2021年12月11日土曜日

ナマジ義体化進行中

 一番大事な釣り道具は己の体、とは良く言われることで、竿が折れようがリールが壊れようが金だしゃ代わりは買えるんだけど(たまに代えがきかないぐらいに釣り人と深く繋がってしまう釣り具もあるようだが) 、自分の体は、さすがにまだ買い換えできるような医療技術を21世紀初頭現在のホモサピエンスは持ち得るに至っていない。IPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った膝関節の軟骨組織移植による治療の治験が始まったとか聞くので、そのうち我々は古くなった膝関節をそっくり新品に入れ替えるような医療技術の恩恵に与ることができるようになるのかもしれない。

 とはいえ、それを待ってはいられないのが”腕で釣らずに足で釣る”を自認する釣り人であるワシの事情。老後足が不自由になることも想定して、それでも釣りができるようにと小物釣りだヘラ釣りだを習得してきてはいて、この紀伊半島でもそれはアジ釣りにハゼ釣り、鮎の毛鉤釣りだので生かせているんだけど、基本ワシはルアーマンで一番情熱を注いできた釣りモノがシーバスともなると、1箇所で魚回ってくるのを粘って待つような戦略とは真逆の、障害物、人工構造物、護岸、岸際、流れの変化、魚が付く場所を絞り込んで近距離戦で短時間一発勝負を繰り返しつつ場所移動して足でチャンスを稼いでいく”近距離特化型”のシーバス野郎なので、足が使えないと商売あがったりである。

 にもかかわらず寄る年波もあるんだろうけど、昔バイクでこけて裏十字靱帯損傷して、いまでも突っ張るとたまにカクンとなるような左足を長年かばって無意識に右足を酷使してしまっていたのか、寒くなってくると右膝がジクジクと痛み出して、作戦を練るときなど、膝の具合を考えてガッチリ川に立ち込みするのは1日だけにして、他の日は護岸の上から釣ったりとか、自分の今ある膝でやれるようにやるというのを考えるしかないとは覚悟している。

 覚悟してるんだけど、条件の良い日が続いたり、読みが外れて「しまった今夜じゃなくて明日の晩だったか!」ってなることなんかもあって、無理を承知で膝を酷使することも正直ある。あるけど良いわきゃないくて、そのあと膝が明らかに消耗した感じになってグジグジと痛みが出たりする。

 これまで膝サポーターはママさんバレーの選手が良くしてるような膝を優しく加圧して締めるような「バンテリン膝サポーター」というのを、川崎にいてジョギングしてた頃から愛用しているんだけど、これは膝暖めつつ締めて膝の痛みとかを緩和する感じで良い製品なんだけど、不安定な石ゴロゴロの河原を歩いてて足がズルッと滑って膝にグニッと変な方向の力がかかるとかは防げるようなものではない。まああんまりガッチリ固めてしまうと骨折時のギプスのように松葉杖が必要になってくるはずで、通常の膝の曲げ伸ばしを確保しつつということならそんなもんだろうなと思ってた。

 ところが、ちょっと気になる膝サポーターがあって、一年納めの大相撲九州場所、全勝優勝を決めた横綱照ノ富士関はワシ勝手に膝痛仲間認定してるんだけど、両膝ガッチリサポーターで固めてあって痛々しいんだけど、その膝でまさに横綱相撲というような力強い取り口で相手の相撲を受け止めて打ち負かしていた。どうも膝の外側と内側から挟むように、金属か樹脂かプレートが入ってて膝をぐらつかないようにガチッと固めつつ、プレートにはジョイントがあって膝の曲げ伸ばしに対応して曲げられるように見える。それこそ昔左膝を怪我したときに利用した医療用のコルセット?は関節が曲げられるようになってたけど、それのスポーツ版みたいなのがあるらしいなと思って、アマ○ン様で探してみると、やっぱり膝痛仲間は世界的にも多いようで、怪しげな安物から、その分野ではトップブランドらしい有名スポーツ選手が使ってるようなヤツまで各種存在する。これはいっちょ試してみるかと高すぎず安すぎずで3千円ぐらいのを購入してみた。

 構造としては、ネオプレン製のサポーターの左右に”関節”付きの板が入ってて、右の写真だとオレンジでお絵かきした位置ぐらいに入ってるんだけど、この板をガッチリ固定する感じで、まずはネオプレンの本体をマジックテープで膝の上下で止めてから、さらにマジックテープの付いたベルトで縛り上げるという構造で、だいたい想像していたとおりの代物で結構しっかりと固定される。

 もちろんしっかり固定されると、膝の自由度はある程度阻害されて、深くは膝を曲げることができなくなるけど、まあそういう目的のものなので自由度を上げれば膝を守れず、膝の守りを固めるならば膝関節はある程度固まってしまうというのは仕方がないことだろう。

 でもって、実際にサポーター装着して先日の雨のシーバス3連戦のうち立ち込んだ2日は装着した上でウェーダー履いて立ち込んできたんだけど、まずは自転車が意外に漕ぎにくくて難儀した。自転車ってそんなに膝曲げてない印象があって、サドル高めにしたら大丈夫だろうと思ってたけど、思った以上に膝の曲げ伸ばしはあるのね。曲がりきらずに膝裏にサポーターのベルトがグイグイ押しつけられてちょっと痛かった。仕方なく2日目はややベルトの締めをゆるめにしたら大分改善した。

 肝心の2日川を歩き回っての塩梅はどうかというと、良かったように思うんだけど、完全に膝の痛さから開放されたとか、そんなことはそもそも期待していないけど、明らかに効果ありと断言できるほど明確には違いが分からんかったというのが正直なところ。ただ、不安定な石ゴロゴロしてる川底で足の裏がズルッと滑って膝がグネッとなることはなさそうな安心感のある固められ具合で、それだけでも悪くはない。そして2日川を歩くとだいたいその後にジクジクと痛むんだけど、今回はそれ程は痛くなかったので多分効果あったんだろうな、という感触。今年は川歩くのはおしまいかもだけど、来年も引き続き使ってみて効果を評価していきたい。けどまあ、悪くはないんじゃなかろうかと今のところ思っている。結局、完全に膝の痛みから解放されるような魔法の道具なんてのはあるわきゃない、って話でそう考えると照ノ富士関も膝痛くないわけがなく、横綱土俵入りでせり上がるときに膝しっかり曲がってないぐらいにガッチリ固めてある中で、にもかかわらず取れる相撲を取って勝ってるってことである。立派。ワシも横綱相撲まではとらんでもいいので、騙し騙し川歩いて行くぐらいはやれなきゃ嘘だろと思う。

 IPS細胞で膝関節入れ替える未来もSF的だなと思うけど、膝関節をある種の”機械”で補助するってのも、人体の機械による強化って考えると、攻殻の草薙少佐とかEDENのソフィアみたいな脳以外”全身義体化”のサイボーグまでいかないにしても、かなりSF的だなと思わなくもない。今現在ワシの体は膝サポーター装着時には、膝機能を一部代替し補助する膝サポ約366g、目の機能を補助する眼鏡約21g、歯の機能を補助する詰め物はさすがに測るのは無理だけど多分数g、服も体毛を補助するって考えればそうだし、靴も足を補助してるけど、さすがにそれは人類ともう何世紀もともにあり”義体”っぽくないので勘定に入れないとすると400g弱の”義体”を体に組み込んでおり、約60キロの体重に対して大雑把に0.67%程度の義体化率である。ワシの体はまだ99%以上自前のものであり死ぬまでにどれだけ義体化率が上がっていくのか分からんけど、脳以外を義体化するような未来には21世紀とはいえまだまだ遠いんだなと実感する。

 というわけで、自分の体はいまだ代えの効かない釣り道具であり、大事に使っていかねばなと思うのであった。でもまあ、道具なら使えるウチに使って使い切らなきゃならんとも、これまた思ってしまうのである。

 明日膝が壊れてしまうとしても、今日魚が釣れると己の”ゴーストが囁く”のなら、釣りに行かずにおらりょうか?

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