もう、当面使う実釣用の機種は確保済みで、買わなきゃならない機種も別にないんだけど、不当に安い出物があると「ワシが買ってあげなきゃ!」って思わずマウスが滑るのであった。今回は「ジグマスター505HS」っていうサーフキャスティイング系の高速ギア機種が2台で替えスプール体制バッチリだったのと、PENN社の歴史上もっとも初期から存在したロングビーチシリーズの末っ子「60ロングビーチ」は1台ぐらいあっても悪くないなって感じのお得な3点セットが千円開始で出てたので、まあ2220円ぐらいで入札しておくかと入れておいたら、1530円と細かく入札してきた競合者をおさえて落札。両軸受けリールって今時のがどんなことになってるのか買わんから知らんけど、両軸はそんなに複雑化する要素もないし、この3台を選ばない明確な差違など無いだろうと思うんだけど、なぜこんなに安い?ギア比がこの時代の設計のは低すぎて巻くのが遅いってのはあるかもだけど、2.5:1のロングビーチはともかく、ジグマスター505HSの”HS”はハイスピードの略でギア比5:1。今時の高速機は6:1以上あったりするけど、スプール径も大きいので充分高速巻き取り可能だろうと思う。両軸だから強度が問題にはなりにくいし、ドラグはPENNだから良いに決まってるし、国産高級機種ってなにをどうしたらそんなに金額上げられるのかよく分からん。アルミ削り出しフレーム?小工房で作ってるような売れる数も少ない機種ならそっちのほうが良いだろうけど、大手メーカーで沢山売れるなら金型代回収可能だろうし、樹脂に金属フレーム足して強化しておけば足りるでしょ?っていうかさんざんPENNの真似してそういうリール作ってきたはずで、そいつらがダメだったようにも思わんのだけど、両軸機には馴染みがないのでワシが知らんだけで今時の両軸機は進化してるのか?構造的に一緒のようなものしかないと思うけどどうなんだろう。PENNでもジグマスターシリーズの「500」はいまだ現役カタログモデルだし、今時な6.1:1の高速機の「スコールⅡ」シリーズも樹脂に金属フレーム強化で190ドルぐらいの販売価格で高級ってほどでもない。国内だとピュアフィッシングジャパンが正規に扱ってるのはフルメタルのファゾムⅡが主のようで3万円ぐらい。ダイワのソルティガだと6万円ぐらいするけど、倍の金払うような違いが生じるとは考えられん。そもそも最初の頃のソルティガの両軸って石鯛用のシーラインの色違いみたいなんじゃなかったっけ?PENNでもトルクシリーズとか高級機種もあるから、旗艦機種が高価なのはそういう高級機種をありがたがるお客様用ってことか。まあワシには関係ないわな。
ジグマスターは、日本じゃれいによって石モノとかぶっ込みタマンとかの釣り人が愛用していたようで、巻かれていたオレンジの道糸は10号ぐらいあるゴツいナイロンラインで、そういう強めの道具構成で大物狙いっていう使い方だったようだ。2025年8月9日土曜日
三体(再びの)
従来型PENN両軸機買ってて毎度のように思うのは、昨年、昔の塩鮭みたいに塩吹いた大森三台買ったときもそうだったけど、今回の従来型PENN両軸機三台も典型でヤフオク1540円落札+送料940円と、手間賃考えたら絶対出品者さんに儲けなんて出てないのに、丁寧に梱包してくれてあってありがたいとしか言い様がないって話。三台まとめては、どちらの出品者も釣り具専門じゃない中古品屋さんで、こういう値段にならないモノでもコツコツ売りに出して商売されているんだろうなと思うと、改めて銭を稼ぐのはどんな仕事でも大変だなと思わされ頭が下がるところ。「こんなもん値段もつかんから捨ててしまえ」ってなったら、ワシの元にリールが来なくなってしまう。まあそれはそれで「「ある」のがいけない!!!」 の逆で無きゃ買えないので症状は治まってくれて良いのかもだけど、そんなのつまんねぇって話で、ワシ、欲望にかけるブレーキなんぞとっくに壊れてるからもっと買いたいのである。と同時に従来型PENN両軸機のような、今でも充分に実用性が有り、かつ堅牢で整備性が良く”面倒くさくない”リール達が、時代遅れのゴミとして中古市場にも出てこずに捨てられてしまうことをどうにか避けたいので、微力ながら、その魅力をお伝えできたらなと思っている。マジでPENNの両軸は値段に現れない価値がある超級実用品だとだんだん理解できてきた。
米本国でっていうか、もともとどういう用途で設計されたリールなのかなと、ミスティックさんところのリール情報覗いてみると、1983年のPENNカタログから「ジグマスター:ゲームフィッシュはライブアクションルアーを好むため、ジグマスターリールを使用すると、ストライクとキャッチがさらに増えます。独自のハイギア配置と大口径のスプールにより、これらのリールは簡単にキャスティングでき、高速リトリーブができるので、使うのが楽しくなります。」ってな引用がされていて、メタルジグぶん投げて、ハイスピードリトリーブで勝負するためのリールとして生み出されたようだ。
さらにリール情報には2000年のカタログからもなかなかに痺れる宣伝文句を引っ張ってきてくれていて、曰く「ジグマスター:ハードな釣りをこなすソルトウォーターアングラーにとって、サーフマスターなどのペンの汎用型リールは、母親、アップルパイ、そして古き良きアメリカと同じくらい高く評価されています。これらのリールは、耐久性のあるアルミスプール、精密加工されたギア、ペンの有名なHT-100ドラグパッド使用の多盤式スタードラグなど、本格的な機能を有する価値あるリールです。サーフのストライパー、ビーチのコビア、または外洋のビンナガにカツオの群れ、ヒラマサにも最適です。」だそうで、おそらくサーフマスター、スクイダーと併せて主にサーフでストライパーを狙う東海岸の釣り人用だけど、ちょっとハードめな獲物なら岸からでも船からでも何でも来いなぐらいに十分な基本性能と汎用性を持って愛されているリールとのことであろう。自社製品を褒め称える宣伝文句など耳タコではあるけど、”オカーチャン並みの製品”ってのは、並々ならぬ自負がうかがえてなかなかに心に刺さる口説き文句になっている。
でもって分解していくと、ジグマスターシリーズの最初の「500」は1950年代に登場だけど、ハイスピード版の「505HS」は1985年の登場だそうで、比較的設計が新しく、コレまでいじってきた機種と微妙に違うところもあったりして興味深い。
コイツもスクイダーと同様に”テイクアパーツ”機構で本体側がネジ一つ手で緩めてグイッとひねると外れる設計。
オオッ!と最初に目に付くのは、本体の直径ギリギリまで使って大型化したメインギア。本体にハメ殺しの補強の金属の輪っかの一部削れてというか凹んでいてホントにギリギリ攻めている。これ以上メインギアを大きくしてギア比を上げるとなると、今時の高速機みたいにメインギアの部分だけ飛び出した形状にする必要がでてくるだろう。あれハンドル位置を下げて巻きやすくする意味もあるんだろうけど、大元のところはギアの大型化でそうせざるを得ないんだと理解できる。
そして外観では、ピラー(横棒)が二本が融合してプレート状になっていてガチッと強固な面構えになっていて、実際ゆがみとかには強くなっていそう。ベアリングは2+1となっているけど、ボールベアリングは2個ハメ殺しのが入ってるのは確認できる。側板側のボールベアリングが入ってる部分はキャスコンつまみ?になってるけど、摘まんで回す方式ではなくコインかなんかで回す方式でやや面倒か。
内部構造では、ピニオンギアを填めている横板をバネに逆らって沈めてクラッチを切る方法が、これまで見た機種では斜めの突起部で”押して”いたのが、505HSでは”引いて”いるという違いがあり、理由があるのだろうけどなぜそうしたのかよくわからんかった。
そしてワシ的に評価が高かったのは、逆転防止の方式。絶対にこっちの方がやりやすい。これまで見た機種は、本体の樹脂側に金属プレートを留めるネジを軸として利用して逆転防止の爪を配置していたけど、ギア入れるときに隙間からバネを所定の位置に収めるのはやや器用さが求められる感じだった。本機種では金属のプレートの方に軸が用意してあって、先にメインギアと逆転防止の爪はセットした状態で本体に填めることができる。そしてドラグはメインギアが大きくなってるので当然直径が大きくなっていて、時代も進んでからの機種なのでドラグパッドも最初から革製ではなく、カーボンの「HT-100ドラグパッド」だったのか、あるいは歴戦の機体のようなので前の持ち主が換装したのかいずれにせよ、カーボンパッドの申し分のないドラグになっている。
で、こいつが歴戦の強者なんだろうってのが偲ばれるのは、クリックブレーキの爪の摩耗具合で、この部品ハメ殺しなので交換するわけにいかなかったんだろうけど、写真真ん中のように先の方が削れてしまっている。国内で石鯛やらハタ系やらタマン(ハマフエフキ)やらあたりを釣ってたんだろうから、ぶっ込んでクリックブレーキでアタリを待っていて、ギィーヤーーッっと良い音で何度も鳴いたのか?あるいは止めきれない大物が掛かって、締め込んだドラグ逆転させながら突っ走られたのか?いずれにせよ釣り具として生まれて、その機能をめいっぱい発揮してきたんだろうと想像に難くない。前の持ち主の主軸機種だったのは、同じ機種をもう一台の二台体制を組んでいることからも分かる。もう一台は比べると損耗度が少ないので、こちらの個体がメインで使われていたんだろう。
このクラスの機種を前の持ち主以上に使いこなすというのはなかなか難しいだろうけど、快調に整備してやって遠投修行に付き合ってもらって稽古付けてもらおうと思っている。
ワシが従来型PENN両軸機でのルアーキャスティングに苦戦している様を心配しMasahiroさんからご助言をいただいていて、曰く「親指をフランジに!」というのがキモだそうである。で、ジグマスターはやや大きめの機種(30lb/275ヤード)なのでフランジ部も大きく練習には最適だそうである。ジグマスターのカタログには樹脂製のスプールには"Easy-Thumb Spool Flanges"というのが付いているとの説明があるようで、Masahiroさんによると「フランジとはスプールの両端にあって、内側に向かってはみ出している「つば」部分のことです。キャストし、スプールがフリーになった後は、この「フランジ」部を親指で触ったり、離したり、強く抑えたり、弱く抑えたりしながら、回転を調節します。いわゆる「サミング」ですね。
ライン部に親指を乗せて「サミング」してもいいのですが、ライン部は当然、ラインの放出に合わせて高さが変化していきます。一方で「フランジ」部は、どれだけラインが放出されようが高さは変わらず、親指を使って一定のプレッシャーをかけやすいのです。また、ラインを直接触らないので、ラインが傷んだりすることもありません。
私の場合、この「フランジ」部を使うことに気づき、そして練習をしたら、スクイッダーでもジグマスターでも、磁石なしで、まったく普通にキャスティングできるようになりました。」
とのことで、ワシもその域に達するべく、ちょっと両軸受けリールでの両手投げのクンフーを積んでみようかなと思っちょります。ということでマグ化は今回無しで。
ちなみに、真ん中写真の右「スクイダー140M」に付いているような真鍮クロームメッキの丈夫なスプールはキャスティング用ではなく、船でのトローリングやら底釣りを想定していてキャスティング用ではないというPENN社の整理だそうで、そうであればフランジも空力ブレーキも付いていないこととも整合性がとれてなるほどである。まあ重いスプールは回り出しも悪いし回り出したら止まらんしで回転慣性がデカすぎてキャスティング向きじゃないわな。今回の505HSには丈夫で軽量なアルミスプールが装備されていて、キャスティング対応で立派なフランジが設けられている。いっちょやってみますかね。ってなると竿が一本欲しいんだよな。ぶっ込みに使えるような石鯛竿か長めの船竿あたりにまた症状が・・・。
もういっちょは”THE従来型PENN両軸機”っていう感じの「ロングビーチ60」。ギア比はさっきも書いたけど2.5:1の低速機、糸巻き量はジグマスターと同じ30lb/275ヤードで、このサイズは石鯛釣り師御用達だったように記憶している。今時の高速機種に馴染みがあると、いかにも遅いと感じるかもだけど、低速機には力強く巻ける、巻くのが楽っていう利点があるので、ルアーを高速で動かさなければならんとかでなければ、魚とのやりとりで力勝負できるのは大きな利点ではある。ぶっ込んでおいて魚掛かったらドラグ堅めでグリグリ巻いてくる釣りなら大いに使いどころがあるだろう。
歴史的に1933年のPENN最初の市販リールの一つがロングビーチだったって話は以前紹介したところだけど、その頃から設計は基本一緒だと思うので、単純にして問題の少ないある種の完成形だったんだろうと思う。そのへんは後発のメーカーであり、PENN社を起こしたオットー・ヘンツェ氏はオーシャンシティーで働いて、リール造りのイロハを学んで吸収してから独立しているから可能なことだったんだろう。にしても今回一台目に紹介したジグマスター505HSは1985年登場のだけど、しっかりその設計を継承しており、多少のマイナーチェンジにとどまっているところなど、50年使えるのはPENNならむしろあたりまえとして、売り続けられる設計というのは何気にすごいことだと思う。
キャスコン摘まみを兼用した金属製のスプール軸受け。真鍮を多用した部品を使い確実に作動する逆転防止やフリースプールのクラッチなども後の世界標準になったんだろうけど、なんといっても、樹脂製の側板と本体を金属製リングで補強して、金属製ピラー(横棒)とフットをネジ留めして必要な強度・精度を出す方式、革パッド使用の三階建て方式の優秀なドラグは、これぞPENNという設計と言えるだろう。
新たな釣法や、新技術、時代の流行なども取り入れつつ、今でも従来型PENNにはロングビーチから派生していったような機種が作られ続けている。なかなかにすごいことだと思う。
ロングビーチ60にワシが出番を作れるかというと正直微妙だけど、売ってもそれこそ2千円になれば御の字では、手間に見合わないので蔵に転がしておいて、必要な場面や人が現れたらゴソゴソ出してくることとしよう。しっかり全バラ整備してグリスとオイルぶち込んだので、いつ出番が来ても良い状態で働いてくれるだろう。
という感じで、安く落札できたら御の字って入札しておいてもあっさり落札してしまうような不人気分野なので、あれよあれよと蔵に積み上がってしまい、この夏は従来型PENN両軸機を毎日のようにいじくっている。いじくってばかりではしかたないので、釣り場に持ち出して大型両軸機両手投げの練習もしておかねばだし、なにより魚を釣らねばである。従来型PENN両軸機が魚を釣る能力的にいまだ優れているということは、いじくっていて確信するところなので、実際に釣ってそれを証明しておきたい。
と同時にまだ何台か紹介しておきたい機種もあるし、関連した小ネタもあるので、あと何回かPENN両軸ネタ、お付き合いいただきたい。
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ナマジさん、今回も楽しく読ませていただきました。
返信削除また、いろいろ引用してくださって、ありがとうございます。
スプールのフランジを使うことには他にもメリットがあり、ラインを直接押さえる時よりも、親指が熱くならないような気がします。
ラインを直接押さえる時は、手袋を使わないと親指が火傷してしまいそうになるのですが、フランジを押さえる場合は、手袋がなくても大丈夫な場合が多かったです。また、邪魔な手袋が間に入っていないので、より繊細なサミングができました。
スプールの材質や、フランジの幅や角度などにもよると思いますが、フランジを使ってサミングをしたほうが、総じて、親指は安全でしたよ。
こちらこそ色々教えていただきありがとうございました。
削除確かに、大型機種の勢いついて回ってるスプールは相当なエネルギーもってそうなので、指の保護も考えた方が良さそうですね。フランジ意識して投げてるときは指が痛くなることはなかったので、しばらくはフランジを手袋なしで押さえてコントロールする方針で練習してみようと思います。
私は青物狙いの両軸じゃ必ずフルのグローブ付けて使ってます
返信削除で、スピニングじゃ殆ど擦り減らない親指の生地が両軸だと結構薄れてきます。
落とすだけに過ぎないジギングですらそれですから投げるとなると
対策は必要だと思います。
昔のエビスフィッシングのカタログには親指保護のサミンググローブってのが
載ってました。
私はむしろスピニングで手袋出すことが多くてシイラタックル以上だとほぼ手袋ありでした。
削除大型の両軸の本格導入は初めてなので、そのへんも含めて詰めていかないとですね。ぶっ込み程度の投げる頻度なら手袋いらないと感じましたが、青物狙いでルアー投げるとかとなったら確かに必要になってくるかもです。
手袋について興味深い内容をお話しされていますので、横からの飛び入り、失礼致します。
削除私の経験談なのですが、手袋は、キャスティングの局面以外でも必要になる場合があると思います。
レベルワインドなしの両軸リール(AvetやSeigler)でPEラインを使っていた時に気づいたのは、PEラインは表面が凸凹しているため、それが極小のノコギリのように機能してしまい、いわゆる「指レベルワインド」している親指の腹がそのうち裂けてしまうということでした。
気づくと、細くて赤い傷が親指の腹に開いていて、すごく痛かったです。なのでPEラインで指レベルワインドするときは、手袋が必須だったのですが、その手袋も、同じ場所がそのうち裂けてきて交換する必要があり、頭が痛い問題でした。
そこで、ナイロンのモノフィラメントラインを使うようになりました。ナイロンラインには凹凸がないので、十分に太ければ、摩擦熱こそ時に感じますが、指レベルワインドしている指の腹は裂けませんでした。
が、やはりPEを使いたい気持ちがあり、でも親指に傷ができるのは嫌だったりで、ここしばらくレベルワインドなしの両軸の世界から離れている状況です。
”PEライン指レベルワインド”で切れるのは痛そうですね。
削除今のところナイロンの予定ですが、PE使うことになったらそのへんも頭に入れておかねばですね。