けてなるものかとは確かに思う、という相変わらず”損切り”のできないワシであった。

 届いて、太さ確認してみるとちょうど良さげなのが一本あって「負けもここまでよ!」と何が”負け”なのかよく分からんけど安堵する。削れたら作り直しっていうのを想定すると、穴削ってしまってる一個目のに合わせたパイプでは毎回穴削る無駄な作業が出るのでローラーはまたジュラコン切って削って新規に作成。

 真鍮パイプと軸の隙間は固定してしまえば削れるモノでも無いのでナイロンラインでグルグル巻いて埋めてエポキシで固定。チョイと真鍮パイプを長くしてかつ隙間にラインが落ちないようにパイプの長さをヤスリで削って微調整して、リコイル噛ませてナットで締めて固定。ちゃんとローラー滑らかに回ってる。ナットにラインが絡まないようにエポキシ盛ってやる。

 って感じで一晩おいたのがこちらでございます。良い感じじゃん。ベール反転カショーンカショーンってやっても今度はヒビは入ったりせず大丈夫、グリスとオイルで回転もそこそこ滑らか。まあたまに回ってくれれば糸溝掘れにくい程度でラインが一箇所に落ち着いて転がりにくいのがラインローラーのキモだとは思ってる。

 って感じで落札価格900円のゴミスピに多大な労力とそれなりの金額をつっこんで一応仕上がりはしたんだけど、結局釣り具の評価は魚釣らんと分からんってのがあるので、実戦導入してみます。苦労しただけに釣れたら嬉しいと思う。ちょい大きめの360グラム強でサイズ感としてはちょうどダム「クイック220」に似た感じなので、重いリール担当の初代アグリースティック7fと組ませてこの春シーズン超接近戦のN川担当で試してみたい。前回書いたように今期主力はマニュアルピックアップ化した丸ミッチェル「304」で行くことにしているけど、N川専属でこの「カプリⅡ」を試して、あんまり塩梅良くなければ、大森ダイヤモンド「デラックススーパー730」に継投という体制でいざ尋常に勝負勝負!

 最近すっかりPENNの出番がないけど、秋には714z主軸に戻そうかなとか考えてます。って書いておいて、秋になったら針金ベールのリール使ってたりして。まあ、なんにせよ楽しんでみます。

2 件のコメント:

  1. スピニング熱の症状のひとつで
    既存のレギュラーメンバーのリールないがしろにしてしまうってありますね。
    ナマジさんは合併症のロッド追加症出てないからまだマシに見えます。


    兎に角稼働状態おめでとう御座います

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    1. おはようございます
       ロッドは症状出てなくてその点は楽です。
       まあ最近の径の小さいガイドが付いてる竿がまったく自分に向いてないので選択肢が少ないってのもありますが。
       とりあえず早く今回のカプリⅡつかって魚掛けてみたいです。

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