2022年4月30日土曜日

密かに開催されていた春の大森祭り!

 ここ数年、春に体調を崩しがちで、なんか疲れが抜けない感じなのよね、とか思ってると、そういう不調につけ込んで大森熱はぶり返すのである。

 仕方なかったんじゃぁー!欲しかったんじゃー!!

 いつものことでございます。

 でも皆さん聞いてください、最近大森製作所謹製のステキなスピニングがとってもお安くって、買わなきゃ損損って感じなんですのよ。

 上段左から、マイクロセブンCS(落札1100円+送料660円、以下同様)、ダイヤモンドキングミニ(1200+940)、キャリアーⅡNo.1(1500+520)、マイコン301TB(1000+880)、マイクロ7No.2(2300+660)って、一番はりこんだアウトスプールのマイクロセブンで3千円以下、他のに至っては軒並み落札価格は千円台という、出品者さんが気の毒になる安さ。ワシならこんな値段しかつかんのなら蔵に大事にしまっておく。

 ちゅうことで、2月の終わりぐらいから4月までで、大森5台も買ってしまっており、反省の意味も込めて、なぜこうなったのか書き記して今後あやまちを繰り返さないように記録にとどめたい。ってなことはなくて、またどうせ欲しくなって買っちまうんだろうし、もう病に打ち勝とうなんていうのは諦めた。

 まあせっかく買ったので「また同じの買ってやがる」な機種もあるけど、初入手の機種もあるのでご紹介したくもあり、3回ぐらいに分けて”大森ネタ”でボチボチ書いてみようかなと思っちょります。

 まず、1発目の今回は「ダイヤモンドキングミニ」でございます。

 人気のない韓国大森時代の高級機種のようだけど、1200円で買えてしまえる不人気ぶりで、こんなもん紹介しても誰が興味あるねん?って感じですが、いつものとおりワシが書きたいので書いちゃいます。

 大森製作所のリールのサイズで一番小さいのはミニ(たまにM)となってるやつで、わが家の蔵には「アクションM」があるっちゃあるけど、大きさ的には特にミニではなく、わが家にある大森スピニングで一番小さいのは「タックルオートSS」と「マイクロセブンCS」の”SS”サイズで、ミニサイズってどんなもんだろうと興味はあった。あったんだけど、ミニサイズがある機種って限られていてオートベールとキャリアーぐらいしかあまり見なくて、あとは”S”となってるけどマイクロセブンVSは実質ミニサイズってぐらいかなと。マイクロセブンVSは高値安定で1万円以上していて実質いま大森スピニングで一番値段がつく機種の一つなんじゃないだろうか?っていうぐらいだし、キャリアーも安くなってきたけど5千円は切ってるところ見たことがない、かつミニはあんまり見かけない。オートベールミニは弾数も多くて値段もボロいと3千円台とかのときもあって、買うならオートベールミニかなと思ってたら、不人気韓国時代の機種であんまり知らなかったけど、ダイヤモンドキングにもミニがあるというのを、ネットオークションにかかってるのを見付けて初めて知ったところ。でもってこんなモン値段付かんだろうと1200円で入札しておいたら見事落札とあいなり、わが家にやってきましたとさ。

 確かに小っちゃい。冒頭の集合写真で左隣がマイクロセブンCSでこれもかなり小さくて可愛い機種なんだけど、もう一回り小さいのがおわかりいただけるだろうか。巻いてあった古いライン引っぺがして秤に乗せたら149gという超軽量。わが家のスピニングリールではぶっちぎりに軽い。樹脂製ボディーで単純な設計だからここまで軽くできるって話か。ワシ軽いリールに特に必要性を感じない人種だけど、それでもこの軽さはちょっと評価せざるをえない。軽い短竿にあわせて小っちゃい魚釣ってみたくなる。そうなると竿はどんなのが良いかなと、また買いそうになってしまったけど、一旦落ち着いて蔵に100本以上の竿があるんだから適切な竿の1本や2本転がってるだろう?と台帳チェックしたら、昔渓流で使ってたダイワのシルバークリークの5フィートちょいの振り出し渓流ルア-竿があったので、あわせてみたらちょうど良さそう。渓流でスプーンとかの巻きモノの釣りするには竿先がピンピンすぎて弾くので、グラス混でダルいブランクスのフェンウィックイーグルに変更したけど、とりあえずの対象魚として思い浮かぶのが、身餌とハリの重さで沈めてラインでアタリをとるフカセのマアジなので、シャキッとした調子の竿はアワセがビシッと決まりそうで良い塩梅の組み合わせになりそう。

 ということで分解して整備に入っていくんだけど、ラインローラーのあたりにちょっと見ただけで問題が2つあることが分かる。

 一つ目は、ラインローラーとベールアームのあいだにフチ付きのワッシャーがハマっておらず、それらしい部品がベールアームに固定するネジの方に付いていることで、このままだとラインローラーとベールアームの隙間にラインが噛んでしまう。これ組み間違ってるだろ?と、ラインローラー側にフチ付きのワッシャー持って来たらピッタリはまった。問題解決。

 もう一点が、上の写真でも分かると思うけど、ベールがタレてきてることで、こうなるとラインローラーが水平ではなくなるのでラインが転がりやすくなって糸ヨレの原因になりかねない。ベールアームの角度がおかしくなってるので、これは以前にもタックルオートSSで修正したことがあるので、同じようにラインローラーが水平になるように直しておこう。樹脂製ベールアームのベールが返ったときにガチャンと当たる部位に穴を開けて、フロロの5号を炙って当たる面を平たくした部品を作り、良い角度でベールアームが止まるように高さ調整して、さっき開けた穴に突っ込んで瞬着で固定、で無事ラインローラー水平確保。

 ついでに、出品者からの説明によるとベールの返りが悪くて手で返していた、とのことだったのでベールスプリング折れてるんだろうなと思ってたけど、見てみたら折れてなくてベールワイヤーが歪んでるのと、油ぎれが原因のようだったので、分解したときにそのへん調整してからグリスアップして組んだら問題なく回復した。

 でもって、分解清掃しつつ気付いたことなどあれこれと。

 まずはスプールなんだけど、ワンタッチ式でフェルトのドラグパッドの3階建て方式なのは良いとして、アルミのスプールがガワだけアルミで芯の方の素材は、セラミックなのか樹脂なのか良く分からん素材が使われている。アルミスプールより軽量化するためだと思うけど、この大きさのリールなら素直に樹脂スプールで良いんじゃなかろうかって気がする。まあ同シリーズの他の大きさとの統一感とかもあるんだろう。


 でもって、内部の機構的には特に目新しいモノが入ってるわけじゃない。というか大森スピニングにはややこしい機構が入ってないほうが望ましくて、その点、鉄系の軸を鋳込んだハンドル軸のギアでねじ込み式ハンドル、単純クランク方式のスプール上下(オシュレーション)、本体内部のローター軸のギア直上に設けられたストッパー、いつものグルグルしたバネが付いた大森式の内蹴りベールリターン機構、とそれだけ見ると大森らしくて良いんだけど、これがボールベアリングを3つも使っていて、カタログスペック的には大森スピニングとしては”奢った”設計なのに随所にケチ臭さの匂う代物で、正直どうなのよ?と感じてしまう。

 まずは本体の樹脂が安っぽい。キャリアーやマイクロセブンCシリーズの”無塗装グラファイト”樹脂の本体は何というか、ペンの第3世代(5500以下)の黒い本体とも相通じるんだけど、樹脂なんだけど割れたり削れたりすると、ちょっとセラミックみたいな質感があって樹脂に炭素繊維とかを添加して強化してあるっていう宣伝文句が納得できる。でも、この時代の日本製リールの多くがそうであったように、このリールの樹脂は安っぽいただのプラスチック感が漂っていて、実際には硝子繊維添加樹脂とかそれなりには丈夫な素材なんだろうけど、柔らかそうに見えてしまう。実際に同時代の韓国製”チープ大森”の「アクションM」は樹脂製のスプールが上下に割れて殉職した。

 でもってストッパー。ステンレスの丈夫なのが付いているのは良いんだけど、作りが”打ち抜き”で作った平べったいのを2枚重ねしてあるのが写真でおわかりいただけるだろうか?従前の鉄系っぽい削り出しかなんかで加工した一体成形のものに比べるとちゃちい。ちゃちいのは性能的に問題なければ良いっちゃ良いンだけど、そのせいかローター軸のギアのはめ込み方が、ギアにストッパーとスリーブを填めた上で本体内側から所定位置に入れて、その後ローター側からベアリングを填めるという構造になっていて、これが整備を想定していないのか、ベアリングを外すための取っかかりもなにもなくて、実質ハメ殺しになっている。この位置のベアリングは錆びることがありベアリング錆びても交換すれば使い続けることができるのに、そういったことに配慮がされていない感じで非常に気に入らない点である。

 でもって、ベールリターンの蹴飛ばしが本体樹脂そのまま剥き出しで一体成形されたものなのも、イマイチ気にくわないところ。樹脂ボディーで単純設計のキャリアーはここのところに、青銅製のカバーが付いていて、簡易なローターブレーキとして意図しないベール返りを防ぐと共に、樹脂みたいな削れる素材に、何度も何度も当たるハズの内蹴りの金属パーツが当たっても大丈夫なように保護にもなっている。まあ、金属製本体のリールにも付いてるんだけど。

 とはいえ、整備して組み上げたこのキングミニ、使えないかというと充分使用には耐えるだろう。実際使ってみようと思って0.8号ナイロン巻いて出番待ちにしている。軽いしすぐに壊れるような作りではないし楽しく釣りはできると思っている。

 ただ、こいつが当時の韓国大森が高級機種として1万円を超える価格で出してきていたというのを考えると、バカにするな!と思ってしまう。ベアリング数が当時としては多い3個で見た目がなんか白くて銀色で高級そうで、っていうだけでなんら”高級品”たりえる要素がない。こんなもんネジ込みハンドルじゃなくなるけど、同じ韓国大森のポスカの方がまだしっかりした作りだと思う。

 単純な設計の軽量小型機を目指してみました、っていうならある程度それは成功しているけど、単純設計軽量小型機なら、キャリーアーミニが145gとかで、ストッパーもしっかりしてるし簡易ローターブレーキも付いているし、本体の樹脂素材も良さそうだしで、もっというなら、定価も半値程度とお安くて、キャリアーミニの完封勝ちである。

 だから、大森製作所はなくなってしまったんだ。っていうつもりは毛頭ない。このリールと同じような、もしくはもっとひどいペテンみたいなリールを作ってた会社が今でもリール作ってるし、あまつさえ、今でもペテンみたいなひどいリールに信じられないような値段をつけてたりするし、それをありがたがって買ってる釣り人さえたくさんいる。

 今時のアジングとかで使うリールでも軽いのは145gとかだそうである。キャリアーミニってすげーリールだったんだなと改めて思う。今の金属やら樹脂やらの素材の進化や設計技術の進歩を目一杯使って、キャリアーみたいなボールベアリング1個で諸悪の根源”瞬間的逆転防止機構”無しの単純設計のリール作ったら、どれほど軽量、高性能なスピニングができるのだろうか?100g切ったりして?

 ただそういった素晴らしいリールが作られることは、当面はないだろう。なぜなら良いものを作れば売れるなんていう単純な世界じゃないからな。ボールベアリングの数が他社製品より少ないと評価されず、値段が安いとありがたがられない、そういうようなバカばっかがウゾウゾしてる市場が釣り具市場だから、何でも作れる凄い技術を持ったメーカーもそういう良いリールは作ることがままならんのである。

 ベイトリールはまだ”回転性能”っていう、技術の向上が性能に直結する部分があるので、基本は”丸ABU”の時代でデキてるとはいえ”お金掛けて性能を買う”というのはある程度あり得るとは思う。でもスピニングリールって投げる能力はスプールエッジの形状とか密巻きか綾巻かとかの単純な要素で既に改良する余地は少ないし、巻き取りも別に普通で困らないし、ドラグなんぞ気にいらんかったら素人工作で好きなようにデキるしで、とっくの昔に技術の限界まで来てて性能の進歩なんてほとんどしてなくて、後は巻き心地だの趣味の世界だったり、下手クソでも不具合無く使えるようにとか、ヘビ描いてから一生懸命足描いてるようなことしかやってないように感じる。ドラグがリアドラグになってフロントに戻って、スプールが長くなって短くなって、行ったり来たりしているけど結局特殊な用途に使うのでなければ”普通が一番面倒臭くなくて良い”ってところに戻ってきて終わる。

 そういうあっち行ったりこっち行ったりしてるスピニングリールの歴史における、パッと散った徒花であるこのキングミニ。少なくとも何万円も出して今時の小型軽量機買うよりは、気分良く釣りできそうなのは確かだし、ワシにはお似合いなのかなと思ったりもする。最高の逸品でなければ釣りが楽しめないかっていったら、そうじゃないよねって話。釣り場で釣り具が下手クソとかぶらないだけでも使う利点はある。道具見て鼻で笑いやがる輩を釣果でもって泣かせてやれば、さぞ気持ち良いだろう。ワシ性格悪い!

 ペテンじみたクソリールを向こうに回すに際して、この程度のリールがむしろちょうど良いんじゃなかろうか?って思ったりするのよね。

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