2020年5月16日土曜日

アシュラ男爵は語りたい

 帯状疱疹のほうはおかげさまで、痛みやら熱やらは引いてほぼ平常運転なんだけど、顔は水ぶくれが引いた後のかさぶたやら染みやら赤みやら残っていて、帯状疱疹って神経系に沿って帯状にウイルスが広がるのがその名の由来で特徴らしく右顔面上部がエラい有様なのに比して、顔面左は紅顔の美少年とはいかないまでも綺麗なままで、くっきりと線引っ張ったように分かれていて、塗り薬塗るために鏡を見る度に、アシュラ男爵を思い出さずにいられない。
 アシュラ男爵ってご存じかしら?昭和のオッサンなら知ってるだろうけど、知らない若い人は画像検索して欲しい。鬼才天才永井豪大先生原作の「マジンガーZ」に出てくる敵幹部で顔が縦に半分に分かれていて、片方が女性で片方が男性、しゃべるときは両方の声が聞こえてくるという、今考えると2人声優が声を揃えてしゃべらなきゃならないという面倒くせぇキャラクターなんだけど衝撃的に記憶に刷り込まれていて、体半分が雄で半分が雌に分かれた”雌雄モザイク”のクワガタやらチョウチョやらがネットニュースで紹介されていると「アシュラ男爵みたいやな」と昭和のオッサンの多くは感じるはずである。

 こんなん考えつくなんて豪先生の創造力はただ事じゃないなと思ってて、同じマジンガーZの幹部仲間のブロッケン伯爵とかも、敵幹部が男爵とか伯爵とかの貴族階級制なのも今考えるとメチャクチャ荒唐無稽で素晴らしい感性がほとばしりまくってると思うけど、自分の生首抱えてるってのがまたどうやったらこんなの思いつくんだろうなとながらく思ってた。しかし、割と最近になってアシュラ男爵に仏教の三面の鬼神”阿修羅”という元ネタがあったように、ブロッケン伯爵にも元ネタがあって欧州の方に首無しの馬にまたがった首なし騎士”デュラハン”ってのの言い伝えがあってソレがどうも元ネタ臭いと思うようになった。デュラハンの存在は”このすば”とか”亜人ちゃん”とかのアニメで知った。

 今ウィキってデュラハンのこと調べてみたら、今日本でも”アマビエ”が話題になってるけど”凶事を予言する系の怪異”の一種らしい。そうだとすると”このすば”のデュラハンネタは意外に伝承通りで感心した。あんなに馬鹿臭いのに基礎はちゃんとおさえている。
 予言する系の怪異って世界中に伝承があるようで、例えば英国のバンシーとかがそうで「オマエは万死ーに値する!」とか泣き叫ぶそうである。
 嘘です。オヤジギャグの部分は今モノの弾みで書いてしまいました。自分でもなんであんなことを書いてしまったのかと遺憾におもいます。
 日本だと”アマビエ”よりは半人半牛の予言獣”件(くだん)”の方が有名だったはずで、創作物においても出番は多かったはず。最近アニメで知って原作も読んだ”虚構推理”でも件の予言能力?が重要な要素として物語が紡がれている。
 対して、アマビエってアニメ第5期の”ゲゲゲの鬼太郎”では準レギュラーだったけど(おかげでアマビエのイラストとかネットで見るたびに5鬼太郎のアマビエの声が脳内再生される)、それ以外で出てくる作品みたことなくて、最近、写し絵を持ってると疫病退散に御利益有りだとかでネットじゃ話題になってるのをみて、またマイナーな妖怪が注目浴びるもんだなと興味深い。
 アマビエと件の共通点は奇形的な見た目の生き物が現れて凶事を予言してすぐに死ぬ。というところで、アマビエはクチバシの生えた3本の尾を持つ人魚?、件は人頭の牛(逆もあるようだ)という姿で描かれている。
 妖怪でもUFOでも未確認生物でもオカルト全般にいえることだけど、言ってることは荒唐無稽で根も葉もないホラだと即断できたとしても、その背景とかを突っ込んで考えると割と面白いっていうのはあって、そういう楽しみ方をするなら、アマビエやら件やらの凶事を予言する怪異は、凶事の前には前触れがあるっていうことを示しているのかもしれないし、あるいは人は原因不明の凶事を前に、その原因を探るときにあんまり関係ないことでも印象に残っていた珍事を関連づけてしまいがちだということかもしれない。
 前者は例えば、頭部が奇形でクチバシ状で尾ビレが三叉してるような奇形魚が揚がったり牛が人面に見えるような奇形児を産んだりして死ぬような状況が、なんらかの鉱毒とかの汚染によって生じていて、水俣病の前の猫の狂い死にのような禍の先触れとして実際にあったことに尾ひれが付いて伝承化したのかもしれない。
 後者は、大地震の前にはリュウグウノツカイが打ち上がるとか一見すると関係ありそうな気がするけどあんまり関係ない事象を、人間ってなにか理屈が付くと安心するので、印象深い出来事どうしが結びつけられて伝承化されたっていう可能性。

 そういう観点で見ると、今回のコロナ禍って奇形の魚が水揚げされるような先触れはなさそうで、あんまりアマビエ関係ねぇじゃんって思うけど、まあ便乗して小商いしている人とか助かってる人もいるんだろうからイイってことか。
 じゃあどんな怪異が今回のコロナ禍に相応しいのか?ってかんがえると、予言獣系でいこうと思うと、今回の新型コロナウイルスの元の宿主はコウモリ系らしいッテ話だから、中国人は普段から食ってたって先入観を除いて考えると、コウモリが人里に出てくるような状況になって起こる先触れって、なんだろう?って考えててふと気がついたんだけど、コウモリ自体が”不吉な先触れ”っていうのが一番自然だし、考えれば考えるほどしっくりくることに思い当たった。
 コウモリは果物食べるオオコウモリや吸血性、吸蜜性のやらはまた別として、基本昆虫食のものが多くて、夜行性だという点を除くと生態的地位はツバメと似たようなモノのはずである。
 にもかかわらずツバメが昔から農家にとってあからさまに縁起の良い益鳥扱いで愛でられているのに反して、コウモリはそこまで愛されておらず、むしろ不気味な印象をもって語られる場合が多いように感じる。日本では昔は縁起が良いとされていたこともあるようではあるけど近年はそいういう印象は薄い(カステラの福砂屋の商標がコウモリをあしらった意匠なのは蝙蝠の漢字の縁起の良い”福”のつくり繋がりだなとお勉強してて気がついた)。
 実際に捕まえたことがある人間なら知っていると思うけど、キクガシラコウモリとか不細工かもだけどアブラコウモリとか見た目とっても愛らしいにもかかわらずである。コウモリが可愛いとかナマジの謎感性で一般的じゃないだろとか思った人はシロヘラコウモリ画像とか検索して反省しておくように。
 コウモリが薄気味悪い存在であるという感覚は特に西洋では昔から普遍的にあるようで、イソップ物語でも裏切り者として悪役扱いになっている。
 視覚情報に重きを置いて活動するホモサピ(人間)にとって、夜という観測しづらい時間に活動する生物に対して感じる”得体の知れない不気味さ”だけでは説明しにくいと思うけど、今回のコロナ禍でコウモリに関する情報もいろいろ知るとナルホドと納得せざるを得ない。
 コウモリは各種人畜共通感染症の宿主であり、鳥より哺乳類な分なのかその媒介する種類は多いらしく、かつその生き物が空を飛んでやってくるんである。中国人が野生動物食わないようになったぐらいでコウモリとの接触が避けられるとは思えない。野生動物食の一律の禁止とか全くもってバカバカしいとしかいいようがない。もちろんコウモリの駆除とか説明する必要もない愚挙。
 「空を飛んでどこにでもやってきて人と共通の病気を運びうる存在。」
 そりゃ、害虫食ってくれて見た目が可愛らしくても、人間の潜在意識に恐怖心を植えつけるには充分な存在である。本当は怖いコウモリの真実。
 日本より西洋でコウモリに対する恐怖心が顕著なのは、歴史的にコウモリの運んできた疫病にやられたことがあるとかが関係するんじゃなかろうか?
 今回のコロナ禍に相応しい怪異はコウモリ関係だろうと思って、コウモリ関係の怪異ってなんかいたっけ?と考えるまでもなく怪異の王たる存在である”吸血鬼”が思いつく。
 ワシの物心つくころにはすでに「怪物くん」とか「ドン・ドラキュラ」とかには今現在吸血鬼やヴァンパイヤというとき思い描かれる、黒いマントで牙の生えた口、棺桶で寝る典型的な姿が定着していたけど、おそらくこれは有名なブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」あたりを源流に持つんだろう。ただ、そもそも人の世の生き血をすする鬼的な怪異って世界各地で語り継がれてきただろうし、現代でもチュパカブラとか新種が登場したりしている。
 そういった伝承のうち、串刺し公のヴラド・ツェペシの悪名とルーマニアの吸血鬼伝説とかを借りてブラム・ストーカー先生は小説のネタにしたんだろうけど、人的なモデルの一人が串刺し公だとして、今回コロナ禍関連で怪異ネタを暇つぶしに調べてウィキペディアとか読んで気がついたのは、吸血鬼って病気に対する知識が今よりもなかった時代の疫病への恐怖に形を与えたモノってのが根底に存在するんだなということである。まあこんなことは今更ワシが書かんでも当たり前のようで、ウィキペディア先生も「現在の吸血鬼に対する考え方は古代ルーマニアから続いているものである。古代ルーマニアは古来からの宗教や文化が、キリスト教やスラヴ民族と混ざりあう過程を経験した。異なる宗教と文化における矛盾、外からの人々の流入により新たな疫病が持ち込まれ不可思議な死が増加したことに対する答えとして吸血鬼伝承が生まれたと考えられている。(ウィキペディア「吸血鬼」の項より引用)」って言ってる。
 そう考えると、吸血鬼が十字架やら聖水やらを恐れるのはキリスト教の「いま入信されると吸血鬼対策も万全です」って宣伝由来なんだろうけど、吸血鬼がコウモリやネズミ、あるいは霧に変身してどこにでも侵入するっていうのは、まさにコウモリやネズミが疫病の運び屋となることへの警鐘だろうし、霧になって忍び寄るなんていうのは、今現在進行形で脅威となってるけど目に見えずに飛沫感染するウイルスなんかの性質を本質的に昔の人見抜いて警戒していたんじゃなかろうか?
 ほかにもニンニクが苦手とか、ニンニクの抗菌作用とかが疫病に効くというのを、あるいは滋養豊富なニンニク食って健康でいることが大事というのを経験則で知っていたンじゃないかという気がしてくる。
 日光が苦手とかもろ日光消毒っぽいし、吸血鬼は主の許しがないと家には入れないとか、不特定多数との濃厚接触を避けるべしって戒めかも知れない。
 吸血鬼が流れる水を渡れないって、なんのこっちゃと疑問に思ってたけど、吸血鬼の正体の一つが原因不明の疫病と考えると、なんか出血性の疫病とかでネズミが媒介するとかのがあって、村一つ全滅したけど、川を挟んだ隣の村では被害がなかったとかを見て「吸血鬼は流れる水を渡れんらしいゾ」って昔の人は思ったなんてのがありそうに思う。

 こうやって、暇に任せてネットでグダグダと調べ物してみると、怪異とか妖怪とか呼ばれるモノにも、なにか元になるネタがあったんだろうなってのが見えてきて面白かったっていうのと共に、人は正体不明のモノ、目に見えないモノを極端に恐れて、実態を知ろうとし、分からなければ強引にこじつけたり勝手に名前を付けたりしてでも納得して安心したがる生き物だと痛感した。
 時にそのこじつけやらは間違っているとしても、あるいは意図的に詐欺的に恣意的になされたとしても多くの人はソレを信じて安心することを選ぶ。その最たるモノが”神”だとおそれながら書かせてもらう。
 その神が人を安心させ幸せにするなら人様の信仰に文句を言う筋合いではないし、敬意を払うべきだとも思っている。騙されていたって幸せならそりゃソレでアリだろうって思う、けど、そういう人の”信じたがる心”につけ込んで、アリもしない罪を人に押しつけたり、アリもしない効能を謳って金品だまし取ったり、人を不幸にしているのならそれは許されない蛮行だと思う。
 そういう蛮行が、このコロナ禍の中で繰り返されている。中世の魔女狩りと、感染者の家に石を投げる行為にどれだけの違いがあるというのか?こんな愚かな生き物、オレが神でも、そら定期的に疫病でも流行らせてのさばらんようにする。そのぐらい愚かしい。

 人は真実や論理的に正しいことを信じるってわけじゃないらしい。人は自分にとって都合の良いことを信じると聞く。その楽観性が不都合なことの多いこの世を生きていく処世術なのかもしれないけれど、もう少し賢くなれないのかと、21世紀になって科学技術が発達しても中世とたいして変わらん精神性の我が種族をみて思う。
 こういう世を嘆いた説教臭いことを書くようになると自分が老いたことを痛切に実感する。我ながら爺くせェけど書いちまったモンはしょうがあんめぇ。
 ぼちぼちリハビリで体に負担かからない釣りから始めているので、とっとと調子上げてくっだらえねぇこと考えてる暇ないぐらいの”魚釣り全力疾走”に突入したいものである。

5 件のコメント:

  1. なまじさん、こんばんは。ごぶさたしてます・・(笑)

    ちょっとご相談がありまして、所持してます、青色のマイクロセブンNo.1がハンドルを回転させますと、ある一定の場所で金属の接触音がするんですよ・・(シャリシャリ音)

    それでスプールを少し回転させてみたりすると、音が止んだりして、スプールを全く取ってしまえば当然の如く、無音になります・・

    クランクの下死点で、金属同士が接触してるんでしょうかね・・???

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    1. はしどいさん おはようございます

       青いマイクロセブンNo.1ということはアウトスプールのですよね。ネジ収納を兼ねたバランサー付きのハンドルが独特で良い味ですよね。
       症状を聞く限り仰るとおりクランクが下がったときに接触している気がしますね。
       スプールを外すと無音になるということは当然スプールとどこかが接触しているんじゃないかと思いますが、割とあるのがスプールのスカートの下端とベール支持部の谷間が擦ってるパターンです。
       スカートの下に擦れてピカピカになってる部分がないか確認してあればその部分を削るという手があります。
       あと、ローターが微妙に傾いている可能性もあるので、ローター一回外して再度締め直すっていうのも試した方が良いカモです。
       ラインの巻き具合に影響してきますが、スプール座面のワッシャーを追加してスプールをローターから遠ざけるというのはスプールとローターが擦ってるなら確実性が高いと思います。
       ってぐらいが私の思いつくところですね。

       外出自粛って言われると、釣り具いじりたくなりますよね。私の場合コロナ関係なかったですが、帯状疱疹療養中に大森熱がぶり返して2台分解清掃したのでそのうちまたネタにします。お楽しみに。

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  2. おはようございます。
    早速のご丁寧な回答、ありがとうございます。

    まだ起きたばかりなので、後ほどご指摘の点、確認してみます。
    (ホントはインスプールの201とやらを欲しいのですが、滅多にお目にかかれないので半ば諦め気味ですが、釣れた魚と一緒に写真を写すとホント、写真写りのいいリールなんですよ~笑)

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  3. ナマジさん、こんにちは。

    あれからリールをもう一度注意深く見たら、何と、ベールスプリングの先端がローターの部からはみ出てました・・(^^;

    まずこのマイクロセブンの場合、スプリングの差し込み穴が貫通してるんですね。そして、スプリングは某○山スプリングで製作してもらった物でして、その部分が長めだったんですよ・・

    ですからスプリングを納めてセットすると、それが反対側に飛び出てスプールのスカート付近に触れてたみたいなんです。それでスプリングの先端をグラインダーで軽く削って納めたら、音が止みました!

    色々とアドバイスありがとうございました。助かりました~

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    1. 予想外の原因でしたね。役に立たない助言で面目ないです。
      いずれにせよ無事問題解決できたようで何よりです。
      良い釣りしてください。

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