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| 上段:SS750,SS600、下段キャリアーNo.1,PENN4300SS |
ダイワの小型スピニングでどれが歴代最高の1台かと考えると、まあ人それぞれで色々あるんだろうけど、ワシ基準だと瞬間的逆転防止機構が付いた以降のはまとめて選外で、それ以前で実釣に持ち出して困らない、投げて巻いてが滞りなくドラグがまともなモノが付いていてってなると、自分の使ったことある機種では「ウィスカートーナメントSS600」で間違いないところである。あと、TAKE先生の本とかで紹介されていてよさげに思うのは、「ファントムEX800」と「UL13」で、前者は世界初の”カーボンボディ”を謳った気合いの入った機種のようで、ねじ込みハンドルで大口径の1枚パットのドラグにワンタッチスプール、樹脂スリーブ入りのラインローラーとほぼ文句なしの仕様なんだけど、世間的には全然受けなかったようで後継機もサイズ展開もなく消えていったらしい。良いもの作れば売れるかというとそうでもないっていう典型か?たまに中古で出てても高級機種なので結構お高くて手に取ったことがない。後者は樹脂製ボディーにアルミスプールで、スプール径が大きくて幅が狭いのが特徴のその名の通りウルトラライトな小型機で、米国仕様だったようだけど、たまに国内のネットオークションとかでも目にする。けど、意外に人気なのか試しに入札しても競り負ける。特に凝った機能とかないシンプルな設計だけど、スプール径が大きいとギア比が低めでも大丈夫っていう単純な利点で使い勝手が良く米国では人気があったそうな。これは実用機としてよさげな雰囲気で手に入るなら手に入れたいところ。
で、ウィスカートーナメントSSシリーズの新機軸な点は、テーパーの付いたロングスプールのほかにもあって、ベールスプリングが”折れるのが宿命”のトーション方式から、ほぼ壊れないグルグルコイル方式に変わったというのもあった。特許が切れて各社使えるようになった時期が80年代とかなんとか。ただ600サイズだけは、トーション方式のままでその恩恵を受けていなかった。750サイズだとグルグルコイル式なので、シーバスにはちょうど良いぐらいの大きさだし安いのあったら1台あっても良いなと、使いもしないけど以前から思ってたら、1700円即決でボロめの個体がメル○リに出てたので、思わずマウスが滑ってクリッククリック。クソ夏が一休憩したと思ったら毎日毎日毎日中途半端に雨が降りくさって、魚がイマイチ釣りきれん。そうなるとワシのマウスも”濡れると滑ります!”の注意書きが必要なぐらいヌルリと滑りやすくなってくる。アタイ病気がにくいッ! で、我が家に来たからには全バラしして整備である。ただ、こいつのワシから見た欠点は設計がややこしい点で。バラし方にお作法というか順番があって、組木細工みたいで面倒くさい。なぜそうなってるかというとたぶん、スプールを長くしたのでその内側?に逆転防止とかの機構を入れて本体内から出したからってのと、ロングスプールに完全平行巻でラインを巻くためのスプール上下機構として、ベイトリールの平行巻機構同様のクロスワインド方式を採用していて、主軸と逆転防止スイッチの軸の他にクロスワインドの軸も入ってるので面倒くさくなってるんだと思う。外蹴り機なのに結構部品数多い。そう、このころのダイワのスピニングはまだ外蹴りだった。外蹴りは単純な設計にできるけどハンドルでベールを返そうとすると手前でガコンと返る感じでイマイチ感触は良くないことが多い。ローターブレーキも付かないのでハンドルがウッドノブでやや重いのもあって、投げてベールアームが回って手前側に来てしまうのもありがち。そうなると右手人差し指でライン放出調整ようとしたらベールワイヤーが邪魔になる。もっと極端になると意図しないベール返りが生じる。大森スピニングが「オートベール」以来とっくに内蹴り式になってたのと好対照か?ただ、ワシ的には左手でライン放出を制御して、そのまま左手でベールを返していたので、外蹴りは苦にはならなかった。あと、軸が細いウッドノブは写真右のPENNの魚雷型ノブみたいで指が痛くならなくて嫌いじゃない。ハンドルノブは人の手の形、癖によって合う合わないがあるので他人の評価を鵜呑みにしない方が良い。まあハンドルノブに限らずだけど。 完全平行巻の純テーパーのロングスプールは、ぶっちゃけラインの放出性も良すぎるぐらいで、ややじゃじゃ馬だったと思う。当時使ってた人の回想として「投げたときドバッとラインが出てしまうトラブルが多かった」とか書かれがちである。でもワシ的には左手でライン放出調整するやり方と相性良かったのもあったのか、特にトラブルが多いとは感じてなかった。渓流で近距離キャスト多用で使ってたので”遠投性能”の恩恵には授かれなかったと思うけど普通に使えてた。ライン少なめに巻くほうなので、それもトラブル防いでたんだと思うけど、まあエラそうに書くなら、ちゃんとライン放出を指で調整してやって、巻くときに糸ふけた状態で巻かないようにしてればトラブルにはならないので、使えないってことは下手くそだってことだろう。遠投性能に振った尖った味付けだけど目指すところが明確で素人用じゃないところは今思うと好感が持てる。ライントラブル防止のために逆テーパーにしてスプールエッジには”ひさし”つけてって、今時のスピニングはずいぶんと使い手を甘やかしてくれるようになったものだ。釣り人口の多くは糸ふけ出さないようにフェザリングしてとかができない初心者なので、悪いことではないにしても、玄人がつかうような高級機種はもうちょっと尖ってても良いようには思う。写真がスプールが一番上に行ったときと下に来たときの比較だけど、結構なロングスプールなのが見てとれると思う。最近の小型スピニングはここまであからさまにロングスプールではない気がするけどどうだろう。最近のは長いというより直径が大きめで”ドデカコンパクト”な感じかと。 で、分解整備だけどコレが大苦戦。まず前述のように構造が複雑でバラすのが面倒くさい。スプールはドラグパッド押さえる一番上のワッシャーが瓶ビールの王冠状で、補強のためだと思うけど耳が下向きに曲げられてるとか、ちょっと形状が変わってるけど3階建てのちゃんとしたドラグが入ってる。ドラグパッドは合成皮革かなにかか?柔らかい材質のもので、スプールの大型化に伴って直径も大きくドラグの性能としては充分なモノになっている。ハンドルは軸の細いウッドノブ付きでワンタッチ横折りたたみのネジ止め方式と、この時代の標準的なもので特に可もなく不可もなくという感じ。ワンタッチ折りたたみのハンドルは重いというのは過去計測して実感したところだけし、ハンドル重いと投げたとき回りがちだけど、SS600はそんなに実釣でトラブルなかったので、まあ小型機の多少の重量増ぐらい気にすんなよってぐらいに思わなくもない。このへん投げ方の癖とかと関連するだろうから人によって評価の分かれるところかも。 で、次にどこから分解していくかと思うと、ここからが組木細工っぽくなっていく。今時のスピニングはスプールが大きいのでローターの中に逆転防止機構やらが入っている。なのでまずローターを外してからでないと本体蓋が空かないというパターンが多いと思う。ただ、当該機種ではスプールが刺さるところがスリーブで太らせてあって、それはドラグの安定した作動に寄与するんだろうけど、こいつが座面とか音出しとかは外せてもスリーブ自体は外れないので、主軸がハマったままローターを先に抜くことができない。 とりあえず別のところからと思うけど、本体蓋の上部を止めているネジはローターの下に隠れていて、ローターが被さった状態では蓋は外れない。外れるところといえば、一番下の四角いお尻の蓋で、とりあえずそれを外すとスプール上下用のクロスワインドのグルグル棒の後端を押さえてるとっ手つきのU字の部品が外れるけど、これを外せばグルグル棒が抜けるとかはない。色々考えて、ローターナットを外して、ローターが主軸から抜けないけどずらせるようになるので、ずらすと本体蓋を留めているタップネジ4本がやっと抜けて、抜けると蓋が開いて、ここでスプール上下のカムと、クロスワインドの爪部品を押さえている押さえの板のネジが外せて主軸が抜けて、主軸のスプールがハマるスリーブに行く手を阻まれていたローターも外れる。 あとは、完全平行巻のためのクロスワインドオシュレーション機構がローター軸のギアから回転取ってるとか、ロングスプール化にともない大きくなったローター内部に逆転防止機構関連が入っていたりするけど、概ね普通に分解していけばよく、そこまで難しくはない。ハンドル軸のギアはアルミ合金っぽいピカピカした素材でベアリングは2個+ローター軸の1個で3個とまだ無意味に増えていない。ただ、このローター内部に逆転防止機構をぶち込んだのは、瞬間的逆転防止機構を入れたときに、こんな浸水しやすいところに濡れると困る機構を入れて問題が生じないわけがなく、後に”防水性能”とかいう水辺で使う道具にあるまじきものが求められるようになる遠因にはなっていく。ちなみに当該機種では別に濡れて困るほどのものは入ってないので、浸水してもさびないように帰ってからメンテで問題ない。PENNの4桁中型機以上も同様にローターの内側に逆転防止関係は搭載されているけどさびない材質の部品使ってるので適宜整備で大丈夫。4300SS以下の小型機や大森スピニングの多くでは逆転防止機構は本体内に収まってて、さらにはABU「カーディナルC4」とかではドラグさえ本体内に収まっていて、なおさらめんどくせえ防水機能とかの追加は必要としない。 でその逆転防止の方式は、ローター軸の回転を使って、爪をラチェットに押しつける方式。ラチェットの上にぐるっと細い針金のバネが巻いてあって、それが拡大写真のように爪の上に出た薄い金属板の隙間にに挟まれる形で、逆回転時には写真左のように爪をローター軸ギア上部に刺さってるラチェットに掛かって止まる。正回転時には爪をラチェットから離す方向に針金が押す。なので、常にバネでラチェットに爪を押し当てている方式のように、それをキャンセルするような機構を設けてカリカリ鳴らないようにしなくても普通にサイレント仕様なんだけど、当時は巻いてるときに音がしないとヤダっていう釣り人も多かったので右端のような音を出すための部品を組み込んであった。まあ不要なので外しておく。ワシはカリカリ鳴るリールもまた乙なモノぐらいに思ってるけど、わざわざ鳴らす必要性までは感じない。隣の釣り人に「カリカリうるせぇ!」って怒られてもいやだしな。
ローター方面にも見所はあって、まずはベールスプリングがグルグルバネ方式で、これでベールスプリングが折れて消耗品扱いという状態からは脱却。まあワシのSS600では細いワイヤー使ってる逆転防止のバネのほうが折れたけどね。改めてSS750のベールスプリングの仕組みを見ると、グルグルバネにちょっと曲がった心棒が突っ込んであるだけで意外に単純なので、どうにかしたら過去のトーションバネ方式のリールをグルグルバネ方式に改造できないか?とか考えたけどスペースの問題で結構難しそうではある。で、次ぎにローターにベールアームとベールワイヤーの端を留めてるのが、ローターが樹脂製なので貫通させておいて裏側でEクリップで留める方式。コレだと厚さが確保しにくい部位にタップネジだけで留めるのでは上手くいきそうにないのを上手に処理していると思う。リョービにも同様の設計のリールが見受けられるけどどっちが元祖だろうか?ちなみにこのリールのネジは基本タップネジだけど逆転防止の爪を留めているネジだけは、下の本体に金属の雌ネジを入れている。逆転防止が一番力がかかる場所なので納得の設計。 で、最後にベールアームとラインローラーなんだけど、やってしまいました。何度も過ちを繰り返すバカ。ラインローラーを留めてるネジを無理矢理回そうとしてねじ切りました。樹脂製ローターとベールアームでそこは錆とは無縁なので油断してしまったってのは言い訳だけど、ラインローラーを留めているのは金属に金属ネジであり、塩噛みして固着してた。これがまたセラミック製のラインローラーも固着していて外せない。ネジは真鍮のようなのでドリルで穴ほじって”リコイル”でどうにかするとしてラインローラーはなんとかして外したいので、チャック付きの小袋に入れてCRC(666)に浸して二晩放置。とりあえずラインローラーを除いて全バラしした状態が写真下で、部品数が多いのは否めない。整備性とか考えるとローターが外しにくいのとかも合わせて弱点ではある。4桁PENNとかと比べるとだいぶ手が掛かる。その分凝った設計で尖った性能の意欲作っていう魅力はあると思う。 で、ラインローラーだけど、結局どうやっても外れてくれそうになく、しかたないのでペンチで挟んで取れたら儲けもんと力入れてパキッと割って外しました。完全に固着していてCRCが浸透した形跡なしで、こりゃダメだとあきらめもつくというもの。まあラインローラーは最終的にはポリアセタールのスリーブから切り出す手もあるのでどうにかなるでしょ。逆にどうにか外れたのがネジの方で、残ってるネジの軸を倍力ペンチで挟んで回したら外れました。なんで軸ひねって外れるのにネジの頭ひねったらねじ切れるかな?と思うけど、まあネジ穴が残ってるので幸いネジはM2.6規格だったので、なんかそのぐらいのネジはあるだろうと思ったらセット売りでオマケ的に付いてきて整備して蔵に寝かしてたダイワ「ロングスプリンターST600B」というのがあって、ラインローラーもネジもそいつから流用できそうでとりあえず片が付きそうだったけど、ネジはまあM2.6のネジ在庫もあるので良いとしてラインローラーをそのリールから徴用すると、1台ラインローラー無しの機体ができてしまい、ワシ的には非常に尻の座りが悪い。ので、ネジは使うとしてラインローラーが余ってる部品在庫から使えるのが出てこないか、大森、PENN関係のラインローラーはそこそこ在庫しているので、あれこれ引っ張り出して試してみたら、PENNの「スピンフィッシャー4200SS・4300SS」のラインローラーがちょっと穴が大きいけど外径的にはちょうど良かった。なので、穴の隙間はテフロン加工のグラスファイバーシートで埋めてやることにして、なんとかかんとかする算段がついた。ついたんだけど、よく見ると固着してたラインローラーがハマってた辺りが腐食して欠けてギザギザになってしまってる。これはラインが挟まりそうで怖いので、ペットボトル切った薄い樹脂板を覆いにして、瞬間接着剤でくっつけて周りをエポキシで覆って角が立たないようにしておいた。これでラインローラーは問題なく機能するだろう。手間掛かって大変だったけど、なんとか稼働機に整備できてうれしい。 グリスぐっちゃりめに塗り塗りしつつ組み直したけど、PCの画面で外すときに順番に撮影していたものを、後ろから逆再生しつつでないととても組み立てられんかった。若い頃はデジカメなんかなかったけど、良くバラして元に戻せたものだと我ながら感心する。整備性は明らかにPENNに軍配があがり、スピンフィッシャー4300SSを選択したことは間違ってはいなかったと今振り返っても思う。思うけど、もしウィスカートーナメントSS600を選んでいたとしても、多少の面倒くささやじゃじゃ馬具合はあったとしても、相棒として良い関係が築けて良い釣りを共にできたのかもしれないとも思う。逆転防止のバネが壊れた時点で釣具屋さん通じてダイワに修理を依頼したときに「部品がもうない」という定型句で修理不可と言われたのがPENNにした大きな要因だったけど、今思うと米国ではその後も前述のように延々とほぼ同型機である「トーナメントSS」が売り続けられていたんだから、部品は米国ダイワにはあったはずで、それを”無い”といいやがったのはダイワの営業の不勉強か新品売るための策略であり、そういうメーカーを相手にしなかったのは正しかったのかもしれない(ダイワもついでにシマノもそのへんのサービスは反省したのか今現在改善されている)。だとしても、ウィスカートーナメントSSシリーズが革命的な名機だったことに間違いはなく、ダイワ史上最強小型スピニングはワシ的にはコレでいい。バスプロショップスに2000年代に売ってたときのレビューが「最新の高級機種があんたに魚をもたらすわけじゃねぇ」とか「コイツは馬車馬のように働くぜ」とか、実釣性能を重視する米国の目の肥えた釣り人達が絶賛してたことからも、その判断は妥当なのかなと思う。唯一対抗馬を上げるなら金属本体の高級機の先駆けとなった「トーナメントEX」シリーズぐらいだろうか?でもワシ的には小型スピニングのドラグとラインローラーにボールベアリングを最初に入れた戦犯扱いなので評価しない。実釣に持ち出すと整備が面倒くさい機種なので、一応ラインも巻いて準備万端に整えたけど、今後は蔵で眠ることになるのかもしれない。それでもワシのところに来て、ラインローラー固着でどうしようもなかった状態から、純正状態ではないにしても曲がりなりにも使える状態に戻せたことは、ワシが死んだときには中古屋に売るんでもなんでもいいのでゴミにしてしまうのは避けてくれと、ケン一に頼んであるので、次に手に取った釣り人に、この革命的名機を引き継ぐことができると思うと心安らかであり満ち足りたこころもちである。













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