2025年10月11日土曜日

もっと長く!

  根魚クランクはぶっちゃけあまり魚が釣れる釣りではない。ひたすら条件の良い、雨かウネリかでちょっと時化気味の日に出撃を繰り返す釣りで、魚が寄っていれば勝負は早いけど、やることはポイントごとの水深とかの地形把握が終わっていればクランクぶん投げて巻くだけの簡単なお仕事であり、シーバス狙いと一緒で”お楽しみルアー”でも持ち込んで遊ばないと飽きてしまう。

 というわけで色々持ち込むんだけど、ハッキリ言って浅い水深ならともかく、太いリーダー背負わせて海水に3mも潜らそうとすると、それだけの潜行能力を持ってるルアーって限られていて、棚を維持して引いてくるのが難しく根掛かり地獄のドボンと沈んでいくモノを除いて、浮いて引っ張ると潜ってくダイバー系のルアーだとほとんどディープクランクのたぐいしか選択肢はない。過去にも書いているけど、深く潜るためのデカいリップを支えて浮いて、かつ深く潜るための助走距離にもなる飛距離も稼がなければならんとなると、太くてコンパクトにまとまったクランクベイトのボディー形状は好適で理にかなっている。

バス・マス用ディープ?ミノー
 「ラリーニクソンとか琵琶湖に来たときにレーベルのロングビルとかディープダイビングなミノーなげてたやんけ、アレでいかんのか?」と思うかもだけど、遺憾ながらいかんのである。あの手のバス用のディープミノーはせいぜい潜って2mがところで、レーベルのロングビルもTDミノーのそれも、バグリー「ダイビングバンゴー」やメガバス「リバイアサン」、ベルズ「マジェンダ」あたりもカタログスペックで2m行くかどうかで、ベルズ「マジェンダ」あたりはワシャ長めのクランクベイト扱いしているけど、淡水で12LBナイロン直結とかでそのぐらいだと、実際に50LBリーダー背負わせて海水で引っ張ると、せいぜい1m強しか潜ってない感触である。リップの大きなミノーとしては他にマス用のバスディ「シュガーディープ」、ザウルス「レックスディープ」とかもあるけど、さらに細いラインの使用が前提であり、1mも潜るかどうかという感じになる。

 ただ、バス用やマス用にこだわらなければディープに深く潜るミノーは存在する。さっき書いたクランクベイトの反対に、デカいリップを支えきれない細いボディーの浮力と、飛ぶときは後方になる、前方に突き出したリップが比重が大きいので”前方重心”で姿勢が安定させにくく投げにくい、っていう2つの問題も、相応にデカいというか長いボディーにして投げずにトローリングでもしてしまえば解決する。トローリング用のミノーには30フィート(約9m)ダイバーとかもあって、過去デカミノーをネタにしたときにもそういうデカブツを取り上げている。ただそいつらは2つの意味で投げにくい。一つめには心理的に、20センチぐらいある太めのミノーはちょっと投げるのをためらうぐらいにはゲテモノ臭が漂う。海の魚は20センチの餌ぐらい食う大きさのはいくらでも居るし、冬の泳がせでは25センチ以上のカマス餌に根魚やら青物やら釣ってるのも目にするので、投げりゃ良いンだけど、次の2つめの理由もあわせると、どうにも投げにくいのである。2つめの問題はトローリング想定であり投げる仕様にそもそもなってないので、前方重心でかつ動きの良さを担保するためだろうけど、大きさのわりには軽くて空気抵抗ばかりクソ大きくて、ぶん投げても飛行姿勢安定せずクルクルしながらすぐ失速ボチャンとなって、飛距離が出なければせっかくの潜行能力も生かせないという問題。

マジェンダ軍団
 ただ、マジェンダのようにミノーとクランクの中間的な形状であれば、投げやすいバランスに仕上げることはできるし、潜行能力も探せば十分なモノはあるんじゃないか?あればあったでコンパクトにまとまった太短いクランクベイトとは違うミノーの”長さ”が効く場面とかあるんじゃなかろうか?そう信じて集中力持続させて投げることができるようなルアーが、このありとあらゆる種類のルアーが作られて来たなかで一つも無いってこともないだろうと、気になるルアーがあれば探っていた。ちなみに写真のマジェンダ軍団は固定重心と重心移動版に分けてあって袋に詰めてるのが固定重心。

左上マグナムウォーリーダイバー、左下サンダークランク08、右ディープX200
 結果、やっぱり無いわけじゃなかった。一つにはマジェンダを例に出したけどクランクっぽい太いミノーであれば、充分潜って充分投げやすいっていうバランスのものはある。コットンコーデル「マグナムウォーリーダイバー」あたりがそれ。ストーム「サンダークランク08」も”クランク”って言ってしまってるぐらいだけど、ストームのサンダーシリーズは紛れもないミノーなので、まさにミノーとクランクの中間的な存在なんだろうと思ったけどイマイチ潜らず。一方マグナムウォーリーダイバーは3mぐらいは潜ってくれる。合格。既に1軍入りしているメガバス「ディープX200」もクランクですって扱いだけど、わりと細身でミノーとクランクの中間であり、まあこのあたりは逆に言うとクランクとの違いはそこまで無いのかなと思う。太いミノーは長いクランク説の実例か。

上から5つディープウォールアイ、下2つ5XD
 そんなわけでミノーっぽいミノーにトローリング以外で深く潜らせるのはしんどいかなと思っていた。ところが、深く潜るミノーっていうことでトローリング用と思われるけど、アメルア通販サイト店じまいセールで、どうせなら普段買わないようなのを買おうと手を出したバンディッド「ディープウォールアイ」っていう、名前のとおりウォールアイ用のミノーがなかなかにやりおる感じで、投げやすく良く潜ってくれた。見た目はロングA15Aに今時っぽいしゃくれたディープダイバーの幅広リップが付いてるだけでなんてことはない。トローリングで最大27フィート(8m強)潜るっていうけど投げて使ったらそこまで潜る前に戻ってくるだろうと思ってたけど、使う前にトリプルフック3本仕様なのをシングル2本に変えたりしていじってるときに「コイツ(オモリ)動くぞ!」と重心移動であることに気がついた。なぜかしらんけどトローリングなら固定重心の方が動き安定するし立ち上がりも良いだろうけど、投げることも想定しているのか、とにかく重心移動搭載。実際投げて巻いてみると飛ぶし良く潜る。さすがに8mも潜らせられるほど飛んでかないけど、3.5mぐらいは潜ってくれていて、かつわりと急速潜行。クランクで比較すると一軍四番扱いのストライクキング「5XD」相当の能力があると思う。5XDはハッキリ言ってディープクランクの現時点での最高到達点だと感じているぐらいに完成度が高い。それと互角の潜行能力。ちょっとビビった。もちろん写真でも分かるように5XDの方がコンパクトにまとまっていて、ディープウォールアイは同じ能力だとしても長い。長いからリップを支える浮力的には稼げて当然ではある。あるけどそれにしてもやりおる感じ。深く潜るミノーは基本トローリング用の需要しかなく、重心移動にしてしまうというのは盲点だったのかもしれない。けど他にあまりない能力のルアーなので切る札としては面白い存在。バスでもシーバスでも使いどころあるだろうって思う。ただ見た目がもろ15Aのパクリなのはいかがなモノかと思ったけど、バンディッドもボーマーと仲良くプラドコ傘下のブランドになってるから良いのか?山賊がそんなこまけぇこと気にしねぇって話か。

 他に同じような能力のルアーが無いか色々調べてみたけど重心移動のディープダイビングミノーでかつ3m以上潜るってのは他にはメガバスのワンテンのディープタイプぐらいしか見つけられなかった。メガバスは現行モデルはちょっと高級すぎて手が出ない。型落ちになって中古が安くなったら買うか?近い条件でバスディ「ディープシェイカー」というシャッド系のやや長いミノーっぽくも見えるのもあったようだけど、重心移動のオモリが背中に回る設計で同ブランドのモーグルクランクでもそのケがあったと思うけど、底に当たってヒラを打つとひっくり返ってしばらく復帰しないらしいのでちょっと使いにくそうであり、人気も出ず廃盤らしく確保も難しめで入手していない。販売期間が短いことが多い国産品はディープダイビングミノー自体がマイナーな分野でもあるし弾数確保に難があるのは必然か。一方で、固定重心でもカタログ数値で3m以上潜るとなっているミノーはデカブツ以外でも改めて注意して探せば見つかった、ていうか蔵に転がってた。写真一番上のハトリーズ「スティッキー3」が3m、ボーマー「ロングAディープ25A」が12フィートで約3.6m潜るカタログスペックになっている。どちらも太くて長いクランク系ミノーではあるけど、前述のウォーリーダイバーとかよりはミノーっぽい。25Aのほうはシーバス用に買ったけど、リップでかくてスピニングのシーバスタックルでは抵抗大きすぎて巻きにくくて、一つ下の24A(写真上から2番目)は使えそうだけど、25Aはちょっとしんどいなと思ってたけど、ディープクランク投げるための根魚クランクの道具で投げて巻くと、意外にベイトで投げるとスピニングで投げたときの印象と違い飛行姿勢安定して飛ぶし巻き抵抗もさほどではなく、潜行能力も50ポンドのリーダー背負って海中3mぐらいは潜ってくれる。これはまずまず使えると見直して合格点出した。一方スティッキー3のほうはハトリーズのルアーは基本8LBナイロン推奨であり50LBリーダー背負わせると1.5m潜ってるかどうか怪しいぐらいで潜行能力不足。って感じで25Aは良い暴れっぷりでアピール度高く良い札かも。そして買い増しせねばと悪い病気が出る。バンディッドのディープウォールアイは今日本じゃ売ってないみたいで中古も弾数少なく買い増し思うようにいかないので、その点でも25Aは優秀。なんぼでも買える。さすが老舗のボーマーブランド。

 という感じで、深く潜るミノーもあるっちゃあるので、気分を変えて”変えると来る”を期待して今後は投げてみようと思う。まあ近所漁港では根魚に向かってディープクランク投げてる釣り人など居ないので、使ってる人間が少ないルアーが効くって要素はないにしても、ワシが近所漁港の根魚をクランクにスレさせているという懸念があると言えばあるので、手変え品変えしておくのは退屈がしのげる他にも意味があると信じておこう、という締めくくりのルアー図鑑うすしお味第81弾でした。

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