2023年11月11日土曜日

祝!忠さんバイト誕生50周年!!

  それはさておき、阪神タイガース28年ぶりのアレおめでとうございます。ツーテンの虎ファンさんにおかれましては、リーグアレに引き続きベランダでセルフビールかけして寒がりつつ喜んでる姿が目に浮かぶようです。車に乗せてもらうとBGMは「六甲おろし」かボブマーリーだったのが懐かしいです(訂正:28年ぶりじゃなくて38年ぶりでしたスイマセン)。

 28年といえば四半世紀を越えていてたいがいな年月ですが、開高先生が名付け親である「バイト」が有名な常見忠さんが産んだ通称”忠さんスプーン”は、途中シマノ販売もあったりしつつも、忠さんのセントラルフィッシングから、忠さん亡き後は広島のアートフィッシングさんが引き継いでそちらから製造販売されており、なんと今年で誕生50周年だそうである。バイトと同時に誕生したのはレイカー、ダムサイト、ギンザンのあわせて4つだけど、レイカーは途中でマスターアングラー(マスター)に改名、ダムサイトとギンザンは現在販売していないということで”バイト誕生50周年”となってるけど、まあ大雑把に言えば”忠さんスプーン誕生50周年”なわけで、第1次ルアーブームの頃1973年から半世紀にわたり作られつづけている”歴史ある名作ルアー”が日本にもでてきたっていうのは、それだけで意義深いものがあると思う。国内で同一ブランドでこれ以上の歴史を刻んでいるルアーって、ヤマシタのタコベイト(初代ゴールデンベイトは1948年の発明)は漁具なのでちょっと毛色がちがうから、他に見当たらないのではなかろうか?次に古いのはなんだろ?タラ用にデッカいのを輸出してたヨーズリの「メタリックサーディン」とかか?まあこれも漁具系か?

 今後50年を越えてきそうな定番ってなにがあるだろ?K-TENN、アスリート、シュガーミノーあたりは堅そう、ジャンルを切り開いた先駆者的なコモモ、ワンダー、ニョロニョロ、クルクルあたりもいくか?意外とストライクキング社ダンスキングの金型買ってピーナッツで始まったピーナッツⅡシリーズは息も長いし次の候補だったりして、ダンスキングから数えたらそろそろいくのか?なんて想像するのも楽しい。

 なんにせよ、忠さんスプーン、我が国のルアーフィッシングの歴史において創世記から脈々と製造され続け愛され続けて50年、おめでとうございます。と言祝がせてもらおう。

 忠さんスプーンを取りあげるのは”ルアー図鑑うすしお味”関係で思いつくだけでもスプーン備蓄状況回と先日のメッキスプーン回と今回で3回目でかつその他にも、あちこちで取りあげてるので、いまさらだけど第58弾は忠さんスプーンでいってみます。めでてぇしな。

 まあ、忠さんスプーンといえば開高先生のアマゾン釣行記「オーパ!」の直撃を受けたナマジ少年としては「バイト」の印象がその時に刷り込まれたわけで、後に就職して首都圏に出てきて、バイク買って渓流ルアーなんかも始めるようになった時に、写真上のバイトの4.8gなんかも繰り出したわけだけど、バイトの4.8gはやや暴れん坊な性格でどちらかというと止水向きで、後に南の島の遠征での小物釣りとかに抜群の働きをするんだけど(あと昼の見えナマズにも効いた)、渓流ではしばらく写真下のリトルマスター2.5gとかリトルバイト3gとかを使ってた。この2つは前回メッキスプーン回でもちょっと触れたけど、一般のスプーンみたいな幅方向の局面がなく、縦方向にS字に曲げてあって、ハスルアーに近いヒラヒラっという感じの動きでなかなかに良い仕事をしてくれてた。なんで普通のスプーンぽい形状にしなかったんだろうって考えると、発売当時、管理マス釣り場用として小型スプーンが流行りつつあったんだけど、後出しでなかなか差別化するような形状のものをデザインしにくいなかでも、同じようなモノを出すのは嫌だったんじゃないかと想像している。

 っていう感じでしばらくは渓流ではコンデックス5g、ハスルアー3.5g、リトルマスター2.5gという布陣だったんだけど、東北時代渓流に狂ってたときにマスターの5gを使い始めたら、これが自分の小渓流というかボサッ川を手返し良く釣り上がっていく釣り方に抜群にハマってくれて、渓流では一時8割9割これを投げていたぐらい信頼して使っていた。小渓流で上流に投げた場合、素早く巻き始めて基本流れに負けない早引きになるけど、その時に重くて”浮かない”スプーンだと下手すると根がかってしまい、かつ重くて分厚いスプーンではワシ好みの動きの軽さや立ち上がりの早さが出せない。そこでマスター5gの出番なわけで、細長く肉薄のボディーはヒラヒラと実にワシ好みの軽い動きで表層近くを確実に泳いでくれて、マスター主戦力でイワナこれでもかというぐらいに釣った。年間尺岩魚23匹とか、小さいのは追ってきても掛からないようにかわしつつ釣ってたので、それだけ尺岩魚釣るのに200匹ぐらいしかかかってないとかいう実績から、その釣れっぷりをご想像いただきたい。イワナなんぞ数釣ろうと思ったら1日20でも30でも釣れたけど、それをやっちゃあなんぼリリースオンリーでも釣り場が荒れておしまいよって話で、数は5匹から10匹以下に抑えて尺を混ぜるってのを目標に当時は釣っておりました。現在マスターはリトルマスター除くと大物用の大きいのしか売ってないようだけど、5gの実力を知らんとは今時の渓流ルアーマンの実力もたいしたことないなと正直思ってる。イワナ釣りなら今でも効くと思う。みんな管釣り用みたいな小っこいスプーンやらアホの一つ覚えのミノーツイッチばかりでは釣れる魚限られてるしそういうルアーにはスレてくる。ある程度大きさがあってスプーン独特のきらめきでアピール力大のマスター5gの使いどころは今でも、というか他人が使ってない今だからこそあると思う。

 ってバイト使ってないんかい?と思う人もいるかもだけど、スプーンの出番が渓流だけだとマス釣りだけだと誰が決めた?って話で、バイトにもめっちゃお世話になりました、っていうか現在進行形でお世話になってます。

 でもまあ、遠征先で小物釣るのに大活躍してくれたのが印象深い。典型が南の島の珊瑚礁の魚たち、定番のカンモンハタとかの小型ハタ系、ヤマブキベラ、ハコベラなんていう美麗なベラの仲間、愛嬌のあるホシゴンベやオグロトラギス、もちろん各種メッキやコトヒキなんかも釣れてきて、陸っぱりでは4.8g、カヤック出すと10gが大活躍してくれた、カヤックではちょっと良い型のイソフエフキなんかも釣れたのも思い出深い。他にも、カザフスタンのヨーロッパオオナマズ釣りで餌のジェリフを釣るのにも4.8gが活躍してくれた。

 そして、バイトが大仕事してくれたのが、香港遠征でドカンと1発目の本命アフリカンクララをバイト13gが連れてきてくれて、その後も10gで追加のアフリカンクララとハロワン(ライギョの仲間)をゲットと、思い出深い釣りになった。

 上の写真の右が13gで左が10gで上の段が歴戦の強者達、この2種が一番動きが良くてバランスの取れたサイズだとワシャ思う。最初に作られたバイトは13gだったそうでナルホドと頷ける。けど、人それぞれに思い入れがあって、それぞれの釣り人にとっての良いサイズってのもあるんだろうとは思う。そのへんのルアーと釣り人の関係、釣り人が魂を込めて投げるに値するルアーとはなんていうのを香港遠征釣行記では熱くるしく語ってたりするので、興味がある人は読んでみてください。

 鱒は釣ってないんかい?と思うかもですが、ちゃんと釣ってます。オホーツクの海のカラフトマス。ってぐらいでバイトはワシ渓流より海とか湖のほうが強い気がしてます(当社比)。

 で、今現在忠さんスプーンにお世話になってるのは、ウグイちゃんメッキ界隈で、ウグイちゃん狙いでスプーン投げてると、結構メッキも食ってきてくれることが分かってきて、コータックが無くなってコンデックス3gとかのごく普通の小型スプーンの役割はとりあえず、手に入りやすいスミス「ピュア」に任せてたんだけど、ちょっと違うタイプのもということで、前述のリトルマスター、リトルバイトも用意していて、弾数揃えるのに中古を買ってたら、なんか普通のバイトの形で小さくしたようなのも売ってて試しに買ってみて使ったら、これがまた良く釣れたのよ。こりゃ「ピュア」の代わりにバイトの小っちゃいので良いなと、追加発注掛けました。普通の小っちゃいバイトもあるみたいだけど、アートフィッシングさんの通販では今売ってなかったので、メッキ良く釣れたのがメッシュバイト3.3gだったこともあり、同型でやや厚い4.2gとともにいくつか発注して愛用しております。

 あえて普通の小っちゃいスプーンは作らなかった忠さんには申し訳ないけど、リトルバイト、リトルマスターはそれはそれで欲しいんだけど、普通のバイトの小さいのも欲しかったので、そのあたりアートフィッシングさんが作ってくれたのはありがたいことです。

 バイトも、表面加工が違うメッシュバイト、DC(ダイヤモンドカット)バイト、シェルバイトとバリエーション増えており、メッシュの表面の何が良いって、塗装がペリッと剥がれにくいのが良いよね、って使ってて感じてます。古くからあるアメルアとかで、原理主義的に古い時代のしか頑なに認めようとしない人もいて、それはそれでそういう楽しみ方もあるんだろうと思うけど、ワシャ釣り道具だもん、魚釣れて良くなってるならそれに越したことはないと思ってる。アメリカ資本になってもラパラは今でもラパラだもん。他にもトローリング用に薄い板でできてるのが用意されていたり(渓流で上流に投げるのも想定されていて鋭い)、忠さんスプーンの範囲を逸脱しないなかでも、工夫をして進化させているのを見ると、正しく良いメーカーさんに引き継いでもらったものだと、安心するところである。

 そのアートフィッシングさんが、忠さんスプーンからちょっと離れて独自色をだした「リバードルフィン」っていうスプーンがあるようだけど、これがなかなかの苦心作で、スプーンって軽く100年以上の歴史があるんだけど、結局、ダーデヴルとオークラとハスルアーのバリエーションから逃れられていないとワシゃ思うんだけど、リバードルフィンは横振りの起点を先端のアイ付近じゃなくてボディーにもってきたという意欲作らしく、スプーン専門に作ってるスプーン屋として気合いを入れて世に問うてるのが感じられて好ましい。羊羹の老舗「虎屋」の社長さんだったかが「伝統というのは革新の連続である」とかどっかに書いてたけど、忠さんの残してくれたものをただ守るだけでなく、そこから進化させ革新的な次のスプーンを作り出そうとしているその意気や良しと、エラそうに思うのである。スプーン自作してみてエラい難しいことを実感してるのでなおさらそう思う。なんか使いどころ考えて試したくなる。100周年記念の頃にはどんな評価を受けどんな進化をしているだろうか?その未来に実り多からんことを祈る。 

 で、冒頭写真に写ってるバイトはなんなのよ?っていうと、アートフィッシングさん、自社の「パッケージ回収キャンペーン」ってのをずっとやっていて、パッケージ10個送ると、好きな商品がもらえます、ってやつなんだけど、今回50周年記念でバイトの特別版が作られてて、上のサンクス50周年版はキャンペーンのみの非売品だったので、パッケージも大事にとっておきがちなワシだけど、ちょっと欲しいなというのと、あとお祝いとお礼かたがた思うことを伝えたいなと手紙を添えて、ゲットしたりました。下の忠さんサイン入りバイトは販売中です。あと「Ken Kaiko」版も売っちょります。と、頼まれてもおらんけど宣伝してみました。

 おそらくだけど、釣り場に行って自社製品のパッケージが捨てられているのを見て、いたたまれん気持ちになったとかの経験からこういうキャンペーンをされているんだと思うけど、そもそもなんで釣り場に来てパッケージを開けてるかね?って話で、前の晩にでもルアーケースなりに入れてすぐに使えるように用意しとけよ、そんな段取り悪いことしてるから魚釣れンのやぞ、って思うと同時に、釣り場にゴミ捨てるようなアホもいるけど、こうやってどうすれば釣り場のゴミを減らすことができるか、考えて実行する人も居るってのはとても救われる話である。単にアートフィッシング社のパッケージがゴミとして捨てられなくなるということだけではなく、そういう活動をしているメーカーがあるぐらいに釣り場にゴミが捨てられているのが問題で、それはとってもみっともないことだと、多くの人には伝わるだろう。まあそれでも伝わらんアホはおるだろうけどな。目ぇ噛んでタヒね。釣り場に来んな。

 まあ、アホは放っておいて、自分の愛するルアーブランドが、そういう素晴らしいメーカーさんに引き継いでもらって、50周年を迎え、実にめでたいなとワシャ嬉しい気持ちなのである。弥栄、弥栄!

2 件のコメント:

  1. スプーンの出番が渓流だけだとマス釣りだけだと誰が決めた?

    これ、本当にそう思います
    おそらく日本人の渓流師かとww

    ニゴイ、ナマズ、サバ、メッキ、
    バスと色々釣れてますし数多くあれば色々な魚に対応出来ます。
    最近困ってるキビレもキビレ主体に追うなら迷う事なくスプーン投入しています
    最近自作に走っておられるみたいですが、本当にいい手だと思いますよ。
    数の暴力に出れますし消耗しやすいですので

    返信削除
    返信
    1. ぬこさん ですよね?おはようございます

       バイトではないけどシイラにも良く効きました。
       40gのトビーが売ってるの見て、シイラに使えるかなと買ったら、店長さん「何に使うんですか?」と売れたの驚いているようで、なんでそんなもん仕入れたんや?と笑ったのを思い出しました。

      削除