”釣りで大事なのはハリとイト”っていうのはいつも書いてることだけど、恥ずかしながらワシ8番用のフローティングのフライライン、出番少ないとはいえダラダラと延々と使い続けておったしだいで、今期、近所漁港が”禁漁”のおり、フライでシーバスを課題として久しぶりに連続運用してみて、さすがに滑りが悪くてシリコン系の潤滑剤塗布してもイマイチ効きが悪いし、妙に堅くて絡みやすい感じにもなってる。そろそろ替え時っていう時期はとっくに過ぎてるなと思って、一体このラインいつから使ってるのかと写真(左)で確認してみると、驚くことに1998年のフィルム写真の時代に初の70upのスズキ様ぶら下げて喜んでるそのフライラインが、だいぶ白さが眩しいけど紛れもなく同じラインでひっくり返りそうになった。シーバス釣りはその後ルア-でやるようになって、このラインはたまに遠征の時にフライタックルだと荷物がルアーほどは増えないので小物釣り用に持ってって色んな国で色んな魚釣ったけど、使用頻度は多くなかった。にしても、さすがに新品箱入りデッドストック品であっても20年以上経った”前世紀”のラインは経年劣化が怖くて使えと言われても躊躇する代物。我ながらいかにフライの釣りに対して”インチキ”でいい加減に取り組んできたかというのが浮き彫りとなるかたちでお恥ずかしい。お恥ずかしいけどアタイ見て欲しいの。という露悪癖を発揮して書いてみているところである。
でも、フライラインはラインといっても普通のいわゆる”道糸”とは役割も仕組みも違っていて、フライラインの重さで毛鉤の付いた仕掛けを飛ばすという性質から、道糸であると同時に竿の役割も果たしているとワシャ考えている。犬ぞりとかで使う”ムチ”のような竿が”フライロッドとフライライン”で、その先に徐々に細くなって先っちょまで力が滑らかに伝達するようなった”リーダー”とハリスである”ティペット”と毛鉤が付いた仕掛けが結ばれているという構成。なので、道糸と考えるにはあまりにもフライラインは高額で、普通に30mそこらのが4,5千円はしてくるので、真面目なフライマンでも1シーズンや2シーズンは使い倒すモノだと思うし、消耗激しいにしても、竿だとおもえばそれも納得である。ただ20年は常軌を逸していると我ながら思う。
思ったので、コリャ必要経費だなと買い換えるためにネット通販やらで調べていると、さすがに20年の年月は短くはなく、色々と隔世の感があって驚かされる。まずは、同じメーカーの同じシリーズがあればそれで良いなと思ったらそうはいかずで、20年前に買ったのはサイエンティフィックアングラーズの「シュープリーム2」っていうシリーズのウェイトフォアード(投げるときに使う前の方が太くなってて後ろは細い)8番フローティングだったんだけど、当時は定番だったと思うけどシュープリームシリーズの後継が現在はないようで、通販の「アマゾン」では高番手はマスタリーって言う7千円から1万円以上もするクソ高いのしかサイエンティフィックアングラーズのフライラインは見当たらない。エアセルって言うのが4千円ぐらいで手頃だけど7番ぐらいまでしか売ってなくて、かつ今回、重さのあるシューティングヘッドを細めのランニングラインと接続する”シューティングヘッドシステム”が、カマス釣るときの沈める釣りで使ってて投げやすくて気に入ったので、フローティングのシューティングヘッド(ST)とランニングライン買おうと思ったんだけど、STはエアセルシリーズにはなさそう。っていうかサイエンティフィックアングラーズ自体が、化学製品大手の「3M」社のブランドだったのが、今はフライロッドで有名なオービス傘下のブランドになってるとか知ってワシ完全に浦島太郎。他にワシでも聞いたことあるような定番メーカーで手頃な値段のはないかと調べてみると「エアフロ」とかがそこそこ安いけど、耐久性イマイチだったという話も聞いたことあって手が出ず、20年も経てば物価も上がってるし7千円のマスタリー様でも長持ちするなら良いかもなと、宣伝文句など読んでみると、どうにもワシの嫌いな”高級道具”の臭いがプンプンしてきて嫌になる。なんか小難しい小理屈書いてるけど、高く売るためになんか新しいことやってみましたっていう以上のコトが書いてあるように思えない。普通に投げられて魚釣れれば充分だっての。
特にフライの世界でも”飛距離”は売り文句として絶対のようで、最近は投げ方自体も昔なら片手投げか両手投げかぐらいしかなかったのが、バックスペース少なくて済むスペイキャストぐらいは使いどころあるかなと思ったりしたけど、スカンジナビアだディーだスイッチだシューティングスペイだとわけ分からんことになっている。フライロッドで飛距離?鼻で笑ちゃうぜまったく、そんなに飛距離が欲しけりゃ磯投げ竿でジェット天秤の先にフライ結んで投げとけボケって正直思う。フライロッド振ってて飛距離が欲しい状況って、ナブラが遠いとかであるっちゃあるけど、だいたいナブラは多少飛距離出せても届かんことがほとんどだし、飛距離欲しけりゃルアー投げるし、もっと欲しけりゃ磯投げ竿だし、もっと言えば船出してナブラに寄せてまえだろうと思う。
そもそも魚まともによう釣らんヘッタクソが、飛距離出せるようになったぐらいで魚釣れるようになるわけがない。ワシフライロッド振ってせいぜい20mぐらいしか投げられんけど、申し訳ないけど魚はそれなりに釣る。なぜならフライについてインチキフライレベルの技術しか持ってなくても、”魚釣り”自体の技術と経験はそれなりに積んであって、魚が遠かったら”飛距離出さなきゃ”ってアホの一つ覚えしか思いつかないシロウトとは違って、立ち込んで距離を詰める、静かに待って寄ってくるのを待つ、潮が引いて寄れるのを待つ、移動方向を読んで狙える位置に回ってくるのを待ち伏せる、時合いになって魚が動き始めるのを待つ、”あの葡萄は酸っぱいに違いない”とこだわらずに違う魚を狙う、自分の飛距離で仕事になる釣り場を探す、日を改める、ポッパーとか音の出るフライで寄せる、コマセ効かせて寄せる、足下に寄ってるハクを蹴散らして寄せる、上流側から流れに乗せて届ける、風船でも付けて風に乗せて届ける、カヤック出す、いくらでも思いつくけど、そのうちの現実的な方法は、特殊な飛距離に特化したような歪な道具を持ち出すより効果的で、だからこそ20mしか投げられなくても普通に魚釣るのならそんなには困らないのである。だいたい”釣れる魚”に限って、やる気満々で浅くて近いところに入って来てたりするから、ろくにラインの着水姿勢等を制御できないぐらい遠くに投げるより、近くて良いので警戒されないように近寄り方やら姿勢やらに気をつけながら、丁寧に静かに良い位置に投げた方が釣れると思う。魚との距離が離れれば離れるほど、フライに限らず仕掛けを正確に投げ入れて操作してっていうのが難しくなり、魚が食ってもアワセが長い糸フケやらで決まりにくくなるし、掛けてからも長い距離を寄せてこなきゃならなくなるのでバレるおそれも増える。ヘッタクソの素人の人達には、飛距離出すことを考える前に、まず魚との距離をどう詰めるかを考えろとキツめに説教してあげたいぐらいである。距離詰めるのやってみれば分かるけど難しい技術だよ。時に四つん這いにまでなって頭低くコソコソズルズルと接近していくのとか、ジッと座って魚が警戒心解いてこっちに向かってくるのを待つのって、シュパーっと遠投決めるカッチョ良さには比べるべくもない地味さで、もちろん闇雲に近寄れるわけはなく、どこまでが警戒心を抱かせないかの見切りとかは経験も必要な技術だったりもするけど、それゆえにやる人少なくて効果的だったりする。フライロッド使ってはいるけど、全く投げずに足下に上から毛鉤垂らして釣る”タッピング”っていう技術がワシにもたらした獲物は、古くは雪の中匍匐前進で距離詰めて釣ったユスリカ系にライズしていたイワナから、杭周りに縄張り作ってた九州のオヤニラミ、当地でのボラやグレに50upのチヌまで様々あって、実に良い魚たちをもたらしてくれたものである。っていうぐらいで、投げなくても釣れる時は釣れる。でもある程度投げられるとやっぱりそれは有利で、東京で冬のオイカワ釣り、ライズを繰り返しているのを4.5mぐらいの延べ竿で狙おうとしても10m以内に近づくとライズが止んでしまい食ってこない。これが3・4番フライロッドで10mチョイ投げてやるとほんの数mの違いなのに歴然と警戒される度合いがマシになってちゃんと釣れるのである。そういう、魚の警戒心を解くのとかに必要な飛距離やら、シンキングラインならちゃんと狙った棚を引っ張ってこれるようにキッチリ沈めるために必要な距離を投げる必要やらはあると思う。それは常識的な範囲で投げられたら充分で、ことさら飛距離を五月蠅く言うような必要は全く無いと思っている。そういうチョイと魚の警戒心の外っ側から軽い仕掛けで毛鉤を送り込んでやれるというところに、フライフィッシングの極めて有利な点があると感じている。
なにしろ、ライン自体の重さで投げるので、基本毛鉤は小さく軽くできる。スレた状況で疑似餌が小さければ小さいほど警戒されにくいなんてのはルアーやる人なら憶えが有るんじゃなかろうか?疑似餌自体が小さく軽く、警戒心抱かせないモノにできるのに加えて、飛ばすのに重いオモリじゃなくて、重さが分散しているフライラインの重さで飛ばすという仕掛けも非常に重要だと思っている。ハッキリ言ってフライは食い込みが良い。単に小さい毛鉤を遠くに飛ばすだけならさっきも書いたように、絡まないように天秤仕掛けでハリスに毛鉤結んでブン投げれば良い。実際そういう釣り方もある。ただ、その場合、ハリスが繋がる天秤に重いオモリが付いていて、魚が食ったときにすぐにそのオモリの重さが”引っかかる”はずで違和感感じて吐き出すのは早いと思っている。その点フライラインの場合重さは分散されているので、引っ張っていけば徐々に重さが加算されていくけど、いきなり重いオモリを引っ張らされるコトになる天秤仕掛けに比べれば、その負荷の掛かり方はジワジワとしたものであり、違和感感じて吐き出すまでにかなりの時間が稼げると感じている。
鯛釣りとかに使われた一本釣り仕掛けで”びしま糸”というのがあって、名は体を表すで、道糸に一定間隔で割りビシが打ってある。第一の意図としては、オモリを分散させることで潮の流れが上層と低層で異なる2枚潮とかでも、糸ふけが出にくく素直に道糸が棚に入ってくれるというのがあったんだろうと思うけど、これおそらく食い込みも良いはずである。フライラインと一緒で魚が咥えて引っ張ったときに徐々に重さが増えていくけど、いきなりゴツいオモリを引っ張らされることにはならないので吐き出すまで時間が稼げると思う。っていうのは、いま豆アジ釣りで、極軽いオモリと目印を交互に5つ並べた”タナゴ仕掛け”方式の仕掛けを使っているんだけど、明らかに浮子を立たせるためのオモリを一箇所に打ってある仕掛けより、食い込みが良くて餌を咥えて走ってくれることが多く、分散されたオモリの”びしま糸”方式の威力を感じるからで、加えて、タナゴ仕掛けは全体としてゆっくり沈む浮子が負けてるバランスに調整してあるんだけど、これもまた沈みつつある”浮子”を引っ張ってさらに沈めるのは容易ということから食い込みの良さを助けているようで、長いタナゴ釣りの歴史の中ではぐくまれてきたんだと思うけど、小さい魚が違和感少なく引っ張ってくれてアタリが取りやすいようによく考えられているなと改めて感心するところである。
と、脱線したけどフライラインは買わねばならず、どうしたモノかと色々考えて、結局とりあえず”安物”を試してみることとした。あんまりあやしい安物は強度やら耐久性が不安なんだけど、9番フローティングのシューティングヘッドも約30mのフローティングランニングラインも1200円ぐらいと激安なので、使えたら儲けものぐらいのつもりでネット釣具屋で購入。8番じゃなくて9番にしたのは最近はチョイ重めを買って適当な長さに切り詰めて使うのが主流とか聞いたのでチョイ重めにした。
早速、接続してリーダーもハリスも付けて、古いラインを抜いたリールに巻いてみた。
結果、巻けませんでした。なんでやねんって話だけど、理由は明らかでシューティングヘッドが太い。安いから太いのかシューティングヘッドはもとから短く重く作ってあるから太いのが当たり前なのか、インチキフライマンの知識では分からんけど、とにかくリールに収まらない。太いと空気抵抗増えるし流れの影響も受けやすいしどうなんだろう?と思うけど絡みにくそうなのと浮力がありそうなのは素人向けでいいかもしれん。とはいえリールに入り切らんとどうにもならないので、バッキングをそこそこ太いのを入れていたのを細いPEに換えた。バッキングそこそこ太かったのはある程度リールのスプールを太らせて上に巻くことになるフライラインにキツい巻き癖付かないようにというのもあったハズだけど、今回はランニングラインの最後の方はクルクルになるのを覚悟せねばなるまい。いっそバッキング無しというのも考えたけど、シーバスは何とかなるとしてボラが来たときにはバッキングまで出されることは想定されるのである程度の長さを入れておきたい。あとそれだけでスプールの余裕を稼ぐのには足りなさそうなので、ランニングラインが30mぐらいと長いのを20mに切った。どうせ20mぐらいしか投げられないので、シューティングヘッドが9mちょいあるので半分の15mにしてもヘッドと足せば25mぐらいはあり、ランニングラインを半分2回に分けて使っても良いかと思ったけど、今後キャスティングが上手くなって30mぐらいは投げられるようになると良いなと希望的憶測で半端に切った。まあ安いランニングラインだし良いだろう。
これでやっと、そこそこ余裕持ってフライリールに収まってくれた。あんまりギリギリだとフライリールって平行巻機構が付いてないので片寄ったりしたときに巻けなくなりかねない。で、早速釣り場で投げてみたんだけど、こんなゴン太ラインまともに飛ぶんかしら?と不安だったけど、さすがに20年物の腐りかけのシュープリームよりは滑りも良くて気持ち良く飛んでくれて、シリコンが効いててかつ気合いも入ってた投げ初めは20m前後安定して投げられたと思う。飛距離明らかに伸びてて投げやすい。チョイ重いかなという感じでシューティングヘッドを切りたくなるけど、もうちょっと様子見て切って詰めるかどうかは決めよう。飛距離は出せているので慣れるとちょうど良く感じるのかもしれない。太さによる流れの影響とかはまあこんなもんかという感じで特に困るような差があるわけじゃなさそう。ボカッと浮いてくれるのは水面でフライを引きたいので好都合。
とりあえず、当初の性能的にはまあこんなモンかなという感じで悪くない。これで耐久性が良くて2年ぐらいでも持ってくれれば万々歳である。1シーズン持たずに表面塗装剥げたりしてダメになってしまうようならもうちょっとまともなのに買い換える。ってことで良いんじゃなかろうか。
ボチボチ、セイゴもあんまり活発じゃない季節になって来たけど、キツい濁りと後ろがとれない場所から釣る場合をルア-に任せて、それ以外をフライでシ-バスにちょっと任せて技術的な詰めを、やる気になってる間にできるだけやっておきたい。
※タイトルを当初の「シュープリーム・シュ」から「愛のシュープリーム2」に変更。当初のタイトルは元ネタがマイナーすぎたかなと。
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