2026年8月8日土曜日

閉じた顔

  クローズドフェイスリール(スピンキャストともいう)は過去にゼブコ「44クラシック」というスピニング用ロッドに下付けする”トリガースピン”を使ったことがあるけど、ベイトロッド型の竿に上付けする一般的なモデルはガキの頃友達のを触らせてもらったことがある程度で、ほぼ未体験の世界である。構造的に最初にリールのスプールを囲った”クローズドフェイス”な覆いの穴にラインを通すので、投げるときにも巻くときにも一定の張りを保つことになるのでトラブルは少ないんだけど、その分飛距離が出にくいとか、初心者用的な位置づけでもあり、設計が経済的というかショボい部分もあって、まあスピニングとベイトキャスティングリールを使えれば、わざわざ使う必要性は無いと思っていた。

 ただ、この2台、ダイワ製で右の緑の顔のが「スーパーキャスト300」左青のが「スーパーキャスト250」、なんだけどフット裏を見るとどちらも「ASSENBLED BY PENN REELS FROM PARTS MADE IN JAPAN」となっていて、日本で部品作ってPENN社で組み立ててますっていう、日本じゃPENNの代理店だったこともあり、下請け仕事もしてたダイワの下請け仕事の一つかなというリールで、なぜか中古市場にはそこそこでてくるので、安いのがあれば確保しようと思ってたら、どちらも2千円からそこらでネットフリマに出てたので確保した。

 とりあえず、300の方から分解整備。
 単純な設計で部品数が少なめなのは好印象。
 緑の覆いを外すと、回転するローターに1カ所ピンクの棒がポチッと出るところがある。素材なんだろセラミックか?いわゆるピックアップピンで、巻き取り時に覆いとカップ状のローターの間でラインを拾ってローターの裾のところからスプールにラインを巻いていく。ローターのカップの上にはゴムの押さえパーツがねじって填めてあって、投げるときやサミング時にラインの放出を止めたりすることができる。右列が本体内のギアとかの様子だけど、ギアはローター軸のがまっすぐに歯を切った真鍮製、ハンドル軸がアルミっぽい白い金属の平面に切ったギアというフェースギア。心棒ごとローターが回転するので主軸は片面切ってあって、ローター軸のギアはその形に穴が空いてて填まってる。分解するには先が絞られていて心棒の端の方に引っかかるようになってるバネをちょっと広げつつ無理矢理抜く感じ。ローター軸の主軸に填まってるバネは常にローターカップを下げる方向に引っ張っているけど、写真右上のようにリリースボタンを押して主軸の後端を押し上げると、写真左下の、スプールの上の出ている真鍮スリーブの上に内側に引っ込むようにバネの力が掛かっているピックアップピンが引っ込んできて根元の樹脂パーツがスリーブの上に乗っかって、ピックアップピンが引っ込んで、ローターカップが上がった、”投げられる状態”になる。投げている途中でリリースボタンを押してライン止めのゴムを覆いに押しつけてブレーキを掛けることも可能。
 ハンドル巻き始めると、ピックアップピンが楕円軌道みたいな段差が設けられているスリーブの外側に移動していって、スリーブ外側面に落ち着いてピンが巻き取り可能な状態に戻る。巻き取りは、ローターカップの下面から高さの無いスプールの真ん中目指して一定の高さで巻いていくだけで、スプール上下機構とかはないので、ラインは真ん中が盛り上がりつつ上下にグジャッとややつぶれて巻かれていく。

 ドラグはスピニングリールのそれよりも、ベイトリールのそれに近いような構造で、スプールに設けられているのではなく、ハンドル軸のギアに設けられている。そうなるとスプールは回る必要が無いので本体にかちっと填まって回らない設計。ドラグがベイト同様ハンドル軸のギアにあるからか、調節幅を出すためのバネ的な機構は、写真右上のようにスタードラグの下の曲げたバネワッシャーが主なモノのようだ。ベイトのドラグのバネはだいたいこの程度のような気がする。
 ハンドル軸のギアの前後に銅製のドラグパッド?を挟んであって、ややウィンウィンするけど、それなりに調整もできるし強く締めることも可能な実用上充分なドラグになってる。けど、金属のドラグパッドって、ギアやらの接触面を削りそうなので、ギアの歯のある面はテフロンと、ストッパーの歯車とギア裏に挟まれる位置のものは自作カーボン製ドラグパッドと交換しておいた。やや滑りやすくなった感じだけど、ドラグとしては意外にまともな性能の設計。そのへんドラグなんて止まれば良いとしか考えてなかった我が国市場とちがって米国市場向けでPENN社が関わった機種ともなると、ドラグは使えるのが付いてないのは認められないということか。逆転防止のストッパーはギア裏の歯車に掛けるまあ普通の方式。右下の分解全体像見ても分かると思うけど、部品数が少なくて単純な設計なのは好ましく、何が少ないかというとスプール上下とベールアーム周りが無いっていうのが大きいのかなと思う。このぐらい単純でも機能としては魚釣るのに充分な機能を有しているようで、なかなかに興味深い。
 250の方も、基本構造は一緒で、糸巻き量が少なくスプール径が小さいのと、写真左中段のように逆転防止がオンオフできなくて効きっぱなしの仕様、ハンドル逆転はできないけどその分単純な設計になってる。バネを使わない方式で正転時はギア裏の歯車と接触する爪の、角度が開いた方が歯車と当たってカチカチと音を立てて、逆転時には曲がった方の爪が歯車にかちっと噛み合って止まる構造。
 ドラグは300同様に銅板のドラグパッドだったけど、こちらはオリジナル状態を維持することとして、そのままのドラグ構成とした。あと、PENNのリールではある種お約束の仕様といっていいかもだけど、銘板を貼り付けている接着剤がショボくて、中古市場に出てくるこれら2機種も銘板が剥がれていることが多い。今回250のほうは幸運にも銘板残っていたので、一回パーツクリーナーでふやかしてからアートナイフこじ入れて剥がして、接着面を綺麗にしてやってから、コニシの「SU」で接着し直しておいた。250の方は比較的綺麗な個体で、予備機としてあまり使わずに温存しておく方針。

 っていう感じで、分解清掃は終わったんだけど、単純で部品数少なく整備性の良い設計はなかなかにわし好みであり、今時クローズドフェイスリール使ってる釣り人って少ないから、釣り場で道具かぶりがないのも魅力的に感じる。ということで、実釣で導入してみようってなったんだけど、竿が無い。我が家には7月1日現在で121本のも竿があるんだから、シングルハンドのベイトロッドとかの上付けのクローズドフェイスリールに適した竿の1本や2本は在庫してるだろうって思うんだけど、なくもないんだけどイマイチ合わない。ダイコー「1#ー26HOBB」とバスプロショップス「マイクロライトIM6グラファイトML60MC-4」の2本はシングルハンドのベイトロッドでクローズドフェイスリールにも使えそうだけど、どちらもシーバスやメッキを想定するとごつすぎる。ならゴツい竿にあわせて太いライン巻いて根魚でも狙えばどうかと思うと、今度はリール的にあまり太いラインが使えないのがネックになってくる。どうするか?今時のベイトフィネスな竿はワシ強度的に信用ならんので買う気ないし、そもそも古いクローズドフェイスリールが似合わん。オモチャみたいなバスプロショップスで売ってるキッズコンボ竿みたいなのは高っかい送料、ドルを突っ込んでまで買いたくない。となると自分で組むしかないだろうなということになる。釣り部屋をごぞごぞして、それっぽいグリップやブランクスを見繕ってみた。
 グリップは誰だったかに、パーツまとめ買いしたときに入ってたけど使いそうにないからといただいたモノ、グリップジョイントにするための心棒として、ガイド取りに購入したジャンク竿のブランクス、元竿用には、釣り場で拾った折れ竿から適切な太さと堅さ長さの素材が切り出せそう。穂先はパックロッドとかの補修用にストックしているソリッドグラス、穂先と元竿を繋ぐのは、折れた竿の残しておいたブランクスからちょうど良い太さの部分を切り出して”外インロー継ぎ”で穂先を突っ込んで固定して、元竿を突っ込んで継ぐ方式とする。だいたい5.5fぐらいのやや柔らかめの竿に仕上げるだけの素材は問題なくそろった感じ。ガイドも各種在庫してあるので適宜使えば特に足りないものはなさげ。
 素材が揃ったら、ひたすら太さを合わせてどこで切るか、その微調整であるコミ調整と接着。気をつけなければならないのは、接続部分は竿の部分より接続用の心棒なり、外にかぶせる筒なりが弱いとそこがアッサリ折れるので、心棒なら補強にソリッドのブランクスを突っ込んだり、かぶせる筒部分には最低限スレッド巻いて補強をしておきたいところ。
 ガイドを止めていくラッピング方法については以前書いているのでそちらを参考にしてもらうとして、ガイド位置の決定方法だけど、似たような竿があればそのガイド位置を参考にするのが安パイだけど、ワシのように変な竿を組む場合、参考例が見当たらないだろうから、そこはある程度基本的な、曲がるところに多く真っ直ぐなところには少なく、っていうのを押さえつつ、一回マスキングテープとかでガイド位置仮止めで曲がり方とかチェックして、不自然な曲がりかたしてないか見ながら修正していくのが正攻法か。ぶっちゃけスピニングはラインがらせん状にばらけて出て行くので、ラインが暴れて絡んだりしないガイド位置やら高さに径にと色々考えるところがあるんだろうけど、クローズドフェイスリールは最初からラインはある程度絞られて放出されるので、あんまり考えずになんとなくで組んでみてダメなら再調整ぐらいの感じで適当にやっても、よほどのことがなければ1発で決まる。で、ガイド位置が決まったらスレッド(補修糸)で巻き巻きとラッピングしてグルグル回しつつコーティング。今回、とうとうウレタンコーティング剤の瓶を1本途中で固化させてしまうことなく使い切った。使う分だけ小出しにして、空気と触れて反応始まった液を瓶に戻さないということに気をつけるだけで劇的に保存性が良くなり長期保管できるので、何度でも紹介しておく。

 ただ、今回誤算たったのは、気温35度にもなるようなクソ夏の昼間にコーティング作業したところ、反応が進み固化する速度が速すぎて、通常半日ぐらいかけてゆっくり固まっていくので、スレッドの隙間とかから生じた気泡もはじけて消えていくんだけど、気泡がはじける前に粘度が上がってきて固まってしまい、クレーターだらけになってしまった。サンドペーパー掛けて、夜間に気温なんぼか下がったタイミングを見計らって再度コーティングせざるを得ずで、くそ夏はこんなところにまで影響が出ている。ついでに穂先に浮子用の蛍光黄色塗料塗って完成。あと300の方の銘板をでっち上げておきたくて、0.3mm厚のアルミ板丸く切ってPENNっぽい色目にしようと車用のタッチペンで赤く下地を塗って、白のプラカラーで字を書いてウレタンコーティングしたんだけど、赤が溶けて白い字がぼやけてしまって書き直した。出来映えは「ゆるふわ浮子」程度のナマジ品質。まあ銘板はそうやって作ることができるという手札が増えただけでも良し。タッチペンもプラカラーも完全に乾燥しきってれば溶けないけど、急ぎ作業で乾燥が甘いとウレタンで流れがち。気をつけてるつもりでもやってしまう過ち。

 で、2号ナイロン巻いて実際に釣り場に持ち出してみると、使い心地は悪くない。スプール幅が狭くて、投げたときのスプールの痩せ方が早く、スピニングだとあと一伸びしそうなところで失速する感じがして飛距離的には今ひとつだけど、軽いルアーもそれなりに投げられるしトラブルは起こりにくいしで、案外使えそうに思う。欠点としては飛距離よりむしろ、ラインの痛みが早いことで、最初にカバーの穴に思いっきりラインをあてているせいか、スプールを上下させる機構がなくラインはスプールにグチャッと巻かれがちなことも影響しているのか、意外に早くヨレヨレになってくる。、最初にやった釣りがジグぶん投げてタチウオ狙いだったので、ワシにしては投げまくったので、それもラインが傷むのが早かった要因かも。シーバス釣りとか軽めのルアーで近距離しか投げなければそこまで気にしなくて良いのか、そのへんも試してみたい。あと穴にSICのリングでも装着したら改善せんだろうか?

 いずれにせよ、初心者用というわりに、使いこなすにはそれなりに修練が必要な感じで、かつわりと使ってて楽しいリールなので、ちょっとこいつでなんぼか魚を釣るところまでいってみたい。
 今時のゼブコとかのクローズドフェイスリールにはPEラインにも対応してるのもあるようだし、スピニングにけったいな細糸巻いて扱いきれずにグジャグジャにして捨ててくような弩弓の輩どもは、トラブル起こしにくい構造であるクローズドフェイスリール使っとけば良いんではなかろうか?下付けタイプならスピニングの竿がそのまま使える。っていうのをどっかのメーカー流行らしてくれると、多少は釣り場に捨てられるラインゴミが減るのではないかと思う。「そんな初心者みたいなリール使うのはかっこ悪い」っていうなら、フェザリングでライン放出キチッと調節できずにラインからませてるオマエらのどこが初心者でないのか、お似合いと違うのか?申し開きがあるなら言ってみろソニンデラックスどもめ。
 持ってる道具で、素人か玄人か上手か下手かが決まるんじゃねぇぞ。道具を上手く適切に扱える釣り人が上手だって話。自慢するような腕がないから、道具しか他の釣り人と差別化をはかることができないって、釣り人としては終わってると思った方が良いとカリスマとしては思っちょります。

2 件のコメント:

  1. ZEBCOで最近良い思いもして海でも実力出せるようなセッティングになりましたが、
    クローズドフェイス意外と奥深くてこりゃ上向きもって考えてます。
    ダイワとZEBCO、合衆国で鍔迫り合い今でもやってますね



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    1. ダイワはクローズドフェイスは意外に作ってますよね。
      ゼブコの今時モデルがちょっと欲しくなってしまって困ってます。

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