2019年2月24日日曜日

やめられないとまらないッ♪ダッイヤモンド♬


 かっぱえびせん風に始まっちょりますけど、今回もスピニングリール熱にうかされての「こんなモンを買った」的しょうもない記事でございます。お目汚しを。
 マニアックなリールネタ、ワシみたいなオタクな人間しか読まんだろうと思ってたけど、もともとこのブログの読者であること自体が相当にマニアックなせいか存外読まれているようで、それならばと遠慮なくスピニングネタ連投させていただく予定。まあ釣り具って魚釣れりゃ良いジャンとも思うけど釣り人ならこだわっちゃう部分だよネということでお楽しみいただければ幸い。写真のリールがなんなのか?は後半あたりに出てくるヨ。



 なんというか、朝起きてネットオークションサイトとかで新着のスピニングリールを確認するのは習慣になってしまっていて、12月ぐらいからかれこれ3ヶ月ぐらい見続けているので、だいぶ目が肥えてきた。
 みていると、案外人気のある機種って限られていて、なんでコレが値段付かないの?ってのが結構あったりする。
 以前書いたようにそういうのでも自分が入札参加すると値段が釣り上がって安くは落札できない。と、羨ましい落札価格を横目で睨みつつ指をくわえていたんだけど、なんか写真写りがイマイチで全然入札されないままのがたまたま目について、ものは試しと入札してみたら開始価格の1500円のまま落札できてしまった。
 人気の大森製作所ダイヤモンドリール「タックルオート」のNo.1サイズである。
 配送されてきたモノは、赤土コマセでも使ってたのか”土汚れ”が付着していたけど、分解清掃したところ機関良好で見た目もそれ程悪くない。
 以前外側ボロッちい個体を500円で落札したオートベールの普及版的なリールだけど、オートベールではワンタッチボタン付きのスプールになるのとベアリングが2個になる程度の違いで、タックルオートは大森ダイヤモンドではお馴染みのハイポイドフェースギアでローター軸のギア直上に歯を掛ける逆転防止機構、真鍮製ブッシュで受けられた硬い鋼製の軸にねじ込むハンドル、樹脂製スリーブ入りラインローラー、折りたたみ収納できるベールワイヤー。という基本機能をそろえた”マイコンシリーズ”以前のダイヤモンドリール標準機という印象のリールである。
 このタックルオートのインスプール版が超人気のコメット、樹脂版がこれも超人気のキャリアーで、タックルオートも大森が一時期値段上がってたときにはだいぶ良い値段してたようなので、今でも状態良い箱入り個体とか2万円近い開始価格のもあったりして、多少見た目アレな個体でも1500円で買えるとは意外だった。
 ハッキリ言って中古市場の値段なんて、リールそのものの価値やらなにやらとはあんまり関係なくて、単に人気があって誰かが使ってるとか、もっとぶっちゃけ値段が高くなっているからありがたがっているっていう泡のような相場で意外に良いリールでも人気なくて安いのはある。
 大森製で今でも異様な値段が付いているのは、コメットGS・G1とキャリアーの一番小さいSSサイズで、他はインスプールのマイクロセブンやウォームギア機のプロラインの小型もそこそこ、オートベールとタックルオートとマイコンのSSサイズもそこそこのお値段だけど、他は普通の多少くたびれた程度の品なら、5千円も出しときゃ買えそうだし、3千円以下の掘り出し物もけっこうある。
 コメットやキャリアーが高止まってるのは、大森が傾きかけて人気が陰りつつあった時代の機種なので弾数がかぎられているのも一因だろう。その逆でロングセラーのオートベールやらタックルオートや高い人気を誇ったマイコンは中古の弾数多いのでよく使われていたNo.1サイズとかは欲しい人間にはあらかた行き渡ってて、当時バス用には小さすぎてそれ程売れなかったと思ってるんだけどSSサイズが、今時の細糸つかったウルトラライトな各種の釣りに応じたリール需要と合致して値を上げてるんじゃないかと中古ダイヤモンドリールアナリスト(経験3ヶ月)としては分析している。
 No.1サイズ、充分小さいし下巻きぶち込めば渓流でも使える、っていうか実際キャリアーのNo.1渓流に使ってたのは以前書いたとおり。PENNで言えば4300ssサイズ、国産リールなら2500番に相当するだろうか?バス釣りにも軽めの塩水系の釣りにも使える汎用性の高い大きさでッセ。
 コメットだのキャリアーだの今更買うんなら、欲しけりゃ買えば良いけど、オートベールだののSSサイズ以外とかを安く買って楽しんだ方が、ダイヤモンドリールの単純でも手を抜いていない良さとかを知るには充分だし楽しいと思うんだけどどうだろう。シーバス用ならNo.2ぐらいが2号(約8ポンド)200mの糸巻き量でちょうど良いサイズか。

 と人様にお薦めするのは、スピニングリール熱が悪化しまくってどうにもならないので、読者の皆様を一人でも多くこの沼に引きずり込んで一緒に沈んで楽しもうという、沈みゆく人間の悪あがきなんである。
 なんせ2月は魚が釣れんかったから、道具いじくってるぐらいしか楽しみがなくって、暇さえあればスピニングリール買って分解して清掃して、クルクル回して「ハ~ッ・・・良いッ!」とかつぶやきながらニマニマしておりましたとさ。

 でもって、もう1000円縛りとかとうの昔に忘れ去って「安くて良いダイヤモンドはないかね」と南アあたりをうろつく宝石商みたいなことを考えながらネットの海をさまよって、またこれがなかなかのブツをゲットしたったですとよ。

 へっへっへ冒頭の写真のとおりリールマニア筋には人気の小型インスプールでっせ。お値段ちょっと張り込んで2200円。また例によって2000円前後の落札価格と読んで2100円まで入れてくる競合者をキッチリ100円差でかわしてハンマープライス!
 上の写真のとおり、れいによって潮カブって放置してました系の表面腐食で左サイド塩吹いてて、機関も不動のジャンク品となってたけど、何度も書くように大森のリールが潮カブって放置したぐらいで使用不能になるわきゃなくて、実に狙い目の美味しい獲物。
 見た目なんてどうでも良いじゃんと、正直思わなくもない。そう思って買ったばかりのアンバサダー5000をリール下にしてコンクリの上に置いてF師匠に「リールの扱い方がなっとらん」とお叱りを受けたりもして、リールは砂埃とか入れば故障の原因だし、そういうことを気をつけてない証拠がリールの傷や汚れなのでリールの外見もなるだけ綺麗に保たねばならんし、道具を大事に扱うのは何事においても基本だと学んでいくんだけど、自分が不注意で腐食させたスプールとかとっても恥ずかしく思うけど、他人が腐食させたり傷付けたりしたのを使う分には平気である。他人にどう見られようが、自分が犯した過ちのせいじゃないのは自分が知ってるので気にならない。オレが赦せるかどうかだけが重要だろ?てなもんである。
 見た目格好いいかどうかは趣味の道具において重要だけど、ピカピカの新品みたいなのがいつでも格好いいかといったらそうでもなくて、古いリールなんてのは経てきた年月に相応のボロさが格好良かったりもするんである。コレクションの価値としては新品箱入り娘が高いんだろうけど、実釣の相棒とすることを考えるなら、ことさらに処女性をもとめる童貞野郎のように未使用とかにこだわる必要などないと思うんだけどね。相棒にするなら相性が大事でそんなもん使ってみなけりゃ分からんって話だろと。中身が大事だろと。
 こいつの名前がまたイカしてて「マイクロ二世301」といって、マイクロセブンの後継機的な位置づけで出したけど、あまり売れなかったのか生産された期間も短そうで弾数少なく知名度も低いようであんまり人気もないようだ。
 いかにも昭和骨董的な雰囲気の大森インスプールの銘板に漢字で「二世」とあるのがなんとも趣がある。メカに漢字っていうのはアニメ「コードギアス」の「紅蓮」のオペレーティングシステムみたいでどうにもオタク心をくすぐる。
 大森製作所にはどうもアニオタいたんじゃないかと疑われる節があって、リールの命名に「タックルファイブ」とか「タックルエース」とかあるのをみると「ボルテスファイブ」とか「ダンガードエース」とか思い出してしまうのはワシだけじゃろうか?もちろん「二世」で思い出すのは「バビル二世」。マイコンは良くわからんけどコメットは「コメットさん」ってアニメじゃないか。ドルオタもいたのか?と疑問に思ってググったら驚愕の事実が発覚、「コメットさん」原作は横山光輝先生やったんや!バビル二世と原作者一緒という原作者繋がりがでてきた。大森製作所には横山ファンがいたのかもという仮説に基づいて横山光輝作品をウィキってみたら冗談のつもりがホントっぽくなってきた。「マイクロ7」の”7”はラッキナンバーでありがちな数字なので「地球ナンバーV7」と関連づけるのはこじつけかもだけど「プロラインNo.101」の”101”を「その名は101」と関係あるとみるのは、他のリールがNo.1とかとなっているのに加え、プロラインがハイポイドフェースギアの得意な大森製作所が高級機種として満を持して放った”遅れてきたウォームギア機”で意外に新しく「その名は101」が「バビル二世」の続編なのと符合しすぎるぐらい符合してくる。ってのは妄想だろうか?当時の大森関係者に誰かその辺聞いてくれないだろうか?まあそんな取材機会があったら他にも技術的なこととかいくらでも聞くことあるだろうけどさ。
 思いっきり脱線したけど分解清掃に話戻すと、左巻き専用機でパカッと蓋を開けると、ギアはいつもの大森ハイポイドフェースギアなんだけど、平行巻機構がギアのある面の空いてる隙間に突き出した出っ張りで上下させる方式。この出っ張りにも真鍮製のスリーブが被せてあって、とにかく回転して摩擦が生じるところにはスリーブかブッシュかワッシャーをというのが徹底されていて、この辺が大森製作所がファンをして”真面目な機械屋”と称され愛される理由だろう。
 もちろんラインローラーにも樹脂製スリーブ入り。
 ここまで大森ダイヤモンドリールを何台か分解清掃してきて、いつも感心させられるのは、ドラグがしっかりしていることで、フェルト製にしてもテフロン製にしても、経年変化による劣化が少なく、グリス塗り直してやれば見事に何の問題もなく使えてしまう。正直、機械部分は人様の説明読んでそうなんだ~と思うぐらいで良く分かってないんだけど、ドラグは単純な機構なのでさすがにライン巻いて引き出してみりゃある程度分かる。
 素材選定において、間違いなく何十年と使う愛用者のことを考えていたとしか思えず、今時の10年そこらで劣化する素材を使ったリールやら、今後も供給されるか定かじゃないというか供給されないだろう、わっけの分からん素材を使ったリールやら作ってる会社は、供給安定していてなんならドラグなんか自作もできるような一般的な比較的安価な素材使って実用性抜群の耐久性もあるリールに仕上げていた大森製作所のリールの、古くなった固まったグリスでも煎じて飲んでおけと説教したくなってくる。イヤーねぇ昭和のオッさっんは説教臭くて。

 ただ、真面目な機械部分については定評あれども、意外にライントラブルが多いとかTAKE先生とかの玄人衆には使用感にダメ出しされてたりもするのがダイヤモンドリールの可愛いところ。
 私などはある程度熟成された後期の製品であるマイコンTBシリーズやキャリアーを使ってたおかげか、そのへんあんまり不満はなくて”普通に使える”としか思ってなかった。
 ただ「二世」となってるぐらいで、このリールは結構そのあたりも改善されているように思う。”一世”のマイクロ7では重量分散でラインローラーと反対側に持ってきたベ-ル反転機構にラインが絡むとかは、その後のプロラインやコメットではカップが深くなって改善されたとTAKE先生解説にあるけどコイツもカップは深め、そしてベールアームのローラー固定しているナットは六角ナットから円錐を2カ所削ったナットに変更、スプールはワンタッチボタンなしのタイプとキッチリ宿題やってきた優等生になってるように見える。あとは実釣でどうなのか試してみたいけど、このリール使うような渓流の釣りに今後いつ行けるのかわからんので、実釣での報告はまたの機会にということで。
 渓流でもメインのリールはどうせPENNだと思うけど、ダイヤモンドリールの地味に良いところはベールが折りたためてコンパクトに収納できるところであり予備機として持っていって使ってやろうと思う。今回紹介した2台も機構は違えど折りたたみ式のベールを備えていて、後期のマイコンとかはベールアームの下のボタンをスライドする方式だったけど、それ以前はベールアームが返ってアタるところの出っ張りを押し込んでベールをたたむ方式になっている。

 とまあ今回、大森ネタでいってみたんだけど、スピニングリール熱こじらせて急性の”大森熱”も発症してしまっているようで、まだ紹介していないダイヤモンドリールが4台もござる。どうすんのよ?
 コレどうすれば治るのか?あるいは不治の病なのか闘病生活はまだまだ続くようなので、次回も大森ネタ連投の予定。
 「使えない大森を2台落札!そしてナマジは途方にくれる!!」にご期待下さい。 

2019年2月17日日曜日

竿林糸巻山


 PENNリールの棚卸しをしたついでに、他のリールもさらについでに竿も棚卸し作業して管理台帳を作ってしまおうという気になって、シコシコと発掘・確認作業を進めて我が家の釣り具の実態がだいぶ明らかになった。
 これまでも一太郎文書にダラッと網羅的に書き出した台帳もどきはあったんだけど、入手したら書くことにしていたけど忘れてるのもあったり、順序が秩序だってなかったりでどのメーカーのがあるいは全体で何個何本あるのかさえよく分からないので、リールはまあPENNだけで40台からあるので100台ぐらい、竿は写真のように部屋の隅に立てかけてあるだけしかないので50本ぐらいかなと漠然と思ってたけど、通し番号振ってメーカー別に強さ順等で並べて、必要度ランクを「殿堂入り」「使用中」「確保」「要検討」「不要」で付けて、主な釣果や特徴も「特記事項」に入れて、今後は入手・放出年月も入れられるように表計算ソフト使って整理した。

 結果、さすがにリール100台も持ってなかった。コレまで釣った魚種が2百数十種で100台なら1魚種釣るのに2台ぐらい使ってる計算(追加註:2魚種ぐらい釣るのに一台使ってるの間違い、バカか)になってバカかっちゅう話でそんなにはない。でも92台もあった。目くそ鼻くそである。
 竿に至っては平成31年2月17日現在121本あった。竿って細いから想像するほど場所取らないのね。

 メーカー別内訳をみていくと、リールはPENNが44台、大森製作所13台、ABU12台、ダイワ8台ほかとなっている。
 なんでPENN増えてるねんッ!!
 思いっきり”スピニングリール熱”再発中で、この2週間でPENN2台増えてまうし、大森も2台増えたうえに今2台入札中というどうしようもない悪化ぶり。
 ネット介して伝染ったんだか元から感染者だったのがぶりかえしたのか発熱した友人も現れてしまい、入札かぶってないか心配になる始末。
 ”スピニングリール熱”この冬大流行の気配で、皆さんくれぐれもお気を付けてご自愛ください。

 スピニングネタはまたおいおい書くとして、今日は台帳ネタで次に竿をみていくと、主なメーカーとしてはなんとフェンウィックがいつの間にやら1位獲得の19本、やっぱりわしダイワ好きなんやナの13本、白滝シリーズ大健闘のタカミヤ11本、スミス10本のダイコー9本でナマジ大好きアグリースティックのシェイクスピアは8本と意外と少ない。
 しかし121本てどうよ?ホモサピって手2本しかないんやで。よしんば千手観音みたいに腕ぎょうさん生えてきても、そんなに竿持ったら一人でお祭りしまくる。
 でも竿は魚種や釣り場で違ってくるので、なんぼワシが竿一本しかルアーの陸っぱりでは持ち歩かない人間でも違う調子のが必要になってくるのでしゃあなィちゃしゃあない気もする。
 リールなんてハイギアとローギアとか、一所懸命巻くかゆっくり巻くかでどうにかなると思ってる人やけど、さすがに同じシーバス狙いでも障害物際々の10mの距離を狙うのと砂浜で沖目のナブラを狙うのとでは竿とラインぐらい換える。逆に言えばラインさえ変えればリールはいけると思ってるので替えスプールが重要になるんである。

 それにして多い、どうにかならんのか?
 ということでまずはなぜそうなっているのか現状分析である。
 竿の数が増えるのは一つには同じ竿を何本も買うからである。今バチパターン用に近所ポイントで使ってるジャクソン社ブリストールBP805Lは3本あるとか、運河用に使ってたフェンウィック社製ランカーギアX65SM2ーJなんて同じブランクスのやっすい版のイーグルとかも含めると6本もある。
 さすがに6本はやり過ぎだと思うけど、竿はリールより消耗が激しいので予備竿確保しておきたいというのはコレ有りというところ。
 リールも永く使っていくと消耗していくけど、リールの場合ベールスプリングだのベアリングだの消耗品的な部品を交換してやれば復活して、なかなか心臓部であるギアやら本体フレームや主軸が消耗して使えなくなるまではホモサピごときの寿命ではいかないように思う。まあワシが使ってるPENNだの大森だのABUだのがそういうリールだということかもしれないけど。
 それが竿だと、もろに本体本元のブランクスが不可逆的に消耗していく。カーボンにせよグラスにせよブランクスの繊維が徐々に切れていくので、竿は使っているとだんだん反発力もなくなっていきダルくなっていって最後折れる。突然竿の先の方がキャストしたら飛んでいって継ぎが抜けたかと思うとポキッと折れてる。同じようにカーボンの素材のテニスラケットなんかも反発力なくなっていってある日突然折れるのでそういう素材なんだと思う。
 なかなかそこまで竿を使い切ることってなくって、いい加減ダルくなってきたら使ってて元の性能から明らかに劣化しているように感じるので買い換えることになるけど、元々ダルい竿で劣化に気づかなくてそこまで行った経験がある。まだメーカー在庫あったので取り寄せできたけど、アホみたいに釣りに行く人間の竿ならメーカー在庫あるうちに寿命がくる程度には竿って消耗品なんである。ぶっちゃけ寿命まで使い切る前にコケて折ることがありがちでとにかく予備は欲しい。
 そんなの買い換えりゃいいじゃん、と思われるかもしれないけど、ご存じのように当方の好きなダルくて厚ぼったくて丈夫な竿ってもうほとんど作られてなくて、丈夫なという条件に限定してもライギョロッドとかGTロッドみたいなドラグぎっちり締めて大アワセ食らわす竿はさすがに巻きが薄いと折れるので丈夫に作られてるけど、他の用途の竿は高感度とか高反発、軽量とかを謳った製品ばっかりである。
 それらの竿がダメってことはないんだろうと思う。けどハッキリいってお恥ずかしいことに昭和のオッサンには使いこなせない。竿の限界値が昔の十分余裕を持って丈夫に作られていた時代の竿と明確に違ってきていて、その感覚が抜けていない人間が使うと今の竿は「えっ!ここで折れるの?」っていうぐらいに簡単に折れる。はじめからそういうものだと思って使ってきた人間からしたら「何いってんだこのオッサン」だと思うけど、何十年と親しんで培った感覚ってそんな簡単に更新できないので、厚く巻いてあって丈夫な竿にはこだわるし、今後作られることも少ないだろうから確保しているのである。
 仕方ないよね。

 竿は消耗品でかつ好みの竿が今後生産されない方向にあるので予備を確保する。それはそれで仕方ないと思う(としておこう)。まあ限度はあるけど。
 でも、もうひとつ我が家の竿林を茂らせている原因として、詰めきれなくって絞れていない竿達ってのがあるようで、具体的にはアマゾン遠征用にと確保していたフェンウィックの堅めの竿4本とか大型ベイトリール用のルアーロッドとして確保したダイコーのサザンクロススティック3本とか、実際にはアマゾン遠征行かなかったし、ベイトの大物タックルも使う方向まで行けなかったので、どれが良いか自分の釣りにあっているか詰めていくつもりでちょっとずつ違うの買ってそのまんまにしてある。
 「売り払えーっ!!」っと心の中でクシャナ殿下が叫ぶのだけど、いざ売っぱらおうと手に取ってみると、これがなかなかどうして良い竿で、サザンクロススティックなんて黒くて太かった古き良き時代のダイコーの竿そのもので、中古で値段が付くような人気竿じゃないので今後必要になったら買うというのも難しそうでためらってしまう。
 せめて自分にあった竿がどれなのか絞れれば他は売って良いような気はするけど、現段階では保留とせざるを得ない。

 ということで、不要な竿とリールはこの際売るなりして処分してしまおうと思って整理を始めたんだけど、5段階評価で「不要」となったのは10もいかない有様でどうにも自分はモノを捨てたりするのが苦手である。
 数年使ってない道具は今後も使わないと考えて捨てるのが道具の整理の基本のようだけど、私のような道具を修理してでも使う人間は、直近でいえば、ベールスプリング折れたダイヤモンドリール2台がとっておいたら復活させられた、なんていう僥倖もあったりして壊れたモノすら捨てにくい。折れた竿もとっておいてあってタモの柄だとかに加工して使ったりしている。釣り道具の買い方みてもらえば分かるように私はお金に関してはあんまりなくなることに抵抗感じない。お金なんてどれも一緒で働くなりそれこそ釣り具売るなりしたら手に入る。
 でも道具は同じ製品でさえ個体ごとに、そいつと自分との関係性とかから違うってぐらいで一つ一つ違ってかけがえのないモノだと思っている。それを使い切って修復不能になってゴミにするならともかく、使えるのに捨てたり、ぞんざいな扱いを受けるだろうことが目に見えてるような他人にとっては価値のない品を売るのとかには強い抵抗感がある。

 とはいえ、このままでは将来我が家がゴミ屋敷化するのは目に見えているというかすでにそうなりつつあるので、何とかしたいので規則を設けてみる。
 ”リールは90台、竿は120本から増やさない。”
 せめて現状維持にとどめる努力をせねばヤバい数になっていると今回の整理で改めて感じた。
 リールはまあ大丈夫だと思う。ぶっちゃけ魚釣るのには今あるPENNとABUで一生間に合うだろうし、大森とかは蒐集の世界に足踏み入れて遊んでいるだけなので、なきゃないで何とでもなるので、今あるリールを手放してでも欲しければ買えばいいし、今あるリールが大事なら買わなきゃ良い。
 竿の方が難しい。何しろ消耗品なので新しく買わなきゃならん。今ちょうどアグリースティックライトの買い換えを検討していて、昨年糸溝ができたトップガイドを交換したところだけど、2番ガイドも糸溝っぽくなりかけてて、じゃあガイド交換済みの2個以外もとっかえるかと思ったら、どうせなら新シリーズのエリートあたりを新品で買って遅かれ早かれ交換になるガイド最初っから全とっかえしたほうが良くないかとも思ってて、そうすると今使ってるライトは予備竿にまわって1本竿が増える。
 日本ではピュアフィッシングジャパンが仕入れてないってぐらいの不人気を誇るアグリースティックシリーズだけど、いまでも丈夫な竿であり続けていて、米国のオッチャンが息子の自転車ぶら下げたりというアホな強度試験をしている動画とかあって笑える。これからも丈夫な竿であり続けてくれ。でもガイドは酸化アルミ系でいいのでもう少しマトモなのをつけてやってくれ。
 話とんだけど、消耗するから買わねばならんというのに加えて、新しい釣りを始めると買わざるを得なくなる場合もある。120本もあればどれかで何とかなるだろうって気がするし、実際へら釣りにも小物釣りに使ってた白滝とか使い回してたりするけど、どうにもならんこともある。
 具体的にいま検討してるのは、磯にあがってサメを狙うときの竿で、10fぐらいの長め強めのスピニングの竿が欲しい。チャーマスGT90Hが割と行けそうにも思うけど、ぜいたく言うならもう少し長くてもう少し強いのがあると、2本体制組めてバッチリかなと思っている。
 半日座ってへら釣ってただけでヘロヘロになってるのにそんな先の釣りの準備してどうするって思うけど、そういう先の楽しみもないとつまんねえジャン。

 という感じで、魚釣れずに苦戦しているので憂さ晴らしに釣り具いじっているという釣れない釣り師の典型のような冬を過ごしております。
 みなさまにおかれましては、スピニングリール熱などひかぬよう良い釣りをお楽しみください。
 あんまり魚釣れやんから夢でハクレンみたいに肥えたメーターオーバーのライギョ釣ったった。起きて夢と分かったときの悔しさよ。でもまあ夢でも会えたなら素敵なことだとしておこう。

2019年2月9日土曜日

キリリと冷えた敗北の味


 冬の夜シーバス釣りから帰ってきて、腰にぶら下げてたペットボトルの水を飲むと、キンッキンに冷えてて、最後悪あがきであちこち自転車でみて走り回って渇いた喉と興奮やら悔しさやらで火照った体にに染み渡る川崎の美味しい水。
 釣れたらもっと美味しいんだろうけど、釣れなくても一仕事終えた後の一服というかんじで、無収入になる日も近そうなので節約せねばとペットボトルに水道水詰めただけなんだけど、甘露甘露という感じである。

 この一杯のためだけでも寒い中釣りにでかける価値がある、なんてご大層な代物ではもちろんなく、ただの水道水なんでそんな万能の聖水みたいな霊験あらたかなわきゃなくて、スカ食ったらクッソ悔しいわけで、今日もふてくされてナニもする気にならずゴロゴロしてたんだけど、いつまでもグダッてるわけにもいかないので、今後の作戦など考えてみる。

 まあ作戦っちゅうても、シーバス狙いの場合は基本「釣れそうな日になるべく釣り場に行ってルアーを投げる」以上。
 てなぐらいでやることは決まってるんだろうけど、もうちょっと細かく想定して行くと、昨春のシーバス11連敗の時もそうだったけど、どうにも混雑した釣り場が苦手で、横で他人が釣ったりすると焦ってペースが乱れる。心が千々に乱れる。
 今年はこれまで以上に”人山”立ったりしてるので、人山立ってるところを避ける作戦を当初想定していたより極端に詰めて実践するのかなと。
 いつもの2本目橋下流周辺のネット蛇篭やⅠ本目橋ぐらいでは逃げ切れなくなってるので、思い切って下って水門上流や3本目橋周辺を主体に釣る。まだそっちは細かい川底の地形変化まで把握している釣り人は少ないだろうから、シレっと良い場所確保して広々と釣りできそうに思う。
 っていっても溢れるほどの人山立てばそちらにも人は流れてくるはずで、もっと極端にいっそ今まで釣ってなかった上流部とかも早い時間に釣れて余裕ができたら探りに行くべきかもしれない。なかなかそこまで手がまわらんか?

 ヘラ釣りの方で癒やされておけば、シーバスのスカは耐えられるという補完関係にあると思うので、ヘラ釣りで魚の感触楽しんでおきたいんだけど、ヘラがまた渋い時期突入中で、いつデコってもおかしくない状況。
 今日は関東大雪の予報は外れたようでちょっと降っただけで済んだけど、来週も天気不安定で気温もなかなか10度を超えない寒い日が続きそう。食い渋り時の頼みの綱の”段底”が最近イマイチなかんじなので、とにかく段底の感を掴むのが生命線になりそうなので、次回用に手札を一つ用意した。
 公園池は8尺で底が取れてしまい、8尺で提灯ウドンセットをやろうとすると刺し餌が着底してしまうので、浮子を竿先からある程度離した「提灯風」ウドンセットしかできないんだけど、例によって「逆に考えるんだ」と考えれば、8尺で足下近くで段底ができるのである。
 そんなもん沖の方が深いだろうし長尺の段底の方が有利だろう?と普通思うだろう。実際そう思ってるのか底釣りのオッチャン達は長竿振ってスコープでアタリ見てる。でも、そういうオッチャン達って一日中スコープ覗いてるだけであんまり釣ってるように見えない。
 長い竿で深くを釣るにはそれなりにオモリが重くないといけないし、それにあわせて浮子も大きく仕掛けも太くせざるを得ないはず。かつスコープで見てたって細かいアタリ取りきれるかって話。

 その点、足下を8尺で釣るならオモリも浮子もそれこそ宙の釣りで使うような軽めのを使って仕掛け全体を繊細に仕上げることができる。弱い吸い込みでも浮子が近くにあるので小さいアタリ見逃さず取れそうにも思う。繊細な仕掛けで吐き出すのも遅くなってくれるはず。
 魚が深い沖にしかいないってのなら負け確定のバクチだけど、どうもそんなでもないように感じている。
 沖目深めであまり動かない魚もいるんだろうけど、活性のある魚は岸近くにもやってきていてそういうヤツを狙った方が策が填まったときに確実に釣り込めるンじゃなかろうか。これまで昨期も含めて厳寒期でも浮子が動くところまでは何とかなることが多く、寒くても案外ヘラブナ活動的な気がしている。冬眠せんで良いのか?と疑問に思うぐらい。

 正直言って沖の深めに餌ぶち込んで、延々と活性が何かの要因で上がったら回遊してくるであろう程度の魚を1日待つのは、魚の薄い天然水域とかの釣り方で”箱”に近いような小さな公園池では、段底でも積極的に餌撒いてやる気のある魚を寄せ続けて食いアタリに繋げていくのが正解なんじゃないかと見ていて思うところなので、小浮子の足下作戦でちょっと、デコらない厳寒期の釣りってのを狙ってみたい。
 意外に底切って提灯風ウドンセットが厳寒期でも通用する可能性もあるので、反応なくなったら寒くて手もかじかんで面倒だけど、持ってる手札切りまくって反応探っていきたい。

 そうやって苦労しているうちに、春になって季節が良くなって花粉症酷くなる頃にはグダグダッと釣れるようになっていくんだろうけど、そこまで厳しい釣りをしのいで、ちょっとマゾヒスティックに楽しんでみたい。
 全く釣れないのは面白くないけど、適度に苦戦すると良い出汁が出て釣りに味が出るってなもんだと思う。

2019年2月2日土曜日

PENNスピンフィッシャー棚卸し

 今回スイマセン、皆さんにお伝えするマニアックな情報があるとか、面白いネタに突っ込んでるとか、そういう人様に読んでいただけるような内容にあんまりなりそうにないっていうか、ナマジのお部屋の蔵の整理のための作業記録のような、そんな感じでヌルッと行かせてもらいます。
 前回、430ssgについて「同じリール3台確保しているので、修繕した個体があと5年持ってくれれば15年使えたことになるから、残りの2台で30年持つ計算になるので35年経ったらそろそろお迎え来てるだろうからちょうど良い感じである。」と書いたところだけど、そういう考え方で行くと、そろそろ人生の終末も見えてきた今日この頃、ワシんちの蔵に眠ってるスピンフィッシャーって、アホのように買ってあるけど実際のところは何台あったら足りるのか、ちょっと考えてみるかと蔵をほじくり返してついでにエクセルで管理台帳作ってという”棚卸し”作業をしてみた。

 ちゅうわけで、小っちゃい方から行ってみるとまずは最小の4200ssは1台こっきりで替えスプールもなしなだけど、小型スピニングでスプール径が小さいのはあんまり好みじゃなくて、径が小さい分巻き取り速度が落ちるのを利用してゆっくり巻く釣りにでもとメバル釣りに使ってみたけど、イマイチしっくりこず、結局4300ssでいいやとなって使っていない。
 今後も使う予定はないのでなくてもいいぐらいで、なにか用途が出てきたら使うのに置いてはおくけど、たぶん使わないので壊れようもないだろうから、残りの人生この1台で問題ないだろう。

 お次が、小型スピニングの主力サイズで4桁第3世代の4300ssのサイズ。
 主力の第4世代430ssgが前回書いたように3台確保してあって、うち一台はごらんのようにブリスターパックに入ったまま未開封でたぶん430ssgだけでも間に合ううえに、先代の4300ssと430ssの第3世代コンビもまだ充分使える状態のうえに、インスプールの第2世代714Z、第1世代714のコンビも確保したところであり一生困らないはず。
 かつ、この大きさのリールは復活させたダイヤモンドやらウィスカーSSトーナメントもあるうえに、樹脂製の安ダイヤモンドもあるので弾数的には何の問題もないだろう。
 一番出番のあるサイズなのであれこれ使って遊びたい大きさ。

 次に陸っぱりシーバス用のもう一つの主軸の大きさである4400ssについてだけど、手前の2000年から使ってる個体がまだまだ快調で、この春も使い始めたときに「スピンフィッシャーって巻きも滑らかで、丈夫さとドラグだけのリールってこともないな」と、昨年使ってた古いインスプールと比べたからかもしれないけど今後もこの大きさは4400ssにまかせて安心である。
 新品から20年近く使ってベアリングやらドラグパッド、ベールスプリングなんていう消耗品的パーツは交換したけど、ギアとか本体とか全くもって”消耗”した気配がないので、現状のドングリノブの個体との2台体制がいつまで持つのか、ワシが死ぬまでもつンとちゃうか?という感じで予想すらつかない状態なので、もしこいつら2台が修理不能に壊れたとしても、新品に近い状態のが予備として2台確保してあるので充分だと思う。スペアスプールも3個ナイロン用、3個PE用に確保してありこれまた充分抜かりなし。

 次はカヤックシーバス用の主力として使ってた4500ss。ショアジギングとかデカいルアー投げる陸っぱりシーバスにも過去使ったことがあり、ナイロン14ポンド、PEの2号とか使う釣りに使うんだけど、最近カヤック乗ってないので出番がない。
 出番がないので消耗しようがなく、今使ってるハンドルノブ自作の中古個体と、樹脂製ノブ金ハンドルの2台があれば良いハズなんだけど、なぜか6台もある。
 1台は初期のドングリノブのはギア比が違う高速巻き仕様だと聞いたので追加して買った記憶があるけど、他にも予備に3台も買ってしまっている。
 もちろんスペアスプールの在庫もバッチリ。今後体力回復してカヤック乗れるようになったらまた活躍するにしても、やっぱり4台あれば足りるだろという気がする。キレイめの個体で値段付きそうなヤツを売りはらうとかしたほうが良いのかしらと、アタイ迷っちゃう。

 でもって、釣りをされる人のおうちならどこのご家庭にもきっと何台かはあるだろうという5500ss。
 ほぼ船でのシイラ・カツオ釣り用でたまにショアジギングやらにも使った程度のはずの5500ss系が3桁時代の550ssも含めると7台もござる。
 たぶん、この大きさはシイラ・カツオ釣りの定番機だったこともあって弾数が多いので、中古屋とかで安いの見つけるたびに「あっ予備に買っとこ」とレジに持っていったんだろうことは想像に難くない。
 船にも乗らなくなって久しいので、これまた減るもんじゃなし、我がスピンフィッシャー最初の1台である左下の個体と、JOSさんから引き継いだスピンフィッシャーの名を日本に知らしめた伝説的名機550ssと、やっぱりギア比の高い初期型ドングリノブの5500ssと予備1台ぐらいの4台で多分一生困らない。3台売りに出すかとも考えるんだけど、そんなに値段の付くリールじゃないうえに、実用品なので中古の軽自動車があまり安くならないのと似た感じで中古の値段が下がりもしないので、まあ金に困ってからで良いかという気もしてアタイやっぱり迷っちゃうの。
 そもそも予備機を確保しておかねばと思ったのは、製造終了後何十年もパーツが手に入るなんて、さすがに想像もしてなかったので部品取りするつもりで買ったりもしてた。なので米本国でPENN(というかピュアフィッシングか?)公式のパーツ配給・修理サービスとなったらしい「MYSTIC REEL PARTS」さんが潰れない限り、予備機って実はいらんのじゃないかという気もしてきている。さすがに在庫無しの部品も出てきてるけど消耗品的なのはまだまだ大丈夫そうである。

 お次は、6500ssでここから4桁スピンフィッシャーは金属ボディーになる。ちなみに6500ss、7500ss、8500ssは外蹴り方式、3階建てドラグ、ギア方式と共通点が多く、部品も共通が多い兄弟機。
 同じように内蹴り方式、3階建てドラグの5500ssと4500ssが兄弟機で、4400ssはドラグが1枚で大きくてちょっと違うし、4300ssはギアがウォームギアで4200ssとも何か違うと思っている。9500ssが3桁時代にはなかった大きさで特別な大物専用機なのは以前書いたとおり。って私は整理してます。
 ただ、この6500ss2台のうち、1台は我が家にある7500ssとも共通のローター軸のギアが傘状のハイポイドギア、1台が現代リールの標準的ギアであるハイポイドフェースギアが入ってて、このアタリのギア方式の違いはPENNってABUやミッチェルと違って、値段が付くようなリールじゃないので「見分け方」的な情報があんまり出てこない。多分米本国のマニアのサイトでも探せば一発なのかも知れないけど、英語イマイチわからんのよね。でも「MYSTIC REEL PARTS」さんところで見る限り、やっぱり途中で変更あったようで、6500ss~8500ssのギアは新型(”新”っていうのもへんか?)ではハイポイドフェースギアで、古いハイポイドギアから交換するときは当然ながらローター軸とハンドル軸のギアセットで交換してね、となっている。古いハイポイドギアのほうはさすがに欠品になってるけどハイポイドフェースギアの方はまだ入手可能で、ギア摩耗してすら互換性のあるパーツ入手できて使い続けられるって改めて凄いな。しかも一つ前の3桁650ssからだ。
 出番は、男らしく20LBナイロンと3号PE鱈腹巻いたスプール用意して、ターポン様とナルトビエイという怪魚をやっつけるための遠征に持っていったけど、ゴメン6500ss実力発揮させてやれんくて、いまだボウズリール。2台ありゃ充分な丈夫なヤツなのでいつかコイツが似合うような獲物をモノにしたい。

 7500ssが似合う獲物は、長い時間が掛かったけど釣ることができた。使ってきた7500ssとこれまたJOSさんから引き継いだ3桁750ssは今後出番がなくても手放すつもりはない。ワシが死んだら誰か使ってくれ。
 ただ、もうこの大きさのリールを使うロウニンアジの釣りとかを今後やらないかというと、まあ体力的にできないかも知れないとは思うけど、それでも死ぬまでにもう一度だけクリスマス島に行ってコイツで力一杯の釣りをしてみたいと思う。
 思うのでとりあえずどちらも予備機も用意してある4台体制は維持しようかと思う。以前予備に買った7500ssjにハイポイドギアが入っててネット上ではssjにはハイポイドフェースギアが入っている的な情報があったのでなんだろね?とか書いたけど、多分ギア方式の変更とssj化は関係なくて、本国のほうで手間の掛かるハイポイドギアの在庫が切れてハイポイドフェースギアに移行した時期と、日本でラインローラーにベアリングが入ってないと売れねえジャンということで「ssj」を企画したのがたまたま同時期で、在庫のスピンフィッシャーにラインローラー周りだけ換装して日本で「ssj」として売ったので、もとの個体がハイポイドギアの残りの在庫だったヤツは我が家にきたヤツのようにハイボイドギアが入っているのだろう。
 ちなみに第4世代750ssmのギアは、逆転防止の方式が違うのでローター軸のギアは別物だけどハンドル軸のギアは7500ssの最後の方のハイポイドフェースギアと共通。第4世代は第3世代の後ろの方と陸続きな感じのするリールなんである。第4世代は近代的な設計になった第5世代と人気と実績の第3世代の狭間で短命に終わった不人気世代だけど、スピンフィッシャーの歴史を色濃く引き継いで生まれた良いリールだよと書いておきたい。

 でもって大型で1台ずつのをまとめて写真撮ってみた、706Zと8500ss。
 706Zはかなり気になる存在なので、このインスプールでベールアームレスという単純で古めかしくも質実剛健な感じのリールを使いこなすのは今後の課題の一つとして取り組んでいく所存。
 8500ssはゴメンナサイ。正直出番なさそう。持ってる大きさでコイツだけ使ったことがないし今後も使うことが想定されないリールで、魚を釣るために生まれてきた道具に対して申し訳ないけど、我がコレクション?の一つとして蔵に眠ってくれたまえ。買ったときは使うつもりでスペアスプールも入手したんだけどね。

 トリは漢のリール9500ss、と950ssm。
 もうちょっと体力戻したら、9500ssを持って磯にあがって”岸からのサメ”を狙ってみたいと思っている。
 950ssmで多分人生最大魚のクロトガリザメを釣ってるけど、やっぱり大型リールの逆転防止機構としてはラチェット式の方が確実性があって、不具合による突発的な逆転とかの事故の危険性が低いので”大物”釣るには第3世代の特別な大物専用機である9500ssを携えて磯に上がりたい。このリールで何か不足が生じたら、それはスピニングリールの限界であり、両軸受けのリールにお出まし願うという整理で、自分の中で最強のスピニングだという確信を持って使っていきたい。
 950ssmは殿堂入りで蔵に眠ってもらおう。


 スピンフィッシャー現時点で我が家に36台あり。
 「確かPENNだけで40台ぐらいあるとか書いてなかったっけ?」と突っ込みを入れた皆様、またナマジは嘘書いてやがったと思わないように。
 スピンフィッシャーだけがPENNじゃないでしょ。ってことでインターナショナルⅡ30SW、セネター2台、545GS、インターナショナル9752台でPENN社製のリールは我が家に42台転がってます。両軸はスピニング以上に丈夫なので、予備機とか不要かなと考えて既に545GSは1台ネットオークションで売り、インターナショナル975も丸ABUとかぶるし1台売ろうかなとかも検討しちょります。
 写真は両軸除いた36台格好良く並べようとしたけど、並ぶような台数じゃなかったので積んでみた。もっと大事に扱ったれよとお叱りを受けるかもだけど、わざと雑な感じに見えるように積みつつも丁寧に積み上げておりますのでご容赦を。よい子は真似しないでね。

 我が人生でスピンフィッシャーが不足することはなさそうであり、ホッと胸をなでおろしたところである。
 よしんば津波がきたりして全部持っていかれても、スピンフィッシャーなら中古の弾数多いし安いからまた買えば良いだけである。

2019年1月26日土曜日

金かかってりゃ良いってもんじゃねえと思うのさ

 常々、ゴチャゴチャと使いもしない機能がついてややこしくなっている「ウ○ンドウズ10」について、無駄な機能が邪魔で使いにくいと思っているのだけど、ここしばらく使っているタブレットパソコン「FIRE」はその逆で、できないことも多いけど単純で使いやすいと感じている。
 入っているオペレーティングシステム(OS)はスマートフォンに使われている「アンドロイド」系らしく、端的にいってスマホ並なんだろうけど、複雑なことはできないにしても、ウェブサイトをブラブラ覗いて、メールのやりとりして、動画見て、文字データの入力編集して、写真の整理してという、我ら情報弱者が普段据え置きのパソコンでやらせていただいているほとんどのことができる。
 今タブレットで私がやれていないことは「自炊」とサイトの作成更新作業(ブログはできてる)ぐらいで、自炊は今のスキャナーはタブレットも対応できるようだし、このFIRE用OSでウェブサイト製作できるソフトさえ見つけてくれば(きっと探せばあるよね?)、「次はリナックス勉強してリナックスマシン買うぞ」と思っていたけど、動画見るのに塩梅良いように大きめの画面のタブレットPC買えばスマホ感覚でサクサク簡単のPC環境が整ってしまいそうに思う。かつ、今使ってるFIREタブレットは少数派なのでウイルスやらの標的にもなっておらずセキュリティーソフトも必要ないようだ。面倒くせえ腐れウ○ンドウズともコレでやっと縁が切れるんじゃなかろうか?今のPCあと2,3年使う予定なのでそれまでに手を切る準備を進めたいところだ。

 なんでスピニングリールネタの枕にパソコンの話をしたかというと、面倒臭くごちゃついてしまった昨今のコンピューターソフトにおいて、意外に需要があるのが「シンプルバージョン」「クラッシック」「ダウングレード版」なんていう、余計な機能を取っ払ったソフトで、「一太郎Lite」なんていうのが使ったことあるソフトでは必要充分な感じで使いやすかったのを憶えている。
 そういうのと同じように、スピニングリールにおいても余計なモノが付いているなら取っ払うというPCの世界でいうところの「ダウングレーディング」のような改造が一つの方向性としてあり得るんじゃないかと思って実践してみたので、パソコンソフトとよく似てるなと思いつつ書き始めたところである。
 
 今回、改造したのは愛機スピンフィッシャー430ssg。この第4世代スピンフィッシャーの特徴を一言でいうなら”部品数少なく安あがり”だろうか。逆転防止機構を一方通行のベアリングに任せて逆転スイッチも省略、伝統のウォームギアを搭載しつつ、これでもかというぐらいに部品数減らして単純化し経費削減した設計になっている。
 金黒の外観と丈夫さはスピンフィッシャーの伝統でドラグも定評あるところ。何度も取り上げている全体的に私好みの小型リールなんだけど、やや気に入らないのはいつも書いてるように海水入りそうなラインローラーに錆びる心配のあるベアリングが入ってること、表面塗装に一部腐食が見られること、寒かったり油かが切れたりすると逆転防止が不安定になることの3点だけど、腐食は見た目だけの話だし、逆転防止は小型リールでは竿持った右手の人差し指でローター止めてしまえば何とかなるし逆転防止を一方通行のベアリング1ッコに任せているからこその単純さは、このリールの思い切り良さで美点だとおもうので、ラインローラーのベアリングだけなんとかならんかなと思って対策を考えてみた。

 方針簡単。ボールベアリング2個入ってるのを、滑りが良くて摩擦に強い丈夫な樹脂製のブッシュに交換してしまえば良いのである。こういう軸受けとか摩耗が想定される場所のスリーブやらブッシュにはジュラコンという樹脂が一般的に使われるようなので前回の「アクションM」の改造用のワッシャーと一緒に「モノタロウ」でぴったりのサイズがないかと探したところ、外形と厚みが7mm、2mmでぴったりで内径が欲しい4mmよりちょっと小さいのがあったので、50個もいらんがなと思いつつも数百円なのでスペアにもなるし別の用途も出てくるだろうとポチって入手。こうしてみるとベアリングもそんなに高価じゃないとはいってもやっぱり桁が違う。という感じで、わざわざ部品を安いのに換装するのである。でも樹脂製なら錆びるのは心配しないで済む。
 例によってハンドドリルのヤスリでドリドリと内径を広げて、外径がベアリングの填まってた穴にギチッと固定される大きさなので、今回穴の方で軸と滑らせる方針で気持ち大きめまで拡張。
 ジュラコン結構堅いのは一連の作業で身に染みたけど、アクションMの時より厚さ倍で2個加工したので時間かかった。奮闘のかいあって、中心もズレず上手く削れたようで無事填まってくれて、組み込んでリールオイル注して回転具合を見てみると問題なく滑らかに回っているようだ。実際に使ってみて糸ヨレ酷くなったりとかの問題が出ないか確かめていきたいけど、しばらく714Zを使う予定なので実戦導入はしばらく後になりそうではある。

 ついでに、10年も使ってるのでさすがに不具合出始めた所があって修繕してみた。
 本体に蓋を留めているネジの1本が、ネジの頭じゃなくてネジそのものが樹脂の穴を潰してしまったのか1本効かなくなってしまっていた。
 右の写真は第3世代4400ssのネジの雌ネジ部分を写しているんだけど、樹脂製の本体にネジを打つにあたって、雌ネジは樹脂に金属製のモノを埋め込んである。この方式だと雌ネジ自体が樹脂から抜けるという不具合は見たことあるけど、ネジ山自体は潰れにくく耐久性がある。
 しかし、第4世代の430ssgにおいては”経費削減”が重要な設計思想だった世代なので金属製雌ネジなんてわざわざ使わずに、樹脂に穴を直掘りしてネジをタップネジと呼ばれるネジ山の歯の大きなネジをつかう形にしている。
 10年持ったので耐久性に問題があったというわけじゃないんだろうけど、金属の雌ネジ方式よりは寿命が短かったようには思う。ちなみにこのリールはほとんど手間のかからないリールで逆転防止が油ぎれで効かなくなったのが何回かあった他は特に開けて整備もしなくてラインローラーとハンドルノブへの注油ぐらいしかしてこなかったので、マメに分解清掃する人ならもっと早くネジ穴潰すかも知れない。
 PENNって毎釣行ごとに分解清掃必要な印象があるかもしれないけど、ワシ調子悪くならなければ分解なんてせんけど特に不具合起きてない。毎回水没させるような深く立ち込む釣り人でもなきゃ適当に扱っても大丈夫。

 穴も広がってしまったことだし、金属製の雌ネジを探してきて埋め込むかと調べてみたら、金属のバネ状の雌ネジを押し込んでネジ穴を再建する「リコイル」というのが簡単そうなので、専用工具と共に早速取り寄せて使ってみた。
 通常、アルミとかの柔らかめの金属に使うようで、その場合は接着剤もナニも必要なく穴削ってグリグリ突っ込んで完了という工程のようで、最初その方式で行ったら、穴が既にタップネジの大きな歯で広げられているせいか、引っかからずにリコイルごと抜けてしまってネジが留まらない。
 リコイル自体は伸び縮みするバネなのでネジ山のピッチに合わせて変形するので、それならと元々のタップネジをリコイル突っ込んだ上でねじ込んだら、今度は効いたかなという感触だったけどネジ抜いてみたら真ん中写真のようにリコイルごと抜けてきてかつすぐにユルくなって塩梅悪い。
 仕方ないので、リコイル埋め込むときにエポキシ接着剤ベットリと塗って穴を狭くしつつ固定してからタップネジじゃない方のネジで留めたら今のところきちんと締まって蓋が固定できている。
 しばらくコレで持ちそうだけど、コレでも抜けたりユルくなってきたらネジとリコイルの太さをもう一段上げて対応とかするのだろう。
 
 同じリール3台確保しているので、修繕した個体があと5年持ってくれれば15年使えたことになるから、残りの2台で30年持つ計算になるので35年経ったらそろそろお迎え来てるだろうからちょうど良い感じである。
 430ssgは正直言ってそれほどデキの良いリールじゃない。4300ssの方が完成度が高く耐久性も良いと思う。でも気がつけば10年にわたって気持ちよく使えていて、時に調子悪かったりもあるけど所詮完璧なモノなんてないんだし、長いつきあいになっている分の愛着は確実にあって、直せるところは直しながらずっと使い続けていきたい。
 このリールの一番良い点は、釣り場でまずリールが他人のと”かぶらない”という点だと思う。個性重要。なにしろ正規には国内に入ってきてないはずの大きさなのでネットオークションでも見かけないし、ネット上の評判もうち意外ではあんまり見たことがない。っていうか今ググってみたら「やっぱり」という感じの全国のPENN使いなお歴々が一応入手されてはいるようで笑えた。

 でも主力機として使いこんでるってのはワシぐらいで、ワシ日本一の430ssg使いかもしれんと密かに誇らしく思うのである。ネットで公開しておいて密かにもクソもねぇんだけどナ。

2019年1月19日土曜日

銅・亜鉛・鉄



 オーリーハルーコーンッ!(©手塚神)

 っていきなり叫びたくなったのは、銅と亜鉛の合金である真鍮について調べてたら”オリハルコンの正体は真鍮”説がでてきて、家の鍵のキーホルダーにしているトビーも真鍮だし学生時代から愛用のマネークリップも真鍮だし、もちろんリールのギアとかの部品にもよく使われている真鍮が、伝説の金属オリハルコンだったのかと驚いて、知ることの感動が湧き上がったからである。確かに海中での戦闘で使う短剣が鋼じゃ錆びまくって手入れ大変だよねと妙に納得した。
 ワシのリール、オリハルコン製の部品使ってるねん、と思うと妙に格好いい気がしてくる。
 真鍮って多少緑青ふいたりはするけど錆びにくくて、キーホルダーなんかで使ってると表面が徐々に摩耗していって実に良い塩梅に渋い光沢を放ってくれて愛着の湧く金属である。

 なんで真鍮の勉強なんかしてるのかっていえば、当然ながらリール関係で、前回樹脂製のスピニングであるリョービ「サイノス」のハンドル軸のギアを受けるブッシュに真鍮製のが使われていて「真鍮ってそれなりに堅いはずだからコレだと亜鉛鋳造の軸の方が削れるんじゃないの?」という疑問が湧いたので調べていたのである。
 ネットでサクサクッと黄銅とも呼ばれる真鍮と亜鉛と、ついでにリールではよく使われる金属素材である鉄系合金のステンレスやアルミ合金なんかについても堅さや特徴などを調べてみた。高校の技術の時間に習ったようなおぼろげな記憶があるようなないような気がするけど、昔日の記憶はすでに霞の向こうにあり頼りにならんのでウィキペディア先生とかに教えを請うた。

 サクッと調べたところでは、硬さを表す「ブリネル硬さ」という指標だと、
・ステンレス180
・アルミ合金(7000系、超々ジュラルミン)155
・アルミ合金45~100
真鍮(銅と亜鉛の合金)黄銅80~150
・亜鉛 銅と同程度かややもろい 
ぐらいとされているようで、亜鉛が真鍮よりことさら弱いという数値は出てこなくて、自分の中の印象と違っているので違和感を感じた。
 真鍮はそれこそローター軸のギアには最も一般的に使われている金属なぐらい、強度や耐久性に優れ、かつ堅すぎずに切削加工でギアの山とか加工しやすく歯車系の金属部品には向いている印象があったけど、亜鉛はそれよりもろく柔らかく、融点低いので溶かして型に入れて固める鋳造(ダイキャスト)には向いてるけど、真鍮と摩擦するような使い方すれば亜鉛が負けて削れていくのではないかという印象を持っていた。
 亜鉛はヘタすると一般的にグラファイトボディーとか呼ばれている樹脂にガラス繊維やカーボン繊維を混ぜて強化した樹脂製の部品にも負けて削れるんじゃなかろうかという気が、写真の安ダイヤモンドのハンドル軸のギアをみてしていた。右が結構使い込まれていた「アクションM」のもので左が新品同様の「タックルA」のギアなんだけど、写真じゃイマイチ分かりにくいけど、右のギアの軸の樹脂ボディーで直接受けている部分がちょっと細くなって先端が削り残ってやや太くなってる気がする。
 真鍮相手ならもっと削れるんじゃなかろうか?と思ってアクションMのギア側の軸についている真鍮を芯にしている樹脂製ブッシュを外してみたらワシの過ち発見。
 真鍮が芯に入ってると思ってたら、実は薄っぺらい銅製のワッシャーがガタ調整かなんかで入ってただけで、このブッシュ樹脂製だ。
 嘘ばっかり書いててスイマセンと、またも頭を下げるナマジであった。堪忍してつかぁさい。アクションMもタックルAもギアの側の軸受けのブッシュは大きな樹脂製でした。
 やっぱり亜鉛の軸を真鍮のブッシュで受けると亜鉛が負けるから、大森製作所はブッシュを樹脂製にしたんじゃなかろうか?亜鉛も樹脂もある程度削れる素材なので、樹脂製で回転も少しするブッシュを噛ますことで軸と接する面積を増やして分散させ削れる速度を遅くして長持ちさせようという設計思想なんじゃないかと思う。樹脂の方が先に削れてくれるなら、まあこの手の安リールじゃ買い直した方が早いんだろうけど樹脂ブッシュの交換で使い続けることができる。

 しかし亜鉛が真鍮との摩擦で削れるとすると、ネットでお勉強した亜鉛が真鍮と比べてそんなに柔らかくももろくもないという記述とは反するので何でだろうと考えていたら、思わぬ所から答らしいところにたどり着いた。
 スピニングリールはもう買わないというのも、ありゃ嘘で、また性懲りもなく1台買ってしまったんだけど、今回は「スペアスプール確保がてら見つけたら買うかも」とか書いていた安ダイヤモンド同型機なのでこれまた堪忍堪忍。
 2台目のタックルAであるコイツが、新品同様だったにもかかわらず、とんでもないハズレ個体で、まあシールが剥がれるのは大森とPENNじゃお約束でそういう仕様なので仕方ないにしても、クルクルカシャカシャと逆転防止の確認中に何か囓ったなという感触があったと思ったら、逆転し始め「アッこれはヤバい」と慌てて分解したら、ローター軸のギアの直上に鎮座している逆転防止用の亜鉛のパーツがボロボロに削れて爪が掛からなくなっていた。
 ちょっと引っ掻いただけでもボロボロと崩れるぐらいにもろく、あきらかにスが入った不良品である。こんなモンを出荷しているような品質管理体制ではそら大森製作所潰れるって。生産拠点を人件費安かったであろう当時の韓国に移すなんてのはべつにどこのメーカーもやってたような話で批判の対象にならないと思うけど、そこで作られ出荷された製品の質についてはまごうことなく大森製作所の責任だろうと思う。マレーシア工場製のシマノ「NAVI」もインドネシア工場製のダイワ「早船」も同社の名を汚さないデキだったと買って感じたのと対照的である。製造業で不良品売るようなところが長生きするわけがない。別に安物売ったってかまわない。そこにも商機があるなら商売だもん売りゃ良いさ。でも道具として機能しない不良品を売ったらダメだってって話。樹脂製でも亜鉛のギアとの接点は負荷の掛かるギア側はボディー直受けじゃなくて樹脂ブッシュ噛ませてたり、ドラグがちゃんとしたの入ってたりと安リールでも設計に大森の生真面目さを感じるリールだけに頭にきた。たまたまこの1台だけをみて断じるのは間違いかも知れないけど、1台そういうのを出してしまうことが信用に関わる、という話だと。
 これが”答”とどうつながるのか?というと、要するに亜鉛が金属素材として同条件で比べたら真鍮よりそんなに柔らかくもないのに、なぜもろく削れる印象があるのかっていったら、おそらく円筒状の素材から切り出したり切削して作っている真鍮のギアやブッシュよりも溶かして鋳型に流し込んで作っている亜鉛鋳造のギアの方が”製造方法の違い”でもろく柔らかく削れやすいってことなんだと思う。
 よく高級リール様が鋳造(ダイキャスト)じゃなくてマシンカット(切削)や延ばして鍛造で作ってるんで丈夫なんですって宣伝してるけどその逆で、亜鉛を鋳造して作るとなると、どうしても製法上冷やす段階で縮んでムラができたり最悪スが入ったりして、もろくなるんだろう。
 もちろん亜鉛ダイキャストのギアは広く使われていてちゃんと作られていれば強度上問題ないハズなんだけど、製造において温度管理とかによって強度に差が出てくるなんてのは、これは鍛造の話だけど昔の刀鍛冶が焼き入れするときの水の温度を盗もうと水に手を突っ込んだ弟子の手を叩き切ったなんて逸話からも分かるように、微妙なさじ加減が必要なはずで、不良品も出てくる製法なんだと思う。と同時に鋳造じゃない真鍮やらステンレス系の部品より削れやすいし、ひょっとするとアルミ合金や樹脂製の部品にも負けて削れる場合もありそうだ。というのが今のところの私の整理である。
 ということは、亜鉛鋳造一体成形のハンドル軸のギアを使うスピニングリールにおいては、昔の大森のように堅い素材を軸に鋳込んだりはしていないので、亜鉛の軸が削れないようにするには樹脂製の柔らかいブッシュを噛ませて交換して使うというのもありかも知れないけど、今時それ程高価な部品でもなくなっているボールベアリングを右左に噛ませてしまえば軸が摩擦で削れることが防げて現実的な解決策なんだということが理解できる。実際には亜鉛の軸を真鍮で受けたって削れるには相当な時間が掛かるはずで幅とかの設定で摩擦面積増やして削れにくくして実用充分なリールに仕上げることはできるのかもしれない。それを実証するには試験だの何だの面倒臭く、かつ買い手はベアリングをありがたがるんだからベアリング入れときゃ間違いないって話で、亜鉛鋳造一体成形のギアならスピニングリールに必要なボールベアリングの数は3個が現実的なのかもしれない。と、思ったところである。

 思ったんだけど、じゃあ手持ちの安ダイヤモンドにボールベアリング2個突っ込むかというとそういう気にはならない。せっかくの樹脂製で軽いという利点を損ないかねないし”ベアリング数を増やす”なんていう改造は下品で頭が悪い印象があるので好みじゃない。
 以前アンバサダーの真鍮製ボディーでクソ重い「6500CSロケットクローム」という両軸リールをいじってたときに、軸を受けているカップ側の端が銅製のブッシュなので「飛距離アップ、巻き取りをスムーズに」を謳って交換するための適合するボールベアリングがネットで売られているのを見た。一瞬買いそうになったけど「まてよ、アンバサダーってウルトラキャストデザイン以降キャスト時には軸は回らないんじゃなかったっけ?」と思って分解してみたら、やっぱりキャスト時軸は回らず、当然回転するスプール自体には既にボールベアリングが2個入れられている。投げる時回らないところにボールベアリング入れても飛距離には関係ないし、巻き取りぐらいはブッシュで充分滑らかだ。アホかとおもうよね。
 ベアリングの数が増えればありがたがるベアリング信者のバカを狙った詐欺的商売と言って良いだろう。とはいえこういうのは騙されるのが悪いんであって、騙されても本人気づかなくて満足しているなら問題生じないので勝手にやってくれという感じだ。けど、そういうバカにはなりたくないので、ベアリング数増やすのは最後の手段としたい。

 ということで、アクションMのギア側の純正の樹脂製ブッシュは削れたらおいおい考えるとして、削れ始めてるようにも見える反対側の樹脂製本体直受けの部分を交換可能な樹脂のブッシュを入れて、削れたら交換して使う方式にしてみた。
 難しいことはやりたくないので、ハンドルをとめる蓋兼ネジを外して見えているハンドル軸のギアの端にきつめにジュラコン樹脂製の輪っかを填めて、ハンドル軸はこちら側ではどことも摩擦せずジュラコン樹脂と本体が摩擦してどちらかが削れる方式とした。ジュラコン樹脂が本体に負けて削れる場合は削れたら交換ですむし、勝っちゃったらまた考える。
 外側の直径はピッタリのが手に入ったけど、穴の径が狭くてギアの端が入らないのでハンドドリルのヤスリでドリドリと時間を掛けて穴を拡張してちょうどはまって動かない様に加工。
 ジュラコンかなり堅い樹脂でドリルで加工するのも時間が掛かったけどその分頼もしい感じがする。本体と接する外側はテフロンのようにつるつるしていて摩擦少なくて良さそう。
 ちゃんと真ん中に填まってくれたようで、組み立てたリールの回転も問題なく滑らか。
 
 ついでにと、スプールの方にも手を入れてみた。
 平行巻機構の往復幅に比べてややスプールの糸巻きの部分の幅が広いので、スプールの高さを座面のワッシャーを薄くすることで下げて上にラインを寄せるとともに、スプール下面にワンカップ蓋製の土星の輪っか状のスペーサーを噛ませて底上げしてみた。半透明のワンカップ蓋をウレタン接着剤でくっつけたのでやや見た目がアレだ。でも、スプールの上の端はラインが当たる場所なので抵抗なく滑らかにつるつるの美しさを保ちたいところだけど、下面はどうでも良いちゃいいので適度な”やっつけ感”が出ててよしとしておこう。
 もともとのスプールにはテーパーが付いているので、下巻きを座面のワッシャー抜いた上巻き状態で巻いてならしておいた。
 ついでにラインを留めるパーツが欠損していたので、ワンカップの蓋の余りを利用して成型してくっつけた。ワンカップの蓋ドラグパッドにスペーサーにライン留めにと万能の素材である。割り箸とともに使える身近な素材として評価うなぎ登りである。惜しむらくは酒飲まなくなって久しいので料理酒として使う程度では数が確保しにくいことか。
 まあタッパーの蓋でもペットボトルの蓋でも良いんだろうけどね。
 という感じでせっかく我が家にきてくれた安ダイヤモンド。しっかり使って楽しもうと着々と手を入れて改良だか改悪だかまだ使ってみないと分からないけど遊ばせてもらってます。

 こうやっていじくれる楽しさがあるだけでも、今時の、おまえは恩返しにきた鶴かってかんじの”開けちゃダメ”系の高級スピニング様より持ってて楽しい道具だと思うんだけどね。

2019年1月12日土曜日

余熱

 ひとまずスピニングリールネタは終幕、と言ったな、あれは嘘だ。

 という台詞がシュワちゃん(CV.玄田哲章)で脳内再生されるか、ジョルノ( CV.小野賢章)で脳内再生されるかが、映画ファンとアニオタの差だと思うの。

 「またスピニングリールネタかよ!熱さがっとらんやんケ!!」と思われるかもだけど、ぶっちゃけもう熱は冷めてます。イヤほんとですって。
 特に”欲しくて仕方ないノ!!”って感じは年開けてからはもうなく、物欲的には治まっててネットオークションも一応見てはいるけど入札するほど欲しいものもない。とはいえ年末の時点で買っただけで触ってなかった3台をいじったら、もうわざわざ紹介するような新しいこともないのかなと思ってたんだけど、なかなかどうしてどのリールも個性や工夫が見て取れて、みんな違ってみんな良い的に面白かったので、そのあたりの紹介と「こんなリール買いました」だけじゃツマンネエと思うので、多分次回になると思うけど実践的スピニングリール改造例的なネタもぶち込んでみたい。

 ということで、こんなん買いました紹介一発目が写真のダイワ「7250HRLA」。
 オリムピックの「エメラルド350」でかなりお腹いっぱいになってたのでしばらく放置してたけど、なかなかどうしてこいつも悪くない。というか全然人気ないみたいだけど良いジャンという感じ。釣り場で使ってないのでなんともな部分はあるけど、見てのとおりインスプールでそんなに複雑な道具じゃなし特に不都合生じそうにも思えない。
 70年代の日本製品が安さと品質の良さで世界市場でのし上がっていった時代のリールで、米国の他に英国とかでも売られたようで、色違いやらワンタッチスプール版のとかもあるようだ。ってことからそれなりの高評価を得て数売りさばいたリールだと見てとれる。国内版は別の名前で売ってたようだけど基本同型、この個体はいかにも米国仕様なPENNのドングリ形っぽいノブのハンドルが付いている。他にミッチェルっぽいハンドルのタイプもネット上で散見された。ダイワはPENNとも技術提携していた歴史があるようなのでその辺の影響かとも思うんだけど、ネットの識者によるとむしろこのリールはダイワが70年代に吸収した「稲村製作所」の技術を色濃く引き継いでいるらしい。
 「稲村製作所」もスピニングの歴史を勉強しているとよく出てくる名前で、米国じゃヘドンの名前で出ていますな実力派だったけど、最後は自社ブランドで米国市場を闘ったダイワの軍門にくだったという歴史絵巻らしい。ダイワ強し。
 巻き心地とか正直私は気にしない釣り人なので良くても悪くても評価できないんだけど普通にクルクル回ってくれてて、分解清掃する前からコリャ問題なく使えるなという感じ。
 ドラグも普通に3階建て方式で、ダイワが国内のドラグ使わない釣り人向けにはあまりと言えばあんまりなドラグのリールを売りさばいていたのと好対照で、米国向けにはしっかりと機能するドラグを入れているという、市場の好みをとらえる上手さがここにも見える。
 パカッと本体の蓋を開けると、なんか変なギアが鎮座してて一瞬ギョッとなるけど、これは古い設計だとハンドル軸のギアの根元に付いていることが多い逆転防止のためのギアが上?面に付いているからであり、逆転防止の爪は蓋の裏に付いている。なぜハンドル軸の根元に付けないのかというと、ハンドル軸の根元には平行巻機構のギアが付いているからである。
 そう、このリールはこの時代としては珍しいクランク式じゃない減速カム方式の平行巻機構を搭載しているのである。なかなかやるやんケ。
 ギア方式自体は普通にハイポイドフェースギアなんだけどスピニングリールで一番大きな歯車であるハンドル軸のギアの直径いっぱいつかって逆転防止の歯を切ってあるので遊びが小さくなっててナルホドという設計。あとベールが大森みたいに折りたたみできるのも地味に良いところ。
 ローターとローター軸のギアが、前の持ち主が逆に捻りまくって噛んでしまっているのかどちらにも回らない固着状態だったけど、その他は外せてグリスもぶち込めたので固着したまま分解清掃敢行終了(R4.4追加註:「7250HRLA」のローターはローター軸のギアごと回して外す方式だそうな)。
 国内の中古市場じゃインスプールのリールはABUカーディナル、ミッチェル、ダイヤモンドの3強で他は未使用箱入り娘でもなければそんなに値段付いてなくて「7250HRLA」も3千円ぐらいが相場で5千円もだせば結構買える。性能の差はあるといえばあるんだろうけど、どっちが良いと一概には言えないようなむしろ”個性”がある感じで、なぜクソ高い人気機種ばかりををありがたがるのか私には理解できない。なにしろコイツの値段といったら今回次に紹介する「ダイヤモンドスーパー99」と2台で2000円という堂々の”ごみスピ”価格での落札である。費用対効果考えればメチャクチャ良いリールだと思う。

 かつ”熊の手”対策のローターから出っ張った棚も備えた初心者向けのインスプールスピニングであり、インスプール使ってみたいけどベールを手で起こしちゃダメってのが不安なんだよなとお嘆きの貴兄にもピッタリ。どうです?1台。
 ただ、このリール我が家では出番がなかなかなさそうな感じ。大きさ的に「スピンフィッシャー714Z」「エメラルド350」あたりとモロかぶりで、渓流行くときにジェットスピンに付けて使ったら”気分”かなというぐらいか。しばらく蔵で待機だな。

 お次は、みんな大好き大森製作所のインスプールでっせ。といってもサイズが大きくてちょっとルアー用という感じじゃないので全然人気がない機種「ダイヤモンドスーパー99」。
 なんで99なんだろなと思ってたけど左巻が99で右巻が100のようだ、ABUアンバサダーが左巻だと数字に1足すのと逆に左は1引いてる。
 正直、狙ってたのは「7250HRLA」で、2つまとめて抱き合わせてオークションに掛かってたのでオマケ程度に思ってたけど、実際手にしてみるとコレがなかなかに味わい深い1台で、何か出撃機会を考えてやらなあかんなという感じ。
 スプール径が大きいんだけど、分解清掃しながら設計を理解していくとナルホドな感じで、薄いお握りのような三角のボディーに大きなインスプールのスプールとローターが乗っかってる塩梅といい、左巻専用で裏っかわがミッチェル300みたいに背骨の部分が盛り上がってるスッキリとした形といい、なかなかに格好いいリールで、丈夫に作ってある感じの重さといい、我が家にあるリールではコレまで9500ssと706Zが漢らしくて格好いいリールの双璧だったけど、それらに匹敵するぐらい漢らしい。

 内部の機構は、大森ダイヤモンドがハイポイドフェースギアにたどり着く以前のリールのようで、おそらく60年代とかのリールなのかも。ワシより年寄りの御先輩。
 ドラグは普通にこの時代から3階建てなのねというかんじで、ドラグパッドへたってるので例によってテフロン仕上げガラス繊維製のパッド追加してそれなりに使えるドラグに調整。
 パカッと本体開けると、ギアは斜めに溝を切った傘状のギアとギアが接触するスパイラルベベルギアである。
 おおーッ、ミッチェルの名機408やそれに影響受けているだろうPENNスピンフィッシャー722Zに搭載されているギアやんけ。たしか刃切りしてギアを作らなきゃならんのでそのための工作機械やら技術がいるけど、力の伝達効率は良く、つまり軽く力強く巻けるギアで、滑らかさも併せ持つとか何とかだったように思う。
 凝ったギア入れてんなーと感心しつつ分解清掃していくと、驚きの事実が判明。
 このリールにはボールベアリングが1ッコも使われていません。

 ベアリングレス機。なんと漢らしい。
 右の写真のように油溝を切った真鍮の芯にこれまた真鍮のスリーブを被せていて、この芯とスリーブの接触面の滑らかさでローターの回転の滑らかさを確保している形。
 もちろん、ボールベアリングが入っている場合ほどの軽い回転ではない。でも、古いグリスとかぬぐって新たにリール油注してグリスシーリングしたら、まずまず使えるぐらいの巻きの重さでしかなくベアリングなしでもスピニングリールが成立するというのは、ちょっと衝撃を覚えるぐらいの事実。
 でも考えたら、ベイトキャスティングリールにおいて、アンバサダーの「C」なしのモデルはスプール軸を受けるのにボールベアリングじゃなくて銅のブッシュが入ってるけど、重いルアーなら問題なく「投げられる」ぐらいの回転が得られるんだから、不可能じゃないんだろう。
 ただこういうリールが成立するには、製作精度が高いのは当然として、力の伝達効率が良いスパイラルベベルギア方式も貢献しているんだろうし、ギア比が多分3倍チョイぐらいと小さく力強い設定なのとかもあわさっての全体の設計の上手さによるんだろう。ギア比が小さいからスプールの直径大きくして巻き取り速度を稼いでいるようにも見える。さすが大森製作所、栴檀は青葉から香しか。

 という感じで、サクサクと分解清掃してたんだけど、落札時は「動作確認済み」で問題なく作動していた逆転防止機構が、実は爪を歯車に押しつけるバネが錆びていてギリギリ持っている状態で、このまま触らずにここはソッ閉じだと思ったんだけど、なんと、錆を止めるためにちょっとだけグリスを盛るかと触った瞬間ポロッと折れた。大ショック。
 あれこれ悩みつつも、ベールスプリングじゃなければそれ程耐久性はイランということは学習済みで、タチウオ用のステンレスリーダーを加工して爪を押しつけるようにバネっぽく細工して復活させた。一安心一安心。
 スパイラルベベルギアってルアー用だとミッチェルとPENNに見られるぐらいで珍しいけど、この時代の日本製投げ釣りリールには意外に多く使われていたのかも知れない。使い道なくて放置中のオリムピックの「モデル93」もスパイラルベベルギア機だ。
 力がある巻き上げで、遠投した仕掛けをゴリゴリ巻くのに向いていたのだろうか。私は投げ釣りあんまりしないので、「スーパー99」を使うとしたら、ギア比が低くてゆっくり巻ける、かつ力もあるのを利用してデカいルアーでスズキ狙いとかかな。こいつに武勲をあげさせるために釣りモノ探したくなるぐらいに味のある1台である。


 最後の1台はグッと趣が異なるリョービ「サイノスSS700ZM-T」。
 リョービの釣り具部門がJ屋に移ってからの時代の製品のようで、本体・ローター・スプール全部樹脂製で、おかげでカタログでは235gという軽量を誇っている。
 ”樹脂製リール爛熟期”に隠れた名機が実ってたんじゃないか?っていうのを探してたときに買ってしばし放置してあった。ちなみに某中古釣具屋の年末割引で税抜き800円。定価は3,400円と”安物”とまではいかない普及品。
 コレがなかなか悪くないリールなんである。
 分解していくと、まずはドラグが滑りの悪い赤い繊維のドラグパッドにワッシャー1枚で”ドラグノブ=スプールを固定するためのツマミ”系ドラグなんだけど、そのあたりはもう慣れたモノでフェルトを底に敷いて調整幅稼いで滑りはテフロン仕上げガラス繊維製のパッドで確保という感じで使えるドラグにしてしまうと、ラインローラーは直径大きいラインに優しそうなのがついてて、しかも錆びない樹脂製ブッシュ入り。逆転防止機構がメタロイヤルと同様のローターの裏に爪の掛かる歯を設けた「マルチポイントストッパー」方式。と、悪しき高級リール化への階段であるラインローラーへのベアリングやら瞬間的逆転防止機構の搭載に至っていない良い塩梅の進化具合。まあ安いからおいそれとはベアリングとか入れられないってだけかも知れないけど。
 ベアリングはローター軸に1個入ってるだけだけど、ちゃんと軽くクルクル回ってて回転バランスも悪くないように思う。ちなみにハンドル軸は真鍮のブッシュで受けている。
 J屋が吸収したスピニングリール屋である大森製作所に関しては、「ロングマイコン」とか見る限りどこが作っても同じような安リールでしかないと思うしブランド自体消えてしまったけど、リョービについては少なくともこのサイノスはリョービらしい技術が残っているうえにまだ日本製で、ちゃんとリョービの日本工場の人にJ屋が飯食わせてたようで立派である。大森の件では正直恨みに近い感情を抱いていたけどちょっと見直した。さすがにもう工場は日本にはないようだけど今でもリョービブランドのリールはJ屋で売っているようである。
 ただコイツをコレから使っていくかというと、樹脂製の安いリールとしては大森晩年の「アクションM」を使っていくことにしているので出番が想定されず、あと往年の大森ダイヤモンドのようにハンドル軸のギアに堅い鉄系の軸が鋳込んであれば、ブッシュは真鍮製で問題ないんだろうけど、亜鉛鋳造一体成形のギアの軸受けとして真鍮はどうなのか?どっちか削れちゃうんじゃないかという不安もあって不採用とした。その辺もう少し詳しく次回書いてみたい。
 とはいえ安く仕上げつつもなかなかに工夫の跡がしのばれる1台ではあり、ネットオークションとかで売っても低評価で手間賃にもならん気がするし、捨てたり死蔵するのも惜しく思ったので、もう使う機会がなさそうなシマノとダイワのスプリンターマックスと詰め合わせにして使ってくれそうな男の子のいるご家庭に適当に竿も見繕って進呈してきた。ぶっ壊れるまで使ってもらえれば嬉しいナと思う。

 いろんなスピニングをいじくってきたけど、どのリールも完璧じゃないけど利点や愛すべき面とかがありそれぞれに個性があって、実釣に支障を生じさせるようなダメな点がなければ、どんなリールでも使い込んで愛着を持つことはできるような気がする。
 「スピニングリールの性能は基本的に値段に比例するので、可能な範囲で良いのを買ってください」的なことをいけしゃあしゃあとのたまう、釣具屋のまわし者の言ってることなんて全部無視して良いので、自分が欲しいリールの性能や機能はなんなのか、自分の好きなリールはどんなのか、それを考えて悩むこと自体が楽しくて仕方ないことなので、くれぐれもその楽しみを他人に任せたり奪われたりしないように自分でよく考えて、道具選びの面白さを存分に楽しんで欲しい、と老婆心ながら思うのである。