2016年1月17日日曜日

家電量販店の明日はどっちだ

 街の電気屋を価格競争でつぶしまくって王位についた家電量販店が、今度はネット通販にシェアを喰われて青息吐息だというのはよく目にする話である。王を殺して王位についた者が、今度は自らが殺されることにおびえる羽目に合うというのはありがちな話というか世の常である。

 年末、前のパソコンがいきなり壊れて、手っ取り早く次のパソコンを手に入れるには、ある程度現物のストックがあって買ってそのままお持ち帰りできる家電量販店しか選択肢がなかったが、時間があれば、値段重視ならネット通販だし、アフターサービスや商品知識重視ならパソコン専門店で買いたかったと正直思っている。

 今日、買ったときに古いパソコンの買い取り優待券というのをもらっていたので、「数百円にしかなりませんが」ということだったが、回収業者に持って行けば手数料とられるし、なんぼかましかなと車で持ち込んだ。
 結果、買い取り価格が200円というのは、壊れた古いパソコンに手間掛けるほどの商品価値があるわけではないので、処分費用とられない分もうけたぐらいの感じだったが、データの消去に5000円もかかると聞いて耳を疑った。パソコン壊れたと客が言ってるのにデータ消してるわけないだろ、そのぐらい優待券渡すときに説明しとけよという感じである。ちなみに優待券の細かい説明文を読むと書いてあるらしい。読むかそんなもん。
 5000円が相場なのかよく分からないが、そんなもんハードディスク取り出してトンカチでどついとけば小型金属でゴミの日に出せるし自前でできるので、「じゃあハードディスクだけ取り出してください」と依頼したら、それも5000円かかるそうである。ネジ回してカバー外してガションとハードディスク外すだけの簡単なお仕事に5000円でっセ!

 要するに、あんまり低額のショボいサービスには技術者の労力なり運送やら保管やらの費用なりを割くのが惜しいので、何かサービスで作業したら工賃は最低ライン5000円ということにしているのだろう。クソのようなサービスレベルである。
 「製品バンバン買いやがれ、しちめんどくせえ修理とか持ってきやがんじゃねェ!」と王様は言外におっしゃっておられるように感じる。
 それがいやなら、月々2000円から払うサービスパックに入ると1回の工賃はだいたい500円くらいになるという説明を受けたが、そんなもん毎月2000円分以上もトラブル起こるようなモン買うかボケという話で、情報弱者の年寄りを食い物にしている気配のするサービスである。じいさんばあさん可哀想に、かわいい孫の写真とかメールとかで欲しいと思って家電量販店にパソコン買いに行くと、こういういかがわしいサービスに絡め取られて少ない年金から小銭をせびられる目にあうのである。明日は我が身というかもう半分絡め取られているような状態なので身につまされる。持ち帰ってハードディスク外してまた持ってくるのもめんどくさいので、王様には5000円献上しました。外税で税まで取りやがってクソ腹立つ。5000円ぐらい払えんほどお金には困ってないけどいちいち腹が立つ。不当に虐げられた人民の気持ち。

 ネットじゃない実店舗の利点って、現物があることで触って比較とかできることとか、人間による対面サービスが受けられることとかだと思うけど、家電量販店のサービスははっきり言って今日の事例にみるようにクソである。
 商品知識もバイトに毛が生えたような店員に何の知識を期待できるかというもので、むしろ知識が無いよりもっと悪い場合もある。昔、フィルムカメラ末期に幅の小さいフィルムのアドバンスト何チャラフィルムという規格が出たのだが、カメラ落として新しいの買うのに普通のフィルムカメラは防水の手頃なのが無くてアドバンスト何チャラフィルム対応の機種しか無かったので、「こんな幅の狭いフィルムで画質どうなのよ?そもそもフィルムカメラって残っていくの?」と家電量販店の店員に聞いたところ「画質は問題ありません、これからのカメラはこの規格が主流になっていきます。」といけしゃあしゃあと答えよった。思い出してもクソ腹立つ。
 あからさまにフィルム業界の悪あがきの規格で売れなさそうなモノを、ノルマとかあるんだろうけどとにかく売ろうという意図しか存在しないセールストーク。そこには顧客満足とかそういうたいそうなモノは全く存在しない。ちなみに幅が狭くなったフィルムはその分当たり前だが画質が悪い。写真なんかモノが分かる程度に写っとけばエエネンと思っている私でも、さすがにこの粗い粒子は目障りやなと思うぐらいの代物だった。あれで売ろうとしてたというのが逆にデジタルカメラの出現で絶望的な状況にあったフィルム業界の当時の苦境をしのばせる。

 ということで、家電量販店には、現物が並んでいるのをいじって比較できるとか、買ってそのまま持ち帰れるという利点しか残っていないように思う。家電量販店は最早陳列棚としての役割ぐらいしか残っていないということである。
 家電量販店で実物比較してみて、買うのはネットで価格比較して買うというのが普通に行われていると聞くに及んで、これはもう家電量販店も永くはもたない業種だなと思わざるを得ない。

 今回パソコン買ったときにメーカー保証1年に加えて、店で付けているオプションの5年保証を付けたが、5年後まで買った家電量販店が残っているかどうか怪しいものである。全部がすぐに無くなることも無いだろうけど、いくつかの系列が5年以内につぶれても何らおかしくない。

 なんでこんなに低いサービスレベルの店しか残らなかったのかと、つらつら考えていくと、経費節減して無駄なサービスはしないような店で売ってる安い品しか我々消費者が買わなかったからである。この流れの延長線で行くなら、買うのはネット、修理やらのサービスは専門業者という棲み分けに移行していくのだろうし、それがいやならサービスも充実したパソコン専門店を選ぶということだろうか。
 個人的には、あれこれ細分化・専門化していくと手続き面倒なので、パソコン専門店で窓口一本化がいいのかなと思うところ。

 次回、5年後は壊れる前に早めに買い換え検討してパソコン専門店で買いたい。と、忘れないようにここに書いておこう。
 


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